JP6972965B2 - 全固体電池 - Google Patents

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Description

本開示は、全固体電池に関する。
全固体電池は、正極活物質層および負極活物質層の間に固体電解質層を有する電池であり、可燃性の有機溶媒を含む電解液を有する液系電池に比べて、安全装置の簡素化が図りやすいという利点を有する。特許文献1には、正極層及び負極層のうち少なくともいずれか一方が、シアヌル酸メラミン又はポリリン酸メラミンを15質量%以上30質量%以下有する硫化物固体電池が開示されている。
特開2017−033647号公報
特許文献1では、シアヌル酸メラミンまたはポリリン酸メラミンを用いることにより、硫化物固体電池内における熱の伝播を抑制している。一方、シアヌル酸メラミンおよびポリリン酸メラミンは、Liイオン伝導性を有しないため、イオン抵抗の増加が大きくなる。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、イオン抵抗の増加抑制と、電池温度の上昇抑制とを両立した全固体電池を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本開示においては、正極活物質層と、負極活物質層と、上記正極活物質層および上記負極活物質層の間に配置された固体電解質層とを有する全固体電池であって、上記正極活物質層および上記負極活物質層の少なくとも一方が、テトラブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TBA−TFSI)およびリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Li−TFSI)を含有するLiイオン伝導性材料を5重量%以上20重量%以下の割合で含有する、全固体電池を提供する。
本開示によれば、正極活物質層および負極活物質層の少なくとも一方が、特定のLiイオン伝導性材料を所定量含有することにより、イオン抵抗の増加抑制と、電池温度の上昇抑制とを両立した全固体電池とすることができる。
本開示の全固体電池は、イオン抵抗の増加抑制と、電池温度の上昇抑制とを両立できるという効果を奏する。
本開示の全固体電池の一例を示す概略断面図である。 製造例1で得られたLiイオン伝導性材料に対するDSC測定の結果である。
以下、本開示の全固体電池について、詳細に説明する。
図1は、本開示の全固体電池の一例を示す概略断面図である。図1に示す全固体電10は、正極活物質層1と、負極活物質層2と、正極活物質層1および負極活物質層2の間に配置された固体電解質層3と、正極活物質層1の集電を行う正極集電体4と、負極活物質層2の集電を行う負極集電体5と、を有する。本開示の全固体電池は、正極活物質層1および負極活物質層2の少なくとも一方が、TBA−TFSIおよびLi−TFSIを含有するLiイオン伝導性材料を所定量含有することを大きな特徴とする。
本開示によれば、正極活物質層および負極活物質層の少なくとも一方が、特定のLiイオン伝導性材料を所定量含有することにより、イオン抵抗の増加抑制と、電池温度の上昇抑制とを両立した全固体電池とすることができる。
上述したように、特許文献1では、シアヌル酸メラミンまたはポリリン酸メラミンを用いることにより、硫化物固体電池内における熱の伝播を抑制している。一方、シアヌル酸メラミンおよびポリリン酸メラミンは、Liイオン伝導性を有しないため、イオン抵抗の増加が大きくなる。これに対して、本開示におけるLiイオン伝導性材料は、Liイオン伝導性が高いため、イオン抵抗の増加を抑制できる。
また、シアヌル酸メラミンまたはポリリン酸メラミンは、熱の伝播を抑制する材料であり、温度を低下させる材料ではない。これに対して、本開示におけるLiイオン伝導性材料は、25℃では固体であるが、加熱(例えば200℃以下の加熱)により液化する材料である。液化の際に、吸熱反応を伴うため、温度を低下させることができる。その結果、何らかの理由で電池が発熱した場合であっても、電池温度の上昇を抑制できる。
このように、本開示によれば、イオン抵抗の増加抑制と、電池温度の上昇抑制とを両立することができる。また、Liイオン伝導性材料は、柔粘性結晶(プラスチッククリスタル)であることが好ましい。
