JP6984570B2 - 異常検出システム - Google Patents
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Description
本開示は、異常検出システムに関し、より特定的には、二次電池の異常を検出する異常検出システムに関する。
特開2002−8631号公報(特許文献1)には、二次電池の内部短絡を検出する短絡検出装置が開示されている。この短絡検出装置は、温度センサによって二次電池の内部温度を検出し、検出された内部温度と予め定められた基準値とを比較する。そして、短絡検出装置は、検出された内部温度が基準値よりも大きい場合には、二次電池に内部短絡が発生していることを検出する。
特許文献1に開示された短絡検出装置を用いれば、二次電池に内部短絡が発生していることを検出することができる。しかしながら、二次電池では、その製造過程において微小な異物が混入することに起因して、将来的に内部短絡が継続される状態に至る可能性がある小規模な短絡が発生する場合がある。このような短絡を以下では「微短絡」と称する。
微短絡が発生したときの二次電池の内部温度の変化量は、内部短絡が継続的に発生しているときの二次電池の内部温度の変化量よりも小さい。そのため、温度センサにより取得した二次電池の内部温度と、内部短絡の発生を検出するための基準値とを比較しても、二次電池の微短絡を検出することができない可能性がある。つまり、二次電池の異常を高精度に検出することができない可能性がある。
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、二次電池に発生した異常(微短絡)を高精度に検出することである。
本開示のある局面に従う異常検出システムは、組電池と、複数の熱流束センサと、異常検出装置とを備える。組電池は、対称面に関して面対称となる位置に配列された複数の二次電池を含む。複数の熱流束センサは、複数の二次電池に対応して設けられる。異常検出装置は、複数の熱流束センサにより取得された熱流束に基づいて、組電池に発生した異常(微短絡)を検出する。複数の熱流束センサは、第1および第2の熱流束センサを含む。第1および第2の熱流束センサは、対称面に関して互いに面対称となるように配置され、各々が複数の二次電池のうちの対応する二次電池の熱流束を取得する。異常検出装置は、第1および第2の条件のうちの少なくとも一方が成立した場合に、組電池に異常が発生したと判定する。第1の条件は、第1の熱流束センサにより取得された熱流束の大きさと第2の熱流束センサにより取得された熱流束の大きさとの比が1を含む基準範囲の外であるとの条件である。第2の条件は、第1の熱流束センサが配置された位置と第2の熱流束センサが配置された位置との間で熱流束の向きが同じであるとの条件である。
上記構成によれば、対称面に関して互いに面対称となる位置に配置された一対の熱流束センサ(第1および第2の熱流束センサ)を用いて、熱流束の大きさが比較されるとともに、熱流束の向きが比較される。詳細は後述(図4および図5参照)するが、組電池の対称性および組電池における熱の流れ(発熱または放熱)を考慮すると、組電池が正常である場合には、一対の熱流束センサにより検出される熱流束の大きさがほぼ等しくなる(基準範囲内になる)とともに、熱流束の向きが逆になる。つまり、第1および第2の条件がいずれも不成立である。したがって、それ以外の場合、すなわち、第1および第2の条件の少なくとも一方が成立する場合には、二次電池に発生した異常が発生したと判定することができる。これにより、温度センサでは検出困難であった微短絡の発生を高精度に検出することができる。
本開示によれば、二次電池に発生した異常を高精度に検出することができる。
以下、本実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
以下に説明する本実施の形態に係る異常検出システムは、車両に搭載される。しかし、本実施の形態に係る異常検出システムの用途はこれに限定されず、たとえば、組電池が製造された後の検査工程における組電池の異常判定に用いることも可能である。
[実施の形態]
<システム構成>
