以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.画像形成装置の構成]
図1に左側面図を示すように、画像形成装置1は、カラー用電子写真式プリンタであり、用紙Pに対し所望のカラー画像を印刷するようになっている。この画像形成装置1は、略箱型に形成された筐体2の内部に種々の部品が配置されている。以下では、図1における右端部分を画像形成装置1の正面とし、この正面と対峙して見た場合の上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義した上で説明する。
この筐体2の前側部分には、フロントカバー3が設けられている。カバー部材としてのフロントカバー3は、筐体2の前面のうち、上側の約10%の範囲及び下側の約20%の範囲を除いた中央部分を占めている。またフロントカバー3の下端近傍における後側には、フロントカバー回動軸3Xが設けられている。フロントカバー回動軸3Xは、左右方向に沿った中心軸を回動中心として、筐体2に対しフロントカバー3を回動させ得るように支持している。
このためフロントカバー3は、図2(A)に示した閉塞状態において、筐体2の前側部分を閉塞し、該筐体2の内部を外部から遮蔽する。その一方でフロントカバー3は、図2(B)に示す開放状態において、該筐体2の前側部分を開放し、その内部を外部と連通させることができる。
画像形成装置1は、筐体2内に設けられた制御部5により全体を統括制御するようになっている。制御部5は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、印刷に関する種々の処理を行う。また制御部5は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
筐体2(図2(A))の上面における前側には、例えば液晶パネル等の表示デバイスでなり、制御部5の制御に基づいて文字や画像等により情報を表示する表示部7と、例えば方向ボタンやOKボタン及びキャンセルボタンのような複数の操作ボタンの組合せでなり、使用者の操作指示を受け付けて制御部5に通知する操作部8とが設けられている。
筐体2(図1)内の最下部には、紙葉状の記録媒体である用紙Pを収容する給紙カセット10が設けられている。給紙カセット10は、例えば中空の直方体状に形成されており、上面が開放されている。因みに用紙Pは、例えばA4サイズにカットされた、いわゆるカット紙となっている。
給紙カセット10の前上方には、用紙繰出部11が設けられている。用紙繰出部11は、複数のローラや図示しない給紙モータ等により構成されている。この用紙繰出部11は、各ローラを適宜回転させることにより、給紙カセット10に収納されている用紙Pのうち最上面の1枚のみを他の用紙Pから分離し、前斜め上方へ繰り出す。
用紙繰出部11の前側ないし上側には、用紙Pを搬送する下搬送部12が設けられている。下搬送部12は、用紙Pを案内する搬送ガイドや、該用紙Pに駆動力を伝達する搬送ローラ対等により構成されている。この下搬送部12は、用紙繰出部11から引き渡される用紙Pを前上方へ進行させてから後斜め上方向へ折り返すような搬送路Wに沿って進行させ、後側の中搬送部13に引き渡す。
中搬送部13は、前側及び後側にそれぞれ配置されたプーリの周囲を周回するように、無端ベルトでなる搬送ベルト14が張架されている。搬送ベルト14のうち上側の部分は、前下側と後上側とを結ぶ斜め方向に沿った搬送路Wを構成している。この搬送ベルト14は、図示しないモータからの駆動力によりプーリが回転されると、上側部分を後方へ進行させるように走行する。すなわち中搬送部13は、下搬送部12から用紙Pが送り出されると、これを搬送ベルト14の上側部分に載せ、搬送路Wに沿って後斜め上方向へ搬送する。
中搬送部13の上側には、前下側から後上側へ向けて斜め方向に並ぶように、4個のイメージドラムユニット15K、15Y、15M及び15C(以下これらをまとめてイメージドラムユニット15と呼ぶ)が配置されている。各イメージドラムユニット15は、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の各色にそれぞれ対応しているものの、対応する色以外については互いに同様に構成されている。
画像形成部としてのイメージドラムユニット15は、多数のLED(Light Emitting Diode)が左右方向に沿って配置されたLEDヘッドや、周側面が帯電可能であり光の照射に応じて帯電状態を変化させる感光体ドラム、現像剤としてのトナーを感光体ドラムの周側面に付着させる現像ローラ等を有している。
