JP2021141846A - 食直後血糖値上昇抑制組成物 - Google Patents

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康之 水飼
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康之 水飼
祐二 前▲崎▼
Yuji Maezaki
祐二 前▲崎▼
誠 安楽
Makoto Anraku
誠 安楽
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Abstract

【課題】キトサンを高含量で含み、食後2時間以内の血糖値上昇抑制効果を有する食直後血糖値上昇抑制組成物の提供。【解決手段】キトサン、又は、キトサン及び水からなり、嵩密度が0.25g/mL以上0.40g/mL以下であり、かつ体積粒径50μm以下の含有率が3体積%以下である、キトサン粉末を含む食直後血糖値上昇抑制組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、食直後血糖値上昇抑制組成物に関する。
キトサンは、カニ、エビ等の甲殻類の甲皮などから単離されるキチンをアルカリ処理することにより脱アセチル化を行い、得られる食物繊維物質である。前記キトサンは、経口摂取することによりコレステロール調整機能、脂肪吸収阻害機能、血圧上昇抑制機能などの様々な生理活性機能を有することが知られている。そこで健康食品分野において、これらの機能に関連する生活習慣病を予防する機能性食品素材として前記キトサンは用いられている。
健康食品としては、手軽に摂取できるキトサンを含有するサプリメント製剤が知られている。前記サプリメント製剤として、錠剤、ハードカプセル剤、ソフトカプセル剤、顆粒剤などの様々な製剤形で用いられる。サプリメントとしてのキトサンの用量と服用し易さを考慮すると、キトサンを高含量化できる製剤形とすることが望まれている。
現在、キトサンを高含量化できる製剤形としては、キトサン、又は、キトサン及び水からなり、嵩密度が0.25g/mL以上0.40g/mL以下であり、体積平均粒径が、200μm以上440μm以下であり、かつ体積粒径50μm以下の含有率が3体積%以下である造粒したキトサン粉末を用いたキトサン含有製剤が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、造粒したキトサン粉末を用いたキトサン含有製剤の生体内における、食直後血糖値上昇抑制効果については明らかとなっていない。
食直後の血糖値の上昇を抑制する意義としては、食直後の高血糖により引き起こされる、がん、動脈硬化、認知障害などの重大疾病を予防できることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
特許第5969680号
危険な食後の高血糖 横浜市立大学大学院医学研究科 分子内分泌・糖尿病内科学 教授 寺内 康夫先生 監修
本発明は、キトサンを高含量で含み、食直後2時間以内の血糖値上昇抑制効果を有する食直後血糖値上昇抑制組成物を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> キトサン、又は、キトサン及び水からなり、嵩密度が0.25g/mL以上0.40g/mL以下であり、かつ体積粒径50μm以下の含有率が3体積%以下である、キトサン粉末を含むことを特徴とする食直後血糖値上昇抑制組成物である。
<2> 前記キトサン粉末の体積平均粒径が200μm以上440μm以下である、前記<1>に記載の食直後血糖値上昇抑制組成物である。
<3> 前記キトサン粉末が、内径8mmの臼と、杵とを備えた単発式打錠機により2,500kg/cmの打錠圧で打錠して得られた、200mg錠の第十四改正日本薬局方崩壊試験の錠剤の評価方法に従った第1液(pH1.2水溶液)による崩壊時間が、30分間以内である、前記<1>から<2>のいずれかに記載の食直後血糖値上昇抑制組成物である。
<4> 前記キトサン粉末の含有率が30質量%以上である、前記<1>から<3>のいずれかに記載の食直後血糖値上昇抑制組成物である。
<5> 食前30分以内又は食後30分以内に経口投与されて用いられる、前記<1>から<4>のいずれかに記載の食直後血糖値上昇抑制組成物である。
本発明によれば、キトサンを高含量で含み、食直後2時間以内の血糖値上昇抑制効果を有する食直後血糖値上昇抑制組成物を提供することができる。
図1は、実施例1〜12及び比較例1〜18における耐摩損性の評価基準を示す図である。 図2は、実施例1〜12及び比較例1〜18における崩壊性試験の評価基準を示す図である。 図3は、実施例12及び比較例18における食直後血糖値上昇抑制組成物を経口投与してから2時間以内のMRI画像を示す図である。 図4は、実施例12及び比較例18における食直後血糖値上昇抑制組成物を経口投与してから8時間後のラットの消化管を示す図である。 図5は、実施例12及び比較例18における、食直後血糖値上昇抑制組成物及びグルコースを投与してから18分間の血清グルコース(ブドウ糖)濃度を示す図である。
(食直後血糖値上昇抑制組成物)
