JP6979921B2 - ヒートポンプシステムの検査方法、及びヒートポンプシステム - Google Patents
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Description
更に、当該構成において、制御装置が、第3膨張弁及び第3熱交換器を経由して冷媒を循環させない状態で、圧縮手段から送出された冷媒が第1熱交換器と第1膨張弁とレシーバと第2膨張弁と第2熱交換器とを順に通流した後で圧縮手段に帰還するように冷媒の循環状態を切り替えることで、蒸発器として作用する第2熱交換器において、冷媒循環路を流れる冷媒によって熱交換対象流体を冷却する冷房運転を実行可能に構成され、且つ、第2膨張弁及び第2熱交換器を経由して冷媒を循環させない遮断状態で、圧縮手段から送出された冷媒を第1熱交換器と第1膨張弁とレシーバと第3膨張弁と第3熱交換器とを順に通流させた後で圧縮手段に帰還させるように冷媒の循環状態を切り替えて検査運転を行わせながら、循環中の冷媒の状態値を検出し、検出した状態値に基づいて、冷媒循環路内に存在する冷媒充填量の適否を判定する。
即ち、特許文献1に開示の技術においては、検査運転を行いながら状態値を検出するとき、圧縮手段から送出された冷媒が、第1熱交換器と第1膨張弁とレシーバと第3膨張弁と第3熱交換器とを順に通流した後で圧縮手段に帰還し、冷房運転時に用いられる第2膨張弁及び第2熱交換器には冷媒を循環させない。このとき、冷房運転時には蒸発器として作用する第2熱交換器には冷媒は循環しないが、第3熱交換器において冷媒循環路を流れる冷媒とエンジンから放出される排熱との間での熱交換を行わせることで、第3熱交換器はヒートポンプサイクルの中の蒸発器として作用する。このように、状態値を検出するとき、冷媒は、熱交換対象流体との熱交換が行われる第2熱交換器を経由しない状態で循環しているため、第2熱交換器を通って冷媒を流すのに要する冷媒循環路の長さ、熱交換対象流体の温度及び量に応じて変化する第2熱交換器での熱交換の状況、第2熱交換器の設置個数等など、冷媒の状態値が変化し得る要因の多くを排除した状態で、循環中の冷媒の状態値を正確に検出できる。
加えて、状態値の検出では、循環中の冷媒の状態値を検出するため、循環が停止している間での冷媒の状態値を検出する場合と比べて、定常状態となったことを判断しやすく、より正確な冷媒の状態値が検出されることが期待できる。
冷媒が循環する冷媒循環路と、エンジンと、前記エンジンによって駆動され、前記冷媒循環路を流れる冷媒を圧縮する圧縮手段と、前記冷媒循環路を流れる冷媒と外気との間での熱交換を行わせることができる第1熱交換器と、前記冷媒循環路を流れる冷媒と熱交換対象流体との間での熱交換を行わせることができる第2熱交換器と、前記第2熱交換器に流入する冷媒を膨張させる第1膨張弁及び第2膨張弁と、前記第1膨張弁と前記第2膨張弁の間で冷媒を貯留するレシーバと、前記冷媒循環路を流れる冷媒と前記エンジンから放出される排熱との間での熱交換を行わせることができる第3熱交換器と、前記第3熱交換器に流入する冷媒を膨張させる第3膨張弁とを備え、
前記第3膨張弁及び前記第3熱交換器を経由して冷媒を循環させない状態で、前記圧縮手段から送出された冷媒が前記第1熱交換器と前記第1膨張弁と前記レシーバと前記第2膨張弁と前記第2熱交換器とを順に通流した後で前記圧縮手段に帰還するように冷媒の循環状態を切り替えることで、蒸発器として作用する前記第2熱交換器において、前記冷媒循環路を流れる冷媒によって前記熱交換対象流体を冷却する冷房運転を行うことができるヒートポンプシステムの検査方法であって、その特徴構成は、
前記第2膨張弁及び前記第2熱交換器を経由して冷媒を循環させない遮断状態で、前記圧縮手段から送出された冷媒を前記第1熱交換器と前記第1膨張弁と前記レシーバと前記第3膨張弁と前記第3熱交換器とを順に通流させた後で前記圧縮手段に帰還させるように冷媒の循環状態を切り替える検査運転を行いながら、前記レシーバへ貯留される冷媒量を満液化する満液化工程と、
前記検査運転を行いながら、前記満液化工程による前記レシーバの満液化状態を維持した状態で、循環中の冷媒の状態値を検出する状態値検出工程と、
前記状態値検出工程で検出した前記状態値に基づいて、前記冷媒循環路内に存在する冷媒充填量の適否を判定する冷媒充填量判定工程とを有する点にある。
冷媒が循環する冷媒循環路と、エンジンと、前記エンジンによって駆動され、前記冷媒循環路を流れる冷媒を圧縮する圧縮手段と、前記冷媒循環路を流れる冷媒と外気との間での熱交換を行わせることができる第1熱交換器と、前記冷媒循環路を流れる冷媒と熱交換対象流体との間での熱交換を行わせることができる第2熱交換器と、前記第2熱交換器に流入する冷媒を膨張させる第1膨張弁及び第2膨張弁と、前記第1膨張弁と前記第2膨張弁の間で冷媒を貯留するレシーバと、前記冷媒循環路を流れる冷媒と前記エンジンから放出される排熱との間での熱交換を行わせることができる第3熱交換器と、前記第3熱交換器に流入する冷媒を膨張させる第3膨張弁と、制御装置とを備え、
