JP6979637B2 - 圧縮装置 - Google Patents

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Description

本開示は圧縮装置に関する。
近年、地球温暖化などの環境問題、石油資源の枯渇などのエネルギー問題から、化石燃料に代わるクリーンな代替エネルギー源として、水素が注目されている。水素は燃焼しても基本的に水しか放出せず、地球温暖化の原因となる二酸化炭素が排出されずかつ窒素酸化物などもほとんど排出されないので、クリーンエネルギーとして期待されている。また、水素を燃料として高効率に利用する装置として、例えば、燃料電池があり、自動車用電源向け、家庭用自家発電向けに開発および普及が進んでいる。
来るべき水素社会では、水素を製造することに加えて、水素を高密度で貯蔵し、小容量かつ低コストで輸送または利用することが可能な技術開発が求められている。特に、分散型のエネルギー源となる燃料電池の普及促進には、水素供給インフラを整備する必要がある。また、水素を安定的に供給するために、高純度の水素を製造、精製、高密度貯蔵する様々な検討が行われている。
例えば、特許文献1では、水素の精製および圧縮を行うための装置として、固体高分子電解質膜、電極およびセパレーターの積層体がエンドプレートで挟み込んで締結されたイオンポンプ(水素ポンプ)が提案されている。
特表2008−518387号公報
本開示の一態様(aspect)は、一例として、カーボン多孔体シートで構成されるカソードガス拡散層とカソードセパレーターとの間の接触抵抗を従来よりも低減し得る圧縮装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本開示の一態様の圧縮装置は、電解質膜、前記電解質膜の一方の主面に接するアノード触媒層と、前記電解質膜の他方の主面に接するカソード触媒層と、前記アノード触媒層に接するアノードガス拡散層と、前記カソード触媒層に接するカソードガス拡散層と、前記カソードガス拡散層上に設けられたカソードセパレーターと、前記アノード触媒層および前記カソード触媒層の間に電圧を印加する電圧印加器と、を備え、前記電圧印加器により前記電圧を印加することで、前記アノード触媒層上に供給されたアノード流体から取り出されたプロトンを、前記電解質膜を介して、前記カソード触媒層上に移動させ、圧縮された水素を生成する装置であって、前記カソードガス拡散層は、カーボン多孔体シートを含み、前記カソードセパレーター側の第1表面層の気孔率が、前記第1表面層よりも内側の層の気孔率よりも小さい。
本開示の一態様の圧縮装置は、カーボン多孔体シートで構成されるカソードガス拡散層とカソードセパレーターとの間の接触抵抗を従来よりも低減し得るという効果を奏する。
図1Aは、第1実施形態の電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。 図1Bは、図1Aの電気化学式水素ポンプのB部の拡大図である。 図2Aは、第1実施形態の電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。 図2Bは、図2Aの電気化学式水素ポンプのB部の拡大図である。 図3は、第1実施形態の電気化学式水素ポンプのカソードガス拡散層の一例を示す図である。 図4は、第2実施形態の電気化学式水素ポンプのカソードガス拡散層の一例を示す図である。 図5Aは、第3実施形態の電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。 図5Bは、図5Aの電気化学式水素ポンプのB部の拡大図である。
特許文献1に開示された水素ポンプでは、カソードガス拡散層がカーボン多孔体で構成されているが、カソードセパレーターとの間の接触抵抗の低減において改善の余地があることを見出した。これは、高圧のカソード側ではセパレーターが変形し易く、この変形に伴い、カソードセパレーターとカソードガス拡散層の接触抵抗が増加する可能性があるからである。
ここで、本発明者は鋭意検討した結果、カソードガス拡散層について、カソードセパレーター側の第1表面層の気孔率を、第1表面層よりも内側の層の気孔率よりも小さくすることで、カソードセパレーターとカソードガス拡散層の接触抵抗が増加する可能性を低減し得ることを見出した。
すなわち、本開示の一態様の圧縮装置は、電解質膜、電解質膜の一方の主面に接するアノード触媒層と、電解質膜の他方の主面に接するカソード触媒層と、アノード触媒層に接するアノードガス拡散層と、カソード触媒層に接するカソードガス拡散層と、カソードガス拡散層上に設けられたカソードセパレーターと、アノード触媒層およびカソード触媒層の間に電圧を印加する電圧印加器と、を備え、電圧印加器により電圧を印加することで、アノード触媒層上に供給されたアノード流体から取り出されたプロトンを、電解質膜を介して、カソード触媒層上に移動させ、圧縮された水素を生成する装置であって、カソードガス拡散層は、カーボン多孔体シートを含み、カソードセパレーター側の第1表面層の気孔率が、第1表面層よりも内側の層の気孔率よりも小さい。
かかる構成によると、本態様の圧縮装置は、カーボン多孔体シートで構成されるカソードガス拡散層とカソードセパレーターとの間の接触抵抗を従来よりも低減し得る。
具体的には、カソードガス拡散層において、第1表面層の気孔率が小さいほど、第1表面層とカソードセパレーターとの間の接触抵抗が小さい。よって、本態様の圧縮装置は、第1表面層の気孔率を、第1表面層よりも内側の層の気孔率よりも小さくすることで、カソードガス拡散層の第1表面層とカソードセパレーターとの間の接触抵抗を低減することができる。その結果、本態様の圧縮装置は、水素圧縮動作を高効率に維持することができる。また、第1表面層よりも内側の層の気孔率が、第1表面層よりも大きいので、第1表面層よりも内側の層の気孔率を第1表面層と同様に小さい気孔率にする場合に比べ、カソードガス拡散層のガス拡散性を向上することができる。
本開示の第2態様の圧縮装置は、第1態様の圧縮装置において、カソードガス拡散層は、第1表面層にカーボン粒子と樹脂を含む層が含まれていてもよい。
かかる構成によると、本態様の圧縮装置は、カソードガス拡散層が、例えば、カーボン繊維シートで構成される場合、カソードセパレーターに接触する側のカーボン繊維シートのカーボン繊維間にカーボン粒子と樹脂とを含浸させることで、カーボン繊維シートにおいて、カソードセパレーター側の第1表面層の気孔率を低減することができる。
また、本態様の圧縮装置は、カソードガス拡散層が、例えば、カーボン繊維シートで構成される場合、カーボン繊維シートのカーボン繊維間に樹脂を含浸させることで、カーボン繊維間の接合力を上げることができる。これにより、本態様の圧縮装置は、水素圧縮動作の開始および停止の繰り返しが行われる際のカーボン繊維シートの歪みに対する耐久性を向上させることができる。
本開示の第3態様の圧縮装置は、第1態様または第2態様の圧縮装置において、カソードガス拡散層は、第1表面層の厚み方向の抵抗率が、第1表面層よりも内側の層の厚み方向の抵抗率よりも小さくてもよい。
かかる構成によると、上記のとおり、本態様の圧縮装置は、第1表面層の厚み方向の抵抗率を第1表面層よりも内側の層の厚み方向の抵抗率より小さくすることで、カソードガス拡散層の第1表面層とカソードセパレーターとの間の接触抵抗を低減することができる。
本開示の第4態様の圧縮装置は、第1態様から第3態様のいずれか一つの圧縮装置において、カソードガス拡散層は、第1表面層の体積密度が、第1表面層よりも内側の層の体積密度よりも大きくてもよい。
