説明の明確化のため、以下の記載および図面は、適宜、省略、および簡略化がなされている。なお、以下の説明および図面において、複数の図面に共通する構成についてはそれぞれ共通の符号を付している。そのため、共通の符号を付した構成については適宜説明を省略する。
<実施の形態1>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態1について説明する。図1は、実施の形態1にかかる電子機器保持具10の概観図である。電子機器保持具10は、電子機器に固定され、任意の物体を保持するために使用される。電子機器保持具10は、例えばベルトフックとして使用され得る。ベルトフックとして使用される場合、使用者は、使用者が腰部に装着しているベルト等にかかる電子機器を引っかけた状態にして携帯する。
また、電子機器保持具10は、電子機器に固定されたときに電子機器の送受信回路に接続し、電子機器が電波の送信または受信を行うアンテナとしての機能を有している。電子機器は、例えば、携帯型送信機、携帯型受信機、携帯型ラジオ、トランシーバ、スマートフォン、または携帯電話などの、電波の送信または受信を行う機器である。
電子機器保持具10は、主な構成として、台座部20、回動軸30、および保持部材40を有している。以下に、各構成について説明する。
台座部20は、電子機器保持具10が電子機器に固定される際に、固定用のボルトによって、電子機器に直接固定される部材である。台座部20は、長尺平板状の部分を有している。かかる平板状の部分は、電子機器保持具10が電子機器に固定される際に電子機器に接触する接触面23を有している。また、接触面23の反対側の面には、第1ヒンジ部24および第2ヒンジ部25が立設されている。第1ヒンジ部24および第2ヒンジ部25は、台座部20の長手方向に沿って立設されているリブ状の部位である。第1ヒンジ部24および第2ヒンジ部25は、主面がそれぞれ対向するように配置されている。第1ヒンジ部24および第2ヒンジ部25は、回動軸30が挿通されてがたつくことなく係合する程度の大きさ孔が穿設されている。また、台座部20は、台座部20の長手方向の両端部近傍に、台座部20を固定するためのボルトが挿通される第1孔21および第2孔22を有している。
台座部20の外形は、電子機器保持具10のアンテナとしての機能を妨げないよう、所望の周波数帯域の電波を遮蔽しない素材により形成される。かかる素材とは、例えば樹脂である。なお、後述するように、台座部20は、導電性を有する部材を含んでいる。
回動軸30は、台座部20および保持部材40に連通し、保持部材40が回動する際の回動支点となる軸部材である。回動軸30が台座部20および保持部材40に連通し、回動軸30の延伸方向上にがたつくことのないように固定されることにより、保持部材40は台座部20に対して回動自在に固定される。回動軸30は、所望の周波数帯域における電波を遮蔽しない、例えば樹脂のような素材により形成される。
保持部材40は、台座部20に回動自在に固定され、回動軸30に対して交差する方向であって、台座部20の接触面23に対して略平行に延在する。また、保持部材40は、台座部20の接触面23に対して略平行な面を主面とする平板部を有している。保持部材40の外形は、所望の周波数帯域における電波を遮蔽しない、例えば樹脂のような素材により形成される。なお、後述するように、保持部材40は、導電性を有する部材を含んでいる。保持部材40は、回動軸30を跨ぐように延在しており、一端側に当接部41を有している。当接部41は、電子機器保持具10が電子機器に固定されたときに、電子機器に当接するように構成されている。また、当接部41は、電子機器保持具10が電子機器に固定され、かつ、任意の物体を保持する場合に、任意の物体に当接するように構成されている。
保持部材40は、平面部から台座部20に向かって2か所のリブが立設されている。2か所のリブの主面はそれぞれ対向し、回動軸の延伸方向に平行に配置されている。また、かかる2か所のリブは、それぞれ回動軸30が挿通されてがたつくことなく係合する程度の大きさの孔が穿設されている。
保持部材40は、図2で示す弾性部材61を有している。弾性部材61は、当接部41が電子機器に近づくように保持部材40を付勢する。したがって、電子機器保持具10が電子機器に固定され、かつ、任意の物体を保持する場合に、弾性部材61は、当接部41が上述した任意の物体に近づくように保持部材40を付勢する。