イメージドラムユニット15の上側には、トナー搬送部16が配置されている。さらにトナー搬送部16の上側における前側の約2/3の範囲には、左右方向に沿って並ぶように4個のトナーカートリッジ17K、17Y、17M及び17C(以下これらをまとめてトナーカートリッジ17と呼ぶ)が配置されている。現像剤収容器としての各トナーカートリッジ17には、各イメージドラムユニット15が対応する色と同一のブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)のトナーがそれぞれ収容されている(詳しくは後述する)。
トナー搬送部16は、管状に形成された部材を中心に構成されており、互いに対応する色のトナーカートリッジ17及びイメージドラムユニット15の間をそれぞれ接続している。このトナー搬送部16は、制御部5の制御に基づき、トナーカートリッジ17からイメージドラムユニット15へトナーを搬送する。
イメージドラムユニット15は、制御部5の制御に基づき、形成すべき画像に応じた照射パターンでLEDヘッドを発光させ、感光体ドラムの周側面に帯電画像を形成し、これにトナーを付着させてトナー画像を形成する。さらにイメージドラムユニット15は、搬送ベルト14により搬送路Wに沿って搬送されてくる用紙Pに対し、トナー画像を転写させる。
トナー搬送部16の上側における後側の約1/3の範囲には、駆動部19が配置されている。駆動部19は、例えば複数のモータやギア等が組み込まれており、制御部5の制御に基づいて駆動力を発生させ、これを中搬送部13や各イメージドラムユニット15等へ供給することにより、各種ローラやプーリ、或いはドラム等を適宜回転させる。
中搬送部13及びイメージドラムユニット15の後側には、定着部20が配置されている。定着部20は、搬送路Wの下側及び上側に加熱ローラ21及び加圧ローラ22がそれぞれ配置されている。加熱ローラ21は、内蔵されたヒータにより加熱されると共に、その周側面を図の反時計回りに回転させる。加圧ローラ22は、加熱ローラ21に押し付けられており、その周側面を図の時計回りに回転させる。
この定着部20は、加熱ローラ21を加熱させた上で、該加熱ローラ21及び加圧ローラ22を回転させることにより、搬送路Wに沿って搬送されてくる用紙Pを引き続き該搬送路Wに沿って後斜め上方へ搬送しながら、該用紙Pに熱及び圧力を加えてトナー画像を定着させる。
説明の都合上、以下では、搬送路Wのうち、搬送ベルト14の上側部分及び定着部20に沿った直線状の部分、すなわち後方向へ進むに連れて上昇するように傾斜した部分を中傾斜搬送路WSとも呼ぶ。この中傾斜搬送路WSは、水平方向に対する傾斜角度が約10度となっている。
定着部20の後側ないし上側には、上搬送部23が配置されている。上搬送部23は、下搬送部12と同様、用紙Pを案内する搬送ガイドや、該用紙Pに駆動力を伝達する搬送ローラ対等により構成されている。この上搬送部23は、定着部20から引き渡される用紙Pを後上方へ進行させてから前斜め上方向へ折り返すような搬送路Wに沿って進行させ、排出口24から排出して前側の載置トレイ25上に載置させる。載置トレイ25は、筐体2の上面に形成されており、排出口24の近傍が下方にえぐられると共に、前方へ進むに連れて徐々に上昇するように傾斜されている。
また上搬送部23、定着部20及び中搬送部13の下側には、両面搬送部26が配置されている。両面搬送部26は、下搬送部12等と同様、用紙Pを案内する搬送ガイドや、該用紙Pに駆動力を伝達する搬送ローラ対等により構成されている。この両面搬送部26は、上搬送部23内に設けられた切替器により用紙Pが引き渡された場合、この用紙Pを下方向ないし前方向へ搬送し、下搬送部12に引き渡す。これにより両面搬送部26は、用紙Pが1回目に中搬送部13等により搬送された姿勢から紙面を反転させた状態で、該用紙Pを再び中搬送部13等により搬送させることができる。
かくして画像形成装置1は、用紙Pを搬送路Wに沿って搬送すると共に、トナーカートリッジ17に収容されているトナーを消費してイメージドラムユニット15によりトナー画像を形成し、これを用紙Pに転写した後、定着部20により定着させることにより、印刷処理を行う。
[2.トナーカートリッジの構成]
