JP6980331B1 - 車椅子 - Google Patents

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Abstract

【課題】坂道の逆走を防止する。【解決手段】車椅子のハンドリムから後輪に駆動力を伝達する駆動力伝達機構22は、後輪シャフトを支持するシャフト支持部材と、シャフト支持部材に支持された後輪シャフト14に基端部が縦揺動自在に支持され、先端部にハンドリムを保持するハンドリム保持板が回動自在に支持された長尺状の揺動板42と、揺動板42に設けられ、ハンドリムからの前回転及び後回転の回転力をハンドリム保持板48を介して後輪に伝達する回転力伝達手段44と、回転力伝達手段44の回転力のうち前回転の回転力のみを後輪に伝達するワンウエイクラッチ手段46と、を有し、利用者がハンドリムを縦方向に動かしてワンウエイクラッチ手段46の設定と解除を行う。【選択図】図3

Description

本発明は車椅子に係り、特に、立ち上がり転倒防止機能、ウイリー防止機能、及び坂道逆走防止機能を備えた車椅子に関する。
足が不自由な人や介助が必要な老齢者は車椅子での移動が必要になる。介助者なしに車椅子を利用する場合、利用者は駆動輪である後輪と同じ回動中心を有するハンドリムを押し回して後輪を前回転させることにより車椅子を前進させ、ハンドリムを引き回して後輪を後回転することにより車椅子を後進させる。また、ハンドリムを把持して後輪が動かなくすることにより車椅子を停止する。このように、車椅子には、車椅子を走行させるための走行機能が最低限備わっている。
しかし、介助者なしに車椅子を利用する場合の利用者の安全や便宜のため、車椅子には前進や後進の走行機能以外に各種の付属機能が備わっていることが多い。例えば、利用者が車椅子から立ち上がる際に、立ち上がる反動によって車椅子が後方に動き、利用者が後向きに転倒し易くなる。このため、車椅子には、例えば特許文献1のように立ち上がり転倒防止機能として、駐車用ブレーキが設けられ利用者が操作できる位置に操作レバーが付いているものが多い。
また、車椅子で坂道を登る時に、車椅子の後輪を中心に車椅子の前側が持ち上がって後ろ側に傾く、いわゆるウイリーによって車椅子が転倒し易くなる。このため、車椅子には、特許文献2及び特許文献3のように、ウイリー防止機能として車椅子の前側が持ち上がって後ろ側に傾くのを防止するための車輪付きのアーム又はバーが設けられているものがある。
更に車椅子で坂道を登る場合には、車椅子には下がろうとする方向の力が作用するので、利用者は車椅子を大きな力でハンドリムを前回転方向に押し回し続けなくてならないだけでなく、利用者が坂道でハンドリムから手を離すと、車椅子が坂道を逆走する危険がある。このため、車椅子には、特許文献4のように、坂道逆走防止機能として、一方向クラッチを操作レバーによって一方向クラッチの設定及び解除を切り替えることにより後輪が前回転のみして後回転しないようにしたものがある。
特開2011−255138号公報 特開2001−170114号公報 特開平9−262255号公報 特開2004−194851号公報
しかしながら、従来の車椅子は、立ち上がり転倒防止機能のための駐車用ブレーキ、ウイリー防止機能のための車輪付きのアーム、坂道逆走防止機能のための一方向クラッチのように、それぞれ独立した手段が設けられており、車椅子の構造が複雑になるだけでなく装置サイズが大きくなる原因となる。更には、それぞれの利用者は複数の操作レバーをその都度操作しなくてはならず、操作が煩雑になるという欠点がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、立ち上がり転倒防止機能及び坂道逆走防止機能を1つの手段にコンパクトにまとめると共にハンドリムの操作により全ての機能を操作できるようにしたので、従来の欠点であった構造の複雑性、装置サイズの増大、操作の煩雑性を一度に解決できるようにした車椅子を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明に係る車椅子は、車椅子の利用者が座る本体フレームと、本体フレームに回動自在に支持された左右一対の後輪と、本体フレームに回動自在に支持されると共に後輪よりも小径な左右一対の前輪と、利用者が手動により後輪を駆動する左右一対のハンドリムと、ハンドリムから後輪に駆動力を伝達する駆動力伝達機構と、を有し、駆動力伝達機構は、本体フレームに設けられ、後輪シャフトを支持するシャフト支持部材と、シャフト支持部材に支持された後輪シャフトに基端部が縦揺動自在に支持され、先端部にハンドリムを保持するハンドリム保持板が回動自在に支持されると共にハンドリム保持板の回動中心が後輪の回動中心よりも前寄りになるように形成された長尺状の揺動板と、揺動板に設けられ、ハンドリムからの前回転及び後回転の回転力をハンドリム保持板を介して後輪に伝達する回転力伝達手段と、回転力伝達手段の回転力のうち前回転の回転力のみを後輪に伝達するワンウエイクラッチ手段と、を有し、利用者がハンドリムを縦方向に動かしてハンドリム保持板を介して揺動板を縦揺動させたときに、回転力伝達手段とワンウエイクラッチ手段とが協同又は協同を解除することによって、ワンウエイクラッチ手段の設定と解除を行うことを特徴とする。
本発明の車椅子によれば、ハンドリムの駆動力を後輪に伝達する駆動力伝達機構を上記の如く構成したので、立ち上がり転倒防止機能、及び坂道逆走防止機能を1つの手段にコンパクトにまとめると共にハンドリムの操作により全ての機能を操作できるようにしたので、従来の欠点であった構造の複雑性、装置サイズの増大、操作の煩雑性を一度に解決できるようにした車椅子を提供することができる。
ここで、前記シャフト支持部材は、車椅子の前後方向における後輪の後輪シャフト標準取り付け位置である本体フレームのバックパイプ位置よりも後ろ寄りに後輪の回動中心がくるように後輪シャフトを支持することが好ましい。これにより、後輪が従来の車いすよりも後に配置されるので、前輪が宙に浮くウイリーを極めて効果的に防止することができる。このウイリー防止効果は、本発明の試作品の一つ(後輪が従来の車いすと同じ後輪シャフト標準取付位置に取り付けられているもの)と、本発明品との比較評価により実証された。