保持部材40は、回動軸30を跨いで当接部41の反対側に延在する他端側に、操作部42を有している。操作部42は、電子機器保持具10が電子機器に固定されたときに、電子機器から離れる方向に付勢される。電子機器保持具10が固定された電子機器に任意の物体を保持させる場合、使用者は、操作部42を電子機器に近付けるように保持部材40を回動させる。使用者がこのように操作すると、電子機器と当接部41との間には隙間ができる。そして、使用者は、任意の物体を電子機器と当接部41との間に挟み込み、操作部42を解放する。すると、弾性部材61の復元力により、当接部41は任意の物体に当接する。このようにして、電子機器に固定された電子機器保持具10は、任意の物体を保持する。
次に、図2を参照しながら、各構成のさらに詳細を説明する。図2は、実施の形態1にかかる電子機器保持具10の分解斜視図である。図2は説明の都合上それぞれが内部に有している構成を示すため、台座部20および保持部材40の外形を破線で示し、内部を透過させて表している。
まず台座部20の構成について説明する。台座部20は、第1導体26および第2導体27を有している。台座部20は、第1導体26および第2導体27を含むように樹脂をインサート成形することにより構成してもよいし、複数の部品を組み合わせて接合することにより構成してもよい。
第1導体26は、90度に折れ曲がった形状を呈している金属片であり、一方の片が接触面23と平行に配置され、他方の片が第1ヒンジ部24と平行に配置されている。接触面23と平行に配置されている片には第1孔21に対応した孔が穿設されている。第1孔21に対応した端部は、電子機器保持具10が電子機器に固定される際に、固定用のボルトと接触し、電気が導通するように構成されている。また、第1ヒンジ部24と平行に配置されている片には第3孔28が穿設されており、第3孔28は回動軸30が挿通される。また、第1導体26は、保持部材40の第3導体51と接触し、電気が導通するように構成されている。
第2導体27は、長尺平板状の金属片であり、一方の端部には第2孔22に対応した孔が穿設されている。第2孔22に対応した端部は、電子機器保持具10が電子機器に固定される際に、固定用のボルトと接触し、電気が導通するように構成されている。また、第2導体27は、保持部材40の弾性部材61と接触し、電気が導通するように構成されている。
次に保持部材40の構成について説明する。保持部材40は、アンテナエレメント50、第3導体51、シールド部60、および弾性部材61を有している。保持部材40は、これらの構成を含むように樹脂をインサート成形することにより構成してもよいし、複数の部品を組み合わせて接合することにより構成してもよい。
アンテナエレメント50は、台座部20が電子機器に固定されたときに電子機器の送受信回路に接続する。すなわち、電子機器保持具10が電子機器に固定されることにより、アンテナエレメント50は電子機器のアンテナとして機能を発揮する。アンテナエレメント50は、保持部材40の主面に平行に形成されたアンテナパタンを有している。図2に例示したアンテナエレメント50は、ミアンダ構造の逆L型である。しかし、アンテナエレメント50の形状はこれに限らず逆F型や平面型など当業者が想到し得る種々のパタンを採用することができる。アンテナエレメント50の材質は、アンテナとして機能を発揮する導電体であり、典型的にはアルミニウム、銅、またはステンレスなどの金属である。アンテナエレメント50の材質は、アンテナの形状、電子機器が送受信する電波の周波数等により適宜決定される。
第3導体51はアンテナエレメント50と接続し、電気が導通するように構成されている。第3導体51とアンテナエレメント50とは、半田により接合されてもよいし、圧接や圧着等により接合されてもよい。また、第3導体51は、台座部20が有する第1導体26に接触し、電気が導通するように構成されている。本実施の形態において、第3導体51の材質は、弾性および導電性を有する金属の線材であり、例えばアルミニウム、銅、またはステンレスなどである。第3導体51は、アンテナエレメント50の一端から延出し、回動軸30を巻回したうえで第1導体26に接触する。このような構成を採用することにより、第3導体51は保持部材40が回動した際の撓み量が大きくなることが抑えられるため、耐久性が向上し、安定して第1導体26に接触する。なお、第3導体51と第1導体26とは、電気が導通していれば、接触に限らず、半田などにより接合されてもよい。
シールド部60は、台座部20が電子機器に固定されたときに接地される。シールド部60は第2導体27を介して電子機器のグランドに接続する。また、シールド部60は、弾性部材61を介して第2導体27に接続する。シールド部60は、保持部材40の主面と平行に配置された平板状の部材である。シールド部60は、アンテナエレメント50が送信または受信する電波の周波数に対してシールド効果を有する素材により構成されている。シールド効果を有する素材とは、例えばアルミニウム、銅、ステンレスなどの金属板、または樹脂やガラス素材などに金属のメッキや蒸着を施したものである。シールド部60は、弾性部材61と電気が導通するように接続している。シールド部60と弾性部材61とを接続する手段は、半田づけ、接着、圧着などである。
