以下、この発明をより詳細に説明するため、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る運転支援システム1の構成を示すブロック図である。運転支援システム1は、車両の運転者への警告情報の通知または車両の動作制御を行うシステムであり、車載情報装置2を備えている。車両は、自動車または自動二輪車である。また、実施の形態1において、運転支援対象の車両は第1の車両であり、運転支援対象の車両以外に存在する車両は第2の車両である。車載情報装置2は、運転支援対象の車両に搭載された装置であり、検出部3、出力部4および車両制御装置5と接続される。
車載情報装置2は、運転支援対象の車両とこの車両の周辺の移動体とが衝突する可能性の指標値が事前に設定された閾値よりも大きい場合に、運転支援対象の車両の運転者への警告情報の通知または運転支援対象の車両の動作制御を行う。上記移動体は歩行者または自転車である。車載情報装置2は、上記処理を実行するための構成要素として、情報取得部20、指標値算出部21および制御部22を備える。
情報取得部20は、検出部3から入力した検出情報と車両制御装置5から入力した車両情報とから、車両の状態に関する情報および車両の周辺の状況に関する情報を取得する。指標値算出部21は、情報取得部20によって取得された車両の状態に関する情報およびこの車両の周辺の状況に関する情報に基づいて上記指標値を算出する。制御部22は、指標値算出部21によって算出された上記指標値が上記閾値よりも大きい場合に、運転支援対象の車両の運転者への警告情報の通知またはこの車両の動作制御を行う。
検出部3は、運転支援対象の車両の状態を検出し、運転支援対象の車両の周辺の状況を検出して検出情報を車載情報装置2に出力する。例えば、検出部3は、撮像部30、位置検出部31、地図DB(地図データベース)32、通信部33および車両情報取得部34を備える。
撮像部30は、運転支援対象の車両に設けられて、この車両の周辺の映像を撮像する。位置検出部31は、運転支援対象の車両の位置情報を検出する。地図DB32には、道路の車線数および交差点の位置が設定された道路情報を含む地図データが登録されている。通信部33は、交差点近傍に設置された路側機から信号機情報を受信する。車両情報取得部34は、車両制御装置5から車両情報を取得する。車両情報には、例えば、車両の速度情報および操舵情報が含まれる。
出力部4は、車載情報装置2によって生成された警告情報を視覚的または聴覚的に出力する。例えば、出力部4は、表示装置40および音出力装置41を備える。表示装置40は、車室内に設けられ、運転者から画面が視認可能な位置に設置される。表示装置40は、制御部22から入力した警告情報を画面上に表示する。また、音出力装置41は、車室内に設けられて、運転者が出力音を聴取可能である。音出力装置41は、制御部22から入力した警告情報を音声出力する。
車両制御装置5は、運転者の運転操作または車載情報装置2からの制御情報に応じて、車両が備える駆動力装置、操舵装置または制動装置を制御して、車両の動作を制御する。例えば、車両制御装置5は、運転者のブレーキ操作に応じて制動装置を制御することで、車両速度を変更する。また、車両制御装置5は、車載情報装置2からの制御情報に応じて車両を自動で制御する自動運転機能を有してもよい。
次に動作について説明する。
図2は、実施の形態1に係る運転支援方法を示すフローチャートである。
情報取得部20が、運転支援対象の車両の状態に関する情報および車両の周辺の状況に関する情報を取得する(ステップST1)。車両の状態に関する情報には、運転支援対象の車両の位置情報、速度情報および進行方向が含まれる。車両の周辺の状況に関する情報には、運転支援対象の車両の進行方向にある交差点に関する情報、この交差点の信号機に関する情報、車両の走行道路に関する情報、車両の周辺に存在する移動体の状態に関する情報、および交差点に向けて進行する運転支援対象の車両以外の別の車両の状態に関する情報が含まれる。
情報取得部20は、撮像部30によって撮像された運転支援対象の車両の周辺の映像情報を解析して、運転支援対象の車両の周辺に存在する歩行者または自転車の状態に関する情報を取得する。例えば、情報取得部20は、パターンマッチングなどの画像認識手法を用いて車両周辺の歩行者または自転車の存在を認識し、映像の歩行者または自転車の位置変化を逐次認識することによって、歩行者または自転車の位置情報、移動速度情報および進行方向に関する情報を取得する。
