JP6982552B2 - 錠剤及びその製造方法 - Google Patents

錠剤及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6982552B2
JP6982552B2 JP2018118840A JP2018118840A JP6982552B2 JP 6982552 B2 JP6982552 B2 JP 6982552B2 JP 2018118840 A JP2018118840 A JP 2018118840A JP 2018118840 A JP2018118840 A JP 2018118840A JP 6982552 B2 JP6982552 B2 JP 6982552B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
tablet
powder
chitosan
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018118840A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019216683A (ja
Inventor
洋介 一宮
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd
Original Assignee
Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd filed Critical Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd
Priority to JP2018118840A priority Critical patent/JP6982552B2/ja
Publication of JP2019216683A publication Critical patent/JP2019216683A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6982552B2 publication Critical patent/JP6982552B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Description

本発明は、一定以上の硬度を保ちながらも水中で素早く分散しうる錠剤、及びその製造方法に関する。
有効成分を含む粉末を錠剤成型して得られる錠剤については、輸送時や保管時に包装内で割れ、欠け、摩損等の不具合が生じないように、一定以上の硬度を有することが求められている。さらに、錠剤に対しては、水中において適切な時間内で分散する分散性を有することも求められている。しかしながら、錠剤の硬度と分散性は、いわゆるトレードオフの関係にあるため、両立させることは一般的には困難であるとされている。
キトサン等の多くの食物繊維の形状は繊維状であるために、粉体流動性が悪く、そのままでの状態では錠剤にすることが困難である。また、キトサンは嵩比重が小さいため、キトサンの充填量には限界があるとともに、得られる錠剤は摩損しやすくなる傾向にある。したがって、キトサン等の食物繊維を含有する錠剤を成型するには、通常、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステルなどの滑沢剤を添加するか、又は結晶乳糖、結晶セルロースなどの流動性のよい賦型剤と混合して打錠する。しかし、滑沢剤などの他の成分と混合して成型すれば、食物繊維の含有量が少なくなる。このため、流動性を高めつつ、得られる錠剤中の食物繊維の量を増やすことが可能な錠剤の製造方法の開発が望まれていた。
従来、有効成分と、崩壊剤や賦形剤などの助剤成分との配合バランスを調整することで、一定以上の硬度と分散性を兼ね備えた錠剤製造することが検討されている。例えば、カルシウム素材を成型助剤として配合して硬度を高めた錠剤が提案されている(特許文献1)。また、カルシウム粉末素材及び結晶セルロースを配合し、打錠して得られる、硬度及び崩壊性を改良したキトサン含有錠剤が提案されている(特許文献2)。さらに、炭酸カルシウム、セルロース、及びサポニンを所定の比率で配合した、崩壊性に優れたキトサン含有錠剤が提案されている(特許文献3)。さらに、N−アセチルグルコサミンを30〜90質量%含有する口腔内崩壊型の錠剤(特許文献4)や、キトサン、カルシウム素材、及び有機酸を含む錠剤(特許文献5)が提案されている。
特許第4132870号公報 特開2004−262860号公報 特許第4824213号公報 特許第4403182号公報 特許第3737881号公報
しかしながら、特許文献1及び2で提案された錠剤は、いずれもある程度の硬度を有するものの、崩壊性が未だ不十分であり、さらなる改良の余地があった。また、これらの錠剤を製造するには有効成分以外の特定の成分を成型助剤として配合する必要があるため、有効成分の含有量が相対的に減少する傾向にあるといった課題もあった。さらに、特許文献3においては、得られる錠剤の硬度については何ら検討されていない。また、特許文献4においては咀嚼時における錠剤の崩壊時間について検討されているが、水中での崩壊性については何ら検討されていない。さらに、特許文献5で提案された錠剤は、有機酸とカルシウム素材をキトサン以外の成分として含むため、キトサンの含有量が少ないものであった。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、一定以上の硬度を保ちながらも水中で速やかに分散しうる、キトサン等の不溶性食物繊維を主成分とする錠剤、及びその製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明によれば、以下に示す錠剤が提供される。
