JP6982616B2 - 細菌の葉酸輸送の減弱による細菌毒性の弱毒化 - Google Patents
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Description
これまでに発明者らは相補性試験法を使用して、ワクチン候補として作用し得る新規の毒性因子を同定した。この試験法を使用して、感染後の仔ブタにおいて重度の毒素性ショック様症候群を引き起こし、感染後24時間以内に死に至らせる[14]、強毒性ブタ連鎖球菌単離株(S735−pCOM1−V[10])を生成した。毒性血清型2単離株(菌株10)由来のランダムにクローン化されたゲノムDNA断片を有する約30,000種の貯蔵したクローンから単離したプラスミドDNAによる形質転換の後、S735−pCOM1−V[10]を弱毒性血清型2単離株(S735)で生成したクローンのライブラリから選定した。菌株10由来のゲノム断片のプラスミドライブラリを含む菌株S735を仔ブタに感染させることにより、毒性が高まった単離株を選定した。感染した仔ブタから単離した1つの流行性クローンは、V[10]と名付けた菌株10由来のゲノム断片3kbを含んでおり、後続の動物実験において強毒性であると実証された。V[10]は、不完全なオープンリーディングフレーム(ORF)、続いて、オペロン構造ならびに第2の不完全なORF中に2つの遺伝子(orf2およびfolC)を含んでいた。全長ORFのみが、この単離株の強毒性に寄与し得ると仮定して、発明者らはorf2−folC−オペロンの特性をさらに明らかにした。オペロン中の第1のORFは、アノテーションすることができず、ポリホリルポリグルタミン酸シンターゼ(FolC)をコードする遺伝子に対して相同性を示すオペロン中の第2のORFとしてorf2と名付けた。このオペロンは、親菌株S735を含む、すべてのブタ連鎖球菌血清型に存在した。毒性の低い菌株S735は、菌株10と比較してorf2−folCおよび非コード領域中にいくつかの一塩基多型(SNP)を含んでいた。毒性が高まったオペロンの両遺伝子は、推定毒性因子である可能性があり、そうである場合、推定ワクチン候補となり得る。ここで発明者らは、1)orf2−folC−オペロンの強毒性がorf2によって、もしくはfolCによって、またはその両方によって起こるのかどうか、および2)orf2−folC−オペロンのプロモーター領域における一塩基多型の毒性に対する作用を検討した。
細菌株およびプラスミド
ブタ連鎖球菌をTodd−Hewitt培地(Oxoid製、London、United Kingdom)で培養し、6%(vol/vol)のウマ血液を含むColumbia血液ベース寒天プレート(Oxoid製)上に播種した。大腸菌をLuria Brothで培養し、1.5%(wt/vol)の寒天を含むLuria Broth上に播種した。必要に応じて、エリスロマイシンをブタ連鎖球菌に1μg ml-1、大腸菌に200μg ml-1加えた。この試験において使用する、菌株10由来のゲノム断片(S735−pCOM1−V[10])3kbを含むプラスミドで補完したブタ連鎖球菌株S735、および他のブタ連鎖球菌は、これまでに説明している[14](図1)。
菌株10由来のオペロンの推定プロモーター領域が先行する、V[10]オペロン中の2つのORF(すなわちorf2[10]またはfolC[10])のうちの1つを含むプラスミドpCOM1で、またはorf2およびS735由来の同族の上流プロモーター(orf2[S735])を含むプラスミドpCOM1でS735を補完した(図1)。このようなプラスミドを構築するために、制限部位を有するプライマーをorf2[10]もしくはorf2[S735](comE1〜comE2)、folC[10](comE4〜comE6)またはオペロンのプロモーター領域(comE1〜comE3)を増幅するように設計した(表1)。得られたPCR産物orf2[10]およびorf2[S735]を制限酵素SacIおよびBamHIを使用して分解し、pKUN19[15]にクローン化し、同制限酵素で分解し、続いてpCOM1にクローン化して、それぞれpCOM1−orf2[10]およびpCOM1−orf2[S735]を得た。folC[10]のPCRアンプリコンを制限酵素SmaIおよびBamHIを使用して分解し、同制限酵素で切断されるpKUN19にクローン化した。V[10]のプロモーター領域を含むPCR産物を制限酵素SacIおよびSmaIを使用してfolC[10]の前でクローン化した。続いて、プロモーターV[10]−folC[10]の完全な断片をSacIおよびBamHIを使用してpKUN19から分解し、同制限酵素で切断されるpCOM1にクローン化して、pCOM1−folC[10]を得た。プロモーター−folC[10]の融合産物が転写されたことを確認するために、35S−メチオニンを使用してin vitro転写/翻訳を実施した。FolCの分子量(46.8kDa)の明白なバンドが検出され、融合産物が発現し、翻訳され得ることを実証した(図2)。すべてのプラスミドをエレクトロポレーションによりブタ連鎖球菌株S735に導入した。さらに、pCOM1−V[10]をエレクトロポレーションにより無毒性血清型2菌株T15に導入してT15−pCOM1−V[10]を得た。