弾性部材61は、シールド部60と第2導体27とにそれぞれ接触し、シールド部60と第2導体27とに電気を導通させる。また、弾性部材61は、保持部材40の当接部41が電子機器に当接する方向に保持部材40を付勢する。弾性部材61は、弾性を有する金属板をU字状に形成することにより構成する。すなわち、電子機器保持具10が電子機器に固定された場合に、使用者が操作部42を電子機器に近付けるように保持部材40を回動させると、U字状に形成された保持部材40の対向する面が互いに近づく方向に撓む。使用者が操作部42を解放すると、弾性部材61は、復元力によって対向する面が互いに離れる方向に向かおうとして保持部材40を付勢する。弾性を有する金属板は、例えば、ステンレス、ベリリウム銅、または銅や鉄を主成分とする合金などである。弾性部材61は、U字状の一端がシールド部60に接触し、保持部材40から延出する。そして、弾性部材61は、U字状の他端が第2導体27に対して、半田づけ、接着、圧着などの手段により接触している。
次に、図3を参照しながら電子機器保持具10を含む電子機器100について説明する。図3は、電子機器保持具10を装着した電子機器100の概観図である。電子機器100は、本体110と、電子機器保持具10とを有している。本体110は、例えば、携帯型送信機、携帯型受信機、携帯型ラジオ、トランシーバ、スマートフォン、または携帯電話などの、電波の送信または受信を行う装置である。本実施の形態において、外部から受ける不要輻射が内部回路に影響を及ぼさないように、本体110の筐体は電波をシールドする機能を有している。したがって、本体110が電波の送信または受信をするためには、筐体の外部にアンテナを有する必要がある。
電子機器保持具10は、接続用ボルト120によって本体110に螺合される。電子機器保持具10が本体110に螺合されることにより、電子機器保持具10は本体110に固定される。また、電子機器保持具10が本体110に螺合されることにより、電子機器保持具10は本体110のアンテナとして機能する。すなわち、接続用ボルト120が電子機器保持具10を本体110に螺合することにより、保持部材40が有するアンテナエレメント50は、接続用ボルト120を介して、本体110が有する送受信回路に接続する。また、接続用ボルト120が電子機器保持具10を本体110に螺合することにより、保持部材40が有するシールド部60は、接続用ボルト120を介して、本体110のシールド部に接続する。
なお、上述の電子機器100において、電子機器保持具10は接続用ボルト120により螺合されることにより固定されている。そのため、電子機器保持具10は本体110と容易に脱着可能となっている。しかしながら、電子機器保持具10は螺合とは異なる手段、例えば、リベット、溶接、半田付けなど電気的に導通可能な手段により固定されていてもよい。
次に、図4を参照しながら、本体110、アンテナエレメント50、およびシールド部60の位置関係について説明する。図4は、電子機器100の側面図である。図4における本体110の左側の長辺が本体110の正面となり、右側の長辺が本体110の背面となり、本体110の上側の短辺が本体110の上面となり、下側の短辺が本体110の下面となる。また、図4において、図示されている本体110の面が右側面となり、図示されていない本体110の面が左側面となる。なお、図4においてxyz座標を示している。x軸プラス方向は、本体110の正面から本体110の背面に向かう方向である。y軸プラス方向は、本体110の下面から本体110の上面に向かう方向である。z軸プラス方向は、本体110の左側面から本体110の右側面に向かう方向である。
図4に示すように、保持部材40の主面はyz面に平行に配置されている。この場合、アンテナエレメント50も、保持部材40の主面すなわちyz面に平行に配置されている。また、シールド部60も、保持部材40の主面すなわちyz面に平行に配置されている。アンテナエレメント50は、第3導体51を介して本体110の送受信回路に接続している。一方、シールド部60は、弾性部材61を介して本体110のグランドに接地している。また、アンテナエレメント50は、シールド部60に平行に、保持部材40のx軸マイナス側に配置されている。一方、シールド部60は保持部材40のx軸プラス側に配置されている。アンテナエレメント50とシールド部60とは、予め設定された距離を保つように配置されている。かかる距離は、アンテナの特性を設計する際に決定される。