[1]キチン及びキトサンの少なくともいずれかの粉末成分を含有するとともに、全固形分に占める前記粉末成分の割合が10質量%以上であり、前記粉末成分の粒度が、80メッシュの篩をパスする粒度であり、硬度が10〜30kgfであり、撹拌状態の37℃の水に投入してから、その原形を目視により観察できなくなるまでの時間が、120秒以内である錠剤(但し、賦形剤を含有するものを除く)
[2]前記粉末成分が、脱アセチル化度が70%以上のキトサンの粉末である前記[1]に記載の錠剤。
[3]前記粉末成分が、セルロースの粉末をさらに含む前記[1]又は[2]に記載の錠剤。
[4]滑剤をさらに含有する前記[1]〜[3]のいずれかに記載の錠剤。
[5]経口用錠剤である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の錠剤。
また、本発明によれば、以下に示す錠剤の製造方法が提供される。
[6]前記[1]〜[5]のいずれかに記載の錠剤の製造方法であって、80メッシュの篩をパスする粒度である、キチン及びキトサンの少なくともいずれかの粉末成分と水を混合し、下記式(1)で表される水添加率が200〜400質量%である含水原料を得る工程と、得られた前記含水原料を加熱条件下で撹拌した後、乾燥及び分級して、含水率が15質量%以下である乾燥粉末を得る工程と、得られた前記乾燥粉末を含有する成型原料を成型して錠剤を得る工程と、を有する錠剤の製造方法。
水添加率(質量%)=(W/P)×100 ・・・(1)
P:粉末成分の量(g)
W:添加する水の量(g
本発明によれば、一定以上の硬度を保ちながらも水中で速やかに分散しうる、キトサン等の不溶性食物繊維を主成分とする錠剤、及びその製造方法を提供することができる。
<錠剤>
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明の錠剤は、キチン及びキトサンの少なくともいずれかの粉末成分を含有するとともに、全固形分に占める粉末成分の割合が10質量%以上である。以下、その詳細について説明する。
(粉末成分)
本発明の錠剤に用いる粉末成分は、キチン及びキトサンの少なくともいずれかである。キチンは、2−アセトアミド−2−デオキシ−D−グルコース(N−アセチルグルコサミン)を構成単位とする塩基性多糖類(β−(1→4)−2−アセトアミド−2−デオキシ−β−D−グルコース)である。また、キトサンはキチンの脱アセチル化物であり、2−アミノ−2−デオキシ−D−グルコース(グルコサミン)を構成単位とする塩基性多糖類(β−(1→4)−2−アミノ−2−デオキシ−β−D−グルコース)である。また、本発明の錠剤に用いる粉末成分は、セルロースの粉末をさらに含むことが好ましい。キチン、キトサン、及びセルロースは、いずれも工業的に生産されており、種々のグレードのものをそれぞれ入手することができる。本発明においては、キチン及びキトサンの少なくともいずれかを用いることが、脂肪吸収阻害効果、降コレステロール作用、血圧低下効果、血中尿酸レベル低下効果、重金属吸着能等の種々の生理活性を錠剤に付与しうるために好ましい。
キチン及びキトサンは、食物繊維、LDLコレステロール値低減、及び尿酸値低減などの機能を発揮しうる有効成分であり、いわゆる不溶性食物繊維である。キチン及びキトサンの重量平均分子量については特に限定されない。キチン及びキトサンの重量平均分子量は、例えば、7,000〜3,000,000であることが好ましく、10,000〜2,000,000であることがさらに好ましい。但し、食物繊維、LDLコレステロール値低減、及び尿酸値低減などの機能をより有効に発揮させるには、キチン及びキトサンの分子量は大きい方が好ましい。特に、消化管内で老廃物、胆汁酸、尿酸等と吸着して機能を発揮させる場合には、水に溶けない程度の分子量のキチン及びキトサンを用いることが好ましい。
粉末成分としては、キトサンを用いることがさらに好ましい。キトサンの脱アセチル化度は、70%以上であることが好ましく、75〜99%であることがさらに好ましい。脱アセチル化度が70%以上のキトサンを用いると、食物繊維、LDLコレステロール値低減、及び尿酸値低減などの機能をより有効に発揮させることができる。
キトサンの脱アセチル化度は、コロイド滴定を行い、その滴定量から算出することができる。具体的には、指示薬にトルイジンブルー溶液を用い、ポリビニル硫酸カリウム水溶液でコロイド滴定することにより、キトサン分子中の遊離アミノ基を定量し、キトサンの脱アセチル化度を求める。脱アセチル化度の測定方法の一例を以下に示す。
(1)滴定試験
