JP2008102236A - 液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 広視角表示の特定視角方向の表示視認性を制御する視角制御素子及びこれを用いた表示装置において、外光を利用して視角制御性を高める。
【解決手段】 一対の透光性基板と、前記一対の透光性基板間に挟持された液晶層と、前記液晶層に電圧を印加するための一対の電極とを備えた液晶セルと、前記液晶セルを挟むように配置した偏光板及び反射偏光板と、から構成され、前記一対の電極に印加する電圧により前記表示装置の視角を制御するようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】 一対の透光性基板と、前記一対の透光性基板間に挟持された液晶層と、前記液晶層に電圧を印加するための一対の電極とを備えた液晶セルと、前記液晶セルを挟むように配置した偏光板及び反射偏光板と、から構成され、前記一対の電極に印加する電圧により前記表示装置の視角を制御するようにした。
【選択図】 図1
Description
本発明は、表示素子に用いられ、表示素子が表示した画像等の見える視角を変更することが可能な視角制御素子、これを備えた液晶表示装置及びこの液晶表示装置を備えた電子機器に関する。
液晶表示装置はCRT等の表示素子と比較して見る角度により表示状態が変化し、視野角が狭いといわれてきた。しかしながら近年は、VAN、IPS等のモードが採用されて視野角のいっそう広くなり、CRT等の表示装置と遜色ないレベルに達してきた。一方、液晶表示装置は薄く、軽くかつ低消費電力であることから、携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータ等に広く利用されている。携帯電話やノート型パーソナルコンピュータは持ち運びが便利であり、人の混雑する環境下においても使用されている。例えば携帯電話等を車内で使用する場合に、液晶表示装置の視野角が広いために、隣に座っている他人に表示画面を見られてしまうこととなる。そのために、個人情報や業務上の秘密事項が漏れる可能性も出てきている。
そこで、隣の人に表示画面が見えなくなるようにする、あるいは、表示中の画面の内容が判読できないようにするために、視角制御素子が検討されている(例えば、特許文献1を参照)。
図11を用いて従来の視角制御素子を有するカラー液晶表示装置について説明する。図11(a)は従来の構成を模式的に示す断面図である。図示するように、液晶表示装置は表示用液晶パネル100と視角制御用液晶パネル120が積層した構造である。表示用液晶パネル100は、RGBのカラーフィルタ103と対向電極104が設けられた対向基板101と、画素電極105が形成された透明基板102との間に液晶層106が封入された液晶セルと、液晶セルを挟むように設けられた第1の偏光板110と第3の偏光板111を備えている。対向電極104と画素電極105との間に電圧が印加されていないときには液晶層106の液晶分子107は垂直に立っており、電圧が印加されると液晶分子107が倒れる。液晶分子が立っている状態と倒れている状態では偏光光線に対する旋光特性が異なるため、第3の偏光板111を通過した偏光光線が第1の偏光板110を通過するかしないかは液晶分子の状態に依存する。すなわち、液晶分子の状態を制御することで、画像表示が実現できる。
視角制御用液晶パネル120は、上電極124が形成された上基板121と、下電極125が形成された下基板122の間に液晶層126が封入され、下基板の外面側に第2の偏光板112が設けられている。視角制御用液晶パネルの下方にはバックライト128が配置され、視角制御用液晶パネル120及び表示用液晶パネル100に光を照射する。視角制御用液晶パネル120の液晶分子127は、下基板122と上基板121との間で180°ツイストしている。液晶層126の下基板122の界面近傍における液晶分子127は第2の偏光板112の透過軸と同じ方向を向いている。同様に、液晶層126の上基板121の界面近傍における液晶分子127は第3の偏光板111の透過軸と同じ方向を向いている。液晶層の複屈折率Δnと液晶層の厚さtとの積であるΔn・tを適切に選ぶことにより、上電極124と下電極125との間に電圧を印加しないときは、第2の偏光板112を通過した偏光は液晶分子127に沿って回転し、第3の偏光板の透過軸と一致する偏光となるので、第3の偏光板を透過する。また、上電極124と下電極125との間に十分な電圧を印加することにより、液晶分子127は基板との界面を除いて電界方向に立ち上がる。これにより、液晶層126の旋光性が解消する。第1の偏光板と第3の偏光板とは透過軸の方向が同じであることから、第2の偏光板112を通過した偏光はそのまま第3の偏光板を通過する。
