JP6987355B2 - 立体造形用樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、立体造形用樹脂組成物に関する。
従来、樹脂材料等を積層させて立体造形物を得る方法が知られている。例えば光造形法、粉末焼結法、熱溶解積層(FDM)法等種々の方法が提案され実用化されている。
例えば光造形法は、細やかな造形や正確なサイズ表現に優れており、広く普及している。この方法は以下のようにして立体造形物を作製するものである。まず液状の光硬化性樹脂を満たした槽内に造形ステージを設け、造形ステージ上の光硬化性樹脂に紫外線レーザーを照射して所望のパターンの硬化層を作製する。このようにして硬化層を1層造ると造形ステージを1層分だけ下げて、硬化層上に未硬化の樹脂を導入し、同様にして紫外線レーザーを光硬化性樹脂に照射して前記硬化層上に新たな硬化層を積み上げる。この操作を繰り返すことにより、所定の立体造形物を得る。また、粉末焼結法は、樹脂、金属、セラミックス、ガラスの粉末を満たした槽内に造形ステージを設け、造形ステージ上の粉末に半導体等のレーザーを照射し、軟化変形にて所望のパターンの硬化層を作製するものである。
特開平7−26060号公報
光造形法等で作製される樹脂製の立体造形物は、細やかで精密であるが、機械的強度等に劣ることが指摘されている。そこで特許文献1では、光硬化性樹脂に無機充填材を添加することが提案されている。
ところが無機充填材粒子を添加すると、立体造形物の透明性が損なわれるという問題がある。また、立体造形物中に外観上のムラが発生するという問題もある。
本発明の課題は、外観上のムラがなく、かつ、透明性に優れた立体造形物を作製できる立体造形用樹脂組成物を提供することである。
本発明の立体造形用樹脂組成物は、フュームドシリカ、ガラスフィラー及び硬化性樹脂を含有することを特徴とする。フュームドシリカを含有することで樹脂組成物の粘度が上昇し、ガラスフィラーの沈降を抑制することができる。つまり、樹脂組成物中に均一にガラスフィラーを分散させることができるため、立体造形物中に外観上のムラが発生し難くなり、また立体造形物の透明性を向上させやすくなる。ちなみに、フュームドシリカは表面に多数のシラノール基を有し、各フュームドシリカ同士が水素結合して、液体樹脂中にて三次元網目構造を形成するため、樹脂組成物の粘度を高める効果が大きい。
本発明の立体造形用樹脂組成物は、フュームドシリカの平均粒子径が1〜500nmであることが好ましい。上記平均粒子径のフュームドシリカを含有することでガラスフィラーの沈降抑制効果を高めることができる。なお、「平均粒子径」とは一次粒子のメジアン径での50%体積累積径を示し、レーザー回折式粒度分布測定法により測定された値をいう。
本発明の立体造形用樹脂組成物は、(フュームドシリカの重量)/((フュームドシリカの重量)+(硬化性樹脂の重量))が0.001〜0.015であることが好ましい。このようにすることで樹脂組成物の粘度が高くなり、ガラスフィラーの沈降を防止するとともに、造形が容易な粘度とすることができる。ここで、「(フュームドシリカの重量)/((フュームドシリカの重量)+(硬化性樹脂の重量))」とは、フュームドシリカの重量をフュームドシリカの重量と硬化性樹脂の重量の合量で除した値である。
本発明の立体造形用樹脂組成物は、ガラスフィラーが略球状であることが好ましい。このようにすることでガラスフィラーと硬化性樹脂の接触面積を減少させてガラスフィラーと硬化性樹脂の光散乱を低減し、造形物の透明性を高めることができる。
本発明の立体造形用樹脂組成物は、ガラスフィラーが、ガラス組成として、質量%で、SiO 20〜70%、B 0〜50%、Nb 0〜20%、WO 0〜20%を含有することが好ましい。
本発明の立体造形用樹脂組成物は、ガラスフィラーの平均粒子径が、2〜20μmであることが好ましい。このようにすることでガラスフィラーの沈降を防止しつつ、透明性の高い造形物を得ることができる。