本発明の車椅子によれば、本体フレームには利用者が座る座面が形成されると共に、ハンドリムの回動中心が座面における車椅子の前後方向の中央に位置することが好ましい。これにより、利用者はハンドリムを操作し易くなり、ハンドリムに大きな力を掛けることができる。
本発明の車椅子において、回転力伝達手段は、揺動板のハンドリム保持板の反対側面に設けられ、ハンドリム保持板と一緒に回動するハンドリム用ギアと、揺動板のハンドリム保持板の反対側面に設けられ、後輪と一緒に回動する後輪用ギアと、ハンドリム用ギアと後輪用ギアとに掛け渡された無端状のローラチェーンと、を有し、ワンウエイクラッチ手段は、揺動板に対して平行に隣接され、基端部が後輪シャフトに支持されたクラッチ支持板と、クラッチ支持板の先端部に設けられ、揺動板の縦揺動によりローラチェーンと係合又は離脱するワンウエイギアと、を有する構成が好ましい。
これは、回転力伝達手段とワンウエイクラッチ手段との好ましい具体例を示したものであり、回転力伝達手段として、揺動板に設けた後輪用ギアと揺動板に設けたハンドリム用ギアと後輪用ギアとに掛け渡された無端状のローラチェーンとで構成し、ワンウエイクラッチ手段として、クラッチ支持板に設けたワンウエイギアで構成し、揺動板の縦揺動によりローラチェーンとワンウエイギアとが係合又は係合が解除されるようにした。
本発明の車椅子において、駆動力伝達機構は、揺動板の縦揺動の動作をワンウエイクラッチ手段の設定位置と解除位置とにおいてロック又はロック解除するロック手段を有することが好ましい。これにより、揺動板がワンウエイクラッチ手段の設定位置と解除位置とにおいて確実に停止状態を維持することができるので、ワンウエイクラッチ手段の設定と解除とを精度良く行うことができる。
本発明の車椅子において、ロック手段は、揺動板とクラッチ支持板との一方に設けられ、先端部に出没自在なボールを有するチェックボールと、揺動板とクラッチ支持板との他方に設けられ、チェックボールのボールが突出して係合する係合孔とで構成されることが好ましい。これは、構造がシンプルで確実にロック機能を達成するロック手段の好ましい具体例を示したものである。
本発明の車椅子において、駆動力伝達機構は、揺動板の縦揺動をガイドすると共に揺動板がワンウエイクラッチ手段の設定位置から解除位置までの揺動ストロークを超えて縦揺動しないように規制する揺動ガイド規制手段を有することが好ましい。これにより、揺動板がワンウエイクラッチ手段の設定位置と解除位置とを超えて過剰に縦揺動することがないので、ワンウエイクラッチ手段の設定と解除とを精度良く行うことができる。
本発明の車椅子において、揺動ガイド規制手段は、揺動板とクラッチ支持板との一方に後輪シャフトを中心とした円弧形状に形成されると共に揺動ストロークの長さと同じ長さに形成された規制用長孔と、揺動板とクラッチ支持板の一方に設けられ、規制用長孔に係合する規制用ピンと、で構成されることが好ましい。これは、構造がシンプルで確実にガイド規制機能を達成する揺動ガイド規制手段の好ましい具体例を示したものである。
本発明の車椅子において、駆動力伝達機構は、ハンドリム用ギアと後輪用ギアとの間のローラチェーン部分をワンウエイギアとで挟み込むチェーン挟持手段を有することが好ましい。これにより、ローラチェーンとワンウエイギアとの係合が外れないようにできるので、ワンウエイクラッチ手段の機能を確実に達成することができる。
本発明の車椅子において、ワンウエイギアは、ワンウエイギアの山型に形成されたギア歯の左右のギア歯面のうち、ワンウエイギアとローラチェーンとが係合した状態において後輪の後回転を防止する側のギア歯面は、ワンウエイギアの回動中心とギア歯元とを結ぶ直線の延長線によって形成される壁状面を有することが好ましい。
これにより、ローラチェーンとワンウエイギアとが係合した状態において、後輪が後回転(即ち車椅子の後進)する大きな力がローラチェーンに加わっても、ローラチェーンはワンウエイギアに対する引っ掛かりが大きくなる。したがって、ローラチェーンとワンウエイギアとの係合が外れ難くなる。
本発明の車椅子によれば、立ち上がり時の転倒、及び坂道での逆走を防止することができ、これらの立ち上がり時の転倒防止機能、坂道逆走防止機能をハンドリムの簡単な操作により操作することができる。
本発明の車椅子を斜め前方から見た斜視図 本発明の車椅子を斜め前方から見た分解図 本発明の車椅子の駆動力伝達機構を説明する図でワンウエイクラッチ手段を設定状態にした斜視図 本発明の車椅子の駆動力伝達機構を説明する図でワンウエイクラッチ手段を設定状態にした平面図 本発明の車椅子の駆動力伝達機構を説明する図でワンウエイクラッチ手段を解除状態にした平面図 駆動力伝達機構におけるワンウエイギアのギア歯の構造を説明する説明図
以下添付図面に従って、本発明に係る車椅子の好ましい実施の形態について詳述する。
[車椅子の全体構成]
図1は本発明の実施の形態の車椅子の一例であり、折り畳み式の車椅子の斜視図であり、図2は図1の分解図であり、本体フレームから後輪及びハンドリム等を取り外した図である。
図1及び図2に示すように、車椅子10は、主として、車椅子10の利用者(図示せず)が座る本体フレーム12と、本体フレーム12に後輪シャフト14を介して回動自在に支持された左右一対の後輪16,16と、本体フレーム12に回動自在に支持されると共に後輪16よりも小径な左右一対の前輪18、18と、利用者が手動により後輪16を駆動する左右一対のハンドリム20、20と、ハンドリム20から後輪16に駆動力を伝達する駆動力伝達機構22と、で構成される。
なお、図1及び図2において、車椅子10の幅方向をX1−X2方向、前後方向をY1−Y2方向、高さ方向をZ1−Z2方向で示す。
(本体フレーム)
本体フレーム12は、主として、車椅子10の幅方向に配設された左右一対の側面フレーム24と、側面フレーム24同士を折り畳み自在に連結する2本のX状フレーム26、26とで構成される。2本のX状フレーム26、26は車椅子10の前後方向にそれぞれ配置される。
左右一対の側面フレーム24は、互いに左右対称になるようにパイプ構造に形成される。側面フレーム24は、主として、アームパイプ24A、フロントパイプ24B、レッグパイプ24C、シートパイプ24D、ベースパイプ24E、バックパイプ24F、バックレストパイプ24G、前輪用パイプ24Hとで構成される。バックパイプ24Fは、車椅子10に利用者が正しく座ったときに、利用者の背中の面の左右両側にそれぞれ垂直に設けられたパイプであり、バックパイプ24Fの上端から連続してバックレストパイプ24Gが形成される。