カソードガス拡散層において、第1表面層の体積密度が大きいほど、第1表面層とカソードセパレーターとの間の接触面積が大きい。よって、本態様の圧縮装置は、第1表面層の体積密度を、第1表面層よりも内側の層の体積密度よりも大きくすることで、カソードガス拡散層の第1表面層とカソードセパレーターとの間の接触抵抗を低減することができる。
本開示の第5態様の圧縮装置は、第2態様の圧縮装置において、第1表面層よりも内側の層は、カーボン粒子と樹脂を含み、第1表面層よりも内側の層に含まれるカーボン粒子の体積密度は、第1表面層に含まれるカーボン粒子の体積密度よりも小さくてもよい。
第1表面層よりも内側の層に含まれるカーボン粒子の体積密度が小さいほど、第1表面層よりも内側の層の面内方向におけるガス拡散性が向上する。よって、本態様の圧縮装置は、上記の構成により、カソードガス拡散層の面内方向におけるガス拡散性を適切に確保することができる。
また、本態様の圧縮装置は、第1表面層よりも内側の層が、例えば、カーボン繊維シートで構成される場合、カーボン繊維シートのカーボン繊維間に樹脂を含浸させることで、カーボン繊維間の接合力を上げることができる。これにより、本態様の圧縮装置は、水素圧縮動作の開始および停止の繰り返しが行われる際のカーボン繊維シートの歪みに対する耐久性を向上させることができる。
本開示の第6態様の圧縮装置は、第1態様から第5態様のいずれか一つの圧縮装置において、カソードセパレーターには、カソードガス拡散層から排出された、上記の圧縮された水素を含むカソードガスが流入するマニホールド孔と、第1表面層とマニホールド孔を連絡する第1連絡路とが設けられ、第1表面層は、少なくとも、第1連絡路と接する表面から第1表面層の内側の層に接する表面に至るまでの経路の気孔率が20%以上であってもよい。
仮に、第1表面層の気孔率が20%未満である場合、第1表面層のガス拡散性を適切に確保できない恐れがある。そこで、本態様の圧縮装置は、第1表面層において、少なくとも、第1連絡路と接する表面から第1表面層よりも内側の層に接する表面に至るまでの経路の気孔率を20%以上にすることで、カソードガスが本経路を拡散しやすくなるように構成することができる。すると、カソードガスは、第1連絡路を通じてマニホールド孔に容易に排出される。
本開示の第7態様の圧縮装置は、第1態様から第5態様のいずれか一つの圧縮装置において、カソードセパレーターには、カソードガス拡散層から排出された、上記の圧縮された水素を含むカソードガスが流入するマニホールド孔と、第1表面層よりも内側の層とマニホールド孔を連絡する第2連絡路とが設けられ、第1表面層よりも内側の層は、気孔率が20%以上であってもよい。ここで、本開示の第8態様の圧縮装置は、第7態様の圧縮装置において、第1表面層は、気孔率が20%未満であってもよい。
仮に、第1表面層よりも内側の層の気孔率が20%未満である場合、この内側の層のガス拡散性を適切に確保できない恐れがある。そこで、本態様の圧縮装置は、第1表面層よりも内側の層の気孔率を20%以上にすることで、カソードガスがこの内側の層を拡散しやすくなるように構成することができる。すると、カソードガスは、第2連絡路を通じてマニホールド孔に容易に排出される。
また、本態様の圧縮装置は、第1表面層の気孔率を20%未満にすることで、カソードガス拡散層の第1表面層とカソードセパレーターとの間の接触抵抗を低減することができる。
このように、本態様の圧縮装置は、カソードガス拡散層のガス拡散性の向上と、カソードガス拡散層とカソードセパレーターとの間の接触抵抗を低減とを両立させることができる。
以下、添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について説明する。なお、以下で説明する実施形態は、いずれも上記の各態様の一例を示すものである。よって、以下で示される形状、材料、構成要素、および、構成要素の配置位置および接続形態などは、あくまで一例であり、請求項に記載されていない限り、上記の各態様を限定するものではない。また、以下の構成要素のうち、上記の各態様の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面において、同じ符号が付いたものは、説明を省略する場合がある。図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したもので、形状および寸法比などについては正確な表示ではない場合がある。
(第1実施形態)
以上の圧縮装置のアノード流体は、アノードにおける酸化反応でプロトンを生成する流体であれば、様々な種類のガス、液体が想定される。例えば、圧縮装置が電気化学式水素ポンプである場合、アノード流体として、水素含有ガスなどを挙げることができる。また、例えば、圧縮装置が水電解装置である場合、アノード流体として、液水などを挙げることができる。そこで、以下の実施形態では、アノード流体が水素含有ガスである場合において、圧縮装置の一例である電気化学式水素ポンプの構成および動作について説明する。
[装置構成]
図1Aおよび図2Aは、第1実施形態の電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。図1Bは、図1Aの電気化学式水素ポンプのB部の拡大図である。図2Bは、図2Aの電気化学式水素ポンプのB部の拡大図である。
なお、図1Aには、平面視において電気化学式水素ポンプ100の中心と、カソードガス導出マニホールド50の中心と、を通過する直線を含む電気化学式水素ポンプ100の垂直断面が示されている。また、図2Aには、平面視において電気化学式水素ポンプ100の中心と、アノードガス導入マニホールド27の中心と、アノードガス導出マニホールド30の中心と、を通過する直線を含む電気化学式水素ポンプ100の垂直断面が示されている。
図1Aおよび図2Aに示す例では、電気化学式水素ポンプ100は、少なくとも一つの水素ポンプユニット100Aを備える。
なお、電気化学式水素ポンプ100には、複数の水素ポンプユニット100Aが積層されている。例えば、図1Aおよび図2Aでは、3段の水素ポンプユニット100Aが積層されているが、水素ポンプユニット100Aの個数はこれに限定されない。つまり、水素ポンプユニット100Aの個数は、電気化学式水素ポンプ100が圧縮する水素量などの運転条件をもとに適宜の数に設定することができる。
水素ポンプユニット100Aは、電解質膜11と、アノード電極ANと、カソード電極CAと、カソードセパレーター16と、アノードセパレーター17と、絶縁体21と、を備える。そして、水素ポンプユニット100Aにおいて、電解質膜11、アノード触媒層13、カソード触媒層12、アノードガス拡散層15、カソードガス拡散層14、アノードセパレーター17およびカソードセパレーター16が積層されている。
アノード電極ANは、電解質膜11の一方の主面上に設けられている。アノード電極ANは、アノード触媒層13と、アノードガス拡散層15とを含む電極である。なお、平面視において、アノード触媒層13の周囲を囲むように環状のシール部材43が設けられ、アノード触媒層13が、シール部材43で適切にシールされている。
カソード電極CAは、電解質膜11の他方の主面上に設けられている。カソード電極CAは、カソード触媒層12と、カソードガス拡散層14とを含む電極である。なお、平面視において、カソード触媒層12の周囲を囲むように環状のシール部材42が設けられ、カソード触媒層12が、シール部材42で適切にシールされている。
以上により、電解質膜11は、アノード触媒層13およびカソード触媒層12のそれぞれと接触するようにして、アノード電極ANとカソード電極CAとによって挟持されている。なお、カソード電極CA、電解質膜11およびアノード電極ANの積層体を膜−電極接合体(以下、MEA:Membrane Electrode Assembly)という。