本発明の立体造形用樹脂組成物は、ガラスフィラーが、平均粒子径が2〜20μmである第一のガラスフィラー、及び、平均粒子径が(第一のガラスフィラーの平均粒子径−1μm)以下である第二のガラスフィラーを含有することが好ましい。このようにすることで平均粒径の小さい第二のガラスフィラーが樹脂組成物の粘度を上昇させ、平均粒径の大きい第一のガラスフィラーの沈降を抑制することができる。
本発明の立体造形用樹脂組成物は、(第二のガラスフィラーの重量)/((第一のガラスフィラーの重量)+(第二のガラスフィラーの重量))が0.2〜0.6であることが好ましい。このようにすることでガラスフィラーの沈降を防止しつつ、透明性の高い造形物を得ることができる。ここで、「(第二のガラスフィラーの重量)/((第一のガラスフィラーの重量)+(第二のガラスフィラーの重量))」とは、第二のガラスフィラーの重量を第一のガラスフィラーの重量と第二のガラスフィラーの重量の合量で除した値である。
本発明によれば、外観上のムラがなく、かつ、透明性に優れた立体造形物を作製できる立体造形用樹脂組成物を提供することが可能になる。
本発明の立体造形用樹脂組成物は、フュームドシリカ、ガラスフィラー及び硬化性樹脂を含有する。
(ガラスフィラーの重量)/((フュームドシリカの重量)+(硬化性樹脂の重量))は0.1〜1、0.2〜0.9、特に0.3〜0.8であることが好ましい。(ガラスフィラーの重量)/((フュームドシリカの重量)+(硬化性樹脂の重量))が小さすぎると、造形物の機械的強度が低くなる傾向がある。一方、(ガラスフィラーの重量)/((フュームドシリカの重量)+(硬化性樹脂の重量))が大きすぎると、樹脂組成物の粘度が高くなりすぎ、樹脂の流動性が低下し、造形が困難となる。
まず、本発明で使用するフュームドシリカについて説明する。
(フュームドシリカ)
フュームドシリカは、樹脂組成物の粘度を上昇させることができる。フュームドシリカの平均粒子径は1〜500nm、2〜200nm、2〜100nm、2〜50nm、2〜20nm、特に2〜10nmであることが好ましい。平均粒子径が小さすぎると、フュームドシリカの取り扱いが困難になる。一方、平均粒子径が大きすぎると樹脂組成物の粘度が上昇しにくくなる。
(フュームドシリカの重量)/((フュームドシリカの重量)+(硬化性樹脂の重量))は0.001〜0.015、0.002〜0.01、0.002〜0.008、特に0.002〜0.006であることが好ましい。(フュームドシリカの重量)/((フュームドシリカの重量)+(硬化性樹脂の重量))が小さすぎると、樹脂組成物の粘度が十分に上昇せず、ガラスフィラーが沈降しやすくなる。一方、(フュームドシリカの重量)/((フュームドシリカの重量)+(硬化性樹脂の重量))が大きすぎると、樹脂組成物の粘度が高くなりすぎ、樹脂の流動性が低下し、造形が困難となる。
次に、本発明で使用するガラスフィラーについて説明する。
(ガラスフィラー)
ガラスフィラーは略球状であることが好ましい。このようにすることでガラスフィラーと樹脂組成物の接触面積を減少させ、ガラスフィラーと樹脂組成物の光散乱を低減し、造形物の透明性を高めることができる。
ガラスフィラーの平均粒子径は、2〜20μm、4〜15μm、特に6〜10μmであることが好ましい。平均粒子径が小さすぎると、ガラスフィラーと硬化性樹脂の屈折率差に基づく光散乱により、透明性の高い造形物が得られにくくなる。一方、平均粒子径が大きすぎるとガラスフィラーが沈降しやすくなる。
次に、ガラスフィラーの屈折率nd、アッベ数νd及びガラス組成について説明する。
ガラスフィラーは、硬化後の硬化性樹脂との屈折率ndの差が±0.02以内(好ましくは±0.01以内、より好ましくは±0.0075以内、さらに好ましくは±0.005以内)、アッベ数νdの差が±10以内(好ましくは±5.0以内、より好ましくは±2.5以内、さらに好ましくは±1.0以内)であることが好ましい。なお、ガラスフィラーと硬化性樹脂との光学定数の差が大きくなると樹脂との屈折率等の不整合により、立体造形物の透明性が低下しやすくなる。
