JP6980331B1 - 車椅子 - Google Patents
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Abstract
Description
ここで、前記シャフト支持部材は、車椅子の前後方向における後輪の後輪シャフト標準取り付け位置である本体フレームのバックパイプ位置よりも後ろ寄りに後輪の回動中心がくるように後輪シャフトを支持することが好ましい。これにより、後輪が従来の車いすよりも後に配置されるので、前輪が宙に浮くウイリーを極めて効果的に防止することができる。このウイリー防止効果は、本発明の試作品の一つ(後輪が従来の車いすと同じ後輪シャフト標準取付位置に取り付けられているもの)と、本発明品との比較評価により実証された。
[車椅子の全体構成]
図1は本発明の実施の形態の車椅子の一例であり、折り畳み式の車椅子の斜視図であり、図2は図1の分解図であり、本体フレームから後輪及びハンドリム等を取り外した図である。
なお、図1及び図2において、車椅子10の幅方向をX1−X2方向、前後方向をY1−Y2方向、高さ方向をZ1−Z2方向で示す。
本体フレーム12は、主として、車椅子10の幅方向に配設された左右一対の側面フレーム24と、側面フレーム24同士を折り畳み自在に連結する2本のX状フレーム26、26とで構成される。2本のX状フレーム26、26は車椅子10の前後方向にそれぞれ配置される。
また、本発明の実施の形態の車椅子10では、本体フレーム12が折り畳み自在の例で説明するが、本発明は折り畳みでない場合にも適用できることは勿論である。
(駆動力伝達機構)
図1〜図5(主として図3〜図5)に示すように、駆動力伝達機構22は、主として、本体フレーム12に後輪シャフト14を固定的(回動しないように)に支持するシャフト支持部材40(図1及び図2参照)と、後輪シャフト14に揺動自在に支持された揺動板42と、揺動板42に設けられた回転力伝達手段44と、ワンウエイクラッチ手段46とで構成される。そして、車椅子10の利用者がハンドリム20を図1の矢印Z1―Z2に示すように車椅子10の高さ方向、即ち縦方向に動かしてハンドリム保持板48を介して揺動板42を縦揺動させたときに、回転力伝達手段44とワンウエイクラッチ手段46とが協同又は協同を解除することによって、ワンウエイクラッチ手段46の設定(作用した状態をいう)と解除を行うように構成した。
また、ワンウエイクラッチ手段46は、主として、揺動板42に対して平行に隣接され、基端部が後輪シャフト14に固定的に支持されたクラッチ支持板64と、クラッチ支持板64の先端部に設けられ、揺動板42の縦揺動によりローラチェーン62と係合又は離脱するワンウエイギア66と、で構成される。ここで、揺動板42に対して平行に隣接とは、揺動板42の縦揺動した際にクラッチ支持板64に擦れない程度に隣接している。
チェーン弛み防止手段71は、ハンドリム用ギア58と後輪用ギア60とに掛け渡された無端状のローラチェーン62が弛むのを防止する手段である。チェーン弛み防止手段71としては、例えば、揺動板42にスライド自在に設けられ、ハンドリム保持板48及びハンドリム用ギア58の回動シャフト56を回動自在に支持する矩形板状のスライド板73と、スライド板73をローラチェーン62のチェーン張設方向(ハンドリム用ギア58と後輪用ギア60との離間距離Lを大きくしてローラチェーン62の張を強くする方向)にスライドさせるスライド手段75とで構成することができる。スライド板73は、ハンドリム用ギア58を配置する領域に、揺動板42と摺動可能な状態で平行に配設される。また、スライド板73の4角部分にスライド方向に長い4つのスライド用長孔77が形成される。一方、揺動板42には、4つのスライド用長孔77、77…に対応する4本のスライド用ピン79、79…が立設される。そして、スライド板73のスライド用長孔77に揺動板42のスライド用ピン79が係合される。これにより、スライド板73は揺動板42にスライド自在に支持され、ハンドリム用ギア58と後輪用ギア60との離間距離Lを調整する方向にスライドすることができる。
ロック手段74は、揺動板42の縦揺動の動作をワンウエイクラッチ手段46の設定位置(ローラチェーン62とワンウエイギア66とが係合する位置)と解除位置(ローラチェーン62とワンウエイギア66とが離脱する位置)においてロック又はロック解除する手段である。これにより、揺動板42がワンウエイクラッチ手段46の設定位置と解除位置とにおいて確実に停止状態を維持することができるので、ワンウエイクラッチ手段46の設定と解除とを精度良く行うことができる。
なお、図3〜図5では、揺動板42にチェックボール76を設け、クラッチ支持板64に係合孔78を形成した場合で説明したが、揺動板42に係合孔78を形成し、クラッチ支持板64にチェックボール76を設けることもできる。