図11(b)は、視角制御用液晶パネル120の上電極124と下電極125との間に電圧を印加したときと印加しないとき視角特性を示している。ここで、横軸は基板面に垂直な方向からの極角であり、縦軸が視角制御用液晶パネル120の上に第3の偏光板111を配置したときの透過率を表している。極角の方向は、表示用液晶パネル100を上部から見て9時3時方向である。実線が上電極124と下電極125との間に電圧を印加した電圧オンのときに極角を変化させたときの透過率であり、破線が電圧オフのときの極角を変化させたときの透過率である。同図から、電圧オンのときは、極角が50°〜60°で透過率が極端に低下している。これに対して、電圧オフのときは、極角が−80°〜+80°の範囲でほぼ一定の高い透過率となっている。すなわち、極角が−60°〜−40°の9時方向と、極角が+40°〜+60°の3時方向では、電圧のオン、オフにより透過率を制御することが可能となり、表示用液晶パネル100に表示された画像や文書を斜め方向から見え難くすることが可能となる。
また、図11(a)の視角制御用液晶パネル120では、斜め方向からより見え難くするために、下電極125をチェッカーフラッグないしはこれに類似するパターンで形成している。このチェッカーフラッグのピッチは概ね2mm以上20mm以下である。これにより、斜め方向から表示用液晶パネル100に表示された画像等をみると、透過率の高い部分と低い部分とがモザイク状となり、表示された画像や文書を認識し難くすることができる、というものである。
特開2005−292586号公報
しかしながら、上記公知例においては、電圧オンの状態で極角が約50°〜60°程度で透過率が低下するものの、低下する角度範囲が狭いこと、また、最低透過率が数%であり、バックライトの発光強度を高くして表示用液晶パネルの輝度を上昇させると文字や画像等を判読することができるようになり、十分な視角制御を行うことができなかった。
上記の課題を解決するために、本発明の、画像を表示する表示素子と、表示素子の表示面に隣接して配置され、表示素子の視角を制御する視角制御素子を備える液晶表示装置は以下のような構成である。すなわち、視角制御素子は、一対の透光性基板の間に挟持された液晶層に電圧を印加するための一対の電極を備えた液晶セルと、液晶セルを挟むように配置された偏光板及び反射偏光板を備えており、一対の電極に印加する電圧により表示素子の視角を制御する。さらに、偏光板の透過軸と反射偏光板の透過軸が略同一の方向を向くようにした。さらに、液晶層の液晶分子が略180°ツイストするようにした。
また、偏光板の透過軸と偏光板側に位置する透光性基板の内表面近傍における液晶分子の配向方向とを略同一とし、反射偏光板の透過軸と反射偏光板側に位置する透光性基板の内表面近傍における液晶分子の配向方向とを略同一とした。
また、偏光板の透過軸に直交する面内であって液晶セルの表面の垂線に対して角度がθ傾いた方向を視角θとし、偏光板、液晶セル及び反射偏光板を通過する透過光について一対の電極に一定電圧を印加したときと印加しないときの透過率比を透過コントラスト比で表した場合に、視角θが−10°〜+10°の間のいずれの角度においも透過コントラスト比が1.2対1以下であり、視角θが+40°〜+70°及び−40°〜−70°の範囲のいずれの角度においても透過コントラスト比が3対1以上を有するようにした。
また、偏光板の透過軸に直交する面内であって液晶セルの表面の垂線に対して角度がθ傾いた方向を視角θとし、偏光板の側から入射した光が偏光板の側から反射される反射光について一対の電極に一定電圧を印加したときと印加しないときとの反射率の差を反射率差として表した場合に、視角θが+40°〜+60°及び−40°〜−60°の範囲のいずれの角度においても反射率差が20%以上を有するようにした。
さらに、上述したいずれかの構成の液晶表示装置において、液晶セルと反射偏光板との間に光拡散層を設けるようにした。
視角制御素子に使用する下部偏光板として反射偏光板を使用する。これにより、視角制御素子を透過する透過光の視角特性が制御できると共に、視角制御素子に入射した光が反射される反射光の視角特性も制御することができる。即ち、垂直方向に対する透過光や反射光は大きくは変更せず、特定の視角方向の透過光量を低減させると共に、特定の視角方向の反射光量を増大させることができるので、視角制御素子の下部に設けた表示装置の画像や文字を、特定の角度からより認識又は判読し難くすることができる。