また、情報取得部20は、撮像部30によって撮像された交差点の信号機の映像情報を解析して信号機の灯色状態を認識する。情報取得部20は、認識した信号機の灯色状態と通信部33によって路側機から受信された信号機情報とを含んだ情報を、交差点の信号機に関する情報として指標値算出部21に出力する。情報取得部20は、位置検出部31によって検出された運転支援対象の車両の位置情報と地図DB32に登録された地図データとを用いて、運転支援対象の車両の進行方向にある交差点に関する情報および上記車両の走行道路に関する情報を取得する。
指標値算出部21は、情報取得部20によって取得された上記情報に基づいて、運転支援対象の車両の進行方向に存在する交差点の信号機に異常が検出された状態、この車両の周辺に歩行者または自転車が存在する状態および上記車両の周辺に存在する歩行者または自転車と上記車両との距離が閾値以下である状態のうちの少なくとも一つの状態であると判定された場合に、上記指標値を増加させる(ステップST2)。
例えば、指標値算出部21は、上記交差点の信号機に異常が検出された場合に、指標値の初期値に対して一定の増加分を加算した値を指標値とする。指標値算出部21は、上記交差点の信号機に異常が検出されるか、またはこの信号機に異常が検出されなくても運転支援対象の車両の周辺に歩行者または自転車が存在すると、一定の増加分をさらに加算した値を指標値とする。指標値算出部21は、運転支援対象の車両と歩行者または自転車との距離が閾値以下であれば、一定の増加分をさらに加算した値を指標値とする。
制御部22は、指標値算出部21から入力した指標値が閾値よりも大きい場合に、運転支援対象の車両の運転者への警告情報の通知または運転支援対象の車両の動作制御を行う(ステップST3)。例えば、制御部22は、事前に設定された第1の閾値および第2の閾値(第2の閾値は第1の閾値よりも大きい)を用いて、指標値が第1の閾値よりも大きく第2の閾値以下であれば、運転者への警告情報の通知を行う。制御部22は、指標値が第2の閾値よりも大きければ、運転支援対象の車両の動作制御を行う。
例えば、制御部22は、車両の進行方向に存在する交差点の信号機に異常が検出されたことを示す警告情報を、出力部4の表示装置40と音出力装置41に出力する。表示装置40は、制御部22から入力した警告情報に基づいて警告画面を表示し、音出力装置41は、制御部22から入力した警告情報に基づいて警告音を出力する。運転支援対象の車両と歩行者または自転車との距離が閾値以下である場合、制御部22は、歩行者または自転車と車両が衝突する可能性が高いため、警告情報の通知に加えて、車両を減速させるか、歩行者または自転車を回避する自動運転を行う。
次に、実施の形態1における指標値算出処理について詳細に説明する。
図3は、実施の形態1における指標値算出処理を示すフローチャートであって、図2のステップST2の処理の詳細を示している。
指標値算出部21は、情報取得部20から入力した、運転支援対象の車両の進行方向に存在する交差点の信号機に関する情報に基づいて、上記信号機に異常が検出されたか否かを判定する(ステップST1a)。例えば、指標値算出部21は、情報取得部20によって映像情報から認識された信号機の灯色状態と路側機から受信された信号機情報における灯色状態とを比較して両者が整合していない場合、信号機に異常が発生していると判定する。また、指標値算出部21は、情報取得部20から入力した信号機の映像情報から信号機の無灯状態が認識された場合、信号機に異常が発生していると判定してもよい。
信号機に異常が検出された場合(ステップST1a;YES)、指標値算出部21は、指標値の初期値に対して一定の増加分を加算する(ステップST2a)。指標値の初期値は、ステップST1aの処理前の状況が運転者に警告情報を通知すべき状況でなければ、“0”である。増加分は、車両前方の信号機に異常が検出された状態に対して事前に設定された値である。例えば、この増加分を“+1”とすると、指標値算出部21は、初期値“0”に対して上記増加分“+1”を加算した指標値を算出する。
ステップST2aの処理が完了したか、または、信号機に異常が検出されなかった場合(ステップST1a;NO)、指標値算出部21は、情報取得部20から入力した、運転支援対象の車両の周辺に存在する移動体の状態に関する情報に基づいて、この車両の周辺に歩行者または自転車が存在するか否かを判定する(ステップST3a)。
車両周辺に歩行者または自転車が存在しなければ(ステップST3a;NO)、指標値算出部21は、図3の処理を終了する。信号機に異常が検出されず、かつ車両周辺に歩行者または自転車が存在しなかった場合、指標値算出部21は、制御部22に対して指標値の初期値“0”を出力する。一方、信号機に異常が検出されたが、車両周辺に歩行者または自転車が存在しなければ、指標値算出部21は、初期値“0”に対して、信号機に異常が検出された状態についての増加分“+1”を加算した指標値“+1”を、制御部22に出力する。