以下、本開示の全固体電池について、構成ごとに説明する。
1.正極活物質層
正極活物質層は、少なくとも正極活物質を含有する層である。正極活物質層は、Liイオン伝導性材料を含有することが好ましい。また、正極活物質層は、必要に応じて、固体電解質、導電材およびバインダーの少なくとも一つを含有していてもよい。
(1)Liイオン伝導性材料
本開示におけるLiイオン伝導性材料は、テトラブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TBA−TFSI)およびリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Li−TFSI)を含有する。
Li−TFSIに対するTBA−TFSIのモル比は、例えば1以上であり、2以上であってもよい。一方、上記モル比は、例えば100以下であり、50以下であってもよい。
Liイオン伝導性材料の融点は、全固体電池の通常使用温度よりも高いことが好ましい。全固体電池の通常使用温度は、例えば50℃未満であり、45℃以下であってもよい。Liイオン伝導性材料の融点は、例えば50℃以上であり、70℃以上であってもよく、90℃以上であってもよい。一方、Liイオン伝導性材料の融点は、例えば200℃以下である。Liイオン伝導性材料の融点は、示差走査熱量測定(DSC測定)により測定できる。Liイオン伝導性材料が複数の融点を有する場合、Liイオン伝導性材料の融点とは、DSC測定において最も大きい吸熱ピークを示す温度をいう。
Liイオン伝導性材料は、Liイオン伝導度が高いことが好ましい。25℃におけるLiイオン伝導性材料のLiイオン伝導度は、例えば、1×10−6S/cm以上であり、1×10−5S/cm以上であることが好ましい。
正極活物質層に含まれるLiイオン伝導性材料の割合は、例えば1重量%以上であり、5重量%以上であってもよい。一方、正極活物質層に含まれるLiイオン伝導性材料の割合は、例えば、40重量%以下であり、30重量%以下であってもよく、20重量%以下であってもよい。
(2)正極活物質
正極活物質は、特に限定されないが、典型的には酸化物活物質が挙げられる。酸化物活物質としては、例えば、LiCoO、LiMnO、LiNiO、LiVO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等の岩塩層状型活物質、LiMn、Li(Ni0.5Mn1.5)O等のスピネル型活物質、LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCuPO等のオリビン型活物質が挙げられる。
また、正極活物質の表面は、コート層で被覆されていてもよい。コート層により、正極活物質と固体電解質(特に硫化物固体電解質)とが反応することを抑制できる。コート層としては、例えば、LiNbO、LiPO、LiPON等のLi含有酸化物が挙げられる。コート層の平均厚さは、例えば1nm以上である。一方、コート層の平均厚さは、例えば20nm以下であり、10nm以下であってもよい。
正極活物質の形状としては、例えば、粒子状が挙げられる。正極活物質の平均粒径(D50)は、例えば、0.1μm以上、50μm以下である。なお、平均粒径は、例えば、レーザー回折式粒度分布計、走査型電子顕微鏡(SEM)による測定から算出できる。正極活物質層に含まれる正極活物質の割合は、例えば40重量%以上であり、50重量%以上であってもよく、60重量%以上であってもよい。一方、正極活物質層に含まれる正極活物質の割合は、例えば95重量%以下である。
(3)固体電解質
固体電解質は、Liイオン伝導性を有する材料であれば特に限定されないが、例えば、硫化物固体電解質および酸化物固体電解質が挙げられる。
硫化物固体電解質の構成元素は、特に限定されないが、硫化物固体電解質は、Li元素と、P元素、Ge元素、Si元素の少なくとも一種と、S元素とを含有することが好ましい。また、硫化物固体電解質は、ハロゲン元素として、Cl元素、Br元素およびI元素の少なくとも一つを含有していてもよい。また、硫化物固体電解質は、O元素を含有していてもよい。