本発明の食直後血糖値上昇抑制組成物は、キトサン、又は、キトサン及び水からなり、嵩密度が0.25g/mL以上0.40g/mL以下であり、かつ体積粒径50μm以下の含有率が3体積%以下である、キトサン粉末を含み、添加剤、賦形剤などを含んでもよく、更に必要に応じて、その他の成分を含む。
従来の造粒したキトサン粉末を用いた錠剤は、未造粒のキトサン粉末を用いた錠剤よりも水中における分散性が向上することが知られているが、生体内における、造粒したキトサン粉末を用いた錠剤の食直後2時間以内の血糖値上昇抑制作用については明らかとなっていない。
そこで、本発明者らは、造粒したキトサン粉末を用いた錠剤は、分散性が向上することで、消化管内の移行が速く、食直後2時間以内の血糖値の上昇を抑制できることを知見した。なお、本発明における「食直後」とは、食後から2時間以内を意味する。
前記食直後血糖値上昇抑制組成物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、医薬品、食品などが挙げられる。
<キトサン粉末>
前記キトサン粉末は、キトサン、又は、キトサン及び水からなる造粒物であり、後述するキトサン粉末の製造方法によって好適に製造することができる。
<<キトサン>>
「キトサン」とは、グルコサミンの1,4−重合体、又はグルコサミンとN−アセチルグルコサミンとの1,4−共重合体(ランダム共重合体)であり、直鎖状の多糖類である。
キトサンは、経口摂取することによりコレステロール調整機能、脂肪吸収阻害機能、血圧上昇阻害機能等の種々の生理的調整機能を有し、健康維持や体調改善のための機能性素材として知られている。キトサンの生理活性機能は、経口摂取の後、胃酸によりキトサンが溶解し、脂質、胆汁酸、糖質、塩化物イオンなどの生活習慣病に関連する原因物質を吸着して消化吸収を阻害することで発揮されると考えられている。
工業的には、主として、カニ、エビ、イカ、昆虫等の甲殻中に多量に含まれるキチン(N−アセチルグルコサミンの1,4−重合体)を抽出し、これをアルカリ中で加水分解して脱アセチル化することにより得られる。分子量、脱アセチル化の割合(%DA)、粘度等において、様々な物性及び品質の市販品のキトサンを入手することができる。
以下に、キチン及びキトサンの構造式を示す。
Figure 2021141846
ここで、m及びnは整数を示す。
前記キトサンの脱アセチル化の割合(%DA)としては、酸性の水溶液に溶解すれば特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60%以上100%以下が好ましく、80%以上100%以下がより好ましい。
なお、前記脱アセチル化の割合(%DA)は、前記キトサンの構造式中、m/(m+n)×100に相当する。
<<水>>
前記水としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、工業用水、水道水、ミネラル水、蒸留水、精製水などが挙げられる。
前記キトサン粉末における水の含有率としては、20質量%以下が好ましく、12質量%以下がより好ましく、8質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下が特に好ましい。
前記キトサン粉末の嵩密度としては、0.25g/mL以上0.40g/mL以下であり、0.28g/mL以上0.35g/mL以下が好ましく、0.28g/mL以上0.34g/mL以下がより好ましい。
前記嵩密度が、0.25g/mL以上であると、胃内崩壊性が良好となり、0.40g/mL以下であると、硬度及び耐摩損性が良好となる。
前記キトサン粉末の嵩密度は、例えば、顔料用嵩密度測定器(JIS K 5101型、筒井理化学器械株式会社製)を用い、キトサン原料を測定カップ容積30mL(直径22mm)に自由落下させ、測定カップ内のキトサンの質量(g)を容積30mLで割ることにより算出することができる。
前記キトサン粉末の体積粒径50μm以下の含有率としては、3体積%以下であり、2体積%以下が好ましく、1体積%以下がより好ましい。
前記含有率が、3体積%以下であると、硬度及び耐摩損性が良好となる。
前記キトサン粉末の体積平均粒径としては、200μm以上440μm以下が好ましく、200μm以上290μm以下がより好ましい。
前記体積平均粒径が、440μmを超えると、粒子が粗く、打錠した場合、摩損の可能性が高まることがあり、200μm未満であると、打錠した場合、酸性水溶液下での崩壊性が悪くなることがある。一方、前記体積平均粒径が、200μm以上440μm以下であると、硬度及び耐摩損性が良好となる。
前記キトサン粉末の体積平均粒径、及び体積粒径(体積基準の粒度分布における粒径)50μm以下の含有率は、例えば、レーザー回折−散乱式粒度分析計(レーザーマイクロンサイザーLMS2000e型、株式会社セイシン企業製)を用いて、適当な溶媒(例えば、メタノール)にキトサン粉末(例えば、10mg以上30mg以下/溶媒1mL)を分散し、その粒子にレーザー光を照射して生じた回析折/散乱光の角度により異なる強度パターン(強度分布)を観測し、Fraunhofer(フランホーファ)回折理論やMie(ミー)散乱理論を用いて、粒径分布を求めることにより、測定することができる。
