JP6978220B2 - 電気光学装置、投影スクリーン - Google Patents

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Description

本発明は、エレクトロクロミック材料を用いて構成される電気光学装置並びにこれを用いて構成される投影スクリーンに関する。
投影スクリーンに関する従来技術は、例えば特開2006−227581号公報(特許文献1)に開示されている。この特許文献1に開示される透過反射両用投影スクリーンは、反射型スクリーンと透過型スクリーンを備え、投射された映像光のうち特定の偏光成分の光が反射型スクリーンによって反射され、映像光のうち特定の偏光成分と異なる偏光成分の光は、反射型スクリーンで反射されずに反射型スクリーンおよび透過型スクリーンを透過する。
ところで、従来の投影スクリーンでは、映像を投影する際のシチュエーションに合わせて映像を視認する際の視野角を切り替えることは困難であった。このため、例えば、機密性の高い映像を投影する場合とそうではない映像を投影する場合で視野角を切り替えて、この映像を視認できるユーザを選ぶといった使い方を実現することが難しかった。
特開2006−227581号公報
本発明に係る具体的態様は、投影された映像を視認する際の視野角を可変に設定することが可能な技術を提供することを目的の1つとする。
[1]本発明に係る一態様の電気光学装置は、(a)一面側に第1電極を有する第1基板と、(b)一面側に第2電極を有し、前記第1基板と対向配置される第2基板と、(c)エレクトロデポジション材料を含有しており、前記第1電極と前記第2電極との間に配置される電解質層と、を含み、(d)前記第1電極と前記第2電極は、各々、前記電解質層と接する一面側に凹凸形状を有しており、前記第1電極の一面側の算術表面粗さRaよりも前記第2電極の一面側の算術表面粗さRaのほうが相対的に大きい値に設定されており、(e)前記第1電極の一面側の算術表面粗さRaが300nm以上400nm以下で、前記第2電極の一面側の算術表面粗さRaが400nmを超えている、電気光学装置である。
[2]本発明に係る一態様の投影スクリーンは、上記した電気光学装置を含んで構成される投影スクリーンである。
上記構成によれば、投影された映像を視認する際の視野角を可変に設定することができる。
図1は、一実施形態の投影スクリーンの構成を示す模式的な断面図である。 図2は、第1電極の構成を詳細に説明するための模式的な断面図である。 図3は、電気光学装置の動作原理を説明するための模式的な断面図である。 図4は、電気光学装置の動作原理を説明するための模式的な断面図である。 図5は、電極の表面粗さと視野角との関係を示す図である。 図6は、投影スクリーンの動作の様子を概略的に示す図である。 図7は、実施例の電気光学装置の各サンプルにおける表面処理状態の観察画像を示す図である。 図8は、実施例の電気光学装置のスクリーン特性を示す図である。 図9は、図5および図8に示した特性を得たサンプルについて、横軸を表面粗さRa、縦軸を視野角としてまとめたグラフである。 図10は、実施例の電気光学装置の相対反射輝度と表面粗さの関係を示す図である。 図11は、実施例の電気光学装置の相対反射輝度とRa/RSm(RaとRSmの比)との関係を示す図である。 図12は、表面凹凸のサイズと散乱効率の関係を示す図である。 図13は、別の実施形態の投影スクリーンの構成を示す模式的な断面図である。 図14は、別の実施形態の投影スクリーンの動作状態の一例を模式的に示す平面図である。
図1は、一実施形態の投影スクリーンの構成を示す模式的な断面図である。図1に示す投影スクリーン100は、例えばプロジェクタによって投影される画像を表示するためのスクリーンとして用いられるものであり、第1基板11、第2基板12、電解質層13、シール材14等から構成される電気光学装置と、この電気光学装置を駆動する駆動装置20を含んで構成されている。
第1基板11は、例えば透光性を有する硬質の基板(例えばガラス基板)である。この第1基板11の一面側には、そのほぼ全面にわたって微細な凹凸形状を有する第1電極15が設けられている。同様に、第2基板12は、例えば透光性を有する硬質の基板(例えばガラス基板)である。この第2基板12の一面側には、そのほぼ全面にわたって微細な凹凸形状を有する第2電極16が設けられている。