次に、トナーカートリッジ17の構成について説明する。各トナーカートリッジ17は、画像形成装置1(図1)に設けられた着脱部18に対して着脱自在に構成されている。着脱部18は、前側が解放されて開口部18Aを形成しており、各トナーカートリッジ17をそれぞれ装着させるための4個のスロットを有している。このため着脱部18は、フロントカバー3が開放され開口部18Aが開放された状態(図2(B))において、各トナーカートリッジ17が挿抜される。具体的に着脱部18は、図2(C)に示すように、開口部18Aから各トナーカートリッジ17が挿入されることにより装着され、また各トナーカートリッジ17が該開口部18Aから前方へ引き出されることにより離脱される。
図3に斜視図を示すように、トナーカートリッジ17は、外周を囲む筐体30を中心に構成されている。筐体30は、全体として概ね前後方向に長い直方体状に形成されている。ただし筐体30は、図1に模式的な側面図を示したように、着脱部18に装着された姿勢(以下これを装着姿勢と呼ぶ)において、底面30Bが水平ではなく、前側よりも後側の方が高くなるよう傾斜している。換言すれば、底面30Bは、トナーカートリッジ17が着脱部18に装着された状態において、開口部18Aの側から定着部20の側に向けて上方に傾斜している。
トナーカートリッジ17が装着姿勢である場合における、底面30Bの水平面に対する傾斜角度は、トナー搬送部16の上側部分における傾斜角度や、各イメージドラムユニット15の上面を前後方向に結ぶ仮想的な仮想上面線15X、及び中搬送部13の上側における中傾斜搬送路WSの傾斜角度とそれぞれ略同等となっている。換言すれば、画像形成装置1では、中搬送部13及びこれと対向する各イメージドラムユニット15が傾斜していることに応じて、トナー搬送部16も傾斜し、これに合わせてトナーカートリッジ17における筐体30の底面30Bも傾斜している。
また筐体30(図3)は、装着姿勢において、上面30Tにおける前端から約2/3の範囲である上面前部30TFも、底面30Bとほぼ平行に傾斜されている。さらに筐体30は、装着姿勢において、上面30Tにおける後端から約1/3の範囲である上面後部30TRにおいて、載置トレイ25の形状に合わせるようにして、底面30Bや上面前部30TFとは反対に、前側よりも後側の方が低くなるように傾斜している。
換言すれば、筐体30は、装着姿勢を左右方向から見た場合(図1)、前後方向に長く後側が高められた平行四辺形から、後上端近傍を斜めに切り落としたような形状となっている。
筐体30の前面30F、すなわち底面30Bのうち傾斜方向の下側に位置する側面には、把持部31が設けられている。把持部31は、左右方向に関して前面30Fの略中央に位置しており、該前面30Fから前方に向けて垂設された接続部31Aと、該接続部31Aの前側に設けられ該接続部31Aよりも左右方向に長く形成された前端部31Bとにより構成されている。換言すれば、把持部31は、トナーカートリッジ17が装着姿勢である場合における底面30Bの傾斜方向のうち水平成分(すなわち前後方向)と水平面内で直交する左右方向(以下これを幅方向とも呼ぶ)に関し、略中央に位置している。
図4(A)に模式的な断面図を示すように、筐体30は概ね一様な厚さの板状部材を適宜繋ぎ合わせて外殻を形成したように構成されており、その内部に収容空間30SA及び伝達空間30STが形成されている。収容空間30SAは、外部の空間に対して概ね密閉されているものの、底面30Bにおける後端近傍に、収容空間30SAと外部の空間とを連通させるトナー供給口32(以下これを排出口とも呼ぶ)が設けられている。
これを換言すれば、トナー供給口32は、装着姿勢のトナーカートリッジ17において、底面30Bのうち高さ方向に関する中央よりも上側に位置する部分であり、収容空間30SAの底面のうち最も高い箇所である後端の直近に設けられている。また他の観点から見れば、トナー供給口32は、トナーカートリッジ17が着脱部18に装着されている場合に(図1)、前後方向に沿って長い形状である収容空間30SAのうち、発熱源である定着部20に比較的近い後端近傍に配置されている。
一方、トナー搬送部16は、トナーカートリッジ17が着脱部18に装着された状態における該トナー供給口32と対向する部分に、トナー受取口40が設けられている。このためトナー搬送部16は、トナーカートリッジ17が着脱部18に装着されると、トナー供給口32をトナー受取口40と嵌め合わせ、収容空間30SAと該トナー搬送部16内の空間とを連通させる。
因みにトナーカートリッジ17のトナー供給口32には、図示しないシャッタが設けられている。このシャッタは、トナーカートリッジ17が着脱部18に装着される場合にはトナー供給口32を開放し、該トナーカートリッジ17が該着脱部18から離脱される場合には該トナー供給口32を閉塞するようになっている。またトナー供給口32は、底面30Bよりも下方には突出しておらず、該底面30Bと同一の平面上若しくはこれよりも上側にその下端を位置させている。
