JP7117543B2 - 水素システムおよび水素システムの運転方法 - Google Patents

水素システムおよび水素システムの運転方法 Download PDF

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Description

本開示は水素システムおよび水素システムの運転方法に関する。
近年、地球温暖化などの環境問題、石油資源の枯渇などのエネルギー問題から、化石燃料に代わるクリーンな代替エネルギー源として、水素が注目されている。水素は燃焼しても基本的に水しか放出せず、地球温暖化の原因となる二酸化炭素が排出されずかつ窒素酸化物などもほとんど排出されないので、クリーンエネルギーとして期待されている。また、水素を燃料として高効率に利用する装置として、例えば、燃料電池があり、自動車用電源向け、家庭用自家発電向けに開発および普及が進んでいる。
来るべき水素社会では、水素を製造することに加えて、水素を高密度で貯蔵し、小容量かつ低コストで輸送または利用することが可能な技術開発が求められている。特に、分散型のエネルギー源となる燃料電池の普及促進には、水素供給インフラを整備する必要がある。そこで、水素を安定的に供給するために、高純度の水素を製造、精製、高密度貯蔵する様々な検討が行われている。
例えば、特許文献1には、アノードおよびカソード間に電解質膜が設けられ、アノードおよびカソード間に電圧を印加することによって、水素の精製および昇圧が行われる水素供給システムが記載されている。なお、アノード、電解質膜およびカソードの積層構造体を膜-電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)という。
ここで、特許文献1には、電気化学式水素ポンプの水素圧縮動作が開始される前に、カソードガス圧がアノードガス圧よりも高圧になるように両者のガス圧を調整することが開示されている。これにより、電気化学式水素ポンプの水素圧縮動作を高効率に維持することができる。
特開2019-206749号公報
本開示は、一例として、圧縮機の水素圧縮動作を従来よりも高効率に維持し得る、水素システムおよび水素システムの運転方法を提供することを課題とする。
本開示の一態様(aspect)の水素システムは、アノードおよびカソード間に電圧を印加することで、アノードに供給される水素含有ガス中の水素を、電解質膜を介してカソードに移動させ、かつ圧縮する圧縮機と、前記アノードに水素含有ガスを供給する第1流路と、前記第1流路から分岐して、前記カソードに水素含有ガスを供給する第2流路と、前記第2流路に設けられ、前記カソードに水素含有ガスを供給する流れとは逆向きの流れを防止する逆止弁とを備える。
また、本開示の一態様の水素システムは、アノードおよびカソード間に電圧を印加することで、アノードに供給される水素含有ガス中の水素を、電解質膜を介してカソードに移動させ、かつ圧縮する圧縮機と、前記アノードに水素含有ガスを供給する第1流路と、前記第1流路から分岐して、前記カソードに水素含有ガスを供給する第2流路と、前記第2流路に設けられた開閉弁と、前記第1流路を介した前記アノードへの水素含有ガスの供給開始と同時に、前記開閉弁を開放させる制御器と、を備える。
また、本開示の一態様の水素システムの運転方法は、アノードおよびカソード間に電圧を印加することで、アノードに供給される水素含有ガス中の水素を、電解質膜を介してカソードに移動させ、かつ圧縮するステップと、前記アノードへの水素含有ガスの供給開始と同時に、前記カソードに前記水素含有ガスの供給を開始させるステップと、を備える。
本開示の一態様の水素システムおよび水素システムの運転方法は、圧縮機の水素圧縮動作を従来よりも高効率に維持し得る、という効果を奏する。
図1は、第1実施形態の水素システムの一例を示す図である。 図2は、第1実施形態の変形例の水素システムの一例を示す図である。 図3は、第2実施形態の水素システムの一例を示す図である。 図4は、第2実施形態の変形例の水素システムの一例を示す図である。
上記のとおり、特許文献1には、電気化学式水素ポンプの水素圧縮動作が開始される前に、カソードガス圧がアノードガス圧よりも高圧になるように両者のガス圧を調整することが開示されているが、特許文献1に開示された発明は、電気化学式水素ポンプの水素圧縮動作の高効率化において未だ改善の余地があると考えられる。
例えば、アノードへの水素含有ガスの供給が開始される前に、カソードガス圧をアノードガス圧よりも高圧に維持するには、水素タンク内の高圧の水素ガスをカソードに戻すことでカソードガス圧を昇圧させる場合がある。この場合、水素タンクに再度供給する前にカソードガスの再昇圧が必要なため、電気化学式水素ポンプの効率が低下する。また、例えば、アノードに水素含有ガスを供給するための水素供給源を利用して、カソードガス圧をアノードガス圧よりも高くする場合、水素含有ガス供給圧をアノードで減圧させる必要がある。この場合、水素供給源から減圧されずにアノードに供給された水素含有ガスを昇圧する場合に比べ、電気化学式水素ポンプの効率が低下する。
