JP6178384B2 - コレラおよび毒素原性大腸菌(etec)下痢に対するワクチン - Google Patents

コレラおよび毒素原性大腸菌(etec)下痢に対するワクチン Download PDF

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Description

発明の技術分野
本発明は、ワクチン、特に、コレラおよび毒素原性大腸菌(E. coli)(ETEC)下痢に対するワクチンの分野に関する。
発明の背景
コレラは、未だ世界の大部分の地域における重要な健康問題である。発展途上国ならびにこれらの国への旅行者においてみられる下痢性疾患の主要原因であるETECもまた然りである。多くの発展途上国において、コレラおよび他の腸管感染症の防除に有効な水および衛生的な措置は現在のところ実現不可能であり、この状況では、ワクチンが重要な役割を果たすことになる。しかし、そのためには、ワクチンが有効であり、容易に入手でき、何よりも安価であることが必要である。また、旅行者におけるコレラワクチンおよび特にETECワクチンの使用に関しては、医学的ニーズおよび非常に大きな商業的市場もある。
1つのアプローチは、死滅全細胞経口ワクチンの開発であった。Dukoral(商標)は経口細胞ワクチン(OCV)であり、コレラに対して最高90%の有効性が実証され、また、毒素原性大腸菌(Escherichia coli)(ETEC)誘発性下痢に対する顕著な有効性も実証されている。これは、異なるコレラ菌(V.cholerae)株3種を異なる4種の製剤形態(formulation)(加熱死菌2種およびホルマリン死菌2種)で含み、さらに、組換えによって作製されたコレラ毒素Bサブユニット(rCTB)を含む。rCTB成分は、コレラに対する有効性に大きく寄与し、かつ、コレラ毒素(CT)様の大腸菌易熱性毒素(LT)に対する交差中和抗体を誘導することができるため、ETEC下痢に対して観察されている防御を単独で担っている。しかし、rCTBは酸に不安定であり、したがって、(2回投与する必要がある)ワクチンを、重炭酸イオン緩衝液と共に投与しなければならない。
国際的に認可されたOCVはDukoral(商標)のみであるにもかかわらず、CTB成分を含むまたは含まないこのワクチンのコピーが、発展途上国、すなわちベトナム、インド、および中国で現在販売されている。ベトナムおよびインドで製造されているOCV(CTB成分を含まない)は、Dukoralと同じ4種の細菌成分に加えて、O139血清型コレラ菌のホルマリン死菌株を5番目として含む。
コレラに対してOCVが誘発する防御的免疫は、細胞壁リポ多糖O1(O1 LPS)に対する抗体を粘膜が産生することに、独占的ではないとしても主に基づいており、CTBを含むDukoralワクチンもまた、腸内の抗毒素抗体に基づいている。
上記のことから、コレラ/ETECワクチンを生産するための現在の最新技術は、既に有効ではあるものの、決して簡単ではないことが明らかであり、コレラワクチンをより利用しやすくするために本当に寄与するのは、いくつかの段階で製剤の組成を合理化することであると思われる。
Dukoral(商標)のような死滅全細胞ワクチン中にいくつかの異なるコレラ菌(Vibrio cholerae)株を含める必要性は、該ワクチンにおいてコレラ菌のいくつかの異なる抗原性変種を代表する必要があることに起因する。現在使用されているワクチンにおける防御性の株はすべてO1血清型であり、これは1993年まで、同定された200種を超える血清型のうちで唯一、流行性コレラを引き起こすことが公知であり、かつ依然として優勢な血清型である。しかし、O1血清型には、表面のリポ多糖(LPS)であるO抗原の末端糖のメチル化が異なる、小川血清型および稲葉血清型と呼ばれる2種の変種がある。小川血清型の生物が稲葉型生物を生じ得る血清型スイッチングが起こることが公知である。しかし、逆のスイッチングは稀である。
小川血清型でも同様であるが、特に稲葉血清型で免疫化すると、他方の血清型と交差反応する抗体が生じる一方で、血清型特異的抗体もまた生じ、これが防御に著しく寄与する。したがって、有効なワクチンは、交差反応性抗体だけでなく、稲葉血清型変種および小川血清型変種の両方に対する血清型特異的抗体も誘導すべきである。
血清型スイッチングは、単一遺伝子(wbeT)の変異に関係していることが公知である。この遺伝子を不活性化する任意の変異により、小川血清型から稲葉血清型へのスイッチングが起こる。稲葉血清型から小川血清型へのスイッチングは、トランスに関連遺伝子を与えることにより容易に達成され得るものの、このような事象を逆方向で生じ得る変異は、予想どおりはるかに稀である。関与している遺伝子(wbeT、rfbTとも呼ばれる)は、O抗原の多糖類反復単位中の末端ペロサミン残基をメチル化するメチルトランスフェラーゼをコードする。稲葉血清型をもたらす、この遺伝子における変異は、ナンセンスコドンを導入する挿入、欠失、または塩基変化であることがほぼ常である。
彦島型として公知である第3のO1変種もまた、野生に存在することが実証されている。彦島型は、小川型決定基および稲葉型決定基の両方を表面に発現しかつ両方の型特異的な抗血清で凝集することを特徴とする。彦島表現型は極めて稀であり、不安定な移行型であると文献ではみなされている。
このことを念頭に置いて、本発明者らは、現在使用されている3種の株の有効な代用物になると思われる単一コレラ菌ワクチン株を設計することを目指した。
したがって、製剤形態が簡略化され、生産コストが低く、かつ理想的には単回投与後に防御的免疫ももたらす、コレラおよび/またはETEC下痢に対する効率的なワクチンを提供することが本発明の目的である。
本発明は、新規なコレラおよび/またはETEC用ワクチンの構築、製造方法、製剤形態、および医学予防的使用を説明する。
本文章の全体を通して、確立された科学的実践に従い、記号「wbeT」は遺伝子を示し、記号「WbeT」はwbeT遺伝子によってコードされるタンパク質を示す。
第1の局面において、コレラ菌O1細胞を含むワクチンが提供され、これは、該細胞が小川血清型および稲葉血清型両方のO1抗原を含むことを特徴とする。
このワクチンは、小川血清型および稲葉血清型両方のO1抗原を含む複数のコレラ菌O1細胞を含んでよく、該細胞のO1抗原の平均で10〜90%が小川血清型である。
好ましくは、これらの細胞によって発現されるO1抗原の10〜90%が、小川血清型である。より好ましくは、これらの細胞によって発現されるO1抗原の10〜70%が、小川血清型である。さらにより好ましくは、これらの細胞によって発現されるO1抗原の10〜50%が、小川血清型である。さらにより好ましくは、これらの細胞によって発現されるO1抗原の10〜40%が、小川血清型である。最も好ましくは、これらの細胞によって発現されるO1抗原の10〜30%が、小川血清型である。
このワクチンの細胞は、一重線毛、二重線毛、またはハイブリッド線毛のいずれかとして発現される、CFA/I、CS2、またはCS5などの1種または複数種のETEC定着因子(CF)タンパク質をさらに含んでもよい。
好ましくは、該ワクチンは、小川血清型および稲葉血清型両方のO1抗原を含むコレラ菌O1細胞のほかには、免疫学的に活性なさらなる全細胞を全く含まない。
好ましくは、ワクチンは経口投与用である。好ましくは、ワクチン中の細胞は、ホルマリンによって不活化されている。
好ましくは、細胞は、遺伝的に改変された細胞であり、好ましくは、本発明の第7の局面または第8の局面(下記を参照されたい)に従って遺伝的に改変された細胞である。
