JP6973526B2 - 樹脂ペレットの製造方法、及び成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
する。
樹脂に炭素繊維を配合することが知られている。
例えば、特許文献1には、熱可塑性樹脂とPAN系炭素繊維とを配合した樹脂ペレット
が開示されている。また、特許文献2には、熱可塑性樹脂とピッチ系炭素繊維とを配合し
た樹脂ペレットが開示されている。更に、特許文献3には、熱可塑性樹脂とPAN系炭素
繊維とピッチ系炭素繊維とを配合した樹脂ペレットが開示されている。
ので、成形体の熱伝導性に劣る。また、特許文献2に開示される樹脂ペレットは、PAN
系炭素繊維を含まないので、成形体の機械特性に劣る。
成形加工性に劣る。特に、精密成形が要求される小型の成形体を製造するのには不適であ
る。
にある。
また、本発明は、成形体の熱伝導性、機械特性、耐熱性に優れる樹脂ペレットの製造方
法を提供することにある。
[1]熱可塑性樹脂(A)及び炭素繊維(B)を含む樹脂ペレットであって、熱可塑性樹
脂(A)が、結晶性樹脂であり、炭素繊維(B)が、PAN系炭素繊維(B−1)及びピ
ッチ系炭素繊維(B−2)を含み、樹脂ペレット中の炭素繊維(B)の質量平均繊維長が
、0.1mm〜0.9mmである、樹脂ペレット。
[2]熱可塑性樹脂(A)の含有率が、熱可塑性樹脂(A)と炭素繊維(B)との合計1
00質量%中、40質量%〜90質量%であり、炭素繊維(B)の含有率が、熱可塑性樹
脂(A)と炭素繊維(B)との合計100質量%中、10質量%〜60質量%である、[
1]に記載の樹脂ペレット。
[3]PAN系炭素繊維(B−1)の含有率が、樹脂ペレット100質量%中、5質量%
〜30質量%である、[1]又は[2]に記載の樹脂ペレット。
[4]ピッチ系炭素繊維(B−2)の含有率が、樹脂ペレット100質量%中、5質量%
〜50質量%である、[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂ペレット。
[5]熱可塑性樹脂(A)が、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂及びポ
リプロピレン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である、[1]〜[4]のいず
れかに記載の樹脂ペレット。
[6]熱可塑性樹脂(A)が、ポリアミド樹脂及びポリフェニレンサルファイド樹脂から
なる群より選ばれる少なくとも1種である、[5]に記載の樹脂ペレット。
[7]更に、黒鉛(C)を含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂ペレット。
[8]黒鉛(C)の含有率が、樹脂ペレット100質量%中、1質量%〜9質量%である
、[6]に記載の樹脂ペレット。
[9]溶融状態の熱可塑性樹脂(A)に、質量平均繊維長2mm〜20mmのPAN系炭
素繊維(B−1)及び質量平均繊維長2mm〜20mmのピッチ系炭素繊維(B−2)を
供給する、樹脂ペレットの製造方法。
[10][1]〜[8]のいずれかに記載の樹脂ペレットを成形した、成形体。
[11]ノッチ無しのシャルピー衝撃強度が、10kJ/m2以上であり、厚さ1mmの
熱線法で測定した熱伝導率が、2〜9W/mKである、[9]又は[10]に記載の成形
体。
[12]引張強度が、150MPa以上である、[11]に記載の成形体。
[13][9]に記載の樹脂ペレットの製造方法で樹脂ペレットを得た後、射出成形して
成形体を得る、成形体の製造方法。
また、本発明の樹脂ペレットの製造方法により得られる樹脂ペレットは、成形体の熱伝
導性、機械特性、耐熱性に優れる。
本発明の樹脂ペレットは、熱可塑性樹脂(A)を含む。
とで、樹脂ペレットの成形性に優れ、成形体の耐熱性に優れる。
樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリプロピレン樹脂等の結晶性樹脂が挙げられ
る。これらの熱可塑性樹脂(A)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用しても
よい。これらの熱可塑性樹脂(A)の中でも、成形体の熱伝導性に優れることから、ポリ
アミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリプロピレン樹脂が好ましく、成形体
の機械特性、耐熱性に優れることから、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹
脂がより好ましい。
ン610、ナイロン612、ナイロン46、ナイロン11、ナイロン12、ポリ(ヘキサ
メチレンテレフタラミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタラミド)、ポリ(m−キシレ
ンアジパミド)、ポリ(キシレンセバカミド)等が挙げられる。これらのポリアミド樹脂
は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
質量%中、40質量%〜90質量%が好ましく、50質量%〜80質量%がより好ましい
。熱可塑性樹脂(A)の含有率が40質量%以上であると、樹脂ペレットの成形性に優れ
る。また、熱可塑性樹脂(A)の含有率が90質量%以下であると、成形体の熱伝導性、
機械特性に優れる。
本発明の樹脂ペレットは、炭素繊維(B)を含む。
む。炭素繊維(B)がPAN系炭素繊維(B−1)を含むことで、成形体の機械特性に優
れ、樹脂ペレットや成形体の比重を小さくすることができる。また、炭素繊維(B)がピ
ッチ系炭素繊維(B−2)を含むことで、成形体の熱伝導性に優れ、樹脂ペレットや成形
体の熱膨張を抑制することができる。そのため、炭素繊維(B)として、PAN系炭素繊
維(B−1)とピッチ系炭素繊維(B−2)とを併用することで、優れた熱伝導性と優れ
た機械特性とを両立する成形体を得ることができる。
クリルニトリル系樹脂からなる繊維を、不融化させて、更に炭化させて生成した実質的に
炭素のみからなるフィラメント繊維」を主たる成分として構成される。
mがより好ましく、5μm〜8μmが更に好ましい。PAN系炭素繊維(B−1)の直径
が1μm以上であると、PAN系炭素繊維(B−1)の比表面積を小さくすることができ
、樹脂ペレットの成形性に優れる。また、PAN系炭素繊維(B−1)の直径が20μm
以下であると、取り扱い性に優れ、PAN系炭素繊維(B−1)のアスペクト比を大きく
することができ、成形体の機械特性に優れる。
PAN系炭素繊維(B−1)の直径は、樹脂ペレット又は成形体を空気雰囲気下で3時
間600℃に加熱して熱可塑性樹脂(A)等を熱分解により除去し、残存した炭素繊維(
B)の中からPAN系炭素繊維(B−1)10本の直径を電子顕微鏡にて測定し、その平
均値とする。PAN系炭素繊維(B−1)の直径は、PAN系炭素繊維(B−1)を構成
するフィラメント繊維の最大フェレ径とする。
等を処理して生じた部分的に液晶構造を示す樹脂、又は、人工的に合成されたメソフェー
ズピッチを紡糸して、不融化させて、更に炭化させて生成した、黒鉛結晶構造が繊維軸方
向に高度に発達した実質的に炭素のみからなるフィラメント繊維」を主たる成分として構
成される。
mがより好ましい。ピッチ系炭素繊維(B−2)の直径が4μm以上であると、ピッチ系
炭素繊維(B−2)を容易に製造することができる。また、ピッチ系炭素繊維(B)の直
径が15μm以下であると、取り扱い性に優れる。
ピッチ系炭素繊維(B−2)の直径は、樹脂ペレット又は成形体を空気雰囲気下で3時
間600℃に加熱して熱可塑性樹脂(A)等を熱分解により除去し、残存した炭素繊維(
B)の中からピッチ系炭素繊維(B−2)10本の直径を電子顕微鏡にて測定し、その平
均値とする。ピッチ系炭素繊維(B−2)の直径は、ピッチ系炭素繊維(B−2)を構成
するフィラメント繊維の最大フェレ径とする。
%中、10質量%〜60質量%が好ましく、20質量%〜50質量%がより好ましい。炭
素繊維(B)の含有率が10質量%以上であると、成形体の熱伝導性、機械特性に優れる
。また、炭素繊維(B)の含有率が60質量%以下であると、樹脂ペレットの成形性に優
れる。
0質量%が好ましく、10質量%〜25質量%がより好ましく、15質量%〜20質量%
が更に好ましい。PAN系炭素繊維(B−1)の含有率が5質量%以上であると、成形体
の機械特性に優れる。また、PAN系炭素繊維(B−1)の含有率が30質量%以下であ
ると、樹脂ペレットの成形性に優れる。