前記制御装置が、前記第3膨張弁及び前記第3熱交換器を経由して冷媒を循環させない状態で、前記圧縮手段から送出された冷媒が前記第1熱交換器と前記第1膨張弁と前記レシーバと前記第2膨張弁と前記第2熱交換器とを順に通流した後で前記圧縮手段に帰還するように冷媒の循環状態を切り替えることで、蒸発器として作用する前記第2熱交換器において、前記冷媒循環路を流れる冷媒によって前記熱交換対象流体を冷却する冷房運転を行うことができるヒートポンプシステムであって、その特徴構成は、
前記制御装置が、前記第2膨張弁及び前記第2熱交換器を経由して冷媒を循環させない遮断状態で、前記圧縮手段から送出された冷媒を前記第1熱交換器と前記第1膨張弁と前記レシーバと前記第3膨張弁と前記第3熱交換器とを順に通流させた後で前記圧縮手段に帰還させるように冷媒の循環状態を切り替えて検査運転を行わせながら、前記レシーバへ貯留される冷媒量を満液化する満液化状態で、循環中の冷媒の状態値に基づいて、前記冷媒循環路内に存在する冷媒充填量の適否を判定する点にある。
上記特徴構成によれば、状態値検出工程は、満液化工程によりレシーバの満液化状態が維持されながら実行されるから、検出される状態値と冷媒充填量が適切な相関関係を維持される状態での冷媒の状態値が検出される。
前記満液化工程は、前記第1膨張弁前後の圧力差を前記冷房運転の定格負荷時よりも低減する圧力差低減制御を含むものである点にある。
尚、第1膨張弁前後の圧力差を低減する圧力差低減制御としては、例えば、第1膨張弁の絞り径を拡大する制御を含むものとする。
前記検査運転を行いながら、凝縮圧力を前記冷房運転の定格負荷時より上昇させる凝縮圧力上昇制御と、蒸発圧力を前記冷房運転の定格負荷時より低減させる蒸発圧力低減制御と、前記圧縮手段の回転数を前記冷房運転の定格負荷時より低減させる回転数低減制御との何れか一つ以上を実行する漏洩検知性能向上工程とを有し、
前記漏洩検知性能向上工程が実行されている状態で、前記状態値検出工程が実行される点にある。
ここで、上記満液化工程を実行する場合、凝縮器としての第1熱交換器での冷媒の冷却量が低減し、過冷却度が低減する。過冷却度が低減すると、判定可能な冷媒充填量の範囲が小さくなり、漏洩検知性能の観点からは、好ましくない。
本願の発明者らは、凝縮圧力を上昇させる凝縮圧力上昇制御と、蒸発圧力を低減させる蒸発圧力低減制御と、圧縮機の回転数を低減する回転数低減制御との何れか一つ以上を実行する漏洩検知性能向上工程を実行することで、状態値としての過冷却度を高め、当該過冷却度と冷媒充填量との相関関係に基づいて冷媒充填量の適否を判定することで、漏洩検知性能をより高めて、冷媒充填量の適否を判定できる。
因みに、冷媒充填量を判定するための過冷却度と冷媒充填量との相関関係は、検査運転を実行するときで、満液化工程及び漏洩検知性能向上工程とを実行しているときに、予め、測定して記憶部に記憶される関係である。
上流端が前記レシーバと前記第2膨張弁との間の前記冷媒循環路に接続されると共に下流端が前記圧縮手段と前記第2熱交換器との間の前記冷媒循環路に接続される過冷却流路を備え、
当該過冷却流路を通過する冷媒を膨張させる過冷却膨張弁と、前記過冷却膨張弁にて膨張された冷媒と前記レシーバ内の冷媒とを熱交換する熱交換部とを備え、
前記検査運転を実行するときには、前記過冷却膨張弁を閉止して前記過冷却流路への冷媒の通流を禁止する点にある。
以下に図面を参照して本発明の第1実施形態に係るヒートポンプシステムの検査方法、及び、その検査方法を実行可能に構成されたヒートポンプシステムについて説明する。
図1は、ヒートポンプシステムの構成を示す図である。また、図1では、ヒートポンプシステムにおいて、空調対象空間の空気を冷却するための冷房運転を行っているときの冷媒及び冷却水の循環状態を示し、冷媒及び冷却水の流れる経路を太実線で描いている。つまり、空調対象空間の空気が熱交換対象流体となる。図示するように、ヒートポンプシステムは、冷媒が循環する冷媒循環路3と、エンジン4と、エンジン4によって駆動され、冷媒循環路3を流れる冷媒を圧縮する圧縮手段としての圧縮機5と、冷媒循環路3を流れる冷媒と外気との間での熱交換を行わせることができる第1熱交換器8と、冷媒循環路3を流れる冷媒と空調対象空間の空気(「熱交換対象流体」の一例)との間での熱交換を行わせることができる第2熱交換器14と、室内熱交換器14に流入する冷媒を膨張させる弁V1(第1膨張弁の一例))及び弁V2(第2膨張弁の一例)と、弁V1と弁V2との間で冷媒を貯留するレシーバ60と、冷媒循環路3を流れる冷媒とエンジン4から放出される排熱との間での熱交換を行わせることができる第3熱交換器10と、第3熱交換器10に流入する冷媒を膨張させる弁(第3膨張弁)V3とを備える。加えて、ヒートポンプシステムは、制御部21及び各種情報を記憶する記憶部22を有する制御装置20を備える。