また、アームパイプ24Aには、例えば柔軟性材料で作られたアームカバー28Aを装着することでアームレスト28が形成される。また、左右のレッグパイプ24Cには、フットレスト30が水平位置から垂直位置に起伏自在に支持される。また、略垂直な方向に配設されたバックレストパイプ24Gの上端部は水平に折曲しており、上端部に例えばゴム製のグリップ32が装着され、車椅子10の介助者の把手となる。また、左右の前輪用パイプ24Hには、前輪18として全方向に回転可能なキャスタが設けられる。
また、左右のシートパイプ24Dには、上パイプ34、34がそれぞれ並設され、左右の上パイプ34に車椅子10の利用者が座る布製の座面36(図1参照)が張設される。また、左右のバックレストパイプ24Gには、車椅子10の利用者の背中を保持する布製のバックレスト38が張設される。
X状フレーム26は、X状に交差する2本のリンク棒26A、26Aと、2本のリンク棒26Aを交差点で回動自在に連結する連結ピン26Bとで構成される。そして、X状フレーム26の2つの上端部が左右の上パイプ34にそれぞれ回動ピン(図示せず)を介して回動自在に支持されると共に、X状フレーム26の2つの下端部が左右のベースフレーム24Eにそれぞれ回動ピン(図示せず)を介して回動自在に支持される。これにより、X状フレーム26の2本のリンク棒26Aが、連結ピン26Bを揺動中心として揺動することで、左右一対の側面フレーム24の幅方向(X1−X2)の間隔が変更し、車椅子10を折り畳んだり拡げたりすることができる。
なお、本実施の形態の車椅子10では、座面36及びバックレスト38として車椅子10を折り畳む際に取り外す必要のない布製の座面36及びバックレスト38を用いたが、硬質な材質の座面やバックレストであっても、折り畳み可能なものや本体フレーム12に着脱できるものであればよい。
また、本発明の実施の形態の車椅子10では、本体フレーム12が折り畳み自在の例で説明するが、本発明は折り畳みでない場合にも適用できることは勿論である。
次に、駆動伝達機構22について説明するが、本発明の特徴を理解する上で重要な「本体フレーム12に取り付ける後輪16の車椅子10の前後方向における位置」について予め説明する。即ち、本体フレーム12に左右一対の駆動輪である後輪16を取り付ける場合、車椅子10の前後方向における後輪16の後輪シャフト標準取り付け位置(以下、単に「標準取り付け位置」という)である本体フレーム12のバックパイプ24F位置に後輪16の回転中心がくるように取り付けることが既成概念となっている。
この理由は、主として2つあり、1つ目の理由は後輪16の位置をバックパイプ24F位置よりも前寄りにすると、小回りがきくなど車椅子10の動きが軽快になる一方、重心が後ろに移動するので前が持ち上がって転倒し易くなる。2つ目の理由は、駆動輪である後輪16と、後輪16に駆動力を付与するハンドリム20とは回動中心が同軸上にあることが通常であり、車椅子10の利用者が座面36に正しく座ったときに、本体フレーム12のバックパイプ24F位置よりも後ろ側に後輪16の回転中心があると、ハンドリム20の回動中心も後ろ寄りになってしまい、ハンドリム20を操作し難くなる。
本発明の実施の形態の車椅子10は、上記の既成概念にとらわれることなく、ハンドリム20から後輪16に駆動力を伝達する新規な駆動力伝達機構22を工夫することによって、立ち上がり転倒防止機能、ウイリー防止機能、及び坂道逆走防止機能を1つの手段にコンパクトに纏めると共にハンドリム20の操作により上記の全ての機能を操作できるようにしたものである。
図3は、駆動力伝達機構22を説明する図でワンウエイクラッチ手段46を設定状態にした斜視図であり、図4はワンウエイクラッチ手段46を設定状態にした平面図である。また、図5は、駆動力伝達機構22を説明する図でワンウエイクラッチ手段46を解除状態にした平面図である。
(駆動力伝達機構)
図1〜図5(主として図3〜図5)に示すように、駆動力伝達機構22は、主として、本体フレーム12に後輪シャフト14を固定的(回動しないように)に支持するシャフト支持部材40(図1及び図2参照)と、後輪シャフト14に揺動自在に支持された揺動板42と、揺動板42に設けられた回転力伝達手段44と、ワンウエイクラッチ手段46とで構成される。そして、車椅子10の利用者がハンドリム20を図1の矢印Z1―Z2に示すように車椅子10の高さ方向、即ち縦方向に動かしてハンドリム保持板48を介して揺動板42を縦揺動させたときに、回転力伝達手段44とワンウエイクラッチ手段46とが協同又は協同を解除することによって、ワンウエイクラッチ手段46の設定(作用した状態をいう)と解除を行うように構成した。
図2に示すように、シャフト支持部材40は、車椅子10の前後方向(Y1−Y2)における後輪シャフト14の標準取り付け位置である本体フレーム12のバックパイプ24F位置よりも後ろ寄りに後輪16の回動中心がくるように設けられている。なお、本実施の形態では、上記したように折り畳み可能な本体フレーム12とした関係から、後輪16が装着される後輪シャフト14は本体フレーム12に設けられたシャフト支持部材40に片持ち支持される場合で説明する。
シャフト支持部材40には、後輪シャフト14のシャフト支持部材40に支持される側の部分である基端部14A(図3参照)が貫通する貫通孔40Aが形成される。一方、図3に示すように、後輪シャフト14の基端部14Aにおける端部には、後輪シャフト14がシャフト支持部材40に片持ち支持された状態で回動しないため座金(図示せず)に係合する平坦な切欠き面14Bが形成されると共に端部には雄ネジ14C(図3参照)が刻設されている。また、後輪シャフト14の先端部14Dに、駆動力伝達機構22を構成する各部材が組み付けられている。
そして、図2の本体フレーム12から後輪16を装着した後輪シャフト14とハンドリム20とを取り外した車椅子10の分解状態から図1の車椅子10の完成状態に組み立てるには次の手順で行う。