ガラスフィラーは、屈折率ndが1.40〜1.90、1.40〜1.65、1.45〜1.6、特に1.5〜1.55であることが好ましく、アッベ数νdは、20〜65、40〜65、45〜60、特に50〜57であることが好ましい。さらに屈折率ndが1.5〜1.55、且つアッベ数νdが50〜57であれば、アクリル系樹脂等多くの樹脂と光学定数が整合する。光学定数が上記範囲から外れると、硬化後の硬化性樹脂と整合した光学定数を得ることが難しくなる。またガラスフィラーは、得られる造形物の透明性を高める観点から、可視域(400〜700nm)における厚み1mmでの平均透過率が30%以上、50%以上、特に70%以上であることが好ましい。
ガラスフィラーは、その表面がシランカップリング剤によって処理されていることが好ましい。シランカップリング剤で処理すれば、ガラスフィラーと硬化性樹脂の結合力を高めることができ、より機械的強度の高い造形物を得ることが可能になる。さらに、ガラスフィラーと硬化性樹脂のなじみがよくなり、界面の泡や空隙が減少する。その結果、光散乱を抑制でき、透過率を高めることができる。シランカップリング剤としては、例えばアミノシラン、エポキシシラン、アクリルシラン等が好ましい。なおシランカップリング剤は、用いる硬化性樹脂によって適宜選択すればよい。
ガラスフィラーは、例えばガラス組成として、質量%で、SiO 20〜70%、B 0〜50%、Nb 0〜20%、WO 0〜20%を含有する。以下、上記のように各成分を限定した理由を説明する。なお、各成分の含有範囲の説明において、%表示は、質量%を意味する。
SiOはガラス骨格を形成する成分である。また化学耐久性の向上や失透の抑制が可能な成分である。SiOの含有量は、20〜70%、30〜65%、特に40〜60%であることが好ましい。SiOの含有量が少なすぎると化学耐久性が低下しやすくなり、またガラスが失透しやすくなって製造が困難になる虞がある。一方、SiOの含有量が多すぎると溶融性が低下しやすくなり、また成形時に軟化しにくくなって製造が困難になる虞がある。
はガラス骨格を形成する成分である。また化学耐久性の向上や失透の抑制が可能な成分である。Bの含有量は、0〜50%、2.5〜40%、特に5〜30%であることが好ましい。Bの含有量が多すぎると、溶融性が低下しやすくなり、また成形時に軟化しにくくなって製造が困難になる虞がある。
Nbは、屈折率、アッベ数を調整できる成分である。Nbの含有量は、0〜20%、0.1〜15%、0.5〜10%、特に1〜5%であることが好ましい。Nbの含有量が多すぎると屈折率が大きくなり、またアッベ数が小さくなる傾向がある。さらにガラスが失透しやすくなる。
WOは、屈折率、アッベ数を調整できる成分であり、またガラスの粘度を低下させる成分である。WOの含有量は、0〜20%、0.1〜15%、0.5〜10%、特に1〜5%であることが好ましい。WOが多すぎると屈折率が大きくなり、またアッベ数が小さくなる傾向がある。さらにガラスが着色しやすくなる傾向がある。
上記成分以外にも、例えば、以下の成分を導入することができる。
Alはガラス化安定成分である。また化学耐久性の向上や失透の抑制が可能な成分である。Alの含有量は、0〜30%、2.5〜25%、特に5〜20%であることが好ましい。Alの含有量が多すぎると、溶融性が低下しやすくなる。また成形時に軟化しにくくなって製造が困難になる虞がある。
LiOは、ガラスの粘度を低下させるとともに、失透を抑制する成分である。LiOの含有量は、0〜10%、0.1〜9%、0.5〜7%、特に1〜5%であることが好ましい。LiOの含有量が多すぎると化学耐久性が低下しやすくなり、またガラスが失透しやすくなって製造が困難になる虞がある。
NaOは、ガラスの粘度を低下させるとともに、失透を抑制する成分である。NaOの含有量は、0〜10%、0.1〜7.5%、0.5〜5%、特に1〜2.5%であることが好ましい。NaOの含有量が多すぎると化学耐久性が低下しやすくなり、またガラスが失透しやすくなって製造が困難になる虞がある。