尚、以下の説明では、第1熱交換器8のことを室外熱交換器と記載し、第2熱交換器14のことを室内熱交換器と記載し、第3熱交換器10のことを排熱回収用熱交換器と記載することもある。
過冷却流路61は、上流端がレシーバ60と弁V2との間の冷媒循環路3に接続されると共に、下流端が圧縮機5の入口(冷房運転時の入口)の冷媒循環路3に接続されており、当該過冷却流路61を通過する冷媒を膨張させる弁V10と、弁V10にて膨張された冷媒とレシーバ60内の冷媒とを熱交換する熱交換部(図示せず)とを備えている。制御装置20としての制御部21は、例えば、冷房運転時に、弁V10の絞り径を調整することで、当該過冷却流路61に通流する冷媒の流量等が調整され、レシーバ60出口での過冷却度を制御する。
本実施形態では、室内機12の筐体13内に室内熱交換器14及び弁V2が収容され、室外機1の筐体2にその他の機器が収容されている。
冷媒循環路3は、圧縮機5から送出された冷媒が室外熱交換器8及び室内熱交換器14を経由して循環するときに流れる主循環路3aと、圧縮機5から送出された冷媒がその主循環路3aから分岐して循環するときに流れる副循環路3b、3c、3d、及び上述した過冷却流路61とで構成される。
副循環路3b(3)は、冷媒が、室外熱交換器8と弁V4との間の分岐部50で主循環路3aから分岐して、弁V3と排熱回収用熱交換器10とを順に流れた後、四方弁7とアキュムレータ11との間の合流部51で主循環路3aに合流するときに流れる経路である。
副循環路3c(3)は、冷媒が、室外熱交換器8と弁V4との間の分岐部50で主循環路3aから分岐して、弁V6を流れた後、排熱回収用熱交換器10とアキュムレータ11との間で副循環路3bに合流するときに流れる経路である。
副循環路3d(3)は、冷媒が、オイルセパレータ6で主循環路3aから分岐して、弁V7を流れた後、アキュムレータ11と圧縮機5との間で主循環路3aに合流するときに流れる経路である。
エンジン4を運転することで放出される熱は、冷却水循環路15を流れる冷却水によって回収される。冷却水循環路15の途中には、後述するような各種の複数の弁が設けられており、それらの弁の開閉状態が切り替わることで、冷却水循環路15における冷却水の循環経路が切り替わる。この冷却水の循環経路の切り替え(即ち、各種の弁の開閉状態の切り替え)は、三方弁等を用いて制御部21が遠隔操作により制御する。尚、三方弁等による制御部での制御ではなく、温度により自動的に開閉状態が調整されるワックス弁等を用いることもできる。
第2流路部分15bは、冷却水が、エンジン4と弁(冷却水分配器)V8と弁V9と放熱用熱交換器9とを流れた後で合流部16に至り、共通流路部分15cを通ってエンジン4に戻るときに流れる流路である。
共通流路部分15cには冷却水ポンプP1が設けられており、冷却水ポンプP1が動作することで冷却水循環路15に冷却水が流れる。
迂回路15dは、冷却水が、第2流路部分15bの途中で弁V9によって分流されることで、放熱用熱交換器9を迂回して循環するときに流れる流路である。迂回路15dを流れる冷媒は、共通流路部分15cの途中に合流される。
図1に示すように、制御部21は、冷媒の循環状態を切り替えながら室内熱交換器14を通流する冷媒によって空調対象空間の空気を冷却する冷房運転を行う。図中では、冷媒及び冷却水の流れる経路を太実線で描いている。この場合、室外熱交換器8は凝縮器として作用し、室内熱交換器14は蒸発器として作用する。
また、エンジン4に戻ってくる冷却水の温度を所定の温度にする、或いはエンジン4から排出される冷却水の温度を所定の温度にするために、一部の冷却水を第1流路部分15aや迂回路15dに流す場合がある。図1に示す例では、一部の冷却水を第1流路部分15aに流す状態を示している。
次に、ヒートポンプシステムの検査方法について説明する。この検査方法は、満液化工程と、漏洩検知性能向上工程と、状態値検出工程と、冷媒充填量判定工程とを有する。
状態値検出工程は、検査運転を行いながら、満液化工程によるレシーバ60の満液化状態を維持した状態で、循環中の冷媒の状態値を検出する工程である。
冷媒充填量判定工程は、状態値検出工程で検出した状態値に基づいて、冷媒循環路3内に存在する冷媒充填量の適否を判定する工程である。
この検査方法は、冷媒循環路3内に冷媒を新たに充填するときにその冷媒充填量の適否を判定するため、或いは、冷媒循環路3への冷媒の充填を完了した後、冷媒循環路3内の冷媒充填量の適否(即ち、冷媒循環路3からの冷媒の漏れの有無)を判定するため等に利用できる。
例えば、図1に示した冷房運転を行っているとき、弁V1及び弁V2を所定の開度で開き、弁V3及び弁V6及び弁V10を閉止し、弁V4及び弁V5を開放した状態で冷媒を循環させている。そして、図2に示した検査運転を行うとき、弁V2を閉止し、弁V1及び弁V3を所定の開度で開いて冷媒を循環させる。検査運転でも、弁V4及び弁V5は開放した状態のまま及び弁V6は閉止した状態のまま(ただし、場合によって弁V6は少し開放することもある)である。