先ず、後輪16が軸受50(図2参照)を介して装着された後輪シャフト14の基端部14Aをシャフト支持部材40の貫通孔40Aに挿入して貫通孔40Aの反対側に突出させる。軸受50は、後輪16の2枚のハブフランジ16A、16B(図2参照)のうちシャフト支持部材40の側のハブフランジ16Aを後輪シャフト14に対して回動自在に支持する。後輪16のもう一枚のハブフランジ16Bは駆動力伝達機構22の後輪用ギア60(図3〜図5参照)に設けられた連結板70(図3〜図5参照)に連結される。
後輪シャフト14の基端部14Aをシャフト支持部材40の貫通孔40Aから突出させた状態で、後輪シャフト14の切欠き面14Bに座金(図示せず)をかませ、後輪シャフト14の基端部14Aの端部に形成された雄ネジ14Cにナット部材52の雌ネジを螺合する。これにより、後輪シャフト14は回動しないようにシャフト支持部材40に片持ち支持されると共に後輪16は軸受50及び連結板70に2枚のハブフランジ16A,16Bを挟持された状態で後輪シャフト14に回動自在に支持される。
最後に、後輪シャフト14の先端部14Dに組み付けられている駆動力伝達機構22のハンドリム保持板48にハンドリム20を取り付ける。即ち、ハンドリム保持板48には雌ネジが刻設された3個のボルト孔48Aが形成されると共に、ハンドリム20の中央部にも、ボルト孔48Aに対応して3個の貫通する取付孔20Aが形成されている。これにより、ハンドリム保持板48の3個のボルト孔48Aとハンドリム20の3個の取付孔20Aとにそれぞれ3本のボルト54を挿入して締結する。この結果、ハンドリム20がハンドリム保持板48に取り付けられ、図1の車椅子10の完成状態になる。
図3〜図5に示すように、揺動板42は長尺状に形成され、揺動板42の基端部42Aが後輪シャフト14の先端部14Dに縦揺動自在に支持される。また、揺動板42の先端部42Bにハンドリム20を保持するハンドリム保持板48が回動自在に支持される。そして、図1に示すように、ハンドリム20が後輪16よりも車椅子10の前後方向の前寄りに配置されるように、ハンドリム20の回動中心P(図4、図5参照)が後輪16の回動中心Q(図4、図5参照)よりも前寄りになるように、揺動板42は車椅子10の前側を向いて縦揺動する。なお、ハンドリム20の回動中心Pは、ハンドリム保持板48及びハンドリム用ギア58の回動中心でもある。また、後輪16の回動中心Qは後輪用ギア60の回動中心でもある。
本発明の実施の形態の車椅子10では、ハンドリム20の回動中心Pと後輪16の回動中心Qとの離間距離L(図4参照)は、車椅子10の小回りがきくなど車椅子10の動きが軽快か否か、ウイリー防止が可能か否か、ハンドリム20の操作性が良いか否かを考慮して設計することが好ましい。即ち、車椅子10のウイリー防止の観点からは、後輪16の回動中心Qはバックパイプ24F位置、即ち上記した後輪16の標準取り付け位置よりも後ろ寄りにすればするほど効果を発揮する一方、小回り等の車椅子10の軽快性が損なわれ易い。
また、ハンドリム20の回動中心は、座面36における車椅子10の前後方向の中央に位置することが好ましい。これにより、利用者はハンドリム20の操作性が良くなり、ハンドリム20に大きな力を掛けることができる。
したがって、バックパイプ24F位置、即ち上記した後輪16の標準取り付け位置を基点として、ハンドリム20の回動中心Pがバックパイプ24F位置(ハンドリム20の標準的な回動中心位置)と座面36の上記中央の位置との間に入るようにすると共に、後輪16の回動中心Qがバックパイプ24F位置から3cm以上(上限は10cm程度)後ろ寄りになるように、ハンドリム20の回動中心Pと後輪16の回動中心Qとの離間距離Lを設計することが好ましい。これにより、車椅子10の軽快性、ウイリー防止性、ハンドリム20の操作性についてバランスのとれた車椅子10を設計することができる。
回転力伝達手段44は、ハンドリム20からの前回転(車椅子10の前進方向)及び後回転(車椅子10の後進方向)の駆動力をハンドリム保持板48を介して後輪16に伝達する手段であり、揺動板42に支持される。即ち、図3〜図5に示すように、回転力伝達手段44は、主として、揺動板42のハンドリム保持板48の反対側面に設けられ、ハンドリム保持板48の回動シャフト56に挿嵌されてハンドリム保持板48と一緒に回動するハンドリム用ギア58と、揺動板42のハンドリム保持板48の反対側面に設けられ、後輪シャフト14に挿嵌されて後輪16と一緒に回動する後輪用ギア60と、ハンドリム用ギア58と後輪用ギア60とに掛け渡された無端状のローラチェーン62と、で構成される。
ハンドリム用ギア58が挿嵌されるハンドリム保持板48の回動シャフト56は、軸受55(図4、図5参照)を介して揺動板42に支持される。また、後輪用ギア60は、シャフト支持部材40に支持された状態で回動しない後輪シャフト14に軸受61(図4、図5参照)を介して支持される。これにより、ハンドリム20を回動させると、ハンドリム保持板48、回動シャフト56を介してハンドリム用ギア58が回動する。そして、ハンドリム用ギア58の回動がローラチェーン62を介して伝達されて後輪用ギア60が回動する。後輪用ギア60の回動は、連結板70を介して後輪16に伝達される。
図3〜図5に示すように、連結板70は、後輪シャフト14に後輪16を装着したときに、ハンドリム20の駆動力が駆動力伝達機構22を介して後輪16に伝達されるように、後輪用ギア60と後輪16とを着脱自在に連結する部材であり、後輪用ギア60に設けられる。
連結板70における後輪用ギア60に対する反対面には、6本の連結ピン72、72…が連結板70の面に対して垂直に立設していると共に、6本の連結ピン72は後輪シャフト14を中心とした周方向に等間隔で配置される。一方、後輪16のハブフランジ16A(図2参照)には、連結板70の連結ピン72に対応して6個のピン孔(図示せず)が形成されている。
そして、後輪16を後輪シャフト14に装着する際に、後輪16のハブフランジ16Aに形成された6個のピン孔を連結板70に形成された6本の連結ピン72に嵌め込む。これにより、ハンドリム20からの駆動力が駆動力伝達機構22を介して後輪16に伝達される。