0.5質量%酢酸水溶液にキトサン純分濃度が0.5質量%となるようにキトサンを添加し、キトサンを撹拌及び溶解して100gの0.5質量%キトサン/0.5質量%酢酸水溶液を調製する。次に、この溶液10gとイオン交換水90gを撹拌混合して、0.05質量%のキトサン溶液を調製する。さらに、この0.05質量%キトサン溶液10gにイオン交換水50mL、トルイジンブルー溶液約0.2mLを添加して試料溶液を調製し、ポリビニル硫酸カリウム溶液(N/400PVSK)にて滴定する。滴定速度は2〜5ml/分とし、試料溶液が青から赤紫色に変色後、30秒間以上保持する点を終点の滴定量とする。なお、キトサン純分とは、原料キトサン試料中のキトサンの質量を意味する。具体的には、原料キトサン試料を105℃で2時間乾燥して求められる固形分質量である。
(2)空試験
上記の滴定試験に使用した0.5質量%キトサン/0.5質量%酢酸水溶液に代えて、イオン交換水を使用し、同様の滴定試験を行う。
(3)アセチル化度の計算
X=1/400×161×f×(V−B)/1000
=0.4025×f×(V−B)/1000
Y=0.5/100−X
X:キトサン中の遊離アミノ基質量(グルコサミン残基質量に相当)
Y:キトサン中の結合アミノ基質量(N−アセチルグルコサミン残基質量に相当)
f:N/400PVSKの力価
V:試料溶液の滴定量(mL)
B:空試験滴定量(mL)
脱アセチル化度(%)
=(遊離アミノ基)/{(遊離アミノ基)+(結合アミノ基)}×100
=(X/161)/(X/161+Y/203)×100
なお、「161」はグルコサミン残基の分子量、「203」はN−アセチルグルコサミン残基の分子量である。
本発明の錠剤に含まれる全固形分に占める粉末成分の割合は、10質量%以上であり、好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。全固形分に占める粉末成分の割合が10質量%未満であると、キトサン等の有効成分の錠剤中の量が少ない。なお、錠剤中の全固形分に占めるキトサン等の粉末成分の割合の上限については特に限定されず、100質量%(すなわち、固形分のすべてがキトサン等の粉末成分)であってもよい。
粉末成分の粒度は、80メッシュの篩をパスする粒度(80メッシュパス)であり、好ましくは100メッシュの篩をパスする粒度(100メッシュパス)である。80メッシュの篩をパスしない粒度(80メッシュオン)の粉末成分を用いると、錠剤成型しにくくなり、得られる錠剤の硬度が低下する。なお、篩の「メッシュ」は、1平方インチ当たりの篩の目の数を意味し、JIS Z 8801:2006に規定されている標準篩によるものである。粉末成分の粒度は、特定の目開きのメッシュを備えた振動篩機を使用して篩い分けすることで適宜調整することができる。
(その他の成分)
本発明の錠剤は、上記の粉末成分以外の成分(その他の成分)を含有してもよい。その他の成分としては、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、着色剤、着香剤、矯味剤、矯臭剤、乳化剤、分散剤、防腐剤などの、一般的な錠剤を構成するために用いられる各種成分を挙げることができる。
賦形剤としては、例えば、結晶セルロース、プルラン、ブドウ糖、グアーガム、キサンタンガム、ソルビトール、マンニトール、澱粉、デキストリン、乳糖、還元麦芽糖、エリスリトール、キシリトール、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなどを挙げることができる。また、水と混合する前のキチン粉砕物やキトサン粉砕物を賦形剤として使用することもできる。キトサン粉砕物等を打錠すると、繊維の絡まりによって硬度が非常に高くなる。このため、そのような特性を生かし、キトサン粉砕物等を賦形剤として利用することができる。具体的には、水と混合した後に乾燥したキトサン処理物等と、水と混合していないキトサン粉砕物等を混合することで、得られる錠剤の硬度と水中分散性のバランスを制御することができる。
滑沢剤としては、例えば、卵殻粉末、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ポリビニルピロリドン、植物硬化油などを挙げることができる。
さらに、上記成分の他、必要に応じて、水溶性ビタミン(ビタミンB1、B2、B6、B12、C等)、脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E等)、コラーゲン、イチョウ葉エキス、オリゴ糖、アセロラエキス、アロエエキス、ローヤルゼリー、アセトアミノフェン、アセチルサリチル酸、イブプロフェン、トラマドール、ベンズブロマロン、プロベネシド、スルフィンピラゾン、ブコローム、ロサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、オルメサルタン、イルベサルタン、アジルサルタン、メフェナム酸、カンデサルタン等を配合することもできる。
また、錠剤成型後にセラック等のコーティング剤を用いてコーティングし、コーティング錠剤としてもよい。コーティング剤の量は特に限定されないが、錠剤に対して0.1〜2.0質量%とすることが好ましい。コーティング方法としては、コーティング剤を錠剤に噴霧して乾燥させる方法や、糖衣機などを使用する方法などがある。
<錠剤の製造方法>
次に、上述の錠剤の製造方法について説明する。本発明の錠剤の製造方法は、80メッシュの篩をパスする粒度である、キチン及びキトサンの少なくともいずれかの粉末成分と水を混合し、下記式(1)で表される水添加率が200〜400質量%である含水原料を得る工程(工程(1))と、得られた含水原料を乾燥及び分級して、含水率が15質量%以下である乾燥粉末を得る工程(工程(2))と、得られた乾燥粉末を含有する成型原料を成型して錠剤を得る工程(工程(3))と、を有する。以下、その詳細について説明する。