なお、キトサン粉末の粒度分布の測定は、従来は振動篩を用いた篩別法を用いていたが、本発明においては、平均粒径を評価することが不可欠であり、篩別法では設置する篩の目開きにより平均粒径の測定結果が異なる恐れがある。したがって、粒度分布の測定は全てレーザー回折−散乱法を用いた。
レーザー回折−散乱法は、篩別法による段階的な粒度分布の値と比較すると比較的連続した分布結果となり測定粒子の幅も広いことが特徴である。また、コンピューターを用いた解析も可能であるため、容易に平均粒径や任意の粒度の割合を計算することができる。前記体積平均粒径は、レーザー回折−散乱式粒度分析計における測定粒径(d)を小さい順から、d1,d2,・・・・di,・・・dk、それぞれの粒径を持つ粒子の個数をそれぞれn1,n2,・・・・ni,・・・nk個、粒子1個当りの表面積をai、体積をviとしたときに以下の式で計算される粒子平均値のことである。
体積平均粒径=Σ(Vi・Di)÷Σ(Vi)
また、体積粒径50μm以下の含有率は、レーザー回折−散乱式粒度分析計のアウトプットより、体積粒径50μm以下の頻度を測定粒度毎に累計することにより求めることができる。
前記キトサン粉末を打錠した際の胃液等の酸性水溶液における崩壊時間としては、30分間以内が好ましく、10分間以内がより好ましく、5分間以内が特に好ましい。
従来のキトサン粉末を含むキトサン含有製剤は、胃液等の酸性水溶液中において、錠剤表面が水分を吸収してゲル状になり、錠剤の崩壊を妨げる現象が生じるという問題があった。しかしながら、当該キトサン粉末によれば、食直後血糖値上昇抑制組成物を製造する際に、所望の崩壊時間に設定することができ、高含量であっても優れた崩壊性を発揮することができる。
前記キトサン粉末を打錠した際の酸性水溶液における崩壊時間(以下、「胃内崩壊性」ということがある)は、前記キトサン粉末が、内径8mmCRの臼と、杵とを備えた単発式打錠機(例えば、KT2型、岡田精工株式会社製)により限界まで硬度を上げた2,500kg/cmの打錠圧で打錠して得られた200mg錠を用い、「第十四改正日本薬局方、崩壊試験法」の「(1)錠剤」の評価方法に準じて、第1液(塩化ナトリウム2.0gに塩酸7.0mL及び水を加えて溶かして1,000mLとしたpH1.2の水溶液)を用いて崩壊性を評価した際の、崩壊までに要した時間である。
<<キトサン粉末の製造方法>>
前記キトサン粉末の製造方法は、加水工程、乾燥工程を含む。
前記キトサン粉末は、粉末状のキトサン原料に加水工程、乾燥工程を施すことにより製造できる。
前記キトサン粉末の製造方法は、前記加水工程の後に、回転運動付与工程を含むことが好ましく、更に必要に応じて、整粒工程などのその他の工程を含んでもよい。
−キトサン原料−
前記キトサン原料は、粉末状のキトサンであり、キトサン、又は、キトサン及び水からなり、体積平均粒径は50μm以上150μm以下が好ましく、体積粒径50μm以下の含有率は20体積%以上であり、かつ嵩密度は0.25g/mL以下である。
前記キトサン原料の体積平均粒径としては、50μm以上150μm以下が好ましく、75μm以上150μm以下がより好ましく、75μm以上125μm以下が特に好ましい。
前記体積平均粒径が50μm以上150μm以下であると、嵩密度が0.25g/mL以上0.40g/mL以下であり、体積粒径50μm以下の含有率が3体積%以下であるキトサン粉末を得ることができ、前記キトサン粉末を含有するキトサン含有組成物は、硬度及び耐摩損性が良好となる。
前記キトサン原料の体積粒径50μm以下の含有率としては、20体積%以上であり、20体積%以上50体積%以下が好ましく、20体積%以上45体積%以下がより好ましい。
前記キトサン粉末を調製するためには、体積粒径50μm以下の含有率が20体積%以上を含む前記キトサン原料を用いることが重要である。このような粒度分布を有する前記キトサン原料を用いることで、適切な嵩密度と体積粒径50μm以下含有率を有するキトサン粉末を得ることができる。
前記キトサン原料の嵩密度としては、0.25g/mL以下であり、0.15g/mL以下であることが好ましく、前記嵩密度の数値範囲としては、0.08g/mL以上0.25g/mL以下が好ましく、0.10g/mL以上0.15g/mL以下がより好ましい。
前記嵩密度が0.25g/mL以下であると、体積粒径50μm以下の含有率が3体積%以下であるキトサン粉末を得ることができ、前記キトサン粉末を含有するキトサン含有組成物は、硬度及び耐摩損性が良好となる。
−−キトサン−−
前記キトサン原料となるキトサンは、カニ、エビ、イカ、昆虫等の甲殻中に多量に含まれるキチン(N−アセチルグルコサミンの1,4−重合体)を抽出し、これをアルカリ中で加水分解して脱アセチル化することにより得られる。前記キトサンは、すでに工業化されており安価に入手できる。分子量、脱アセチル化度、粘度等において、様々な物性及び品質のキトサンを入手することができ、製造コストを抑えることが可能であり、工業上利用可能性が高い。前記キトサン原料としては、粒径を制御したキトサンを用いる必要があるが、粒径制御前のキトサンとしては、特に限定されるものではなく、工業的に入手できるキトサンをそのまま用いることができる。
前記キトサンは、中性下で水不溶性、酸性下で水溶性を有する物性であれば特に限定なく用いることができる。
前記キトサンの重量平均分子量としては、5,000以上500,000以下が好ましく、10,000以上200,000以下がより好ましい。