使用者が電子機器100を使用する場合、一点鎖線で示した領域Gの範囲を握る。したがって、アンテナエレメント50は、領域Gの範囲の外側に存在することが好ましい。そこで、保持部材40は、回動軸30を跨いで当接部41の反対側に延在する他端側すなわち操作部42側にアンテナエレメント50を含んでいる。このような構成により、電子機器保持具10は、使用者が電子機器を使用している場合に使用者の手によって電波が遮蔽されることを抑制することができる。
シールド部60は平面部を有している。アンテナエレメント50は、シールド部60と平行に配置され、かつ、台座部20が本体110に固定されたときにシールド部60と本体110の間に配置される。図4において、使用者が電子機器100を携帯する場合は、電子機器保持具10を使用者の装着するベルト等に引っかける。すなわち、x軸プラス側に使用者の身体が存在する。人間の身体は電波を吸収することが知られている。そのため、電子機器保持具10は、使用者が電子機器100を携帯した際に使用者の身体が存在するx軸プラス側にシールド部60を設けている。このような構成により、電子機器100は、使用者が携帯している場合に使用者の身体の影響を受けにくくしてアンテナ特性を安定させることができる。
本体110の筐体は電波をシールドする機能を有している。そのため、アンテナエレメント50が本体110の筐体に近づきすぎていると、アンテナの良好な特性を得ることが出来なくなるおそれがある。そこで、電子機器保持具10が本体110に固定されたときに、保持部材40の主面に垂直な方向に電子機器100を投影した場合、アンテナエレメント50は、投影された領域の外側に延在する。具体的には、図4において、保持部材40の主面に垂直な方向すなわちx軸方向に電子機器100を投影した場合、アンテナエレメント50は、投影された領域Pの外側であるy軸プラス方向に延在している。このような構成により、電子機器100は、本体110の筐体によって電波が遮蔽されることを抑制することができる。
以上の構成により、実施の形態1は、無線電波の送信機能または受信機能を有する電子機器において、本体を大きくすることなくアンテナを設ける電子機器保持具および電子機器を提供することができる。
<実施の形態2>
次に、図5〜図10を参照しながら実施の形態2について説明する。実施の形態2にかかる電子機器200は、ホイップアンテナを接続できる点において実施の形態1にかかる電子機器100と異なる。
図5は、実施の形態2にかかる電子機器200の分解斜視図である。電子機器200は、電子機器保持具10、接続用ボルト120、ホイップアンテナ90、および本体210を有している。
接続用ボルト120は、接点部121およびネジ部122を有している。接続用ボルト120が電子機器保持具10の第1孔21を挿通したうえで本体210の保持具アンテナ接続部211に螺合することにより、電子機器保持具10が固定され、かつ、接点部121が本体210の送受信回路に接続する。同様に、接続用ボルト120が電子機器保持具10の第2孔22を挿通したうえで本体210の保持具グランド接続部212に螺合することにより、電子機器保持具10が固定され、かつ、接点部121が本体210のシールドに接続する。
ホイップアンテナ90は、予め設定された周波数の電波を送信または受信するためのアンテナである。ホイップアンテナ90が本体210のホイップアンテナ接続部213に螺合することにより接点部92が本体210の送受信回路に接続する。ホイップアンテナ90は、ネジ部91、接点部92、絶縁部93、アンテナエレメント94、被覆部95、および支持部96を有している。接点部92は、金属導体により形成された軸状の部材である。接点部92は、一端が本体210の送受信回路と接続可能に露出しており、他端がアンテナエレメント94と導通するように接続している。また、接点部92は、アンテナエレメント94と接続している側の周囲が絶縁部93に覆われている。絶縁部93は、例えばフッ素を主成分とする合成樹脂により形成されている。絶縁部93の周囲には本体210に螺合するためのネジ部91が設けられている。ネジ部91は、ステンレス等の金属により形成されている。アンテナエレメント94は、一端が接点部92と導通するように接続し、かかる接続部から接点部92の逆方向に延伸している。アンテナエレメント94は、周囲を被覆部95に覆われている。ネジ部91と被覆部95との間には支持部96が介在している。また、支持部96は、アンテナエレメント94の一部を支持している。支持部96は、絶縁性を有する樹脂により形成されている。このような構成により、ネジ部91は、接点部92ないしアンテナエレメント94とは導通しない。
