JP6975527B2 - 球状銀粉およびその製造方法、ならびに導電性ペースト - Google Patents
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Description
実施例1(図1)と比較例1(図5)とを対比すると、分級後において、実施例1では銀粒子が球に近い形状に維持できているのに対して比較例1では銀粒子同士の付着が生じてしまっている。この理由としては、特許文献2に記載の分級装置だと、分級ローター等の回転する駆動部(分級室)を備えており、表面活性の高い銀粒子を用いる場合、回転する駆動部への銀粒子の居着き等が生じたり、回転する駆動部に銀粒子が衝突するせいで銀粒子が球形状から歪に変形したりしたためと考えられる。
本発明の第1の態様は、
複数の銀粒子により構成される球状銀粉であって、
各々の前記銀粒子の表面には表面処理剤が存在しており、
前記球状銀粉においては、レーザー回折粒度分布測定法における累積50%粒子径D50が0.1μm以上2.0μm以下であり、累積90%粒子径D90及び累積10%粒子径D10に対する前記D50の比[(D90−D10)/D50]が2.0以下の関係を満たし、累積100%径Dmaxが5.0μm以下かつD50の7倍未満であり、球形度の平均値が1.0以上1.5以下であることを特徴とする球状銀粉である。
球形度の最大値が2.0以下である。
BET比表面積が1.0m2/g以上2.5m2/g以下である。
前記表面処理剤が脂肪酸およびその塩またはアゾール系化合物およびその誘導体の少なくともいずれかである。
複数の銀粒子により構成される球状銀粉の製造方法であって、
湿式還元法により得られた銀粒子を分級する分級工程を有し、
前記分級工程においては、分級装置において分級を行う分級室自体を回転させることなく分級を行い、レーザー回折粒度分布測定法における累積50%粒子径D50が0.1μm以上2.0μm以下であり、累積90%粒子径D90及び累積10%粒子径D10に対する前記D50の比[(D90−D10)/D50]が2.0以下の関係を満たし、累積100%径Dmaxが5.0μm以下かつD50の7倍未満であり、球形度の平均値が1.0以上1.5以下の球状銀粉を得ることを特徴とする球状銀粉の製造方法である。
球形度の最大値が2.0以下である。
前記分級工程の前に、
銀イオンを含有する水性反応系に還元剤を添加して銀粒子を還元析出させる還元工程と、
前記銀粒子の回収と洗浄を含む回収洗浄工程と、
前記回収洗浄工程後に前記銀粒子の乾燥と解砕を含む乾燥解砕工程と、
をさらに有する。
湿式還元法において使用する還元剤がホルマリン、ヒドラジンまたは水素化ホウ素ナトリウムの少なくともいずれかである。
前記分級工程においては、空気によって前記分級室内に旋回流を生じさせることにより前記銀粒子に対して分級を行う。
複数の銀粒子により構成される球状銀粉の製造方法であって、
湿式還元法により得られた銀粒子であって球形度の平均値が1.0以上1.5以下の銀粒子を分級する分級工程を有し、
前記分級工程においては、分級装置において分級を行う分級室自体を回転させることなく分級を行い、球形度の平均値が1.0以上1.5以下の球状銀粉を得ることを特徴とする球状銀粉の製造方法である。
前記分級工程前の各々の前記銀粒子の表面には表面処理剤が存在しており、前記表面処理剤が脂肪酸およびその塩またはアゾール系化合物およびその誘導体の少なくともいずれかである。
前記分級工程においては、空気によって前記分級室内に旋回流を生じさせることにより前記銀粒子に対して分級を行う。
複数の銀粒子により構成される球状銀粉であって、
前記球状銀粉においては、レーザー回折粒度分布測定法における累積50%粒子径D50が0.1μm以上2.0μm以下であり、累積100%径Dmaxが粒子径D50の7倍未満であり、球形度の平均値が1.0以上1.5以下であることを特徴とする球状銀粉である。
1.球状銀粉の製造方法
1−A)銀イオン分散液の調液工程
1−B)還元工程
1−C)分散剤の吸着工程
1−D)回収洗浄工程
1−E)乾燥工程