Oは、ガラスの粘度を低下させるとともに、失透を抑制する成分である。KOの含有量は、0〜10%、0.1〜8%、0.5〜6%、特に1〜4%であることが好ましい。KOの含有量が多すぎると化学耐久性が低下しやすくなり、またガラスが失透しやすくなって製造が困難になる虞がある。
またガラス組成中のLiO、NaO、KOの含有量は合量で10%以下、6%以下、特に5%以下とすることが好ましい。これらの成分の合量を上記のように限定すれば、樹脂硬化時に発生するガラス中のアルカリ成分の蒸発を抑制し易くなる。また化学耐久性の低下を抑制できることから、例えばアルカリ溶出による樹脂の劣化が抑制できる。それゆえ無色透明な立体造形物を容易に得ることができ、また得られた造形物の経時的な劣化を防止することができる。さらにガラスの熱膨張係数を小さくできることから、サーマルショックや硬化時の熱収縮が抑制できる。
MgOはガラス中で中間物質として働き、ガラスを安定化させる成分である。MgOの含有量は、0〜25%、0.5〜20%、特に1〜15%であることが好ましい。MgOの含有量が多すぎると化学耐久性が低下しやすくなり、またガラスが失透しやすくなって製造が困難になる虞がある。
CaOは、ガラス中で中間物質として働き、ガラスを安定化させる成分である。CaOは、0〜25%、0.5〜20%、特に1〜15%であることが好ましい。CaOの含有量が多すぎると化学耐久性が低下しやすくなり、またガラスが失透しやすくなって製造が困難になる虞がある。
SrOは、ガラス中で中間物質として働き、ガラスを安定化させる成分である。SrOの含有量は、0〜25%、0.5〜20%、特に1〜15%であることが好ましい。SrOの含有量が多すぎると化学耐久性が低下しやすくなり、またガラスが失透しやすくなって製造が困難になる虞がある。
BaOは、ガラス中で中間物質として働き、ガラスを安定化させる成分である。BaOの含有量は、0〜25%、0.5〜20%、特に1〜15%であることが好ましい。BaOの含有量が多すぎると化学耐久性が低下しやすくなり、またガラスが失透しやすくなって製造が困難になる虞がある。
ZnOはガラス中で中間物質として働き、ガラスを安定化させる成分である。ZnOの含有量は、0〜25%、0.5〜20%、特に1〜15%であることが好ましい。ZnOの含有量が多すぎると化学耐久性が低下しやすくなり、またガラスが失透しやすくなって製造が困難になる虞がある。
TiOは、屈折率、アッベ数を調整できる成分であり、またガラスの粘度を低下させる成分である。TiOの含有量は、0〜15%、0.1〜12%、0.5〜10%、特に1〜5%であることが好ましい。TiOの含有量が多すぎると屈折率が大きくなり、またアッベ数が小さくなる傾向がある。またガラスが着色しやすくなる。
またガラス組成中のTiO、Nb、WOの含有量は合量で0〜30%、0.1〜25%、1〜20%、特に3〜15とすることが好ましい。これらの成分の範囲を上記のように限定すれば、屈折率やアッベ数の調整がしやすく、またガラスの失透の抑制が容易になる。さらに化学耐久性の高いガラスを得やすくなる。
またガラス組成中のNb、WOの含有量は合量で0〜30%、0.1〜25%、1〜20%、特に2〜15%とすることが好ましい。これらの成分の範囲を上記のように限定すれば、屈折率やアッベ数の調整がしやすくなるとともに、着色し難くなる。またガラスの失透の抑制が容易になる。さらに化学耐久性の高いガラスを得やすくなる。
ガラスフィラーは、粒径の異なる二種以上のガラスフィラーを含有しても構わない。次に、粒径の異なる二種のガラスフィラー(第一のガラスフィラー及び第二のガラスフィラー)を使用する場合について説明する。