第1基板11と第2基板12とは、互いの一面側を向かい合わせて配置されている。そして、本実施形態の投影スクリーンは、図示しない映像プロジェクタ等から第1基板11側に映像が投影され、第1基板11側からユーザによって視認されるように配置して用いられる。すなわち、視認側に第1基板11が配置される。
電解質層13は、エレクトロデポジション材料を含む電解液を用いて構成されており、第1基板11と第2基板12の各一面側の間に配置されている。詳細には、電解質層13を構成する電解液は、エレクトロクロミック材料、メディエータ、支持電解質、溶媒、ゲル化用ポリマーなどを含んで構成される。
電解質層13を構成する材料の一例として、エレクトロクロミック材料にはAgBrを350mM用い、メディエータにはCuClを30mM用い、支持電解質にはLiBrを700mM用い、溶媒にはトリグライムを用いることができる。
なお、銀化合物は上記に限定されず、塩化銀、酸化銀、臭化銀、ヨウ化銀、硝酸銀などを用いることができる。銀化合物の濃度は、例えば5mM以上500mM以下であることが好ましいがこれに限定されない。
支持電解質は、発色材料の酸化還元反応等を促進するものであれば特に限定されず、例えばリチウム塩(LiCl、LiBr、LiI、LiBF、LiClO等)、カリウム塩(KCl、KBr、KI等)、ナトリウム塩(NaCl、NaBr、NaI等)を好適に用いることができる。支持電解質の濃度は、例えば10mM以上1M以下であることが好ましいがこれに限定されない。
溶媒は、発色材料等を安定的に保持することができるものであって、第1基板11、第2基板12の構成材料と屈折率nが近いか同程度であれば特に限定されない。屈折率が同程度であることが望ましいのは、電気光学装置を透明状態とする場合において界面での反射が極力生じないようにして透明性を高めるためである。例えば、各基板の屈折率が1.52の無アルカリガラスであるとすると、溶媒とガラスとの屈折率差が±0.15であれば界面反射を1%以下にでき、屈折率差が±0.10であれば界面反射を0.5%以下にできる。このような溶媒としては炭酸プロピレン等の極性溶媒、極性のない有機溶媒、さらには、イオン性液体、イオン導電性高分子、高分子電解質等を用いることができる。具体的には、トリグライム(n=1.432)、炭酸プロピレン(n=1.419)、ジメチルスルホキシド(n=1.479)、N,N−ジメチルホルムアミド(n=1.431)、テトラヒドロフラン(n=1.409)、γ−ブチロラクトン(n=1.436)等を用いることができる。
シール材14は、第1基板11と第2基板12の各一面側の間において、基板同士が重なる領域を囲んで設けられており、電解質層13を封止する。シール材14としては、例えばUV硬化型のシール材、UV・熱硬化型のシール材、熱硬化型のシール材を用いることができる。
本実施形態では、シール材14にはギャップ材(例えば直径50μm)が添加されており、このギャップ材によって第1基板11と第2基板12の相互間距離(セル厚)を確保する。なお、第1基板11、第2基板12として大面積のものを用いる場合には、セル厚のムラを低減するために基板面内にギャップ材を分散配置することが好ましい。
駆動装置20は、第1電極15および第2電極16と接続されており、これらを介して電解質層13へ駆動電圧を供給する。
図2は、第1電極の構成を詳細に説明するための模式的な断面図である。第1電極15の構成としてはいくつかの態様が考えられる。図2(A)に示す態様の第1電極15は、第1基板11の一面側に形成された多数の微細な凹部21の表面形状に沿って設けられた導電膜22を含んで構成されている。図示のように導電膜22は、凹部21の表面形状に沿って設けられ、第1基板11の一面側において多数の凹部24からなる凹凸形状を有する。図2(B)に示す態様の第1電極15は、第1基板11の一面側に設けられた導電膜23を有しており、導電膜23はその一面側に微細な多数の凹部24からなる凹凸形状を有する。これらの何れの態様によっても微細な凹凸形状を有する第1電極15が得られる。
図2(C)は、第1電極の凹凸形状について詳細に説明するための模式的な断面図である。第1電極15の導電膜22(または23)の表面における凹凸は、例えば図示のように凹部24の深さLと幅Wによって定義することができる。凹部24の深さLは、例えば数百nm程度であり、凹部24の幅Wは、例えば数μmである。なお、凹部24の形状モデルとしては図示のような半球状を考えるが、実際には半球状に近いランダム形状になると考えられ、その深さや幅も一定ではなくある一定範囲においてバラツキを有し得る。