1−F)解砕工程
1−G)分級工程
2.球状銀粉
2−A)粒度分布
2−B)形状
2−C)BET比表面積
2−D)分級工程前の銀粉について
3.導電性ペースト
4.実施の形態による効果
5.変形例等
本実施形態における球状銀粉の製造工程は、銀イオン分散液の調液工程と、銀イオンを還元して銀粒子を析出させる還元工程と、析出した銀粒子に対して分散剤を吸着させる吸着工程と、回収(および洗浄)工程と、乾燥工程ならびに解砕工程と、分級工程とを含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。以下、各工程について説明する。
本工程においては、銀粉の基となる銀粒子を生成するための銀イオン分散液を調液する。
銀イオンを含有する水性反応系としては、硝酸銀、銀錯体又は銀中間体を含有する水溶液又はスラリーを使用することができる。
銀錯体を含有する水溶液は、硝酸銀水溶液又は酸化銀懸濁液にアンモニア水又はアンモニウム塩を添加することにより生成することができる。これらの中でも、銀粉が適当な粒径と球形状を有するようにするためには、硝酸銀水溶液にアンモニア水を添加して得られる銀アンミン錯体水溶液を使用するのが好ましい。
銀アンミン錯体中におけるアンモニアの配位数は2であるため、銀1モル当たりアンモニア2モル以上を添加する。また、錯体をある程度反応しやすくすべく、アンモニアの添加量は銀1モル当たりアンモニア8モル以下が好ましい。なお、還元剤の添加量を多くするなどの調整を行えば、アンモニアの添加量が8モルを超えても適当な粒径の球状の銀粒子を得ることは可能である。また、銀イオンを含有する水性反応系にpH調整剤を添加してもよい。pH調整剤としては、一般的な酸や塩基が使用することができ、例えば、硝酸、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。
本工程においては、還元剤により銀イオン分散液から銀を還元析出する。
還元剤としては、例えば、アスコルビン酸、亜硫酸塩、アルカノールアミン、過酸化水素水、ギ酸、ギ酸アンモニウム、ギ酸ナトリウム、グリオキサール、酒石酸、次亜燐酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドロキノン、ヒドラジン、ヒドラジン化合物、ピロガロール、ぶどう糖、没食子酸、ホルマリン、無水亜硫酸ナトリウム、ロンガリットなどが挙げられる。
これらの中で、ホルマリン、ヒドラジンまたは水素化ホウ素ナトリウムから選択される少なくとも1種が好ましい。
本工程においては、各銀粒子の表面に分散剤を吸着させる。
銀粉を還元析出させた後に分散剤を液中に添加することで銀粉表面へ分散剤を吸着させることができる。
分散剤の吸着工程における有機物の添加量は、銀粉質量に対して0.05質量%以上3.0質量%以下が好ましく、0.1質量%以上1.0質量%以下がより好ましい。
分散剤は単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
これらの中でも脂肪酸およびその塩またはアゾール系化合物およびその誘導体から選択される分散剤が好ましく、リシノール酸、オレイン酸、ステアリン酸、ベンゾトリアゾールから選択される分散剤がより好ましい。もっとも好ましくは親水基を有する脂肪酸およびその塩またはアゾール系化合物およびその誘導体から選択される分散剤であって、例えばリシノール酸やベンゾトリアゾール、その他にはアロイリット酸やヒドロキシステアリン酸である。親水基を有する脂肪酸およびその塩が好ましい理由は、後の分級工程にて説明する。
なお、各銀粒子の表面に分散剤を吸着させることから、この分散剤のことを以降、表面処理剤とも称する。
上記の各工程を経た上で、本工程において、得られた銀粒子を回収し、洗浄する。回収と洗浄とは互いに別工程としても複数回繰り返しても同時進行としても良い。
上記の還元工程を経て得られた銀粉には、大抵の場合、不純物が含有しているため洗浄する。ここで洗浄に用いられる洗浄溶媒としては、純水が好適である。