図1は、本実施の形態に係る異常検出システムが搭載された車両の全体構成を概略的に示す図である。図1を参照して、車両9は、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車または燃料電池車である。車両9は、システムメインリレー(System Main Relay)91と、パワーコントロールユニット(PCU:Power Control Unit)92と、モータジェネレータ(MG:Motor Generator)93と、駆動輪94と、異常検出システム10とを備える。異常検出システム10は、組電池1と、熱流束センサ群2と、ECU(Electronic Control Unit)3とを備える。
<システム構成>
図1は、本実施の形態に係る異常検出システムが搭載された車両の全体構成を概略的に示す図である。図1を参照して、車両9は、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車または燃料電池車である。車両9は、システムメインリレー(System Main Relay)91と、パワーコントロールユニット(PCU:Power Control Unit)92と、モータジェネレータ(MG:Motor Generator)93と、駆動輪94と、異常検出システム10とを備える。異常検出システム10は、組電池1と、熱流束センサ群2と、ECU(Electronic Control Unit)3とを備える。
システムメインリレー91は、組電池1とPCU92との間に電気的に接続されている。システムメインリレー91の開閉状態は、ECU3からの制御信号に従って切り替えられる。PCU92は、組電池1からの電力によりモータジェネレータ93を駆動するための電力変換装置である。PCU92は、たとえば、モータジェネレータ93を駆動するためのインバータと、組電池1からの供給電力を昇圧してインバータへ供給するコンバータとを含んで構成される。モータジェネレータ93は、交流回転電機であり、たとえば永久磁石が埋設されたロータを備える永久磁石型同期電動機である。
組電池1は、複数のセル(二次電池)を含む。本実施の形態において、複数のセルの各々は、リチウムイオン二次電池である。しかし、セルの種類は特に限定されず、各セルは、たとえばニッケル水素電池であってもよい。
熱流束センサ群2は、複数の熱流束センサを含む。熱流束センサ群2は、設置箇所における熱流束QBを検出し、その検出結果を示す信号をECU3に出力する。図示しないが、各熱流束センサは、2つの感熱素子(薄膜サーミスタ)を含んで構成されている。熱流束センサの熱伝導率をCと表し、熱流束センサの厚み(y軸方向)をdと表し、2つの感熱素子間の温度差をΔT0と表す場合、これらのパラメータと熱流束QBとの間には、QB=C/d×ΔT0との関係が成立する。熱伝導率Cおよび厚みdは熱流束センサの仕様値から既知であるため、温度差ΔT0の検出値から熱流束QBを算出することができる。組電池1および熱流束センサ群2の詳細な構成については後述する。
ECU3は、CPU(Central Processing Unit)31と、メモリ(より具体的にはROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory))32と、各種信号を入出力するための入出力ポート(図示せず)とを含んで構成される。ECU3は、各センサおよび機器からの信号ならびにメモリ32に格納されたプログラムに基づいて、各機器の制御を行なう。本実施の形態においてECU3により実行される主要な処理として、「微短絡検出処理」が挙げられる。この処理については後に詳細に説明する。なお、ECU3は、本開示に係る「異常検出装置」にする。
<微短絡の発生>
組電池1に含まれる各セルにおいては、内部短絡が継続される状態には至っていないが、将来的に内部短絡が継続される状態に至る可能性のある小規模な短絡である「微短絡」が発生する場合がある。微短絡が発生する要因の一例としては、たとえば、製造過程で混入した微小な異物が、負極の表面に析出することがあげられる。詳細には、たとえば、正極とセパレータとの間に異物が混入した場合に、この異物は、正極と接することになる。正極の電位は、異物を電解液に電気化学的に溶解させる駆動力となる。これにより、電解液に溶解した異物は、電気泳動により負極へ移動し、負極に到達した異物が負極の表面に析出する。この析出した異物が微短絡の原因となり得る。