なお、図示を省略するが、第2電極16についても、上記した第1電極15と同様の構成を備えている。そして、本実施形態では、第2電極16の表面形状における表面粗さが第1電極15の表面粗さよりも大きい値に設定されている。ここでいう表面粗さとは、例えば算術平均粗さRaである。
図3は、電気光学装置の動作原理を説明するための模式的な断面図である。第1電極15と第2電極16の間に、第1電極15側が相対的に低電位となるようにして直流電圧を印加することで、金属核が発生して成長し、図示のように第1電極15の凹部24上に金属膜30が析出する。このとき、第2電極16の導電膜25に形成された凹部26には金属膜が析出しない。第1電極15に析出する金属膜30は、図示のように各凹部24を含んで構成される微小な凹凸形状に沿うようにして形成された緻密な膜となる。
図4は、電気光学装置の動作原理を説明するための模式的な断面図である。第1電極15と第2電極16の間に、第2電極16側が相対的に低電位となるようにして直流電圧を印加することで、金属核が発生して成長し、図示のように第2電極16の導電膜25に設けられた凹部26上に金属膜32が析出する。ここで析出する金属膜32は、図示のように各凹部26を含んで構成される微小な凹凸形状に沿うようにして形成された緻密な膜となる。
ここで、上記のように本実施形態の電気光学装置では、第2電極16の表面粗さが第1電極15の表面粗さよりも大きな値となるように、各々の電極が構成されている。このため、入射光の散乱の度合いに差を生じさせることができる。
図5は、電極の表面粗さと視野角との関係を示す図である。図5は、表面粗さRaの異なるいくつかのサンプルを作成し、金属膜を析出させた状態でスクリーンゲイン計測法を行った結果を示す。サンプルに垂直に照射された光の反射光を垂直から傾いた位置にて測定する。ここでは、酸化マグネシウムの同じ反射角度の輝度(反射輝度)を1として正規化した投影スクリーンにおける反射光の各反射角度における反射輝度(gain)を算出し、さらに各角度のgainを5°のときのgainで規格化した相対反射輝度(相対gain)を縦軸にとり、反射角を横軸にとっている。図示の例では、表面粗さRaが300nmの場合には、相対反射輝度が0.5以上となる反射角(すなわち視野角)の範囲が±12°となる。同様に、表面粗さRaが400nmの場合には、相対反射輝度が0.5以上となる反射角(すなわち視野角)の範囲が±27°となる。同様に、表面粗さRaが600nmの場合には、相対輝度が0.5以上となる反射角(すなわち視野角)の範囲が±60°以上となる。このように、電極の表面粗さの値と反射角(視野角)との間には相関があり、表面粗さが小さいほど視野角が小さくなり、表面粗さを大きくするほど視野角が大きくなることが分かる。
図6は、投影スクリーンの動作の様子を概略的に示す図である。表面粗さが相対的に小さい第1電極15に金属膜30を析出させた場合には、反射光の散乱反射成分が相対的に少なく正反射成分が多くなり、散乱度合いが小さくなる。従って、投影されて映像が反射してユーザに視認される際の視野角が相対的に小さくなる。つまり、正面からは映像見やすいが斜め方向からは映像が見にくい状態が得られる(図6(A)参照)。このような状態は、投影スクリーンの正面またはそれに近い位置にいるユーザにだけ選択的に映像を視認させ、それ以外の位置にいるユーザには映像を視認させないような映像の表示状態を得るのに適している。以下において、この動作状態を「プライバシースクリーン状態」という場合がある。
反対に、表面粗さが相対的に大きい第2電極16に金属膜32を析出させた場合には、反射光の散乱反射成分が相対的に多く正反射成分が少なくなり、散乱度合いが大きくなる。従って、投影されて画像が反射してユーザに視認される際の視野角が相対的に大きくなる。つまり、正面からも斜め方向からも映像を見やすい状態が得られる(図6(B)参照)。このような状態は、投影スクリーンの正面のユーザだけではなく斜め方向にいるユーザにも広く映像を視認させるような映像の表示状態を得るのに適している。以下において、この動作状態を「パブリックスクリーン状態」という場合がある。