第2の局面において、第1の局面によるワクチンは、予防的免疫化における使用のために、好ましくは、コレラおよび/または毒素原性大腸菌感染症(ETEC)に対する予防的免疫化における使用のために提供される。
第3の局面において、免疫化しようとする対象に第1の局面によるワクチンを投与する段階を含む、予防的免疫を誘導するための方法が提供される。好ましくは、予防的免疫は、コレラおよび/または毒素原性大腸菌感染症(ETEC)に対するものである。また、好ましくは、投与は経口的に行われる。
第4の局面において、コレラ菌O1宿主細胞においてタンパク質発現を誘導するのに適したプロモーターに機能的に連結された、SEQ ID NO:6に対して少なくとも70%の配列同一性(より好ましくは少なくとも80%の同一性、さらにより好ましくは少なくとも90%の同一性、さらにより好ましくは少なくとも95%の同一性、および最も好ましくは少なくとも99%の同一性)を有するWbeTタンパク質をコードするDNAを含む、DNA構築物が提供され、これは、コードされるWbeTタンパク質が、SEQ ID NO:6と同一の配列を有するタンパク質の酵素活性と比べてコードされるタンパク質の酵素活性を低下させる、SEQ ID NO:6に対する配列改変を含むことを特徴とする。
好ましくは、該配列改変は、SEQ ID NO:6の158位のセリン残基の置換、より好ましくは、SEQ ID NO:6の158位のセリン残基のグリシン、プロリン、トレオニン、フェニルアラニン、またはトリプトファンへの置換を含む。
第5の局面において、コレラ菌O1宿主細胞においてタンパク質発現を誘導するのに適したプロモーターに機能的に連結された、SEQ ID NO:6に対して少なくとも70%の配列同一性(より好ましくは少なくとも80%の同一性、さらにより好ましくは少なくとも90%の同一性、さらにより好ましくは少なくとも95%の同一性、および最も好ましくは少なくとも99%の同一性)を有するWbeTタンパク質をコードするDNAを含む、DNA構築物が提供され、これは、該プロモーターが、最初は稲葉表現型であるコレラ菌O1宿主細胞(すなわち、該DNA構築物による形質転換の前は稲葉型である宿主細胞)において、コードされるWbeTタンパク質の発現を、宿主細胞による稲葉型抗原および小川型抗原両方の同時発現を可能にするようなトランスジェニックWbeTタンパク質の発現レベルまで誘導するのに適していることを特徴とする。
好ましくは、上記の局面のプロモーターは、tacプロモーターまたはlacプロモーターなどの誘導性プロモーターである。
好ましくは、上記の局面のDNA構築物は、宿主細胞において複製が可能なプラスミドベクター、または宿主細胞において染色体組込みが可能なベクターである。
好ましくは、上記の局面によるDNA構築物は、選択マーカー、より好ましくは、抗生物質耐性遺伝子または代謝選択マーカーなどの陽性選択マーカーをさらに含む。
第6の局面において、コレラ菌O1宿主における相同組換えのためのDNA構築物が提供され、これは、相同組換えを用いた該宿主の内因性wbeT遺伝子の改変に適合化されていることを特徴とする。好ましくは、第6の局面によるDNA構築物は、選択マーカー、より好ましくは、抗生物質耐性遺伝子または代謝選択マーカーなどの陽性選択マーカーをさらに含む。
第7の局面において、稲葉型抗原および小川型抗原の両方を同時に発現するコレラ菌O1細胞が提供され、これは、
a.該宿主細胞の内因性wbeT遺伝子またはそのコードされるタンパク質が不活性であること;
b.該細胞が、WbeT酵素活性の発現を誘導する組換えDNA構築物を含むこと;ならびにここで、
c.トランスジェニックWbeT酵素活性のレベルが、稲葉型抗原および小川型抗原を該細胞が同時に発現するようなレベルであること
を特徴とする。
好ましくは、上記の局面の組換えDNA構築物は、第4〜第5の局面によるDNA構築物である。
第8の局面において、稲葉型抗原および小川型抗原の両方を同時に発現するコレラ菌O1細胞が提供され、これは、
a.該細胞が、内因性wbeT遺伝子を含むこと;ならびに
b.該細胞が、内因性wbeT遺伝子の発現レベルまたはその産物の酵素活性を調節することができる組換えDNA構築物を含むこと;ならびにここで、
c.WbeT酵素活性の調節されたレベルが、稲葉型抗原および小川型抗原を該細胞が同時に発現するようなレベルであること
を特徴とする。
好ましくは、上記の局面の組換えDNA構築物は、第6の局面によるDNA構築物である。
好ましくは、上記の局面の細胞によって発現されるO1抗原の10〜90%が、小川血清型である。より好ましくは、上記の局面の細胞によって発現されるO1抗原の10〜70%が、小川血清型である。さらにより好ましくは、上記の局面の細胞によって発現されるO1抗原の10〜50%が、小川血清型である。さらにより好ましくは、上記の局面の細胞によって発現されるO1抗原の10〜40%が、小川血清型である。最も好ましくは、上記の局面の細胞によって発現されるO1抗原の10〜30%が、小川血清型である。
好ましくは、上記の局面の細胞は、一重線毛、二重線毛、またはハイブリッド線毛のいずれかとして発現される、CFA/I、CS2、またはCS5などの1種または複数種のETEC定着因子(CF)タンパク質をさらに発現する。
第9の局面において、
小川血清型および稲葉血清型両方のO1抗原を含むコレラ菌O1細胞を提供する段階;ならびに
該細胞を死滅させる段階
を含む、ワクチンを製造するための方法が提供される。
好ましくは、死滅化は、ホルマリン処理または熱処理によって実施される。
好ましくは、細胞は、第7の局面または第8の局面による細胞である。
第10の局面において、本発明はまた、一単位の組成物として調製された、ワクチン接種において使用するためのキットにも関し、これにより該組成物は、該キットの一部分において提供され、使用説明書が別の部分において提供される。
[本発明1001]
コレラ菌(Vibrio cholerae)O1細胞を含むワクチンであって、該細胞が小川血清型および稲葉血清型両方のO1抗原を含むことを特徴とする、ワクチン。
[本発明1002]
小川血清型および稲葉血清型両方のO1抗原を含む複数のコレラ菌O1細胞を含む前記ワクチンであって、該細胞のO1抗原の平均で10〜90%が小川血清型である、本発明1001のワクチン。
[本発明1003]
前記細胞がCFA/I、CS2、またはCS5などの1種または複数種のETEC定着因子(CF)タンパク質をさらに含み、該CFタンパク質が一重線毛、二重線毛、またはハイブリッド線毛のいずれかとして発現される、前記本発明のいずれかのワクチン。
[本発明1004]
小川血清型および稲葉血清型両方のO1抗原を含むコレラ菌O1細胞のほかには、免疫学的に活性なさらなる全細胞を全く含まないことを条件とする、前記本発明のいずれかのワクチン。
[本発明1005]
経口投与用である、前記本発明のいずれかのワクチン。
[本発明1006]
前記細胞がホルマリンによって不活化されている、前記本発明のいずれかのワクチン。
[本発明1007]
前記細胞が、本発明1022〜1027のいずれかの細胞である、前記本発明のいずれかのワクチン。
[本発明1008]
予防的免疫化において使用するための、前記本発明のいずれかのワクチン。
[本発明1009]
コレラおよび/または毒素原性大腸菌感染症(ETEC)に対する予防的免疫化において使用するための、前記本発明のいずれかのワクチン。
[本発明1010]
免疫化しようとする対象に本発明1001〜1009のいずれかのワクチンを投与する段階を含む、予防的免疫を誘導するための方法。