帝王切開で誕生した無菌仔ブタの実験感染を既報のように[14]実施した。感染前に、6%のウマ血液を含むColumbia寒天プレート上に扁桃腺のスワブを播種することにより仔ブタの無菌状態を確認した。簡潔には、1週齢の無菌ブタ4または5匹を106コロニー形成単位(CFU)のブタ連鎖球菌に静脈内投与により感染させ、次いで、40mg kg-1体重のエリスロマイシン(エリスロマイシン−ステアリン酸塩、Abbott B.V.製、Amstelveen、The Netherlands)を1日2回、直ちに経口投与して、pCOMプラスミドを有するブタ連鎖球菌単離株に対する選択圧を保った。感染したブタを1日2回、臨床徴候および細菌学的分析のために採取した扁桃腺スワブについてモニターした。ブタ連鎖球菌による感染の後、関節炎、髄膜炎、または敗血症の臨床徴候が見られた場合、ブタを安楽死させた。CNS、漿膜および関節の組織試料を剖検の間に採取し、均質化し、6%のウマ血液および1μg ml-1のエリスロマイシンを含むColumbia寒天プレート上に段階希釈物を播種することにより細菌細胞数を定量した。本明細書に含まれる種々の動物実験からの結果を比較可能とするために、非特異的および特異的症状の一律の採点法をすべての動物実験に適用した。非特異的症状は、食欲不振および鬱を含んでおり、これは0(無)、0.5(軽度の食欲不振/鬱)または1(重度の食欲不振/鬱)で採点された。特異的症状には、これらはすべて敗血症または漿膜炎の症状であるため、跛行、中枢神経系(CNS)症状(循環動作すなわち円を描いて歩行すること、後弓反張、眼振のような運動性障害)ならびに逆毛、円背(脊柱後湾症)および震えが含まれた。このような観察結果に基づいて、特異的または非特異的症状のいずれかが見られた観察結果の数を、このパラメータについての観察結果の総数で割ることにより臨床的指標を算出した。これは、特異的または非特異的症状のいずれかが見られた観察結果の割合を示す。「発熱指標(Fever Index)」に同様の方法を採用した。発熱は、体温>40℃と定義した。「平均致死日数」を生存パラメータとして使用した。人道的エンドポイント(HEP)に達した後、動物を安楽死させたが、接種からHEP到達までの期間は、感染の重症度を同様に意味している。これは、接種から致死までの日数の生存率を平均することにより算出する。
4週齢の仔ブタ10匹を動物5匹の2群としてCVI動物施設で飼育した。仔ブタは、餌および清浄水を自由に得ることができた。温暖な光および遊具を与えられた動物が実験を通して利用可能であった。実験の開始前に仔ブタの扁桃腺スワブをPCRによりブタ連鎖球菌血清型2のコロニー形成に関してスクリーニングした。PCR陰性仔ブタのみが実験の対象となった。10日後、1.1×106CFUの野生型菌株10または9.2×105CFUの変異株10ΔfolTのいずれかに、頸静脈からの静脈内投与により動物を感染させた。感染前に仔ブタの基礎体温を3日の期間毎日モニターした。感染前にEDTA血液を採取して感染前血漿試料、ならびに白血球(WBC)数の基礎レベルを得た。感染したブタを1日3回、午後8時、午前3時および午前9時に臨床徴候についてモニターした。非特異的症状には、食欲不振および鬱が含まれ、一方、特異的症状には、跛行、中枢神経系(CNS)症状(循環動作すなわち円を描いて歩行すること、後弓反張(opistotonus)、眼振のような運動性障害)ならびに逆毛、円背(脊柱後湾症)および震えが含まれ、これらはすべて敗血症または漿膜炎の症状であった。扁桃腺および糞便スワブを毎日、細菌学的分析のために採取した。血液を毎日、細菌学的分析、WBC計数および血漿採取のために採取した。ブタ連鎖球菌による感染の後、関節炎、髄膜炎、または敗血症の臨床徴候が見られた場合、ブタを安楽死させた。剖検では、内臓(腎臓、肝臓、脾臓、腹膜および心膜)を6%のウマ血液を含むColumbia寒天プレート上に播種することによりブタ連鎖球菌について細菌学的にスクリーニングした。化膿性関節炎、心膜炎または腹膜炎のようなブタ連鎖球菌に肉眼的に感染している臓器を段階希釈で播種して細菌量を測定した。このような臓器の組織試料を組織学的検査のためにホルマリン中に固定した。動物実験は、Wageningen UR、Lelystad、The NetherlandsのCentral Veterinary Instituteの倫理委員会により動物実験に関するオランダ法規(#2014011)に従って承認された。