硫化物固体電解質は、Li元素、P元素およびS元素を含有するイオン伝導体を含有することが好ましい。さらに、イオン伝導体は、PS 3−をアニオン構造の主体として含有することが好ましい。「PS 3−をアニオン構造の主体とする」とは、PS 3−の割合が、イオン伝導体における全アニオン構造の中で最も多いことをいう。全アニオン構造におけるPS 3−の割合は、例えば60mol%以上であり、70mol%以上であってもよく、80mol%以上であってもよく、90mol%以上であってもよい。PS 3−の割合は、例えば、ラマン分光法、NMR、XPSにより決定することができる。また、イオン伝導体のS元素の一部は、O元素に置換されていてもよい。
硫化物固体電解質は、上記イオン伝導体に加えて、LiX(Xは、Cl、BrおよびIの少なくとも一種である)を含有することが好ましい。また、LiXの少なくとも一部は、LiXとしてイオン伝導体の構造中に取り込まれた状態で存在することが好ましい。硫化物固体電解質におけるLiXの割合は、例えば1mol%以上であり、10mol%以上であってもよい。一方、上記LiXの割合は、例えば50mol%以下であり、35mol%以下であってもよい。
硫化物固体電解質は、非晶質であってもよく、結晶質であってもよい。前者の一例としては、硫化物ガラスが挙げられ、後者の一例としては、結晶化硫化物ガラス(ガラスセラミックス)が挙げられる。
固体電解質は、Liイオン伝導度が高いことが好ましい。25℃における固体電解質のLiイオン伝導度は、例えば、1×10−4S/cm以上であることが好ましく、1×10−3S/cm以上であることがより好ましい。また、固体電解質の形状としては、例えば、粒子状が挙げられる。固体電解質の平均粒径(D50)は、例えば0.1μm以上であり、0.5μm以上であってもよい。一方、上記平均粒径(D50)は、例えば50μm以下であり、5μm以下であってもよい。なお、平均粒径は、例えば、レーザー回折式粒度分布計、走査型電子顕微鏡(SEM)による測定から算出できる。
(4)正極活物質層
正極活物質層は、さらに導電材を含有していてもよい。導電材の添加により、正極活物質層の電子伝導性を向上させることができる。導電材としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンファイバーが挙げられる。また、正極活物質層は、さらにバインダーを含有していてもよい。バインダーとしては、例えば、ポリビニリデンフロライド(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素含有バインダー、ブタジエンゴム等のゴム系バインダー、アクリル系バインダーが挙げられる。
正極活物質層の厚さは、例えば、0.1μm以上、1000μm以下である。正極活物質層の形成方法としては、例えば、正極活物質および分散媒を少なくとも含有するスラリーを塗工し、乾燥する方法が挙げられる。
2.負極活物質層
負極活物質層は、少なくとも負極活物質を含有する層である。負極活物質層は、上述したLiイオン伝導性材料を含有することが好ましい。また、負極活物質層は、必要に応じて、固体電解質、導電材およびバインダーの少なくとも一つを含有していてもよい。
負極活物質は、特に限定されないが、例えばカーボン活物質、金属活物質および酸化物活物質が挙げられる。カーボン活物質としては、例えば、グラファイト、ハードカーボン、ソフトカーボンが挙げられる。一方、金属活物質としては、例えば、Li、In、Al、SiおよびSn等の単体、および、これらの元素の少なくとも一種を含む合金が挙げられる。また、酸化物活物質としては、例えば、LiTiOが挙げられる。負極活物質層に含まれる負極活物質の割合は、例えば40重量%以上であり、50重量%以上であってもよく、60重量%以上であってもよい。一方、負極活物質層に含まれる負極活物質の割合は、例えば95重量%以下である。
負極活物質層に用いられるLiイオン伝導性材料の種類、割合およびその他の事項については、上記「1.正極活物質層」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
負極活物質層に用いられる、固体電解質、導電材およびバインダーについては、上記「1.正極活物質層」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。中でも、負極活物質層は、固体電解質として硫化物固体電解質を含有することが好ましい。