前記キトサンの重量平均分子量は、被験キトサン試料を0.5体積%酢酸水溶液に溶解した分析試料を調製し、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)法によりプルラン標準品を用いて測定した重量平均分子量により規定される。
前記キトサンの重量平均分子量の調整は、原料キチン質としてカニ殻を使用する場合、塩酸を用いてカルシウムを取り除く工程の塩酸濃度、反応時間、及び反応温度、並びに濃水酸化ナトリウムを用いてキチンを脱アセチル化する工程における水酸化ナトリウム濃度、反応時間、及び反応温度のいずれかをコントロールすることで所望の重量平均分子量のキトサンを調製することができる。
前記キトサンとしては、キチンを脱アセチル化処理して調製され、少なくとも50%以上が脱アセチル化されたものであれば特に問題なく使用することができるが、前記キトサンのアセチル化度としては、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、85%以上が特に好ましい。
なお、前記キトサンの脱アセチル化度は、例えば、キトサンを0.5体積%酢酸水溶液で溶解し、トルイジンブルーを指示薬として1/400Nポリビニル硫酸カリウム(和光純薬工業株式会社製)を用いてコロイド滴定を行い、遊離のアミノ基のモル数を測定することにより算出することができる。
[キトサン原料の製造方法]
前記キトサン原料の製造方法としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記キトサンを、摩砕式粉砕機、凍結粉砕機、衝撃式粉砕機、エアージェット式粉砕機、遠心カッター式粉砕機等の粉砕機で機械的に粉砕し、任意に所定の目開きのメッシュを装着した篩別機で篩分けすることで、様々な粒径及び嵩密度のキトサン原料を得る方法が挙げられる。
なお、キトサン原料の粒径制御としては、粉砕機運転条件、篩別条件、粉砕時間などを調整することにより、粒径及び粒度分布を調整することができる。嵩密度については、キトサンの分子量が大きいほど粉砕負荷が強くなり、粉砕物の嵩密度が低下するため、キトサンの分子量により調整することができる。粉砕原理的には、摩砕式粉砕機、衝撃式粉砕機、エアージェット式粉砕機は、嵩密度が小さくなる傾向にあり、ボールミル粉砕機、カッター式粉砕機は、比較的嵩密度が大きくなる傾向にある。しかしながら、本発明においては複数の粉砕機で粉砕したキトサンを混合して、粒度分布において粒径50μm以下のキトサンを20体積%以上含有し、かつ嵩密度が0.25g/mL以下のキトサン原料が得られればよく、その意味では、粉砕機の種別としては、特に限定なく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記キトサン原料は、例えば、衝撃式微粉砕機等により粒度分布の広いキトサン粉体を調製する方法;ボールミル粉砕機を用いてキトサンを粉砕した後、さらにジェットミル粉砕を行うこと等により粒度分布が異なる複数のキトサン粉体を得、これらを混合する方法;篩(例えば、80メッシュ)を装着した衝撃式微粉砕機を用い、キトサンチップ(例えば、3mm角)を粉砕する方法などにより得ることができる。
なお、ジェットミルによるキトサンの粉砕は、粉砕熱が発生しないため安定した品質の粉砕物が得られるが、3mm角のチップのような大きな粒子を粉砕することには適さない場合がある。その際、予め衝撃式微粉砕機などで粗粉砕を行うことで、ジェットミルで微粉砕は可能となるが、ジェットミルによる粉砕で得られる粉砕物は、体積平均粒径20μm程度の非常に細かい物性の粉砕物となる。これを体積平均粒径の比較的大きな粉砕物と混合することで、前記キトサン原料に調整してもよい。
<<<加水工程>>>
前記加水工程は、キトサン原料に水を加える工程である。
−水−
前記水としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、工業用水、水道水、ミネラル水、蒸留水、精製水などが挙げられる。前記水は、水蒸気の形態で前記キトサン原料に添加されてもよく、含水溶媒の形態で前記キトサン原料に添加されてもよい。前記水としては、廃水の問題や、回収工程の有無の点で、工業用水、水道水、ミネラル水、蒸留水、精製水が好ましく、健康食品用の有効成分として使用することを考慮すると、蒸留水、精製水がより好ましい。
前記含水溶媒における溶媒としては、水と任意の割合で混合できる有機溶媒であれば特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アセトン、エタノールなどのキトサンを溶解しない溶媒を用いることが好ましい。また、前記溶媒としては、経口摂取において認容されている有機溶媒が好ましい。
前記含水溶媒における含水率としては、5体積%であれば特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40体積%以上が好ましい。