本発明に係る液晶表示装置は、画像表示を行なう液晶表示パネルと、液晶表示パネルに近接して配置される視角制御素子を備えている。視角制御素子は、偏光板と反射偏光板の間に液晶セルが配置された構成であり、この液晶セルは一対の透光性基板の間に液晶層が挟持され、透光性基板のそれぞれの内面には液晶層に電圧を印加するための電極が形成されている。また、反射偏光板とは、特定の方向の電界ベクトルを有する光線(偏光光線)を透過し、この偏光光線と直交する方向の電界ベクトルを有する光線は反射する。偏光板は、液晶セルの表示を視認する観察者側に設置し、反射偏光板は液晶セルの偏光板と反対側に設置する。
このような構成により、一対の電極に電圧を印加したときと印加しないときとで視角制御素子を通過する透過光及び視角制御素子により反射される反射光について、特定の視角方向の透過光の強度及び反射光の強度を制御することができる。これにより、当該特定の方向から視角制御素子を見た場合に、視角制御素子の下部に設置した表示装置の表示画像を見えないようにする、あるいは画像の認識が困難に成るようにすることができる。以下本発明の実施例について図面を用いて具体的に説明する。
図1は、本実施例の液晶表示装置を模式的に示す断面図である。図示するように視角制御素子2と、液晶表示素子1が積層するように構成されている。視角制御素子2は、視角制御液晶セル22と、表示装置に表示された画像等を見る観察者側に設けた第1の偏光板3と、その反対側に設けた反射偏光板9とを備えている。視角制御液晶セル22は、一対の透光性基板である上基板4と下基板8、これらの基板間に挟持された液晶層6、液晶層6に電圧を印加するための上電極5及び下電極7を備えている。
液晶層6には正の誘電異方性を有するネマティク液晶を使用し、上電極5及び下電極7の表面には配向処理を施した。即ち、図1に示すように、下電極7の表面上では液晶分子19が同図の左右の方向に、上電極5の表面上でも液晶分子19が左右の方向に向くように両電極表面に配向処理を施す。これにより、液晶分子19は下基板8から上基板4に向かって略180°回転される。液晶層6の厚さと液晶分子19の複屈折率Δnとは、液晶層6に入射した直線偏光が180°回転するのに十分な値に設定する。
視角制御素子2の駆動は次のようにして行う。上電極5と下電極7との間に電圧を印加する。すると液晶層6の液晶分子19は基板面に対して電界方向、即ち基板面に対して垂直方向に立つ。次に、両電極を短絡することにより、液晶分子19は倒れて元の180°ツイスト配向の状態に戻る。
次に、視角制御素子2の下部に設けた液晶表示素子1について説明する。液晶表示素子1は、一対の対向基板11と透明基板16と、対向基板11の内面に形成したカラーフィルタ12と、カラーフィルタ12の表面に形成した透明電極である対向電極13と、透明基板16の内面に形成した透明電極15と、一対の対向基板11と透明基板16との間に挟持した表示用液晶層14と、対向基板11の外面に貼り付けた第2の偏光板と、透明基板16の外面に貼り付けた第3の偏光板17と、バックライト18を備えている。カラーフィルタ12はR(赤)、G(緑)、B(青)の着色域を持ち、RGBで一単位画素を構成している。
対向電極13及び透明電極15及び透明基板16の表面には配向処理が施されている。表示用液晶分子20は、負の誘電異方性を有する。それ故に、表示用液晶分子20は、電圧が印加されないときは配向処理により基板面に対して垂直に配向し、電圧が印加されると水平方向に倒れる。この表示用液晶分子20の姿勢変化に伴う光学的異方性の変化を、バックライト18と第3の偏光板17及び第2の偏光板10により視覚化する。表示用下基板16の内面には図示しないTFTが形成されており、個々の表示用下電極15はこのTFTにより印加電圧が調整される。
図2は、視角制御素子2の光学的な配置を示す説明図である。同一の部分又は同一の機能を有する部分には同一の符号を付した。視角制御素子2の下方から上方に向けて、反射偏光板9、視角制御液晶セル22、第1の偏光板3が順に配置されている。視角制御液晶セル22は、紙面左右に一点鎖線で示す方向が9時3時方向であり、紙面上下に一点鎖線で示す方向が12時3時方向である。下基板8の内面近傍における液晶分子19の下基板分子配向方向32は12時6時方向である。また、上基板4の内面近傍における液晶分子19の上基板分子配向方向31も12時6時方向である。そして、液晶分子19は、下基板側から上基板側に向けて略180°回転している。