組電池1に含まれる各セルにおいては、内部短絡が継続される状態には至っていないが、将来的に内部短絡が継続される状態に至る可能性のある小規模な短絡である「微短絡」が発生する場合がある。微短絡が発生する要因の一例としては、たとえば、製造過程で混入した微小な異物が、負極の表面に析出することがあげられる。詳細には、たとえば、正極とセパレータとの間に異物が混入した場合に、この異物は、正極と接することになる。正極の電位は、異物を電解液に電気化学的に溶解させる駆動力となる。これにより、電解液に溶解した異物は、電気泳動により負極へ移動し、負極に到達した異物が負極の表面に析出する。この析出した異物が微短絡の原因となり得る。
図2は、微短絡のメカニズムを説明するための概念図である。図2(a)は、負極の表面に異物が析出している状態を示す。この異物は、時間の経過とともに肥大化し、セパレータ(図示せず)を貫通して正極に達する。そうすると、異物に短絡電流が流れる(図2(b)参照)。異物が小さい場合には、短絡電流によって当該異物が焼き切れて短絡状態が解消される(図2(c)参照)。このように、異物のサイズによっては、微短絡が発生しても、その状態が解消される可能性がある。したがって、自己放電量を判定する従来の方法では、微短絡を高精度に検出することができない可能性がある。
また、温度センサによりセルの温度を計測して、セルの異常発熱を検出することにより微短絡を検出することも考えられる。しかしながら、微短絡が発生したときのセル内部の温度変化量は、内部短絡が継続して発生しているときのセル内部の温度変化量よりも小さい。よって、温度センサを用いても、微短絡の発生によるセルの微小な温度変化を高精度に検出できない可能性がある。そこで、本実施の形態においては、熱流束センサが用いられる。
図3は、本実施の形態における組電池1および熱流束センサ群2の構成を説明するための分解斜視図である。図3に示す例では、組電池1は、12個のセル101〜112を含む。熱流束センサ群2は、11個の熱流束センサ201〜211を含む。
セル101〜112は、配列方向Aに沿って、対称面Lに関して面対称となるように配列されている。より詳細には、セル101とセル112とは、対称面Lに関して互いに面対称である。セル102とセル111とは、対称面Lに関して互いに面対称である。残りのセル103〜110についても同様である。
なお、分解斜視図である図3では、あるセルと、そのセルと隣接する他のセルとの間が隔てられたように記載されているが、これは理解を容易にするためのものであり、実際には、上記2つのセルは互いに近接して配置されている。
熱流束センサ201は、セル101とセル102との間に設けられている。熱流束センサ202は、セル102とセル103との間に設けられている。残りの熱流束センサ203〜211についても同様である。
以上の構成とすることにより、熱流束センサ201と熱流束センサ211とは、対称面Lに関して互いに面対称となる位置に配置されている。熱流束センサ202と熱流束センサ210とは、対称面Lに関して互いに面対称となる位置に配置されている。残りの熱流束センサ203〜209についても同様である。
以下では、対称面Lに関して互いに面対称となる位置に配置された一対の熱流束センサ202と熱流束センサ210とを用いて組電池1の異常を検出する例について説明する。なお、この例では、熱流束センサ202,210のうちの一方が本開示に係る「第1の熱流束センサ」に相当し、他方が本開示に係る「第2の熱流束センサ」に相当する。
ECU3は、熱流束センサ202による熱流束の検出結果および熱流束センサ210による熱流束の検出結果に基づいて、「第1の条件」が成立しているかを判定するとともに「第2の条件」が成立しているか否かを判定する。以下、組電池1が正常な状態と組電池1の異常(微短絡)が発生した状態とを比較しながら、第1および第2の条件について説明する。
一般に、組電池は、その充放電に伴って発熱する。また、組電池は、組電池の外部温度(環境温度)が組電池の温度よりも高温である場合には加熱され(温度上昇し)、組電池の外部温度が組電池の温度よりも低温である場合には冷却される(温度低下する)。そして、組電池の外側に配置されたセルほど放熱しやすい一方で、組電池の内側に配置されたセルでは熱がこもりやすい。ここでは、たとえば組電池が発熱しており、組電池の外部温度が組電池の温度よりも低温である場合を想定する。
図4は、組電池1の正常時における熱流束の一例を概念的に示す図である。組電池1においては、前述のように、対称面Lに関して面対称となる位置に12個のセルが配置されている。そのため、組電池1が正常である場合(組電池1に含まれるすべてのセル101〜112が正常である場合)、図4に示すように、組電池1の中心(対称面Lの位置)の温度が最も高く、組電池1の中心から離れるに従って温度が低くなる。すなわち、組電池1に含まれるセル101〜112のうち、組電池1の中心近傍に配置されたセル106,107の温度が最も高く、セル106,107から遠くなるに従って温度が低くなり、両端に配置されたセル101,112の温度が最も低くなる。
