<電子素子実装用基板および電子装置の構成>
以下、本発明のいくつかの例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、電子素子実装用基板に電子素子が実装された構成を電子装置とする。また、電子素子実装用基板の上面側に位置するようにまたは電子装置を囲んで設けられた筐体または部材を有する構成を電子モジュールとする。電子素子実装用基板、電子装置および電子モジュールは、いずれの方向が上方若しくは下方とされてもよいが、便宜的に、直交座標系xyzを定義するとともに、z方向の正側を上方とする。
(第1の実施形態)
図1〜図2を参照して本発明の第1の実施形態における電子モジュール31、電子装置21、および電子素子実装用基板1について説明する。また、図3〜図9に要部Aの説明をする。本実施形態における電子装置21は、電子素子実装用基板1と電子素子10とを備えている。なお、本実施形態では図1では電子装置21を示しており、図2では電子モジュール31を示しており、図3〜図9では電子素子実装用基板1の内層の要部Aの拡大図を示している。また、図1〜図2では第1メタライズ層5をドットおよび点線で、図3〜図9では第1メタライズ層5をドットおよび実線で示している。
電子素子実装用基板1は、電子素子10が実装される基板2を有している。基板2は第1層2aと、第1層2aの下面に位置した第2層2bを有している。基板2は、第1層2aと第2層2bとの間に位置した第1メタライズ層5を有している。また、基板2の側面に凹部7を有している。凹部7は第1メタライズ層5の外縁と重なっている。基板2は凹部7に位置した第2メタライズ層6を有している。基板2に設けられた第1メタライズ層5は、第2メタライズ層6の周囲に複数の貫通孔4を有している。
電子素子実装用基板1は、電子素子10が実装される基板2を有している。また、基板2は第1層2aと、第1層2aの下面に位置した第2層2bを有している。図1に示す例の様に、電子素子実装用基板1は第1層2aと第2層2bの他にその他の層2cを有していてもよい。ここで、上述した電子素子10が実装される位置は、第1層2aまたは第2層2bの上面もしくは下面であってもよいし、第1層2aの上面または第2層2bの下面に設けられたその他の層2cの上面または下面に実装されていてもよい。
第1層2a、第2層2bおよびその他の層2cを構成する絶縁層の材料は例えば、電気絶縁性セラミックスまたは樹脂が使用される。樹脂としては例えば、熱可塑性樹脂等が使用される。
第1層2a、第2層2bおよびその他の層2cを形成する絶縁層の材料として使用される電気絶縁性セラミックスとしては例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体またはガラスセラミック焼結体等である。第1層2a、第2層2bおよびその他の層2cを形成する絶縁層
の材料として使用される樹脂としては例えば、熱可塑性の樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂またはフッ素系樹脂等である。フッ素系樹脂としては例えば、四フッ化エチレン樹脂等である。
第1層2a、第2層2bおよびその他の層2cから成る基板2は、図1に示すように6層の絶縁層から形成されていてもよいし、5層以下または7層以上の絶縁層から形成されていてもよい。絶縁層が5層以下の場合には、電子素子実装用基板1の薄型化を図ることができる。また、絶縁層が6層以上の場合には、電子素子実装用基板1の剛性を高めることができる。また、図1〜図2に示す例のように、各絶縁層に開口部を設け、設けた開口部の大きさを異ならせた上面に段差部を形成していてもよく、後述する電極パッド3が段差部に設けられていてもよい。
電子素子実装用基板1は例えば、最外周の1辺の大きさは0.3mm〜10cmであり、平面視において電子素子実装用基板1が四角形状あるとき、正方形であってもよいし長方形であってもよい。また例えば、電子素子実装用基板1の厚みは0.2mm以上である。
電子素子実装用基板1の基板2は第1メタライズ層5の外縁と重なるとともに側面に位置する凹部7を有している。ここで凹部7とは、図1〜図9に示す例のように略半円形上であってもよいし、後述する矩形状もしくは楕円形状、その他多角形状であってもよい。また、基板2は凹部7が複数の層の側面に連続して位置しているが、例えば上面側または/および下面側に大きさの異なる凹部7が設けられた層を有していてもよい。また、例えば上面側または/および下面側に凹部7を有さない層を有していてもよい。言い換えると、凹部7は断面視において、上面側または/および下面側に外側に突出した層を有していてもよい。
凹部7を構成する複数の層は断面視において外側に突出した層と内側に凹んでいる層とを有していてもよい。言い換えると、凹部7の側面(外縁)は、断面視で凸凹した形状をしていてもよい。このような構造により、半田などの接合材が凸凹に入り込み、接合強度を向上させることが可能となる。
凹部7の側面の上面側または/および下面側は断面視において外側に向かって傾斜していてもよい。凹部7の側面の上面側が断面視において外側に向かっていることで例えば外部回路と凹部7とを半田または樹脂からなる接合材で接合するときに接合材が上面側へ這い上がることを低減させることが可能となる。また、凹部7の側面の下面側が断面視において外側に向かっていることで、例えば外部回路と凹部7とを半田または樹脂からなる接合材で接合するときに、接合材が側面に乗るため接合強度を向上させることが可能となる。
電子素子実装用基板1の基板2は表面に例えば電子素子10と接続される電極パッド3を有していてもよい。さらに基板2の上面、側面または下面には、外部回路接続用電極が設けられていてもよい。外部回路接続用電極は、基板2と外部回路基板、あるいは電子装置21と外部回路基板とを電気的に接続していてもよい。第2メタライズ層6は例えば、基板2と外部回路基板、基板2と後述する筐体32、あるいは電子装置21と外部回路基板とを電気的に接続してもよい。