なお、回収及び洗浄の方式としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、デカンテーションなどが挙げられる。洗浄の終点は、洗浄後の水の電気伝導度を用いて判断するのが好適である。
本工程においては、回収洗浄工程後の銀粒子の集合体を乾燥する。
上記の回収洗浄工程後の銀粒子の集合体は多くの水分を含有したケーキとなっている。そのため、銀粒子を最終的に銀粉として使用可能とすべく、当該ケーキから水分を除去する必要がある。
水分除去の方法としては、空気を温める、乾燥した風を送る、減圧する、乾きやすい溶媒につける、圧縮空気で吹き飛ばす、遠心力で振り切るなどがあるが、減圧下で温めるのが簡易的である。乾燥温度は、銀粉同士の焼結を抑制可能な100℃以下とするのが好適である。
乾燥工程を経た後に銀粒子の集合体を解砕することが好ましい。なぜなら、乾燥後に得られた銀粒子の集合体を解砕した後に分級装置へ投入することにより分級効率があがるためである。なお、解砕の方法は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。一例を挙げると、例えば高速撹拌機による解砕が挙げられる。
また、乾燥と解砕が同時に行われても良い。銀粉に物理的な力が加わる水分除去の方法によっては、粉同士が固まらず別途解砕が必要とならない(解砕が同時にされる)場合もあるが、銀粉に物理的な力が加わらない水分除去の方法(例えば真空乾燥など)では水分を除去するにあたり粉は凝集して固まりの状態となりやすい。固まりとなった場合はこれをほぐすために解砕を行うのが非常に好ましい。
上記の乾燥工程と解砕工程とをまとめて乾燥解砕工程と称する。
本実施形態においては、上記の各工程を経た後の銀粒子に対し、本工程すなわち分級処理を行う際に、分級装置において分級を行う分級室自体を回転させることなく分級を行うことに特徴がある。
つまり、本実施形態においては、分級装置を、単なる分級のために使うのではなく、分級前後において各銀粒子の球形状を維持しつつ分級するための装置として使うのである。
その一方、回転する駆動部を持たない分級装置とは、分級ローターなどの回転する駆動部を持たず、複数の気流を導入して旋回流(自由渦)を発生させ、分級室内で粒子を旋回運動させて分級を行う分級装置である。分級装置の種類としては乾式の遠心力式が好ましく、分級室自体を回転させずに、空気によって分級室内に旋回流を生じさせることにより銀粒子に対して分級を行うのが好ましい。
回転する駆動部を持たない分級装置で分級をすることによって装置内部の機構が簡便になり、表面活性が高く付着性の強い微粒子の分級に対し好適である。
回転する駆動部を持たない乾式の分級装置としては、日清エンジニアリング社製のエアロファインクラシファイアーシリーズ、日本ニューマチック社製のマイクロスピンシリーズ、マツボー社製のエルボージェットシリーズ、セイシン企業社製のマイクロンクラッシファイアーシリーズなどを例示することができる。例えば日清エンジニアリング社製のエアロファインクラシファイアーシリーズだと、分級室自体を駆動させることなく、空気を分級室内に吹き込むことにより、分級室内にて空気を旋回させ、自由渦を発生させる。自由渦だと、回転する駆動部にて発生させる強制渦に比べてより高速な渦を作りやすく、より大きな遠心力を粒子に与えることが可能となる。そして、銀粒子に対して遠心力と空気抗力を与える。この二つの力により分級が行われて粗大粒子が除外されることに加え、銀粒子の形状を歪めずに済む。なお、例示した装置構成は、一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の装置を利用することができる。