図4(および後述する図5)では、組電池1の内部における熱流束が矢印により示されている。熱流束センサを用いると、熱流束の大きさに加えて、熱流束の向きを検出することができる。このように、熱流束センサは、いわばベクトル量を検出可能なセンサである。
組電池1が正常である場合、熱流束センサ202により取得される熱流束の大きさ|QB2|と、熱流束センサ210により取得される熱流束|QB10|の大きさとは、ほぼ等しい(|QB2|≒|QB10|)。|QB2|と|QB10|とが完全に一致するとは必ずしも限らないものの、|QB2|と|QB10|との比(|QB2|/|QB10|)は、十分に1に近くなる。したがって、1を含む所定の数値範囲(たとえば0.8以上かつ1.2以下の範囲)を基準範囲Rと定義すると、|QB2|と|QB10|との比は、基準範囲R内になると言える。
さらに、熱流束センサ202が配置された位置における熱流束QB2の向きは、組電池1の内側から外側に向かう向きであり、図中では右から左へと向かう向きである。これに対し、熱流束センサ210が配置された位置における熱流束QB10の向きは、同様に組電池1の内側から外側に向かう向きであるものの、図中、左から右へと向かう向きである。このように、熱流束QB2の向きと熱流束QB10の向きとは、逆になる。
図5は、組電池1の異常(微短絡)発生時における熱流束の一例を概念的に示す図である。この例では、セル102において微短絡が発生しており、それに起因するセル102の発熱が起こっているものとする。
この場合、熱流束センサ202により取得される熱流束の大きさ|QB2|は、熱流束センサ210により取得される熱流束|QB10|の大きさよりも有意に大きくなる(|QB2|>|QB10|)。つまり、|QB2|と|QB10|との比(=|QB2|/|QB10|)は、1よりも有意に大きくなり(上記の例では1.2よりも大きくなり)、基準範囲Rの外になる。
また、熱流束センサ202が配置された位置における熱流束QB2の向きは、セル102から遠ざかる向きであり、図中では左から右へと向かう向きである。一方、熱流束センサ210が配置された位置における熱流束QB10の向きは、組電池1の正常時と同様に、図中、左から右へと向かう向きである。したがって、熱流束QB2の向きと熱流束QB10の向きとは、同じになる。つまり、熱流束センサ202が配置された位置と熱流束センサ210が配置された位置との間で熱流束の向きが同じになる。
このような考察に基づき、本実施の形態においては、熱流束QB2の大きさ|QB2|と熱流束QB10の大きさ|QB10|との比(=|QB2|/|QB10|)が基準範囲R内であるか否かに関する条件を「第1の条件」と呼ぶ。また、熱流束QB2の向きと熱流束QB10の向きとが逆であるか否かに関する条件を「第2の条件」と呼ぶ。
図4および図5にて説明した例によれば、第1の条件は、組電池1の正常時には成立する一方で、組電池1の微短絡(セル102の微短絡)発生時には不成立である。また、第2の条件は、組電池1の正常時には成立する一方で、組電池1の微短絡発生時には不成立である。このように、対称面Lに関して互いに面対称となるように配置された一対の熱流束センサ202,210を用いた第1および第2の条件の成否に応じて、組電池1が正常であるか微短絡が発生しているかを判定することができる。
<微短絡検出処理フロー>
図6は、異常検出システム10における組電池1の微短絡検出処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される各ステップは、所定条件(具体的には、組電池1に冷却機構が設けられている場合には当該冷却機構が停止しているとの条件)が成立している場合に、異常検出システム10のECU3により繰り返し実行される。このフローチャートの各ステップ(以下、ステップを「S」と略す))は、ECU3によるソフトウェア処理によって実現されるが、その一部または全部がECU3内に作製されたハードウェア(電気回路)によって実現されてもよい。なお、上記所定条件は、冷却機構が動作していると熱流束センサの特性上、十分な検出精度が得られないため、設けられたものである。