そこで、本開示者らは、鋭意検討した結果、アノードへの水素含有ガスの供給開始において、アノードガス圧およびカソードガス圧を同圧にすることで、上記の問題を軽減できることを見出して、以下の本開示の一態様に想到した。
すなわち、本開示の第1態様の水素システムは、アノードおよびカソード間に電圧を印加することで、アノードに供給される水素含有ガス中の水素を、電解質膜を介してカソードに移動させ、かつ圧縮する圧縮機と、アノードに水素含有ガスを供給する第1流路と、第1流路から分岐して、カソードに水素含有ガスを供給する第2流路と、第2流路に設けられ、カソードに水素含有ガスを供給する流れとは逆向きの流れを防止する逆止弁と、を備える。
かかる構成によると、本態様の水素システムは、圧縮機の水素圧縮動作を従来よりも高効率に維持し得る。
具体的には、アノードへの水素含有ガスの供給開始において、水素供給源の水素含有ガスの供給圧が、カソードガス圧よりも高い場合、両者の差圧は、逆止弁を開く方向に作用する。よって、逆止弁は、外部の動力を得て制御させる必要がないので、第2流路を介して、第1流路の分岐箇所からカソードへの水素含有ガスの供給が自動的に開始される。これにより、アノードガス圧およびカソードガス圧を速やかに同圧することができる。
なお、本明細書において、「アノードガス圧およびカソードガス圧が同圧である」とは、アノードガス圧とカソードガス圧とが完全に一致することを要求するものではなく、第1流路および第2流路の圧力損失の差に対応する差圧が発生する場合も含み得る。
ここで、圧縮機の水素圧縮動作中は、カソードガス圧が、アノードガス圧よりも高いにも拘わらず、アノードへの水素含有ガスの供給開始においては、水素供給源の水素含有ガスの供給圧によって、アノードガス圧およびカソードガス圧の大小関係の逆転(アノードガス圧>カソードガス圧)が生じる可能性がある。すると、両者の差圧の逆転に起因する電解質膜およびガス拡散層の損傷によって、MEAの接触抵抗が増加することで、圧縮機の水素圧縮動作の効率が低下する可能性がある。
しかし、本態様の水素システムは、アノードへの水素含有ガスの供給開始において、第2流路に設けられた逆止弁の自動開放により、アノードガス圧およびカソードガス圧力を同圧にできるので、電解質膜およびガス拡散層の損傷を軽減することができる。
本開示の第2態様の水素システムは、アノードおよびカソード間に電圧を印加することで、アノードに供給される水素含有ガス中の水素を、電解質膜を介してカソードに移動させ、かつ圧縮する圧縮機と、アノードに水素含有ガスを供給する第1流路と、第1流路から分岐して、カソードに水素含有ガスを供給する第2流路と、第2流路に設けられた開閉弁と、第1流路を介したアノードへの水素含有ガスの供給開始と同時に、開閉弁を開放させる制御器と、を備える。
かかる構成によると、本実施形態の水素システムは、圧縮機の水素圧縮動作を従来よりも高効率に維持し得る。
具体的には、第1流路を介したアノードへの水素含有ガスの供給開始と同時に、開閉弁を開放するので、第2流路を介して、第1流路の分岐箇所からカソードへの水素含有ガスの供給が適時に開始される。これにより、アノードガス圧およびカソードガス圧を速やかに同圧することができる。
なお、特許文献1には、図7Aに示すように、アノードANへの水素含有ガスの供給開始前にカソードCAに水素含有ガスを供給する構成、および、圧力損失部16を介してアノードANに、カソードCAを通過した水素含有ガスを供給する構成が示されている。しかし、図7Aに示された構成の場合は、水素含有ガスがいったんカソードCAを通過してから、アノードANに供給されるので、カソードCA中に滞留した水などが、水素含有ガスとともにアノードANに供給される可能性がある。すると、アノードANに過剰な水が供給され、アノードANでフラッデイングを起こす可能性がある。これに対して、本態様の水素システムは、カソードおよびアノードにも同時に、湿潤状態が同様の水素含有ガスが供給されるため、上記可能性が低減される。
ここで、圧縮機の水素圧縮動作中は、カソードガス圧が、アノードガス圧よりも高いにも拘わらず、アノードへの水素含有ガスの供給開始においては、水素供給源の水素含有ガスの供給圧によって、アノードガス圧およびカソードガス圧の大小関係の逆転(アノードガス圧>カソードガス圧)が生じる可能性がある。すると、両者の差圧の逆転に起因する電解質膜およびガス拡散層の損傷によって、MEAの接触抵抗が増加することで、電気化学式水素ポンプの水素圧縮動作の効率が低下する可能性がある。