また筐体30内の収容空間30SAにおける下端近傍には、トナー送給体33が設けられている。このトナー送給体33は、筐体30内において、開口部18A(図1)側からトナー供給口32側に延在している。トナー送給体33は、概ね前後方向に沿った細長い円柱状の軸体33Aと、該軸体33Aの周囲に形成された螺旋状の円板(いわゆるフランジ)であり該軸体33Aの軸方向に沿って連続するように形成された螺旋体33Bとにより構成されている。軸体33Aは、後端において、筐体30に設けられた軸受部34により回転可能に支持されている。さらに軸体33Aの後端は、伝達空間30ST内に位置している。
伝達空間30STは、筐体30における収容空間30SAの後側に形成されており、該収容空間30SAから遮蔽された空間となっている。伝達空間30STには、複数のギア等の組合せでなる伝達部35が設けられており、トナー送給体33における軸体33Aの後端に取り付けられた送給ギア(図示せず)と歯合されている。
図4(B)に示すように、トナーカートリッジ17の収容空間30SAには、トナーTNが収容される。トナーTNは、粉体であるため、収容空間30SA内において、重力の作用により、上面を概ね水平とするように分布する。すなわちトナーTNは、トナーカートリッジ17が着脱部18に装着され、底面30Bの前端が後端よりも下方に位置するよう傾斜している場合、収容空間30SA内において、前側部分により多くの割合を分布させることになる。
またトナーカートリッジ17は、着脱部18に装着されると、駆動部19に設けられた所定のギア(図示せず)を伝達部35のギアと歯合させる。このためトナーカートリッジ17は、駆動部19から伝達部35に駆動力が伝達されると、この駆動力をトナー送給体33に伝達し、軸体33Aを中心として螺旋体33Bを回転させる。これによりトナーカートリッジ17は、収容空間30SA内において、収容されているトナーTNを、その多くが分布する前下側から底面30Bの傾斜面に沿って後斜め上方向へ、すなわちトナー供給口32の近傍へ順次送ることができる。換言すれば、トナー送給体33は、回転することにより、収容空間30SA内のトナーTNを、開口部18A(図1)側からトナー供給口32側へ送ることができる。
かくしてトナーカートリッジ17は、トナー供給口32からトナーTNを排出し、該トナー供給口32と対向するトナー受取口40からトナー搬送部16にトナーTNを順次供給することができる。これに応じてトナー搬送部16は、トナーカートリッジ17から受け取ったトナーTNを順次搬送することにより、該トナーTNをイメージドラムユニット15へ順次供給し、トナー画像の形成に使用させることができる。
ところでトナーカートリッジ17は、着脱部18に装着される場合又は該着脱部18から離脱される場合、上述した装着姿勢、若しくはこれに近い姿勢となる。このときトナーカートリッジ17における重心点Gの位置は、収容空間30SAに収容しているトナーTNの分布に大きく依存する。
図4に示したようにトナーカートリッジ17が装着姿勢である状態において、収容空間30SAは、底面30Bの前側が後側よりも下方に位置するように傾斜している。このため、トナーカートリッジ17の収容空間30SAに収容されるトナーTNは、前側よりも後側の方に多く分布することになる。
これに伴い、トナーカートリッジ17における重心点Gの位置は、図5(A)及び(B)に示すように、左右方向に関して略中央であり、前後方向に関して中央よりも前寄りであり、上下方向に関して中央よりもやや下寄りとなる。すなわちトナーカートリッジ17における重心点Gは、前後方向に関して把持部31から比較的近い箇所に位置しており、且つ左右方向に関する位置が該把持部31の中心と同等に揃えられている。
[3.効果等]
以上の構成において、本実施の形態による画像形成装置1(図1)は、後方へ向かうに連れて上昇するように傾斜する中傾斜搬送路WSに沿って、長手方向を左右方向に沿わせた4個のイメージドラムユニット15を整列配置し、トナー搬送部16を挟んだ上側に、4個のトナーカートリッジ17を配置した。
また画像形成装置1では、4個のトナーカートリッジ17について、長手方向を概ね前後方向に沿わせ、詳細には前下側と後上側とを結ぶ斜め方向に沿わせて、且つ底面30Bを中傾斜搬送路WSと略平行に傾斜させた装着姿勢として、左右方向に沿って整列するように配置した(図2(B))。