また、ワンウエイクラッチ手段46は、主として、揺動板42に対して平行に隣接され、基端部が後輪シャフト14に固定的に支持されたクラッチ支持板64と、クラッチ支持板64の先端部に設けられ、揺動板42の縦揺動によりローラチェーン62と係合又は離脱するワンウエイギア66と、で構成される。ここで、揺動板42に対して平行に隣接とは、揺動板42の縦揺動した際にクラッチ支持板64に擦れない程度に隣接している。
図3〜図5に示すように、クラッチ支持板64は揺動板42とハンドリム保持板48との間に配置され、クラッチ支持板64の先端部から揺動板42の側に立設したギアシャフト68にワンウエイギア66が装着される。これにより、揺動板42が縦揺動したときに揺動板42に設けられたローラチェーン62の空中走行部分(後輪用ギア60とハンドリム用ギア58との間のチェーン部分)がワンウエイギア66と係合又は離脱する。
本発明の実施の形態の車椅子10では、図4及び図5の実線矢印Z2と破線矢印Z1とに示すように、揺動板42が下向きの実線矢印Z2方向に縦揺動したときにローラチェーン62とワンウエイギア66と係合してワンウエイクラッチ手段が設定されるようにした。また、揺動板42が上向きの破線矢印Z1方向に縦揺動したときにローラチェーン62とワンウエイギア66とが離脱してワンウエイクラッチ手段46が解除されるようにした。
これにより、車椅子10の利用者がハンドリム20を下向に動かしてハンドリム保持板48を介して揺動板42を下向きに縦揺動させたときに、ワンウエイクラッチ手段46が設定され、車椅子10は前進方向のみの走行が可能となる。また、車椅子10の利用者がハンドリム20を上向に動かしてハンドリム保持板48を介して揺動板42を上向きに縦揺動させたときに、ワンウエイクラッチ手段46が解除され、車椅子10は前進方向と後進方向との両方の走行が可能となる。この場合、揺動板42の下辺には円弧状に切り欠かれた円弧状切り欠き42Cが形成され、揺動板42がローラチェーン62とワンウエイギア66と係合を阻害しないようにしている。
なお、本実施の形態では、揺動板42の下向きの縦揺動でワンウエイクラッチ手段46が設定され、上向きの縦揺動でワンウエイクラッチ手段46が解除されるようにしたが、ワンウエイギア66をローラチェーン62の上側に配置すれば、揺動板42の上向きの縦揺動でワンウエイクラッチ手段46が設定され、下向きの縦揺動でワンウエイクラッチ手段46が解除されるようにすることもできる。
回転力伝達手段44として、ローラチェーン62の代わりに複数のギア群で設計することも可能であり、ワンウエイクラッチ手段46としてワンウエイギア66の代わりにラチェットを使用することも可能である。しかし、ラチェットの場合、ラチェットの動作音がカチカチ鳴るので、特に夜間における車椅子10の使用において気に障る場合がある。したがって、ワンウエイギア66とローラチェーン62との組み合わせが一層好ましい。
上記した駆動力伝達機構22の基本構成に更に、図3〜図5に示すチェーン弛み防止手段71、ロック手段74、揺動ガイド規制手段80、チェーン挟持手段86及び図6に示すワンウエイギア66の特殊構造を有することが好ましい。
<チェーン弛み防止手段>
チェーン弛み防止手段71は、ハンドリム用ギア58と後輪用ギア60とに掛け渡された無端状のローラチェーン62が弛むのを防止する手段である。チェーン弛み防止手段71としては、例えば、揺動板42にスライド自在に設けられ、ハンドリム保持板48及びハンドリム用ギア58の回動シャフト56を回動自在に支持する矩形板状のスライド板73と、スライド板73をローラチェーン62のチェーン張設方向(ハンドリム用ギア58と後輪用ギア60との離間距離Lを大きくしてローラチェーン62の張を強くする方向)にスライドさせるスライド手段75とで構成することができる。スライド板73は、ハンドリム用ギア58を配置する領域に、揺動板42と摺動可能な状態で平行に配設される。また、スライド板73の4角部分にスライド方向に長い4つのスライド用長孔77が形成される。一方、揺動板42には、4つのスライド用長孔77、77…に対応する4本のスライド用ピン79、79…が立設される。そして、スライド板73のスライド用長孔77に揺動板42のスライド用ピン79が係合される。これにより、スライド板73は揺動板42にスライド自在に支持され、ハンドリム用ギア58と後輪用ギア60との離間距離Lを調整する方向にスライドすることができる。
なお、スライド板73にスライド用ピン79を設け、揺動板42にスライド用長孔77を形成することも可能である。
また、スライド手段75は、揺動板42に設けられ、雌ネジ(図示せず)が刻設された2つの平行な貫通孔(図示せず)を有するL字状のナット部材81と、ナット部材81の2つの貫通孔の雌ネジに螺合する2本のボルト部材85、85とで構成される。ナット部材81は、図4に示すように、揺動板42の上辺に沿って設けられた横棒81Aと右辺に沿って設けられた縦棒81BとでL字状に形成され、2つの貫通孔は横棒81Aに平行に穿設される。そして、2つの貫通孔に螺合する2本のボルト部材85は貫通孔から突出しており、突出した先端部にスライド板73の右辺部(図3及び図4参照)をガッチリとクランプするクランプ部材83を有する。これにより、ボルト部材85を回して貫通孔から突出するボルト部材85の突出部分の長さを調整することにより、揺動板42にスライド自在に支持されたスライド板73をチェーン張設方向にスライドすることができる。この場合、ローラチェーン62の張り強さを調節することで、スライド板73に保持されるハンドリム保持板48を介してハンドリム20の位置も車椅子10の前後方向に若干変わるが、ローラチェーン62の張り強さを調節する程度であれば、ハンドリム20の操作性に問題となることはない。
<ロック手段>
ロック手段74は、揺動板42の縦揺動の動作をワンウエイクラッチ手段46の設定位置(ローラチェーン62とワンウエイギア66とが係合する位置)と解除位置(ローラチェーン62とワンウエイギア66とが離脱する位置)においてロック又はロック解除する手段である。これにより、揺動板42がワンウエイクラッチ手段46の設定位置と解除位置とにおいて確実に停止状態を維持することができるので、ワンウエイクラッチ手段46の設定と解除とを精度良く行うことができる。