本体210は、保持具アンテナ接続部211および保持具グランド接続部212を有している。電子機器保持具10の第1孔21は、接続用ボルト120により保持具アンテナ接続部211に螺合される。これにより電子機器保持具10が有するアンテナエレメント50は、接続用ボルト120を介して本体210の送受信回路に接続する。電子機器保持具10の第2孔22は、接続用ボルト120により保持具グランド接続部212に螺合される。これにより電子機器保持具10が有するシールド部60は、接続用ボルト120を介して本体210のシールドに接続する。また、本体210は、ホイップアンテナ接続部213を有している。
本体210は、上述のように、電子機器保持具10およびホイップアンテナ90を接続することが可能となっている。そのため、本体210は、内蔵する送受信回路にいずれのアンテナを接続するか選択する機能を有している。すなわち、本体210は、電子機器保持具10と、ホイップアンテナ90と、のいずれもが取り付けられている場合に、アンテナエレメント50またはホイップアンテナ90のいずれかを選択して無線電波の送信または受信を行う。
以下に、かかるアンテナの選択を行うための構成例を3つ挙げてそれぞれ説明する。
<第1の構成例>
図6および図7を参照しながら、実施の形態2における第1の構成例について説明する。図6および図7は、第1の構成例における電子機器200のアンテナの接続状態を説明するための図である。第1の構成例は、電子機器保持具10と、ホイップアンテナ90と、のいずれもが取り付けられている場合に、ホイップアンテナ90を優先させて送受信回路に接続する構成を示している。
図6は、本体210に電子機器保持具10が接続され、ホイップアンテナ90が接続されていない状態を示している。図6は、説明の都合上、本体210を断面で示し、各構成を模式的に示している。以下に示す図7〜図9も同様の方法により各構成を示している。
図6において、本体210は、樹脂製の筐体214の内側に金属製のシールド部215を有している。本体210は保持具アンテナ接続部211に第1ネジ部216を有している。第1ネジ部216はシールド部215とは接触しない状態で筐体214に固定されている。そのため、接続用ボルト120が第1孔21を挿通したうえで第1ネジ部216に螺合した状態で、アンテナエレメント50とシールド部215とは電気的に接続していない。一方、第1ネジ部216に螺合した接続用ボルト120が有する接点部121は、本体210が有する保持具接続用バネ240の接点241と接触する。
保持具接続用バネ240は、金属製の板バネであり、同じく金属製の板バネであるホイップアンテナ接続用バネ230を介して送受信回路220に接続している。ホイップアンテナ接続用バネ230は送受信回路220に接続している。また、ホイップアンテナ接続用バネ230は、ホイップアンテナ90が挿入されていないときは、接点231が保持具接続用バネ240の接点242と接触している。そのため、ホイップアンテナ接続用バネ230と、保持具接続用バネ240と送受信回路220とは通電するように接続している。
以上に説明したように、電子機器200の構成例1において、電子機器保持具10が接続用ボルト120により固定され、ホイップアンテナ90が接続されていない場合、保持部材40が有するアンテナエレメント50は接続用ボルト120を介して送受信回路220に接続する。
次に、図7を参照しながら、第1の構成例において、本体210に電子機器保持具10およびホイップアンテナ90が接続されている状態について説明する。
図7において、本体210はホイップアンテナ接続部213に第2ネジ部217を有している。第2ネジ部217はシールド部215と接触する状態で筐体214に固定されている。そのため、ホイップアンテナ90のネジ部91が第2ネジ部217に螺合した状態で、ホイップアンテナ90のネジ部91は、シールド部215と通電するように接続される。一方、第2ネジ部217に螺合したホイップアンテナ90が有する接点部92は、本体210が有するホイップアンテナ接続用バネ230の接点232と接触する。
ホイップアンテナ接続用バネ230は、ホイップアンテナ90が挿入されると、接点部92から圧力を受けて弾性変形する。このとき、ホイップアンテナ接続用バネ230の接点231と、保持具接続用バネ240の接点242とは離間する。したがって、保持具接続用バネ240とホイップアンテナ接続用バネ230との電気的な接続は遮断される。