0質量%が好ましく、10質量%〜40質量%がより好ましく、10質量%〜30質量%
が更に好ましい。ピッチ系炭素繊維(B−2)の含有率が5質量%以上であると、成形体
の熱伝導性に優れる。また、ピッチ系炭素繊維(B−2)の含有率が50質量%以下であ
ると、樹脂ペレットの成形性に優れる。
、0.11mm〜0.3mmが好ましく、0.12mm〜0.25mmがより好ましい。
樹脂ペレット中の炭素繊維(B)の質量平均繊維長が0.1mm以上であると、成形体の
熱伝導性、機械特性に優れる。また、樹脂ペレット中の炭素繊維(B)の質量平均繊維長
が0.9mm以下であると、成形体の細部まで炭素繊維(B)が充填されやすい。
樹脂ペレット中の炭素繊維(B)の質量平均繊維長は、樹脂ペレットを空気雰囲気下で
3時間600℃に加熱して熱可塑性樹脂(A)等を熱分解により除去し、残存した炭素繊
維(B)100本の繊維長を光学顕微鏡にて測定し、その平均値とする。質量平均繊維長
は、繊維長をLとしたとき、下式(1)で算出される。
質量平均繊維長=ΣL2/ΣL (1)
出機のスクリュー回転数、吐出量等の溶融混練条件を制御することにより調整することが
できる。
本発明の樹脂ペレットは、熱可塑性樹脂(A)、炭素繊維(B)以外に、黒鉛(C)を
含んでもよい。樹脂ペレットが黒鉛(C)を含むことで、成形体の熱伝導性に優れる。
らの黒鉛(C)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの黒
鉛(C)の中でも、樹脂ペレット中の分散性に優れることから、膨張黒鉛が好ましく、膨
張化後の膨張黒鉛がより好ましい。
質量%中、1質量%〜9質量%が好ましく、3質量%〜7質量%がより好ましい。黒鉛(
C)の含有率が1質量%以上であると、成形体の熱伝導性に優れる。また、黒鉛(C)の
含有率が9質量%以下であると、成形体からの黒鉛(C)の脱落を抑制することができる
。
本発明の樹脂ペレットは、熱可塑性樹脂(A)、炭素繊維(B)、黒鉛(C)以外に、
本発明の効果が得られる範囲で、必要に応じて、各種添加剤を含んでもよい。
核剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、ガラス繊維、無機フィラー
、耐衝撃性改質剤、溶融張力向上剤、難燃剤、可塑剤等が挙げられる。これらの添加剤は
、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂ペレットを製造する方法としては、例えば、熱可塑性樹脂(A)、炭素繊
維(B)をドライブレンドした後に溶融混練する方法;溶融状態の熱可塑性樹脂(A)に
炭素繊維(B)を供給して混練する方法等が挙げられる。炭素繊維(B)の折損を抑制し
質量平均繊維長を制御でき、炭素繊維(B)の分散性に優れることから、溶融状態の熱可
塑性樹脂(A)に炭素繊維(B)を供給して混練する方法が好ましく、成形体の熱伝導性
、機械特性に優れることから、溶融状態の熱可塑性樹脂(A)にPAN系炭素繊維(B−
1)を供給して混練した後に、ピッチ系炭素繊維(B−2)を供給して混練する方法がよ
り好ましい。
チョップドファイバー、ミルドファイバー等が挙げられる。これらのPAN系炭素繊維(
B−1)の形態は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのP
AN系炭素繊維(B−1)の形態の中でも、取り扱い性に優れ、質量平均繊維長を容易に
制御することができることから、チョップドファイバーが好ましい。
06U、TR06UL、TR06NE、TR06NL、MR06NE、MR03NE等の
パイロフィル(商品名、三菱レイヨン(株)製)のチョップドファイバーシリーズ等が挙
げられる。
理されたものが好ましい。PAN系炭素繊維(B−1)を表面処理することにより、成形
体の機械特性に優れる。
樹脂ペレットの製造に用いるPAN系炭素繊維(B−1)の表面処理剤としては、例え
ば、エポキシ系サイジング剤、ウレタン系サイジング剤、ナイロン系サイジング剤、オレ
フィン系サイジング剤等が挙げられる。これらの表面処理剤は、1種を単独で用いてもよ
く、2種以上を併用してもよい。これらの表面処理剤の中でも、取り扱い性に優れること
から、ウレタン系サイジング剤、ナイロン系サイジング剤が好ましく、ナイロン系サイジ