運転支援対象の車両の周辺に歩行者または自転車が存在する場合(ステップST3a;YES)、指標値算出部21は、指標値に対して一定の増加分を加算する(ステップST4a)。上記増加分は、運転支援対象の車両の周辺に歩行者または自転車が存在する状態に対して事前に設定された値である。例えば、この増加分を“+2”とすると、指標値算出部21は、従前の指標値に対して増加分“+2”を加算した指標値を算出する。
ステップST4aの処理が完了すると、指標値算出部21は、運転支援対象の車両と、この車両の周辺に存在する歩行者または自転車との距離が閾値以下であるか否かを判定する(ステップST5a)。例えば、指標値算出部21は、情報取得部20から入力した、運転支援対象の車両の位置情報、速度情報および進行方向に関する情報と、車両の周辺に存在する歩行者または自転車の位置情報、速度情報および進行方向に関する情報とを用いて、運転支援対象の車両と歩行者または自転車との距離をリアルタイムに算出する。指標値算出部21は、算出した上記距離を事前に設定された閾値と比較し、この比較の結果に基づいて上記距離が閾値以下であるか否かを判定する。
運転支援対象の車両と歩行者または自転車との距離が閾値よりも大きい場合(ステップST5a;NO)、指標値算出部21は、図3の処理を終了する。信号機に異常が検出されず、車両周辺に歩行者または自転車が存在するが、運転支援対象の車両と歩行者または自転車との距離が閾値よりも大きかった場合、指標値算出部21は、初期値“0”に対して、車両周辺に歩行者または自転車が存在する状態についての増加分“+2”を加算した指標値“+2”を、制御部22に出力する。
また、信号機に異常が検出され、かつ車両周辺に歩行者または自転車が存在するが、運転支援対象の車両と歩行者または自転車との距離が閾値よりも大きければ、指標値算出部21は、信号機に異常が検出された状態についての増加分“+1”を初期値“0”に加算した指標値“+1”に対して、車両周辺に歩行者または自転車が存在する状態についての増加分“+2”を加算した指標値“+3”を、制御部22に出力する。
運転支援対象の車両と歩行者または自転車との距離が閾値以下である場合(ステップST5a;YES)、指標値算出部21は、指標値に対して一定の増加分を加算する(ステップST6a)。上記増加分は、運転支援対象の車両と歩行者または自転車との距離が閾値以下である状態に対して事前に設定された値である。例えば、この増加分を“+3”とすると、指標値算出部21は、ステップST4aまでの指標値に対して増加分“+3”を加算した指標値を算出する。
ステップST6aの処理が完了すると、指標値算出部21は、図3の処理を終了する。信号機に異常が検出されなかったが、車両周辺に歩行者または自転車が存在して、車両と歩行者または自転車との距離が閾値以下であれば、指標値算出部21は、車両周辺に歩行者または自転車が存在する状態での増加分“+2”を初期値“0”に加算した指標値“+2”に対して、車両と歩行者または自転車との距離が閾値以下である状態での増加分“+3”を加算した指標値“+5”を、制御部22に出力する。
また、信号機に異常が検出され、車両周辺に歩行者または自転車が存在し、かつ車両と歩行者または自転車との距離が閾値以下である場合、指標値算出部21は、信号機に異常が検出された状態での増加分“+1”を初期値“0”に加算した指標値“+1”に対し、車両周辺に歩行者または自転車が存在する状態での増加分“+2”と、車両と歩行者または自転車との距離が閾値以下である状態での増加分“+3”とを加算した指標値“+6”を、制御部22に出力する。
なお、信号機に異常が検出された状態、車両周辺に歩行者または自転車が存在する状態および車両と歩行者または自転車との距離が閾値以下である状態で指標値の増加分を順に大きくした場合を示したが、これらの状態での指標値の増加分は一定であってもよい。
例えば、指標値の増加分を全ての状態で“+1”としてもよい。
次に、運転支援処理について詳細に説明する。
図4は、実施の形態1における運転支援処理を示すフローチャートであり、図2のステップST3の処理の詳細を示している。
制御部22は、指標値算出部21から入力した上記指標値が第1の閾値TH_aよりも大きいか否かを判定する(ステップST1b)。第1の閾値TH_aは、指標値に関する閾値であり、運転者へ警告情報の通知が不要な指標値の上限値である。ここで、指標値が第1の閾値TH_a以下である場合(ステップST1b;NO)、制御部22は、運転者への警告情報の通知が不要と判断して、通知を実行しない(ステップST2b)。
指標値が第1の閾値TH_aよりも大きい場合(ステップST1b;YES)、制御部22は、指標値算出部21から入力した上記指標値が第2の閾値TH_bよりも大きいか否かを判定する(ステップST3b)。第2の閾値TH_bは、第1の閾値TH_aよりも大きな値であり、運転支援対象の車両の動作制御が不要な指標値の下限値である。