さらに基板2の上面または下面には、電極パッド3、第1メタライズ層5、第2メタライズ層6または/および外部回路接続用電極以外に、絶縁層間に形成される内部配線導体および内部配線導体同士を上下に接続する貫通導体が設けられていてもよい。これら内部配線導体または貫通導体は、基板2の表面に露出していてもよい。この内部配線導体また
は貫通導体によって、電極パッド3、第1メタライズ層5、第2メタライズ層6または/および外部回路接続用電極はそれぞれ電気的に接続されていてもよい。
電極パッド3、第1メタライズ層5、第2メタライズ層6、外部回路接続用電極、内部配線導体または/および貫通導体は、複数の絶縁層が電気絶縁性セラミックスから成る場合には、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)、銀(Ag)若しくは銅(Cu)またはこれらから選ばれる少なくとも1種以上の金属材料を含有する合金等から成る。また、銅からなっていてもよい。また、電極パッド3、第1メタライズ層5、第2メタライズ層6、外部回路接続用電極、内部配線導体または/および貫通導体は、複数の層が樹脂から成る場合には、銅(Cu)、金(Au)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)若しくはチタン(Ti)またはこれらから選ばれる少なくとも1種以上の金属材料を含有する合金等から成る。
電極パッド3、第1メタライズ層5、第2メタライズ層6、外部回路接続用電極、内部配線導体または/および貫通導体の露出表面に、めっき層が設けられてもよい。この構成によれば、外部回路接続用の電極、導体層および貫通導体の露出表面を保護して酸化を抑制できる。また、この構成によれば、電極パッド3と電子素子10とをワイヤボンディング等の電子素子接続材13を介して良好に電気的接続することができる。めっき層は、例えば、厚さ0.5μm〜10μmのNiめっき層を被着させるか、またはこのNiめっき層および厚さ0.5μm〜3μmの金(Au)めっき層を順次被着させてもよい。
電子素子実装用基板1の第1メタライズ層5、第2メタライズ層6とは、異なる金属材料を含有していてもよいし、同一の金属材料を含有していてもよい。
電子素子実装用基板1の基板2は、基板2は、第1層2aと第2層2bとの間に位置した第1メタライズ層5を有している。また、基板2は凹部7に位置した第2メタライズ層6を有している。ここで、第2メタライズ層6は凹部7に位置しているとは、凹部7の側面に設けられたメタライズ層と、凹部7の周辺の第1層2aの表裏面または/および第2層2bの表裏面に位置したメタライズ層の両方を含んだ状態を指していてもよいし、凹部7の側面に設けられたメタライズ層のみを指していてもよい。
電子素子実装用基板1の凹部7は第1メタライズ層5の外縁と重なっている。このとき、第1メタライズ層5の端部の一部は、凹部7の表面に位置した第2メタライズ層6に覆われていてもよい。
本実施形態における電子素子実装用基板1では、第2メタライズ層6の周辺の第1メタライズ層5に複数の貫通孔4を有している。これにより、仮に電子素子実装用基板1を加熱し、第1メタライズ層5に使用されている金属体の一部が融解し、第1メタライズ層5上を移動した場合であっても、貫通孔4に金属体が流れ込み第2メタライズ層6の周囲にとどまらせることが可能となる。よって、金属体の偏りが発生することを低減させることが可能となり、第2メタライズ層6周囲の電気抵抗が高くなることを低減させることが可能となる。
また、本実施形態における電子素子実装用基板1では、第2メタライズ層6の周辺の第1メタライズ層5に複数の貫通孔4を有している。これにより、仮に電子素子実装用基板1を加熱し、第1メタライズ層5に使用されている金属体の一部が融解し、第1メタライズ層5上を移動した場合であっても、貫通孔4に金属体が流れ込み第2メタライズ層6の周囲にとどまらせることが可能となる。
図1〜図2に示す例では、基板2の外周すべてにおいて等間隔に凹部7および第2メタ
ライズ層6を有しているが、凹部7および第2メタライズ層6は1辺のみに設けられていてもよいし、1辺の1部に複数個設けられていてもよい。いずれの場合においても、本発明の実施形態の特徴を有することで本発明と同様の効果を得ることが可能となる。
第2メタライズ層6は凹部7の側壁を全体的に覆っていてもよいし一部のみを覆っていてもよい。なお、第2メタライズ層6は凹部7の側壁を全体的に覆っていることで、例えば後述する筐体32の一部または/および外部回路基板と第2メタライズ層6とを半田などの接合材で接合する場合において、接合強度の向上および接合面の抵抗を低減させることが可能となる。また、第2メタライズ層6は凹部7の側壁を一部のみを覆っていることで、例えば後述する筐体32の一部または/および外部回路基板と第2メタライズ層6とを半田などの接合材で接合する場合において、接合材の量および広がりをコントロールすることが可能となる。なおこのとき、第2メタライズ層6は第1メタライズ層5を覆う程度の大きさであればよい。
図3〜図5に本実施形態およびその他の実施形態にかかる内層の要部Aの拡大図を示す。
貫通孔4は図3〜図4に示す例では円状であるが、後述する図5に示す例のように矩形状であってもよいし、またはその他多角形状/楕円形状であってもよい。つまり、貫通孔4はそこに第1メタライズ層5から融解した金属体が留まれる形であればよい。
図3(a)に示す例では、貫通孔4は複数個設けられており、第2メタライズ層6の周囲に規則正しく並んで設けられている。図3(a)に示す例のように複数の貫通孔4は規則正しく並んでいてもよいし、不規則に並んでいてもよい。また、貫通孔4は1つだけであってもよいし、図3に示すように複数個設けられていてもよい。複数個設けられていることで、貫通孔4に流れ込む金属体をより多くし、より電気抵抗が高くなることを低減させることが可能となる。