第2の実験では、約3週齢の仔ブタ(市販の交配種)を使用した。仔ブタは、ブタ連鎖球菌に対してワクチン接種されておらず、PRRSV陰性群に由来しており、薬物混入飼料を一度も与えておらず、登録時、ブタ連鎖球菌血清型2についてPCRにより扁桃腺スワブ陰性であった。処置群(各仔ブタ10匹)を別々に飼育した。動物に3.48E+07CFUの野生型菌株10または1.45E+07の変異株10ΔfolTのいずれかを静脈内投与により接種した。1日1回、ブタ連鎖球菌関連疾患の臨床徴候(例えば、体温の上昇、跛行、および行動の変化)について7日間、動物を観察した。人道的エンドポイントに達した臨床徴候(例えば、CNS徴候、衰弱性跛行)を示す任意の動物を安楽死させて苦痛を最小限とした。安楽死させた動物を剖検して、ブタ連鎖球菌疾患と典型的に関連する病変を同定した。観察期間の終了まで生存した動物を同様に安楽死させ、剖検した。
市販の交配ブタにおいて試験を実施した。第1のワクチン接種日時点でブタは21±7日齢であった。動物は、ブタ連鎖球菌に対してワクチン接種されたことがなく、ブタ連鎖球菌血清型2についてPCRにより扁桃腺スワブ陰性であり、血清学的検査によりPRRSV陰性であり、ブタ連鎖球菌血清型2についてPCRにより扁桃腺スワブ陰性であった雌のブタに由来した。試験群、ワクチン接種経路および用量、ワクチン接種の日数、ならびに曝露の日程および経路を表6に列挙する。使用した培地を表7に記載する。
34日目に、血液および扁桃腺のスワブをすべての動物から採取し、次いで、厳格対照動物は別の区域に移し、一方、他のすべての群は混合した。35日目に、約2×109CFUの毒性ブタ連鎖球菌血清型2単離株を腹腔内(ip)投与により動物に曝露した。
ワクチンおよびプラセボの調製について表7に記載する。
曝露物質の調製について表8に記載する。
ブタ連鎖球菌ΔFolT変異株のワクチン接種により、致死した動物または曝露後観察期間に動物福祉のため安楽死させる必要があった動物の数が減少した(表9および図16参照)。さらに、ΔFolTのワクチン接種により、重度の跛行の所見(すなわち、立つことができない、または立ち上がろうとしない動物の数)、ならびに周囲に無関心であるように非常に制限される状態を動物が示す、アパシーの所見が減少した(表10および表11参照)。
剖検の間、フィブリンおよび/または髄液の存在により示される脳の炎症の徴候が、ΔFolTワクチン接種動物において、陰性対照と比較して少ない頻度で見られた(表12参照)。
ΔFolT菌株をワクチン接種した動物より剖検で採取した脳および関節のスワブから、ブタ連鎖球菌曝露単離株は、陰性対照と比較して少ない頻度で回収された(表13および表14参照)。
第1のワクチン接種日の時点で21+/−5日齢の市販の交配ブタにおいて試験を行った。動物は、ブタ連鎖球菌に対してワクチン接種されたことがなく、ブタ連鎖球菌血清型2についてPCRにより扁桃腺スワブ陰性であり、血清学的検査によりPRRSV陰性であり、ブタ連鎖球菌血清型2についてPCRにより扁桃腺スワブ陰性であった雌のブタに由来した。試験群、試験開始時点の動物/群の数、ワクチン接種用量、ワクチン接種の日数、ワクチン接種経路、曝露の日程および曝露経路を表15に記載する。
35日目に、血液および扁桃腺のスワブをすべての動物から採取し、厳格対照動物を安楽死させた。36日目に、約2×109CFUの毒性ブタ連鎖球菌血清型2単離株を腹腔内投与により動物に曝露した。
ワクチンおよびプラセボの調製について表16に記載する。曝露物質の調製について表17に記載する。
ブタ連鎖球菌FolT変異株により、跛行を示す動物の数、曝露後、異常行動(すなわち鬱、昏睡)を示す動物の数ならびに致死した動物または曝露後観察期間に動物福祉のため安楽死させる必要があった動物の数が減少した(表18、表19および表20ならびに図17参照)。
オフテスト(すなわち曝露後7日目または致死もしくは安楽死による試験からの解除時)では、脳における異常所見(すなわちフィブリン、髄液)ならびに胸腔における異常所見(すなわちフィブリン、胸水、肺うっ血、肺炎)について動物を観察した。さらに、ブタ連鎖球菌の回収のために脳から試料を採取した。結果を表21、表22および表23に列挙する。
RT−PCR
200ngのRNAを使用して、25ng μl-1のランダムプライマー(Promega製、Madison、WI、USA)、10mMのdNTP(Promega製)、10mMのDTT(Invitrogen製)、40UのRNAsin(Promega製)およびSuperScriptII逆転写酵素(Invitrogen製)を使用する反応において製造者の説明書に従ってcDNAを合成した。
qPCR
qPCR解析用にcDNAを20倍に希釈した。PrimerExpressソフトウェア(Applied Biosystems製、Foster City、CA、USA)を使用してプライマーを設計した(表1)。各反応では、12.5pmolのフォワードプライマー、12.5pmolのリバースプライマーおよびPOWER SYBR Green PCR Master Mix(Applied Biosystems製)を製造者の説明書に従って使用した。ABI7500(Applied Biosystems製)を使用してqPCRを実施した。GeNormソフトウェア(GeNorm)を使用して最も安定に発現した参照遺伝子を定量した。