以上に説明したように、電子機器200の構成例1において、ホイップアンテナ90が接続された場合、ホイップアンテナ90と送受信回路220とが接続される。一方、ホイップアンテナ90が接続された場合、保持部材40が有するアンテナエレメント50送受信回路220との接続が遮断される。つまり、電子機器200は、構成例1において、ホイップアンテナ90が取り付けられた場合は、ホイップアンテナ90と送受信回路220とを接続するとともに、アンテナエレメント50と送受信回路220との接続を遮断する機構を有している。
なお、ホイップアンテナ接続用バネ230は、ホイップアンテナ90が取り外されると、自らの復元力によって所定の姿勢に復帰し、再び保持具接続用バネ240と接触する。そして、アンテナエレメント50と送受信回路220とは導通するように接続する。
また、実施形態の2では、接続用ボルト120は、接点部121およびネジ部122を有していることを説明した。しかし、電子機器保持具10の第2孔22を挿通したうえで本体210の保持具グランド接続部212に螺合される接続用ボルト120に関しては、接点部121を設けずに、ネジ部122を有する構成にしてもよい。つまり、第2孔22を挿通したうえで保持具グランド接続部212に螺合されるネジは、通常用いられるネジであってもよい。この場合、通常用いられるネジのネジ部は、本体210のシールド部215に接続する。
<第2の構成例>
次に、図8および図9を参照しながら、実施の形態2における第2の構成例について説明する。図8および図9は、第2の構成例における電子機器200のアンテナの接続状態を説明するための図である。第2の構成例は、電子機器保持具10と、ホイップアンテナ90と、のいずれもが取り付けられている場合に、電子機器保持具10を優先させて送受信回路に接続する構成を示している。
図8は、本体210にホイップアンテナ90が接続され、電子機器保持具10が接続されていない状態を示している。第2ネジ部217に螺合したホイップアンテナ90が有する接点部92は、本体210が有するホイップアンテナ接続用バネ260の接点262と接触している。ホイップアンテナ接続用バネ260は、金属製の板バネであり、同じく金属製の板バネである保持具接続用バネ250を介して送受信回路220に接続している。保持具接続用バネ250は、送受信回路220に接続している。保持具接続用バネ250は、電子機器保持具10が固定されていないときは、接点251がホイップアンテナ接続用バネ260の接点261と接触している。そのため、ホイップアンテナ接続用バネ260と、保持具接続用バネ250と送受信回路220とは通電するように接続している。
以上に説明したように、電子機器200の構成例2において、ホイップアンテナ90が接続され、かつ、電子機器保持具10が接続されていない場合、ホイップアンテナ90は送受信回路220に接続する。
次に、図9を参照しながら、第2の構成例において、本体210に電子機器保持具10およびホイップアンテナ90が接続されている状態について説明する。
保持具接続用バネ250は、接続用ボルト120が挿入されると、接点部121から圧力を受けて弾性変形する。このとき、保持具接続用バネ250の接点251と、ホイップアンテナ接続用バネ260の接点261とは離間する。したがって、保持具接続用バネ250とホイップアンテナ接続用バネ260との電気的な接続は遮断される。
以上に説明したように、電子機器200の構成例2において、ホイップアンテナ90が接続された場合、ホイップアンテナ90と送受信回路220とが接続される。一方、電子機器保持具10が接続された場合、ホイップアンテナ90と送受信回路220との接続が遮断される。つまり、電子機器200は、構成例2において、電子機器保持具10が取り付けられた場合は、アンテナエレメント50と送受信回路220とを接続するとともに、ホイップアンテナ90と送受信回路220との接続を遮断する機構を有している。
なお、保持具接続用バネ250は、接続用ボルト120が取り外されると、自らの復元力によって所定の姿勢に復帰し、再びホイップアンテナ接続用バネ260と接触する。そして、ホイップアンテナ90と送受信回路220とは通電するように接続する。
なお、図10に示すように、上述した構成の内、ホイップアンテナ90が螺合する第2ネジ部217は、シールド部215と通電していない構成であってもよい。図10は、ネジ部がシールド部と通電するように接続していない例を示す図である。図10は、第2の構成例における第2ネジ部217に代えて、第2ネジ部217bを有している。第2ネジ部217bとシールド部215との間には隙間Bが設けられている。したがって、この場合、ホイップアンテナ90は、ネジ部91がシールド部215と導通しない状態で固定されている。図6および図7を参照しながら説明した第1の構成例においても、第2ネジ部217に代えて第2ネジ部217bを採用し得る。