尚、状態値検出工程で検出する状態値は、例えば、冷媒の過冷却度であるので、以下、状態値が過冷却度である場合を主として説明する。尚、当該明細書において、状態値としての過冷却度は、室外熱交換器8の出口での圧力から算出できる凝縮温度から、その場所の冷媒温度を減算した値に相当する(ただし、当該明細書及び図面においては、正負を逆にして表示している)。例えば、図1及び図2の位置Xで、室外熱交換器8の出口での冷媒の圧力及び温度を測定して、測定された圧力から換算できる凝縮温度から、測定された冷媒温度を減算することで、冷媒の過冷却度を導出できる。
しかしながら、発明者らは、検討した結果、レシーバ60が満液未満の液位である場合、冷媒充填量が変動したとしても、過冷却度が変化しないことを見出した。
以下、図3の計算結果に基づいて説明を追加する。尚、図3の計算は、ヒートポンプシステムの各機器を、レシーバ60の容量:10L、アキュムレータ11の容量:8L、オイルセパレータ6の容量:4L、レシーバ60から室内熱交換器14までの冷媒循環路C(液管):長さが20mで直径が13.9mm、室内熱交換器14からアキュムレータ11までの冷媒循環路C(ガス管):長さが20mで直径が26.6mm、蒸発器を構成する冷媒配管:長さが2200mmで直径が4.6mm、段数18、列数3、個数4個、凝縮器を構成する冷媒配管:長さが1600mmで直径が6.8mm、段数54、列数3、個数2個、であるとして行った。
また、固定条件として、冷房能力:定格50kW(圧縮機回転数:1792rpm)、圧縮効率:80%、体積効率:90%、圧縮機5の入口でのSH:5K、外気温度:35℃、室外ファン空気流速:1.6m/s、室内温度:27℃(WB19℃)、室内ファン空気流速:0.8m/s、過冷却ラインへ分配した冷媒の熱交換後の過熱度:10K、冷媒:R410Aとした。
一方、図3(b)で、レシーバ60の液位が満液である場合(レシーバ液位が100%である場合)、図3(a)において、冷媒充填量の増加に伴って、過冷却度が大きくなっている(図3(a)において、マイナス側に変化している)ことが示されている。
これらの結果より、レシーバ60の液位を満液化することで、状態値検出工程を適切に実行できると言える。
上述の現象について図4のP−h線図を用いて説明を加えると、レシーバ60が満液未満の液位である場合、図4(a)に示すように、レシーバ60は、常に飽和液線上に位置するため、レシーバの液位が変動するのみで、過冷却度は変化しない。一方、レシーバ60が満液である場合、図4(b)に示すように、レシーバ60が、圧縮液領域に位置することとなり、冷媒充填量の増減により、p−h線図上でレシーバ60の比エンタルピが変動する(水平方向に移動)し、過冷却度が変化するのである。
ここで、図3(a)を参酌すると、弁V1(第1膨張弁の一例)前後の圧力差が高い場合(図3(a)で700kPaである場合)が、この通常の冷房運転に相当しており、レシーバで液位が存在するような冷媒量が充填される。
このような冷媒充填量で、弁V1前後の圧力差を低減すると(図3(a)で100kPaである場合)、レシーバが満液、つまり冷媒充填量と過冷却度とが線形の相関関係を有するような状況が発生する(図3(a)で冷媒充填量が概ね23kg以上)。
なお、本来の満液化工程は、第2熱交換器14には冷媒は流通させずに、第3熱交換器10を蒸発器として運転させるが、今回のすべての計算は第2熱交換器14で蒸発させる条件で行った。この場合、本来の第3熱交換器10で蒸発させる場合に比べて、蒸発器自体の体積が比較的大きい条件となり、蒸発器自体に保有される冷媒量が増加する方向となるため、満液化しにくい条件となる。そのため、この第2熱交換器14で蒸発させる条件で満液化できれば、実際の第3熱交換器10で蒸発させる場合も満液化がより実現しやすくなると考える。
ここでは、図5を例にとって説明すると、−2Kを過冷却度の上限閾値とすると、冷媒充填量が23kgが充填量の適正状態であるとすると、過冷却度範囲は、充填量の適正状態である23kgに対応する−10Kから上限閾値の−2Kまでとなり、約2kgまでの冷媒漏洩を検知することができることになる。
当該計算結果より、満液化処理の実行により、レシーバ60の液位が54%から100%へ変化する過程において、主に、凝縮器としての第1熱交換器8、レシーバ60から膨張弁V2までの間の冷媒配管(液管)、蒸発器としての第2熱交換器14、室内熱交換器14からアキュムレータ11までの間の冷媒配管(ガス管)の夫々に充填されていた冷媒が、レシーバ60に移動して、レシーバ60が満液化されていることがわかる。尚、通常運転時と満液化処理時の充填量に差異があるが、これは計算での収束で生じた差異であり、前述の冷媒充填の移動内容に関する傾向は概ね変わりはない。また、表1では、四捨五入による数値上のズレが生じている場合もある。