ブタ連鎖球菌では、試験した6つの潜在的参照遺伝子(ホスホグリセリン(phosphogelycerate)酸デヒドロゲナーゼ(pgd)、アセチルCoAアセチルトランスフェラーゼ(aca)、mutS、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(gdh))の発現においてrecAの可変性が最も少なかった。Genormにより発現データを発現の安定性を示す数値に統合し、この場合、1は最も安定な遺伝子を示す。ブタ連鎖球菌の安定数は、gdhの1.667からrecAの1.217までの範囲であった。このような参照遺伝子の発現のレベルを測定してRNA回収条件およびRT反応条件における差異を調整した。各qPCRの実行において、その反応における標的遺伝子のクローンPCR産物を含むベクターのデータからなる検量線を組み込んだ。検量線は、対照ベクターの7つの10倍希釈物のデータから構成された。このように標的遺伝子の発現レベルと外部参照遺伝子の発現レベルの両方が、検量線から算出され得る。各反応では、cDNAまたは陰性対照としての鋳型の配置に水を使用した。ABI7500ソフトウェア(Applied Biosystems製)を使用して解析を実施した。
配列決定反応および配列解析をBaseclear(Leiden、The Netherlands)により実施した。
Quick−change II部位特異的変異導入キット(Agilent Technologies製、La Jolla、CA、USA)を製造者の説明書に従って使用し部位特異的変異導入を達成した。添付のソフトウェア(Agilent Technologies製)によりPCRプライマーを設計した(表1)。プライマーt448aおよびt488a_アンチセンスを使用することにより、プラスミドpCOM−orf2[S735]を増幅して、S735のorf2−folC−オペロンの推定プロモーター領域の−35領域を5’−TGGTCA−3’から5’−TGGACA−3’まで変える所望の変異を導入した(図1)。DpnIを使用して反応混合物を分解して元の鋳型ベクターを不活性化し、続いてXL−1−blueコンピテント細胞(Invitrogen製)に形質転換した。ベクター骨格にPCRエラーが生じる可能性を除外するために、制限酵素BamHIおよびSacIによる分解後にプラスミドの挿入断片(orf2[S735])を鋳型ベクターから単離し、同制限酵素により分解されるpCOM1にクローン化した。得られたプラスミドをブタ連鎖球菌単離株S735にエレクトロポレーションにより導入し、1μg ml-1のエリスロマイシンを含むColumbia寒天上で形質転換体を選定して、S735−pCOM1−orf2[S735][t488a]を得た。配列決定を利用して最終構築物におけるPCRエラーの存在を除外した。
スペクチノマイシン耐性カセットを用いてfolTを破壊することにより同系folTノックアウト変異株を菌株10において構築した。pCOM1−V[10][14]をBamHIで分解し、BamHIで分解したpKUNプラスミドに連結して、pKUN−V[10]を得た。V[10]の3’部分を除去するために、pKUN−V[10]をSphIで分解し、その後、ベクター断片を精製、連結して、pKUN−V[10]*を得た。pKUN−V[10]*をXmnIで部分的に分解し、線状ベクター断片を精製し、平滑末端スペクチノマイシン耐性カセットにより連結して、pKUN−V[10]*−SpecRを得た。変異株の構築では、V[10]*−SpecRをPCRによりV735−fwおよびM13−revを使用して増幅した。PCR Purification Kit(Qiagen製)を使用してPCR産物を精製した。精製したPCR産物を使用し、Zaccariaらにより記載されているように[16]コンピテンス誘導因子としてComSを使用してブタ連鎖球菌株10を形質転換し、相同組換を誘導した。6%(vol/vol)のウマ血液および100μg ml-1のスペクチノマイシンを含むColumbia寒天プレート上で形質転換体を選定した。PCRにより二重交差をチェックし、サザンブロット法を使用して確認した。点変異が生じる可能性を除外するために、同系ノックアウト変異株の染色体DNAを単離し、菌株10に形質転換した。さらに6%(vol/vol)のウマ血液および100μg ml-1のスペクチノマイシンを含むColumbia寒天プレート上で変異株を選定し、PCRによりスクリーニングして、菌株10ΔfolTを得た。このプロトタイプ組換ΔFolT変異株は、「CBS140425ブタ連鎖球菌ΔFolT変異株」として、Centraalburau voor Schimmelculturesにおいて、ブダペスト条約の法規に基づいた特許手続きを目的として2015年8月19日に寄託されている。