前記キトサン原料に水を加える方法としては、例えば、前記キトサン原料50gあたり20mL以上200mL以下(例えば、100mL)の水を加え、均一になるまで練合する方法、前記キトサン原料50gあたり20mL以上200mL以下(例えば、100mL)の水を噴霧器等を用いて霧状に水分を吹き付けながら撹拌することにより、前記キトサン原料に均一に水を浸透させる方法、前記キトサン原料50gあたり40mL以上400mL以下(例えば、200mL)の50体積%エタノール水溶液を、前記練合、噴霧等の方法により加えて均質化した後、熱を加えてエタノールを蒸発させる方法などが挙げられる。
これにより、均一な含水キトサン原料が得られる。
<<<回転運動付与工程>>>
前記回転運動付与工程は、前記水を加えたキトサン原料(含水キトサン原料)に対し、回転運動を与える工程である。
前記回転運動を与える方法としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、V型混合機、混合パン、リボンミキサー、ナウター混合機、コニカル混合機などの粉体混合機を用いて前記キトサン原料に回転運動を与える方法が挙げられる。回転運動を与える時の温度としては、水が凍結しない温度であれば特に限定はないが、10℃以上80℃以下が好ましい。回転運動を行う時間としては、前記含水キトサン原料が目視で均一な粉状物(造粒物)になったことを確認できれば、特に限定はなく適宜選択することができるが、粉体混合機を用いた回転運動時間として、1分間以上が好ましく、1分間以上120分間以下がより好ましく、1分間以上60分間以下が特に好ましく、5分間以上30分間以下が最も好ましい。なお、前記含水キトサン原料が1kg以下の少量である場合には、前記含水キトサン原料を気体(例えば、空気)と共に容器(例えば、ビニール袋)に封入し、手動で混合しながら回転運動を与えてもよい。
<<<乾燥工程>>>
前記乾燥工程は、前記含水キトサン原料、又は回転運動を与えた含水キトサン原料を、乾燥する工程である。これにより、本発明に用いるキトサン粉末が得られる。
前記乾燥する方法としては、例えば、乾燥機を用いる方法が挙げられる。
前記乾燥機としては、例えば、棚式乾燥機、透過式乾燥機、凍結乾燥機、減圧乾燥機等の静置状態で乾燥する乾燥機;コニカル乾燥機、ナウター乾燥機、スクリュー式乾燥機等の一般の健康食品製造工場に設置され、混合機能を有する乾燥機などが挙げられる。これらの中でも、混合機能を有する乾燥機が好ましい。
前記乾燥の温度(前記乾燥機内の温度)としては、キトサン粉末が変質しない温度であれば特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率等の点から30℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、80℃以上が特に好ましく、180℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましく、120℃以下が特に好ましい。
前記乾燥工程は、得られるキトサン粉末の含水量が規定の値になるまで乾燥を継続すればよい。前記含水量としては、20質量%以下であれば特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、12質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、5質量%以下が特に好ましい。
<<<その他の工程>>>
−整粒工程−
前記整粒工程は、乾燥中又は乾燥後のキトサン粉末を整粒する工程である。
前記整粒する方法としては、例えば、篩(例えば、目開き2.0mmのステンレス製篩)を通過させることにより整粒する方法などが挙げられる。
[食直後血糖値上昇抑制組成物の用法及び剤形]
前記食直後血糖値上昇抑制組成物の用法としては、食前30分以内又は食後30分以内に経口投与されて用いられることが好ましく、これにより食直後(例えば、食後2時間以内)の血糖値の上昇を抑制することができる。
前記食直後血糖値上昇抑制組成物の剤形としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、錠剤、ハードカプセル剤、ソフトカプセル剤、散剤、チュアブル錠、フィルムコート錠、ゼリー剤、水溶性剤、顆粒剤などが挙げられる。これらの中でも、推奨されるキトサンの用量が0.5g/日以上2.0g/日以下であることから、キトサン含量を高含有量化でき、また服用しやすい点で、錠剤が好ましい。
前記錠剤としては、例えば、素錠、多層錠、コーティング錠などが挙げられる。
前記コーティング錠は、コーティング基剤でコーティングされており、前記コーティング基剤としては、例えば、ゼラチン、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス、シェラック、ツェインなどが挙げられる。
前記錠剤としては、前記キトサン粉末に、必要に応じて添加剤を添加し、更に必要に応じて賦形剤、その他の成分等を配合した製剤配合物を調製し、これを圧縮成形することで調製することができる。
前記錠剤の形状、構造、大きさ、重さ、硬さなどとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記キトサン粉末の含有率としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、キトサンを高含有量化させる観点から、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上が特に好ましい。