図3(b)および図4に示す例では、複数の貫通孔4は第2メタライズ層6を囲むように設けられている。このような構成であることで、第2メタライズ層6の全周囲において本実施形態の効果を奏することができる。つまり、第1メタライズ層5に使用されている金属体の一部が融解し、第1メタライズ層5上を移動した場合においても、第2メタライズ層6の周囲において、融解した金属体をとどまらせることが可能となるため、電気抵抗が高くなることを低減させることが可能となる。
また、このような構成の場合、貫通孔4が基板2の外辺近傍まで設けられることになる。よって、電子素子実装用基板1を加熱し、第1メタライズ層5に使用されている金属体の一部が融解し、第1メタライズ層5上を移動した場合であっても、貫通孔4に金属体が流れ込み第2メタライズ層6の周囲にとどまらせることが可能となる。よって、側面に金属体が露出することを低減させることが可能となる。
なお、複数の貫通孔4は図3(b)に示す例のように矩形状に囲んでいてもよい。また、図4に示す例のように円弧状に囲っていてもよい。
図5(a)に示す例のように、貫通孔4が複数列または/および行設けられているとき、貫通孔4は隣に位置する貫通孔4の列または/および行の貫通孔4同士の間に位置するように設けられていてもよい。言い換えると、複数の貫通孔4は隣の列または/および行の貫通孔4とピッチをずらして設けられていてもよい。これにより、1メタライズ層5に使用されている金属体の一部が融解し、第1メタライズ層5上を移動した場合においても、第2メタライズ層6の周囲において、第1メタライズ5が連なった部分が短く、融解した金属体が移動したとしても貫通孔4に留まりやすくなる。よって、本発明の効果を向上させることが可能となる。
図5(b)に示す例のように、一つに連なった貫通孔4が第2メタライズ層6の周囲を囲っていてもよい。このような構造であることで、電子素子実装用基板1を加熱し、第1メタライズ層5に使用されている金属体の一部が融解し、第1メタライズ層5上を移動した場合であっても、貫通孔4に金属体が流れ込み第2メタライズ層6の周囲にとどまらせることが可能となる。
また、図5(a)および図5(b)に示す例のように貫通孔4はそれぞれ大きさが異なっていてもよい。また、この時、第2のメタライズ層6から離れるにしたがって複数の貫通孔4はその面積が小さくなっていてもよい。このような構成により、電子素子実装用基板1を加熱し、第1メタライズ層5に使用されている金属体の一部が融解し、第1メタライズ層5上を移動した場合に、第2メタライズ層6の周囲により多くの金属体をとどまらせることが可能となる。よって、第2メタライズ層6の周囲の電気抵抗を低減させることが可能となる。なお、この時例えば1つの貫通孔4は上面視において第2メタライズ層6から基板2の中心方向に向かって小さくなっていてもよい。言い換えると、1つの貫通孔4は基板2の中心から第2メタライズ層6の方向に扇形またはそれに類似するような形状で広がって(大きくなって)いてもよい。このような場合においても、のような構成により、電子素子実装用基板1を加熱し、第1メタライズ層5に使用されている金属体の一部が融解し、第1メタライズ層5上を移動した場合に、第2メタライズ層6の周囲により多くの金属体をとどまらせることが可能となる。よって、第2メタライズ層6の周囲の電気抵抗を低減させることが可能となる。
図6に本実施形態およびその他の実施形態にかかる内層の要部Aおよび要部Aの断面図の拡大図を示す。
図6に示す例では、複数の貫通孔4は断面視において、空間となっている。このような構成によって貫通孔4の空間に第1メタライズ層5が融解して移動した金属体が留まることで本効果を奏することが可能となる。
<電子装置の構成>
図1に電子装置21の例を示す。電子装置21は、電子素子実装用基板1と、電子素子実装用基板1の上面または下面に実装された電子素子10を備えている。
電子装置21は、電子素子実装用基板1と、電子素子実装用基板1に実装された電子素子10を有している。電子素子10の一例としては、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)、CCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子、またはLED(Light Emitting Diode)などの発光素子、またはLSI(Large Scale Integrated Circuit)等の集積回路等である。なお、電子素子10は、接着材を介して、基板2の上面に配置されていてもよい。この接着材は、例えば、銀エポキシまたは熱硬化性樹脂等が使用される。
電子装置21は、電子素子10を覆うとともに、電子素子実装用基板1の上面に接合された蓋体12を有していてもよい。ここで、電子素子実装用基板1は基板2の枠状部分の上面に蓋体12を接続してもよいし、蓋体12を支え、基板2の上面であって電子素子10を取り囲むように設けられた枠状体を設けてもよい。また、枠状体と基板2とは同じ材料から構成されていてもよいし、別の材料で構成されていてもよい。
枠状体と基板2と、が同じ材料から成る場合、基板2は枠状体とは開口部を設けるなど
して最上層の絶縁層と一体化するように作られていてもよい。また、別に設ける、ろう材等でそれぞれ接合してもよい。
また、基板2と枠状体とが別の材料から成る例として枠状体が蓋体12と基板2とを接合する蓋体接合材14と同じ材料から成る場合がある。このとき、蓋体接合材14を厚く設けることで、接着の効果と枠状体(蓋体12を支える部材)としての効果を併せ持つことが可能となる。このときの蓋体接合材14は例えば熱硬化性樹脂または低融点ガラスまたは金属成分から成るろう材等が挙げられる。また、枠状体と蓋体12とが同じ材料から成る場合もあり、このときは枠状体と蓋体12は同一個体として構成されていてもよい。
蓋体12は、例えば電子素子10がCMOS、CCD等の撮像素子、またはLEDなどの発光素子である場合ガラス材料等の透明度の高い部材が用いられる。また蓋体12は例えば、電子素子10が集積回路等であるとき、金属製材料、セラミック材料または有機材料が用いられていてもよい。
蓋体12は、蓋体接合材14を介して電子素子実装用基板1と接合している。蓋体接合材14を構成する材料として例えば、熱硬化性樹脂または低融点ガラスまたは金属成分から成るろう材等がある。