水添加率(質量%)=(W/P)×100 ・・・(1)
P:粉末成分の量(g)
W:添加する水の量(g)
(工程(1))
工程(1)では、その粒度が80メッシュパスである粉末成分と水を混合し、水添加率が200〜400質量%である含水原料を得る。粉末成分と水を混合することで、粉末成分(キトサン粒子、キチン粒子)の粒子表面を処理することができる。これにより、最終的に得られる錠剤の分散性を向上させることができる。なお、80メッシュオンの粉末成分を用いると、成型が困難になる。また、工程(1)や、後述する工程(2)を実施することなく、キチンやキトサンの粗体をカッターミルやジェットミル等によって粉砕処理して得た粉末成分をそのまま用いて錠剤成型すると、得られる錠剤が水中で分散しにくくなり、分散時間が長くなる。
粉末成分と水を混合して得る含水原料の水添加率は200〜400質量%であり、好ましくは300〜400質量%である。含水原料の水添加率が200質量%未満であると、錠剤の硬度と水分散性のバランスをとることが困難になる。特に、含水原料の水添加率が100質量%以上200質量%未満であると、得られる錠剤の硬度が高くならない。一方、含水原料の水添加率が400質量%超であると、粉末成分と水を含む混合物がひと纏まりになりやすいため、作業性が低下する。
粉末成分と水を混合するには、混合機を用いることができる。混合機の種類は特に限定されないが、例えば、ニーダー、円筒型混合機、V型混合機、スクリュー型混合機などを用いることができる。
粉末成分と水を混合した後には、加熱条件下で撹拌して含水原料を得ることが好ましい。加熱温度は特に制限されないが、80℃以下とすることが好ましい。粉末成分と水を含む混合物を加熱条件下で撹拌すると、非加熱条件下で撹拌する場合と比べて、錠剤成型時に一定の硬度を保持し、かつ、水中で速やかに分散する錠剤特性を短時間で付与することが可能である。
(工程(2))
工程(2)では、工程(1)で得た含水原料を乾燥及び分級して乾燥粉末を得る。乾燥粉末の含水率は15質量%以下、好ましくは12質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下とする。含水原料を乾燥して得られる乾燥粉末の含水率が15質量%超であると、長期保管した際に、メイラード反応等による着色及び低分子化反応が起こりやすくなる。
含水原料は、加熱条件下で乾燥してもよく、減圧条件下で乾燥してもよい。また、混合しながら乾燥してもよいし、混合機から取り出して静置状態で乾燥してもよい。含水原料を加熱条件下で乾燥すると、非加熱条件下で乾燥する場合と比べて、乾燥時間を短縮することができるために好ましい。
(工程(3))
工程(3)では、工程(2)で得た乾燥粉末を含有する成型原料を成型する。これにより、本発明の錠剤を得ることができる。乾燥粉末のみを成型原料として用いてもよく、乾燥粉末とその他の成分を配合して成型原料を調製してもよい。その他の成分としては、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、着色剤、着香剤、矯味剤、矯臭剤、乳化剤、分散剤、補助剤、防腐剤、緩衝剤などの、一般的な錠剤を構成するための前述の各種成分を用いることができる。また、錠剤は、打錠機などの錠剤成型機を用いる一般的な錠剤成型法により成型原料を打錠することによって製造することができる。
(錠剤の物性)
上記の製造方法によって製造される本発明の錠剤(例えば、乾燥粉末を含有する成型原料を、圧縮機を用いて2tfの圧縮圧で成型して得られる、直径8mm、200mgの円柱形状の錠剤)の硬度(錠剤硬度)は、8〜30kgfであり、好ましくは10kgf以上である。すなわち、本発明の製造方法によって製造される錠剤は硬度が十分に高いため、輸送時や保管時に包装内で割れ、欠け、摩損等の不具合が発生しにくい。本明細書における錠剤の硬度(錠剤硬度)は、錠剤硬度計(例えば、商品名「モンサント錠剤硬度計 B型」、富士理化工業社製)を使用し、錠剤を水平方向に圧縮破断する際に要した荷重(単位;kgf)である。なお、各処方につき5回測定した平均値を錠剤硬度とした。
上記の製造方法によって製造される本発明の錠剤の37℃の水中における分散時間は、好ましくは120秒以内であり、さらに好ましくは60秒以内、特に好ましくは30秒以内である。すなわち、本発明の製造方法によって製造される錠剤は、一定以上の硬度を保ちながらも水中で素早く分散しうる、分散性に優れたものである。このため、本発明の錠剤は、輸送時や保管時に包装内で割れ、欠け、摩損等の不具合が生じがたいとともに、水中での分散性が良好であるので、例えば、経口用錠剤、口腔内崩壊錠剤、チュアブル錠剤、分散錠剤、健康食品、農業用資材、家畜用飼料、化粧料、凝集剤等として好適である。なお、錠剤の分散時間は、以下に示す手順にしたがって測定される値(単位:秒)である。
[分散時間の測定]
100mLビーカーに37℃の水を約80mL入れ、2cmのマグネットスターラーにて400rpmの回転速度で撹拌しつつ、水面より2cmの高さから錠剤を投入する。錠剤が水と接触してから、膨潤及び分散し、錠剤の原形が目視で確認できなくなるまでの時間を5回測定し、その平均値を分散時間(単位:秒)とする。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下、「部」及び「%」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