前記キトサン粉末を含有することにより、キトサンを高含有量化(例えば、30質量%以上)することができ、かつ硬度、崩壊性及び耐摩損性に優れる食直後血糖値上昇抑制組成物を得ることができる。また、前記キトサン粉末が100質量%であっても、硬度、崩壊性及び耐摩損性に優れる食直後血糖値上昇抑制組成物を得ることができる。
前記添加剤としては、経口投与用製剤として通常用いられている添加剤であれば特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の無機塩類;結晶セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース類などが挙げられる。
前記添加剤の含有率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0%以上80%以下が好ましく、0%以上50%以下がより好ましい。
前記賦形剤としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乳糖、麦芽糖、還元乳糖、還元麦芽糖、デンプン、マルチトール、デキストリン、ソルビトール、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、トレハロース、白糖等の糖類;グアーガム、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム、トラガントガム、プルラン、カラギーナン、寒天、ゼラチン、大豆食物繊維、ヒドロキシプロピルスターチ、ポリビニルピロリドン、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウムなどが挙げられる。これらは、結合剤や崩壊剤としても機能する。
前記賦形剤の含有率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0%以上15%以下が好ましく、0%以上10%以下がより好ましく、0%以上5%以下が特に好ましい。
前記その他の成分としては、結合剤、崩壊剤、甘味料、酸味料、香料、界面活性剤、滑沢剤などが挙げられる。その他、食品業界や医薬品業界において使用可能な全ての製剤添加物は、その効果を妨げない範囲内で添加することができる。
前記結合剤としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルボキシメチルセルロース、澱粉、ガム質(例えば、ローカストビーンガム等)、コラーゲンペプチドなどが挙げられる。
前記崩壊剤としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、澱粉、セルロースパウダー、崩壊寒天などが挙げられる。
前記甘味料としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スクラロース、アスパルテームなどが挙げられる。
前記酸味料としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クエン酸、リンゴ酸などが挙げられる。
前記香料としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、バニラフレーバー、メントール、シナモン、ハーブ(例えば、ローズマリー抽出物等)などが挙げられる。
前記界面活性剤としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。
前記滑沢剤としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、二酸化ケイ素、タルク、ケイ酸アルミニウムなどが挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
−キトサン原料の調製−
キトサン原料(造粒前の粉砕物)として、下記の通り、キトサン原料1〜5及びa〜dを調製した。
−−キトサン原料1〜5及びaの調製−−
3mm角のチップ状に粉砕したキトサンを、サイクロン分級機(ホソカワミクロン株式会社製)を併設した衝撃式微粉砕機(装置名:ACM−10、ホソカワミクロン株式会社製)を用い、16A〜20Aの運転条件、内蔵篩80メッシュの分級条件にて粉砕して、表1に示す物性値を有する各種キトサン原料1〜5及びキトサン原料aを得た。
−−キトサン原料bの調製−−
3mm角のチップ状に粉砕したキトサンを、セラミックボールを用いたボールミル(装置名:BM(700L)、セイシン企業株式会社製)を用い、セラミックボール(直径10mm〜100mm、仕込み量:40kg/700L)、26時間乾式で粉砕して、キトサン原料bを得た。
−−キトサン原料cの調製−−
3mm角のチップ状に粉砕したキトサンを、剪断粉砕機(装置名:VMB−60型、槇野産業株式会社製)を用い、300rpmの剪断条件にて粉砕して、キトサン原料cを得た。
−−キトサン原料dの調製−−
3mm角のチップ状に粉砕したキトサンを、粉砕機とスクリーンを一体型したカッターミル(装置名:RCM−250型、株式会社奈良機械製作所製)を用い、700rpmの粉砕条件にて粉砕して、キトサン原料dを得た。
−キトサン原料の物性−