電子装置21が図1に示すような電子素子実装用基板1を有することで、電気特性を向上させ、ノイズの発生を低減させることができる。その結果、誤作動が発生することを低減させることが可能となる。
<電子モジュールの構成>
図2に電子素子実装用基板1を用いた電子モジュール31の一例を示す。電子モジュール31は、電子装置21と電子装置21の上面または電子装置21を覆うように設けられた筐体32とを有している。なお、以下に示す例では説明のため撮像モジュールを例に説明する。
電子モジュール31は筐体32(レンズホルダー)を有していてもよい。筐体32を有することでより気密性の向上または外部からの応力が直接電子装置21に加えられることを低減することが可能となる。筐体32は、例えば樹脂または金属材料等から成る。また、筐体32がレンズホルダーであるとき筐体32は、樹脂、液体、ガラスまたは水晶等からなるレンズが1個以上組み込まれていてもよい。また、筐体32は、上下左右の駆動を行う駆動装置等が付いていて、電子素子実装用基板1の第2メタライズ層6またはその他のパッド等と半田などの接合材を介して電気的に接続されていてもよい。
なお、筐体32は上面視において4方向の少なくとも一つの辺において開口部が設けられていてもよい。そして、筐体32の開口部から外部回路基板が挿入され電子素子実装用基板1と電気的に接続していてもよい。また筐体32の開口部は、外部回路基板が電子素子実装用基板1と電気的に接続された後、樹脂等の封止材等で開口部の隙間を閉じて電子モジュール31の内部が気密されていてもよい。
電子モジュール31が図2に示すような電子素子実装用基板1および電子装置21を有することで、電気特性を向上させノイズの発生を低減させることができる。この結果、誤作動が発生することを低減させることが可能となる。
<電子素子実装用基板および電子装置の製造方法>
次に、本実施形態の電子素子実装用基板1および電子装置21の製造方法の一例について説明する。なお、下記で示す製造方法の一例は、多数個取り配線基板を用いた基板2の
製造方法である。
(1)まず、基板2を構成するセラミックグリーンシートを形成する。例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)質焼結体である基板2を得る場合には、Al2O3の粉末に焼結助材としてシリカ(SiO2)、マグネシア(MgO)またはカルシア(CaO)等の粉末を添加し、さらに適当なバインダー、溶剤および可塑剤を添加し、次にこれらの混合物を混錬してスラリー状となす。その後、ドクターブレード法またはカレンダーロール法等の成形方法によって多数個取り用のセラミックグリーンシートを得る。
なお、基板2が、例えば樹脂から成る場合は、所定の形状に成形できるような金型を用いて、トランスファーモールド法またはインジェクションモールド法等で成形することによって基板2を形成することができる。また、基板2は、例えばガラスエポキシ樹脂のように、ガラス繊維から成る基材に樹脂を含浸させたものであってもよい。この場合には、ガラス繊維から成る基材にエポキシ樹脂の前駆体を含浸させ、このエポキシ樹脂前駆体を所定の温度で熱硬化させることによって基板2を形成できる。
(2)次に、スクリーン印刷法等によって、上記(1)の工程で得られたセラミックグリーンシートに第1メタライズ層5、電極パッド3、外部回路接続用電極、内部配線導体および貫通導体となる部分に、金属ペーストを塗布または充填する。この金属ペーストは、前述した金属材料から成る金属粉末に適当な溶剤およびバインダーを加えて混練することによって、適度な粘度に調整して作製される。なお、金属ペーストは、基板2との接合強度を高めるために、ガラスまたはセラミックスを含んでいても構わない。なお、このとき各層に後述する手法で凹部7を設けその表面にスクリーン印刷法等を用いて金属ペーストを塗布または充填することで、第2メタライズ層6を作製することが可能となる。
また、基板2が樹脂から成る場合には、第1メタライズ層5、電極パッド3、外部回路接続用電極、内部配線導体および貫通導体は、スパッタ法、蒸着法等によって作製することができる。また、表面に金属膜を設けた後に、めっき法を用いて作製してもよい。
この工程において、例えば第1メタライズ層5をスクリーン印刷法によって作成するとき、貫通孔4に当たる部分を印刷しないことで貫通孔4を作成することが可能となる。
(3)次に、前述のグリーンシートを金型等によって加工する。ここで基板2が凹部またはノッチ等を有する場合、基板2となるグリーンシートの所定の箇所に、凹部(貫通孔)またはノッチ等を形成してもよい。また、この時、金型またはレーザー加工等によって、凹部7を設け、前述した手法で第2メタライズ層6を作製してもよい。
(4)次に、各絶縁層となるセラミックグリーンシートを積層して加圧する。このことにより各絶縁層となるグリーンシートを積層し、基板2(電子素子実装用基板1)となるセラミックグリーンシート積層体を作製してもよい。また、この時、積層したセラミックグリーンシートに金型またはレーザー加工等によって、凹部7を設け、前述した手法で第2メタライズ層6を作製してもよい。
(5)次に、このセラミックグリーンシート積層体を約1500℃〜1800℃の温度で焼成して、基板2(電子素子実装用基板1)が複数配列された多数個取り配線基板を得る。なお、この工程によって、前述した金属ペーストは、基板2(電子素子実装用基板1)となるセラミックグリーンシートと同時に焼成され、第1メタライズ層5、第2メタライズ層6、電極パッド3、外部回路接続用電極、内部配線導体および貫通導体となる。
(6)次に、焼成して得られた多数個取り配線基板を複数の基板2(電子素子実装用基