状態値検出工程は弁V2及び室内熱交換器14を経由して冷媒を循環させない遮断状態に維持されている間に、圧縮機5から送出された冷媒を室外熱交換器8と弁V1(第1膨張弁の一例)及びレシーバ60及び弁V3(第3膨張弁の一例)と排熱回収用熱交換器10(第3熱交換器)とを順に通流させた後で圧縮機5に帰還させるように冷媒の循環状態を切り替えて、循環中の冷媒の状態値を検出する工程である。
制御部21は、状態値検出工程において状態値を検出するとき、検査運転を行うことで循環中の冷媒の排熱回収用熱交換器10での蒸発圧力を、冷房運転を行うことで循環中の冷媒の室内熱交換器(第2熱交換器)14での蒸発圧力よりも低下させることが好ましい。そして、ヒートポンプサイクルにおいて蒸発圧力が低下するということは、冷媒を圧縮するための動力に対して冷媒を蒸発させるのに必要な熱量割合が小さくなることを意味するので、エンジン排熱割合が少ない場合でもヒートポンプサイクルの運転が可能になる。
図5に示す相関関係例に基づくと、制御部21は、状態値検出工程で検出した過冷却度が10K(図5では−10K)であれば、冷媒充填量は100%(基準量:適切状態)であると判定する。これに対して、制御部21は、状態値検出工程で検出した過冷却度が2K(図5では−2K)であれば冷媒充填量が90%程度である(基準量より少ない)と判定し、過冷却度が14Kであれば冷媒充填量が104%である(基準量より多い)と判定する。更に、制御部21は、冷媒循環路3内に存在する冷媒充填量が上記基準量よりも少ないことを示している場合には、冷媒充填量が不足している、或いは、冷媒循環路3内から冷媒が漏れているというように、冷媒充填量が適当ではないとの判定結果を下すことができる。
このように、本実施形態では、制御部21が弁V2(第2膨張弁)及び室内熱交換器14を経由して冷媒を循環させない遮断状態で、圧縮機5から送出された冷媒を室外熱交換器8と弁V1(第1膨張弁)とレシーバ60と弁V3(第3膨張弁)と排熱回収用熱交換器10とを順に通流させた後で圧縮機5に帰還させるように冷媒の循環状態を切り替えて検査運転を行わせながら検出した、循環中の冷媒の状態値に基づいて、冷媒循環路3内に存在する冷媒充填量の適否を判定する。
上述したように、ヒートポンプシステムは、エンジン4から放出される排熱を回収する冷却水が循環する冷却水循環路15を備え、排熱回収用熱交換器10では、冷媒循環路3を流れる冷媒と冷却水循環路15を流れる冷却水との間での熱交換を行わせることができる。
そして、制御部21は、状態値検出工程において状態値を検出するとき、冷却水循環路15を通って排熱回収用熱交換器10に供給される冷却水の単位時間当たりの流量を設定冷却水量以下にする。つまり、排熱回収用熱交換器10に供給される冷却水の単位時間当たりの流量を設定冷却水量以下に低下させると、冷媒の蒸発器としての排熱回収用熱交換器10では、冷却水から冷媒に対する熱交換性能が低下する。そのため、凝縮圧力や圧縮機入口の冷媒の過熱度が同程度の場合は蒸発圧力が下がるようになり、エンジン排熱割合が少ない場合でも、ヒートポンプサイクルの運転が可能になる。
冷媒循環路3は、冷媒が排熱回収用熱交換器10及び室内熱交換器14をバイパスして循環できる第2バイパス路(副循環路3c)と、当該第2バイパス路(副循環路3c)への冷媒の分配状態を調節可能な冷媒分配器としての弁V6とを有する。本実施形態では、この冷媒分配器としての弁V6は、副循環路3cの途中に設けられた開閉弁又は開閉量を調節可能な弁である。よって、弁V6が閉止されていれば副循環路3cには冷媒は分配されず(流れず)、弁V6が開放されていれば副循環路3cには冷媒は分配される(流れる)。また、弁V6の開閉量を調節すれば、副循環路3cに流れる冷媒の流量を調節できる。このようにして、図14に示すように、制御部21は、冷媒を冷媒循環路3のうちの副循環路3bと副循環路3cとに分配して流すことができる。そして、副循環路3cを流れる冷媒の流量が増加すれば、冷媒循環路3のうちの副循環路3bを流れる冷媒の流量は減少し、副循環路3cを流れる冷媒の流量が減少すれば、冷媒循環路3のうちの副循環路3bを流れる冷媒の流量は増加する。そして、制御部21は、状態値検出工程において状態値を検出するとき、冷媒循環路3を通って排熱回収用熱交換器10に供給される冷媒の単位時間当たりの流量を冷媒分配器としての弁V6を用いて設定冷媒流量以下にすることができる。つまり、排熱回収用熱交換器10に供給される冷媒の単位時間当たりの流量を設定冷媒流量以下に低下させると、冷媒の蒸発器としての排熱回収用熱交換器10では、冷却水から冷媒に対する熱交換性能が低下する。そのため、凝縮圧力や圧縮機5の入口の冷媒の過熱度が同程度の場合は蒸発圧力が下がるようになり、エンジン排熱量が少ない場合でも、ヒートポンプサイクルの運転が可能になる。
上記状態値検出工程において状態値を検出するときの検査運転の具体的な内容については適宜変更可能である。例えば、以下に記載するような室外ファンFの動作制御を行ってもよい。