[本発明1011]
前記予防的免疫が、コレラおよび/または毒素原性大腸菌感染症(ETEC)に対するものである、本発明1011の方法。
[本発明1012]
前記投与が経口的に行われる、本発明1010または1011の方法。
[本発明1013]
コレラ菌O1宿主細胞においてタンパク質発現を誘導するのに適したプロモーターに機能的に連結された、SEQ ID NO:6に対して少なくとも70%の配列同一性を有するWbeTタンパク質をコードするDNAを含む、DNA構築物であって、該コードされるWbeTタンパク質が、SEQ ID NO:6と同一の配列を有するタンパク質の酵素活性と比べて該コードされるタンパク質の酵素活性を低下させる、SEQ ID NO:6に対する配列改変を含むことを特徴とする、DNA構築物。
[本発明1014]
前記配列改変が、SEQ ID NO:6の158位のセリン残基の置換を含む、本発明1013のDNA構築物。
[本発明1015]
前記配列改変が、SEQ ID NO:6の158位のセリン残基のグリシン、プロリン、トレオニン、フェニルアラニン、またはトリプトファンへの置換を含む、本発明1014のDNA構築物。
[本発明1016]
コレラ菌O1宿主細胞においてタンパク質発現を誘導するのに適したプロモーターに機能的に連結された、SEQ ID NO:6に対して少なくとも70%の配列同一性を有するWbeTタンパク質をコードするDNAを含む、DNA構築物であって、該プロモーターが、最初は稲葉表現型であるコレラ菌O1宿主細胞における該コードされるWbeTタンパク質の発現を、該宿主細胞による稲葉型抗原および小川型抗原両方の同時発現を可能にするようなトランスジェニックWbeTタンパク質の発現レベルまで誘導するのに適していることを特徴とする、DNA構築物。
[本発明1017]
前記プロモーターが、tacプロモーターまたはlacプロモーターなどの誘導性プロモーターである、本発明1013〜1016のいずれかのDNA構築物。
[本発明1018]
宿主細胞において複製が可能なプラスミドベクター、または宿主細胞において染色体組込みが可能なベクターである、本発明1013〜1017のいずれかのDNA構築物。
[本発明1019]
選択マーカーをさらに含む、本発明1013〜1018のいずれかのDNA構築物。
[本発明1020]
相同組換えを用いた宿主の内因性wbeT遺伝子の改変に適合化されていることを特徴とする、コレラ菌O1宿主細胞における相同組換えのためのDNA構築物。
[本発明1021]
選択マーカーをさらに含む、本発明1020のDNA構築物。
[本発明1022]
以下を特徴とする、稲葉型抗原および小川型抗原の両方を同時に発現するコレラ菌O1細胞:
a.宿主細胞の内因性wbeT遺伝子またはそのコードされるタンパク質が不活性であること;
b.該細胞が、WbeT酵素活性の発現を誘導する組換えDNA構築物を含むこと;ならびにここで、
c.トランスジェニックWbeT酵素活性のレベルが、稲葉型抗原および小川型抗原を該細胞が同時に発現するようなレベルであること。
[本発明1023]
前記組換えDNA構築物が本発明1013〜1019のいずれかのDNA構築物である、本発明1022のコレラ菌O1細胞。
[本発明1024]
以下を特徴とする、稲葉型抗原および小川型抗原の両方を同時に発現するコレラ菌O1細胞:
a.該細胞が、内因性wbeT遺伝子を含むこと;ならびに
b.該細胞が、内因性wbeT遺伝子の発現レベルまたはその産物の酵素活性を調節することができる組換えDNA構築物を含むこと;ならびにここで、
c.WbeT酵素活性の調節されたレベルが、稲葉型抗原および小川型抗原を該細胞が同時に発現するようなレベルであること。
[本発明1025]
前記組換えDNA構築物が本発明1020または1021のDNA構築物である、本発明1024のコレラ菌O1細胞。
[本発明1026]
前記細胞によって発現されるO1抗原の10〜90%が小川血清型である、本発明1022〜1025のいずれかのコレラ菌O1細胞。
[本発明1027]
前記細胞がCFA/I、CS2、またはCS5などの1種または複数種のETEC定着因子(CF)タンパク質をさらに発現し、該CFタンパク質が一重線毛、二重線毛、またはハイブリッド線毛のいずれかとして発現される、本発明1022〜1026のいずれかのコレラ菌O1細胞。
[本発明1028]
a.小川血清型および稲葉血清型両方のO1抗原を含むコレラ菌O1細胞を提供する段階;ならびに
b.該細胞を死滅させる段階
を含む、ワクチンを製造するための方法。
[本発明1029]
死滅段階がホルマリン処理によって実施される、本発明1028の方法。
[本発明1030]
前記細胞が本発明1022〜1027のいずれかの細胞である、本発明1028または1029の方法。
発明の詳細な説明
小川血清型および稲葉血清型両方のO1抗原を有する細胞を含むワクチン
O139血清型のコレラ菌もコレラを引き起こし得るが、世界中のコレラ全体の98%超はO1型コレラ菌によって引き起こされる。O1血清型には2つのサブタイプ/血清型、すなわち小川型および稲葉型がある。小川サブタイプから稲葉サブタイプへの血清型スイッチングは比較的高い頻度で発生するのに対し、逆の変換は稀である。血清型スイッチングの基本原理は、LPS合成経路の変異であり、これによりO1抗原の構造が変化する。有効なワクチンは、その組成中に小川型株および稲葉型株の両方を含む必要がある。なぜならこれらのLPSは血清学的に異なっており、共通のエピトープおよび異なるエピトープのどちらも防御に寄与するからである。
小川血清型および稲葉血清型両方のO1抗原を発現するコレラ菌O1細胞を含むワクチンが開示され、これは、該ワクチン製造の際に各表現型に対して異なる細胞を使用する必要が無いため、生産が簡単になるという利点を有する。単一タイプの細胞の使用を可能にすることにより、1つのタイプの不活化処理しか必要でないため、該ワクチンの製造はさらに簡単になる。
小川血清型および稲葉血清型の両方を異なる量で発現する単一のコレラ菌株に基づいた、本発明のワクチンを用いる免疫化により、交差反応性の抗体ならびに、小川型抗原および稲葉型抗原の両方に対する型特異的な抗体が生じる(実施例1を参照されたい)。
これらの細胞のO1抗原の平均で10〜90%が、小川血清型であることが好ましい。稲葉型抗原は小川型に対して一定のレベルの交差血清型防御を誘発できるのに対し、小川型抗原は小川型に対する防御しか誘発できないため、稲葉型抗原が小川型抗原より多量に(すなわち50%超)存在することが好ましい。
ETECに対するワクチンの有効性は、一重線毛、二重線毛、またはハイブリッド線毛のいずれかとして発現される、CFA/I、CS2、またはCS5などの1種または複数種のETEC定着因子(CF)タンパク質を細胞がさらに発現するという特徴を組み入れることによって、さらに向上し得る(詳細については下記を参照されたい)。
上記のワクチンは、小川血清型および稲葉血清型両方のO1抗原を含むコレラ菌O1細胞のほかには、免疫学的に活性なさらなる全細胞を全く含まないことが好ましい。しかし、上記のワクチンは、Dukoral(商標)と同様に、組換えCTBをさらに含んでもよい。
ワクチンは、好ましくは経口投与用であるが、注射によって投与されてもよい。好ましくは、ワクチンは、ホルマリンによって不活化された、小川血清型および稲葉血清型両方のO1抗原を含むコレラ菌O1細胞を含む。
ワクチンは、好ましくは、遺伝的に改変されたコレラ菌O1細胞、好ましくは、後述するような遺伝的に改変されたコレラ菌O1細胞を含む。