しかし、本態様の水素システムは、アノードへの水素含有ガスの供給開始と同時に、第2流路に設けられた開閉弁を開放させることにより、アノードガス圧およびカソードガス圧を同圧にできるので、電解質膜およびガス拡散層の損傷を軽減することができる。
本開示の第3態様の水素システムは、第1態様または第2態様の水素システムにおいて、第2流路への分岐箇所よりも下流の第1流路に設けられた、圧力損失部を備えてもよい。
また、本開示の第4態様の水素システムは、第1態様から第3態様のいずれか一つの水素システムにおいて、第2流路の圧力損失が第2流路への分岐箇所よりも下流の第1流路の圧力損失より小さくてもよい。
以上の構成によると、本態様の水素システムは、第2流路の圧力損失が第2流路への分岐箇所よりも下流の第1流路の圧力損失より小さいので、アノードへの水素含有ガスの供給に先立って、カソードに水素含有ガスを供給することができる。これにより、アノードガス圧およびカソードガス圧の大小関係の逆転(アノードガス圧>カソードガス圧)が適切に抑制される。
本開示の第5態様の水素システムは、第1態様から第4態様のいずれか一つの水素システムにおいて、第1流路を介して供給される水素含有ガスの供給圧は、0.1MPaG~20MPaGであってもよい。
本開示の第6態様の水素システムの運転方法は、アノードおよびカソード間に電圧を印加することで、アノードに供給される水素含有ガス中の水素を、電解質膜を介してカソードに移動させ、かつ圧縮するステップと、アノードへの水素含有ガスの供給開始と同時に、カソードに水素含有ガスの供給を開始させるステップと、を備える。
これにより、本態様の水素システムの運転方法は、圧縮機の水素圧縮動作を従来よりも高効率に維持し得る。なお、本態様の水素システムの運転方法が奏する作用効果の詳細は、第1態様または第2態様の水素システムが奏する作用効果と同様であるので、詳細な説明を省略する。
以下、添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について説明する。なお、以下で説明する実施形態は、いずれも上記の各態様の一例を示すものである。よって、以下で示される形状、材料、構成要素、および、構成要素の配置位置および接続形態などは、あくまで一例であり、請求項に記載されていない限り、上記の各態様を限定するものではない。また、以下の構成要素のうち、上記の各態様の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面において、同じ符号が付いたものは、説明を省略する場合がある。図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したもので、形状および寸法比などについては正確な表示ではない場合がある。
(第1実施形態)
以下の実施形態では、上記の圧縮機の一例である電気化学式水素ポンプを備える水素システムの構成および動作について説明する。
[装置構成]
図1は、第1実施形態の水素システムの一例を示す図である。
図1に示す例では、本実施形態の水素システム100は、電気化学式水素ポンプ10と、第1流路1と、第2流路2と、逆止弁3と、を備える。
電気化学式水素ポンプ10のセルは、電解質膜20と、アノードANと、カソードCAと、を備える。電気化学式水素ポンプ10は、このようなセルを複数個、積層したスタックを備えてもよい。詳細は後で説明する。
アノードANは、電解質膜20の一方の主面に設けられている。アノードANは、アノード触媒層およびアノードガス拡散層を含む電極である。カソードCAは、電解質膜20の他方の主面に設けられている。カソードCAは、カソード触媒層およびカソードガス拡散層を含む電極である。これにより、電解質膜20は、アノード触媒層およびカソード触媒層のそれぞれと接触するようにして、アノードANとカソードCAとによって挟持されている。
電解質膜20はプロトン伝導性を備える膜であれば、どのような構成であってもよい。例えば、電解質膜20として、フッ素系高分子電解質膜、炭化水素系電解質膜などを挙げることができる。具体的には、電解質膜20として、例えば、Nafion(登録商標、デュポン社製)、Aciplex(登録商標、旭化成株式会社製)などを用いることができるが、これらに限定されない。
アノード触媒層は、電解質膜20の一方の主面に設けられている。アノード触媒層は、触媒金属(例えば、白金)を分散状態で担持することができるカーボンを含むが、これに限定されない。
カソード触媒層は、電解質膜20の他方の主面に設けられている。カソード触媒層は、触媒金属(例えば、白金)を分散状態で担持することができるカーボンを含むが、これに限定されない。