第一のガラスフィラーの平均粒子径は、2〜20μm、4〜15μm、特に6〜10μmであることが好ましい。平均粒子径が小さすぎると、ガラスフィラーと硬化性樹脂の屈折率差に基づく光散乱により、透明性の高い造形物が得られにくくなる。一方、平均粒子径が大きすぎるとガラスフィラーが沈降しやすくなる。第二のガラスフィラーの平均粒子径は(第一のガラスフィラーの平均粒子径−1μm)以下、(第一のガラスフィラーの平均粒子径−3μm)以下、特に(第一のガラスフィラーの平均粒子径−5μm)以下であることが好ましい。このようにすることで、造形物の透明性を維持しつつ、平均粒子径の小さい第二のガラスフィラーによって沈降抑制の効果を得ることができる。平均粒子径の小さい第二のガラスフィラーを含有することで沈降を抑制できる理由としては、単一のガラスフィラーを含有するよりも樹脂組成物の粘度が上昇するためと推察される。なお、第一及び第二のガラスフィラーの平均粒子径の差が大きいほどその効果は大きい。
(第二のガラスフィラーの重量)/((第一のガラスフィラーの重量)+(第二のガラスフィラーの重量))は0.2〜0.6、0.3〜0.5、特に0.3〜0.4であることが好ましい。(第二のガラスフィラーの重量)/((第一のガラスフィラーの重量)+(第二のガラスフィラーの重量))が小さすぎると、平均粒子径の大きい第一のガラスフィラーの割合が大きくなり、ガラスフィラーが沈降しやすくなる。一方、(第二のガラスフィラーの重量)/((第一のガラスフィラーの重量)+(第二のガラスフィラーの重量))が大きすぎると、平均粒子径の小さい第二のガラスフィラーの割合が大きくなり、透明性の高い造形物が得られにくくなる。
なお、二種以上のガラスフィラーを用いる場合、各ガラスフィラーの屈折率、アッベ数、透過率及びガラス組成は既述の通りであることが好ましい。特に二種以上のガラスフィラーが全く同じガラス組成及び光学特性を有していることが好ましい。
次に、ガラスフィラーを球状化する場合において、その製造方法について説明する。
まず、ガラス原料を所定割合で調合して得られた原料バッチを1400〜1700℃で溶融して溶融ガラスを得る。次に、溶融ガラスを所定形状(例えば、フィルム状)に成形した後、粉砕、分級しガラス粉末を得る。粉砕方法としては、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル、振動ミル等が使用でき、湿式粉砕又は乾式粉砕を使用することができる。分級方法としては、網篩い、気流式分級装置等の公知の分級技術を用いることができる。
得られたガラス粉末を加熱溶融することにより球状化する。加熱溶融方法としては、ガラス粉末をテーブルフィーダー等で炉内へ供給し、空気バーナー等で1400〜2000℃に加熱し、溶融して、表面張力によりガラス粉末を球状化し、冷却、回収する方法が挙げられる。
次に、球状化したガラス粉末を所望の粒度分布になるように分級する。分級方法としては、網篩い、気流式分級装置等の公知の分級技術を用いることができる。
次に、本発明で使用する硬化性樹脂について説明する。
(硬化性樹脂)
硬化性樹脂は、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂の何れであってもよく、採用する造形法によって適宜選択することができる。例えば光造形法を使用する場合は液状の光硬化性樹脂を選択すればよく、また粉末焼結法を採用する場合は粉末状の熱硬化性樹脂を選択すればよい。
上記光硬化性樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、メラミン樹脂、(メタ)アクリル−スチレン共重合体、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、架橋(メタ)アクリル系樹脂、架橋ポリスチレン系樹脂、架橋ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。