ロック手段74の一例として、揺動板42に設けられたチェックボール76と、クラッチ支持板64に形成された2つの係合孔78、78とで構成することができる。即ち、揺動板42における後輪用ギア60の下方にチェックボール76が設けられる。チェックボール76とは、先端部に出没自在なボール(図示せず)を有し、ボールがスプリング等により突出する方向に付勢されている。
一方、クラッチ支持板64の2箇所にチェックボール76のボールが係合する係合孔78が形成される。図3〜図5において、2つの係合孔78、78のうちの1つの係合孔78は、チェックボール76と同じ位置にある。2箇所の係合孔78は、揺動板42が後輪シャフト14を揺動中心として縦揺動する際のチェックボール76のボールの揺動軌跡上に形成され、一方の係合孔78はワンウエイクラッチ手段46の設定位置に対応し、他方の係合孔78は解除位置に対応して形成される。これにより、揺動板42が縦揺動してチェックボール76が設定位置にくると、没していたボールが係合孔78に入り込み揺動板42の揺動をロックする。また、ボールを突出する方向の付勢力以上の揺動力で揺動板42を縦揺動させることでボールがチェックボール76の先端部に没する方向に動きロックは解除される。
図3〜図4は、揺動板42の下向きの縦揺動(Z2方向)により、チェックボール76のボールが設定位置の係合孔78に係合しており、ローラチェーン62がワンウエイギア66に係合している図である。また、図5は揺動板42の上向きの縦揺動(Z1方向)により、チェックボール76のボールが解除位置の係合孔78に係合しており、ローラチェーン62がワンウエイギア66から離脱している図である。
なお、図3〜図5では、揺動板42にチェックボール76を設け、クラッチ支持板64に係合孔78を形成した場合で説明したが、揺動板42に係合孔78を形成し、クラッチ支持板64にチェックボール76を設けることもできる。
<揺動ガイド規制手段>
揺動ガイド規制手段80は、揺動板42の縦揺動をガイドすると共に揺動板42がワンウエイクラッチ手段46の設定位置から解除位置までの揺動ストロークを超えて縦揺動しないように規制する手段である。これにより、揺動板42がワンウエイクラッチ手段46の設定位置と解除位置とを超えて過剰に縦揺動することがないので、ワンウエイクラッチ手段46の設定と解除とを精度良く行うことができる。
揺動ガイド規制手段80の一例として、揺動板42に形成された規制用長孔82と、クラッチ支持板64に設けられた規制用ピン84とで構成することができる。規制用長孔82は、揺動板42における後輪用ギア60の外側に後輪シャフト14を中心とした円弧形状に形成されると共に、揺動板42の揺動ストロークの長さと同じ長さに形成される。そして、揺動板42が縦揺動して、規制用長孔82の一方端とクラッチ支持板64の規制用ピン84とが係合する位置がワンウエイクラッチ手段46の設定位置に対応し、規制用長孔82の他方端と規制用ピン84とが係合する位置が解除位置に対応するように形成される。これにより、揺動板42はワンウエイクラッチ手段46の設定位置から解除位置までの揺動ストロークを超えて縦揺動しないように規制することができるので、ワンウエイクラッチ手段46の設定と解除とを一層精度良く行うことができる。
図3〜図4は、揺動板42の下向きの縦揺動(Z2方向)により、規制用ピン84が規制用長孔82の設定位置に移動しており、ローラチェーン62がワンウエイギア66に係合している図である。また、図5は揺動板の上向きの縦揺動(Z1方向)により、規制用ピン84が規制用長孔82の解除位置に移動しており、ローラチェーン62がワンウエイギア66から離脱している図である。
図3〜図5では、揺動板42に規制用長孔82を形成し、クラッチ支持板64に規制用ピン84を設けた場合で説明したが、揺動板42に規制用ピン84を設け、クラッチ支持板64に規制用長孔82を設けることもできる。
<チェーン挟持手段>
図3〜図5に示すように、チェーン挟持手段86は、挟持手段本体部88と、挟持手段本体部88に設けられた当接部材90とで構成される。
挟持手段本体部88は、後輪用ギア60とハンドリム用ギア58との間であってローラチェーン62の走行内側に、ワンウエイギア66の方向を向いた矩形板状に形成され、揺動板42にビス92で固定される。また、挟持手段本体部88は、後輪用ギア60とハンドリム用ギア58の回動を妨げないように薄板状に形成される。
また、当接部材90は、挟持手段本体部88のワンウエイギア66側である先端に設けられると共に滑り性の良い材質で形成され、ローラチェーン62に当接している。滑り性の良い材質としては、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、ポリアセタール等の低摩擦のプラスチックを使用することができる。
これにより、揺動板42が縦揺動してワンウエイクラッチ手段46の設定位置においてローラチェーン62とワンウエイギア66とが係合したときに、ローラチェーン62を当接部材90とワンウエイギア66とで挟み込む。したがって、ローラチェーン62がワンウエイギア66から外れるのを確実に防止することができる。
<ワンウエイギアのギア歯の特殊構造>
図6は、駆動力伝達機構22におけるワンウエイギア66のギア歯94の好ましい特殊構造を説明する説明図である。
図6の説明において、ワンウエイギア66は車椅子10の前進方向である矢印A方向にのみに回転し、車椅子10の後進方向である矢印B方向には回転しないものとする(図3〜図5も参照)。したがって、ワンウエイギア66とローラチェーン62とが係合したワンウエイクラッチ手段46の設定状態では、ローラチェーン62は矢印C方向(車椅子10の前進方向)にのみ走行し、矢印D方向(車椅子10の後進方向)に走行しようとしてもワンウエイギア66のギア歯94に引っ掛かって動かない。これにより、車椅子10が後進するときの後輪16の回転方向である後回転を防止する。
この場合において、ワンウエイギア66の山型に形成されたギア歯94の左右の歯面94A、94B(山型の両側面)のうち、ワンウエイギア66とローラチェーン62とが係合した状態において、後輪16の後回転を防止する側のギア歯面94A(図6の右側の歯面)は、ワンウエイギア66の回動中心Mと歯面94Aの歯元94Cとを結ぶ直線の延長線Nによって形成される壁状面を有することが好ましい。即ち、山型に形成されたギア歯94の左右の歯面94A、94Bのうち、後輪16の後回転を防止する側の歯面94Aは、山型の側面が略垂直に立ち上がった壁状面を有している。