<粉末の調製>
(製造例1)
重量平均分子量100万、脱アセチル化度85%のキトサン粗体をジェットミルで粉砕し、100メッシュパス、含水率8%のキトサン粉末を得た。
(製造例2)
重量平均分子量150万、脱アセチル化度91%のキトサン粗体をジェットミルで粉砕し、80メッシュパス、含水率7%のキトサン粉末を得た。
(製造例3)
重量平均分子量150万、脱アセチル化度91%のキトサン粗体をジェットミルで粉砕し、60メッシュパスであるとともに、80メッシュオンである(80メッシュの篩を通過しない)、含水率12%のキトサン粉末を得た。
(製造例4)
重量平均分子量150万、脱アセチル化度5%のキチン粗体をカッターミルで粉砕し、80メッシュパス、含水率9%のキチン粉末を得た。
(製造例5)
重量平均分子量100万のセルロース粗体をカッターミルで粉砕し、80メッシュパスのセルロース粉末を得た。得られたセルロース粉末100部及び水150部をニーダーに入れ、水添加率150%の含水原料を得た。ニーダーの蓋をした状態で80℃に加熱して1時間撹拌した後、蓋を開けた状態とし、80℃の加熱と撹拌を継続しながら乾燥させた。その後、80メッシュの篩で分級して、含水率7%のセルロース粉末を得た。
(製造例6)
製造例1で得たキトサン粉末100部及び水300部をニーダーに入れ、水添加率300%の含水原料を得た。ニーダーの蓋をした状態で80℃に加熱して1時間撹拌した後、ホーロー皿に取り出してインキュベーター内に静置した。80℃に加熱して乾燥させた後、80メッシュの篩で分級して、含水率9%のキトサン粉末を得た。
(製造例7)
製造例2で得たキトサン粉末100部及び水350部をニーダーに入れ、水添加率350%の含水原料を得た。ニーダーの蓋をした状態で80℃に加熱して1時間撹拌した後、蓋を開けた状態とし、80℃の加熱と撹拌を継続しながら乾燥させた。その後、100メッシュの篩で分級して、含水率7%のキトサン粉末を得た。
(製造例8)
製造例2で得たキトサン粉末100部及び水250部をビニール袋に入れ、水添加率250%の含水原料を得た。ビニール袋の口を締め、上下左右に15分間振って内容物を混合した後、ホーロー皿に取り出して減圧乾燥機内に静置した。加熱することなく減圧乾燥した後、100メッシュの篩で分級して、含水率8%のキトサン粉末を得た。
(製造例9)
製造例4で得たキチン粉末100部及び水150部をビニール袋に入れ、水添加率150%の含水原料を得た。ビニール袋の口を締め、上下左右に15分間振って内容物を混合した後、ホーロー皿に取り出してインキュベーター内に静置した。80℃に加熱して乾燥させた後、80メッシュの篩で分級して、含水率10%のキトサン粉末を得た。
(製造例10)
製造例2で得たキトサン粉末100部及び水500部をニーダーに入れ、水添加率500%の含水原料を得た。ニーダーの蓋をした状態で撹拌したところ、キトサンペーストがニーダーの回転軸に集まってひと纏まりとなった。これにより、ハンドリング性が著しく低下し、回収困難な状態となった。
(製造例11)
製造例3で得たキトサン粉末100部及び水350部をニーダーに入れ、水添加率350%の含水原料を得た。ニーダーの蓋をした状態で80℃に加熱して1時間撹拌した後、蓋を開けた状態とし、80℃の加熱と撹拌を継続しながら乾燥させて、含水率7%のキトサン粉末を得た。
<錠剤の製造>
(実施例1)
打錠機(商品名「HANDTAB−100」、市橋精機社製、杵臼の直径:8mm)を使用し、製造例6で得たキトサン粉末200mgに2tfの打錠圧をかけて打錠して、円柱型の錠剤を得た。
(実施例2、参考例3〜6、参考例1、比較例1〜7)
表1−1〜1−2に示す種類及び量のキトサン粉末、キチン粉末、セルロース粉末、結晶セルロース(商品名「Comprecel」(伏見製薬所社製)、食品添加物)、及びショ糖脂肪酸エステル(商品名「DKエステル」(第一工業製薬社製)、食品添加物)をそれぞれ用いたこと以外は、実施例1と同様にして円柱型の錠剤を得た。
<評価(1)>
(硬度の測定)
錠剤硬度計(商品名「モンサント錠剤硬度計 B型」、富士理化工業社製)を使用し、錠剤を水平方向に圧縮破断する際に要した荷重(単位;kgf)を測定した。各処方につき5回測定した荷重の平均値を錠剤硬度とした。結果を表1−1〜1−2に示す。
(分散時間の測定)
100mLビーカーに37℃の水を約80mL入れ、2cmのマグネットスターラーを用いて400rpmの回転速度で撹拌した。次いで、水面から2cmの高さから錠剤を投入し、錠剤が水と接触してから、膨潤及び分散して錠剤の原形が目視で確認できなくなるまでの時間を5回測定し、その平均値を分散時間(単位:秒)とした。結果を表1−1〜1−2に示す。
Figure 0006982552
Figure 0006982552
<評価(2)>
実施例1で製造した錠剤を舌に乗せ、上顎に軽く押し付けた。錠剤が口中で完全に分散するまでの時間を測定したところ、15秒であった。また、参考例5で製造した錠剤を舌に乗せ、上顎に軽く押し付けた。錠剤が口中で完全に分散するまでの時間を測定したところ、30秒であった。
本発明の製造方法によって製造される錠剤は、例えば、経口用錠剤として有用である。