なお、第1電極15と第2電極16の間に電位差を生じさせない状態とした場合には、各電極の何れにも金属膜が析出しないので、電気光学装置は透明な状態(入射光を透過させる状態)となる。このため、第2基板12の後方に配置された物体などが透過して見える状態となる(図6(C)参照)。従って、例えば第2基板12の裏面側に予め何らかの物体を配置しておいたり、あるいはポスター等をその表面が第1基板11側へ向くように配置しておいたりすれば、それらにプロジェクタからの映像を重ねることができる。また、物体等を配置しない場合には、投影スクリーンが存在しないかのように見せることもできる。なお、プライバシースクリーン状態でもパブリックスクリーン状態でも白色状態としている。ここで、白色状態とはスクリーンゲイン計測法により計測して前述の相対反射輝度(相対gain)が0.5となる角度(=視野角)が10°を超え、かつ視野角度5°のgainが0.3以上となるスクリーン状態である。プライバシースクリーン状態では相対的に視野角が狭く、10°より大きく30°未満が好ましく、パブリックスクリーン状態では相対的に視野角が広く、30°以上、さらに好ましくは60°以上が好ましい。本実施形態では、金属膜を析出させた状態で第1基板と第2基板がそれぞれ上記のようにプライバシースクリーン状態、パブリックスクリーン状態に適した視野角範囲であることが好ましい。
次に、本実施形態の投影スクリーンを構成する電気光学装置の製造方法について説明する。ここでは、各電極の一面側に多数の微細な凹部を設け、それら凹部に導電膜を設けることで各電極が構成されている場合(図2(A)参照)について、その好適な製造方法の一例を説明する。
無アルカリガラス基板などの透明基板の一面に、例えばブラスト処理を施すことにより、透明基板の一面側に微細な凹凸形状を形成する。これにより、一面側に微細な凹凸形状を有する第1基板11および第2基板12が得られる。このとき、ブラスト処理の諸条件を適宜設定することで、第1基板11および第2基板12の各々の凹凸形状の粗さ具合を制御することができる。ブラスト処理を用いる場合に、その諸条件としては、投射材(砥粒)の粒径、投射材の材質、投射圧力、投射角度、処理時の基板距離、処理時間などが挙げられる。なお、ブラスト処理に変えてウェットエッチング処理などを用いてもよい。ウェットエッチング処理の諸条件としては、薬液組成、濃度、処理時間などが挙げられる。
次に、第1基板11と第2基板12の各々の凹凸形状を有する面に導電膜を形成する。例えば、ITO(インジウム錫酸化物)からなる透明導電膜(ITO膜)をスパッタ法によって成膜する。これにより、第1基板11の一面側に第1電極15が形成されるとともに、第2基板12の一面側に第2電極16が形成される。各電極を構成するITO膜のシート抵抗は例えば5Ω/sq.程度であり、膜厚は数百nmである。
なお、透明導電膜としては可視光領域での光透過性が高ければ特に限定されず、例えばZnO膜、Ga膜、グラフェン膜などを用いることもできる。また、透明導電膜の形成方法についても特に限定はなく、例えば真空蒸着法、イオンプレーティング法、スピンコーティング法など種々考えられる。
次に、一方の基板、例えば第1基板11の一面側にギャップ材を添加されたシール材料を塗布する。シール材料としては、例えば紫外線硬化型、熱硬化型、紫外線硬化と熱硬化の混合型など種々のものを用いることができる。
また、他方の第2基板12の一面側にギャップ材(例えば粒径100μm)を散布する。このときの散布量は1〜3個/mmとするのが経験上好ましいがこれに限られない。なお、ギャップ材に代えて、リブなどの突起体を基板上に形成することでギャップコントロールを行ってもよい。この場合、突起体のアスペクト比はなるべく高いことが好ましい。
次に、第1基板11と第2基板12の間にエレクトロデポジション材料を含む電解液を封入する。この工程は、例えば真空注入法によって行うことができる。具体的には、第1基板11と第2基板12を先に貼り合わせた後に両者間へ真空注入法によって電解液を注入する。なお、この工程は、ワンドロップフィリング法(ODF法)によって行うこともできる。具体的には、第1基板11の一面側のシール材料に囲まれた領域内に電解液を滴下した後、この第1基板11の一面と第2基板12の一面を向かい合わせて両者を貼り合わせる。そして、紫外線および/または熱を与えることによってシール材料を硬化させる。これにより、シール材14と、これによって周囲を封止された電解質層13が得られる。