<第3の構成例>
次に、図11を参照しながら、実施の形態2における第3の構成例について説明する。図11は、第3の構成例における電子機器200のアンテナ切り替えを実現するための回路図である。第3の構成例は、電子機器保持具10と、ホイップアンテナ90と、のいずれもが取り付けられている場合に、電子機器保持具10のアンテナエレメント50またはホイップアンテナ90のいずれかを選択して送受信回路220との接続を行うスイッチ回路を有している。
以下に、図11に示した回路図の詳細を説明する。本体210は、主な構成として、送受信回路220、制御回路270、スイッチ回路280、第1の方向性結合器290、および第2の方向性結合器300を有している。
送受信回路220は、アンテナを介して所定の信号を送信または受信する機能を有している。送受信回路220は、スイッチ回路280に接続しており、スイッチ回路280に送信信号を供給する。また、送受信回路220は、アンテナが受信した信号をスイッチ回路280から受け取る。
制御回路270は、本体210に接続されているアンテナのうちいずれのアンテナを送受信回路220と接続するかを選択し、スイッチ回路280に対してかかる選択に対応する指示をする機能を有している。また、制御回路270は、第1の方向性結合器290または第2の方向性結合器300が抽出した電流の電圧値に応じて、選択した回路にアンテナが接続されているか否かを判定する機能を有している。
スイッチ回路280は、制御回路270からの指示に応じて、送受信回路220に接続するアンテナを切り替える機能を有している。
第1の方向性結合器290は、スイッチ回路280を介して受け取る送信信号をホイップアンテナ90に供給し、ホイップアンテナ90から反射信号を受け取り、受け取った反射信号を抽出する機能を有している。第1の方向性結合器290は、主線路291および副線路292を有している。主線路291は、スイッチ回路280とホイップアンテナ90とにそれぞれ接続する。副線路292は、一端が抵抗296を経由して通電するように接地し、他端がダイオード293および抵抗294を経由して通電するように接地している。また、ダイオード293および抵抗294の間には、接点295が設けられており、制御回路270は、接点295に接続している。
第2の方向性結合器300は、スイッチ回路280を介して受け取る送信信号を電子機器保持具10のアンテナエレメント50に供給し、アンテナエレメント50から反射信号を受け取り、受け取った反射信号を抽出する機能を有している。第2の方向性結合器300は、主線路301および副線路302を有している。主線路301は、スイッチ回路280とアンテナエレメント50とにそれぞれ接続する。副線路302は、一端が抵抗306を経由して通電するように接地し、他端がダイオード303および抵抗304を経由して通電するように接地している。また、ダイオード303および抵抗304の間には、接点305が設けられており、制御回路270は、接点305に接続している。
以上の構成により、実施の形態2における第3の構成例にかかる電子機器200は、電子機器保持具10が有するアンテナエレメント50、またはホイップアンテナ90のいずれかを選択して送受信回路220との接続を行う。かかる選択は、使用者が選択操作を行うことにより実現するものであってもよいし、それぞれのアンテナに接続した場合の受信信号強度に基づいて制御回路270が選択する機能を有するものであってもよい。
また、制御回路270は、方向性結合器が抽出した反射信号の電圧値に応じて選択した回路にアンテナが接続されているか否かを判定し得る。そのため、例えば、使用者がアンテナを選択するに際し、制御回路270は、アンテナが接続されていない回路を選択することができないように設定し得る。また、保持具アンテナ接続部211とホイップアンテナ接続部213とのいずれにもアンテナが接続されていないことを検出した場合、制御回路270は、送信処理を中止する等の処理を行い得る。
以上の構成により、実施の形態2は、無線電波の送信機能または受信機能を有する電子機器において、本体を大きくすることなくアンテナを設ける電子機器保持具および電子機器を提供することができる。さらに、実施の形態2は、電子機器保持具にかかるアンテナとホイップアンテナとを簡便に選択可能とする電子機器を提供することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。