ング剤がより好ましい。
であることから、2mm〜20mmが好ましく、2.5mm〜10mmがより好ましく、
3mm〜7mmが更に好ましい。
チョップドファイバー、ミルドファイバー等が挙げられる。これらのピッチ系炭素繊維(
B−2)の形態は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのピ
ッチ系炭素繊維(B−2)の形態の中でも、取り扱い性に優れ、質量平均繊維長を容易に
制御することができることから、チョップドファイバーが好ましい。
23SE、K223Y1、K223HE、K6371T等のダイアリード(商品名、三菱
樹脂(株)製)のチョップドファイバーシリーズ等が挙げられる。
であることから、2mm〜20mmが好ましく、3mm〜10mmがより好ましく、5m
m〜8mmが更に好ましい。
樹脂ペレットの製造に用いるPAN系炭素繊維(B−1)の繊維長とピッチ系炭素繊維
(B−2)の繊維長は、同じ長さであってもよく、異なる長さであってもよい。
押出機としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機等が挙げられ、二軸押出機が好まし
い。
が好ましい。押出機のスクリュー回転数が100rpm以上であると、炭素繊維(B)の
分散性に優れる。また、押出機のスクリュー回転数が300rpm以下であると、炭素繊
維(B)の折損を抑制することができる。
サイドフィーダーを有することで、PAN系炭素繊維(B−1)とピッチ系炭素繊維(B
−2)とを別々に供給することができ、質量平均繊維長を制御しやすくなる。
することが好ましい。
炭素繊維(B)の供給前のニーディングゾーンにて熱可塑性樹脂(A)を十分に溶融さ
せ、炭素繊維(B)の供給後のニーディングゾーンにて溶融状態の熱可塑性樹脂(A)と
炭素繊維(B)とを混練することで、炭素繊維(B)の折損を抑制し質量平均繊維長を制
御でき、炭素繊維(B)の分散性に優れる樹脂ペレットを得ることができる。
押出機のニーディングゾーンは、上流側のサイドフィーダーの上流と下流側のサイドフィ
ーダーの下流の少なくとも2箇所有することが好ましく、更に上流側のサイドフィーダー
と下流側のサイドフィーダーとの間の少なくとも2箇所有することがより好ましい。
上流側のサイドフィーダーの上流のニーディングゾーンにて熱可塑性樹脂(A)を十分
に溶融させ、上流側のサイドフィーダーからPAN系炭素繊維(B−1)及びピッチ系炭
素繊維(B−2)の一方の炭素繊維(B)を供給し、上流側のサイドフィーダーと下流側
のサイドフィーダーとの間のニーディングゾーンにて熱可塑性樹脂(A)と前記一方の炭
素繊維(B)とを混練し、下流側のサイドフィーダーからPAN系炭素繊維(B−1)及
びピッチ系炭素繊維(B−2)の他方の炭素繊維(B)を供給し、熱可塑性樹脂(A)と
両方の炭素繊維(B)とを混練することで、炭素繊維(B)の折損を抑制し質量平均繊維
長を制御でき、炭素繊維(B)の分散性に優れる樹脂ペレットを得ることができる。
下の温度に設定すればよいが、200℃〜350℃が好ましい。溶融混練温度が200℃
以上であると、炭素繊維(B)にかかる剪断応力を抑制することができ、成形体の機械特
性に優れる。また、溶融混練温度が350℃以下であると、熱可塑性樹脂(A)の熱分解
を抑制することができる。
本発明の成形体は、本発明の樹脂ペレットを成形して得られる。
等が挙げられる。これらの成形方法の中でも、生産性に優れることから、射出成形が好ま
しい。
0.11mm〜0.25mmがより好ましく、0.12mm〜0.23mmが更に好まし
い。成形体中の炭素繊維(B)の質量平均繊維長が0.1mm以上であると、成形体の熱
伝導性、機械特性に優れる。また、成形体中の炭素繊維(B)の質量平均繊維長が0.3
mm以下であると、成形体の細部まで炭素繊維(B)が充填されやすい。
成形体中の炭素繊維(B)の質量平均繊維長は、成形体を空気雰囲気下で3時間600
℃に加熱して熱可塑性樹脂(A)等を熱分解により除去し、残存した炭素繊維(B)10
0本の繊維長を光学顕微鏡にて測定し、その平均値とする。質量平均繊維長は、繊維長を
Lとしたとき、前述した式(1)で算出される。
mKがより好ましい。成形体の熱伝導率が1.5W/mK以上であると、成形体の熱伝導