カソード触媒層もアノード触媒層も、触媒の調製方法としては、種々の方法を挙げることができるが、特に限定されない。例えば、カーボン系粉末としては、黒鉛、カーボンブラック、導電性を有する活性炭などの粉末を挙げることができる。カーボン担体に、白金若しくは他の触媒金属を担持する方法は、特に限定されない。例えば、粉末混合または液相混合などの方法を用いてもよい。後者の液相混合としては、例えば、触媒成分コロイド液にカーボンなどの担体を分散させ、吸着させる方法などが挙げられる。白金などの触媒金属のカーボン担体への担持状態は、特に限定されない。例えば、触媒金属を微粒子化し、高分散で担体に担持してもよい。
カソードガス拡散層は、カソード触媒層上に設けられている。カソードガス拡散層は、多孔性材料で構成され、導電性およびガス拡散性を備える。カソードガス拡散層は、電気化学式水素ポンプ10の動作時にカソードCAおよびアノードAN間の差圧で発生する構成部材の変位、変形に適切に追従するような弾性を備える方が望ましい。カソードガス拡散層の基材として、例えば、カーボン繊維焼結体やチタン繊維焼結体などを使用することができるが、これに限定されない。
アノードガス拡散層は、アノード触媒層上に設けられている。アノードガス拡散層は、多孔性材料で構成され、導電性およびガス拡散性を備える。アノードガス拡散層は、電気化学式水素ポンプ10の動作時に、上記の差圧による電解質膜20の押し付けに耐え得る程度の剛性を備える方が望ましい。アノードガス拡散層の基材として、例えば、チタン粒子焼結体やカーボン粒子焼結体などを使用することができるが、これに限定されない。
図には示されないが、電気化学式水素ポンプ10は、電圧印加器を備える。
電圧印加器は、アノードANとカソードCAとの間に電圧を印加する装置である。電圧印加器は、アノードANとカソードCAとの間に電圧を印加することができれば、どのような構成であってもよい。例えば、電圧印加器の高電位側端子が、アノードANに接続され、電圧印加器の低電位側端子が、カソードCAに接続されている。このような電圧印加器として、例えば、DC/DCコンバータ、AC/DCコンバータなどを挙げることができる。DC/DCコンバータは、電圧印加器が、太陽電池、燃料電池、バッテリなどの直流電源と接続された場合に用いられる。AC/DCコンバータは、電圧印加器が、商用電源などの交流電源と接続された場合に用いられる。また、電圧印加器は、例えば、セルに供給する電力が所定の設定値となるように、アノードANおよびカソードCA間に印加される電圧、アノードANおよびカソードCA間に流れる電流が調整される電力型電源であってもよい。
このようにして電気化学式水素ポンプ10は、電圧印加器を用いて、アノードANおよびカソードCAの間で通電が行われる。つまり、電気化学式水素ポンプ10は、電圧印加器が、アノードANおよびカソードCA間に電圧を印加することで、アノードANに供給された水素含有ガス中の水素を、カソードCAに移動させ、かつ圧縮する装置である。
なお、上記の水素含有ガスは、例えば、水の電気分解で生成された水素ガスであってもよいし、炭化水素ガスの改質反応で生成された改質ガスであってもよい。
ここで、図1には示されていないが、水素システム100の水素圧縮動作において必要となる部材および機器は適宜、設けられる。
例えば、一対のセパレータのそれぞれが、アノードANおよびカソードCAのそれぞれを外側から挟んでいてもよい。この場合、アノードANに接触するセパレータは、アノードANに水素含有ガスを供給するための導電性の板状の部材である。この板状の部材は、アノードANに供給する水素含有ガスが流れるサーペンタイン状のガス流路を備える。カソードCAに接触するセパレータは、カソードCAから水素を導出するための導電性の板状の部材である。この板状の部材は、カソードCAから導出した水素が流れるガス流路を備える。
また、電気化学式水素ポンプ10では、通常、高圧の水素が外部へリークしないように、セルの両側からガスケットなどのシール材が設けられ、電気化学式水素ポンプ10のセルと一体化して予め組み立てられる。そして、このセルの外側には、これを機械的に固定するとともに、隣接するセル同士を互いに電気的に直列に接続するための上記のセパレータが配置されている。
セルとセパレータを交互に重ねて、セルを10~200個程度、積層して、その積層体(スタック)を、集電板および絶縁板を介して端板で挟み、両端板を締結ロッドで締め付けるのが一般的な積層構造である。なお、この場合、セパレータのそれぞれのガス流路に適量の水素含有ガスを供給するには、セパレータのそれぞれにおいて、適宜の管路から溝状の分岐経路を分岐させ、これらの下流端が、セパレータのそれぞれのガス流路に連結するように構成する必要がある。このような管路のことをマニホールドといい、このマニホールドは、例えば、スタックを構成する部材のそれぞれの適所に設けられた貫通孔の連なりにより構成されている。