図6は、異常検出システム10における組電池1の微短絡検出処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される各ステップは、所定条件(具体的には、組電池1に冷却機構が設けられている場合には当該冷却機構が停止しているとの条件)が成立している場合に、異常検出システム10のECU3により繰り返し実行される。このフローチャートの各ステップ(以下、ステップを「S」と略す))は、ECU3によるソフトウェア処理によって実現されるが、その一部または全部がECU3内に作製されたハードウェア(電気回路)によって実現されてもよい。なお、上記所定条件は、冷却機構が動作していると熱流束センサの特性上、十分な検出精度が得られないため、設けられたものである。
このフローチャートの実行開始時には、自然数であるパラメータkが初期化され、1であるとする。Nは、組電池1に含まれるセル数(図3〜図5の例ではN=12)である。
図3および図6を参照して、S1において、ECU3は、対称面Lに関して互いに面対称となるように配置された一対の熱流束センサ(たとえば熱流束センサ201,211)から、熱流束QBk,QB(N−k)の大きさおよび向きの両方を取得する。
S2において、ECU3は、S1において取得された熱流束QBk,QB(N−k)の大きさに基づき、第1の条件が満たされているか否かを判定する。具体的には、ECU3は、熱流束QBkの大きさ|QBk|と熱流束QB(N−k)の大きさ|QB(N−k)|との比(=|QBk|/|QB(N−k)|)が基準範囲R内であるか否かを判定する。比(|QBk|/|QB(N−k)|)が基準範囲R外である場合(S2においてNO)、ECU3は、微短絡が生じていることを示す異常フラグをオンに設定する(S4)。
一方、上記比(|QBk|/|QB(N−k)|)が基準範囲R内である場合(S2においてYES)、ECU3は、処理をS3に進め、S1において取得された熱流束QBk,QB(N−k)の向きに基づき、第2の条件が満たされているか否かを判定する。熱流束QBkの向きと熱流束QB(N−k)の向きとが同じである場合(S3においてNO)、ECU3は、異常フラグをオンに設定する(S4)。なお、S4の処理の後には、処理はS5に進められる。
S3において熱流束QBkの向きと熱流束QB(N−k)の向きとが逆である場合(S3においてYES)、ECU3は、処理をS5に進める。S5において、ECU3は、対称面Lに関して互いに面対称となる位置に配置された熱流束センサの対のすべてについて、第1および第2の条件の成否が判定されたか否かを判定する。
熱流束センサの対のすべてについて第1および第2の条件の成否の判定が完了していない場合(S5においてNO)には、ECU3は、パラメータkを1だけインクリメントし(S6)、処理をS1に戻す。これにより、熱流束センサの次の対(たとえば熱流束センサ202,210)について、第1および第2の条件の成否が判定されることとなる。熱流束センサの対のすべてについての判定が完了すると(S5においてYES)、ECU3は、処理をS7に進める。
S7において、ECU3は、熱流束センサの対のすべてについての判定が行なわれる間に異常フラグがオンに設定されたか否かを判定する。少なくとも一対の熱流束センサについての判定の結果、異常フラグがオンに設定されている場合(S7においてYES)、ECU3は、ユーザに警告するための警告ランプを点灯させる(S8)。ただし、警告手法は特に限定されるものではなく、微短絡が発生したことを示すメッセージをディスプレイ(図示せず)に表示してもよいし、微短絡が発生したことを示すダイアグを発生させてもよい。その後、ECU3は、処理をメインルーチンに戻す。
一方、熱流束センサのいずれの対においても異常フラグがオンに設定されることがなかった場合(S7においてNO)、ECU3は、S8の処理をスキップして処理をメインルーチンに戻す。
以上のように、本実施の形態における組電池1の微短絡検出処理によれば、対称面Lに関して互いに面対称となるように配置された一対の熱流束センサを用いて、熱流束の大きさが比較されるとともに、熱流束の向きが比較される。一対の熱流束センサによる熱流束の検出結果において、熱流束の大きさ同士が一致しなかった場合(基準範囲R外であった場合)、あるいは、熱流束の向きが逆向きにならなかった場合に、その一対の熱流束センサが設けられたいずれかのセルにおいて微短絡が発生したと判定される。このように、組電池1に含まれる配置の対称性に着目し、温度センサに代えて、熱流束センサにより検出される2つのパラメータ(熱流束の大きさおよび向き)を用いることで、微短絡の発生を検出することができる。