スペクチノマイシン耐性遺伝子を含まないΔfolT欠失変異株もまた構築した。このために、温度感受性シャトルベクターpSET5s(Takamatsu D., Osaki, M. and Sekizaki, T. 2001. Plasmids 46:140-148)を使用した。プラスミドpSET5sは、温度感受性複製起点を含み、大腸菌において37℃で増殖させることができるが、プラスミドの複製は、ブタ連鎖球菌において37℃超で阻止される(Takamatsu et al)。pSET5sは、クロラムフェニコール耐性遺伝子(Cm)を含み、これは、大腸菌ならびにブタ連鎖球菌における形質転換体の選定に使用することができる。スペクチノマイシン耐性遺伝子を含まないプロトタイプ組換ΔFolT変異株は、「CBS143192ブタ連鎖球菌ΔFolT2変異株」として、Westerdijk Fungal Biodiversity Instituteにおいて、ブダペスト条約の法規に基づいた特許手続きを目的として2017年8月25日に寄託されている。
染色体DNAを静置培養したブタ連鎖球菌株培養物から単離した。200ナノグラムの精製DNAについてGenescreen−Plus(Perkin Elmer製、USA)上に印をつけた。32Pによるプローブの標識、ハイブリダイゼーションおよび洗浄を前述のように[17]行った。folTおよびfolCのPCR産物をプローブとして使用し、一方、16S rRNAプローブを陽性対照として使用した。
毒性血清型2菌株10由来の3kbのゲノム断片であるV[10]の導入により、弱毒性血清型2菌株S735の毒性が上昇して[14]、強毒性単離株(S735−pCOM1−V[10])が生成された。S735−pCOM1−V[10]に感染したすべてのブタは、感染後(p.i.)1日以内に致死し、ブタは高い割合で重度の疾患臨床徴候を示したが(表2)、一方、対照菌株S735−pCOM1に感染したほとんどすべてのブタは、実験を通して生存した。S735−pCOM1−V[10]とS735−pCOM1に感染したブタとの間で臨床的指標は有意に異なった(p≦0.01)(表2)。対照として、発明者らはまた、S735由来の相同な3kbの断片(S735−pCOM1−V[S735])を含むプラスミドで形質転換したS735の毒性を試験した。S735−pCOM1−V[S735]に感染したブタは、実験を通して高い割合で生存した。対照的に、S735−pCOM1−V[S735]に感染したブタは、S735−pCOM1に感染したブタよりも特異的な臨床徴候を有意に示したが(p≦0.01)(表2)、発熱および非特異的症状の臨床的指標における差は、群間で有意には異ならなかった(p=0.06)。したがって、プラスミドpCOM1−V[S735]の導入によるS735におけるV[S735]のコピー数の増加によって、ブタ連鎖球菌の特異的臨床徴候が増加した。それにもかかわらず、S735−pCOM1−V[10]によるブタ感染症に起因する特異的および非特異的臨床徴候は、S735−pCOM1−V[S735]に感染したブタと比較して有意に増加し(p≦0.01)、菌株S735においてV[10]を導入すると、V[S735]の導入を上回って毒性が増加することを実証した。この結果は、菌株S735pCOM−1−V[10]の強毒性がV[10]においてV[S735]と比較して種々の塩基多型に起因し得ることを示した。
結論として、V[10]のコピー数とorf2−folCオペロンの遺伝的背景の両方が、所与の単離株の毒性の決定要因であると考えられる。
毒性の上昇がorf2[10]の複数のコピーの導入に起因したため、orf2の推定機能を探求した。orf2−folCオペロンに先行する5’遺伝子間領域のin silico解析により、予測二次構造の存在が明らかとなり、これは、テトラヒドロ葉酸リボスイッチに対して強い相同性を示した(図3)。テトラヒドロ葉酸リボスイッチは、テトラヒドロ葉酸(THF)に結合する特定の細菌における、ある種の相同RNAである[18]。これは、タンパク質コード遺伝子の推定5’非翻訳領域にほとんど例外なく位置しており、このような遺伝子の多くが、葉酸輸送体または葉酸代謝に関与する酵素のいずれかをコードすることで知られている。このような理由で、RNAがリボスイッチとして機能することが推測された。THFリボスイッチは、種々のファーミキューテス、詳細にはクロストリジウム目(Clostridiales)およびラクトバチルス目(Lactobacillales)に、よりまれには他の細菌系統に見出されている。THFリボスイッチは、比較ゲノム学に基づいたプロジェクトに見られる、多くの保存されたRNA構造のうちの1つであった[19]。葉酸代謝との関係がEudesらにより確認され、ブタ連鎖球菌においてfolCの上流に位置する遺伝子が、葉酸輸送体FolTをコードすることが実証された[20]。このアノテーションは、ブタ連鎖球菌の新規のゲノム配列SC070731にも適用され、この場合、ssu0135の相同遺伝子がFolTをコードするとアノテートされた(GenBank AGG63648.1)。ラクトバチルス・ブレビスの葉酸エネルギー共役因子輸送の3次元構造が確定し[21]、葉酸輸送体の多重タンパク質モデルが提唱されることとなった。このモデルにおいて、ORF2/FolTは、膜貫通基質特異的結合タンパク質として機能する。エネルギー共役モジュールを形成する、より一般的な膜貫通タンパク質および2つのヌクレオチド結合タンパク質とともに、この複合体は、葉酸の膜貫通輸送を促進する。