さらに、水素システム100には、セルの温度を検知する温度検知器、セルの温度を調整する温度調整器、アノードANに供給される水素含有ガスの露点を調整する露点調整器などが設けられていてもよい。
なお、以上の図示しない部材および機器は例示であって、本例に限定されない。
次に、本実施形態の水素システム100の流路構成について説明する。
第1流路1は、電気化学式水素ポンプ10のアノードANに水素含有ガスを供給するための流路である。
第1流路1の下流端は、電気化学式水素ポンプ10のアノードANと連通する箇所であれば、いずれの箇所に接続していてもよい。例えば、電気化学式水素ポンプ10が、上記のスタックを備える場合、第1流路1の下流端は、水素含有ガス導入用のマニホールドに連通していてもよい。
第1流路1の上流端は、例えば、適宜の水素供給源に接続していてもよい。水素供給源として、例えば、水電解装置、改質器、水素タンクなどで挙げることができる。このとき、第1流路1を介して供給される水素含有ガスの供給圧は、例えば、0.1MPaG以上、20MPaG以下であってもよい。
第2流路2は、第1流路1から分岐して電気化学式水素ポンプ10のカソードCAに水素含有ガスを供給するための流路である。具体的には、第2流路2の上流端が、分岐箇所Bで第1流路1に接続している。そして、第2流路2は、電気化学式水素ポンプ10のカソードCAと連通するように延伸している。第2流路2の下流端は、電気化学式水素ポンプ10のカソードCAと連通する箇所であれば、いずれの箇所に接続していてもよい。例えば、電気化学式水素ポンプ10が、上記のスタックを備える場合、第2流路2の下流端は、水素導出用のマニホールドに連通していてもよい。
なお、水素システム100は、電気化学式水素ポンプ10のカソードCAで圧縮された水素を、流路(図示せず)を通じて適宜の水素貯蔵器(図示せず)に供給するように構成されていてもよい。水素貯蔵器として、例えば、数十MPaG程度の水素を充填可能な水素タンクを挙げることができる。
図1に示すように、逆止弁3は、第2流路2に設けられている。逆止弁3は、電気化学式水素ポンプ10のカソードCAに水素含有ガスを供給する流れとは逆向きの流れを防止するための弁である。つまり、逆止弁3は、第1流路1を流れる水素含有ガスを、第2流路2を介して分岐箇所BからカソードCAの方向(順方向)に自動的に流すとともに、逆方向の流れを自動的に防止するように構成されている。
[動作]
以下、水素システム100の水素圧縮動作の一例について図面を参照しながら説明する。
以下の動作は、例えば、制御器(図1では図示せず)の演算回路が、制御器の記憶回路から制御プログラムを読み出すことにより行われてもよい。ただし、以下の動作を制御器50で行うことは、必ずしも必須ではない。操作者が、その一部の動作を行ってもよい。以下の例では、制御器により動作を制御する場合について、説明する。
まず、第1流路1を介して電気化学式水素ポンプ10のアノードANに水素含有ガスの供給が開始される。なお、アノードANへの水素含有ガスの供給開始は、例えば、第1流路1の上流端に設けられた水素供給源の元栓(図示せず)を開放させることで行われてもよい。
ここで、アノードANへの水素含有ガスの供給開始と同時に、カソードCAに水素含有ガスの供給を開始させる動作が行われる。つまり、水素含有ガスの供給圧が、カソードガス圧よりも高い場合、両者の差圧は、逆止弁3を開く方向に作用するので、第2流路2を介して、第1流路1の分岐箇所BからカソードCAへの水素含有ガスの供給が自動的に開始される。このとき、第1流路1を介して供給される水素含有ガスの供給圧は、例えば、0.1MPaG以上、20MPaG以下であってもよい。
次に、第1流路1を介してアノードANに水素含有ガスが供給されるととともに、電圧印加器の電圧が電気化学式水素ポンプ10に給電されると、アノードANのアノード触媒層において、水素含有ガス中の水素分子がプロトンと電子とに分離する(式(1))。プロトンは電解質膜20内を伝導してカソード触媒層に移動する。電子は電圧印加器を通じてカソード触媒層に移動する。そして、カソード触媒層において、水素分子が再び生成される(式(2))。なお、プロトンが電解質膜20中を伝導する際に、所定水量の水が、電気浸透水としてアノードANからカソードCAにプロトンと同伴して移動することが知られている。
このとき、カソードCAから導出されるガスの流路に背圧弁、調整弁(図示せず)などを用いて流路内の圧力損失を増加させることによりカソードCAで生成された水素(H2)を圧縮することができる。
アノード:H2(低圧)→2H++2e-・・・(1)