本発明のワクチンは、1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤、担体、希釈剤、およびアジュバントを含むワクチン組成物でよい。
本発明によるワクチン組成物の製剤形態は、当業者には周知である。薬学的に許容される適切な担体および/または希釈剤には、任意およびすべての従来の溶媒、分散媒、増量剤、固形担体、水溶液、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、ならびに等張化剤および吸収遅延剤などが含まれる。薬学的に活性な物質に対するこのような媒体および剤の使用は当技術分野において周知であり、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, Mack Publishing Company, Pennsylvania, USAに記載されている。任意の従来の媒体または剤が有効成分と不適合でない限り、本発明の薬学的組成物中でのその使用が企図される。補助的な有効成分もまた、本組成物中に組み込まれうる。
経口使用のためのワクチン組成物は、好ましくは細胞108〜1014個/ml、より好ましくは細胞1010〜1012個/ml、および最も好ましくは細胞約1011個/mlを含んでよい。
経口使用のためのワクチン組成物は、食品、飲料、または飼料(動物の免疫化における使用の場合)の栄養補給物として調製され得る。
ワクチン組成物は、当技術分野において公知のアジュバントを含んでもよく、またはアジュバントを全く含まなくてもよい。
ワクチンの使用
本発明は、好ましくはコレラおよび/または毒素原性大腸菌感染症(ETEC)に対する予防的免疫化における上記ワクチンの使用を開示する。好ましくは、ワクチンは、経口投与または舌下投与される。
本発明はまた、免疫化しようとする対象に上記のワクチンを投与する段階を含む、予防的免疫を誘導するための方法も開示する。好ましくは、予防的免疫は、コレラおよび/または毒素原性大腸菌感染症(ETEC)に対するものである。好ましくは、投与は経口的にまたは舌下で行われる。また、投与は、注射によって行われてもよい。
ワクチンは、好ましくは、ヒトおよび他の哺乳動物、例えばペット(ネコおよびイヌなど)または家畜(雌ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、およびブタなど)を免疫化するために使用される。
好ましくは、ワクチンは、細胞108〜1014個/用量、より好ましくは細胞1010〜1012個/用量、および最も好ましくは細胞約1011個/用量で経口投与される。
免疫化プロトコールは、単回投与からなってもよく、または2回もしくはそれ以上の投与を含んでもよい。好ましい態様において、防御的免疫を誘導するための初回免疫化プロトコールは、少なくとも7日間かつ約2ヶ月以下の期間を空けた1回目の投与および2回目の投与を含む。初回免疫化プロトコールの後、3年未満の間隔、好ましくは2年未満の間隔で行われる追加免疫投与によって、防御的免疫が所望の長さで維持され得る。初回投与から少なくとも1年が経過するまでは、追加免疫投与が行われないことが好ましい場合がある。
ワクチンの製造方法
a.小川血清型および稲葉血清型両方のO1抗原を含むコレラ菌O1細胞を提供する段階;ならびに
b.ホルマリン処理または熱処理などによって該細胞を死滅させる段階
を含む、ワクチンを製造するための方法が開示される。
好ましくは、死滅化は、ホルマリン処理によって実施される。好ましくは、細胞は、遺伝的に改変された細胞、好ましくは例えば後述の細胞である。
単一の不活化(死滅化)方法の使用を可能にするという利点を有することに加えて、ワクチンは、例えばDukoral(商標)の製造より公知である標準的プロトコールを用いて製造され得る。
ワクチン製造のために有用な遺伝的に改変された細胞およびそのような細胞を得るためのDNA構築物
ワクチン中に含まれる、小川血清型および稲葉血清型両方のO1抗原を含むコレラ菌細胞は、原則的には、彦島表現型の天然株から得ることができる。しかし、本発明者らが知っている限りでは、そのような株は極めて稀であり、そのような株は現在のところ一般の人々には入手不可能である。文献では、このような天然株は不安定であるとも記載されており、そのため、これらはワクチンの工業的生産用にはあまり有望ではない。
したがって、本発明者らは、遺伝子工学を用いて小川血清型および稲葉血清型両方のO1抗原を発現するコレラ菌細胞を誘導し、安定な彦島表現型の新規株を得た。この様式で誘導される細胞には、任意の所望の株(例えば、公知かつ十分に特徴付けられているワクチン株)を出発点として使用することができ、これにより実質的に生産が簡単になり、かつGMPの生産および法的認可のために必要な実験が合理化されるという利点もある。
本発明者らは、所望の彦島表現型を得るための重要な条件が、適切なレベルのWbeT酵素活性を得ることであることを本明細書において実証する。この文脈において、「適切」とは、細胞のWbeT酵素活性レベルが、該細胞が本質的に純粋に稲葉表現型のみを有する程は低くなく、かつ、該細胞が本質的に純粋に小川表現型のみを有する程は高くないことを意味する。
本発明の文脈において、細胞表面のO1抗原の10〜90%が小川型である(その結果として、残りが稲葉型である)ことが好ましい。より好ましくは、細胞表面のO1抗原の10〜80%、さらにより好ましくは10〜50%、さらにより好ましくは10〜40%、および最も好ましくは20〜30%が小川型である。
下記の実施例において示すように、上記で概説した適切な彦島表現型は、組換えDNA技術を使用した以下のいくつかの異なる戦略によって得ることができる:
a)酵素活性の低い変異WbeTタンパク質を、稲葉表現型の宿主において高レベルで発現させてもよく;
b)酵素活性の高いWbeTタンパク質を、稲葉型宿主において低レベルで発現させてもよく;または
c)小川型宿主の内因性WbeT遺伝子を、例えば相同組換えを用いて変異させ、得られるタンパク質の活性を適切に低下させてもよい。
d)稲葉型宿主の内因性WbeT遺伝子を、例えば相同組換えを用いて置換もしくは改変し、該遺伝子によって産生されるタンパク質の活性を適切に上昇させてもよい。
本発明は、上記の各戦略によって得られる細胞、ならびに上記の各戦略によって細胞を得るのに適したDNA構築物を開示する。
本明細書における開示から、上記に概説した戦略による所望のレベルのWbeT発現の達成が、多くの異なる様式で実現できることは、当業者には明らかである。例えば、WbeT導入遺伝子の発現レベルを誘導性プロモーター(cat、lac、またはtacなど)を用いることによって調節することができ、それにより、宿主細胞が曝露される誘導因子のレベルを調整することによって宿主細胞の培養期間中に発現レベルを調節することができる。
あるいは、いくつかの弱い構成的プロモーターおよび強い構成的プロモーターも公知であり、適切に改変されたWbeTタンパク質と共に使用してもよい。弱いプロモーターを用いて、高活性(例えば野生型;SEQ ID NO:6)のWbeTタンパク質の極めて低レベルの発現を構成的に誘導することができる。逆に、強い構成的プロモーターを用いて、低活性WbeTタンパク質(例えば、変異WbeTタンパク質、好ましくは後述するようなもの)の高レベルの発現を誘導することができる。
所望の表現型を実現するために、プラスミドおよび、染色体に組み込まれたwbeT導入遺伝子の両方を本発明の細胞中で使用することができる。