そして、制御部21は、状態値検出工程において状態値を検出するとき、放熱用熱交換器9で外気と熱交換する前後での冷却水の温度差が設定温度差以内になるように室外ファンFの回転速度を調節する。本実施形態では、制御部21は、温度センサT1で測定される放熱用熱交換器9の上流側での冷却水温度と、温度センサT2で測定される放熱用熱交換器9の下流側での冷却水温度とに基づいて、放熱用熱交換器9で外気と熱交換する前後での冷却水の温度差を導出できる。
室外熱交換器8において所定の冷媒の凝縮性能を発揮させるために室外ファンFに対して動作指令を与えても、経時変化により室外ファンFや室外熱交換器8の性能が変化した場合には、室外熱交換器8での冷媒の凝縮性能が変化する可能性がある。その場合、室外熱交換器8での冷媒の凝縮圧力が目標値から逸脱することになる。
そこで、制御部21は、状態値検出工程において状態値を検出するとき、例えば図1及び図2に示した位置Xに設けられるセンサ(図示せず)で測定される、室外熱交換器8での冷媒の凝縮圧力が目標値になるように室外ファンFの回転速度を調節する。これにより、状態値検出工程において状態値を検出するとき、室外熱交換器8での冷媒の凝縮圧力が目標値になるように室外ファンFの回転速度を調節するので、室外熱交換器8での冷媒の凝縮圧力が目標値になることが確保される。このとき、凝縮圧力の目標値を固定にしてもいいし、外気温度に応じて変化させてもよい。
上記実施形態では、圧縮機5が1台の圧縮機で構成される例を説明したが、圧縮機5が複数台の圧縮機で構成されてもよい。
制御部21が、クラッチ45とクラッチ46との動作状態を切り替えて圧縮機の運転台数を変更することで、冷媒循環路3での冷媒の循環量を調節することができる。
そこで、制御部21は、状態値検出工程において状態値を検出するとき、駆動力伝達機構40によって、複数台の圧縮機のうちの一部の圧縮機のみにエンジン4の駆動力を伝達させる。
上記冷房運転を行うときのエンジン4の動作と、上記検査運転を行うときのエンジン4の動作とを異ならせてもよい。
具体的には、制御部21は、状態値検出工程において状態値を検出するとき、検査運転時のエンジン4の回転速度及びトルクに対して同じ回転速度及びトルクで冷房運転をするとした場合に比べてエンジン4の排熱割合を大きくすることができるエンジン運転設定でエンジン4を運転してもよい。
検査運転時に冷媒が循環していない(冷媒が滞留している)箇所の冷媒循環路3に存在している滞留冷媒量を考慮して、冷媒循環路3内に存在する冷媒充填量の適否を判定してもよい。
<1>
上記実施形態では、ヒートポンプシステムの構成について具体例を挙げて説明したが、その構成については適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、冷却水循環路15が第1流路部分15a及び第2流路部分15b及び共通流路部分15c及び迂回路15dとで構成され、各所に弁が設けられる例を説明したが、それらの構成は適宜変更可能である。迂回路15dがない状態でも構わない。
他にも、冷媒循環路3の途中に熱交換器を追加で設けてもよい。
上記第4実施形態では、複数台の圧縮機5がエンジン4によって駆動されるヒートポンプシステムを説明したが、例えば複数台の圧縮機5の一部が電動モータによって駆動されるヒートポンプシステムに変更してもよい。
上記実施形態では、ヒートポンプシステムがエンジン4を備えることで、エンジン4の駆動力が圧縮機5に伝達され及びエンジン4の排熱が排熱回収用熱交換器10(第3熱交換器の一例)に与えられる例を説明したが、ヒートポンプシステムが燃料電池及び電動モータを備えた構成を採用してもよい。この場合、燃料電池の発電電力によって動作する電動モータが圧縮機5を駆動し、燃料電池の排熱が排熱回収用熱交換器10に与えられるような構成となる。
上記実施形態では、状態値検出工程で検出する状態値が冷媒の過冷却度である場合を例示したが、冷媒充填量の変化に応じた過冷却度の変化は、冷媒充填量に応じたp−h線図の変化の一例に過ぎず、状態値として過冷却度とは別の値、即ち、過冷却度とは別のp−h線図に現れる値を状態値として用いてもよい。
本願に係るヒートポンプシステムの検査方法においては、検査運転を行いながら、凝縮圧力を上昇させる凝縮圧力上昇制御と、蒸発圧力を低下させる蒸発圧力低下制御と、圧縮機の回転数を低下する回転数低下制御との何れか一つ以上を実行する漏洩検知性能向上工程と有し、漏洩検知性能向上工程が実行されている状態で、状態値検出工程が実行されることが好ましい。
図7は、(i)〜(Xii)で経時的に各種制御を実行したときのレシーバ液位と、過冷却度の変化を示すグラフ図である。
(ii)〜(iv)において弁V1前後の圧力差を、700kPaから100kPaへ低減すると、レシーバ60の液位が満液となるが、一方で、過冷却度が低下(図7(b)では値が増加)することが見て取れる。このように、過冷却度が低下することは、例えば、図5に示すような過冷却度と冷媒充填量との相関関係において、検知できる漏洩量の減少を意味する。