上記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂、熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、熱硬化型ポリイミド系樹脂、ユリア系樹脂、アリル樹脂、ケイ素樹脂、ベンゾオキサジン系樹脂、フェノール系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、アルキド系樹脂、フラン系樹脂、メラミン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アニリン系樹脂等が挙げられる。
次に、立体造形物の製造方法の一例を説明する。具体的には、光硬化性樹脂を含む樹脂組成物を用いた立体造形物の製造方法について説明する。なお樹脂組成物は既述の通りであり、ここでは説明を省略する。
まず光硬化性樹脂組成物からなる1層の液状層を準備する。例えば液状の光硬化性樹脂組成物を満たした槽内に造形用ステージを設け、ステージ上面が液面から所望の深さ(例えば0.2mm程度)となるように位置させる。このようにすることで、ステージ上に液状層を準備することができる。
次に、この液状層に活性エネルギー線、例えば紫外線レーザーを照射して光硬化性樹脂を硬化させ、所定のパターンを有する硬化層を形成する。なお活性エネルギー線としては、紫外線の他に、可視光線、赤外線等のレーザー光を用いることができる。
続いて、形成した硬化層上に、光硬化性樹脂組成物からなる新たな液状層を準備する。例えば、前記した造形用ステージを1層分下降させることにより、硬化層上に光硬化性樹脂組成物を導入し、新たな液状層を準備することができる。
その後、硬化層上に準備した新たな液状層に活性エネルギー線を照射して、前記硬化層と連続した新たな硬化層を形成する。
以上の操作を繰り返すことによって硬化層を連続的に積層し、所定の立体造形物を得る。
以下、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
Figure 0006987355
Figure 0006987355
(第一のガラスフィラーの作製)
表1の組成となるように、原料粉末を調合し、均一に混合した。得られた原料バッチを1580〜1600℃で均質になるまで溶融した後、一対のローラー間に流し出してフィルム状に成形した。得られたガラスについて、屈折率測定器(島津製作所社製 KPR−2000)により屈折率を測定した。その後、ジェットミル粉砕を行い、ガラス粉末を得た。
得られたガラス粉末をテーブルフィーダーで炉内へ供給し、空気バーナーでガラス粉末を1400〜2000℃に加熱し、溶融して、ガラス粉末を球状化した。
次に、ガラス粉末表面に付着した微粒子を水で洗浄して取り除いた後、乾燥した。
次いで、球状化したガラス粉末を表2に記載の粒子径になるように気流式分級装置にて分級し、第一のガラスフィラーを得た。
(第二のガラスフィラーの作製)
表1の組成となるように、原料粉末を調合し、均一に混合した。得られた原料バッチを1580〜1600℃で均質になるまで溶融した後、一対のローラー間に流し出してフィルム状に成形した。その後ボールミル粉砕を行い破砕状のガラス粉末を得た。
次いで、得られたガラス粉末を表2に記載の粒子径になるように気流式分級装置にて分級し、第二のガラスフィラーを得た。
(シラン処理)
ビーカーに純水9g及びシランカップリング剤(信越化学社製 KBM−503)1gを混合した。さらに酢酸0.03gを添加し、スターラーを用いて30分撹拌し、シランカップリング剤を加水分解させた。
次に、別の容器に重量比で第一のガラスフィラー:エタノール:加水分解させたシランカップリング剤を20:19:1の割合で混合し、1時間撹拌した。
次に、アルコールを蒸発乾燥させ、さらに110℃で30分保持した。
同様の手順により第二のガラスフィラーについてもシラン処理を行った。
(樹脂組成物の作製)