以上のようにして、本実施形態の投影スクリーンを構成する電気光学装置を製造することができる。なお、各電極が各基板の一面側に設けられた導電膜の一面に多数の微細な凹部を設けて構成されている場合(図2(B)参照)についても、各電極を得る工程を除いて上記と同様の製造方法を用いることができる。なお、各電極を得る工程については、例えば、各基板の一面上にスパッタ法など適宜の成膜法によって導電膜を形成し、その導電膜の一面をブラスト処理やエッチング処理によって加工することによって多数の凹部を形成すればよい。もしくは、図2(B)の場合、電極内に透光性および導電性を有するITO等の微粒子を含ませることで多数の凹部を有する電極を形成してもよい。
電気光学装置の実施例として、さらにいくつかのサンプルを作製した。
各サンプルの電解質層13の層厚は100μmとした。電解質としては、溶媒をGBLとし、エレクトロクロミック材としてAgBrを350mM添加し、支持電解質(支持塩)としてLiClを1750mM加え、メディエータとしてTaClを30mM加えた。また、第1電極15、第2電極16としてはそれぞれシート抵抗5Ω/sq.のITO膜を用いた。
第1電極15、第2電極16の各々の表面の凹凸形状については、ブラスト条件を変えることで以下のように表面状態、具体的には平均粗さ(算術平均粗さ)Ra、平均長さRSm、平均深さRcがそれぞれ異なるサンプルを作製した。ここでいう平均粗さ(算術平均粗さ)Ra、平均長さRSm、平均深さRcのそれぞれはJIS規格(JIS B 0601:2001)により定義されるものに対応している。
サンプル1: Ra=0.12μm、RSm=20.0μm、Rc=0.43μm
サンプル2: Ra=0.49μm、RSm=18.5μm、Rc=1.77μm
サンプル3: Ra=0.54μm、RSm=25.2μm、Rc=1.93μm
図7は、実施例の電気光学装置の各サンプルにおける表面処理状態の観察画像を示す図である。詳細には、図7(A)は上記サンプル1の観察画像、図7(B)は上記サンプル2の観察画像である。なお、サンプル3の観察画像は省略する。図示のように、サンプル1は、表面粗さRaが0.12μm、表面に形成される各凹部の径が概ね2〜5μmである。サンプル2は、表面粗さRaが0.49μm、表面に形成される各凹部の径が概ね3〜7μmである。
次に、各サンプルの視野角特性について説明する。一般的に、投影スクリーンの視野角の特性は、被測定物の基板面の法線方向を基準として5°傾いた角度における反射輝度に対する、各角度での反射輝度の角度依存性により評価される。投影スクリーンに投射した映像を視認できる範囲は視野範囲角度と呼ばれ、相対反射輝度が1/2の値となる角度をいう。投影スクリーンとして用いるには、視野範囲角度が10°を超えることが好ましい。各サンプルについて、各角度での反射輝度を5°〜60°の範囲で5°毎に測定した。
図8は、実施例の電気光学装置のスクリーン特性を示す図である。サンプル1では視野範囲角度が10°よりやや大きい程度となる。この状態は上記したプライバシースクリーン状態に適している。また、サンプル2、3では視野範囲角度が少なくとも60°以上となる。この状態は上記したパブリックスクリーン状態に適している。サンプル2、3のそれぞれの表面粗さRaは0.25μm以上である。一般的にRaが波長の1/2以上であると散乱が強まると言われており、このことと一致した結果が得られていることが分かる。
図9は、図5および図8に示した特性を得たサンプルについて、横軸を表面粗さRa、縦軸を視野角としてまとめたグラフである。なお、スクリーンゲイン測定法では60°度を超えた角度範囲を測定していないため、視野角が60°を超えたことを測定したデータはないが、図中に点線で示す予想特性曲線から推測すると、表面粗さRaが490nmを超えたサンプルは実際には視野角が60°を超えているものと考えられる。実験結果から、プライバシースクリーン状態に好ましいのは表面粗さRaが120nm以上400nm以下の範囲といえる。また、予想特性曲線から表面粗さRaが300nm以上400nm以下であれば歩留まりよく製造可能と考えられるため、さらに好ましい。他方で、パブリックスクリーン状態では、表面粗さRaが400nmを超えた範囲となる。表面粗さRaが490nmを超えると視野角が60°を超えるのでさらに好ましい。視野角の違いを明確にするためには第1基板と第2基板で表面粗さRaが100nm以上異なっているのが好ましい。第1基板と第2基板で上記のようにプライバシースクリーン、パブリックスクリーンに好ましい表面粗さRaを選択することで好ましい実施形態となる。