WbeTタンパク質の多くの異なる変異は、適切な活性を有するタンパク質を潜在的に生じ得、当業者は、本明細書における開示に基づく、日常的な実験のみによる当技術分野で周知の方法を用いて、このような変異した変種を容易に得ることができる。当業者は、例えば実施例5で開示する方法を用いて、変異WbeTタンパク質を発現させることによって所望の表現型の細胞が得られるか否かを容易に分析することができる。本発明者らは、WbeTタンパク質(SEQ ID NO:6)中のセリン158が、活性を調節するのに適した残基であると同定した。したがって、変異は、セリン158の置換を好ましくは含み、より好ましくは、セリン158からグリシン、プロリン、バリン、ロイシン、アラニン、トレオニン、メチオニン、トリプトファン、アルギニン、またはフェニルアラニンへの置換を含む。最も好ましくは、セリン158は、グリシン、プロリン、トレオニン、フェニルアラニン、またはトリプトファンで置換される。
ETEC定着因子(CF)タンパク質
上記から明らかであるように、本発明のワクチン(または正確に言えば、ワクチンのベースとなる細胞)はまた、稲葉血清型および小川血清型両方のO1抗原の発現の組み合わせに加えて、改善された他の特徴も含んでよい。特に、これらの細胞は、実施例7で実証するように、一重線毛、二重線毛、またはハイブリッド線毛のいずれかとして発現される、CFA/I、CS2、またはCS5などの1種または複数種のETEC定着因子(CF)タンパク質を発現してよい。ワクチン用の細胞中にこのようなCFタンパク質を含めることは、ETECに対する防御的免疫を誘導するために特に有用である。
本明細書に引用する参考文献はすべて、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
本明細書において使用される「含む」という表現は、言及された項目を含むがそれらに限定されるわけではないと理解されるべきである。
本発明は、非限定的なものとみなされるべき以下の実施例によってさらに例示される。
実施例1.小川血清型および稲葉血清型両方のO1抗原を含むコレラ菌細胞を含むワクチンの調製および検査
小川血清型および稲葉血清型両方のO1抗原を発現するように遺伝的に改変されたコレラ菌JS1569株(稲葉型)を含むワクチンが、小川型LPSおよび稲葉型LPSと反応する異なる比率の抗体で抗体応答を起こすかどうかを、ELISAにおいて、JS1569稲葉型親株による免疫化後の抗体応答と比べて検査した。
実施例2に由来する細菌(下記を参照されたい)は、ホルマリンで死滅させ、免疫化のために使用した。ホルマリンによる細菌の死滅化および経口免疫化ならびにアッセイ法は、以前に説明されているようにして実施した(Nygren E, Li BL, Holmgren J, Attridge SR. Infect Immun. 2009 Aug;77(8):3475-84)。簡単に説明すると、ホルマリンで死滅させた細胞3×108個(WbeT株のためのアジュバントと共に)の1日2回投与を2週間間隔で3回行ってBalb/cマウスを免疫化し、最後の免疫化から1週間後にマウスを屠殺して血清を採取し、稲葉型LPSまたは小川型LPSのいずれかでコーティングしたELISAプレートにおける合計したIgG/IgM抗体力価を検査した。
この結果を下記の表に示す。抗稲葉型力価が抗小川型力価よりもわずかに高かったJS1569稲葉型親株の抗体応答とは対照的に、JS1569/野生型Wbe S158Sワクチンの抗体応答では、抗稲葉型特異的抗体も少しは形成したが、抗稲葉型力価よりも抗小川型力価がはるかに高かったことが示されている。
Figure 0006178384
これらの知見は、アジュバント無しで皮下に免疫化を実施した場合に確認された。JS1569稲葉型親株による免疫化とは著しく異なり、かつ小川型A457参照株による免疫化により類似した、JS1569 WbeTによる免疫化は、下記の表に示すように、小川型特異的な抗体の比率が多い免疫血清を生じた。
Figure 0006178384
実施例2:変異WbeTタンパク質の発現により小川血清型および稲葉血清型両方のO1抗原を発現する、遺伝的に改変されたコレラ菌細胞:プラスミドに基づいた変異WbeTタンパク質の発現
GenBankにおける彦島株由来のwbeT遺伝子の1エントリには、タンパク質の158位のセリンをプロリンに変換する変異(S158P)が存在するが、同じ変異は、稲葉血清型であると同定された株においても記載されている(それぞれ、GenBankアクセッション番号FJ619106およびDQ401028)。プライマーwbeT1 EcoRI
Figure 0006178384
およびwbeT2 HindIII
Figure 0006178384
を用いてO1 El Tor小川型VX44945株から野生型wbeT遺伝子を増幅し、Eco31Iでこれを消化して、pAF1()に由来する発現ベクター中にクローニングし、ここで、クローニングされた遺伝子は、EcoRIおよびHindIIIで消化しておいた強力な合成tacプロモーターの制御下に置かれた。この遺伝子の配列を、プライマーwbe1
Figure 0006178384
およびwbe2
Figure 0006178384
を用いたプラスミドのDNA配列決定によって確認した。
野生型wbeT遺伝子のDNA配列をSEQ ID NO:5に示し、野生型タンパク質をSEQ ID NO:6に示す。
野生型wbeTを発現するプラスミド(pML-wbeTtac)の配列全体をSEQ ID NO:7に示す。
遺伝子産物のアミノ酸158位に変異を有するwbeTの変異体ライブラリーを構築するために、オリゴヌクレオチドwbeT m3
Figure 0006178384
およびwbeT m1
Figure 0006178384
を合成した。これら2つのオリゴヌクレオチドを等モル量で混合し、室温で一晩、アニールさせた。過剰なデオキシリボヌクレオチド3リン酸の存在下でT4 DNAポリメラーゼを用いて短いwbeT m3プライマーを伸長させることにより、完全長二重鎖DNAを作製した。得られた断片をBsp119IおよびVan91Iで消化し、同じ酵素で消化したpML-wbeTtac(SEQ ID NO:7)に連結した。連結したDNAを用いて、市販のエレクトロコンピテントな大腸菌株DH12S(Invitrogen)を形質転換させた。抗生物質選択を行わずにインキュベートした後、アンピシリン(100μg/ml)を追加した選択的LB寒天プレート上に少量のアリコートを塗布した。残りの細胞を新鮮なLBブロスで25mlに希釈した。最終濃度が100μg/mlとなるようにアンピシリンを添加し、クローンライブラリーを得るために培養物を37℃で一晩増殖させた。得られた培養物のアリコートに最終濃度が17%となるようにグリセロールを追加し、-70℃で保存した。他のアリコートはプラスミドDNAを調製するために使用した。
LB寒天プレート上で得られたコロニーを採取して新しいプレートに移し、コロニーを培養してプラスミドDNAを調製した。wbeT遺伝子が変異を有するかどうか判定するために、これらのプラスミドを配列決定した。このライブラリーから得られたwbeTの変異体は以下である:S158G、S158P、S158V、S158I、S158L、S158A、S158T、S158M、S158W、S158R、S158C、およびS158F。さらに、野生型遺伝子および158位に停止シグナルTGAを有する遺伝子も単離した。
様々なプラスミドを単離し、O1の古典的稲葉型株JS1569を形質転換するために使用した。この株は、タンパク質の219位のグリシン(GGA)が停止コドン(TGA)に変更された変異wbeT遺伝子を有し、これにより短縮型かつ不活性な産物を生じる(SEQ ID NO:10およびSEQ ID NO:11)。