揺動ガイド規制手段80は、揺動板42の縦揺動をガイドすると共に揺動板42がワンウエイクラッチ手段46の設定位置から解除位置までの揺動ストロークを超えて縦揺動しないように規制する手段である。これにより、揺動板42がワンウエイクラッチ手段46の設定位置と解除位置とを超えて過剰に縦揺動することがないので、ワンウエイクラッチ手段46の設定と解除とを精度良く行うことができる。
図3〜図5では、揺動板42に規制用長孔82を形成し、クラッチ支持板64に規制用ピン84を設けた場合で説明したが、揺動板42に規制用ピン84を設け、クラッチ支持板64に規制用長孔82を設けることもできる。
図3〜図5に示すように、チェーン挟持手段86は、挟持手段本体部88と、挟持手段本体部88に設けられた当接部材90とで構成される。
挟持手段本体部88は、後輪用ギア60とハンドリム用ギア58との間であってローラチェーン62の走行内側に、ワンウエイギア66の方向を向いた矩形板状に形成され、揺動板42にビス92で固定される。また、挟持手段本体部88は、後輪用ギア60とハンドリム用ギア58の回動を妨げないように薄板状に形成される。
これにより、揺動板42が縦揺動してワンウエイクラッチ手段46の設定位置においてローラチェーン62とワンウエイギア66とが係合したときに、ローラチェーン62を当接部材90とワンウエイギア66とで挟み込む。したがって、ローラチェーン62がワンウエイギア66から外れるのを確実に防止することができる。
図6は、駆動力伝達機構22におけるワンウエイギア66のギア歯94の好ましい特殊構造を説明する説明図である。
図6の説明において、ワンウエイギア66は車椅子10の前進方向である矢印A方向にのみに回転し、車椅子10の後進方向である矢印B方向には回転しないものとする(図3〜図5も参照)。したがって、ワンウエイギア66とローラチェーン62とが係合したワンウエイクラッチ手段46の設定状態では、ローラチェーン62は矢印C方向(車椅子10の前進方向)にのみ走行し、矢印D方向(車椅子10の後進方向)に走行しようとしてもワンウエイギア66のギア歯94に引っ掛かって動かない。これにより、車椅子10が後進するときの後輪16の回転方向である後回転を防止する。
この場合、ギア歯94の右側の歯面94Aの歯元から歯先まで壁状面を有していると、ワンウエイクラッチ手段46の解除の際に、ローラチェーン62をワンウエイギア66から離脱させ難くなる懸念がある。したがって、歯面94Aの歯先部分は面取り加工して丸味をつけることが好ましい。ギア歯94の右側の歯面94Aの歯元から歯先のうち、歯元からどの程度まで壁状面にするかは、ローラチェーン62をワンウエイギア66から離脱させる際の引っ掛かりを見ながら試行錯誤する必要がある。だいたいの目安としては、ギア歯94の右側の歯面94Aの歯元から歯先のうち、歯元から2/3程度までを壁状面にして、1/3程度に丸味をつけるように設計することができる。
上記の如く構成された本発明の車椅子10によれば、ハンドリム20から後輪16に駆動力を伝達する駆動力伝達機構22の構成の1つとして、車椅子10の前後方向における後輪シャフト14の標準取り付け位置である本体フレーム12のバックパイプ24F位置よりも後ろ寄りに後輪16の回動中心Qがくるように後輪シャフト14を支持するシャフト支持部材40を設けた。
本発明の実施の形態の車椅子10では、ハンドリム20から後輪16に駆動力を伝達する駆動力伝達機構22を上記の如く構成したが故に、後輪の回動中心Qとハンドリム20の回動中心Pとが離間した状態で別々の位置に設けることが可能となった。
このように、本発明の実施の形態の車椅子10は、利用者が車椅子10を走行させる際に必要なハンドリム20によって、立ち上がり転倒防止機能と坂道逆走防止機能との2つの操作も行えるように構成されている。
上記の通り、本発明の実施の形態の車椅子10は、立ち上がり転倒防止機能、ウイリー防止機能、及び坂道逆走防止機能を1つの手段にコンパクトにまとめると共にハンドリム20の操作により全ての機能を操作できるようにしたので、従来の欠点であった構造の複雑性、装置サイズの増大、操作の煩雑性を一度に解決することができる。
更に重ねて説明すると、従来の車椅子は、立ち上がり転倒防止機能のための駐車用ブレーキ、ウイリー防止機能のための車輪付きのアーム、坂道逆走防止機能のための一方向クラッチのように、それぞれ独立した手段が設けられており、車椅子の構造が複雑になるだけでなく装置サイズが大きくなる原因となる。更には、それぞれの利用者は複数の操作レバーをその都度操作しなくてはならず、操作が煩雑になるという欠点がある。
しかしながら、本発明は、立ち上がり転倒防止機能、ウイリー防止機能、及び坂道逆走防止機能を1つの手段にコンパクトにまとめると共にハンドリムの操作により全ての機能を操作できるようにしたので、従来の欠点であった構造の複雑性、装置サイズの増大、操作の煩雑性を一度に解決できるようにした車椅子を提供することができる。