電解質膜11は、プロトン伝導性を備える。電解質膜11は、プロトン伝導性を備えていれば、どのような構成であってもよい。例えば、電解質膜11として、フッ素系高分子電解質膜、炭化水素系高分子電解質膜を挙げることができるが、電解質膜11はこれらに限定されない。具体的には、例えば、電解質膜11として、Nafion(登録商標、デュポン社製)、Aciplex(登録商標、旭化成株式会社製)などを用いることができる。
アノード触媒層13は、電解質膜11の一方の主面に接している。アノード触媒層13は、触媒金属として、例えば、白金を含むが、これに限定されない。
カソード触媒層12は、電解質膜11の他方の主面に接している。カソード触媒層12は、触媒金属として、例えば、白金を含むが、これに限定されない。
カソード触媒層12およびアノード触媒層13の触媒担体は、例えば、カーボンブラック、黒鉛などのカーボン粒子、導電性の酸化物粒子などを挙げることができるが、これらに限定されない。
なお、カソード触媒層12およびアノード触媒層13では、触媒金属の微粒子が、触媒担体に高分散に担持されている。また、これらのカソード触媒層12およびアノード触媒層13中には、電極反応場を大きくするために、プロトン伝導性のイオノマー成分を加えることが一般的である。
カソードガス拡散層14は、カソード触媒層12に接している。また、カソードガス拡散層14は、多孔性材料で構成され、導電性およびガス拡散性を備える。さらに、カソードガス拡散層14は、電気化学式水素ポンプ100の動作時にカソード電極CAおよびアノード電極AN間の差圧で発生する構成部材の変位、変形に適切に追従するような弾性を備える方が望ましい。
ここで、カソードガス拡散層14は、図3に示すように、カーボン多孔体シート14Sを含み、カソードセパレーター16側の第1表面層14Aの気孔率が、第1表面層14Aよりも内側の層14Mの気孔率よりも小さい。
なお、これらの気孔率は、例えば、水銀ポロシメータ(株式会社島津製作所製の「オートポアIII9410」)で評価可能である。この装置は、細孔への水銀の圧入を利用して、数nm〜500μm程度の気孔径を有する気孔の容積を測定することができる。そして、第1表面層14Aおよび第1表面層14Aよりも内側の層14Mのそれぞれの気孔の容積と固体部分とから、これらの気孔率を知ることができる。
カソードガス拡散層14において、第1表面層14Aの気孔率を、第1表面層14Aよりも内側の層14Mの気孔率よりも小さくするための具体的な構成は、実施例で説明する。
本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、カソードガス拡散層14として、カーボン繊維で構成したカーボン多孔体シート14Sが用いられている。例えば、カーボン多孔体シート14Sは、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルトなどの多孔性のカーボン繊維シートでもよい。ただし、カーボン多孔体シート14Sの基材として、カーボン繊維を用いなくもよい。
また、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、カーボン多孔体シート14Sの全体の厚みTに対して、第1表面層14Aの厚みtは、カソードガス拡散層14のガス拡散性の低下を抑制する観点から、0<t/T<1の関係性をもって設定される。なお、第1表面層14Aよりも内側の層14Mが、カーボン多孔体シート14Sの厚み方向において、中間に位置する中間層を備えてもよい。詳細は、第2実施形態で説明する。
アノードガス拡散層15は、アノード触媒層13に接している。また、アノードガス拡散層15は、多孔性材料で構成され、導電性およびガス拡散性を備える。さらに、アノードガス拡散層15は、電気化学式水素ポンプ100の動作時にカソード電極CAおよびアノード電極AN間の差圧で発生する構成部材の変位、変形を抑制可能な高剛性であることが望ましい。
なお、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、アノードガス拡散層15は、カーボン多孔体シートを備えてもよい。この場合、カーボン多孔体シートの基材として、カーボン粒子、カーボン繊維などを素材とする焼結体を用いることができる。
ただし、アノードガス拡散層15の基材は、上記の焼結体に限定されない。例えば、アノードガス拡散層15の基材として、例えば、チタン、チタン合金、ステンレススチールなどを素材とする金属繊維の焼結体、これらを素材とする金属粉体の焼結体を用いることもできる。また、アノードガス拡散層15の基材として、例えば、エキスパンドメタル、金属メッシュ、パンチングメタルなどを用いることができる。
アノードセパレーター17は、アノード電極ANのアノードガス拡散層15上に設けられている。カソードセパレーター16は、カソード電極CAのカソードガス拡散層14上に設けられている。そして、カソードセパレーター16およびアノードセパレーター17のそれぞれの中央部には、凹部が設けられている。これらの凹部のそれぞれに、カソードガス拡散層14およびアノードガス拡散層15がそれぞれ収容されている。
このようにして、カソードセパレーター16およびアノードセパレーター17で上記のMEAを挟むことにより、水素ポンプユニット100Aが形成されている。
図1Aおよび図2Aに示すように、カソードガス拡散層14と接触するカソードセパレーター16の主面は、カソードガス流路を設けずに平面で構成されている。これにより、カソードセパレーター16の主面にカソードガス流路を設ける場合に比べて、カソードガス拡散層14のカーボン多孔体シート14Sとカソードセパレーター16との間で接触面積を大きくすることができる。すると、電気化学式水素ポンプ100は、カーボン多孔体シート14Sとカソードセパレーター16との間の接触抵抗を低減することができる。
これに対して、アノードガス拡散層15と接触するアノードセパレーター17の主面には、平面視において、例えば、複数のU字状の折り返す部分と複数の直線部分とを含むサーペンタイン状のアノードガス流路33が設けられている。そして、アノードガス流路33の直線部分は、図2Aの紙面に垂直な方向に延伸している。ただし、このようなアノードガス流路33は、例示であって、本例に限定されない。例えば、アノードガス流路は、複数の直線状の流路により構成されていてもよい。
また、導電性のカソードセパレーター16およびアノードセパレーター17の間には、MEAの周囲を囲むように設けられた環状かつ平板状の絶縁体21が挟み込まれている。これにより、カソードセパレーター16およびアノードセパレーター17の短絡が防止されている。
ここで、電気化学式水素ポンプ100は、水素ポンプユニット100Aにおける、積層方向の両端上に設けられた第1端板および第2端板と、水素ポンプユニット100A、第1端板および第2端板を積層方向に締結する締結器25と、を備える。
なお、図1Aおよび図2Aに示す例では、カソード端板24Cおよびアノード端板24Aがそれぞれ、上記の第1端板および第2端板のそれぞれに対応する。つまり、アノード端板24Aは、水素ポンプユニット100Aの各部材が積層された積層方向において、一方の端に位置するアノードセパレーター17上に設けられた端板である。また、カソード端板24Cは、水素ポンプユニット100Aの各部材が積層された積層方向において、他方の端に位置するカソードセパレーター16上に設けられた端板である。
締結器25は、水素ポンプユニット100A、カソード端板24Cおよびアノード端板24Aを積層方向に締結することができれば、どのような構成であってもよい。
例えば、締結器25として、ボルトおよび皿ばね付きナットなどを挙げることができる。