全く重要ではないと思われる他の多型が存在する。
様々な組換えプラスミドの導入によって作製された様々な株が、誘導条件下(1mM IPTGの存在下)で増殖させた場合に、異なるレベルの小川型抗原を発現した。凝集アッセイ法に基づいて、および場合によっては阻害ELISAを用いて(材料および方法の説明については実施例5を参照されたい)、表現型を調べた。野生型遺伝子は、ほぼ全体的な血清型スイッチングを起こしたのに対し、他のもの(S158PおよびS158Gなど)は、小川型特異的抗血清とおよび稲葉型特異的抗血清と、わずかではあるが検出可能な凝集を示した(したがって、彦島血清型を与えた)。一部の変異体は、小川型特異的抗血清に対して検出可能な活性を有さなかった(S158IおよびS158C)が、さらにその他は中程度の凝集を示した(S158T、S158F、およびS158W)。
これらの結果から、wbeT遺伝子産物の変異、具体的には158位での変異により、酵素活性の改変されたタンパク質が生じることが、明らかに実証される。現在のところ、野生型と比べてこれら変異体の酵素活性レベルを定量的に直接測定するための信頼性が高いアッセイ法はないが、実施例5のように、関連する最終結果を容易に評価することができる。要約すると、S158CおよびS158Iを除くすべてが、宿主株の稲葉表現型をある程度まで補完することができた。
実施例3:変異WbeTタンパク質の発現により小川血清型および稲葉血清型両方のO1抗原を発現する、遺伝的に改変されたコレラ菌細胞:変異wbeTの染色体挿入
JS1569株の短縮型染色体wbeT遺伝子を、実施例2で作製した変異遺伝子で置換した。プライマーwbeT1 BlgII(SEQ ID NO:1)およびwbeT2 BglII(SEQ ID NO:2)を用いて、関連する変異遺伝子を増幅させた。増幅された断片をBglIIで消化し、BamHIで消化しておいた自殺ベクターpMT-SUICIDE(SEQ ID NO:12)に連結した。これは、M. Lebensが本発明者らの研究室で構築したR6Kベースの小型自殺ベクターであり、クロラムフェニコール耐性遺伝子と広宿主域プラスミドRP4由来の伝達起点(oriT)とを有し、ヘルパープラスミド(pNJ5000; Grinter NJ, Gene. 1983 Jan-Feb;21(1-2):133-43)の助けを借りてプラスミドがコレラ菌株に接合伝達されることを可能にするものである。
作製したクローンにおいて、wbeT遺伝子(S158Gおよび野生型)はどちらも、クローニングされる遺伝子がcat遺伝子と反対の向きになるように挿入された。このようなベクターの配列を、SEQ ID NO:13(野生型wbeT遺伝子を有する;S158Gのための構築物は、WbeT残基158をコードするヌクレオチドを除いて同一である)に例示する。
得られたプラスミドをJS1569株内に接合させ、クロラムフェニコール耐性およびリファンピシン耐性に基づいて選択した。該プラスミドの消失に関する対抗選択がないため、該プラスミドが相同組換えによって染色体中に挿入されると、該プラスミドによって隔てられたwbeT遺伝子のタンデムコピーが生じる。組換えが起こった部位に応じて、クローンは異なる表現型を示した(実施例5を参照されたい)。
野生型遺伝子が挿入された株(1342)は、明らかな彦島型の表現型を有していた。阻害ELISAにより、S158G変異体が挿入された株の表面では小川型LPSの15%しか発現しないことが示された。後者の株(1356)は実質的に、小川型特異的な抗血清で著しく凝集するが稲葉型特異的な抗血清では全く凝集しない、小川型株であった。
しかし、これらの株は非常に安定であり;これらはLPS血清型を保持し、選択が無い場合にでさえクロラムフェニコール耐性のままであったことから、該プラスミドは容易に消失しないことが示唆された。
wbe1プライマーおよびwbe2プライマー(それぞれSEQ ID NO:3および4)を用いたPCRおよび配列決定により、変化した株には、宿主中に存在する遺伝子と導入されたものとの間の変化部位において異なる2つの遺伝子が存在することが示された。wbeT遺伝子のタンデムコピーが存在する場合にのみ増幅を可能にするプライマーwbeTfor 87>
Figure 0006178384
およびwbeT rev 51<
Figure 0006178384
を用いた増幅および配列決定によって、近位の遺伝子(アミノ酸87番目から)の3'末端およびアミノ酸51番目までの遠位の遺伝子の5'末端ならびに間に挟まれたプラスミドを増幅することに成功した。wbeTfor 87>プライマーを用いた配列決定により、1342株では、天然のプロモーターに隣接したwbeT遺伝子が短縮型の宿主遺伝子であることが示された。遠位の遺伝子は野生型配列を有していたがプロモーターは有さなかった。野生型遺伝子が潜在的プロモーターから極めて低いレベルで発現されていたため、この配置により彦島表現型が得られた。
小川型1356株では、配置が異なっていた。組換えの結果、天然のwbeT遺伝子が天然のプロモーターから発現され、変異S158G遺伝子は遠位に配置され、したがってプロモーターには全く認識不可能となった。この遺伝子のコピーはどちらも、219位の停止コドンを失っているようであるが、この変異は表現型には明らかな影響を与えなかった。
実施例4:低レベルの天然WbeTタンパク質を発現させることにより小川血清型および稲葉血清型両方のO1抗原を発現する、遺伝的に改変されたコレラ菌細胞
実施例2で説明した変異wbeTに関する実験に関連して、野生型wbeTを有する対照プラスミドが、JS1569株の変異遺伝子を、それが誘導されていない場合でさえ部分的に補完できることに注目した。これにより、野生型遺伝子の存在下でさえ彦島血清型がもたらされたことから、発現レベルを制限することによって(この場合、tacプロモーターを抑制されたままにし、かつ誘導因子の非存在下で起こる突破的(breakthrough)発現のみを可能にすることによって)、該表現型を実現できることも実証された。
実施例3において、クローン1342は、潜在的プロモーターから発現される、染色体に組み込まれた野生型遺伝子を有しており、これによって彦島血清型が得られた。これらの結果から、野生型遺伝子を極めて低いレベルで発現させることによって彦島血清型がもたらされ得ることが裏付けられる。
実施例5:遺伝的に改変されたコレラ菌細胞の表現型の特徴付け
野生型WbeTメチラーゼタンパク質(JS1569/S158S株)または158位にS→G(JS1569/S158G株)もしくはS→A(JS1569/S158A株)の変異を有するWbeTタンパク質をコードする変異wbeT遺伝子のいずれかをコードするプラスミドを含むように改変しておいたコレラ菌JS1569株(稲葉型)をLB寒天プレート上で増殖させ、稲葉型O抗原および小川型O抗原にそれぞれ特異的な抗体による凝集について、単一コロニーを試験した。
これらの抗体は、精製した小川型LPSおよび稲葉型LPSそれぞれでウサギを最初に免疫化し、次いで、交差反応性抗体を除去するために、異種血清型のホルマリン死菌で血清を大規模に吸収させた後に得られた。吸収後、小川型特異的な抗血清は、小川血清型の参照コレラ菌細胞の著しい凝集を起こしたが、稲葉型細胞を凝集させることはできなかった。稲葉型特異的な血清については、逆もまた同様であった。