これにより画像形成装置1は、特許文献1のようにトナーカートリッジ17の長手方向を左右方向に沿わせて配置する場合と比較して、該トナーカートリッジ17の最大長(すなわち前後方向の長さ)を短く抑えて使用者による取り扱いを容易にしながら、十分な収容量を確保することができる。
さらに画像形成装置1では、トナーカートリッジ17を4個のイメージドラムユニット15の上側における前寄りに配置した(図1)。これにより画像形成装置1では、使用者に筐体2のフロントカバー3を開放させるだけで、着脱部18の前側部分を露出させ、トナーカートリッジ17を着脱させることができる。
そのうえトナーカートリッジ17(図4)は、開口されているトナー供給口32を、装着姿勢において傾斜している底面30Bにおける中央よりも上側であり、収容空間30SAの底面のうち最も高い箇所である後端の近傍に配置した。このためトナーカートリッジ17は、装着姿勢においてトナー供給口32の上方に堆積するトナーTNを比較的少なく抑えることができる。
これによりトナーカートリッジ17では、トナー供給口32を底面30Bの前側、すなわち傾斜面の下側に設ける場合と比較して、トナー供給口32の近傍に位置するトナーTNに対して上側に堆積しているトナーTNの自重が作用することによる凝集を抑えることができる。この結果、画像形成装置1では、トナーカートリッジ17から微細な粉末の状態のままトナーTNをトナー搬送部16に引き渡すことができ、イメージドラムユニット15においてこのトナーTNにより良好な画質のトナー画像を形成できる。
またトナーカートリッジ17は、着脱部18に対する着脱時等に、シャッタ(図示せず)によるトナー供給口32の閉塞が不完全でありトナーTNが収容空間30SAから外部へこぼれたとしても、トナー供給口32を底面30Bにおける前側等に配置した場合と比較して、こぼれるトナーTNの量を十分に少なく抑えることができる。さらにトナーカートリッジ17では、装着姿勢であれば、トナー供給口32が傾斜面の上側である後側に位置しているため、前側に収容されているトナーTNが傾斜面に沿って後側へ移動する恐れも無く、こぼれるトナーTNの量を効果的に抑制できる。
他の観点から見れば、画像形成装置1は、トナーカートリッジ17が着脱部18に装着され装着姿勢となった場合に、底面30Bのうち下方に位置する前側にトナーTNの多くを分布させるようにした(図1)。これにより画像形成装置1は、トナーカートリッジ17の収容空間30SA(図4)のうち発熱源である定着部20から最も遠い部分に多くのトナーTNを位置させることができる。この結果、画像形成装置1では、定着部20の近傍に多くのトナーTNを位置させる場合と比較して、該トナーTNが熱により劣化する度合を格段に低く抑えることができる。
さらに別の観点から見れば、画像形成装置1は、収容空間30SA内においてトナー送給体33によりトナーTNを前方から後方へ送り、該収容空間30SAの後端近傍に位置するトナー供給口32の付近にあるトナーTNをトナー搬送部16に供給し、トナー画像の形成に使用して消費する。このため画像形成装置1は、定着部20から最も近く熱の影響を受けやすい後端近傍にトナーTNが滞留する時間を短く抑えることができ、一部のトナーTNが後端近傍に長時間滞留して熱により大きく劣化することを回避できる。
また画像形成装置1では、イメージドラムユニット15及びトナー搬送部16の上側において、トナーカートリッジ17の後端を定着部20からやや前方へ離れた箇所に位置させ、該トナーカートリッジ17及び該定着部20の間に駆動部19を配置した(図1)。このため画像形成装置1では、トナーカートリッジ17の後端を定着部20の近傍に配置する場合と比較して、該定着部20の熱がトナーカートリッジ17内のトナーTNに及ぼす影響を大幅に軽減させることができる。
これに加えてトナーカートリッジ17では、収容空間30SAの後側に伝達空間30STを配置した(図4)。これにより画像形成装置1は、収容空間30SAの前側や上側等に伝達空間30STを配置する場合と比較して、収容空間30SAの後端部分を定着部20から引き離し得ると共に、該伝達空間30STを熱の伝達を緩和するための空間としても機能させることができる。
さらにトナーカートリッジ17は、トナー供給口32の下端を、底面30Bと同一の平面上若しくは該底面30Bよりも上側に配置した(図4)。このため画像形成装置1の着脱部18では、トナーカートリッジ17の底面30Bと対向する内側面を平坦に形成すれば良く、トナー供給口32との干渉や衝突を回避するための複雑な形状を設ける必要がない。