このとき、締結器25のボルトは、アノード端板24Aおよびカソード端板24Cのみを貫通するように構成してもよいが、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、かかるボルトは、3段の水素ポンプユニット100Aの各部材、カソード給電板22C、カソード絶縁板23C、アノード給電板22A、アノード絶縁板23A、アノード端板24Aおよびカソード端板24Cを貫通している。そして、上記の積層方向において他方の端に位置するカソードセパレーター16の端面、および、上記の積層方向において一方の端に位置するアノードセパレーター17の端面をそれぞれ、カソード給電板22Cとカソード絶縁板23Cおよびアノード給電板22Aとアノード絶縁板23Aのそれぞれを介して、カソード端板24Cおよびアノード端板24Aのそれぞれで挟むようにして、締結器25により水素ポンプユニット100Aに所望の締結圧が付与されている。
以上により、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、3段の水素ポンプユニット100Aが、上記の積層方向において、締結器25の締結圧により積層状態で適切に保持されるとともに、電気化学式水素ポンプ100の各部材を締結器25のボルトが貫通しているので、これらの各部材の面内方向における移動を適切に抑えることができる。
ここで、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、水素ポンプユニット100Aのそれぞれのカソードガス拡散層14が連通されている。以下、図面を参照しながら、カソードガス拡散層14のそれぞれが連通する構成について説明する。
まず、図1Aに示す如く、カソードガス導出マニホールド50は、3段の水素ポンプユニット100Aの各部材およびカソード端板24Cに設けられた貫通孔、および、アノード端板24Aに設けられた非貫通孔の連なりによって構成されている。また、カソード端板24Cには、カソードガス導出経路26が設けられている。カソードガス導出経路26は、カソード電極CAから排出される水素(H)が流通する配管で構成されていてもよい。そして、カソードガス導出経路26は、上記のカソードガス導出マニホールド50と連通している。
さらに、カソードガス導出マニホールド50は、水素ポンプユニット100Aのそれぞれのカソードガス拡散層14の適所と、第1連絡路34Aのそれぞれを介して連通している。これにより、水素ポンプユニット100Aのそれぞれのカソードガス拡散層14および第1連絡路34Aを通過した水素が、カソードガス導出マニホールド50で合流される。そして、合流された水素がカソードガス導出経路26に導かれる。図1Aおよび図1Bに示す例では、カソードセパレーター16には、カソードガス拡散層14から排出された、上記の圧縮された水素を含むカソードガスが流入するマニホールド孔50Aと、第1表面層14A(図3参照)とマニホールド孔50Aを連絡する第1連絡路34Aとが設けられている。このような第1連絡路34Aは、例えば、カソードセパレーター16に設けられた溝および孔で構成されていてもよい。そして、第1表面層14Aは、少なくとも、第1連絡路34Aと接する表面S1から第1表面層14Aよりも内側の層14M(図3参照)に接する表面S2に至るまでの経路の気孔率が20%以上である。
ここで、第1表面層14Aの全域の気孔率を20%以上にする必要はない。例えば、第1表面層14Aは、図1Bの網掛け模様を変更することで示すように、上下に延伸する第1連絡路34Aの部分の直下の領域のみが20%以上であってもよい。つまり、この場合、カソードセパレーター16の凹部の底面に接触する第1表面層14Aのほぼ全域は、上記直下の領域の気孔率よりも低い20%未満の気孔率(例えば、ほぼゼロ%)であってもよい。これにより、第1表面層14Aの全域の気孔率を20%以上にする場合に比べて、第1表面層14Aとカソードセパレーター16との間の接触抵抗を低減することができる。
なお、以上の第1表面層14Aとマニホールド孔50Aを連絡する連絡路は、本例に限定されない。このような連絡路の他の例は、第3実施形態で説明する。
このようにして、水素ポンプユニット100Aのそれぞれのカソードガス拡散層14は、水素ポンプユニット100Aのそれぞれの第1連絡路34Aおよびカソードガス導出マニホールド50を介して連通している。
カソードセパレーター16およびアノードセパレーター17の間、カソードセパレーター16およびカソード給電板22Cの間、アノードセパレーター17およびアノード給電板22Aの間には、平面視において、カソードガス導出マニホールド50を囲むように、Oリングなどの環状のシール部材40が設けられ、カソードガス導出マニホールド50が、このシール部材40で適切にシールされている。
図2Aに示す如く、アノード端板24Aには、アノードガス導入経路29が設けられている。アノードガス導入経路29は、アノード電極ANに供給されるアノードガスが流通する配管で構成されていてもよい。なお、このようなアノードガスとして、例えば、水蒸気を含む水素含有ガスなどを挙げることができる。そして、アノードガス導入経路29は、筒状のアノードガス導入マニホールド27に連通している。なお、アノードガス導入マニホールド27は、3段の水素ポンプユニット100Aの各部材およびアノード端板24Aに設けられた貫通孔の連なりによって構成されている。
また、アノードガス導入マニホールド27は、水素ポンプユニット100Aのそれぞれのアノードガス流路33の一方の端部と、第1アノードガス通過経路35のそれぞれを介して連通している。これにより、アノードガス導入経路29からアノードガス導入マニホールド27に供給されたアノードガスは、水素ポンプユニット100Aのそれぞれの第1アノードガス通過経路35を通じて、水素ポンプユニット100Aのそれぞれに分配される。そして、分配されたアノードガスがアノードガス流路33を通過する間に、アノードガス拡散層15からアノード触媒層13にアノードガスが供給される。
また、図2Aに示す如く、アノード端板24Aには、アノードガス導出経路31が設けられている。アノードガス導出経路31は、アノード電極ANから排出されるアノードガスが流通する配管で構成されていてもよい。そして、アノードガス導出経路31は、筒状のアノードガス導出マニホールド30に連通している。なお、アノードガス導出マニホールド30は、3段の水素ポンプユニット100Aの各部材およびアノード端板24Aに設けられた貫通孔の連なりによって構成されている。
また、アノードガス導出マニホールド30が、水素ポンプユニット100Aのそれぞれのアノードガス流路33の他方の端部と、第2アノードガス通過経路36のそれぞれを介して連通している。これにより、水素ポンプユニット100Aのそれぞれのアノードガス流路33を通過したアノードガスが、第2アノードガス通過経路36のそれぞれを通じてアノードガス導出マニホールド30に供給され、ここで合流される。そして、合流されたアノードガスが、アノードガス導出経路31に導かれる。
カソードセパレーター16およびアノードセパレーター17の間、カソードセパレーター16およびカソード給電板22Cの間、アノードセパレーター17およびアノード給電板22Aの間には、平面視において、アノードガス導入マニホールド27およびアノードガス導出マニホールド30を囲むようにOリングなどの環状のシール部材40が設けられ、アノードガス導入マニホールド27およびアノードガス導出マニホールド30が、シール部材40で適切にシールされている。
図1Aおよび図2Aに示すように、電気化学式水素ポンプ100は、電圧印加器102を備える。