標準的な方法によって凝集試験を実施した。手短に言えば、試験株の新しいプレートから得た単一コロニーを生理食塩水緩衝液50〜100μlに懸濁し、懸濁液10μlを顕微鏡スライドに載せた。次いで、適切に希釈した特異的抗血清10μlを添加し、凝集がはっきりと視認できるようになるまで最長5分間、スライドを前後に傾けることによって細胞と混合した。各検査結果を、参照稲葉型株および参照小川型株に由来する細胞からなる陰性対照および陽性対照と比較した。
さらに、血清を緩衝液で置き換えた、自発的凝集に関する対照を、各試験株について実施した。結果を下記の表に示す。この結果から、野生型WbeTタンパク質をコードするプラスミドを含むJS1569/S158S株は稲葉血清型から小川血清型へと完全にスイッチングし、WbeTの158SがGへ変異したJS1569/S158G株は小川型を強く発現したものの稲葉型の反応性も検出可能であり、WbeTの158SがAへ変異したJS1569/S158Aはごくわずかな小川型の反応性しか有さないことが示された。
Figure 0006178384
これらの結果は、同じ株のホルマリン死菌を、同じ血清による凝集に関して試験した際に確認された。またこれは、ホルマリン死菌を、細菌表面における稲葉型抗原および小川型抗原の量的発現についてELISA阻害法によって試験した際にも確認され適用された。この方法は次のようにして実施した:5μg/mlの精製小川型LPSのPBS溶液をウェル1つ当たり100μl加えて一晩インキュベートすることによって、Greiner Bio-oneのHigh bindingプレートを小川型LPSでコーティングした。OD6001.00のホルマリン死菌200マイクロリットルで開始し;PBS中の5倍の連続希釈物7種を(1:15625まで希釈)、8種目として細胞を含まないブランク試験管と共に作製した。PBS、0.2%BSA中で適切に希釈した等量の抗小川型血清と各希釈物150マイクロリットルとを混合した。これらの試料を振盪せずに室温で1時間インキュベートした。コーティングされたプレートをPBSで2回洗浄し、ウェル1つ当たり200μlのPBS、0.1%BSAで30分間、37℃でブロッキングした。20,000xgで5分間遠心分離することによって懸濁液から細胞を除去し、ブロッキングしたプレートに上清100マイクロリットルを添加した。細胞も抗小川型血清も含まずPBS、0.1%BSAを含むブランクを全プレートに含め、試料はすべて2通りで試験した。室温で1時間、プレートをインキュベートし、次いで、PBS、0.05% Tween20で3回洗浄した。PBS、0.1%BSA、0.05%Tween20中で適切に希釈したヤギ抗ウサギIgG 100マイクロリットルを各ウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。PBS、0.05%Tween20でプレートを3回洗浄した後、pH4.5の0.1Mクエン酸中の0.1%オルトフェニレンジアミン(OPD)および0.012%H2O2の基質溶液を添加した。10分後、490nmの吸光度を読み取った。
下記の表に示す結果を用いて、50%阻害をもたらす細菌希釈率を推定し、1:25の細菌希釈物による吸光度阻害率(%)も推定した。これらの結果から、野生型WbeTをコードするwbeT遺伝子を含むJS1569/S158S株が特異的抗小川型血清を効率的に阻害できたのに対し、単一変異を有するwbeT遺伝子を含む株もまた、中程度の活性で(JS1569/S158G)またはやっと検出可能な程度に(JS1569/S158A)抗小川型血清を阻害できたことが示される。
Figure 0006178384
それぞれWbeTおよびS158Gをコードするプラスミドに基づく、JS1569の組換え派生株2種、すなわち1356(野生型WbeT)および1342(S158G WbeT)を得た。これらの派生株では、変異wbeT遺伝子が染色体中に安定に挿入されることにより、予想外であるが安定な表現型を与えていた。これらの株の説明および記載に関しては、上記の実施例を参照されたい。これらの株および適切な参照株を、小川型発現を分析するためにコロニーブロット法に供した。変異wbeT遺伝子を含む株を対照の稲葉型株および小川型株と共にLB寒天プレート上に区画分けして塗布し、37℃で一晩増殖させた。PBSで濡らしたニトロセルロース膜を、増殖したコロニーがあるプレート上に貼り付け、室温で15分間放置した。この膜を紙片の上で5分間放置して乾燥させた後、PBS中1%ウシ血清アルブミン(BSA)10mlによる室温で20分間のブロッキングを2回実施した。ブロッキング液を廃棄し、0.1%BSAおよび0.05%Tween20を含むPBSにおける抗小川型血清の適切な希釈物10mlで置き換えた。振盪台上で室温で2時間、膜をインキュベートした。次いで、0.05%Tween20を含むPBSで膜を3回洗浄した後、0.05%Tween20を含む0.1%BSA含有PBS中の西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ウサギIgG(Jackson Immunoresearch Laboratories Inc.)を添加し、穏やかに撹拌しながら室温で2時間インキュベートした。
PSB、0.05%Tween20中でさらに3回洗浄し、PBSのみで1回洗浄した後、500mM NaClおよび16.7%メタノールを含む20mM Tris-HCl(pH7.5)中の0.05%4-クロロ-1-ナフトールおよび0.015%H2O2を用いて15分間、膜を発色させた。次いで、それを水道水で入念に洗浄し、紙片上で放置して乾燥させた。発色した膜のデジタル写真を撮影し、コンピューターシステムを用いて染色密度を測定した。
表の結果から、1356株が小川型参照株とほぼ同じ多さの小川型抗原を発現したのに対し、1342株はそれより実質的に少ない量の小川型抗原を発現したことが示される。表にも示すように、これらの知見は、上記のように実施した阻害ELISAによって、これらの株のホルマリンで死滅させた調製物を小川型抗原の定量的発現に関して試験した際にさらに確認された。
Figure 0006178384
実施例6:彦島血清型を得るための内因性wbeT遺伝子の遺伝的改変
上記の実施例で提示した株は安定であり、所望の表現型を明らかに有しているが、彦島表現型を得る代替的な方法とは、内因性遺伝子において正確な(true)遺伝子置換を実施することである。内因性の活性なwbeT遺伝子産物の158位における適切な変異(上記のとおり)もまた、活性を減弱させ、したがって彦島血清型をもたらす。これにより、実施例5および最適な免疫原性特性に関する免疫化実験においてのように彦島型発現について試験できる、様々な小川型発現レベルを有する一連の変異体が生じると考えられる。
言及したように、pMT-SUICIDEベクターは適切な対抗選択遺伝子を欠き、該プラスミドを有さずかつ所望の遺伝子および表現型は保持している派生体を単離するのは難しいことが判明している。このため、枯草菌(Bacillus subtilis)由来のsacB遺伝子を有する新しい自殺ベクターを構築することにより、該プラスミドを失った株をショ糖含有プレート上での選択によって単離することを可能にした。これは、グラム陰性菌におけるsacB遺伝子産物の発現は致死的であるため、および、wbeT遺伝子の2つのコピー間での相同組換えが原因で該プラスミドを失った細胞に由来するコロニーのみが生き残ると考えられるためである。該プラスミドpMT-SUICIDE/sacB(SEQ ID NO:16)は、同じ機能を有する同等のプラスミドよりはるかに小さく、はるかに使いやすい。
野生型wbeT遺伝子およびいくつかの変異wbeT遺伝子をこの新しいベクター中にクローニングした。これらを、前記と同様にJS1569株ならびに適切な小川型株のような他の株内に接合させる。