各銀粒子の表面に吸着させる分散剤においては、疎水性の分散剤に比べて親水性の分散剤の方が、銀粒子の表面活性を高めることになる。これは、銀粒子としての付着性が強くなる、すなわち他物質(例えば分級室の内壁)に対して銀粒子がくっつきやすくなることを意味する。そうなると、分級工程にて分級装置における分級室に対する衝突や癒着、または銀粒子同士の衝突や癒着等々により、銀粒子の形状が変化しやすくなる。これを示すのが後述の比較例1(図5)である。後述の比較例1においては、分級室自体が回転しているため、銀粒子が分級室に対して衝突することにより歪み、さらには他の銀粒子とともにその歪みが生じさらには癒着が生じることにより図5に示す結果になったものと考えられる。つまり、親水性を有する分散剤を銀粒子に対して使用する場合、たとえ回収洗浄工程にて球状の銀粒子を回収できたとしても、その後の工程で球状が歪んでしまうおそれがある。
しかしながら、本発明の知見として述べたところであるが、銀粒子が球に近い形状を有するか否かは、分級工程により大きく左右される。そのため、分級工程において球状の銀粒子が歪むのを抑制可能な手法を採用することにより、最終的に球状銀粉を得ることができる。これは、疎水性の分散剤を使用したときはもとより、銀粒子を球状に維持しづらくなる親水性の分散剤を使用したとしても、本工程、すなわち分級室自体を回転させずに、空気によって分級室内に旋回流(自由渦)を生じさせることにより銀粒子に対して分級を行うという分級手法を採用することにより、分級工程後であっても球形度を高く維持した球状銀粉を得ることができる。
上記の手法により製造された球状銀粉は、主に、粒度分布、形状、BET比表面積に特徴がある。以下、各項目について説明する。
本実施形態における球状銀粉の粒度分布の各条件について説明する。ただその前に、本実施形態における粒度分布の定義を説明する。
本実施形態における球状銀粉の粒度分布は、レーザー回折粒度分布測定法(具体的には湿式レーザー回折式の粒度分布測定)により行うことができる。
湿式レーザー回折式の粒度分布測定においては、銀粉0.3gをイソプロピルアルコール30mLに加え、出力45Wの超音波洗浄器により5分間分散させる。次いで、分散液中の銀粉の粒度分布を、マイクロトラック粒度分布測定装置(日機装株式会社製、マイクロトラックMT3300EXII)を用いて測定する。測定結果をグラフ化し、銀粉の粒度分布の頻度と累積を求める。そして、累積10%粒子径をD10、累積50%粒子径をD50、累積90%粒子径をD90、累積100%粒子径をDmaxと表記する。
本実施形態における球状銀粉のレーザー回折式粒度分布測定法によるD50は、0.1μm以上2.0μm以下が好ましく、0.1μm以上1.5μm以下がより好ましく、0.3μm以上1.2μm以下が更に好ましい。D90及びD10に対するD50の比[(D90−D10)/D50]は2.0以下が好ましく1.8以下がより好ましい。また、Dmaxは5.0μm未満であり、かつD50の7倍未満であることが好ましい。
また、本実施形態の手法ならば比較的小さな粒径の銀粒子も一定数存在させることも可能であるため、D50は多少大きくなっても構わない。そのため、D50を0.4μm以上2.0μm以下(好ましくは1.2μm以下)としても構わない。
ちなみに、このように比較的小さな粒径の銀粒子も一定数存在させられる理由としては、上述の還元工程において、銀イオンを含有する水性反応系に還元剤を添加するという方式を採用しているからであり、水性反応系において銀粒子を還元析出させているためである。このように比較的小さな粒径の銀粒子も一定数存在させた上で、上述の分級工程、さらには銀粒子を球状に維持しづらくなるはずの親水性の分散剤を使用することにより、分級工程後であっても球形度を高く維持した球状銀粉を得ることができる上、より密に銀粒子を充填させることが可能となる。
本実施形態における球状銀粉の形状の各条件について説明する。ただその前に、本実施形態における形状(具体的には球形状における球形度)の定義を説明する。
本実施形態における球形度は、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察された粒子において、“最も長径部の径/最も短径部の径”を言う。
本実施形態の手法により得られる球状銀粉はその名の通り球状を有している。ここで、球状銀粉とは、粒子50個以上の球形度の平均値が1.5以下である銀粉のことを指す。