負極活物質層の厚さは、例えば、0.1μm以上、1000μm以下である。負極活物質層の形成方法としては、例えば、負極活物質および分散媒を少なくとも含有するスラリーを塗工し、乾燥する方法が挙げられる。
3.固体電解質層
固体電解質層は、正極活物質層および負極活物質層の間に配置される層である。固体電解質層は、固体電解質を少なくとも含有し、必要に応じてバインダーを含有していてもよい。また、固体電解質層は、上述したLiイオン伝導性材料を含有していてもよい。固体電解質、バインダーおよびLiイオン伝導性材料については、上記「1.正極活物質層」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。中でも、固体電解質層は、固体電解質として硫化物固体電解質を含有することが好ましい。
固体電解質層の厚さは、例えば、0.1μm以上、1000μm以下である。固体電解質層の形成方法としては、例えば、固体電解質を圧縮成形する方法が挙げられる。
4.その他の部材
本開示の全固体電池は、上述した正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層を少なくとも有する。さらに通常は、正極活物質層の集電を行う正極集電体、および、負極活物質層の集電を行う負極集電体を有する。正極集電体の材料としては、例えば、SUS、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタンおよびカーボンが挙げられる。一方、負極集電体の材料としては、例えば、SUS、銅、ニッケルおよびカーボンが挙げられる。なお、正極集電体および負極集電体の厚さ、形状については、電池の用途に応じて適宜選択することが好ましい。また、本開示に用いられる電池ケースには、一般的な電池の電池ケースを用いることができ、例えばSUS製電池ケースが挙げられる。
5.全固体電池
本開示の全固体電池は、Liイオン伝導性材料の添加によるイオン抵抗の増加が少ないことが好ましい。ここで、本開示の全固体電池(Liイオン伝導性材料を含有する全固体電池)を電池Aとし、Liイオン伝導性材料を含有しないこと以外は電池Aと同じ電池を電池Bとする。電池Aおよび電池Bに対して、後述する条件でDC−IR測定を行った場合に、電池Bのイオン抵抗に対する、電池Aのイオン抵抗の割合(イオン抵抗の増加率)は、例えば、4倍以下であり、3倍以下であることが好ましく、2倍以下であることがより好ましい。
本開示の全固体電池は、釘刺し試験時の温度上昇が少ないことが好ましい。電池Aおよび電池Bに対して、後述する条件で釘刺し試験を行った場合に、電池Bの温度上昇に対する、電池Aの温度上昇の割合(温度上昇率)は、例えば99%以下であり、90%以下であることが好ましく、85%以下であることがより好ましい。
本開示の全固体電池は、通常、全固体リチウム電池である。また、本開示の全固体電池は、一次電池であってもよく、二次電池であってもよいが、中でも二次電池であることが好ましい。繰り返し充放電でき、例えば車載用電池として有用だからである。また、本開示の全固体電池は、単層電池であってもよく、積層電池であってもよい。積層電池は、モノポーラ型積層電池(並列接続型の積層電池)であってもよく、バイポーラ型積層電池(直列接続型の積層電池)であってもよい。全固体電池の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型および角型が挙げられる。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下、本開示をさらに具体的に説明する。
[製造例1]
テトラブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TBA−TFSI)およびリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Li−TFSI)を準備し、これらをTBA−TFSI:Li−TFSI=4:1のモル比で秤量し、混合した。得られた混合物をガラス容器に入れ、120℃で1時間減圧乾燥することにより、Liイオン伝導性材料(TBA−TFSI・Li−TFSI)を得た。
[評価]