Claims (9)
- 車椅子の利用者が座る本体フレームと、
前記本体フレームに回動自在に支持された左右一対の後輪と、
前記本体フレームに回動自在に支持されると共に前記後輪よりも小径な左右一対の前輪と、
前記利用者が手動により前記後輪を駆動する左右一対のハンドリムと、
前記ハンドリムから前記後輪に駆動力を伝達する駆動力伝達機構と、を有し、
前記駆動力伝達機構は、
前記本体フレームに設けられ、前記後輪のシャフトである後輪シャフトを支持するシャフト支持部材と、
前記シャフト支持部材に支持された前記後輪シャフトに基端部が縦揺動自在に支持され、先端部に前記ハンドリムを保持するハンドリム保持板が回動自在に支持されると共に前記ハンドリム保持板の回動中心が前記後輪の回動中心よりも前寄りになるように形成された長尺状の揺動板と、
前記揺動板に設けられ、前記ハンドリムからの前回転及び後回転の回転力を前記ハンドリム保持板を介して前記後輪に伝達する回転力伝達手段と、
前記回転力伝達手段の前記回転力のうち前記前回転の回転力のみを前記後輪に伝達するワンウエイクラッチ手段と、を有し、
前記利用者が前記ハンドリムを縦方向に動かして前記ハンドリム保持板を介して前記揺動板を縦揺動させたときに、前記回転力伝達手段と前記ワンウエイクラッチ手段とが協同又は協同を解除することによって、前記ワンウエイクラッチ手段の設定と解除を行うことを特徴とする車椅子。 - 前記本体フレームには前記利用者が座る座面が形成されると共に、前記ハンドリムの回動中心が前記座面における前記車椅子の前後方向の中央に位置する請求項1に記載の車椅子。
- 前記回転力伝達手段は、
前記揺動板の前記ハンドリム保持板の反対側面に設けられ、前記ハンドリム保持板と一緒に回動するハンドリム用ギアと、
前記揺動板の前記ハンドリム保持板の反対側面に設けられ、前記後輪と一緒に回動する後輪用ギアと、
前記ハンドリム用ギアと前記後輪用ギアとに掛け渡された無端状のローラチェーンと、を有し、
前記ワンウエイクラッチ手段は、
前記揺動板に対して平行に隣接され、基端部が前記後輪シャフトに支持されたクラッチ支持板と、
前記クラッチ支持板の先端部に設けられ、前記揺動板の縦揺動により前記ローラチェーンと係合又は離脱するワンウエイギアと、を有する請求項1又は2に記載の車椅子。 - 前記駆動力伝達機構は、
前記揺動板の縦揺動の動作を前記ワンウエイクラッチ手段の設定位置と解除位置とにおいてロック又はロック解除するロック手段を有する請求項3に記載の車椅子。 - 前記ロック手段は、
前記揺動板と前記クラッチ支持板との一方に設けられ、先端部に出没自在なボールを有するチェックボールと、
前記揺動板と前記クラッチ支持板との他方に設けられ、前記チェックボールの前記ボールが突出して係合する係合孔とで構成される請求項4に記載の車椅子。 - 前記駆動力伝達機構は、
前記揺動板の縦揺動をガイドすると共に前記揺動板が前記ワンウエイクラッチ手段の前記設定位置から前記解除位置までの揺動ストロークを超えて縦揺動しないように規制する揺動ガイド規制手段を有する請求項4又は5に記載の車椅子。 - 前記揺動ガイド規制手段は、
前記揺動板と前記クラッチ支持板との一方に前記後輪シャフトを中心とした円弧形状に形成されると共に前記揺動ストロークの長さと同じ長さに形成された規制用長孔と、
前記揺動板と前記クラッチ支持板の一方に設けられ、前記規制用長孔に係合する規制用ピンと、で構成される請求項6に記載の車椅子。 - 前記駆動力伝達機構は、
前記ハンドリム用ギアと前記後輪用ギアとの間のローラチェーン部分を前記ワンウエイギアとで挟み込むチェーン挟持手段を有する請求項3に記載の車椅子。 - 前記ワンウエイギアは、
前記ワンウエイギアの山型に形成されたギア歯の左右のギア歯面のうち、前記ワンウエイギアと前記ローラチェーンとが係合した状態において前記後輪の後回転を防止する側のギア歯面は、前記ワンウエイギアの回動中心とギア歯元とを結ぶ直線の延長線によって形成される壁状面を有する請求項3又は8に記載の車椅子。
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JP2000203396A (ja) * | 1999-01-13 | 2000-07-25 | Shigehito Kuman | 車椅子の走行安全装置 |
JP2003299696A (ja) * | 2002-04-10 | 2003-10-21 | Akira Korosue | レバー駆動式車いす |
JP2006136696A (ja) * | 2004-11-13 | 2006-06-01 | Iwao Harada | ハンドルの往復操作により駆動する自走式車いすの駆動部 |
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