また、測定をした粒子の球形度の最大値が2.0以下であることがさらに好ましい。球形度の最大値が2.0以下であることで、ペーストでのライン形成時の、欠けや断線の恐れを無くすことができ、高い球形度を持った粒子を用いる事で緻密な配線を形成でき効率よく電気を流すことが可能となる。
本実施形態における球状銀粉のBET比表面積の条件について説明する。ただその前に、本実施形態におけるBET比表面積の定義を説明する。
球状銀粉のBET比表面積は、Macsorb HM−model 1210(MOUNTECH社製)を用いて窒素吸着によるBET1点法で測定することができる。なお、BET比表面積の測定において、測定前の脱気条件は60℃、10分間とした。
本発明において、球状銀粉のBET比表面積は1.0m2/g以上2.5m2/g以下
であり、1.2m2/g以上2.3m2/g以下であることが好ましい。BET比表面積が1.0m2/g以上ならば、球状銀粉における各銀粒子のサイズが適度な大きさとなり、微細配線の描画に適し、2.5m2/g以下ならば、導電性ペーストにした際の粘度を適度なものとすることが可能となり、導電性ペーストをわざわざ希釈する必要がなくなり、ひいては導電性ペースト中の銀濃度を高く維持でき、配線の断線等の発生を抑制可能となる。
なお、最終的に得られる球状銀粉は上記の各条件を備えさせるのが好ましく、上記の分級工程にかける前の銀粉においても上記の各条件を備えさせておくのが非常に好ましい。本発明の知見として述べたように、本実施形態においては、分級装置を、単なる分級のために使うのではなく、分級前後において各銀粒子の球形状を維持しつつ分級するための装置として使う。そのため、分級後のみならず分級前においても銀粉が上記の各条件を満たしておけば、分級前後において銀粒子が球状を維持できていることが明確となり、本発明の効果が際立つ。
本発明の導電性ペーストは、本発明の球状銀粉を含有し更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。その他の構成については上記の球状銀粉について述べた通りである。
本実施形態によれば、先に述べた効果とともに、主に以下の効果を奏する。
本実施形態においては、分級装置を、単なる分級のために使うのではなく、分級前後において各銀粒子の球形状を維持しつつ分級するための装置として使うことにより、粒径が適度に小さくかつ粗大粒子・凝集粒子を含まず、しかも各粒子が球に近い形状を有している球状銀粉を得ることができる。その結果、電子部品の小型化、導体パターンの高密度化やファインライン化に対応可能な球状銀粉を得ることが可能となり、ひいては導電性ペーストを得ることが可能となる。
(銀粒子の表面に吸着する分散剤の有無)
上記の実施の形態においては、分散剤を使用する例について述べた。その一方、本実施形態の特徴は、分級する際に各銀粒子の球形状を維持することにある。これを鑑みると、分級前後にて主として球形度を規定しても構わない。
一例としては以下の手法を採用しても構わない。
「複数の銀粒子により構成される球状銀粉の製造方法であって、
湿式還元法により得られた銀粒子であって球形度の平均値が1.0以上1.5以下の銀粒子を分級する分級工程を有し、
前記分級工程においては、分級装置において分級を行う分級室自体を回転させることなく分級を行い、球形度の平均値が1.0以上1.5以下の球状銀粉を得ることを特徴とする球状銀粉の製造方法。」
上記の実施の形態においては、銀粒子に関する粒径等の条件について述べた。その一方、後述の比較例のうち分級前の銀粉(比較例2〜3)との構成上の差異を際立たせるならば、以下の構成を採用しても構わない。
「前記球状銀粉においては、レーザー回折粒度分布測定法における累積50%粒子径D50が0.1μm以上2.0μm以下であり、累積100%径Dmaxが粒子径D50の7倍未満であり、球形度の平均値が1.0以上1.5以下であることを特徴とする球状銀粉。」
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
定されるものではない。なお、以下に示す各パラメータの測定は、特記の無いものについては上記の実施の形態で挙げた装置を使用した。