図10は、実施例の電気光学装置の相対反射輝度と表面粗さの関係を示す図である。表面粗さRaが大きくなると視野範囲角度は大きくなる傾向にあるが、必ずしも表面粗さRaに対して60°での相対反射輝度は単調に増加していない。これは、電極の表面凹凸の密度に関係すると考えられる。表面凹凸は平均長さRSmの間隔で存在しているが、Raに対してRSmが大きくなると表面凹凸の密度が低くなり散乱は小さくなる。
図11は、実施例の電気光学装置の相対反射輝度とRa/RSm(RaとRSmの比)との関係を示す図である。図示のように、Ra/RSmが大きくなるほど60°での相対反射輝度は大きくなることが分かる。各プロットに基づいて得た近似曲線によれば、60°での相対反射輝度を0.5以上とするためには、Ra/RSmの値が少なくとも0.018以上であればよいことが分かる。
図12は、表面凹凸のサイズと散乱効率の関係を示す図である。表面凹凸による散乱は凹凸高さによってもその散乱効率が異なり得る。銀膜からなる電極の表面凹凸を球で近似した場合、各サイズの凹凸部1個に対する散乱効率は図示の通りとなる。Mie散乱理論により散乱断面積を求め、散乱効率は散乱断面積と凹凸部1個の投影断面積の比により求めた。散乱断面積が投影断面積よりも大きくなる場合の散乱効率は1とした。図12より、散乱効率は表面凹凸のサイズが10μmになると可視光領域で0.5程度となる。すなわち50%は正反射成分となり、鏡面反射に近い反射特性となる。したがって、表面凹凸の平均深さRcはこれよりも小さい必要があり、10μm以下にするとよいことが分かる。また、一般的に表面凹凸のサイズが入射光の波長の1/10以下になると散乱は生じないため、これよりも大きなサイズにするとよいことが分かる。視野範囲角度が60°以上であるサンプル2、3の平均深さRcはそれぞれ1.77μm、1.93μmであり、計算によって求めた散乱効率の高い表面凹凸のサイズとよく一致している。
ところで、上記した実施形態では投影スクリーンの全体を各動作状態に切り替えていたが、各電極を分割してそれぞれ独立に電圧を与えることにより、投影スクリーンを部分ごとに異なる動作状態とすることもできる。
図13は、別の実施形態の投影スクリーンの構成を示す模式的な断面図である。図13に示す投影スクリーン100aは、上記した実施形態の投影スクリーン100と比較し、第1電極と第2電極がそれぞれ複数の分割されている点が異なっており、それ以外は共通している。両者に共通する構成については同符号を用いてそれらの詳細な説明は省略する。
図示のように、投影スクリーン100aにおいて、第1電極は複数の分割電極15a、15b、15cを含み、第2電極は複数の分割電極16a、16b、16cを含んでいる。各分割電極15a〜15c、16a〜16cは、駆動装置20によって駆動され、それぞれ独立に電圧が与えられる。分割電極15aと分割電極16aは、平面視においてほぼ同一形状であり、互いに重なり合っている。分割電極15bと分割電極16b、分割電極15cと分割電極16cも同様である。
各分割電極15a等は、例えば上記した実施形態で説明した第1電極15を形成した後、さらにパターニングを行うことによって得られる。同様に、各分割電極16a等は、例えば上記した実施形態で説明した第2電極16を形成した後、さらにパターニングを行うことによって得られる。
このような電極の構成によれば、分割電極15aと分割電極16aの間、分割電極15bと分割電極16bの間、分割電極15cと分割電極16cにそれぞれ個別に電位差を与えることにより、各分割電極の配置された領域ごとに個別に動作状態を制御できる。
図14は、別の実施形態の投影スクリーンの動作状態の一例を模式的に示す平面図である。例えば、分割電極15bが分割電極16bより高電位となり、分割電極16aが分割電極15aより高電位となり、分割電極16cが分割電極15cより高電位となるように各分割電極に電位差(例えば2.5V)を与えることにより、図14(A)に示すように、投影スクリーンの中央領域を広視野角の動作状態とし、左右各領域を狭視野角の動作状態とすることができる。