そこで、当該別実施形態に係る検査方法にあっては、漏洩検知性能向上工程として、凝縮圧力を上昇させる凝縮圧力上昇制御(図7(b)で(vi)〜(viii))と、蒸発圧力を低下させる蒸発圧力低下制御(図7(b)で(viii)〜(x))と、圧縮機の回転数を低下する回転数低下制御(図7(b)で(x)〜(xii))との少なくとも何れか一つを実行する。これらの制御を実行することにより、過冷却度を増加(図7(b)では値が減少)させることができ、漏洩検知性能の向上を図ることができる。
尚、図7(b)の(iv)〜(vi)に示すように、外気温度が低い場合の方が過冷却度が向上することが判明しているので、制御部21は、一連の検査方法を実行するタイミングを、外気温度が低い時間帯(例えば、深夜等)に実行することが好ましい。
各種制御指標の変化が、「過冷却度と冷媒充填量との相関関係」に与える影響について説明する。
〔弁V1(第1膨張弁)前後の圧力差の影響〕
図8は、過冷却度と冷媒充填量との相関関係を示している。
図8から、弁V1(第1膨張弁)前後の圧力差は、比較的小さい圧力差になっている範囲(100kPa)では、過冷却度と冷媒充填量との相関関係にほとんど影響がないことがわかる。
尚、図8のグラフ図を導出する固定条件は、圧縮機5の回転数:1250rpm、凝縮圧力:3.30MPaA、蒸発圧力:0.48MPaA、圧縮効率:80%、体積効率90%、圧縮機5の入口でのSH:5K、外気温度:25℃、冷媒:R410A、過冷却流路61への冷媒の通流はないものとした。
図9から判明するように、外気温度の変化は、冷媒充填量が多い場合ほど、過冷却度と冷媒充填量との相関関係に影響を与えることがわかる。
尚、図9のグラフ図を導出する固定条件は、圧縮機5の回転数:1250rpm、凝縮圧力:3.30MPaA、蒸発圧力:0.48MPaA、V1前後の圧力差:100kPa、圧縮効率:80%、体積効率90%、圧縮機5の入口でのSH:5K、冷媒:R410A、過冷却流路61への冷媒の通流はないものとした。
図10から判明するように、凝縮圧力の変化は、過冷却度と冷媒充填量との相関関係に対して、比較的大きい影響を与えていることがわかる。
図10から判明するように、凝縮圧力が高いほど、過冷却度の検知下限における冷媒充填量を減少でき、冷媒充填量の検知範囲を拡大できることがわかる。このことから、制御部21は、漏洩検知性能を向上する観点から、運転に問題ない範囲で、凝縮圧力を上昇させる凝縮圧力上昇処理を実行することが好ましいと言える。 尚、図10のグラフ図を導出する固定条件は、圧縮機5の回転数:1250rpm、蒸発圧力:0.48MPaA、V1前後の圧力差:100kPa、圧縮効率:80%、体積効率90%、圧縮機5の入口でのSH:5K、外気温度:25℃、冷媒:R410A、過冷却流路61への冷媒の通流はないものとした。
図11から判明するように、蒸発圧力の変化は、過冷却度と冷媒充填量との相関関係に対して、比較的大きい影響を与えていることがわかる。
図11から判明するように、蒸発圧力が低いほど、過冷却度の検知下限における冷媒充填量を減少でき、冷媒充填量の検知範囲を拡大できることがわかる。
このことから、制御部21は、漏洩検知性能を向上する観点から、運転に問題ない範囲で、蒸発圧力を低減する蒸発圧力低減処理を実行することが好ましいと言える。
尚、図11のグラフ図を導出する固定条件は、圧縮機5の回転数:1250rpm、凝縮圧力:3.30MPaA、V1前後の圧力差:100kPa、圧縮効率:80%、体積効率90%、圧縮機5の入口でのSH:5K、外気温度:25℃、冷媒:R410A、過冷却流路61への冷媒の通流はないものとした。
図12から判明するように、圧縮機の回転数の変化は、過冷却度と冷媒充填量との相関関係に対して、比較的大きい影響を与えていることがわかる。
図12から判明するように、圧縮機の回転数が低いほど、過冷却度の検知下限における冷媒充填量を減少でき、冷媒充填量の検知範囲を拡大できることがわかる。
このことから、制御部21は、漏洩検知性能を向上する観点から、運転に問題ない範囲で、圧縮機の回転数を低減する圧縮機回転数低減処理を実行することが好ましいと言える。
尚、図12のグラフ図を導出する固定条件は、凝縮圧力:3.30MPaA、蒸発圧力:0.48MPaA、V1前後の圧力差:100kPa、圧縮効率:80%、体積効率90%、圧縮機5の入口でのSH:5K、外気温度:25℃、冷媒:R410A、過冷却流路61への冷媒の通流はないものとした。
4 エンジン
5 圧縮機(圧縮手段)
8 室外熱交換器(第1熱交換器)
10 排熱回収用熱交換器(第3熱交換器)
14 室内熱交換器(第2熱交換器)
20 制御装置
60 レシーバ
V1 弁(第1膨張弁)
V2 弁(第2膨張弁)
V3 弁(第3膨張弁)
Claims (6)