これにより、ローラチェーン62とワンウエイギア66とが係合した状態で、後輪16が後回転(即ち車椅子10の後進)するような大きな力がローラチェーン62に加わっても、ローラチェーン62はワンウエイギア66に対する引っ掛かりが壁状面によって大きくなるので、ローラチェーン62とワンウエイギア66との係合が外れ難くなる。したがって、ワンウエイクラッチ手段46の設定状態において、後輪16が後回転することを一層確実に防止することができるので、ワンウエイクラッチ手段46の機能を一層確実に達成することができる。
この場合、ギア歯94の右側の歯面94Aの歯元から歯先まで壁状面を有していると、ワンウエイクラッチ手段46の解除の際に、ローラチェーン62をワンウエイギア66から離脱させ難くなる懸念がある。したがって、歯面94Aの歯先部分は面取り加工して丸味をつけることが好ましい。ギア歯94の右側の歯面94Aの歯元から歯先のうち、歯元からどの程度まで壁状面にするかは、ローラチェーン62をワンウエイギア66から離脱させる際の引っ掛かりを見ながら試行錯誤する必要がある。だいたいの目安としては、ギア歯94の右側の歯面94Aの歯元から歯先のうち、歯元から2/3程度までを壁状面にして、1/3程度に丸味をつけるように設計することができる。
(本発明のまとめ)
上記の如く構成された本発明の車椅子10によれば、ハンドリム20から後輪16に駆動力を伝達する駆動力伝達機構22の構成の1つとして、車椅子10の前後方向における後輪シャフト14の標準取り付け位置である本体フレーム12のバックパイプ24F位置よりも後ろ寄りに後輪16の回動中心Qがくるように後輪シャフト14を支持するシャフト支持部材40を設けた。
これにより、ウイリー防止機能を備えることができる。即ち、後輪16の回動中心Qを本体フレーム12のバックパイプ24F位置よりも後ろ寄りにずらすことにより、車椅子10に利用者が乗った時の重心が車椅子10の前寄りに移動する。したがって、車椅子10で坂道を登る時に、車椅子10の後輪16を中心に車椅子10の前側が持ち上がって後ろ側に傾く、いわゆるウイリーを発生し難くなる。
また、本発明の車椅子10では、駆動力伝達機構22として、シャフト支持部材40に支持された後輪シャフト14に基端部を揺動中心として縦揺動自在に支持され、先端部にハンドリム20を保持するためのハンドリム保持板48が回動自在に支持されると共にハンドリム保持板48の回動中心が後輪16の回動中心よりも前寄りになるように形成された長尺状の揺動板42と、揺動板42に設けられ、ハンドリム20からの前回転及び後回転の回転力をハンドリム保持板48を介して後輪に伝達する回転力伝達手段44とを設けるようにした。これにより、後輪16の回転中心は後ろ寄りにずれていても、ハンドリム20の回転中心は後輪16の回転中心よりも前寄りに配置することができるので、利用者はハンドリム20の操作性が悪くなるという不具合がない。
この場合、ハンドリム20の回動中心Pは、座面36における車椅子10の前後方向の中央に位置することが好ましい。これにより、利用者はハンドリム20の操作性が良くなり、ハンドリム20に大きな力を掛けることができる。
本発明の実施の形態の車椅子10では、ハンドリム20から後輪16に駆動力を伝達する駆動力伝達機構22を上記の如く構成したが故に、後輪の回動中心Qとハンドリム20の回動中心Pとが離間した状態で別々の位置に設けることが可能となった。
また、本発明の実施の形態の車椅子10では、回転力伝達手段44の回転力のうち前回転(車椅子10の前進方向)の回転力のみを後輪16に伝達するワンウエイクラッチ手段46、を有し、利用者がハンドリム20を縦方向に動かしてハンドリム保持板48を介して揺動板42を縦揺動させたときに、回転力伝達手段44とワンウエイクラッチ手段46とが協同又は協同を解除することによって、ワンウエイクラッチ手段46の設定と解除を行うようにした。
即ち、利用者はハンドリム20を縦方向、例えば下向きに動かすことにより、ワンウエイクラッチ手段46が設定され、後輪16は前回転のみを行うので、車椅子10は後進しなくなる。したがって、利用者が車椅子10から立ち上がる際に、立ち上がる反動によって車椅子10が後方に動き、利用者が後向きに転倒することがなくなる。
また、車椅子10で坂道を登る場合には、車椅子10には下がろうとする方向の力が作用するが、利用者はハンドリム20を下向きに動かすことにより、ワンウエイクラッチ手段46が設定されて後輪16は前回転のみを行う。したがって、利用者は車椅子10を大きな力でハンドリム20を前回転方向に押し回し続ける必要はなく、利用者が坂道でハンドリム20から手を離しても、車椅子10が坂道を逆走する危険がない。
このように、本発明の実施の形態の車椅子10は、利用者が車椅子10を走行させる際に必要なハンドリム20によって、立ち上がり転倒防止機能と坂道逆走防止機能との2つの操作も行えるように構成されている。
上記の通り、本発明の実施の形態の車椅子10は、立ち上がり転倒防止機能、ウイリー防止機能、及び坂道逆走防止機能を1つの手段にコンパクトにまとめると共にハンドリム20の操作により全ての機能を操作できるようにしたので、従来の欠点であった構造の複雑性、装置サイズの増大、操作の煩雑性を一度に解決することができる。
更に重ねて説明すると、従来の車椅子は、立ち上がり転倒防止機能のための駐車用ブレーキ、ウイリー防止機能のための車輪付きのアーム、坂道逆走防止機能のための一方向クラッチのように、それぞれ独立した手段が設けられており、車椅子の構造が複雑になるだけでなく装置サイズが大きくなる原因となる。更には、それぞれの利用者は複数の操作レバーをその都度操作しなくてはならず、操作が煩雑になるという欠点がある。
しかしながら、本発明は、立ち上がり転倒防止機能、ウイリー防止機能、及び坂道逆走防止機能を1つの手段にコンパクトにまとめると共にハンドリムの操作により全ての機能を操作できるようにしたので、従来の欠点であった構造の複雑性、装置サイズの増大、操作の煩雑性を一度に解決できるようにした車椅子を提供することができる。