カソード:2H++2e-→H2(高圧)・・・(2)
このようにして、水素システム100において、電気化学式水素ポンプ10のアノードANおよびカソードCA間に電圧を印加することで、アノードANに供給される水素含有ガス中の水素を、電解質膜20を介してカソードCAに移動させ、かつ圧縮する動作が行われる。なお、カソードCAで圧縮された水素の圧力が、第1流路1を介して供給される水素含有ガスの供給圧よりも高くなっても、このような水素が第2流路2を逆方向に流れようとすると、逆止弁3が自動的に閉止する。
カソードCAで圧縮された水素は、例えば、図示しない水素貯蔵器に一時的に貯蔵される。また、水素貯蔵器で貯蔵された水素は、適時に、水素需要体に供給される。水素需要体として、例えば、水素を用いて発電する燃料電池などを挙げることができる。
次に、電気化学式水素ポンプ10のアノードANおよびカソードCA間における電圧印加が停止される。これにより、上記の水素を圧縮する動作が停止する。
以上のとおり、本実施形態の水素システム100および水素システム100の運転方法は、電気化学式水素ポンプ10の水素圧縮動作を従来よりも高効率に維持し得る。
具体的には、アノードANへの水素含有ガスの供給開始において、水素供給源の水素含有ガスの供給圧が、カソードガス圧よりも高い場合、両者の差圧は、逆止弁3を開く方向に作用する。よって、逆止弁3は、外部の動力を得て制御させる必要がないので、第2流路2を介して、第1流路1の分岐箇所BからカソードCAへの水素含有ガスの供給が自動的に開始される。これにより、アノードガス圧およびカソードガス圧を速やかに同圧することができる。
ここで、電気化学式水素ポンプ10の水素圧縮動作中は、カソードガス圧が、アノードガス圧よりも高いにも拘わらず、アノードANへの水素含有ガスの供給開始においては、水素供給源の水素含有ガスの供給圧によって、アノードガス圧およびカソードガス圧の大小関係の逆転(アノードガス圧>カソードガス圧)が生じる可能性がある。すると、両者の差圧の逆転に起因する電解質膜20およびガス拡散層の損傷によって、MEAの接触抵抗が増加することで、電気化学式水素ポンプ10の水素圧縮動作の効率が低下する可能性がある。
しかし、本実施形態の水素システム100および水素システム100の運転方法は、アノードANへの水素含有ガスの供給開始において、第2流路2に設けられた逆止弁3の自動開放により、アノードガス圧およびカソードガス圧を同圧にできるので、電解質膜20およびガス拡散層の損傷を軽減することができる。
(変形例)
図2は、第1実施形態の変形例の水素システムの一例を示す図である。
図2に示す例では、本変形例の水素システム100は、電気化学式水素ポンプ10と、第1流路1と、第2流路2と、逆止弁3と、圧力損失部6と、を備える。
ここで、電気化学式水素ポンプ10、第1流路1、第2流路2および逆止弁3は、第1実施形態と同様であるので詳細な説明を省略する。
圧力損失部6は、第2流路2への分岐箇所Bよりも下流の第1流路1に設けられている。圧力損失部6は、第2流路2への分岐箇所Bよりも下流の第1流路1において、所望の圧力損失を設定することができれば、どのような構成であってもよい。例えば、圧力損失部6は、第2流路2への分岐箇所Bよりも下流の第1流路1を構成する配管の一部の径を、他の部分に比べて小さくすることで実現してもよい。また、圧力損失部6は、第2流路2への分岐箇所Bよりも下流の第1流路1に、逆止弁などの弁を設けることで実現してもよい。
また、本変形例の水素システム100は、第2流路2の圧力損失が第2流路2への分岐箇所Bよりも下流の第1流路1の圧力損失より小さい。例えば、圧力損失部6を用いて、第2流路2の圧力損失および第2流路2への分岐箇所Bよりも下流の第1流路1の圧力損失の大小関係を、上記のとおり設定することができる。なお、圧力損失部6を弁で構成する場合、この弁の圧力損失は、第2流路2に設けられた逆止弁3の圧力損失よりも大きい。
以上により、本変形例の水素システム100は、第2流路2の圧力損失が第2流路2への分岐箇所Bよりも下流の第1流路1の圧力損失より小さいので、アノードANへの水素含有ガスの供給に先立って、カソードCAに水素含有ガスを供給することができる。これにより、アノードガス圧およびカソードガス圧の大小関係の逆転(アノードガス圧>カソードガス圧)が適切に抑制される。
本変形例の水素システム100は、上記の特徴以外は、第1実施形態の水素システム100と同様であってもよい。
(第2実施形態)
[装置構成]
図3は、第2実施形態の水素システムの一例を示す図である。
図3に示す例では、本実施形態の水素システム100は、電気化学式水素ポンプ10と、第1流路1と、第2流路2と、開閉弁4と、制御器50と、を備える。