電圧印加器102は、アノード触媒層13およびカソード触媒層12間に電圧を印加する装置である。つまり、電気化学式水素ポンプ100は、電圧印加器102により上記の電圧を印加することで、アノード触媒層13上に供給された水素含有ガスから取り出されたプロトンを、電解質膜11を介してカソード触媒層12上に移動させ、圧縮された水素を生成する装置である。
具体的には、電圧印加器102の高電位が、アノード触媒層13に印加され、電圧印加器102の低電位が、カソード触媒層12に印加されている。電圧印加器102は、アノード触媒層13およびカソード触媒層12間に電圧を印加できれば、どのような構成であってもよい。例えば、電圧印加器102は、アノード触媒層13およびカソード触媒層12間に印加する電圧を調整する装置であってもよい。このとき、電圧印加器102は、バッテリ、太陽電池、燃料電池などの直流電源と接続されているときは、DC/DCコンバータを備え、商用電源などの交流電源と接続されているときは、AC/DCコンバータを備える。
また、電圧印加器102は、例えば、水素ポンプユニット100Aに供給する電力が所定の設定値となるように、アノード触媒層13およびカソード触媒層12間に印加される電圧、アノード触媒層13およびカソード触媒層12間に流れる電流が調整される電力型電源であってもよい。
なお、図1Aおよび図2Aに示す例では、電圧印加器102の低電位側の端子が、カソード給電板22Cに接続され、電圧印加器102の高電位側の端子が、アノード給電板22Aに接続されている。カソード給電板22Cは、上記の積層方向において他方の端に位置するカソードセパレーター16と電気的に接触しており、アノード給電板22Aは、上記の積層方向において一方の端に位置するアノードセパレーター17と電気的に接触している。
図示を省略するが、上記の電気化学式水素ポンプ100を備える水素システムを構築することもできる。この場合、水素システムの水素圧縮動作において必要となる機器は適宜、設けられる。
例えば、水素システムには、アノードガス導出経路31を通じてアノード電極ANから排出される高加湿状態の水素含有のアノードガスと、アノードガス導入経路29を通して外部の水素供給源から供給される低加湿状態の水素含有のアノードガスとが混合された混合ガスの露点を調整する露点調整器(例えば、加湿器)が設けられていてもよい。このとき、外部の水素供給源の水素含有のアノードガスは、例えば、水電解装置で生成されてもよい。
また、水素システムには、例えば、電気化学式水素ポンプ100の温度を検出する温度検出器、電気化学式水素ポンプ100のカソード電極CAから排出された水素を一時的に貯蔵する水素貯蔵器、水素貯蔵器内の水素ガス圧を検出する圧力検出器などが設けられていてもよい。
なお、上記の電気化学式水素ポンプ100の構成、および、水素システムにおける図示しない様々な機器は例示であって、本例に限定されない。
例えば、アノードガス導出マニホールド30およびアノードガス導出経路31を設けずに、アノードガス導入マニホールド27を通してアノード電極ANに供給するアノードガス中の水素を全てカソード電極CAで圧縮するデッドエンド構造が採用されてもよい。
[動作]
以下、電気化学式水素ポンプ100の水素圧縮動作の一例について、図面を参照しながら説明する。
以下の動作は、例えば、図示しない制御器の演算回路が、制御器の記憶回路から制御プログラムを読み出すことにより行われてもよい。ただし、以下の動作を制御器で行うことは、必ずしも必須ではない。操作者が、その一部の動作を行ってもよい。また、以下では、電気化学式水素ポンプ100のアノード電極ANに、アノードガスとして、水蒸気を含む水素含有ガスが供給される場合について説明する。
まず、電気化学式水素ポンプ100のアノード電極ANに低圧の水素含有ガスが供給されるとともに、電圧印加器102の電圧が電気化学式水素ポンプ100に給電される。
すると、アノード電極ANのアノード触媒層13において、水素分子がプロトンと電子とに分離する(式(1))。プロトンは電解質膜11内を伝導してカソード触媒層12に移動する。電子は電圧印加器102を通じてカソード触媒層12に移動する。
そして、カソード触媒層12において、水素分子が再び生成される(式(2))。なお、プロトンが電解質膜11中を伝導する際に、所定水量の水が、電気浸透水としてアノード電極ANからカソード電極CAにプロトンと同伴して移動することが知られている。
このとき、図示しない流量調整器を用いて、水素導出経路の圧損を増加させることにより、カソード電極CAで生成された水素(H)を圧縮することができる。なお、水素導出経路として、例えば、図2Aのカソードガス導出経路26を挙げることができる。また、流量調整器として、例えば、水素導出経路に設けられた背圧弁、調整弁などを挙げることができる。この場合、水素導出経路の圧損を増加させるとは、水素導出経路に設けられた背圧弁、調整弁の開度を小さくすることに対応する。
アノード電極:H(低圧)→2H+2e ・・・(1)
カソード電極:2H+2e→H(高圧) ・・・(2)
このようにして、電気化学式水素ポンプ100では、電圧印加器102が上記の電圧を印加することで、アノード電極ANに供給される水素含有ガスから取り出されたプロトンを、電解質膜11を介してカソード電極CAに移動させる。すると、カソード電極CAで圧縮された水素(H)が生成する。これにより、電気化学式水素ポンプ100の水素圧縮動作が行われ、カソード電極CAで圧縮された水素は、例えば、図示しない水素貯蔵器に一時的に貯蔵される。また、水素貯蔵器で貯蔵された水素は、適時に、水素需要体に供給される。なお、水素需要体として、例えば、水素を用いて発電する燃料電池などを挙げることができる。
以上のとおり、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、カーボン多孔体シートで構成されるカソードガス拡散層14とカソードセパレーター16との間の接触抵抗を従来よりも低減し得る。
具体的には、カソードガス拡散層14において、第1表面層14Aの気孔率が小さいほど、第1表面層14Aとカソードセパレーター16との間の接触抵抗が小さい。よって、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、第1表面層14Aの気孔率を、第1表面層14Aよりも内側の層14Mの気孔率よりも小さくすることで、カソードガス拡散層14の第1表面層14Aとカソードセパレーター16との間の接触抵抗を低減することができる。その結果、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、水素圧縮動作を高効率に維持することができる。
また、第1表面層14Aよりも内側の層14Mの気孔率が、第1表面層14Aよりも大きいので、第1表面層14Aよりも内側の層14Mの気孔率を第1表面層14Aと同様に小さい気孔率にする場合に比べ、カソードガス拡散層14のガス拡散性を向上することができる。このとき、仮に、第1表面層14Aの気孔率が20%未満である場合、第1表面層14Aのガス拡散性を適切に確保できない恐れがある。そこで、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、第1表面層14Aにおいて、少なくとも、第1連絡路34Aと接する表面S1から第1表面層14Aよりも内側の層14Mに接する表面S2に至るまでの経路の気孔率を20%以上にすることで、カソードガスが本経路を拡散しやすくなるように構成することができる。すると、カソードガスは、第1連絡路34Aを通じてマニホールド孔50Aに容易に排出される。
(第1実施例)
第1実施例の電気化学式水素ポンプ100は、以下に説明するカソードガス拡散層14の構成以外は、第1実施形態の電気化学式水素ポンプ100と同様である。
本実施例の電気化学式水素ポンプ100では、カソードガス拡散層14は、第1表面層14Aにカーボン粒子と樹脂を含む層が含まれる。