10…車椅子、12…本体フレーム、14…後輪シャフト、14A…基端部、14B…切欠き面、14C…雄ネジ、14D…先端部、16…後輪、16A、16B…ハブフランジ、18…前輪、20…ハンドリム、22…駆動力伝達機構、24…側面フレーム、24A…アームパイプ、24B…フロントパイプ、24C…レッグパイプ、24D…シートパイプ、24E…ベースパイプ、24F…バックパイプ、24G…バックレストパイプ、24H…前輪用パイプ、26…X状フレーム、26A…リンク棒、26B…連結ピン、28…アームカバー、28…アームレスト、30…フットレスト、32…グリップ、34…上パイプ、36…座面、38…バックレスト、40…シャフト支持部材、40A…貫通孔、42…揺動板、42A…基端部、42B…先端部、42C…円弧状切り欠き、44…回転力伝達手段、46…ワンウエイクラッチ手段、48…ハンドリム保持板、48A…ボルト孔、50…軸受、52…ナット部材、54…ボルト、55…軸受、56…回動シャフト、58…ハンドリム用ギア、60…後輪用ギア、61…軸受、62…ローラチェーン、64…クラッチ支持板、66…ワンウエイギア、68…ギアシャフト、70…連結板、71…チェーン弛み防止手段、72…連結ピン、73…スライド板、74…ロック手段、75…スライド手段、76…チェックボール、77…スライド用長孔、78…係合孔、79…スライド用ピン、80…揺動ガイド規制手段、81…L字状ナット部材、81A…横棒、81B…縦棒、82…規制用長孔、83…クランプ部材、84…規制用ピン、85…スライド用ボルト部材、86…チェーン挟持手段、88…挟持手段本体部、90…当接部材、92…ビス、94…ギア歯、94A,94B…歯面、94C…歯元、X1−X2…車椅子の幅方向、Y1−Y2…車椅子の前後方向、Z1−Z2…車椅子の高さ方向、A…ワンウエイギアが回転する方向、B…ワンウエイギアが回転しない方向、C…車椅子の前進方向、D…車椅子の後進方向、L…離間距離、M…回動中心、N…延長線、P…ハンドリムの回動中心、Q…後輪の回動中心

Claims (9)

  1. 車椅子の利用者が座る本体フレームと、
    前記本体フレームに回動自在に支持された左右一対の後輪と、
    前記本体フレームに回動自在に支持されると共に前記後輪よりも小径な左右一対の前輪と、
    前記利用者が手動により前記後輪を駆動する左右一対のハンドリムと、
    前記ハンドリムから前記後輪に駆動力を伝達する駆動力伝達機構と、を有し、
    前記駆動力伝達機構は、
    前記本体フレームに設けられ、前記後輪のシャフトである後輪シャフトを支持するシャフト支持部材と、
    前記シャフト支持部材に支持された前記後輪シャフトに基端部が縦揺動自在に支持され、先端部に前記ハンドリムを保持するハンドリム保持板が回動自在に支持されると共に前記ハンドリム保持板の回動中心が前記後輪の回動中心よりも前寄りになるように形成された長尺状の揺動板と、
    前記揺動板に設けられ、前記ハンドリムからの前回転及び後回転の回転力を前記ハンドリム保持板を介して前記後輪に伝達する回転力伝達手段と、
    前記回転力伝達手段の前記回転力のうち前記前回転の回転力のみを前記後輪に伝達するワンウエイクラッチ手段と、を有し、
    前記利用者が前記ハンドリムを縦方向に動かして前記ハンドリム保持板を介して前記揺動板を縦揺動させたときに、前記回転力伝達手段と前記ワンウエイクラッチ手段とが協同又は協同を解除することによって、前記ワンウエイクラッチ手段の設定と解除を行うことを特徴とする車椅子。
  2. 前記本体フレームには前記利用者が座る座面が形成されると共に、前記ハンドリムの回動中心が前記座面における前記車椅子の前後方向の中央に位置する請求項1に記載の車椅子。
  3. 前記回転力伝達手段は、
    前記揺動板の前記ハンドリム保持板の反対側面に設けられ、前記ハンドリム保持板と一緒に回動するハンドリム用ギアと、
    前記揺動板の前記ハンドリム保持板の反対側面に設けられ、前記後輪と一緒に回動する後輪用ギアと、
    前記ハンドリム用ギアと前記後輪用ギアとに掛け渡された無端状のローラチェーンと、を有し、
    前記ワンウエイクラッチ手段は、
    前記揺動板に対して平行に隣接され、基端部が前記後輪シャフトに支持されたクラッチ支持板と、
    前記クラッチ支持板の先端部に設けられ、前記揺動板の縦揺動により前記ローラチェーンと係合又は離脱するワンウエイギアと、を有する請求項1又は2に記載の車椅子。
  4. 前記駆動力伝達機構は、
    前記揺動板の縦揺動の動作を前記ワンウエイクラッチ手段の設定位置と解除位置とにおいてロック又はロック解除するロック手段を有する請求項3に記載の車椅子。
  5. 前記ロック手段は、
    前記揺動板と前記クラッチ支持板との一方に設けられ、先端部に出没自在なボールを有するチェックボールと、
    前記揺動板と前記クラッチ支持板との他方に設けられ、前記チェックボールの前記ボールが突出して係合する係合孔とで構成される請求項4に記載の車椅子。
  6. 前記駆動力伝達機構は、
    前記揺動板の縦揺動をガイドすると共に前記揺動板が前記ワンウエイクラッチ手段の前記設定位置から前記解除位置までの揺動ストロークを超えて縦揺動しないように規制する揺動ガイド規制手段を有する請求項4又は5に記載の車椅子。
  7. 前記揺動ガイド規制手段は、
    前記揺動板と前記クラッチ支持板との一方に前記後輪シャフトを中心とした円弧形状に形成されると共に前記揺動ストロークの長さと同じ長さに形成された規制用長孔と、
    前記揺動板と前記クラッチ支持板の一方に設けられ、前記規制用長孔に係合する規制用ピンと、で構成される請求項6に記載の車椅子。
  8. 前記駆動力伝達機構は、
    前記ハンドリム用ギアと前記後輪用ギアとの間のローラチェーン部分を前記ワンウエイギアとで挟み込むチェーン挟持手段を有する請求項3に記載の車椅子。
  9. 前記ワンウエイギアは、
    前記ワンウエイギアの山型に形成されたギア歯の左右のギア歯面のうち、前記ワンウエイギアと前記ローラチェーンとが係合した状態において前記後輪の後回転を防止する側のギア歯面は、前記ワンウエイギアの回動中心とギア歯元とを結ぶ直線の延長線によって形成される壁状面を有する請求項3又は8に記載の車椅子。
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