また、本項目における実施例および比較例で採用した前添加剤、分散剤(表面処理剤)、分級処理(分級装置)の違いを以下の表に先に示す。
銀43.2gを含む硝酸銀水溶液3900gに、工業用のアンモニア水100gを加えて、銀のアンミン錯体溶液を生成した。この銀のアンミン錯体溶液にステアリン酸0.6gを加えた後、還元剤として含水ヒドラジン水溶液を8.5mL加えた。その直後に、ベンゾトリアゾールナトリウム水溶液を銀粉に対して0.3質量%の割合で添加し、ベンゾトリアゾールで被覆された銀粒子のスラリーを得た。この銀粒子のスラリーを濾過し、洗浄後の水の電気伝導度が0.5mS/m以下となるまで水洗した後、真空乾燥機を用いて70℃で10時間乾燥して球状銀粉を得た。この球状銀粉を高速撹拌機で解砕した後、分級装置(日清エンジニアリング社製のエアロファインクラシファイアーAC−20)に投入して分級を行った。
まず、得られた球状銀粉27gに対し、エチルセルロース100cp(和光純薬工業株式会社製)を0.2g、及びテキサノール(JNC株式会社製、CS−12)を3.3g加え、プロペラレス自公転式攪拌脱泡装置(シンキー株式会社製、AR−250)を用い、混合した。その後、3本ロールミル(EXAKT社製、EXAKT80S)を用いて、ロールギャップを徐々に狭めながら通過させて導電性ペーストを得た。
そして、当該導電性ペーストを、線幅500μm厚さ20μm長さ37500μmのテストパターン形状に印刷しラインを観察したところ、ラインに欠けや断線が見られず良好であった。
銀45.3gを含む硝酸銀水溶液3900gに、工業用のアンモニア水77gを加えて、銀のアンミン錯体溶液を生成した。この銀のアンミン錯体溶液にベンゾトリアゾールナトリウム水溶液を銀に対し0.5質量%の割合で加えた後、還元剤として含水ヒドラジン水溶液を10.0mL加えた。その直後に、リシノール酸を銀粉に対して0.6質量%の割合で添加し、リシノール酸で被覆された銀粒子のスラリーを得た。それ以外は実施例1と同様にして球状銀粉を得た。
銀1.1kgを含む硝酸銀水溶液85kgに、工業用のアンモニア水3.5kgを加えて、銀のアンミン錯体溶液を生成した。この銀のアンミン錯体溶液に20%水酸化ナトリウム水溶液を1.8kg加えた後、還元剤として含水ヒドラジン水溶液を250g加えた。その直後に、ベンゾトリアゾールを銀粉に対して0.7質量%の割合で添加し、ベンゾトリアゾールで被覆された銀粒子のスラリーを得た。それ以外は実施例1と同様にして球状銀粉を得た。
銀5.4kgを含む硝酸銀水溶液16.3kgに、工業用のアンモニア水11.2kgを加えて、銀のアンミン錯体溶液を生成した。この銀のアンミン錯体溶液に水酸化ナトリウムを1.2kg加えた後、還元剤として含水ヒドラジン水溶液を1.6kg加えた。その直後に、オレイン酸を銀粉に対して0.2質量%の割合で添加し、オレイン酸で被覆された銀粒子のスラリーを得た。それ以外は実施例1と同様にして球状銀粉を得た。
本比較例においては、分級装置を、上記の実施の形態や実施例とは反し、分級装置において分級を行う分級室自体を回転させる装置(日清エンジニアリング社製ターボクラシファイアーTC−15)に変更した以外は、実施例1と同じ方法で銀粉を作成した。この分級装置は、分級ローターが回転することで投入した銀粉に遠心力を与える方式である。
その結果、分級装置のローター部分に銀粉が付着し、銀粉を分級することができなかった。
分級を行わなかった以外は、実施例1と同じ方法で銀粉を製造した。
このようにして得られた銀粉の粒度分布を測定したところ、D10=0.7μm、D50=1.5μm、D90=3.1μm、Dmax=15.7μmと粗大粒子の存在が確認された。また、[(D90−D10)/D50]=1.6、Dmax/D50=10.5であり、銀粉のBET比表面積は1.4m2/gであった。
分級を行わなかった以外は、実施例2と同じ方法で銀粉を製造した。
このようにして得られた銀粉の粒度分布を測定したところ、D10=0.1μm、D50=0.4μm、D90=0.9μm、Dmax=2.8μmと粗大粒子の存在が確認された。また、[(D90−D10)/D50]=2.0、Dmax/D50=7.0であり、銀粉のBET比表面積は2.2m2/gであった。