視角制御素子2の下部に配置した液晶表示素子1から出射した画像光は反射偏光板9に入射する。反射偏光板9の透過軸33は12時6時方向なのでこの方向に電界ベクトルを有する偏光光線が視角制御液晶セル22に入射する。なお、反射偏光板9の反射軸34は透過軸33と直交する方向である。従って、反射偏光板9を通過した偏光光線の偏光方向は、下基板8の内面近傍の液晶分子19が配列する配列方向と同じである。それ故、液晶層6において偏光光線は略180°回転する。そして、液晶層6から12時6時方向の偏光光線が出射する。第1偏光板の透過軸30は12時6時方向なので、視角制御液晶セル22から出射した偏光光線は第1の偏光板3を通過することができる。
次に、上電極5と下電極7との間に印加する電圧をオン、オフしたときに、12時6時方向の視角特性と9時3時方向の視角特性が異なる原理について、図3から図7を用いて説明する。図3は、下部に配置した液晶表示素子1から出射した画像光が視角制御素子2を通過する状態を説明する説明図である。特に12時6時方向の断面を示している。同一の構成又は同一の機能を有する部分は同一の符号を付した。一対の上基板4と下基板8との間に液晶分子19が配列している。一対の上基板4と下基板8のそれぞれの外面には第1の偏光板3と反射偏光板9が配置されている。第1の偏光板の透過軸30及び反射偏光板の透過軸33はいずれも12時9時方向に向いている。
まず、図3の左半分に、上電極5aと下電極7aの間に電源35aから電圧を印加しない状態を表す。図3の右半分には、上電極5bと下電極7bの間に電源35bから電圧を印加している状態を表している。電圧を印加していない上電極5aと下電極7aの領域に下方から垂直入射する垂直出射光40aは、反射偏光板9を通過すると12時6時方向の偏光光線となる。下基板8の表面では液晶分子19は12時6時方向に配列している。そして、液晶分子19は上基板4に向かって180°回転する。それ故、反射偏光板9から入射した偏光光線は液晶分子の回転に沿って180°回転する。そして12時6時方向の偏光光線が液晶層6から出射する。このため、12時6時方向に透過軸を向いている第1の偏光板3を通過することができる。この垂直出射光40aは透過する。上電極5a及び下電極7aの領域に入射する視角出射光41bについても、垂直出射光40aと同様に、液晶層6において略180°回転するので、透過する。
図3の右半分に、一対の上電極5bと下電極7b間に電源35bから電圧を印加した状態を表す。電圧を印加すると、液晶層6の中央部分の液晶分子19が垂直方向に立ち上がる。液晶層6においては複屈折率が見かけ上小さくなり旋光性が失われる。その結果、液晶層6に入射した偏光光線の偏光方向はそのまま維持されて出射する。反射偏光板9の透過軸は12時6時方向であり、同じく第1の偏光板3の透過軸も12時6時方向なので、垂直出射光40bはそのまま通過する。従って透過性が高い。
12時6時方向に傾斜する視角出射光41bは、反射偏光板9により12時6時方向に偏光する。従って、液晶層6には12時6時方向に電界ベクトルを有する偏光光線が入射する。視角出射光41bが12時6時方向に傾斜するに従い、下基板8及び上基板4の内表面近傍の旋光性を有する液晶分子19に対して、視角出射光41bの電界ベクトルが傾斜する。従って、下基板8及び上基板4の内表面近傍の液晶分子19に対する複屈折率は見かけ上小さくなる。それ故に液晶層6においては旋光性が小さくなり、反射偏光板9を通過した偏光光線はそのまま第1の偏光板3を通過する。即ち高い透過性を有する。
このように、12時6時方向においては、電圧をオン、オフするいずれの場合にも、垂直出射光40a、40bと視角出射光41a、41b共に透過性が高い。即ち、視角制御素子2の下部に設置した液晶表示素子1の表示を観察することができる。
図4は、下部に配置した液晶表示素子1から出射した画像光が視角制御素子2を通過する状態を説明する説明図である。特に9時3時方向の断面を示している。同一の構成又は同一の機能を有する部分は同一の符号を付した。第1の偏光板3の透過軸30と反射偏光板9の透過軸33とはいずれも12時9時方向を向いている。従って、紙面に対して垂直方向となる。同様に、一対の上基板4及び下基板8の各内面近傍の液晶分子19の配向方向は12時6時方向であり、紙面に対して垂直方向となる。
まず、図4の左半分に、上電極5aと下電極7aの間に電源35aからの電圧を印加しない状態を表す。垂直出射光40aは既に説明したように、反射偏光板9を通過した偏光光線は液晶層6を略180°回転して通過し、第1の偏光板3を通過する。第1の偏光板の透過軸30と液晶層6を通過した偏光光線の偏光方向が一致するからである。即ち、高い透過性を有する。次に、9時3時方向に傾斜する視角出射光41aの場合は、入射光が傾いたことによる見かけ上の複屈折率の変化が小さい。従って、液晶層6に入射した偏光光線は略180°回転し、第1の偏光板3を通過する。即ち、高い透過性を有することになる。