指標値が第1の閾値TH_aよりも大きく、かつ第2の閾値TH_b以下である場合(ステップST3b;NO)、制御部22は、音および画面表示によって警告情報を運転者に通知する(ステップST4b)。
図5は、実施の形態1における警告情報の通知例を示す図であり、運転支援対象の車両の進行方向に存在する交差点に設置された信号機に異常が検出された状態を示している。制御部22は、上記交差点の信号機に異常が検出されたことを示す警告情報を表示装置40および音出力装置41に出力する。表示装置40は、制御部22から入力した警告情報に基づいて警告画面6aを表示する。
例えば、警告画面6aには、信号機に異常が検出されたことを示すテキスト情報6a−1が表示されており、信号機を示すアイコンが、信号機に異常があることを示すアイコン6a−2に変更されている。さらに、音出力装置41は、制御部22から入力した警告情報に基づいて警告音声7aを出力する。運転者は、警告情報に基づいて前方の信号機が正しく機能していないことを認識できる。
一方、指標値が第2の閾値TH_bよりも大きい場合(ステップST3b;YES)、制御部22は、車両速度を制御し、音および画面表示によって警告情報を運転者に通知する(ステップST5b)。例えば、制御部22は、表示装置40を制御して警告画面6aを表示させ、音出力装置41を制御して警告音声7aを出力させる。さらに、制御部22は、車両制御装置5に制御情報を送信することにより、車両制御装置5は、制御部22の制御情報に従って、交差点へ進入する車両を自動で減速させる。
信号機の機能が停止すると、車両、歩行者および自転車は、交差点における交通の指示を失ってしまい、事故が発生する危険が高くなる。これに対して、運転支援システム1では、信号機の異常が検出された状態で、歩行者または自転車と車両とが衝突する可能性の指標値を増加させる。さらに、運転支援システム1は、実際に、車両周辺に歩行者または自転車が存在する状態になると、上記指標値を増加させ、両者の距離が閾値以下の状態になると、上記指標値を増加させる。これにより、運転支援システム1では、上記指標値が閾値よりも大きくなった場合、すなわち、車両周辺に存在する歩行者または自転車と車両とが衝突する可能性が高くなった場合に、運転者への通知または車両の動作制御を適切に行うことができる。
車載情報装置2における、情報取得部20、指標値算出部21および制御部22の機能は、処理回路によって実現される。すなわち、車載情報装置2は、図2におけるステップST1からステップST3までの処理を実行するための処理回路を備えている。この処理回路は、専用のハードウェアであってもよいが、メモリに記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)であってもよい。
図6Aは、車載情報装置2の機能を実現するハードウェア構成を示すブロック図である。図6Bは、車載情報装置2の機能を実現するソフトウェアを実行するハードウェア構成を示すブロック図である。図6Aおよび図6Bにおいて、カメラ100は、図1に示した撮像部30であり、車両の周辺を撮像する。GPS(全地球測位システム)受信機101は、図1に示した位置検出部31であり、車両の位置の緯度経度を検出する。DBインタフェース102は、地図DB103から車載情報装置2へ入力される地図データを中継する。地図DB103は、図1に示した地図DB32である。例えば、情報取得部20は、DBインタフェース102を介して、地図DB32から地図データを取得する。受信装置104は、図1に示した通信部33である。受信装置104は、路側機と通信して交差点に設置された信号機の信号機情報を受信する。
ディスプレイ105は、図1に示した表示装置40である。ディスプレイ105には、例えば、図5に示した警告画面6aが表示される。スピーカ106は、図1に示した音出力装置41である。スピーカ106は、例えば、図5に示した警告音声7aを出力する。制御インタフェース107は、車載情報装置2から車両制御装置108へ出力される制御情報を中継する。車両制御装置108は、図1に示した車両制御装置5である。例えば、制御部22は、制御インタフェース107を介して、車両の減速指令を車両制御装置5に出力する。車両制御装置5は、この減速指令に従って車両を減速させる。
上記処理回路が図6Aに示す専用のハードウェアの処理回路109である場合に、処理回路109は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。車載情報装置2における、情報取得部20、指標値算出部21および制御部22の機能を別々の処理回路で実現してもよく、これらの機能をまとめて1つの処理回路で実現してもよい。