下記表1−1及び表1−2に記載した通り、キトサン原料1〜5及びキトサン原料a〜dについて、嵩密度、体積平均粒径、及び体積粒径50μm以下の含有率を測定した。結果を表1−1及び表1−2に示す。
−−嵩密度の測定方法−−
顔料用嵩密度測定器(JIS K 5101型、筒井理化学器械株式会社製)を用い、キトサン原料を測定カップ容積30mL(直径22mm)に自由落下させ、測定カップ内のキトサンの質量(g)を容積30mLで割ることにより算出した。
−−体積平均粒径、及び粒径50μm以下の割合の測定方法−−
体積平均粒径、及び体積粒径50μm以下の含有率は、レーザー回折−散乱式粒度分析計(レーザーマイクロンサイザーLMS2000e型、株式会社セイシン企業製)を用いて、メタノール1mLあたり、キトサン10mg以上30mg以下を分散した分散液を試験サンプルとして測定した。
なお、体積粒径50μm以下のキトサン含有率は、粒径50μm以下の頻度を測定粒度毎に累計することにより求めた。
(実施例1)
<キトサン粉末の調製>
50gのキトサン原料1に蒸留水100mLを加え、乳鉢で均一になるまで練合した後、90℃の乾燥機で30分間乾燥した。次いで、目開き2.0mmのステンレス製篩を通過させることにより整粒を行い、その後、2時間乾燥することにより造粒物である実施例1のキトサン粉末を調製した。なお、実施例1のキトサン粉末における水の含有率は、6.3質量%であった。
<キトサン粉末の物性>
キトサン原料に代えて、キトサン粉末を用いたこと以外は、上記「キトサン原料の物性」と同様に、キトサン粉末について、嵩密度、体積平均粒径、及び体積粒径50μm以下の含有率を測定した。結果を表1−1に示す。
<キトサン含有組成物の調製>
実施例1のキトサン粉末を、内径8mmCRの臼と、杵とを備えた単発式打錠機(KT2型、岡田精工株式会社製)で、限界まで硬度を上げた条件である2,500kg/cmに相当する打錠圧で1粒200mgになるように打錠し、実施例1のキトサン含有組成物を調整した。なお、キトサン粉末自体の特性、及び高含量のキトサン錠剤における加工性を比較するため、賦形剤、滑沢剤、結着剤などの添加物は加えずにキトサン粉末自体を打錠に供した。
<評価>
作製したキトサン粉末及びキトサン含有組成物について、以下のように評価した。結果を表1−1に示す。
<<硬度>>
キトサン含有組成物の硬度について、モンサント型錠剤硬度計(装置名:B型、富士理化工業株式会社製)を用いて、6個のキトサン含有組成物の平均硬度を測定し、以下の評価基準に基づき評価した。
[評価基準]
○:9.0kg以上、良好
△:4.0kg以上、9.0kg未満、硬度不足
×:4.0kg未満、打錠不可
<<耐摩損性>>
キトサン含有組成物の耐摩損性について、「第十四改正日本薬局方、錠剤の摩損度試験法」に準じてキトサン含有組成物を日本薬局方錠剤摩損度試験機(萱垣医理科工業株式会社製)を用い、25回転/分間にて、4分間(100回転)処理し、処理後(摩損度試験後)のキトサン含有組成物の外観を観察することによって評価を行った。
評価は、図1中、パネルa〜dに示すように、以下の4段階で行った。
[評価基準]
◎:摩損なし(図1中、パネルa)、良好
○:摩損を僅かに認める(図1中、パネルb)
△:摩損を認める(図1中、パネルc)、実用範囲内
×:摩損を激しく認める(図1中、パネルd)、実用不可
<<崩壊性>>
<<<胃内崩壊性>>>
前記キトサン粉末の胃内崩壊性は、前記キトサン粉末を、内径8mmCRの臼と、杵とを備えた単発式打錠機(KT2型、岡田精工株式会社製)により2,500kg/cmに相当する打錠圧で打錠して得られた、200mg錠について、「第十四改正日本薬局方、崩壊試験法」の「(1)錠剤」の評価方法に準じて、第1液(塩化ナトリウム2.0gに塩酸7.0mL及び水を加えて溶かして1,000mLとしたpH1.2の水溶液)を用いて崩壊性を下記評価基準に基づき評価した。
なお、図2は、実施例における崩壊性試験の評価基準を示す図である。図2中、符号aで示す写真は崩壊した状態を示し、符号bで示す写真は未崩壊の状態を示す。また、符号cで示す写真は、崩壊した錠剤(符号a)を崩壊試験機より取り出したときの状態を示し、符号dで示す写真は、未崩壊の錠剤(符号b)を崩壊試験機より取り出したときの状態を示す。
[評価基準]
◎:10分間以内
○:10分間超、30分間以内
△:30分間超、かつ30分間後の時点で錠剤の破片の残留を認める
×:30分間超、かつ30分間後の時点で錠剤の原形を留める(錠剤の表面がゲル化したものも含む)
(実施例2〜5)
実施例1において、下記表1−1に記載した通り、キトサン原料を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜5のキトサン粉末及びキトサン含有組成物を作製し、これらの評価を実施した。結果を表1−1に示す。
(比較例1〜4)
実施例1において、下記表1−1及び表1−2に記載した通り、キトサン原料の種類を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1〜4のキトサン粉末及びキトサン含有組成物を作製し、これらの評価を実施した。結果を表1−1及び表1−2に示す。
Figure 2021141846
Figure 2021141846
(実施例6〜12)