ここで、電気化学式水素ポンプ10、第1流路1および第2流路2は、第1実施形態と同様であるので詳細な説明を省略する。
開閉弁4は、第2流路2に設けられている。開閉弁4は、第2流路2を開閉することができれば、どのような構成であってもよい。開閉弁4として、例えば、窒素ガスなどで駆動する駆動弁または電磁弁などを用いることができるが、これらに限定されない。
制御器50は、第1流路1を介したアノードANへの水素含有ガスの供給開始と同時に、開閉弁4を開放させる。制御器50は、水素システム100の全体の動作を制御してもよい。アノードANへの水素含有ガスの供給開始は、例えば、制御器50が、第1流路1の上流端に設けられた水素供給源の元栓(図示せず)を開放させることで行われてもよい。
制御器50は、例えば、演算回路(図示せず)と、制御プログラムを記憶する記憶回路(図示せず)と、を備える。演算回路として、例えば、MPU、CPUなどを挙げることができる。記憶回路として、例えば、メモリなどを挙げることができる。制御器50は、集中制御を行う単独の制御器で構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御を行う複数の制御器で構成されていてもよい。
[動作]
以下、水素システム100の水素圧縮動作の一例について図面を参照しながら説明する。
以下の動作は、例えば、制御器50の演算回路が、制御器50の記憶回路から制御プログラムを読み出すことにより行われてもよい。ただし、以下の動作を制御器50で行うことは、必ずしも必須ではない。操作者が、その一部の動作を行ってもよい。以下の例では、制御器50により動作を制御する場合について、説明する。
まず、第1流路1を介して電気化学式水素ポンプ10のアノードANに水素含有ガスの供給が開始される。なお、アノードANへの水素含有ガスの供給開始は、例えば、第1流路1の上流端に設けられた水素供給源の元栓(図示せず)を開放させることで行われてもよい。
ここで、アノードANへの水素含有ガスの供給開始と同時に、カソードCAに水素含有ガスの供給を開始させる動作が行われる。つまり、水素含有ガスの供給開始と同時に、開閉弁4が開放される。このとき、第1流路1を介して供給される水素含有ガスの供給圧は、例えば、0.1MPaG以上、20MPaG以下であってもよい。
次に、第1流路1を介してアノードANに水素含有ガスが供給されるとともに、電圧印加器の電圧が電気化学式水素ポンプ10に給電されると、アノードANのアノード触媒層において、水素含有ガス中の水素分子がプロトンと電子とに分離する(式(1))。プロトンは電解質膜20内を伝導してカソード触媒層に移動する。電子は電圧印加器を通じてカソード触媒層に移動する。そして、カソード触媒層において、水素分子が再び生成される(式(2))。なお、プロトンが電解質膜20中を伝導する際に、所定水量の水が、電気浸透水としてアノードANからカソードCAにプロトンと同伴して移動することが知られている。
すると、カソードCAから導出されるガスの流路に背圧弁、調整弁(図示せず)などを用いて流路内の圧力損失を増加させることによりカソードCAで生成された水素(H2)を圧縮することができる。なお、このとき、開閉弁4は閉止される。
アノード:H2(低圧)→2H++2e-・・・(1)
カソード:2H++2e-→H2(高圧)・・・(2)
このようにして、水素システム100において、電気化学式水素ポンプ10のアノードANおよびカソードCA間に電圧を印加することで、アノードANに供給される水素含有ガス中の水素を、電解質膜20を介してカソードCAに移動させ、かつ圧縮する動作が行われる。
カソードCAで圧縮された水素は、例えば、図示しない水素貯蔵器に一時的に貯蔵される。また、水素貯蔵器で貯蔵された水素は、適時に、水素需要体に供給される。水素需要体として、例えば、水素を用いて発電する燃料電池などを挙げることができる。
次に、電気化学式水素ポンプ10のアノードANおよびカソードCA間における電圧印加が停止される。これにより、上記の水素を圧縮する動作が停止する。
以上のとおり、本実施形態の水素システム100および水素システム100の運転方法は、電気化学式水素ポンプ10の水素圧縮動作を従来よりも高効率に維持し得る。
具体的には、第1流路1を介したアノードANへの水素含有ガスの供給開始と同時に、開閉弁4を開放するので、第2流路2を介して、第1流路1の分岐箇所BからカソードCAへの水素含有ガスの供給が適時に開始される。これにより、アノードガス圧およびカソードガス圧を速やかに同圧することができる。