そのうえトナーカートリッジ17は、傾斜している底面30Bのうち下方に位置する前側に把持部31を設けた(図3等)。このためトナーカートリッジ17では、底面30Bを前後反対に傾斜させた場合と比較して、収容空間30SA内に収容されているトナーTNの分布に大きく影響を受ける重心点G(図5)と、使用者により把持される把持部31とを近づけることができる。これによりトナーカートリッジ17は、使用者に把持部31を把持させて着脱部18に位置を合わせて装着させる場合に、発生するモーメントを小さく抑えることができるので、軽微な力により容易に位置を合わせて装着させることができる。
またトナーカートリッジ17は、重心点Gを、左右方向に関して略中央に位置させた(図5(A))。これにより画像形成装置1では、着脱部18にトナーカートリッジ17を装着させる場合や離脱させる場合に、把持部31の中心と重心点Gを結ぶ仮想的な直線を、該トナーカートリッジ17の進行方向である前後方向と一致させることができる。これにより画像形成装置1では、前後方向に移動するトナーカートリッジ17において、前後方向に沿った軸を中心とした回転(いわゆるロール)や上下方向に沿った軸を中心とした回転(いわゆるヨー)の動きを抑えて、左右方向に沿った軸を中心とした回転(いわゆるピッチ)の動きのみに制限でき、容易に着脱させることができる。
以上の構成によれば、画像形成装置1は、傾斜する中傾斜搬送路WSに沿って4個のイメージドラムユニット15を整列配置し、トナー搬送部16を挟んだ上側に、左右方向に沿って整列する4個のトナーカートリッジ17を配置した。トナーカートリッジ17は、長手方向を概ね前後方向に沿わせ、且つ底面30Bを中傾斜搬送路WSと略平行に傾斜させた装着姿勢として、該底面30Bのうち上側となる後端近傍にトナー供給口32を設けた。これにより画像形成装置1は、トナーカートリッジ17の最大長を短く抑えて使用者に容易に取り扱わせ得ながら十分な容量を確保でき、且つ定着部20において発生する熱によるトナーTNの劣化を最小限に抑えることができる。
[4.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、筐体30の前面30Fから前方へ突出した位置に把持部31を設け、且つ該把持部31を接続部31A及び前端部31Bにより構成する場合について述べた(図3)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば前面30Fの前方に種々の形状でなる把持部を設けても良く、或いは前面30Fや左右の側面等に窪みを形成して把持部を設けても良い。要は、着脱部18に装着され、若しくは該着脱部18から離脱されるトナーカートリッジ17を、使用者に容易に把持させ得れば良い。
また上述した実施の形態においては、トナーカートリッジ17の底面30Bにおける後端近傍にトナー供給口32を設ける場合について述べた(図4)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばトナーカートリッジ17の底面30Bにおける前後方向の中央付近にトナー供給口を設けても良く、或いは例えばトナーカートリッジ17の後面における下端にトナー供給口を設けても良い。要は、底面30Bのうち前側部分、すなわち収容空間30SA内において多くのトナーTNが分布する部分の下側よりも高い箇所にトナー供給口32を設けることにより、トナーTNがこぼれた場合にその量を抑えることができれば良い。
さらに上述した実施の形態においては、トナーカートリッジ17の前側に駆動部19を配置する場合について述べた(図1)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば中搬送部13の下側等、他の箇所に駆動部19を配置しても良い。この場合、トナーカートリッジ17を後方に延長して収容空間30SAの容量を拡張することができる。
さらに上述した実施の形態においては、トナーカートリッジ17における上面30Tの後側部分である上面後部30TRを、後側が低くなるように傾斜させて載置トレイ25の形状に合わせる場合について述べた(図1)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば載置トレイ25をより上方に位置させた場合に、トナーカートリッジ17の上面後部30TRを上面前部30TFと連続した一様な平面状に形成しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、軸体33Aに螺旋体33Bを組み合わせた構成でなるトナー送給体33により、収容空間30SA内のトナーTNを後方へ、すなわちトナー供給口32へ送る場合について述べた(図4)。