板1)に分断する。この分断においては、基板2(電子素子実装用基板1)の外縁となる箇所に沿って多数個取り配線基板に分割溝を形成しておき、この分割溝に沿って破断させて分割する方法またはスライシング法等により基板2(電子素子実装用基板1)の外縁となる箇所に沿って切断する方法等を用いることができる。なお、分割溝は、焼成後にスライシング装置により多数個取り配線基板の厚みより小さく切り込むことによって形成することができるが、多数個取り配線基板用のセラミックグリーンシート積層体にカッター刃を押し当てたり、スライシング装置によりセラミックグリーンシート積層体の厚みより小さく切り込んだりすることによって形成してもよい。なお、上述した多数個取り配線基板を複数の基板2(電子素子実装用基板1)に分割する前もしくは分割した後に、それぞれ電解または無電解めっき法を用いて、電極パッド3、第2メタライズ層6、外部接続用パッドおよび露出した配線導体にめっきを被着させてもよい。
(7)次に、電子素子実装用基板1の上面または下面に電子素子10を実装する。電子素子10はワイヤボンディング等の電子素子接続材13で電子素子実装用基板1と電気的に接合させる。またこのとき、電子素子10または電子素子実装用基板1に接着材等を設け、電子素子実装用基板1に固定しても構わない。また、電子素子10を電子素子実装用基板1に実装した後、蓋体12を蓋体接合材14で接合してもよい。
以上(1)〜(7)の工程のようにして電子素子実装用基板1を作製し、電子素子10を実装することで、電子装置21を作製することができる。なお、上記(1)〜(7)の工程順番は指定されない。
次に、本発明の第1の実施形態における他の実施形態による電子素子実装用基板1について、図7〜図9を参照しつつ説明する。なお、図7〜図9では第1メタライズ層5をドットおよび実線で、導体5aを斜線で示している。
電子素子実装用基板1の第1メタライズ層5は、銅を含有していてもよい。また、銅から成っていてもよい。銅を含有していることで、第1メタライズ層5の電気抵抗を低減させることが可能となる。また、基板2が電気絶縁性セラミックス等からなるとき電子素子実装用基板1を作製する工程においては高温での焼成工程が含まれる。そのため、融点が比較的低い銅は融解しやすく、第1メタライズ層5上を移動する場合があるが、本実施形態であることで銅が移動したとしても第2メタライズ層6の周囲にとどまらせることが可能となるため、電気抵抗が高くなることを低減させることが可能となる。
図7〜図9で示す例では、電子素子実装用基板1の第1メタライズ層5に設けられた貫通孔4内に、銅を含有した導体5aが位置している。銅を含有した導体5aが第1メタライズ層5に設けられた貫通孔4内に位置していることで、第2メタライズ層6の周囲の電気抵抗が高くなることを低減させることが可能となる。なお、この時、第1メタライズ層5には銅が含有していてもよいし、含有していなくてもよい。第1メタライズ層5に銅が含有していると上述したように第1メタライズ層5に設けられた貫通孔4内に銅を含んだ第1メタライズ層5が融解し、流れ込み、銅を含有した導体5aとして位置させることができる。
また、第1メタライズ層5に設けられた貫通孔4内はあらかじめ銅を含んだメタライズにしていてもよい。このような構成であることで、第1メタライズ層5が融解した場合において、メタライズを塗布していることで金属体が流れこみやすくなり、第2メタライズ層6の周囲の電気抵抗が高くなることを低減させることが可能となる。また、第1メタライズ層5に設けた貫通孔4にあらかじめ塗布している銅を含有したメタライズ(導体5a)の量を調整することで、第1メタライズ層5が溶融し、貫通孔4に流れ込む金属体の量を調整することができる。また、第1メタライズ層5に銅を含有していない時は、あらかじめ銅を含んだメタライズを貫通孔4内に塗布しておくことで、設けることが可能となり、第2メタライズ層6の周囲の電気抵抗が高くなることを低減させることが可能となる。なお、この時第1メタライズ層5から融解した金属体が貫通孔4上にとどまることができるように貫通孔4にあらかじめ塗布しておく銅からなるメタライズは第1メタライズ層5よりも薄く設けていてもよい。
図7に示す例のように、貫通孔4内に位置する銅を含有した導体5の厚みは第1メタライズ層5の厚みと同程もしくはそれ以上に大きくてもよい。このような構成によることで、第2メタライズ層6の周囲の電気抵抗が高くなることをより低減させることが可能となる。
図8に示す例のように貫通孔4内に位置する銅を含有した導体5の厚みは第1メタライズ層5の厚みよりも小さくてもよい。また、図9に示す例のように貫通孔4内に位置する銅を含有した導体5aは貫通孔4の側面に沿うように設けられていてもよい。このような構造つまり、貫通孔4に空間を残していることで、第1メタライズ層5がさらに融解し、金属体が移動したとしても貫通孔4にとどまらせることが可能となる。言い換えると、例えば電子素子実装用基板1を作製後の電子装置21を作成するための工程の加熱の工程または、電子モジュールの作成の工程においても本効果を奏することができる。よって、第2メタライズ層6の周囲の電気抵抗が高くなることを低減させることが可能となる。
貫通孔4が複数個あるとき、導体5aはすべての貫通孔4内に位置していてもよいし、一部だけに設けられていてもよい。すべてに位置していることで、第2メタライズ層6の周囲の第1メタライズ層5の電気抵抗が高くなることをより低減させることが可能となる。また、一部だけに位置していることで、第1メタライズ層5がさらに融解し、金属体が移動したとしても貫通孔4にとどまらせることが可能となる。
導体5aは銅を含んでいるがそのほかの金属材料も含有していてもよいし、銅の割合が非常高くてもよい。また、導体5aと第1メタライズ層5とが同じ材料からなっていてもよい。
図7〜図9に示す例のような電子素子実装用基板1を作製する方法としては基本的には上述した第1実施形態に記載の工程と同様である。製造工程において、第1メタライズ層5を作成する工程で、貫通孔4に当たる位置に導体5aを別途印刷または塗布することで作製することが可能となる。または、第1メタライズ層5に導体5aを含有させ、焼成等の加熱の工程により、貫通孔4へ金属体を移動させ導体5aを貫通孔4内に位置させる等しても作製することが可能となる。
(第2の実施形態)