カソードガス拡散層14は、カーボン繊維シートで構成されていてもよい。この場合、第1表面層14Aにおけるカーボン粒子と樹脂を含む層は、カソードセパレーター16に接触する側の第1表面層14Aのカーボン繊維間にカーボン粒子と樹脂とが含浸した層であってもよい。これにより、第1表面層14Aの導電性の向上、および、カソードセパレーター16との間の接触性の向上を図ることができる。
上記のカーボン粒子は、人造黒鉛粒子であってもよいし、天然黒鉛粒子であってもよい。人造黒鉛粒子は、例えば、導電性カーボンブラックなどを挙げることができる。導電性カーボンブラックとして、アセチレンブラック、ケッチンブラックなどを用いることができる。これらの中でも、カーボン粒子は、導電性に優れている観点からアセチレンブラックを使用することが望ましいが、これに限定されない。
また、上記の樹脂の材料としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)などが挙げることができる。これらの中でも、樹脂材料は、耐熱性、撥水性、耐薬品性の観点からPTFEを使用することが望ましいが、これに限定されない。なお、PTFEの原料は、例えば、ディスパージョン状態(液体状)、粉末状態などで使用することができる。
ここで、カソードガス拡散層14がカーボン繊維シートで構成される場合、第1表面層14Aにおけるカーボン粒子と樹脂を含む層は、例えば、以下の如く、カーボン繊維シートの表面に対して、カーボン粒子と樹脂を含浸させることで形成することができる。
まず、カーボン粒子および樹脂粉末を溶媒に分散させた溶液がカーボン繊維シートの表面に含浸するように、この溶液をカーボン繊維シートに均一に塗布する。
次に、カーボン繊維シートの表面に含浸した溶液を、例えば、所定の温度で、乾燥および焼成させる。すると、カーボン繊維シートの表面層(第1表面層14A)に、カーボン粒子と樹脂を含む層が含まれる。これにより、本実施例のカソードガス拡散層14を得ることができる。
なお、上記のカソードガス拡散層14の製法および構成は例示であって、本例に限定されない。
また、上記の溶液の塗布方法は、例えば、スプレー塗布法、バーコーダー塗布法、転写塗布法、ディップ塗布法などを挙げることができるが、これらに限定されない。
以上により、本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、カソードガス拡散層14が、例えば、カーボン繊維シートで構成される場合、カソードセパレーター16に接触する側のカーボン繊維シートのカーボン繊維間にカーボン粒子と樹脂とを含浸させることで、カーボン繊維シートにおいて、カソードセパレーター16側の第1表面層14Aの気孔率を低減することができる。
また、本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、カソードガス拡散層14が、例えば、カーボン繊維シートで構成される場合、カーボン繊維シートのカーボン繊維間に樹脂を含浸させることで、カーボン繊維間の接合力を上げることができる。これにより、本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、水素圧縮動作の開始および停止の繰り返しが行われる際のカーボン繊維シートの歪みに対する耐久性を向上させることができる。
本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、上記の特徴以外は、第1実施形態の電気化学式水素ポンプ100と同様であってもよい。
(第2実施例)
第2実施例の電気化学式水素ポンプ100は、以下に説明するカソードガス拡散層14の構成以外は、第1実施形態の電気化学式水素ポンプ100と同様である。
本実施例の電気化学式水素ポンプ100では、カソードガス拡散層14は、第1表面層14Aの厚み方向の抵抗率が、第1表面層14Aよりも内側の層14Mの厚み方向の抵抗率よりも小さい。
なお、このような抵抗率は、例えば、1kHz交流抵抗計(敦賀電気株式会社製の「MODEL3566」)などで評価することができる。
本実施例の電気化学式水素ポンプは、第1表面層14Aの厚み方向の抵抗率を、第1表面層14Aよりも内側の層14Mの厚み方向の抵抗率よりも小さくすることで、カソードガス拡散層14の第1表面層14Aとカソードセパレーター16との間の接触抵抗を低減することができる。
本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、上記の特徴以外は、第1実施形態または第1実施例の電気化学式水素ポンプ100と同様であってもよい。
(第3実施例)
第3実施例の電気化学式水素ポンプ100は、以下に説明するカソードガス拡散層14の構成以外は、第1実施形態の電気化学式水素ポンプ100と同様である。
本実施例の電気化学式水素ポンプ100では、カソードガス拡散層14は、第1表面層14Aの体積密度が、第1表面層14Aよりも内側の層14Mの体積密度よりも大きい。
なお、以上の体積密度は、例えば、研磨加工により測定したい層のみを残して、これを試料とし、定容積膨張法(株式会社島津製作所製 乾式自動密度計アキュピック1340)で評価可能である。この装置は、試料室と膨張室がバルブで接続した構造になっており、ヘリウムガスを充填し、バルブの開閉操作による、試料室と膨脹室の圧力の変化から、試料の体積密度を測定することができる。
カソードガス拡散層14において、第1表面層14Aの体積密度が大きいほど、第1表面層14Aとカソードセパレーター16との間の接触面積が大きい。よって、本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、第1表面層14Aの体積密度を、第1表面層14Aよりも内側の層14Mの体積密度よりも大きくすることで、カソードガス拡散層14の第1表面層14Aとカソードセパレーター16との間の接触抵抗を低減することができる。
本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、上記の特徴以外は、第1実施形態および第1実施例−第2実施例のいずれかの電気化学式水素ポンプ100と同様であってもよい。
(第4実施例)
第4実施例の電気化学式水素ポンプ100は、以下に説明するカソードガス拡散層14の構成以外は、第1実施形態の電気化学式水素ポンプ100と同様である。
本実施例の電気化学式水素ポンプ100では、第1表面層14Aよりも内側の層14Mは、カーボン粒子と樹脂を含み、第1表面層14Aよりも内側の層14Mに含まれるカーボン粒子の体積密度は、第1表面層14Aに含まれるカーボン粒子の体積密度よりも小さい。
第1表面層14Aよりも内側の層14Mに含まれるカーボン粒子は、例えば、第1実施形態の第1実施例で説明したカーボン粒子と同様、人造黒鉛粒子であってもよいし、天然黒鉛粒子であってもよい。これらの中でも、カーボン粒子は、導電性に優れている観点からアセチレンブラックを使用することが望ましいが、これに限定されない。
また、第1表面層14Aよりも内側の層14Mに含まれる樹脂の材料は、第1実施形態の第1実施例で説明した樹脂材料と同様、PTFE、FEP、PVDF、ETFE、PCTFE、または、PFAなどであってもよい。これらの中でも、樹脂材料は、耐熱性、撥水性、耐薬品性の観点からPTFEを使用することが望ましいが、これに限定されない。
なお、第1表面層14Aよりも内側の層14Mに含まれるカーボン粒子の体積密度は、例えば、例えば、研磨加工により測定したい層のみを残して、これを試料とし、定容積膨張法(株式会社島津製作所製 乾式自動密度計アキュピック1340)で評価可能である。この装置は、試料室と膨張室がバルブで接続した構造になっており、ヘリウムガスを充填し、バルブの開閉操作による、試料室と膨脹室の圧力の変化から、試料の体積密度を測定することができる。