次に、図4の右半分に、上電極5bと下電極7bの間に電源35bから電圧を印加した状態を表す。液晶層6の中央領域の液晶分子19は電界方向、即ち垂直方向を向く。その結果、垂直出射光40bに対して液晶層6の複屈折率は見かけ上消失する。反射偏光板9を通過した偏光光線の偏光方向は12時6時方向であり液晶層6においてその偏光方向が維持される。そして、第1の偏光板3の透過軸30は12時6時方向なので、第1の偏光板3を通過する。即ち、高い透光性を有する。
次に、9時3時方向に傾斜する視角出射光41bの場合には、反射偏光板9を通過した偏光は紙面に垂直な12時6時方向の偏光方向を有する。従って、反射偏光板9を出射した偏光光線の電界ベクトルは、視角出射光41bの傾き角が大きくなった場合でも、下基板8及び上基板4の内表面近傍に位置する液晶分子19の配向方向と同じ方向を有することになる。その結果、下基板8及び上基板4の内表面近傍においては液晶分子19に対する複屈折率は見かけ状維持される。従って、液晶層6を通過する偏光光線は旋光性を有することになる。第1の偏光板3の透過軸30は12時6時方向なので、液晶層6において偏光光線が旋光するに従い、第1の偏光板3により通過され難くなる。即ち、透光性が減少する。
以上をまとめると、9時3時方向においては、電圧をオン、オフしたいずれの場合にも垂直出射光40a、40b共に透過性が高い。しかし、9時3時方向に傾斜する視角出射光41aの場合には、電圧をオフしたときは高い透光性を有するが、電圧をオンしたときは透光性が減少する。このことは、12時6時方向においては、視角制御素子2の下部に配置した液晶表示素子1に表示された画像は、視角制御素子2の電圧のオン、オフにかかわらず良く見えることを意味する。これに対して9時3時方向においては、電圧をオフしたときは見えやすいが電圧をオンすると見え難くなることを意味する。
図5は、視角制御素子2の第1の偏光板3の側から入射した外光が視角制御素子2を通過する状態を説明する説明図である。特に、12時6時方向の断面を示している。同一の構成及び同一の機能を有する部分は同一の符号を付した。
図5の左半分に、上電極5aと下電極7aの間に電源35aから電圧が印加されていない状態を示す。第1の偏光板3の透過軸30及び反射偏光板9の透過軸33は12時6時方向を向いている。また、上基板4及び下基板8の内表面近傍の液晶分子19は12時6時方向に配向している。そして、液晶層6は下基板8から上基板4に向けて略180°回転している。外光が垂直に入射する垂直入射光42aは、第1の偏光板3により12時6時方向に偏光した偏光光線として液晶層6に入射する。従って、上基板4の基板表面の液晶分子19の配向方向と同一の偏光方向を有する。このため、液晶層6において偏光光線は略180°回転し、反射偏光板9を通過する。反射偏光板9の透過軸33も12時6時方向であるからである。即ち、高い透光性を有する。また、視角入射光43aの場合も同様に、第1の偏光板3から出射される偏光光線は液晶層6により略180度回転し、反射偏光板9から下部の液晶表示素子1の方向へ通過する。従ってこの場合も高い透光性を有する。
図5の右半分に、上電極5bと下電極7bの間に電源35bから電圧を印加した状態を示す。液晶層6に電圧を印加すると液晶層6の中央領域の液晶分子19は電界方向に、即ち垂直方向に立ち上がる。従って、液晶層6の旋光性は失われる。垂直入射光42bは、第1の偏光板3により12時6時方向に偏光する偏光光線に変換され、12時6時方向の偏光光線が液晶層6に入射する。液晶層6は旋光性が消失しているのでそのまま反射偏光板9に入射する。反射偏光板9の透過軸33は12時6時方向なので、ここでも偏光光線は通過する。即ち、高い透過性を有する。視角入射光43bは、第1の偏光板3により12時6時方向の偏光する偏光光線に変換される。この場合に、偏光光線の電界ベクトルは、上基板4及び下基板8の内表面近傍に位置する液晶分子19の配向方向に対して傾斜する角度を有する。そのために、液晶分子19の複屈折率は見かけ上小さくなり、液晶層6における旋光性が弱くなる。その結果、視角入射光43bの入射角が大きく傾斜する場合であっても、見かけ上の複屈折率は上昇せず、旋光性があまり大きくならない。従って、液晶層6を出射する偏光光線の偏光方向は12時6時方向となり、反射偏光板9の透過軸33と同じ方向となるので反射偏光板9を通過する。即ち、高い透光性を有する。