基質結合タンパク質(FolT)のみが、葉酸に対して特異的であり、他の要素はまた、チアミンまたはリボフラビンのような他の基質の輸送に使用される。ブタ連鎖球菌のFolTのタンパク質配列を他の生物の推定FolT配列と比較した場合、保存アミノ酸がブタ連鎖球菌においても保存されることは明らかである[21](図4)。興味深いことに、図4はまた、アルギニンがヒト葉酸輸送体ならびに大腸菌において非常によく保存されたことを示す。図4では、赤色は小さい疎水性アミノ酸(芳香族−Tyrを含む)を示し、青色は酸性アミノ酸を示し、マゼンタは塩基性アミノ酸を示し、緑色はヒドロキシル、スルフヒドリルのアミンおよびGlyを示す。テトラサイクリン輸送体はまた、ブタ連鎖球菌(Arg99)folTにおいて保存され、この残基がヒトから細菌の範囲に及ぶ輸送体に重要となることを示唆した[22]。まとめると、このようなデータは、相補性試験法を使用して同定された、保存された機能不明なタンパク質であるORF2が、葉酸輸送を促進する基質結合タンパク質をコードすることを強く示唆する。
P1/7(菌株10のゲノムと高度に相同である)の配列解析により、古典的葉酸生合成経路を介してテトラヒドロ葉酸(THF)の合成に必要とされるすべての酵素をブタ連鎖球菌がコードすることが示される(図5)。KEGGデータベース(www.kegg.jp)において利用可能なデータに基づいて、ブタ連鎖球菌における葉酸代謝は、スキームに示すようにfolE、folQ、folB、folK、folC、folAならびに基質GTP、p−アミノ安息香酸(PABA)およびグルタミル(GLU)を使用して古典的葉酸経路を利用する。しかし、V[10]オペロン上に存在する追加の遺伝子により、ブタ連鎖球菌はまた、folTの発現を誘導して葉酸を直接移入し、folCの追加のコピーの同時誘導発現を使用することが可能であり、葉酸を最終産物であるテトラヒドロ葉酸(THF)に直ちにプロセシングすることができると考えられる。このようにfolTとfolCの組合せにより、追加の「ショートカット」が形成され、これによりTHFの生成が可能となる。folT−folCオペロンの上流に位置するTHFリボスイッチの存在により、この2遺伝子オペロンの厳格な調整が示唆され、これはfolT−folCオペロンが特異的条件下、例えば、葉酸が乏しい条件のみで発現することを意味し得る。上記の動物実験の結果に基づいて、folT−folCオペロンが少なくともin vivo条件下で発現することが示唆される。
血清型32および血清型34を除いて試験したすべてのブタ連鎖球菌血清型においてfolT遺伝子の存在を実証した。しかし、血清型32および血清型34をブタ連鎖球菌の代わりにストレプトコッカス・オリスラッティ(Streptococcus orisratti)属に帰するように再割り当てした[1]。したがって、結論として、すべてのブタ連鎖球菌血清型は、FolTおよびFolCをコードする遺伝子を有すると考えられることとなる。
folTの追加のコピーを用いた、または機能性folTを用いないブタ連鎖球菌の培養において、in vitroで親菌株と比較して増殖に有意差は認められなかった。
FolTのタンパク質配列に基づいて、FolTが、少なくとも5つの膜貫通ドメインを有する非常に疎水性のタンパク質であることが予想された。6つの既知のFolT構造、この中でもラクトバチルス・ブレビス由来のFolTの公表された3D構造を使用する相同モデリング(Expacyサーバ)により、ブタ連鎖球菌のFolTの3D構造を予測した(図7)。
弱毒性ブタ連鎖球菌株におけるfolTの過剰発現により毒性が強力に増加したため、発明者らは、FolTがin vivoで重要な役割を果たすと仮定した。この仮定が正しいかどうかを試験するため、毒性ブタ連鎖球菌株10において、スペクチノマイシン耐性カセットをfolT遺伝子に挿入することにより、同系ノックアウトを構築した。folTおよびfolCがオペロン構造中にあるため、このノックアウトによりfolCの追加したコピーも恐らくノックアウトされ得る。in vivoで葉酸輸送が毒性に必須であるかどうかを判定するため、実験1において、10匹のブタを野生型菌株10またはノックアウト菌株10ΔfolTのいずれかに静脈内投与により感染させた。すべてのブタが、この播種に反応し、体温が上昇した(図8)。しかし、野生型菌株10に感染したブタは、ノックアウト菌株10ΔfolTに感染したブタと比較して、より長い期間より高い体温を示した。これはまた、両群間の発熱指標(ブタが発熱を示した観察結果の割合)の差によって反映された(p=0.06)。これは、菌株10ΔfolTが、野生型菌株と比較して化膿性が低いことを示唆する。これは、有意に少数の細菌が、菌株10ΔfolTに感染した仔ブタの血液から単離されたという事実の結果となり得る。菌株10ΔfolTに感染した2匹のブタのみが、菌株10に感染した5匹のブタと比較して短い菌血症期間を示し、菌株10に感染したブタはまた、これらの血中の細菌数が、より長い期間有意に高かった(図9)。これは、菌株10ΔfolTが、血液からより効率的に除去されるか、または血中で生存することができないことを示唆する。