製造例1で得られたLiイオン伝導性材料に対して、示差走査熱量測定(DSC測定)を行った。DSC測定は、窒素フロー50ml/min、昇温速度5℃/minの条件で行った。その結果を図2に示す。図2に示すように、55℃付近および75℃付近に吸熱ピークが確認された。これらの吸熱ピーク温度は、Liイオン伝導性材料の融点と一致することから、Liイオン伝導性材料の溶解により吸熱反応が生じることが確認された。
[参考例1]
(硫化物固体電解質の作製)
LiS(日本化学工業製)およびP(アルドリッチ製)を出発原料とした。これらを、モル比でLiS:P=75:25となるように秤量した。LiSおよびPを、メノウ乳鉢で5分混合し、その後ヘプタンを入れ、遊星型ボールミルを用いて40時間メカニカルミリングを行った。これにより硫化物ガラスを得た。その後、180℃で2時間焼成することで硫化物固体電解質(ガラスセラミックス)を得た。
(正極合材スラリーの作製)
正極活物質としてLiNi1/3Co1/3Mn1/3(日亜化学工業製)を準備した。この正極活物質の表面にコート層を形成した。具体的には、エタノール溶媒に、等モルのLiOCおよびNb(OCを溶解させた組成物を作製し、その組成物を、正極活物質の表面に、転動流動コーティング装置(SFP−01、パウレック製)を用いてスプレーコートした。その後、コーティングされた正極活物質を、350℃、大気圧、1時間の条件で熱処理することにより、正極活物質の表面にコート層を形成した。なお、得られた粒子(正極活物質およびコート層を有する粒子)の平均粒径(D50)は、5μmであった。
コート層を有する正極活物質52g、上述した硫化物固体電解質13g、導電材として気相法炭素繊維(VGCF、登録商標)1g、脱水ヘプタン(関東化学製)15gを秤量し、十分に混合した。その後、製造例1で得られたLiイオン伝導性材料(TBA−TFSI・Li−TFSI)を1重量%(固形成分比)となるように添加し、正極合材スラリーを得た。
(負極合材スラリーの作製)
負極活物質としてグラファイト(三菱化学株式会社)36g、上述した硫化物固体電解質25g、脱水ヘプタン(関東化学製)60gを秤量し、十分に混合した。これにより、負極合材スラリーを得た。
(積層電池の作製)
正極合材スラリーをAl箔(正極集電体)に厚さ50μmで塗工し、乾燥することにより、正極活物質層を得た。次に、負極合材スラリーをCu箔(負極集電体)に厚さ50μmで塗工し、乾燥することにより、負極活物質層を得た。次に、上述した硫化物固体電解質と、バインダー(アクリレートブタジエンゴム、ABR)とを硫化物固体電解質:ABR=98:2の体積比で混合した。得られた混合物を4.3ton/cmでプレスし、シート状の固体電解質層を得た。得られた固体電解質層を、正極活物質層および負極活物質層の間に配置し、4.3ton/cmでプレスし、単層電池を得た。得られた単層電池を8層積層し、集電タブを単層電池のセル端子と超音波溶接した。得られた積層体の外側をアルミラミネート材で真空封入し、0.5Ah級の積層電池を得た。
[実施例1〜3、参考例2]
正極合材スラリーにおけるLiイオン伝導性材料(TBA−TFSI・Li−TFSI)の割合を、固形成分比でそれぞれ5重量%、10重量%、20重量%および30重量%に変更したこと以外は、参考例1と同様にして積層電池を得た。
[参考例3]
正極合材スラリーにLiイオン伝導性材料(TBA−TFSI・Li−TFSI)を用いる代わりに、負極合材スラリーにLiイオン伝導性材料(TBA−TFSI・Li−TFSI)を用いたこと以外は、参考例1と同様にして積層電池を得た。
[実施例4〜6、参考例4]
負極合材スラリーにおけるLiイオン伝導性材料(TBA−TFSI・Li−TFSI)の割合を、固形成分比でそれぞれ5重量%、10重量%、20重量%および30重量%に変更したこと以外は、参考例3と同様にして積層電池を得た。
[比較例1、2]
Liイオン伝導性材料(TBA−TFSI・Li−TFSI)の代わりに、シアヌル酸メラミンを、固形成分比でそれぞれ20重量%および30重量%となるように添加したこと以外は、参考例1と同様にして積層電池を得た。
[比較例3、4]
Liイオン伝導性材料(TBA−TFSI・Li−TFSI)の代わりに、シアヌル酸メラミンを、固形成分比でそれぞれ20重量%および30重量%となるように添加したこと以外は、参考例3と同様にして積層電池を得た。
[比較例5]