また、分割電極16bが分割電極15bより高電位となり、分割電極15aが分割電極16aより高電位となり、分割電極15cが分割電極16cより高電位となるように各分割電極に電位差(例えば2.5V)を与えることにより、図14(B)に示すように、投影スクリーンの左右各領域を広視野角の動作状態とし、中央領域を狭視野角の動作状態とすることができる。
さらに、いずれの電極間にも電位差を与えないようにすることにより、図14(C)に示すように、投射スクリーンの全面を透過状態とすることができる。その他にも、中央領域と左右各領域の各々について個別に、動作状態を制御できる。また、第1基板11側の各分割電極15a〜15cと第2基板12側の各分割電極16a〜16cの各々の間に与える電位差を同じにすることにより、上記した実施形態の投影スクリーン100と同様に、スクリーン全体を広視野角、狭視野角、透過のいずれかの動作状態にすることができる。
以上のような実施形態によれば、投影された映像を視認する際の視野角を可変に設定することができる。すなわち、一般的な投影スクリーンでは視野角が一定であるのでどの位置からでも比較的良好に視認できる反面、情報の機密性を確保することが難しかった。このため、機密性の高い情報を投影する場合には、例えば会議室のカーテンを閉じる、あるいは聴講者を選んで一部の人を退席させるなどの対応が必要であった。これに対して上記した実施形態の投影スクリーンによれば、視野角を自在に切り替えることが可能となるので、機密性の低い情報を投影する場合にはパブリックスクリーン状態を選び、機密性の高い情報を投影する場合にはプライバシースクリーン状態を選ぶことができる。また、使用しないときなどには投影スクリーンを透過状態(透明状態)にしておけるので、投影スクリーンを収容せずに設置したままとすることも可能となり、収納の手間が軽減される。
なお、本発明は上述した実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。例えば、上記した実施形態では投影スクリーンを第1基板側から視認することとしていたが、第2基板側から視認してもよい。また、第1電極および第2電極のそれぞれを分割する数は上記した例に限定されず、任意に設定することができる。分割する方向も上記したような投影スクリーンの左右方向だけに限定されず、上下方向にも分割してもよい。
11:第1基板
12:第2基板
13:電解質層
14:シール材
15:第1電極
16:第2電極
20:駆動装置
21、24:凹部
22、23:導電膜
30、32:金属膜
100:投影スクリーン

Claims (5)

  1. 一面側に第1電極を有する第1基板と、
    一面側に第2電極を有し、前記第1基板と対向配置される第2基板と、
    エレクトロデポジション材料を含有しており、前記第1電極と前記第2電極との間に配置される電解質層と、
    を含み、
    前記第1電極と前記第2電極は、各々、前記電解質層と接する一面側に凹凸形状を有しており、前記第1電極の一面側の算術表面粗さRaよりも前記第2電極の一面側の算術表面粗さRaのほうが相対的に大きい値に設定されており、
    前記第1電極の一面側の算術表面粗さRaが300nm以上400nm以下で、前記第2電極の一面側の算術表面粗さRaが400nmを超えている、
    電気光学装置。
  2. 前記第1電極の一面側の算術表面粗さRaよりも前記第2電極の一面側の算術表面粗さRaのほうが100nm以上大きく設定されている、
    請求項1に記載の電気光学装置。
  3. 前記第1基板に前記エレクトロデポジション材料を堆積した際の視野角が10°を超えて30°未満であり、
    前記第2基板に前記エレクトロデポジション材料を堆積した際の視野角が30°以上である、
    請求項1又は2に記載の電気光学装置。
  4. 前記第1電極は、複数の第1分割電極を有し、
    前記第2電極は、複数の第2分割電極を有しており、
    前記複数の第1分割電極の各々は、前記複数の第2分割電極の何れか1つと対になって対向配置されている、
    請求項1〜の何れか1項に記載の電気光学装置。
  5. 請求項1〜の何れか1項に記載の電気光学装置を備える投射スクリーン。
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