上記処理回路が図6Bに示すプロセッサ110である場合、車載情報装置2における、情報取得部20、指標値算出部21および制御部22の機能は、ソフトウェア、ファームウェアまたはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。なお、ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラムとして記述されてメモリ111に記憶される。
プロセッサ110は、メモリ111に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、車載情報装置2における、情報取得部20、指標値算出部21および制御部22の機能を実現する。すなわち、車載情報装置2は、プロセッサ110によって実行されるときに、図2に示したステップST1からステップST3までの処理が結果的に実行されるプログラムを記憶するためのメモリ111を備える。これらのプログラムは、情報取得部20、指標値算出部21および制御部22の手順または方法をコンピュータに実行させる。メモリ111は、コンピュータを、情報取得部20、指標値算出部21および制御部22として機能させるためのプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。
メモリ111には、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically−EPROM)などの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVDなどが該当する。
情報取得部20、指標値算出部21、および制御部22の機能は、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。
例えば、情報取得部20は、専用のハードウェアである処理回路で機能を実現して、指標値算出部21および制御部22は、プロセッサ110がメモリ111に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって機能を実現する。このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの組み合わせにより上記機能を実現することができる。
以上のように、実施の形態1に係る車載情報装置2が、指標値が閾値よりも大きい場合に、運転者への警告情報の通知または車両の動作制御を行う。指標値は、車両の進行方向に存在する交差点の信号機に異常が検出された状態、車両の周辺に移動体が存在する状態および移動体と車両との距離が閾値以下である状態のうちの少なくとも一つの状態である場合に増加される。信号機に異常があると、交差点における交通の指示が信号機から適切に得られないため、事故が発生する可能性が高くなる。さらに、異常が検出された信号機が設置された交差点に運転支援対象の車両が進行し、この車両の周辺に歩行者または自転車が存在すると、車両と歩行者または自転車とが衝突する可能性が高くなる。
そこで、車載情報装置2では、上記3つの状態のうちの少なくとも一つの状態であると判定されたときに指標値を増加させる。これにより、車載情報装置2は、運転支援対象の車両とその周辺に存在する歩行者または自転車とが衝突する可能性が高い場合に、運転者への通知または車両の動作制御を適切に行うことができるという効果が得られる。
なお、車載情報装置2を備える運転支援システム1においても上記効果は得られ、図2に示した運転支援方法を実行しても上記効果は得られる。
車載情報装置2が、情報取得部20、指標値算出部21および制御部22を備える場合を示したが、これらは、車載装置とは別に設けられた外部装置が備える構成要素であってもよい。例えば、情報取得部20、指標値算出部21および制御部22は、車両に搭載された検出部3、出力部4および車両制御装置5と通信可能なサーバ装置が備えてもよい。
上記サーバ装置において、情報取得部20は、通信ネットワークを介して、車両の状態に関する情報および車両周辺の状況に関する情報を検出部3から取得する。指標値算出部21は、情報取得部20によって取得された上記情報に基づいて指標値を算出する。制御部22は、上記指標値が閾値よりも大きい場合に、通信ネットワークを介して、警告情報を出力部4に送信するか、車両の制御情報を車両制御装置5に送信する。車両の出力部4は、サーバ装置から受信された警告情報を出力し、車両制御装置5は、サーバ装置からの制御情報に従って車両の動作を制御する。これにより、運転支援対象の車両とその周辺に存在する歩行者または自転車とが衝突する可能性が高い場合に運転者への通知または車両の動作制御を適切に行うことができる。
実施の形態2.