以上まとめると、電圧のオン、オフにかかわらず、垂直入射光42a及び12時6時方向に傾斜する視角入射光43aは、視角制御素子2を高い透光性をもって通過することになる。
図6は、視角制御素子2の第1の偏光板3の側から入射した外光が視角制御素子を通過する状態を説明する説明図であり、特に、9時3時方向の断面を示している。同一の部分又は同一の機能を有する部分は同一の符号を付した。図6の左半分に、上電極5aと下電極7aの間に電源35aから電圧を印加しない状態を示す。第1の偏光板3の透過軸30及び反射偏光板9の透過軸33は12時6時方向である。また、上基板4及び下基板8の内表面近傍の液晶分子19は12時6時方向を向いている。この状態で垂直入射光42aは、第1の偏光板3により12時6時方向に偏光する光に変換され、この偏光光線が液晶層6に入射する。この偏光光線は略180°回転する液晶層6の液晶分子19に追随して回転する。そして、反射偏光板9にはその反射偏光板の透過軸33方向にて入射する。従って、反射偏光板9を通過することになる。即ち、高い透過性を有する。また、9時3時方向に傾斜する視角入射光43aも、垂直入射光42aと同様に、液晶層6に入射した第1の偏光板3を通過した偏光光線は、略180°回転して液晶層6を通過する。この偏光光線は偏光方向が反射偏光板9の透過軸33の方向を有しているので、反射されることなく通過する。即ち、高い透光性を有する。
図6の右半分に、上電極5bと下電極7bの間に電圧を与えて中央領域の液晶層6を電界方向、即ち基板表面に対して垂直方向に立ち上げた状態を示す。液晶分子19が立ち上がっているために、見かけ上液晶層6の複屈折性が消失、又はきわめて小さくなる。その結果、液晶層6においては偏光方向が回転することなく反射偏光板9に達する。反射偏光板9の透過軸33方向を向いの偏光光線が入射するので、その光は通過する。即ち、高い透光性を有する。
一方、9時3時方向の傾斜角を有する視角入射光43bは、第1の偏光板3を通過して第1の偏光板の透過軸30方向の偏光光線に変換される。この偏光方向は12時6時方向を有している。このため、視角入射光43bが大きな傾斜角をもって入射した場合であっても、視角入射光43bの電界ベクトルは上基板4及び下基板8の内表面近傍に位置する液晶分子19の配向方向と同じ方向となる。そのため、上基板4及び下基板8に位置する液晶分子19に対する見かけ上の複屈折率は維持される。従って、液晶層6を通過した偏光光線は回転し、反射偏光板9に到達した偏光光線は反射偏光板9の透過軸33に対して直角方向の9時3時方向の成分を有することになる。その結果、反射偏光板9により、9時3時方向の偏光光線は反射されて上方へ照射される。
以上をまとめると、9時3時方向の傾斜角を有する視角入射光が入射した場合には、電圧オフでは反射されないが、電圧オンでは反射される。従って、視角制御素子2の上方が明るい場合には、その上方の明るさが視角制御素子2により反射されることになる。
図7は、本発明を適応した携帯機器である電子手帳50の視角特性を説明する説明図である。電子手帳50の表示面51には、視角制御素子2と液晶表示素子1が積層された表示装置が設置されている。同一の部分や同一の機能を持つ部分には同一符号を付した。電子手帳50に設置された視角制御素子2は、その上電極と下電極間に電圧を印加しないときは9時方向、3時方向、正面方向のいずれの方向においても高い透過率特性を有する。そのために、その下部に設置された液晶表示素子に表示された文字や画像をどの方向からも判読又は認識することができる。視角制御素子2の上電極と下電極との間に電圧を印加すると、12時6時方向である正面方向においては高い透過率特性を示す。しかし、9時方向及び3時方向においては透過率が低下すると共に、外光の反射率が高くなる。その結果、下部に配置した液晶表示素子に表示されている画像や文字が暗くなり、加えて外光反射が高くなって当該画像や文字の視認性が悪化し、判読が困難となる。
図8は、視角制御素子2の9時3時方向の透過率対視角依存性を表している。視角制御素子2は図1で示したものを用いた。横軸が視角(°)を表し、縦軸が透過率(%)を表している。ここで視角とは、視角制御素子2の表面に垂線を立て、その垂線から9時又は3時方向に傾けた時の傾き角をいう。同図中、実線が視角制御素子に電圧を印加しないときの透過率特性を表し、破線が電圧を印加したときの透過率特性を現している。