性に優れ、成形体が局所的に高温となることを避けることができる。また、成形体の熱伝
導率が10W/mK以下であると、ピッチ系炭素繊維(B−2)や黒鉛(C)の含有率を
抑制することができ、成形体の機械特性に優れる。
成形体の熱伝導率は、熱線法で測定した値とする。具体的には、厚さ1mmの成形体を
熱伝導率計により測定する。ボックス式プローブを用いる場合、複数の熱伝導率既知のリ
ファレンスプレート、成形体、ボックス式プローブの順に、成形体の射出成形の流動方向
と熱線が直交するように重ねて測定した結果から、成形体の熱伝導率を算出することがで
きる。
しく、280MPa〜600MPaがより好ましい。
成形体の曲げ弾性率は、成形体の薄肉化が可能であることから、15000MPa以上
が好ましく、20000MPa〜40000MPaがより好ましい。
成形体の曲げ強度、成形体の曲げ弾性率は、ISO178準拠して測定した値とする。
しく、200MPa以上がより好ましい。
成形体の引張伸度は、割れにくい成形体が得られることから、1%以上が好ましく、2
%以上がより好ましい。
成形体の引張強度、引張伸度は、ISO527準拠して測定した値とする。
3kJ/m2以上が好ましく、4kJ/m2以上がより好ましく、5kJ/m2以上が更
に好ましい。
ノッチなしの成形体のシャルピー衝撃強度は、割れにくい成形体が得られることから、
10kJ/m2以上が好ましく、20kJ/m2以上がより好ましく、30kJ/m2以
上が更に好ましい。
成形体のシャルピー衝撃強度は、ISO179準拠して測定した値とする。また、ノッ
チは、Vノッチとする。
く、200℃〜300℃がより好ましい。
成形体の荷重たわみ温度は、ISO75準拠し、1.8MPaの条件で測定した値とす
る。
大きく変化しないことから、成形性に優れ、小型の成形体に特に好適である。
成形体の体積は、0.5cm3〜50cm3が好ましく、1cm3〜20cm3がより
好ましい。成形体の体積が0.5cm3以上であると、優れた機械特性が要求されるので
、本発明の樹脂ペレットが好適である。また、成形体の体積が50cm3以下であると、
微細な形状が要求されるので、成形性に優れる本発明の樹脂ペレットが好適である。
電子機器の筐体、高輝度ランプ部品、高速駆動ギヤ、摺動部材等に好適に用いることがで
き、車載カメラ筐体に特に好適である。
実施例・比較例で得られた樹脂ペレットを、空気雰囲気下で3時間600℃に加熱して
熱可塑性樹脂(A)等を熱分解により除去し、残存した炭素繊維(B)の任意の100本
の繊維長を光学顕微鏡で測定し、質量平均繊維長を算出した。
実施例・比較例で得られた樹脂ペレットを、射出成形機(機種名「IS55」、東芝機
械(株)製)を用い、実施例1〜6、比較例1〜2はシリンダー温度280℃、金型温度
120℃、実施例7〜9、比較例3はシリンダー温度300℃、金型温度120℃、実施
例10〜11はシリンダー温度230℃、金型温度80℃の条件で射出成形を行い、成形
体(幅10mm、長さ80mm、厚さ4mm)を得た。得られた成形体の一部を、空気雰
囲気下で3時間600℃に加熱して熱可塑性樹脂(A)等を熱分解により除去し、残存し
た炭素繊維(B)の任意の100本の繊維長を光学顕微鏡で測定し、質量平均繊維長を算
出した。
実施例・比較例で得られた樹脂ペレットを、射出成形機(機種名「IS55」、東芝機
械(株)製)を用い、実施例1〜6、比較例1〜2はシリンダー温度280℃、金型温度
120℃、実施例7〜9、比較例3はシリンダー温度300℃、金型温度120℃、実施
例10〜11はシリンダー温度230℃、金型温度80℃の条件で射出成形を行い、成形
体(幅20mm、長さ40mm、厚さ4mm)を得た。得られた成形体を23℃の恒温室
に24時間静置させた後、ISO1183に準拠し、アルキメデス法により、比重を測定
した。
実施例・比較例で得られた樹脂ペレットを、射出成形機(機種名「IS55」、東芝機
械(株)製)を用い、実施例1〜6、比較例1〜2はシリンダー温度280℃、金型温度
120℃、実施例7〜9、比較例3はシリンダー温度300℃、金型温度120℃、実施
例10〜11はシリンダー温度230℃、金型温度80℃の条件で射出成形を行い、成形
体(幅100mm、長さ100mm、厚さ1mm)を得た。
熱伝導率既知のリファレンスプレート上に、得られた成形体、ボックス式プローブの順