しかしながら本発明はこれに限らず、他の種々の構成により収容空間30SA内のトナーTNを後方へ送るようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、収容空間30SAの後側に伝達空間30STを配置する場合について述べた(図4)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば収容空間30SAの前側や上側等、他の種々の箇所に伝達空間30STを配置しても良い。また、例えば伝達空間30STを省略しても良い。この場合、例えば軸体33Aの後端に取り付けた送給ギア(図示せず)を筐体30の後面側に露出させておき、トナーカートリッジ17が着脱部18に装着された際に、この送給ギアを駆動部19のギアと歯合させれば良い。
さらに上述した実施の形態においては、中傾斜搬送路WSに沿ってイメージドラムユニット15を配置し、該イメージドラムユニット15の感光体ドラムから用紙Pに対してトナー画像を直接転写させる、いわゆる直接転写方式により印刷処理を行う場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば中間転写ベルトを設け、イメージドラムユニット15の感光体ドラムからトナー画像を中間転写ベルトに転写(1次転写)し、該中間転写ベルトから用紙Pにトナー画像を転写(2次転写)する、いわゆる中間転写方式又は2次転写方式により印刷処理を行うようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、4色(ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアン)にそれぞれ対応する4個のトナーカートリッジ17を着脱部18に装着する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば使用者がモノクロ印刷のみを行う場合に、左右方向に長い1個のトナーカートリッジ17を着脱部18に装着してブラックのトナーのみを着脱部18からイメージドラムユニット15Kに供給するようにしても良い。これにより、トナーカートリッジ17の交換頻度を格段に低下させ、使用者の手間を大幅に軽減させることができる。
さらに上述した実施の形態においては、現像剤収容器としてのトナーカートリッジに現像剤としてのトナーを収容する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばトナー及びキャリアを含む二成分現像剤を収容しても良い。要は、トナーカートリッジに収容する現像剤が、少なくともトナーを含むものであれば良い。
さらに上述した実施の形態においては、4個のイメージドラムユニット15を設けると共に4個のトナーカートリッジ17を着脱部18に装着させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、3個以下又は5個以上のイメージドラムユニット15を設けると共にこれと同数のトナーカートリッジ17を着脱部18に装着させるようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、例えばA4サイズ等のカット紙である用紙Pを順次搬送して印刷処理を行う画像形成装置1に本発明を適用する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばロール紙のような長尺紙等、種々の大きさの用紙に印刷処理を行う画像形成装置に本発明を適用しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、本発明をカラー用電子写真式プリンタでなる画像形成装置1に適用する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば複写機やファクシミリ装置、或いはMFP(Multi Function Peripheral)等、電子写真式の印刷機能を有する種々の装置に適用しても良い。
さらに本発明は、上述した実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
さらに上述した実施の形態においては、筐体としての筐体30と、底面としての底面30Bと、供給部としてのトナー供給口32とによって現像剤収容器としてのトナーカートリッジ17を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる筐体と、底面と、供給部とによって現像剤収容器を構成しても良い。