ここで、電気化学式水素ポンプ10の水素圧縮動作中は、カソードガス圧が、アノードガス圧よりも高いにも拘わらず、アノードANへの水素含有ガスの供給開始においては、水素供給源の水素含有ガスの供給圧によって、アノードガス圧およびカソードガス圧の大小関係の逆転(アノードガス圧>カソードガス圧)が生じる可能性がある。すると、両者の差圧の逆転に起因する電解質膜20およびガス拡散層の損傷によって、MEAの接触抵抗が増加することで、電気化学式水素ポンプ10の水素圧縮動作の効率が低下する可能性がある。
しかし、本実施形態の水素システム100および水素システム100の運転方法は、アノードANへの水素含有ガスの供給開始と同時に、第2流路2に設けられた開閉弁4を開放させることにより、アノードガス圧およびカソードガス圧を同圧にできるので、電解質膜20およびガス拡散層の損傷を軽減することができる。
本実施形態の水素システム100は、上記の特徴以外は、第1実施形態の水素システム100と同様であってもよい。
(変形例)
図4は、第1実施形態の変形例の水素システムの一例を示す図である。
図4に示す例では、本変形例の水素システム100は、電気化学式水素ポンプ10と、第1流路1と、第2流路2と、開閉弁4と、圧力損失部6と、を備える。
ここで、電気化学式水素ポンプ10、第1流路1、第2流路2および開閉弁4は、第1実施形態と同様であるので詳細な説明を省略する。圧力損失部6は、第1実施形態の変形例と同様であるので詳細な説明を省略する。
本変形例の水素システム100は、第2流路2の圧力損失が第2流路2への分岐箇所Bよりも下流の第1流路1の圧力損失より小さい。例えば、圧力損失部6を用いて、第2流路2の圧力損失および第2流路2への分岐箇所Bよりも下流の第1流路1の圧力損失の大小関係を、上記のとおり設定することができる。なお、圧力損失部6を弁で構成する場合、この弁の圧力損失は、第2流路2に設けられた開閉弁4を開放させる場合の圧力損失よりも大きい。
以上により、本変形例の水素システム100は、第2流路2の圧力損失が第2流路2への分岐箇所Bよりも下流の第1流路1の圧力損失より小さいので、アノードANへの水素含有ガスの供給に先立って、カソードCAに水素含有ガスを供給することができる。これにより、アノードガス圧およびカソードガス圧の大小関係の逆転(アノードガス圧>カソードガス圧)が適切に抑制される。
本変形例の水素システム100は、上記の特徴以外は、第2実施形態の水素システム100と同様であってもよい。
なお、第1実施形態、第1実施形態の変形例、第2実施形態および第2実施形態の変形例は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせても構わない。
上記説明から、当業者にとっては、本開示の多くの改良および他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本開示の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更することができる。
本開示の一態様は、圧縮機の水素圧縮動作を従来よりも簡易に高効率に維持し得る水素システムおよび水素システムの運転方法に利用することができる。
1 :第1流路
2 :第2流路
3 :逆止弁
4 :開閉弁
6 :圧力損失部
10 :電気化学式水素ポンプ
20 :電解質膜
50 :制御器
100 :水素システム
AN :アノード
B :分岐箇所
CA :カソード

Claims (5)

  1. アノードおよびカソード間に電圧を印加することで、アノードに供給される水素含有ガス中の水素を、電解質膜を介してカソードに移動させ、かつ圧縮する圧縮機と、
    前記アノードに水素含有ガスを供給する第1流路と、
    前記第1流路から分岐して、前記カソードに水素含有ガスを供給する第2流路と、
    前記第2流路に設けられた開閉弁と、
    前記第1流路を介した前記アノードへの水素含有ガスの供給開始と同時に、前記開閉弁を開放させる制御器と、を備える水素システム。
  2. 前記第2流路への分岐箇所よりも下流の第1流路に設けられた、圧力損失部を備える請求項1に記載の水素システム。
  3. 前記第2流路の圧力損失が前記第2流路への分岐箇所よりも下流の第1流路の圧力損失より小さい請求項1または2に記載の水素システム。
  4. 前記第1流路を介して供給される水素含有ガスの供給圧は、0.1MPaG~20MPaGである請求項1-3のいずれか1項に記載の水素システム。
  5. アノードおよびカソード間に電圧を印加することで、アノードに供給される水素含有ガス中の水素を、電解質膜を介してカソードに移動させ、かつ圧縮するステップと、
    前記アノードへの水素含有ガスの供給開始と同時に、前記カソードに前記水素含有ガスの供給を開始させるステップと、を備える、水素システムの運転方法。
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