図10〜図11を参照して本発明の第2の実施形態における電子素子実装用基板1の要部Aの説明をする。本実施形態における電子装置21は、電子素子実装用基板1と電子素子10とを備えている。なお、本実施形態では図10〜図15に電子素子実装用基板1の内層の要部Aの拡大図を示している。また、図10〜図15では第1メタライズ層5をドットおよび実線で示している。
電子素子実装用基板1は、電子素子10が実装される基板2を有している。基板2は第1層2aと、第1層2aの下面に位置した第2層2bを有している。基板2は、第1層2aと第2層2bとの間に位置した第1メタライズ層5を有している。また、基板2の側面に凹部7を有している。凹部7は第1メタライズ層5の外縁と重なっている。基板2は凹部7に位置した第2メタライズ層6を有している。基板2の内部は、第2メタライズ層6の周囲に複数の貫通孔4を有している。
ここで、電子装置21の構造、基本的な構造並びに電子素子実装用基板1を構成する第1層2a、第2層2b、その他の層2c、電極パッド3、第1メタライズ層5、第2メタライズ層6と、凹部7およびその他、基板2の基本的な材料/条件/構成は第1の実施形態と類似であるため説明は省略する。以下、第2の実施形態における特徴部分のみ説明をする。
本実施形態における電子素子実装用基板1では、第2メタライズ層6の周辺の基板2の内部に貫通孔4を有している。これにより、仮に電子素子実装用基板1を加熱し、第1メタライズ層5に使用されている金属体の一部が融解し、第1メタライズ層5上を移動した場合であっても、貫通孔4の側面および内部に金属体が流れ込み第2メタライズ層6の周囲にとどまらせることが可能となる。よって、金属体の偏りが発生することを低減させることが可能となり、第2メタライズ層6周囲の電気抵抗が高くなることを低減させることが可能となる。
図10〜図12に示す例では、基板2の外周すべてにおいて等間隔に凹部7および第2メタライズ層6を有していてもよいし、凹部7および第2メタライズ層6は1辺のみに設けられている、または1辺の1部に複数個設けられていてもよい。いずれの場合においても、本発明の実施形態の特徴を有することで本発明と同様の効果を得ることが可能となる。
第2メタライズ層6は凹部7の側壁を全体的に覆っていてもよいし一部のみを覆っていてもよい。なお、第2メタライズ層6は凹部7の側壁を全体的に覆っていることで、例えば後述する筐体32の一部または/および外部回路基板と第2メタライズ層6とを半田などの接合材で接合する場合において、接合強度の向上および接合面の抵抗を低減させることが可能となる。また、第2メタライズ層6は凹部7の側壁を一部のみを覆っていることで、例えば後述する筐体32の一部または/および外部回路基板と第2メタライズ層6とを半田などの接合材で接合する場合において、接合材の量および広がりをコントロールすることが可能となる。なおこのとき、第2メタライズ層6は第1メタライズ層5を覆う程度の大きさであればよい。
貫通孔4は図10および図11に示す例では上面視において円状であるが、矩形状であってもよいし、またはその他多角形状/楕円形状であってもよい。つまり、貫通孔4はそこに第1メタライズ層5から融解した金属体が留まれる形であればよい。また、断面視において貫通孔4の側面は傾斜していてもよいし、各層毎に大きさが異なっていてもよい。
図10に示す例では貫通孔4は複数の第1層2aおよび第2層2bを貫通しているが、図11に示す例のように貫通孔4は1層のみを貫通していてもよい。また断面視において層の途中までの深さであってもよい。図10に示す例のように貫通孔4が複数の第1層2aおよび第2層2bを貫通していることで、複数の層に貫通孔4を設けたい場合、その金型等を兼用することが可能となる。また、図11に示す例のように貫通孔4は1層のみを貫通している、または断面視において層の途中までの深さであることで、基板2の外部からの応力に対する強度が低くなりすぎることを低減させることが可能となる。
なお、基板2の内部に貫通孔4が設けられている例については図10〜図11に記載の内容にとどまらない。例えば、複数の貫通孔4は図3〜図5に示す例のように位置している状態と組み合わせることで、第1実施形態に記載のようにそれぞれの効果をさらに得ることが可能となる。
<電子素子実装用基板および電子装置の製造方法>
次に、本実施形態の電子素子実装用基板1および電子装置21の製造方法の一例につい
て説明する。本実施形態の電子素子実装用基板1および電子装置21の製造方法は基本的には第1の実施形態に記載の製造方法と類似である。ここでは、基板2の内部に設けられた貫通孔4の形成方法ついて説明する。
基板2の内部に設けられた貫通孔4を形成する方法としては例えば第1の実施形態の製造方法と同様の手法で用意したセラミックグリーンシートを金型またはレーザー等によって所定の位置に貫通孔4を形成する。このことで、本実施形態における基板2の内部に設けられた貫通孔4を設けることが可能となる。
次に、本発明の第2の実施形態における他の実施形態による電子素子実装用基板1について、図12〜図15を参照しつつ説明する。なお、図12〜図15では第1メタライズ層5をドットおよび実線で、導体5aを斜線で示している。
電子素子実装用基板1の第1メタライズ層5は、銅を含有していてもよい。銅を含有していることで、第1メタライズ層5の電気抵抗をより低下させることが可能となる。また、基板2が電気絶縁性セラミックス等からなるとき電子素子実装用基板1を作製する工程においては高温での焼成工程が含まれる。そのため、融点が比較的低い銅は融解しやすく、第1メタライズ層5上を移動する場合があるが、本実施形態であることで銅が移動したとしても基板2の内部に設けられた貫通孔4にとどまらせることが可能となるため、電気抵抗が高くなることを低減させることが可能となる。