第1表面層14Aよりも内側の層14Mに含まれるカーボン粒子の体積密度が小さいほど、第1表面層14Aよりも内側の層14Mの面内方向におけるガス拡散性が向上する。よって、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、上記の構成により、カソードガス拡散層14の面内方向におけるガス拡散性を適切に確保することができる。
また、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、第1表面層14Aよりも内側の層14Mが、例えば、カーボン繊維シートで構成される場合、カーボン繊維シートのカーボン繊維間に樹脂を含浸させることで、カーボン繊維間の接合力を上げることができる。これにより、本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、水素圧縮動作の開始および停止の繰り返しが行われる際のカーボン繊維シートの歪みに対する耐久性を向上させることができる。
本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、上記の特徴以外は、第1実施形態および第1実施例−第3実施例のいずれかの電気化学式水素ポンプ100と同様であってもよい。
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態の電気化学式水素ポンプのカソードガス拡散層の一例を示す図である。
本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、カソードガス拡散層14のカソード触媒層12側の第2表面層14Bの厚み方向の抵抗率は、第1表面層14Aよりも内側の層の厚み方向の抵抗率よりも小さい。ここで、図4に示すように、第1表面層14Aよりも内側の層は、カーボン多孔体シート14Sの厚み方向において、中間に位置する中間層14Cを備える。
なお、第2表面層14Bおよび中間層14Cの抵抗率は、例えば、1kHz交流抵抗計(敦賀電気株式会社製の「MODEL3566」)などで評価することができる。
ここで、カソードガス拡散層14がカーボン繊維シートで構成される場合、第1表面層14A、第2表面層14Bおよび中間層14Cは、例えば、以下の如く、第1のカーボン繊維シートおよび第2のカーボン繊維シートの表面(おもて面)に対して、カーボン粒子と樹脂を含浸させることで形成することができる。
まず、カーボン粒子および樹脂粉末を溶媒に分散させた溶液が第1のカーボン繊維シートの表面に含浸するように、この溶液を第1のカーボン繊維シートの表面に均一に塗布する。
次に、第1のカーボン繊維シートに含浸した溶液を、例えば、所定の温度で、乾燥および焼成させる。すると、第1のカーボン繊維シートの表面層(以下、第1表面層14A)に、カーボン粒子と樹脂を含む層が含まれる。
また、カーボン粒子および樹脂粉末を溶媒に分散させた溶液が第2のカーボン繊維シートの表面に含浸するように、この溶液を第2のカーボン繊維シートの表面に均一に塗布する。
次に、第2のカーボン繊維シートに含浸した溶液を、例えば、所定の温度で、乾燥および焼成させる。すると、第2のカーボン繊維シートの表面層(以下、第2表面層14B)に、カーボン粒子と樹脂を含む層が含まれる。
その後、第1のカーボン繊維シートの裏面と第2のカーボン繊維シートの裏面とが接触するように、第1のカーボン繊維シートおよび第2のカーボン繊維シートを接合する。すると、これらの接合部が、カーボン粒子と樹脂を含む層を備える中間層14Cに相当する。
ここで、第1表面層14Aおよび第2表面層14Bの気孔率は、中間層14Cの気孔率よりも小さい。また、第1表面層14Aおよび第2表面層14Bの体積密度は、中間層14Cの体積密度よりも大きい。換言すると、中間層14Cに含まれるカーボン粒子の体積密度は、第1表面層14Aおよび第2表面層14Bに含まれるカーボン粒子の体積密度よりも小さい。
以上により、本実施例のカソードガス拡散層14を得ることができる。つまり、カソードセパレーター16側の第1表面層14Aの厚み方向の抵抗率を、中間層14Cの厚み方向の抵抗率よりも小さくすることができる。また、カソード触媒層12側の第2表面層14Bの厚み方向の抵抗率を、中間層14Cの厚み方向の抵抗率よりも小さくすることができる。
なお、上記のカソードガス拡散層14の製法および構成は例示であって、本例に限定されない。例えば、カーボン粒子および樹脂粉末を溶媒に分散させた溶液を、所望の厚みのカーボン繊維シートの全域に含浸させた後、このカーボン繊維シートの表面および裏面にそれぞれ、カーボン粒子および樹脂粉末を溶媒に分散させた溶液をさらに均一に塗布することで、第1表面層14A、第2表面層14Bおよび中間層14Cを形成してもよい。
また、上記の溶液の塗布方法は、例えば、スプレー塗布法、バーコーダー塗布法、転写塗布法、ディップ塗布法などを挙げることができるが、これらに限定されない。
カソードガス拡散層14において、カソード触媒層12側の第2表面層14Bの厚み方向の抵抗率が小さいほど、第2表面層14Bとカソード触媒層12との間の接触抵抗が小さい。よって、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、第2表面層14Bの厚み方向の抵抗率を、中間層14Cの厚み方向の抵抗率よりも小さくすることで、カソードガス拡散層14の第2表面層14Bとカソード触媒層12との間の接触抵抗を低減することができる。その結果、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、水素圧縮動作を高効率に維持することができる。
また、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、カソードガス拡散層14が、例えば、カーボン繊維シートで構成される場合、カーボン繊維シートのカーボン繊維間に樹脂を含浸させることで、カーボン繊維間の接合力を上げることができる。これにより、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、水素圧縮動作の開始および停止の繰り返しが行われる際のカーボン繊維シートの歪みに対する耐久性を向上させることができる。
また、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、中間層14Cの体積密度(中間層14Cに含まれるカーボン粒子の体積密度)を小さくすることで、カソードガス拡散層14の面内方向におけるガス拡散性を適切に確保することができる。
本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、上記の特徴以外は、第1実施形態および第1実施形態の第1実施例−第4実施例のいずれかの電気化学式水素ポンプ100と同様であってもよい。
(第3実施形態)
図5Aは、第3実施形態の電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。図5Bは、図1Aの電気化学式水素ポンプのB部の拡大図である。なお、図5Aには、平面視において電気化学式水素ポンプ100の中心と、カソードガス導出マニホールド50の中心と、を通過する直線を含む電気化学式水素ポンプ100の垂直断面が示されている。
本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、以下に説明する第1表面層14Aとマニホールド孔50Aを連絡する連絡路以外は、第1実施形態の電気化学式水素ポンプ100と同様である。