Claims (6)

  1. キチン及びキトサンの少なくともいずれかの粉末成分を含有するとともに、全固形分に占める前記粉末成分の割合が10質量%以上であり、
    前記粉末成分の粒度が、80メッシュの篩をパスする粒度であり、
    硬度が10〜30kgfであり、
    撹拌状態の37℃の水に投入してから、その原形を目視により観察できなくなるまでの時間が、120秒以内である錠剤(但し、賦形剤を含有するものを除く)
  2. 前記粉末成分が、脱アセチル化度が70%以上のキトサンの粉末である請求項1に記載の錠剤。
  3. 前記粉末成分が、セルロースの粉末をさらに含む請求項1又は2に記載の錠剤。
  4. 剤をさらに含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の錠剤。
  5. 経口用錠剤である請求項1〜4のいずれか一項に記載の錠剤。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の錠剤の製造方法であって、
    80メッシュの篩をパスする粒度である、キチン及びキトサンの少なくともいずれかの粉末成分と水を混合し、下記式(1)で表される水添加率が200〜400質量%である含水原料を得る工程と、
    得られた前記含水原料を加熱条件下で撹拌した後、乾燥及び分級して、含水率が15質量%以下である乾燥粉末を得る工程と、
    得られた前記乾燥粉末を含有する成型原料を成型して錠剤を得る工程と、
    を有する錠剤の製造方法。
    水添加率(質量%)=(W/P)×100 ・・・(1)
    P:粉末成分の量(g)
    W:添加する水の量(g)
JP2018118840A 2018-06-22 2018-06-22 錠剤及びその製造方法 Active JP6982552B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018118840A JP6982552B2 (ja) 2018-06-22 2018-06-22 錠剤及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018118840A JP6982552B2 (ja) 2018-06-22 2018-06-22 錠剤及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019216683A JP2019216683A (ja) 2019-12-26
JP6982552B2 true JP6982552B2 (ja) 2021-12-17