に、ボックス式プローブの熱源である細線を成形体の射出成形の流動方向と直交するよう
に重ねて配置し、迅速熱伝導率計(機種名「QTM−500」、京都電子工業(株)製)
を用いて測定した。
複数のリファレンスプレートを用いて測定した結果から、リファレンスプレートとの差
がゼロになるように内挿し、その成形体の熱伝導率を算出した。
実施例・比較例で得られた樹脂ペレットを、射出成形機(機種名「IS55」、東芝機
械(株)製)を用い、実施例1〜6、比較例1〜2はシリンダー温度280℃、金型温度
120℃、実施例7〜9、比較例3はシリンダー温度300℃、金型温度120℃、実施
例10〜11はシリンダー温度230℃、金型温度80℃の条件で射出成形を行い、成形
体(幅10mm、長さ80mm、厚さ4mm)を得た。得られた成形体を23℃の恒温室
に24時間静置させた後、ISO178に準拠し、3点曲げ試験を行い、曲げ強度、曲げ
弾性率を測定した。
実施例・比較例で得られた樹脂ペレットを、射出成形機(機種名「IS55」、東芝機
械(株)製)を用い、実施例1〜6、比較例1〜2はシリンダー温度280℃、金型温度
120℃、実施例7〜9、比較例3はシリンダー温度300℃、金型温度120℃、実施
例10〜11はシリンダー温度230℃、金型温度80℃の条件で射出成形を行い、ダン
ベル状の成形体(平行部の幅10mm、長さ80mm、厚さ4mm)を得た。得られた成
形体を23℃の恒温室に24時間静置させた後、ISO527に準拠し、引張試験を行い
、引張強度を測定した。
実施例・比較例で得られた樹脂ペレットを、射出成形機(機種名「IS55」、東芝機
械(株)製)を用い、実施例1〜6、比較例1〜2はシリンダー温度280℃、金型温度
120℃、実施例7〜9、比較例3はシリンダー温度300℃、金型温度120℃、実施
例10〜11はシリンダー温度230℃、金型温度80℃の条件で射出成形を行い、成形
体(幅10mm、長さ80mm、厚さ4mm)を得た。得られた成形体を23℃の恒温室
に24時間静置させた後、ISO179に準拠し、シャルピー衝撃試験を行い、ノッチな
しの成形体のシャルピー衝撃強度を測定した。また、得られた成形体に機械加工でVノッ
チを付与し、23℃の恒温室に24時間静置させた後、ISO179に準拠し、シャルピ
ー衝撃試験を行い、ノッチありの成形体のシャルピー衝撃強度を測定した。
実施例・比較例で得られた樹脂ペレットを、射出成形機(機種名「IS55」、東芝機
械(株)製)を用い、実施例1〜6、比較例1〜2はシリンダー温度280℃、金型温度
120℃、実施例7〜9、比較例3はシリンダー温度300℃、金型温度120℃、実施
例10〜11はシリンダー温度230℃、金型温度80℃の条件で射出成形を行い、成形
体(幅10mm、長さ80mm、厚さ4mm)を得た。得られた成形体を23℃の恒温室
に24時間静置させた後、ISO75に準拠し、1.8MPaにおける荷重たわみ温度を
測定した。
熱可塑性樹脂(A−1):ポリアミド樹脂(ポリ(キシレンセバカミド)(商品名「L
exter8500」、三菱ガス化学(株)製)88質量%、ナイロン66 9質量%に
添加剤(離型剤、造核剤及びカーボンブラックを含む)3質量%を配合した樹脂組成物)
熱可塑性樹脂(A−2):ポリアミド樹脂(ポリ(m−キシレンアジパミド)(商品名
「MXナイロン6007」、三菱ガス化学(株)製)88質量%、ナイロン66 9質量
%に添加剤(離型剤、造核剤及びカーボンブラックを含む)3質量%を配合した樹脂組成
物)
熱可塑性樹脂(A−3):ポリフェニレンサルファイド樹脂(商品名「DSP C−1
15」、DIC(株)製、架橋型ポリフェニレンサルファイド樹脂)
熱可塑性樹脂(A−4):ポリプロピレン樹脂(商品名「ノバテックPP MA04A
」(日本ポリプロ(株)製)と商品名「ユーメックス1001」(三洋化成工業(株)製
)との混合樹脂)
6NL」、三菱レイヨン(株)製、繊維長6mm、引張弾性率230GPa以上、引張強
度3720MPa以上、ナイロン系サイジング剤)
PAN系炭素繊維(B−1−2):PAN系炭素繊維(商品名「パイロフィル MR0
3NE」、三菱レイヨン(株)製、繊維長3mm、引張弾性率280GPa以上、引張強
度4400MPa以上、ナイロン系サイジング剤)