下記表2−1に記載した通りの質量比で、実施例2のキトサン粉末、乳糖(商品名:フローラック100、メグレジャパン株式会社製)、及び結晶セルロース(商品名:セオラスST−100、旭化成ケミカルズ株式会社製)をローリングミキサー(RM−10型、愛知電機商事株式会社製)目盛5にて5分間混合し、内径8mmCRの臼と、杵とを備えた単発式打錠機(KT2型、岡田精工株式会社製)で、2,500kg/cmに相当する打錠圧で1粒200mgになるように打錠し、実施例6〜12の食直後血糖値上昇抑制組成物を調整し、実施例1と同様に胃内崩壊性を評価した。結果を表2−1に示す。
(比較例5〜18)
実施例6〜12において、実施例2のキトサン粉末に代えて、比較例2又は比較例4のキトサン粉末を用いたこと以外は、実施例6〜12と同様にして、比較例5〜11及び比較例12〜18のキトサン含有組成物を調整し、実施例1と同様に胃内崩壊性を評価した。結果を表2−1及び表2−2に示す。
(参考例1)
また、参考例1として、実施例6において、実施例2のキトサン粉末を用いずに、乳糖を増量したこと以外は、実施例6と同様の操作により、参考例1のキトサンを含有しない製剤を調整し、実施例1と同様に胃内崩壊性を評価した。結果を表2−2に示す。
Figure 2021141846
Figure 2021141846
実施例12及び比較例18のキトサン含有組成物の消化管内移行性、食直後の血糖値の上昇抑制を評価した。
<消化管内移行性>
前記消化管内移行性は、胃内移行性及び腸内移行性を評価した。
<<胃内移行性>>
Gd−DTPA(商品名:マグネビスト静注(登録商標)、バイエル薬品株式会社製)2.5質量%を含有する実施例12及び比較例18のキトサン含有組成物20mg(錠剤)を、SDラット(4週齢、雄、供給源:日本エスエルシー株式会社)に経口投与し、投与してから2時間後のラットの胃内をMRI(MR VivoLA 1.5T compact MRI system、DSファーマバイオメディカル社製)を用いて撮影し、MRI画像を得た。MRI画像を図3に示す。図3の白く囲った部分が胃から小腸に続く消化管であり、キトサン含有組成物が崩壊している場合は、この部分に白い影が確認される。図3における比較例18では、胃から小腸に続く消化管内でキトサン含有組成物の崩壊が確認されなかったのに対して、実施例12では、胃から小腸に続く消化管内でキトサン含有組成物の崩壊が確認された。このことから、本発明の食直後血糖値上昇抑制組成物は、高い胃内移行性を有することが確認された。
<<腸内移行性>>
エバンスブルー(商品名:エバンスブルー、和光純薬株式会社製)を含有する実施例12及び比較例18のキトサン含有組成物20mg(錠剤)を、SDラット(4週齢、雄、供給源:日本エスエルシー株式会社)に経口投与し、投与してから8時間後のラットの消化管を摘出した。摘出した消化管の画像を図4に示す。キトサン含有組成物は、エバンスブルーを含有しているため、エバンスブルーが確認された消化管の部位に、キトサン含有組成物が存在していることが確認できる。図4における比較例18では、キトサン含有組成物が小腸の上部で滞留しているのに対して、実施例12では、キトサン含有組成物が小腸の下部まで移行している。このことから、本発明の食直後血糖値上昇抑制組成物は、高い腸内移行性を有することが確認された。
<食直後の血糖値の上昇抑制>
2g/kg/mLのブドウ糖と、実施例12又は比較例18のキトサン含有組成物40mg/匹を、SDラット(4週齢、雄、供給源:日本エスエルシー株式会社)に同時に経口投与し、投与後18分間において6分毎に採血を行い、血清グルコース(ブドウ糖)濃度(mg/dL)を測定した。測定結果を図6に示す。図6における比較例18では、ブドウ糖とキトサン含有組成物を経口投与してから18分後の血清グルコース濃度が低下していないのに対して、実施例12では、ブドウ糖とキトサン含有組成物を経口投与してから12分後には血清グルコース濃度が低下していた。このことから、本発明の食直後血糖値上昇抑制組成物は、食直後の血糖値の上昇を抑制する作用を有することが確認された。

Claims (5)

  1. キトサン、又は、キトサン及び水からなり、嵩密度が0.25g/mL以上0.40g/mL以下であり、かつ体積粒径50μm以下の含有率が3体積%以下である、キトサン粉末を含むことを特徴とする食直後血糖値上昇抑制組成物。
  2. 前記キトサン粉末の体積平均粒径が200μm以上440μm以下である、請求項1に記載の食直後血糖値上昇抑制組成物。
  3. 前記キトサン粉末が、内径8mmの臼と、杵とを備えた単発式打錠機により2,500kg/cmの打錠圧で打錠して得られた、200mg錠の第十四改正日本薬局方崩壊試験の錠剤の評価方法に従った第1液(pH1.2水溶液)による崩壊時間が、30分間以内である、請求項1から2のいずれかに記載の食直後血糖値上昇抑制組成物。
  4. 前記キトサン粉末の含有率が30質量%以上である、請求項1から3のいずれかに記載の食直後血糖値上昇抑制組成物。
  5. 食前30分以内又は食後30分以内に経口投与されて用いられる、請求項1から4のいずれかに記載の食直後血糖値上昇抑制組成物。
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