Family

ID=69094527

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018118840A Active JP6982552B2 (ja) 2018-06-22 2018-06-22 錠剤及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6982552B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20210119906A (ko) * 2020-03-25 2021-10-06 주식회사 삼양홀딩스 포말리도마이드의 경구용 정제 조성물 및 이의 제조 방법

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS597117A (ja) * 1982-07-02 1984-01-14 Teijin Ltd キトサン類を用いた製剤
JP2004262860A (ja) * 2003-03-03 2004-09-24 Fancl Corp キトサン含有錠剤及びその製造方法
JP6654012B2 (ja) * 2015-09-30 2020-02-26 小林製薬株式会社 キトサン及び/又はキチンを含有する錠剤
JP5969680B1 (ja) * 2015-10-28 2016-08-17 日本化薬フードテクノ株式会社 キトサン粉末及びその製造方法、並びにキトサン含有製剤

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019216683A (ja) 2019-12-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4737754B2 (ja) セルロース粉末
JP5439366B2 (ja) 偏析防止効果に優れるセルロース粉末及びその組成物
JP6032917B2 (ja) 錠剤
CA2229658A1 (en) Combination osmotic and bulk forming laxatives
JP4117818B2 (ja) 崩壊性セルロース含有食品組成物
JP6982552B2 (ja) 錠剤及びその製造方法
JP2018076315A (ja) ソフトカプセル皮膜
JP6823620B2 (ja) 易分散性圧縮成形物及びその製造方法
EP1721620A1 (en) Directly-compressible xylitol powder
JP6907160B2 (ja) 易分散性圧縮成形物の製造方法
KR101679595B1 (ko) 귀리 식이섬유 및 가르시니아캄보지아 추출물을 포함하는 분말 식품
JP2004262860A (ja) キトサン含有錠剤及びその製造方法
JP2019112358A (ja) 分離偏析を抑制するセルロース含有成形体
Meko et al. Investigation into the use of acid modified millet (Pennisetum glaucum) starch mucilage as tablet binder
JP6305296B2 (ja) ゲル状食品組成物およびそれを用いたゲル状食品
JPWO2020022053A1 (ja) 微小繊維状セルロースを含み、賦形剤は含まない崩壊性粒子組成物
JP7274813B2 (ja) 糖質素材が非アミノ酸素材で被覆されている経口組成物
JPS6147156A (ja) クロレラ錠
JP2021141846A (ja) 食直後血糖値上昇抑制組成物
AU2021324126A9 (en) Methods for increasing viscosity of dieatry fibres and synergistic compositions therefor
JP2023119660A (ja) 錠剤用基材、錠剤の崩壊促進用組成物、口腔用錠剤の食感および/または食味改良用組成物ならびに錠剤の製造方法
JP2022063758A (ja) 錠剤
JP2020180083A (ja) セルロース粉末、錠剤、及び錠剤の製造方法
JP2023019170A (ja) 錠剤用崩壊剤及びこれを利用した錠剤
JP2002191303A (ja) プロポリス加工食品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200110

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210104

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210304

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210518

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210714

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20211116

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211119

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6982552

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150