図12〜図15で示す例では、電子素子実装用基板1の基板2の内部に設けられた貫通孔4内に、銅を含有した導体5aが位置している。銅を含有した導体5aが基板2の内部に設けられた貫通孔4内に位置していることで、より第2メタライズ層6の周囲の電気抵抗が高くなることを低減させることが可能となる。なお、この時第1メタライズ層5には銅が含有していてもよいし、含有していなくてもよい。第1メタライズ層5に銅が含有していると上述したように貫通孔4内に銅を含んだ融解した第1メタライズ層5を位置させることができる。なおのとき、貫通孔4内にあらかじめ銅を含んだメタライズを基板2の内部に設けられた貫通孔4の側壁に塗布していてもよい。これにより、貫通孔4に第1メタライズ層5から融解した金属体がより貫通孔4内に広がりやすくなる。また、前述した側壁の銅のメタライズ量を調整することで、第1メタライズ層5から融解した金属体が基板2内部に設けられた貫通孔4に入り込む量を調整することができる。また、第1メタライズ層5に銅を含有していない時は、あらかじめ銅を含んだメタライズを基板2の内部に設けられた貫通孔4の内部または側壁に塗布しておくことで、設けることが可能となる。これにより、第2メタライズ層6の周囲の電気抵抗が高くなることを低減させることが可能となる。なお、この時第1メタライズ層5から融解した金属体が貫通孔4上にとどまることができるように基板2の内部に設けられた貫通孔4にあらかじめ塗布しておく銅からなるメタライズは貫通孔4の側壁だけに設けていてもよい。
図12に示す例のように、基板2の内部に設けられた貫通孔4内に位置する銅を含有した導体5は断面視において貫通孔4の途中まで設けられていてもよい。このような構成によっても、第1メタライズ層5が加熱等で融解し、金属体が移動したとしても貫通孔4にとどまらせることが可能となる。よって、第2メタライズ層6の周囲の第1メタライズ層5の電気抵抗が高くなることをより低減させることが可能となる。
図13および図14に示す例のように、基板2の内部に設けられた貫通孔4内に位置する銅を含有した導体5は断面視において貫通孔4の上面から下面まで設けられていてもよい。このような構成によっても、第1メタライズ層5が加熱等で融解し、金属体が移動したとしても貫通孔4にとどまらせることが可能となる。よって、第2メタライズ層6の周囲の第1メタライズ層5の電気抵抗が高くなることをより低減させることが可能となる。
なお、図13に示す例では、銅を含有した導体5が断面視において貫通孔4の上面から下面までの側壁のみに設けられている図である。また、図14に示す例では、銅を含有した導体5が断面視において貫通孔4の上面から下面までの側壁と下の層に設けられた第1メタライズ層5の上面であって貫通孔4の底面に当たる部分にまで設けられている。どちらの場合においても、本効果を奏することができるとともに、図14に示す例のほうが相対的に銅を含有した導体5aの量が多くなるため電気抵抗をより低減させることが可能となる。
図15に示す例のように、基板2の内部に設けられた貫通孔4内に位置する銅を含有した導体5は断面視において貫通孔4をすべて満たしていてもよい。このような構成によっても、第1メタライズ層5が加熱等で融解し、金属体が移動したとしても貫通孔4にとどまらせることが可能となる。また、貫通孔2内に位置する銅を含有した導体5が貫通孔4を満たしていることでよりその近辺の電気抵抗を低減させることが可能となる。これらのことから、第2メタライズ層6の周囲の第1メタライズ層5の電気抵抗が高くなることをより低減させることが可能となる。
図13〜図15に示す例のように、基板2の内部に設けられた貫通孔4内に位置する銅を含有した導体5は下方に位置する第2層2bの表面に設けられた下層の第1メタライズ層5と電気的に導通していてもよい。このような構成によって、第1メタライズ層5と下層に設けられた第1メタライズ層5とが同一の電位である場合貫通孔4およびその内側に設けられた銅を含有した導体5aによって、並列回路を構成することが可能となる。よって、第1メタライズ層5の抵抗を基板2全体で低減させることが可能となるため、第2メタライズ層6の周囲の第1メタライズ層5の電気抵抗が高くなることをより低減させることが可能となる。
基板2の内部に設けられた貫通孔4が複数個あるとき、導体5aはすべての貫通孔4内に位置していてもよいし、一部だけに設けられていてもよい。すべてに位置していることで、第2メタライズ層6の周囲の第1メタライズ層5の電気抵抗が高くなることをより低減させることが可能となる。また、一部だけに位置していることで、第1メタライズ層5がさらに融解し、金属体が移動したとしても貫通孔4にとどまらせることが可能となる。
導体5aは銅を含んでいるがそのほかの金属材料も含有していてもよいし、銅の割合が高くてもよい。また、導体5aと第1メタライズ層5とが同じ材料からなっていてもよいし、銅を含有した導体5aのほうが銅の割合が高くてもよい。
図12〜図15に示す例のような電子素子実装用基板1を作製する方法としては基本的には上述した第2実施形態に記載の工程と同様である。製造工程において、第1メタライズ層5を作成する工程で、貫通孔4に当たる位置に導体5aを別途印刷または塗布することで作製することが可能となる。または、第1メタライズ層5に導体5aを含有させ、焼成等の加熱の工程により、基板2の内部に設けられた貫通孔4へ金属体を移動させ導体5aを貫通孔4内に位置させる等しても作製することが可能となる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態による電子素子実装用基板1について、図16〜図18を参照しつつ説明する。なお、図16および図17は本実施形態における電子素子実装用基板1、電子装置および電子モジュールの形状を示しており、図18は要部Bの内層を示す。本実施形態における電子素子実装用基板1において、第1の実施形態の電子素子実装用基板1と異なる点は、基板2が基板2の上面から下面にかけて開口した開口部2dを有する(電子素子10の実装方法が異なる)点、凹部7が基板2の上面から下面まで連続していない点である。なお図16および図17では第1メタライズ層5をドットおよび破線
で示している。また、図18では第1メタライズ層5をドットおよび実線で示している。