電圧オフ時の透過率を電圧オン時の透過率で除した比を透過コントラスト比とすると、視角が−10°〜+10°の範囲で、透過コントラスト比は1.2:1以下となる。またこの範囲では、電圧オン、オフいずれの場合も透過率が30%以上である。これに対して視角が±30°以上になると電圧オン時の透過率が急激に低下する。透過コントラスト比は、視角が+30°で2:1、+40°で4.4:1、+50°で15:1、+60°で13:1、+70°で4.5:1となる。また、視角が−30°では2.5:1、−40°では6.6:1、−50°では30:1、−60°では11.6:1、−70°では4:1となる。即ち、視角が+40°〜+70°及び−40°〜−70°の範囲では、いずれの角度においても透過コントラスト比は3:1以上となっている。このように、本発明によれば、従来例である図11(b)と比較しても、広い視角範囲で高い透過コントラスト比が得られることが理解できる。
図9は、視角制御素子2の9時3時方向の反射率対視角依存性を表している。視角制御素子2は上記図8の場合と同じである。横軸が視角(°)を表し、縦軸が反射率(%)を表している。視角の定義は上記図8と同じである。図9中、実線が視角制御素子2に電圧を印加しないときの反射率特性を現し、破線が電圧を印加したときの反射率特性を現している。視角が−10°〜+10°の範囲では電圧オン、電圧オフにかかわらず反射率は5%以下と低い。これに対して、視角が±20°を超えると、電圧オン時の反射率が急激に高くなる。電圧オン時の反射率から電圧オフ時の反射率を引いた反射率差とする。視角が30°では反射率差が17%、40°では26%、50°では29.5%、60°では26%、−30°では20.5%、−40°では28.5%、−50°では30%、−60°では25%である。即ち、視角が+40〜+60°及び−40〜−60°の範囲のいずれの角度においも反射率差は20%以上を有している。即ち、視角制御素子2の電圧をオンすると、9時3時方向の斜め方向から表示を見ようとしても外光反射が強くなり、表示の視認性が悪化することが理解できる。
図10は、本実施例の本実施例の液晶表示装置を模式的に示す断面図である。図示するように、視角制御素子2の下部に設けた表示装置である液晶表示素子1が設けられた構造である。ここで、前述の説明と同一部分、同一の機能を有する部分には同一の符号を付した。本実施例が実施例1と異なる部分は、下基板8の下部に設けた反射偏光板9に、光拡散層である拡散のり25を設け、液晶表示素子1側に設置した点にある。拡散のり25を設けることにより、9時3時方向の外光反射がより強調されるので、これらの方向からの表示の視認性をより低下させることができる、という利点を有する。その他の構成については、図1において既に説明したとおりである。
なお、以上の各実施例において、視角制御液晶セル22として、180°ツイスト型の液晶セルを用いたが、これに代えて、一方の基板の内表面において液晶分子19が水平配向し、他方の基板の内表面において液晶分子が垂直配向するハイブリット型の液晶セルを用いることができる。なお、視角制御素子2の下部に設置する表示装置は、TFT液晶表示装置に限定されない。通常の単純マトリックス型の液晶表示装置や、ダイオードからなる2端子素子を各画素に構成したTFD液晶表示装置、あるいは、EL発光素子を用いた表示装置やプラズマディスプレイなどを使用することができる。ここで、透光性基板としてガラス基板が使用できる。また、ガラス基板の他に透光性プラスチック等を使用することができる。電極は、ITO(インジウム、スズ酸化物)やIZO(インジウム、ジルコン酸化物)を使用する。ITOやIZOはスパッタリング法や蒸着法により透光性基板上に堆積させて形成する。液晶は、ネマティク液晶を使用する。
1 液晶表示素子
2 視角制御素子
3 第1の偏光板
4 上基板
5 上電極
6 液晶層
7 下電極
8 下基板
9 反射偏光板
10 第2の偏光板
11 表示用上基板
12 カラーフィルタ
13 表示用上電極
14 表示用液晶層
15 表示用下電極
16 表示用下基板
17 第3の偏光板
18 バックライト
2 視角制御素子
3 第1の偏光板
4 上基板
5 上電極
6 液晶層
7 下電極
8 下基板
9 反射偏光板
10 第2の偏光板
11 表示用上基板
12 カラーフィルタ
13 表示用上電極
14 表示用液晶層
15 表示用下電極
16 表示用下基板
17 第3の偏光板
18 バックライト
Claims (7)
- 画像を表示する表示素子と、前記表示素子の表示面に隣接して配置され、前記表示素子の視角を制御する視角制御素子を備える液晶表示装置において、