正確なクローンを得る確率を最適化するために、トランス接合実験により得られた部分二倍体の遺伝子配置を解析した後、組換えによってプラスミドを失った株をさらに選択するために候補株を選択する。
実施例7:ハイブリッドCFA/I+CS2の発現
大腸菌TOP10株およびコレラ菌JS1569株が、ETECの主要定着因子の内の1つ、すなわちCFA/I線毛をそれらの表面で発現できることが最近示された(Tobias J, Lebens M, Bolin I, Wiklund G, Svennerholm AM. Vaccine. 2008 Feb 6;26(6):743-52)。CFA/Iを含む発現ベクターをエレクトロポレーションにより上記株に導入した後、ドットブロットアッセイ法によって表面での発現を検出した。
また、大腸菌TOP10がCFA/IおよびCS2(すなわち、ETECのさらなる主要定着因子)両方の主要サブユニットを含むハイブリッド線毛を発現できることも最近示された(Tobias J, Svennerholm AM, Holmgren J, Lebens M. Appl Microbiol Biotechnol. 2010 Jul;87(4))。
したがって、本発明者らは、コレラ菌JS1569における同じハイブリッド線毛の発現の実現可能性を検討した。前述の発現ベクターpJT-CFA/I-CotAでこの株をエレクトロポレーションした(Tobias et al. 2008, 前記; Tobias J, Holmgren J, Hellman M, Nygren E, Lebens M, Svennerholm AM. Vaccine. 2010 Aug 20. (印刷版に先立つ電子版))。
次いで、クロラムフェニコール(12.5μg/ml)およびIPTG(1mM)を添加したLBプレート2枚に50コロニー(クローン)を画線し、その後、37℃で一晩インキュベートした。次いで、CFA/Iに対する特異的モノクローナル抗体(MAb)1:6およびCS2に対するMAb10:3をコロニーブロットアッセイ(Tobias et al, 2010, 前記)に加えて、コレラ菌JS1569におけるハイブリッドCFA/I-CotA線毛の表面発現を検査した。次いで、これらのブロットを発色させ、試験したコレラ菌JS1569の50クローンすべてにおいて、ハイブリッドCFA/I-CS2線毛の表面発現についての陽性シグナルを示した。
したがって、小川血清型および稲葉血清型両方のO1抗原を発現するように操作された同一細胞において抗原性ハイブリッド線毛の発現を組み合わせることが可能である。

Claims (20)

  1. コレラ菌(Vibrio cholerae)O1宿主細胞においてタンパク質発現を誘導するのに適したプロモーターに機能的に連結された、SEQ ID NO:6に対して少なくとも90%の配列同一性を有するWbeTタンパク質をコードするDNAを含む、DNA構築物であって、以下を特徴とする、DNA構築物:
    a.該DNA構築物によってコードされるWbeTタンパク質が、SEQ ID NO:6に対する配列改変を含むこと;
    b.該配列改変がSEQ ID NO:6の158位のセリン残基の、グリシン、プロリン、トレオニン、フェニルアラニン、またはトリプトファンへの置換を含むこと;および
    c.該置換が、SEQ ID NO:6と同一の配列を有するタンパク質の酵素活性と比べて、該DNA構築物によってコードされるタンパク質の酵素活性を低下させること。
  2. 前記プロモーターが、tacプロモーター、lacプロモーター、または誘導性プロモーターである、請求項1記載のDNA構築物。
  3. 宿主細胞において複製が可能なプラスミドベクター、または宿主細胞において染色体組込みが可能なベクターである、請求項1または2記載のDNA構築物。
  4. 選択マーカーをさらに含む、請求項1〜のいずれか一項記載のDNA構築物。
  5. 請求項1〜のいずれか一項記載のDNA構築物が、相同組換えを用いた宿主の内因性wbeT遺伝子の改変に適合化されていることを特徴とする、コレラ菌O1宿主細胞における相同組換えのためのDNA構築物。
  6. 請求項1〜のいずれか一項記載のDNA構築物をコレラ菌O1細胞に導入する段階
    を含む、稲葉型抗原および小川型抗原の両方を同時に発現するコレラ菌O1細胞を調製する方法。
  7. 以下を特徴とする、稲葉型抗原および小川型抗原の両方を同時に発現するコレラ菌O1細胞:
    a.該細胞の内因性wbeT遺伝子またはそのコードされるタンパク質が不活性であること;
    b.該細胞が、WbeT酵素活性の発現を誘導する組換えDNA構築物を含むこと;
    c.該組換えDNA構築物が、請求項1〜のいずれか一項記載のDNA構築物であること;ならびにここで、
    d.該DNA構築物によってコードされるWbeTタンパク質の酵素活性のレベルが、稲葉型抗原および小川型抗原を該細胞が同時に発現するようなレベルであること。
  8. 以下を特徴とする、稲葉型抗原および小川型抗原の両方を同時に発現するコレラ菌O1細胞:
    a.該細胞の内因性wbeT遺伝子が、請求項記載のDNA構築物を用いた相同組換えによって改変されていること;ならびにここで、
    b.該DNA構築物によってコードされるWbeTタンパク質の酵素活性のレベルが、稲葉型抗原および小川型抗原を該細胞が同時に発現するようなレベルであること。
  9. 前記細胞によって発現されるO1抗原の10〜90%が小川血清型である、請求項または記載のコレラ菌O1細胞。
  10. 前記細胞が1種または複数種のETEC定着因子(CF)タンパク質をさらに発現する、請求項のいずれか一項記載のコレラ菌O1細胞。
  11. a.小川血清型および稲葉血清型両方のO1抗原を含むコレラ菌O1細胞を提供する段階であって、該細胞が請求項10のいずれか一項記載の細胞である、段階;ならびに
    b.該細胞を死滅させる段階
    を含む、ワクチンを製造するための方法。
  12. 死滅段階がホルマリン処理によって実施される、請求項11記載の方法。
  13. コレラ菌(Vibrio cholerae)O1細胞を含むワクチンであって、該細胞が小川血清型および稲葉血清型両方のO1抗原を含み、かつ請求項10のいずれか一項記載の細胞であることを特徴とする、ワクチン。
  14. 小川血清型および稲葉血清型両方のO1抗原を含む複数のコレラ菌O1細胞を含む前記ワクチンであって、該細胞のO1抗原の平均で10〜90%が小川血清型である、請求項13記載のワクチン。
  15. 前記細胞が1種または複数種のETEC定着因子(CF)タンパク質をさらに含む、請求項13または14記載のワクチン。
  16. 小川血清型および稲葉血清型両方のO1抗原を含むコレラ菌O1細胞のほかには、免疫学的に活性なさらなる全細胞を全く含まないことを条件とする、請求項1315のいずれか一項記載のワクチン。
  17. 経口投与用である、請求項1316のいずれか一項記載のワクチン。
  18. 前記細胞がホルマリンによって不活化されている、請求項1317のいずれか一項記載のワクチン。
  19. 予防的免疫化において使用するための、請求項1318のいずれか一項記載のワクチン。
  20. コレラおよび/または毒素原性大腸菌感染症(ETEC)に対する予防的免疫化において使用するための、請求項1319のいずれか一項記載のワクチン。
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