図16〜図17に示す例では、電子素子実装用基板1の基板2は、上面から下面にかけて開口した開口部2dを有する。また、電子装置21に実装された電子素子10は上面視において基板2に設けられた開口部2dと重なる位置に位置するように設けられている。つまり、開口部2dは、上面視において電子素子10と同程度の大きさもしくは電子素子10よりもわずかに小さくてよい。このような構成であっても、電子素子実装用基板1の第2メタライズ層6周辺に貫通孔4を有していることで、貫通孔4の側面および内部に第1メタライズ層5から融解し移動した金属体が流れ込み第2メタライズ層6の周囲にとどまらせることが可能となる。よって、金属体の偏りが発生することを低減させることが可能となり、第2メタライズ層6周囲の電気抵抗が高くなることを低減させることが可能となる。
また、図17に示す例のような構成により、例えば電子素子10が撮像素子である場合において、基板2の下に撮像素子が実装され、レンズと撮像素子との距離を確保することができるため、より電子モジュール31の低背化が可能となる。また、電子素子実装用基板1は表面に電子部品を有していてもよく、図16および図17に示す構造においてはより多くの電子部品を実装することが可能となるため、電子装置の更なる小型化が可能となる。なお、開口部2dは基板2の中央部に設けられていてもよいし、基板2の中央部から偏心して設けられていてもよい。
電子部品は例えばチップコンデンサ、インダクタ、抵抗等の受動部品、またはOIS(Optical Image Stabilization)、信号処理回路、ジャイロセンサー等の能動部品などである。これら電子部品はハンダ、導電性樹脂等によって接合材により、基板2に設けられたパッドに接続されている。なお、これら電子部品は基板2に設けられた、上述した第1メタライズ層5、第2メタライズ層6、内部配線導体および貫通導体等の導体または貫通孔4に設けられた導体5aを介して電子素子10と接続していても構わない。
なお図16に示す例の様な実装の場合、電子素子10は金バンプまたは半田ボール等の電子素子接続材13で電子素子実装用基板1に接続された後、封止材で接続を強化し、さらに封止されていてもよい。また、例えばACF(Anisotropic Conductive Film)等の
電子素子接続材13で接続されていてもよい。
図16に示す例では凹部7は上面視において略矩形状である。このような構造であることでも本願の効果を奏する。さらに、例えば図17に示す例のように凹部7が筐体32の足部をはめ込む用途に使用される場合などにおいては、筐体32の足部を大きく作成しやすく、また安定性を向上させることが可能となる。また、凹部7は上面視において略矩形状であることで、凹部7を幅広く儲けたい場合においても、略円形状であるときと比較して基板2の中央部側へ凹部7が突出することを低減させることが可能となる。
図17に本実施形態の電子モジュール31を示している。図17に示す例のように、レンズ筐体32は基板2の上面に設けられており、凹部7(および第2メタライズ層6)の部分は筐体32の一部が入り込んでいてもよい。このような構成において、電子素子実装用基板1の第2メタライズ層6周辺に貫通孔4を有していることで、貫通孔4の側面および内部に第メタライズ層5から融解し移動した金属体が流れ込み第2メタライズ層6の周囲にとどまらせることが可能となる。よって、金属体の偏りが発生することを低減させることが可能となり、第2メタライズ層6周囲の電気抵抗が高くなることを低減させることが可能となる。
図17に示す例では、凹部7の下面であってその下の層が飛び出ている個所において第
2メタライズ層6は外側へ延出するように設けられている。これにより、筐体32との接続を筐体32の端部でも接合できるため、接合強度及び接合信頼性を向上させることが可能となる。
次に図18に本発明の第3の実施形態に係る電子素子実装用基板および電子装置の内層を示す平面図を示す。電子素子実装用基板1の第2メタライズ層6の周囲に設けられた貫通孔4の配置の例については図18に記載の内容にとどまらない。例えば、複数の貫通孔4は図3〜図5に示す例のように位置している状態と組み合わせることで、第1実施形態に記載のようにそれぞれの効果をさらに得ることが可能となる。
また、本実施形態にかかる貫通孔4は第1実施形態に記載のように第1メタライズ層5に設けられていてもよいし、第2実施形態に記載のように基板2の内部に設けられていてもよい。またはそれぞれを複合されていてもよい。つまり、第1メタライズ層5に設けられた貫通孔4と基板2の内部に設けられた貫通孔4をそれぞれ有していてもよく、またそれらは1つの第2メタライズ層6の周囲に設けられた複数の貫通孔4の中に入り混じって配置されていてもよい。これらを組み合わせることで、第1実施形態または第2実施形態に記載のようにそれぞれの効果をさらに得ることが可能となる。
図16〜図18に示す例の様な電子素子実装用基板1の製造方法は、第1の実施形態に記載の工程に加えて、基板2となるセラミックグリーンシートの開口部2dを設ける位置に金型またはレーザーを用いて貫通させることで作成することが可能となる。その後、第1の実施形態に記載した工程と同様に作成することで、図16〜図18に示す例のような電子素子実装用基板1を作製することができる。
なお、本発明は上述の実施形態の例に限定されるものではなく、本発明に係る各実施形態は、その内容に矛盾をきたさない限り、すべてにおいて組合せ可能であり、数値などの種々の変形も可能である。また、例えば、図1〜図18に示す例では、貫通孔4は上面視において円形状であるが、矩形状、楕円状等であっても構わない。また、複数の貫通孔4のそれぞれの大きさが異なっていても同じでも構わない。また、例えば、図1〜図18に示す例では、電極パッド3の形状は上面視において四角形状であるが、円形状やその他の多角形状であってもかまわない。また、例えば、図1〜図18に示す例では、凹部7は半円状または略矩形状であるが、楕円形上もしくは多角形状であってもよく、それぞれが複数組み合わさって設置されていてもよい。また、本実施形態における電極パッド3の配置、数、形状および電子素子の実装方法などは指定されない。