PAN系炭素繊維(B−1−3):PAN系炭素繊維(商品名「パイロフィル TR0
6UL」、三菱レイヨン(株)製、繊維長6mm、引張弾性率230GPa以上、引張強
度3720MPa以上、ウレタン系サイジング剤)
ピッチ系炭素繊維(B−2−1):ピッチ系炭素繊維(商品名「ダイアリード K63
71T」、三菱樹脂(株)製、繊維長6mm、引張弾性率640GPa、引張強度260
0MPa)
ピッチ系炭素繊維(B−2−2):ピッチ系炭素繊維(商品名「ダイアリード K22
3HE」、三菱樹脂(株)製、繊維長6mm、引張弾性率900GPa、引張強度380
0MPa)
黒鉛(C−1):膨張黒鉛(商品名「GRAFOILパウダー GFP−100」、米
国グラフテック社製、膨張黒鉛シートを粉砕したもの、平均粒子径0.1mm)
添加剤(D−1):マイカ(商品名「SYA−41R」、(株)山口雲母工業所製、平
均粒子径45μm)
樹脂ペレットを製造する押出機として、同方向二軸押出機(「TEX44αII」、(
株)日本製鋼所製)を準備した。押出機のフィーダーは、上流から、メインフィーダー、
第1サイドフィーダー、第2サイドフィーダーと設置した。押出機のニーディングゾーン
は、メインフィーダーと第1サイドフィーダーとの間に1箇所、第1サイドフィーダーと
第2サイドフィーダーとの間に1箇所、第2サイドフィーダーとダイとの間に1箇所、合
計3箇所配置した。スクリュー回転数200rpm、吐出量80kg/時間、シリンダー
温度280℃の条件で、熱可塑性樹脂(A−1)70質量%と黒鉛(C−1)5質量%と
をメインフィーダーから供給し、PAN系炭素繊維(B−1−1)15質量%を第1サイ
ドフィーダーから供給し、ピッチ系炭素繊維(B−2−1)10質量%を第2サイドフィ
ーダーから供給し、樹脂ペレットを得た。
得られた樹脂ペレットの評価結果を、表2に示す。
熱可塑性樹脂(A)、PAN系炭素繊維(B−1)、ピッチ系炭素繊維(B−2)、黒
鉛(C)、添加剤の種類と割合を表1のように変更した以外は、実施例1と同様に操作を
行い、樹脂ペレットを得た。
実施例2〜6のいずれの実施例においても、熱可塑性樹脂(A)、黒鉛(C)、添加剤
をメインフィーダーから供給し、PAN系炭素繊維(B−1)を第1サイドフィーダーか
ら供給し、ピッチ系炭素繊維(B−2)を第2サイドフィーダーから供給した。
得られた樹脂ペレットの評価結果を、表2に示す。
熱可塑性樹脂(A)、PAN系炭素繊維(B−1)、ピッチ系炭素繊維(B−2)、黒
鉛(C)、の種類と割合を表1のように変更した以外は、実施例1と同様に操作を行い、
樹脂ペレットを得た。
実施例7〜8のいずれの実施例においても、熱可塑性樹脂(A)、黒鉛(C)、添加剤
をメインフィーダーから供給し、PAN系炭素繊維(B−1)を第1サイドフィーダーか
ら供給し、ピッチ系炭素繊維(B−2)を第2サイドフィーダーから供給した。
得られた樹脂ペレットの評価結果を、表2に示す。
熱可塑性樹脂(A)、PAN系炭素繊維(B−1)、ピッチ系炭素繊維(B−2)、黒
鉛(C)、の種類と割合を表1のように変更し、シリンダー温度を320℃とし、ピッチ
系炭素繊維(B−2)を第1サイドフィーダーから供給し、PAN系炭素繊維(B−1)
を第2サイドフィーダーから供給した以外は、実施例1と同様に操作を行い、樹脂ペレッ
トを得た。
得られた樹脂ペレットの評価結果を、表2に示す。
熱可塑性樹脂(A)、PAN系炭素繊維(B−1)、ピッチ系炭素繊維(B−2)、黒
鉛(C)、の種類と割合を表1のように変更し、シリンダー温度を230℃とした以外は
、実施例1と同様に操作を行い、樹脂ペレットを得た。
実施例10〜11のいずれの実施例においても、熱可塑性樹脂(A)、黒鉛(C)、添
加剤をメインフィーダーから供給し、PAN系炭素繊維(B−1)を第1サイドフィーダ
ーから供給し、ピッチ系炭素繊維(B−2)を第2サイドフィーダーから供給した。
得られた樹脂ペレットの評価結果を、表2に示す。
樹脂ペレットを製造する押出機として、同方向二軸押出機(機種名「PCM−30」、
(株)池貝製)を準備した。押出機のフィーダーは、上流から、メインフィーダー、サイ
ドフィーダーと設置した。押出機のニーディングゾーンは、メインフィーダーとサイドフ
ィーダーとの間に1箇所、サイドフィーダーとダイとの間に1箇所、合計2箇所配置した
。スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/時間、シリンダー温度280℃の条
件で、熱可塑性樹脂(A−2)70質量%をメインフィーダーから供給し、PAN系炭素
繊維(B−1−1)30質量%をサイドフィーダーから供給し、樹脂ペレットを得た。
得られた樹脂ペレットの評価結果を、表2に示す。
熱可塑性樹脂(A−2)、PAN系炭素繊維(B−1−1)の割合を表1のように変更
した以外は、比較例1と同様に操作を行い、樹脂ペレットを得た。
得られた樹脂ペレットの評価結果を、表2に示す。
シリンダー温度を320℃とし、熱可塑性樹脂(A−3)70質量%をメインフィーダ
ーから供給し、ピッチ系炭素繊維(B−2−2)30質量%をサイドフィーダーから供給
した以外は、比較例1と同様に操作を行い、樹脂ペレットを得た。
得られた樹脂ペレットの評価結果を、表2に示す。
れた。
中でも、実施例1〜9で得られた樹脂ペレットは、成形体の曲げ強度、引張強度、耐熱
性に優れた。特に、実施例1〜6で得られた樹脂ペレットは、熱可塑性樹脂(A)として
ポリアミド樹脂を用いたため、成形体の曲げ強度、引張強度に特に優れ、実施例7〜9で
得られた樹脂ペレットは、熱可塑性樹脂(A)としてポリフェニレンサルファイド樹脂を
用いたため、成形体の耐熱性に特に優れた。
比較例1〜2で得られた樹脂ペレットは、ピッチ系炭素繊維(B−2)を用いなかった
ため、成形体の熱伝導性に劣った。
比較例3で得られた樹脂ペレットは、PAN系炭素繊維(B−1)を用いなかったため
、曲げ強度、引張強度、シャルピー衝撃強度等の成形体の機械特性に劣った。
Claims (9)
- 熱可塑性樹脂(A)、炭素繊維(B)、及び黒鉛(C)を含み、前記炭素繊維(B)は
樹脂ペレット中の質量平均繊維長が0.1mm〜0.9mmであり、PAN系炭素繊維(
B−1)及びピッチ系炭素繊維(B−2)を含む、樹脂ペレットの製造方法であって、
前記黒鉛(C)の含有率が、樹脂ペレット100質量%中、1質量%〜9質量%であり
、
溶融状態の該熱可塑性樹脂(A)に、繊維長2mm〜20mmの該PAN系炭素繊維(
B−1)、及び繊維長2mm〜20mmの該ピッチ系炭素繊維(B−2)を供給する、樹
脂ペレットの製造方法。 - 前記熱可塑性樹脂(A)の含有率が、前記熱可塑性樹脂(A)と前記炭素繊維(B)と
の合計100質量%中、40質量%〜90質量%であり、
前記炭素繊維(B)の含有率が、前記熱可塑性樹脂(A)と前記炭素繊維(B)との合
計100質量%中、10質量%〜60質量%である、請求項1に記載の樹脂ペレットの製
造方法。 - 前記PAN系炭素繊維(B−1)の含有率が、樹脂ペレット100質量%中、5質量%
〜30質量%である、請求項1又は2に記載の樹脂ペレットの製造方法。 - 前記ピッチ系炭素繊維(B−2)の含有率が、樹脂ペレット100質量%中、10質量
%〜50質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂ペレットの製造方法。 - 前記熱可塑性樹脂(A)が、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂及びポ
リプロピレン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれ
か1項に記載の樹脂ペレットの製造方法。 - 前記熱可塑性樹脂(A)が、ポリアミド樹脂及びポリフェニレンサルファイド樹脂から
なる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項5に記載の樹脂ペレットの製造方法。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂ペレットの製造方法で樹脂ペレットを得た後
、射出成形して成形体を得る、成形体の製造方法。 - 前記成形体のノッチ無しのシャルピー衝撃強度が、10kJ/m2以上であり、
厚さ1mmの熱線法で測定した熱伝導率が、2〜9W/mKである、
請求項7に記載の成形体の製造方法。 - 前記成形体の引張強度が、150MPa以上である、請求項7又は8に記載の成形体の
製造方法。
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