前記視角制御素子は、一対の透光性基板の間に挟持された液晶層に電圧を印加するための一対の電極を備えた液晶セルと、前記液晶セルを挟むように配置された偏光板及び反射偏光板を備え、
前記一対の電極に印加する電圧により前記表示素子の視角を制御することを特徴とする液晶表示装置。 - 前記偏光板の透過軸と前記反射偏光板の透過軸とは略同一の方向を向いていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
- 前記液晶層の液晶分子は略180°ツイストしていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
- 前記偏光板の透過軸と前記偏光板側に位置する透光性基板の内表面近傍における液晶分子の配向方向とは略同一であり、前記反射偏光板の透過軸と前記反射偏光板側に位置する透光性基板の内表面近傍における液晶分子の配向方向とは略同一であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 前記偏光板の透過軸に直交する面内であって前記液晶セルの表面の垂線に対して角度がθ傾いた方向を視角θとし、前記偏光板、前記液晶セル及び前記反射偏光板を通過する透過光について前記一対の電極に一定電圧を印加したときと印加しないときとの透過率比を透過コントラスト比で表した場合に、前記視角θが−10°〜+10°の間のいずれの角度においも透過コントラスト比が1.2対1以下であり、前記視角θが+40°〜+70°及び−40°〜−70°の範囲のいずれの角度においても透過コントラスト比が3対1以上を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 前記偏光板の透過軸に直交する面内であって前記液晶セルの表面の垂線に対して角度がθ傾いた方向を視角θとし、前記偏光板の側から入射した光が前記偏光板の側から反射される反射光について前記一対の電極に一定電圧を印加したときと印加しないときとの反射率の差を反射率差として表した場合に、前記視角θが+40°〜+60°及び−40°〜−60°の範囲のいずれの角度においても反射率差が20%以上を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 前記液晶セルと前記反射偏光板との間に光拡散層を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006283426A JP2008102236A (ja) | 2006-10-18 | 2006-10-18 | 液晶表示装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006283426A JP2008102236A (ja) | 2006-10-18 | 2006-10-18 | 液晶表示装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2008102236A true JP2008102236A (ja) | 2008-05-01 |
Family
ID=39436623
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2006283426A Pending JP2008102236A (ja) | 2006-10-18 | 2006-10-18 | 液晶表示装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2008102236A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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WO2017118056A1 (zh) * | 2016-01-08 | 2017-07-13 | 京东方科技集团股份有限公司 | 背光源和显示装置 |
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WO2023221190A1 (zh) * | 2022-05-20 | 2023-11-23 | 武汉华星光电技术有限公司 | 防窥膜及显示装置 |
-
2006
- 2006-10-18 JP JP2006283426A patent/JP2008102236A/ja active Pending
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