((第一のガラスフィラーの重量)+(第二のガラスフィラーの重量))/((硬化性樹脂の重量)+(フュームドシリカの重量))が0.465となるよう軟膏蓋に秤量した。(フュームドシリカの重量)/((フュームドシリカの重量)+(硬化性樹脂の重量))及び(第二のガラスフィラーの重量)/((第一のガラスフィラーの重量)+(第二のガラスフィラーの重量))は表2に示す割合となるよう秤量した。さらに自公転ミキサー(シンキー社製 ARE−310)を用いて、第一のガラスフィラー、第二のガラスフィラー、フュームドシリカ及び硬化性樹脂を混合し、樹脂組成物を得た。なお、硬化性樹脂にはデジタルワックス社製 DL360を、フュームドシリカにはシグマアルドリッチ社製 フュームドシリカ(平均粒子径 7nm)を用いた。また、光硬化後の硬化性樹脂の屈折率はng:1.526、nF:1.521、nd:1.514、nC:1.511であった。
(透過率測定)
得られた樹脂組成物をスライドガラス上に適量採取し、厚さ0.5mmのガラス板をスペーサとしてもう一枚のスライドガラスで挟み、紫外線を照射して樹脂組成物を硬化させた。
次にスライドガラスを含めた樹脂組成物について、分光光度計(島津製作所製 UV−3100)により全光線透過率測定を行い、588nmにおける透過率を測定した。
(造形性評価)
15gの樹脂組成物をトレイに入れ、3Dプリンタ(デジタルワックス社製 028J)を用いて縦3mm×横4mm×高さ40mmの造形物を作製した。所定の高さの造形物が作製できたものについては「○」、造形途中で樹脂組成物が流動しなくなり、所定の高さの造形物が作製できなかったものは「×」とした。
(ガラスフィラーの沈降の評価)
得られた造形物の上から0〜5mmの部分(造形し始めの部分)及び35〜40mmの部分(造形終盤の部分)について断面をFE−SEM観察し、ガラスフィラーの数に差が認められなかったものを「○」、差が認められたものを「×」とした。
表2に示すように、実施例1〜3は、透過率が81%以上と高く、造形性も良好であり、ガラスフィラーの沈降も確認されなかった。一方、比較例1〜3は、フュームドシリカを含有していないため、ガラスフィラーが沈降していた。

Claims (8)

  1. フュームドシリカ、ガラスフィラー及び硬化性樹脂を含有し、
    前記ガラスフィラーが、ガラス組成として、質量%で、SiO 20〜70%、B 0〜50%、Nb 0.1〜20%、WO 0〜20%を含有することを特徴とする立体造形用樹脂組成物。
  2. 前記ガラスフィラーが、ガラス組成として、質量%で、SiO 20〜70%、B 0〜50%、Nb 0.1〜20%、WO 0.1〜20%を含有する請求項1に記載の立体造形用樹脂組成物。
  3. (フュームドシリカの重量)/((フュームドシリカの重量)+(硬化性樹脂の重量))が0.005〜0.015であることを特徴とする請求項1又は2に記載の立体造形用樹脂組成物。
  4. 前記ガラスフィラーは、屈折率ndが1.40〜1.65、アッベ数νdが、45〜60、であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の立体造形用樹脂組成物。
  5. ガラスフィラーが、ガラス組成として、質量%で、SiO 20〜70%、B 0〜50%、Nb 0.5〜15%、WO 0.5〜15%を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の立体造形用樹脂組成物。
  6. ガラスフィラーの平均粒子径が2〜20μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の立体造形用樹脂組成物。
  7. ガラスフィラーが、平均粒子径が2〜20μmである第一のガラスフィラー、及び、平均粒子径が(第一のガラスフィラーの平均粒子径−1μm)以下である第二のガラスフィラーを含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の立体造形用樹脂組成物。
  8. (第二のガラスフィラーの重量)/((第一のガラスフィラーの重量)+(第二のガラスフィラーの重量))が0.2〜0.6であることを特徴とする請求項7に記載の立体造形用樹脂組成物。
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