その一方、比較例1のように、分級装置において分級を行う分級室自体を回転させる分級装置(すなわち回転する駆動部を備える分級装置)を用いる場合、銀粒子の球形状を維持する分級が困難となり、銀粒子の球形状を維持できていないことがかった。
また、実施例の球状銀粉および比較例の銀粉を各々導電性ペーストに活用した際には、実施例に係る導電性ペーストだと良好なライン性が得られることを確認できた。
Claims (11)
- 複数の銀粒子により構成される球状銀粉であって、
各々の前記銀粒子の表面には表面処理剤が存在しており、
前記球状銀粉においては、レーザー回折粒度分布測定法における累積50%粒子径D50が0.4μm以上1.2μm以下であり、累積90%粒子径D90及び累積10%粒子径D10に対する前記D50の比[(D90−D10)/D50]が2.0以下の関係を満たし、累積100%径Dmaxが5.0μm以下かつD50の7倍未満であり、球形度の平均値が1.1以上1.5以下であり、(累積10%粒子径D10)/(累積50%粒子径D50)が0.5未満であることを特徴とする球状銀粉。 - 球形度の最大値が2.0以下であることを特徴とする請求項1に記載の球状銀粉。
- BET比表面積が1.0m2/g以上2.5m2/g以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の球状銀粉。
- 前記表面処理剤が脂肪酸およびその塩またはアゾール系化合物およびその誘導体の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の球状銀粉。
- 複数の銀粒子により構成される球状銀粉の製造方法であって、
種粒子を用いない湿式還元法により得られた銀粒子を分級する分級工程を有し、
前記分級工程においては、分級装置において分級を行う分級室自体を回転させることなく分級を行い、レーザー回折粒度分布測定法における累積50%粒子径D50が0.4μm以上1.2μm以下であり、累積90%粒子径D90及び累積10%粒子径D10に対する前記D50の比[(D90−D10)/D50]が2.0以下の関係を満たし、累積100%径Dmaxが5.0μm以下かつD50の7倍未満であり、球形度の平均値が1.1以上1.5以下であり、(累積10%粒子径D10)/(累積50%粒子径D50)が0.5未満の球状銀粉を得ることを特徴とする球状銀粉の製造方法。 - 球形度の最大値が2.0以下であることを特徴とする請求項5に記載の球状銀粉の製造方法。
- 前記分級工程の前に、
銀イオンを含有する水性反応系に還元剤を添加して銀粒子を還元析出させる還元工程と、
前記銀粒子の回収と洗浄を含む回収洗浄工程と、
前記回収洗浄工程後に前記銀粒子の乾燥と解砕を含む乾燥解砕工程と、
をさらに有する請求項5に記載の球状銀粉の製造方法。 - 湿式還元法において使用する還元剤がホルマリン、ヒドラジンまたは水素化ホウ素ナトリウムの少なくともいずれかであることを特徴とする請求項5または6に記載の球状銀粉の製造方法。
- 前記分級工程においては、空気によって前記分級室内に旋回流を生じさせることにより前記銀粒子に対して分級を行うことを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の球状銀粉の製造方法。
- 請求項1から4のいずれかに記載の球状銀粉を含有することを特徴とする導電性ペースト。
- 複数の銀粒子により構成される球状銀粉であって、
前記球状銀粉においては、レーザー回折粒度分布測定法における累積50%粒子径D50が0.4μm以上1.2μm以下であり、累積100%径Dmaxが粒子径D50の7倍未満であり、球形度の平均値が1.1以上1.5以下であり、(累積10%粒子径D10)/(累積50%粒子径D50)が0.5未満であることを特徴とする球状銀粉。
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