Liイオン伝導性材料(TBA−TFSI・Li−TFSI)を用いなかったこと以外は、参考例1と同様にして積層電池を得た。
[評価]
(イオン抵抗測定)
実施例1〜6、参考例1〜4および比較例1〜5で得られた積層電池に対して、DC−IR測定を行い、積層電池のイオン抵抗を測定した。まず、積層電池を電圧3.6Vまで充電し、その後、電流値5mA(定電流)で10秒間充電し、電圧の増加分を電流値5mAで割ることで、抵抗を算出した。その結果を表1に示す。
(釘刺し試験)
実施例1〜6、参考例1〜4および比較例1〜5で得られた積層電池に対して、釘刺し試験を行った。具体的には、満充電した積層電池を環境温度25℃の釘刺し試験機上に配置し、電池中央に10mm/secの速度で釘を刺し、電池の温度上昇を測定した。電池の温度上昇は、試験中の最高到達温度と、試験開始直前の温度との差をいう。その結果を表1に示す。なお、表1における温度上昇率は、比較例5を100%とした場合の相対値である。
Figure 0006972965
表1に示すように、実施例1〜3および参考例1、2を比べると、Liイオン伝導性材料の量が増加するにつれ、イオン抵抗が大きくなることが確認された。正極活物質層内のLiイオン伝導は、主に硫化物固体電解質を通して行われるため、Liイオン伝導性材料の量が増加し、相対的に硫化物固体電解質の量が減ることで、イオン抵抗が増加したと推測される。同様の傾向が、実施例4〜6および参考例3、4でも確認された。
また、実施例1〜6および比較例1〜4を比べると、Liイオン伝導性材料(TBA−TFSI・Li−TFSI)を用いた場合は、シアヌル酸メラミンを添加した場合に比べて、イオン抵抗の増加が少ないことが確認された。シアヌル酸メラミンは、Liイオン伝導性を有しない材料であるため、Liイオン伝導を阻害し、イオン抵抗が増加したと推測される。これに対して、Liイオン伝導性材料(TBA−TFSI・Li−TFSI)はLiイオン伝導性材料であり、TFSIが硫化物固体電解質の機能を補助したため、イオン抵抗の増加が抑制できたと推測される。
これらの結果から、イオン抵抗の増加を抑制するためには、Liイオン伝導性材料を添加することが好ましく、その割合も低いことが好ましいことが確認された。また、電池の出力の観点に基づくと、Liイオン伝導性材料の添加によるイオン抵抗の増加率は、3倍以下であることが好ましい。実施例1〜6におけるイオン抵抗は、いずれも比較例5におけるイオン抵抗の3倍以下であり、出力の面で好ましいことが確認された。
表1に示すように、実施例1〜3および参考例1、2を比べると、Liイオン伝導性材料の量が増加するにつれ、温度上昇率が小さくなることが確認された。例えば、温度上昇率を90%以下とするためには、Liイオン伝導性材料(TBA−TFSI・Li−TFSI)を5重量%以上添加する必要がある。同様の傾向が、実施例4〜6および参考例3、4でも確認された。
また、実施例3および比較例1を比べると、Liイオン伝導性材料(TBA−TFSI・Li−TFSI)は、シアヌル酸メラミンに比べて、温度上昇率の低減効果が大きいことが確認された。同様の傾向が、参考例2および比較例2の間、実施例6および比較例3の間、参考例4および比較例4の間でも確認された。
以上のことから、実施例1〜6は、イオン抵抗の増加抑制と、電池温度の上昇抑制とを両立できることが確認された。
1…正極活物質層
2…負極活物質層
3…固体電解質層
4…正極集電体
5…負極集電体
6…電池ケース
10…全固体電池

Claims (1)

  1. 正極活物質層と、負極活物質層と、前記正極活物質層および前記負極活物質層の間に配置された固体電解質層とを有する全固体電池であって、
    前記正極活物質層および前記負極活物質層の少なくとも一方が、テトラブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TBA−TFSI)およびリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Li−TFSI)を含有するLiイオン伝導性材料を5重量%以上20重量%以下の割合で含有し、
    前記Liイオン伝導性材料の融点が、50℃以上、200℃以下である、全固体電池。
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