- 冷媒が循環する冷媒循環路と、エンジンと、前記エンジンによって駆動され、前記冷媒循環路を流れる冷媒を圧縮する圧縮手段と、前記冷媒循環路を流れる冷媒と外気との間での熱交換を行わせることができる第1熱交換器と、前記冷媒循環路を流れる冷媒と熱交換対象流体との間での熱交換を行わせることができる第2熱交換器と、前記第2熱交換器に流入する冷媒を膨張させる第1膨張弁及び第2膨張弁と、前記第1膨張弁と前記第2膨張弁の間で冷媒を貯留するレシーバと、前記冷媒循環路を流れる冷媒と前記エンジンから放出される排熱との間での熱交換を行わせることができる第3熱交換器と、前記第3熱交換器に流入する冷媒を膨張させる第3膨張弁とを備え、
前記第3膨張弁及び前記第3熱交換器を経由して冷媒を循環させない状態で、前記圧縮手段から送出された冷媒が前記第1熱交換器と前記第1膨張弁と前記レシーバと前記第2膨張弁と前記第2熱交換器とを順に通流した後で前記圧縮手段に帰還するように冷媒の循環状態を切り替えることで、蒸発器として作用する前記第2熱交換器において、前記冷媒循環路を流れる冷媒によって前記熱交換対象流体を冷却する冷房運転を行うことができるヒートポンプシステムの検査方法であって、
前記第2膨張弁及び前記第2熱交換器を経由して冷媒を循環させない遮断状態で、前記圧縮手段から送出された冷媒を前記第1熱交換器と前記第1膨張弁と前記レシーバと前記第3膨張弁と前記第3熱交換器とを順に通流させた後で前記圧縮手段に帰還させるように冷媒の循環状態を切り替える検査運転を行いながら、前記レシーバへ貯留される冷媒量を満液化する満液化工程と、
前記検査運転を行いながら、前記満液化工程による前記レシーバの満液化状態を維持した状態で、循環中の冷媒の状態値を検出する状態値検出工程と、
前記状態値検出工程で検出した前記状態値に基づいて、前記冷媒循環路内に存在する冷媒充填量の適否を判定する冷媒充填量判定工程とを有するヒートポンプシステムの検査方法。 - 前記状態値は、凝縮器出口の冷媒の過冷却度である請求項1に記載のヒートポンプシステムの検査方法。
- 前記満液化工程は、前記第1膨張弁前後の圧力差を前記冷房運転の定格負荷時よりも低減する圧力差低減制御を含むものである請求項1又は2に記載のヒートポンプシステムの検査方法。
- 前記検査運転を行いながら、凝縮圧力を前記冷房運転の定格負荷時より上昇させる凝縮圧力上昇制御と、蒸発圧力を前記冷房運転の定格負荷時より低減させる蒸発圧力低減制御と、前記圧縮手段の回転数を前記冷房運転の定格負荷時より低減させる回転数低減制御との何れか一つ以上を実行する漏洩検知性能向上工程とを有し、
前記漏洩検知性能向上工程が実行されている状態で、前記状態値検出工程が実行される請求項1〜3の何れか一項に記載のヒートポンプシステムの検査方法。 - 上流端が前記レシーバと前記第2膨張弁との間の前記冷媒循環路に接続されると共に下流端が前記圧縮手段と前記第2熱交換器との間の前記冷媒循環路に接続される過冷却流路を備え、
当該過冷却流路を通過する冷媒を膨張させる過冷却膨張弁と、前記過冷却膨張弁にて膨張された冷媒と前記レシーバ内の冷媒とを熱交換する熱交換部とを備え、
前記検査運転を実行するときには、前記過冷却膨張弁を閉止して前記過冷却流路への冷媒の通流を禁止する請求項1〜4の何れか一項に記載のヒートポンプシステムの検査方法。 - 冷媒が循環する冷媒循環路と、エンジンと、前記エンジンによって駆動され、前記冷媒循環路を流れる冷媒を圧縮する圧縮手段と、前記冷媒循環路を流れる冷媒と外気との間での熱交換を行わせることができる第1熱交換器と、前記冷媒循環路を流れる冷媒と熱交換対象流体との間での熱交換を行わせることができる第2熱交換器と、前記第2熱交換器に流入する冷媒を膨張させる第1膨張弁及び第2膨張弁と、前記第1膨張弁と前記第2膨張弁の間で冷媒を貯留するレシーバと、前記冷媒循環路を流れる冷媒と前記エンジンから放出される排熱との間での熱交換を行わせることができる第3熱交換器と、前記第3熱交換器に流入する冷媒を膨張させる第3膨張弁と、制御装置とを備え、
前記制御装置が、前記第3膨張弁及び前記第3熱交換器を経由して冷媒を循環させない状態で、前記圧縮手段から送出された冷媒が前記第1熱交換器と前記第1膨張弁と前記レシーバと前記第2膨張弁と前記第2熱交換器とを順に通流した後で前記圧縮手段に帰還するように冷媒の循環状態を切り替えることで、蒸発器として作用する前記第2熱交換器において、前記冷媒循環路を流れる冷媒によって前記熱交換対象流体を冷却する冷房運転を行うことができるヒートポンプシステムであって、
前記制御装置が、前記第2膨張弁及び前記第2熱交換器を経由して冷媒を循環させない遮断状態で、前記圧縮手段から送出された冷媒を前記第1熱交換器と前記第1膨張弁と前記レシーバと前記第3膨張弁と前記第3熱交換器とを順に通流させた後で前記圧縮手段に帰還させるように冷媒の循環状態を切り替えて検査運転を行わせながら、前記レシーバへ貯留される冷媒量を満液化する満液化状態で、循環中の冷媒の状態値に基づいて、前記冷媒循環路内に存在する冷媒充填量の適否を判定するヒートポンプシステム。
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