本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、カソードガス導出マニホールド50は、水素ポンプユニット100Aのそれぞれのカソードガス拡散層14の適所と、第2連絡路34Bのそれぞれを介して連通している。これにより、水素ポンプユニット100Aのそれぞれのカソードガス拡散層14および第2連絡路34Bを通過した水素が、カソードガス導出マニホールド50で合流される。そして、合流された水素がカソードガス導出経路26に導かれる。図5Aおよび図5Bに示す例では、カソードセパレーター16には、カソードガス拡散層14から排出された、上記の圧縮された水素を含むカソードガスが流入するマニホールド孔50Aと、第1表面層14Aよりも内側の層14M(図3参照)とマニホールド孔50Aを連絡する第2連絡路34Bとが設けられている。このような第2連絡路34Bは、例えば、カソードセパレーター16に設けられた孔で構成されていてもよい。そして、第1表面層14Aよりも内側の層14Mは、気孔率が20%以上である。また、第1表面層14Aは、気孔率が20%未満である。
なお、これらの気孔率は、例えば、上記の水銀ポロシメータ(株式会社島津製作所製の「オートポアIII9410」)で評価可能である。
このようにして、水素ポンプユニット100Aのそれぞれのカソードガス拡散層14は、水素ポンプユニット100Aのそれぞれの第2連絡路34Bおよびカソードガス導出マニホールド50を介して連通している。
仮に、第1表面層14Aよりも内側の層14Mの気孔率が20%未満である場合、この内側の層14Mのガス拡散性を適切に確保できない恐れがある。そこで、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、第1表面層14Aよりも内側の層14Mの気孔率を20%以上にすることで、カソードガスがこの内側の層14Mを拡散しやすくなるように構成することができる。すると、カソードガスは、第2連絡路34Bを通じてマニホールド孔50Aに容易に排出される。
また、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、第1表面層14Aの気孔率を20%未満にすることで、カソードガス拡散層14の第1表面層14Aとカソードセパレーター16との間の接触抵抗を低減することができる。つまり、第1表面層14Aの気孔率が小さいほど、第1表面層14Aとカソードセパレーター16との間の接触面積が大きくなるので、両者間の接触抵抗を低減することができる。かかる観点からは、第1表面層14Aの気孔率は、ほぼゼロ%であることが望ましい。第1表面層14Aは、例えば、気孔率がほぼゼロ%のカーボンシートで構成されていてもよい。
このように、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、カソードガス拡散層14のガス拡散性の向上と、カソードガス拡散層14とカソードセパレーター16との間の接触抵抗を低減とを両立させることができる。
本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、上記の特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の第1実施例−第4実施例および第2実施形態のいずれかの電気化学式水素ポンプ100と同様であってもよい。
なお、第1実施形態、第1実施形態の第1実施例−第4実施例、第2実施形態および第3実施形態は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせても構わない。
上記説明から、当業者にとっては、本開示の多くの改良および他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本開示の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更することができる。例えば、以上で説明したカソードガス拡散層14は、水電解装置などの他の圧縮装置にも適用することができる。
本開示の一態様は、カーボン多孔体シートで構成されるカソードガス拡散層とカソードセパレーターとの間の接触抵抗を従来よりも低減し得る圧縮装置に利用することができる。
11 :電解質膜
12 :カソード触媒層
13 :アノード触媒層
14 :カソードガス拡散層
14A :第1表面層
14B :第2表面層
14C :中間層
14S :カーボン多孔体シート
15 :アノードガス拡散層
16 :カソードセパレーター
17 :アノードセパレーター
21 :絶縁体
22A :アノード給電板
22C :カソード給電板
23A :アノード絶縁板
23C :カソード絶縁板
24A :アノード端板
24C :カソード端板
25 :締結器
26 :カソードガス導出経路
27 :アノードガス導入マニホールド
29 :アノードガス導入経路
30 :アノードガス導出マニホールド
31 :アノードガス導出経路
33 :アノードガス流路
34A :第1連絡路
34B :第2連絡路
35 :第1アノードガス通過経路
36 :第2アノードガス通過経路
40 :シール部材
42 :シール部材
43 :シール部材
50 :カソードガス導出マニホールド
50A :マニホールド孔
100 :電気化学式水素ポンプ
100A :水素ポンプユニット
102 :電圧印加器
AN :アノード電極
CA :カソード電極

Claims (9)

  1. 電解質膜、
    前記電解質膜の一方の主面に接するアノード触媒層と、
    前記電解質膜の他方の主面に接するカソード触媒層と、
    前記アノード触媒層に接するアノードガス拡散層と、
    前記カソード触媒層に接するカソードガス拡散層と、
    前記アノード触媒層および前記カソード触媒層の間に電圧を印加することで、前記アノード触媒層上に供給されたアノード流体から取り出されたプロトンを、前記電解質膜を介して、前記カソード触媒層上に移動させ、圧縮された水素を生成する圧縮装置に用いる膜・電極接合体であって、
    前記カソードガス拡散層は、カーボン多孔体シートを含み、前記カソード触媒層側と反対側の第1表面層の気孔率が、前記第1表面層よりも内側の層の気孔率よりも小さい、
    膜・電極接合体。
  2. 前記カソードガス拡散層は、前記第1表面層にカーボン粒子と樹脂を含む層が含まれる、請求項1に記載の膜・電極接合体。
  3. 前記カソードガス拡散層は、前記第1表面層の厚み方向の抵抗率が、前記第1表面層よりも内側の層の厚み方向の抵抗率よりも小さい、請求項1または2に記載の膜・電極接合体。
  4. 前記カソードガス拡散層は、前記第1表面層の体積密度が、前記第1表面層よりも内側の層の体積密度よりも大きい、請求項1から3のいずれか1項に記載の膜・電極接合体。
  5. 前記第1表面層よりも内側の層は、カーボン粒子と樹脂を含み、前記第1表面層よりも内側の層に含まれる前記カーボン粒子の体積密度は、前記第1表面層に含まれる前記カーボン粒子の体積密度よりも小さい、請求項2に記載の膜・電極接合体。
  6. 前記第1表面層の気孔率が20%以上である、請求項1から5のいずれか1項に記載の膜・電極接合体。
  7. 前記第1表面層よりも内側の層は、気孔率が20%以上である、請求項1から5のいずれか1項に記載の膜・電極接合体。
  8. 前記第1表面層は、気孔率が20%未満である、請求項7に記載の膜・電極接合体。
  9. 請求項1―8のいずれか1項に記載の膜・電極接合体と、前記カソードガス拡散層の第1表面層上に設けられたカソードセパレーターとを備える、
    圧縮装置。
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