また、本実施の形態における組電池1の微短絡検出処理では、自己放電量を判定する従来の手法(電圧降下法)とは異なり、組電池1(セル101〜112)の充放電を行なわなくてもよい。そのため、電圧降下法では微短絡の検出に1日〜数日を要していたのに対し、本実施の形態によれば、微短絡の検出時間を数秒レベルにまで大幅に短縮することができる。
[変形例]
実施の形態(図3〜図5参照)では、互いに隣接する2つのセル間のすべてに熱流束センサが設けられる構成について説明した。この構成では、微短絡の検出精度が最も高くなる一方で、熱流束センサの設置数が多くなり、部材コストが掛かる。本変形においては、熱流束センサの設置数を削減する構成について説明する。
実施の形態(図3〜図5参照)では、互いに隣接する2つのセル間のすべてに熱流束センサが設けられる構成について説明した。この構成では、微短絡の検出精度が最も高くなる一方で、熱流束センサの設置数が多くなり、部材コストが掛かる。本変形においては、熱流束センサの設置数を削減する構成について説明する。
図7は、変形例における組電池1および熱流束センサ群2の構成を説明するための分解斜視図である。図7を参照して、組電池1は、前述した実施の形態と同様に、12個のセル101〜112を含む。一方、熱流束センサ群2は、実施の形態では11個の熱流束センサ201〜211を含むのに対し、本変形例では6個の熱流束センサ221〜226を含む。
熱流束センサ221は、セル101とセル102との間に設けられている。熱流束センサ222は、セル103とセル104との間に設けられている。熱流束センサ223は、セル105とセル106との間に設けられている。熱流束センサ224は、セル107とセル108との間に設けられている。熱流束センサ225は、セル109とセル110との間に設けられている。熱流束センサ226は、セル111とセル112との間に設けられている。
図7を図3と対比すると、セル102とセル103との間、セル104とセル105との間、セル106とセル107との間、セル108とセル109との間、および、セル110とセル111との間には、熱流束センサが設けられていないことが分かる。このように、熱流束センサの設置数を削減することにより、部材コストを低減することができる。それに加えて、図7に示した構成においても、車載用途に要求される微短絡の検出精度を達成することが可能である。本発明者による実証実験の結果によれば、実施の形態とほぼ同レベルの微短絡の検出精度を達成することができた。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 異常検出システム、1 組電池、101〜112 セル、2 熱流束センサ群、201〜212,221〜226 熱流束センサ、3 ECU、31 CPU、32 メモリ、9 車両、91 システムメインリレー、92 PCU、93 モータジェネレータ、94 駆動輪。
Claims (1)
- 対称面に関して面対称となるように配列された複数の二次電池を含む組電池と、
前記複数の二次電池に対応して設けられた複数の熱流束センサと、
前記複数の熱流束センサにより取得された熱流束に基づいて、前記組電池に発生した異常を検出する異常検出装置とを備え、
前記複数の熱流束センサは、前記対称面に関して互いに面対称となる位置に配置され、各々が前記複数の二次電池のうちの対応する二次電池の熱流束を取得する第1および第2の熱流束センサを含み、
前記異常検出装置は、第1および第2の条件のうちの少なくとも一方が成立した場合に、前記組電池に異常が発生したと判定し、
前記第1の条件は、前記第1の熱流束センサにより取得された熱流束の大きさと前記第2の熱流束センサにより取得された熱流束の大きさとの比が1を含む基準範囲の外であるとの条件であり、
前記第2の条件は、前記第1の熱流束センサが配置された位置と前記第2の熱流束センサが配置された位置との間で熱流束の向きが同じであるとの条件である、異常検出システム。
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JP2018176997A JP6984570B2 (ja) | 2018-09-21 | 2018-09-21 | 異常検出システム |
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