白血球数により、野生型菌株10に感染したブタがWBCの強力な増加をより長い期間示すことが明らかとなった。菌株10に感染したすべてのブタがWBCの増加を示したが、菌株10ΔfolTに感染したブタのうちの1匹のみがWBCの増加を示した。算出したWBC指標は、群間で有意に異なる(表5)。2つの群間の生存率は有意に異なり、菌株10に感染したブタは、感染後2.6日の平均的生存を有したが、菌株10ΔfolTに感染したブタは、感染後6.2日生存した(図10)。所定の人道的エンドポイントに達した場合、ブタを安楽死させたが、生存は、感染の重症度を反映する。図10に示すように、生存曲線は、群間で有意に異なる。肉眼的所見により、菌株10に感染したブタの4/5が、関節炎、胸膜炎、心膜炎または腹膜炎のようなブタ連鎖球菌株感染に対して特異的な臨床徴候を示したが、菌株10ΔfolTに感染したブタの3/5が、特異的臨床徴候を示したことが明らかとなった。感染した臓器すべての細菌学的検査により、野生型菌株10では、菌株10ΔfolTと比較してより多くの臓器において高い細菌量でコロニー形成されたことが明らかとなった(図11)。
仔ブタにおける感染実験の結果に基づいて、同系ノックアウト変異株10ΔfolTは、野生型菌株と比較して強力に減弱したことが結論付けられた。これは、葉酸輸送体が、in vivo条件下の細菌の生存に必要であることを示す。両試験からの結果をまとめると、このような実験により、ΔfolT単離株が、ゼロに近い致死率、最小臨床徴候、ならびに親菌株と比較して関節炎および腹膜炎の頻度の減少をもたらしたことが明白に示される。したがって、ΔfolT菌株は、高度に弱毒化され、安全であることが結論付けられ得る。
細菌の葉酸基質結合タンパク質をコードするDNA領域において変異、欠失または挿入等の修飾を施した細菌(ΔfolT単離株)を含むワクチンは、修飾されていない細菌の毒性単離株による曝露から宿主を防御する。
葉酸輸送および葉酸合成が一般に可能である親細菌株を選定するステップと、細菌の葉酸基質結合タンパク質をコードするDNA領域(ブタ連鎖球菌ではfolT遺伝子として知られる)において変異、欠失または挿入等の修飾を施すためにこの親菌株から細菌を選定するステップと、in vitroでは親菌株と同様の割合まで増殖するがin vivoでは親菌株と比較して低い割合まで増殖する能力を有する細菌を選定するステップとを含む、好ましくはワクチンにおける使用のため、好ましくは細菌感染からの防御をもたらすワクチンにおける使用のための細菌を生成する方法を提供する。葉酸輸送および葉酸合成が一般に可能である親細菌株を選定するステップと、好ましくは組換手段により、細菌の葉酸基質結合タンパク質をコードするDNA領域(ブタ連鎖球菌ではfolT遺伝子として知られる)において変異、欠失または挿入等の修飾を施すことにより、この親菌株由来の細菌を形質転換するステップと、in vitroでは親菌株と同様の割合まで増殖するがin vivoでは親菌株と比較して低い割合まで増殖する能力を有する細菌を選定するステップとを含む、好ましくはワクチンにおける使用のため、好ましくは細菌感染からの防御をもたらすワクチンにおける使用のための細菌を生成する方法をさらに提供する。このような細菌は、本明細書において提供する場合、その新規葉酸合成経路を適用することにより、それ自体の使用のための葉酸を生成する能力を依然として有する。このような合成経路をインタクトのままとすると、in vitro(培地中)では増殖するその能力が影響されないままとなるが、驚いたことに、宿主(in vivo)におけるその増殖および毒性が強力に低下したことが示される。
本明細書における実験の第1のシリーズでは、ブタ連鎖球菌に対してワクチン接種されておらず、薬物混入飼料を一度も与えていない約3週齢の仔ブタ(市販の交配種)を有効性試験に使用した。動物は、登録時、ブタ連鎖球菌血清型2についてPCRにより扁桃腺スワブ陰性であり、PRRSV陰性群に由来した。2つの処置群を試験施設で別々に飼育した。
b 特異的症状を有するブタの割合
c 特異的症状(運動失調、少なくとも1つの関節の跛行および/または静止)が見られた実験群の観察結果の割合
d 非特異的症状(食欲不振および/または鬱)が見られた実験群の観察結果の割合
e >40℃の体温の実験群の観察結果の割合
f 過去の実験(Smith et al., 2001)を再分析して、実験間の統計学的比較を可能とした。この再分析は、材料と方法に記載のように特異的および非特異的症状の新規の厳格な定義を必要とした。
* p ≦ 0.05 S735-pCOM1と比較
** p ≦ 0.01 S735-pCOM1と比較
g 漿膜は、腹膜、心膜または胸膜として定義する。
2 *はMRPの高分子量形態を示し、sはMRPの低分子量形態を示す。
3 *はEFの高分子量形態を示す。
4 比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)[23]を使用してすべての単離株の遺伝子型を同定した。
5 この単離株はクローン複合体1に属する。
6 解析された単離株の数/それぞれの-35プロモーター配列を有する単離株の数
Claims (18)
- 葉酸を輸送する能力が低下したブタ連鎖球菌のΔFolT変異株であって、前記能力が、葉酸輸送体(FolT)機能を機能的に欠失させることにより低下している、ΔFolT変異株を含む免疫原性組成物。
- ワクチンの生成のための、請求項1に記載の組成物の使用。
- 請求項1に記載の組成物を含むワクチン。
- a.動物にワクチンを投与するためのディスペンサーと、
b.請求項1に記載の免疫原性組成物と、
c.任意選択で使用説明書と
を含む、ブタ連鎖球菌感染と関連する疾患に対して動物にワクチン接種するためのキット。 - 「CBS140425ブタ連鎖球菌ΔFolT変異株」としてCentraalbureau voor Schimmelculturesにおいて2015年8月19日に寄託された、細菌またはその培養物。
- 「CBS143192ブタ連鎖球菌ΔFolT2変異株」としてWesterdijk Fungal Biodiversity Instituteにおいて2017年8月25日に寄託された、細菌またはその培養物。
- 請求項5又は6に記載の細菌またはその培養物を含むワクチン。
- 葉酸を輸送するブタ連鎖球菌の能力を低下させるステップを含み、ブタ連鎖球菌のfolT遺伝子において、変異、欠失または挿入を施すことにより毒性を減弱させ、前記変異、欠失または挿入は、ペプチドドメインFYRKPの変異もしくは欠失、またはペプチドドメインFYRKPにおける変異もしくは欠失、またはペプチドドメインFYRKPにおける挿入を含み、好ましくはペプチドドメインFYRKPにおけるRの変異を含む、ブタ連鎖球菌の毒性を低下させる方法。
- ブタ連鎖球菌が、新規葉酸合成の能力を有する、請求項8に記載の方法。
- ブタ連鎖球菌の葉酸基質結合タンパク質(FolT)の発現および/または機能を減弱させるステップを含む、請求項8または9に記載の方法。
- folT遺伝子のプロモーターをコードするブタ連鎖球菌のDNAにおいて変異、欠失または挿入を施すことにより毒性を減弱させる、請求項8から10のいずれか1項に記載の方法。
- 葉酸基質結合タンパク質FolTの膜貫通領域をコードするブタ連鎖球菌のDNAにおいて変異、欠失または挿入を施すことにより毒性を減弱させる、請求項8から11のいずれか1項に記載の方法。
- ブタ連鎖球菌が、ファーミキューテスである、請求項8から12のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項8から13のいずれか1項に記載の方法で得ることができる、または得られた、毒性を減弱させたブタ連鎖球菌の培養物の、ワクチンの生成のための使用。
- ブタ連鎖球菌のfolT遺伝子において、ペプチドドメインFYRKPの変異もしくは欠失、またはペプチドドメインFYRKPにおける変異もしくは欠失、またはペプチドドメインFYRKPにおける挿入を含み、好ましくはペプチドドメインFYRKPにおけるRの変異を含み、
folT遺伝子のプロモーターをコードするブタ連鎖球菌のDNAにおいて変異、欠失または挿入を含んでもよく、
葉酸基質結合タンパク質FolTの膜貫通領域をコードするブタ連鎖球菌のDNAにおいて変異、欠失または挿入を含んでもよい、毒性を減弱させたブタ連鎖球菌を含むワクチン。 - 葉酸輸送および葉酸合成が一般に可能である親ブタ連鎖球菌株を選定するステップと、親菌株から、ブタ連鎖球菌の葉酸基質結合タンパク質をコードするDNAにおいて施された変異、欠失または挿入を有するブタ連鎖球菌を選定するステップと、in vitroでは親菌株と同様の割合まで増殖するがin vivoでは親菌株と比較して低い割合まで増殖する能力を有するブタ連鎖球菌を選定するステップとを含み、前記変異、欠失または挿入は、ペプチドドメインFYRKPの変異もしくは欠失、またはペプチドドメインFYRKPにおける変異もしくは欠失、またはペプチドドメインFYRKPにおける挿入を含み、好ましくはペプチドドメインFYRKPにおけるRの変異を含む、ブタ連鎖球菌を生成する方法。
- 葉酸輸送および葉酸合成が一般に可能である親ブタ連鎖球菌株を選定するステップと、ブタ連鎖球菌の葉酸基質結合タンパク質をコードするDNAにおいて変異、欠失または挿入を施すことにより前記親菌株由来のブタ連鎖球菌を形質転換するステップと、in vitroでは親菌株と同様の割合まで増殖するがin vivoでは親菌株と比較して低い割合まで増殖する能力を有するブタ連鎖球菌を選定するステップとを含み、前記変異、欠失または挿入は、ペプチドドメインFYRKPの変異もしくは欠失、またはペプチドドメインFYRKPにおける変異もしくは欠失、またはペプチドドメインFYRKPにおける挿入を含み、好ましくはペプチドドメインFYRKPにおけるRの変異を含む、ブタ連鎖球菌を生成する方法。
- 請求項16または17に記載の方法で得ることができる、または得られた、ブタ連鎖球菌を含む組成物の、ワクチンの生成のための使用。
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