実施の形態2に係る運転支援システムは、運転支援対象の車両の周辺に存在する歩行者または自転車が、この車両の進行方向に存在する交差点に向けて進行していると、指標値を増加させる。これにより、歩行者または自転車と車両との衝突の可能性が高い状態であるときに、運転者への通知または車両の動作制御を適切に行うことができる。
実施の形態2に係る車載情報装置は、運転支援対象の車両の進行方向に存在する交差点に向けて歩行者または自転車が進行する状態であるときに指標値を増加させる点で実施の形態1と異なるが、構成要素の基本的な機能は図1と同じである。従って、実施の形態2に係る運転支援システムおよび車載情報装置の構成については、図1を用いて説明する。
図7は、実施の形態2における指標値算出処理を示すフローチャートであって、図2のステップST3の処理の詳細を示している。図7におけるステップST1cからステップST6cまでの処理は、図3に示したステップST1aからステップST6aまでの処理と同じであるので説明を省略する。
ステップST6cの処理が完了すると、指標値算出部21は、運転支援対象の車両の周辺に存在する歩行者または自転車が、運転支援対象の車両の進行方向に存在する交差点に向けて進行しているか否かを判定する(ステップST7c)。例えば、指標値算出部21は、情報取得部20によって取得された情報のうち、車両の周辺に存在する歩行者または自転車の進行方向に関する情報と上記交差点の地図データとを用いて、歩行者または自転車が上記交差点に向けて進行しているか否かを判定する。
歩行者または自転車が上記交差点に向けて進行していなければ(ステップST7c;NO)、指標値算出部21は、図7の処理を終了する。例えば、指標値の初期値を“0”とし、信号機に異常が検出された状態での指標値の増加分を“1”とし、運転支援対象の車両の周辺に歩行者または自転車が存在する状態での指標値の増加分を“2”とし、車両と歩行者または自転車との距離が閾値以下の状態での指標値の増加分を“3”とする。
このとき、信号機に異常が検出されなかったが、車両周辺に歩行者または自転車が存在し、車両と歩行者または自転車との距離が閾値以下であれば、指標値算出部21は、車両周辺に歩行者または自転車が存在する状態についての増加分“+2”を初期値“0”に加算した指標値“+2”に対して車両と歩行者または自転車との距離が閾値以下である状態についての増加分“+3”を加算した指標値“+5”を、制御部22に出力する。
また、信号機に異常が検出され、車両周辺に歩行者または自転車が存在し、かつ車両と歩行者または自転車との距離が閾値以下である場合、指標値算出部21は、信号機に異常が検出された状態についての増加分“+1”を初期値“0”に加算した指標値“+1”に対して、車両周辺に歩行者または自転車が存在する状態についての増加分“+2”と車両と歩行者または自転車との距離が閾値以下である状態についての増加分“+3”とを加算した指標値“+6”を、制御部22に出力する。
一方、歩行者または自転車が上記交差点に向けて進行している場合(ステップST7c;YES)、指標値算出部21は、指標値に対して一定の増加分を加算する(ステップST8c)。上記増加分は、運転支援対象の車両の周辺に存在する歩行者または自転車が上記交差点に向けて進行している状態に対して事前に設定された値である。例えば、この増加分を“+4”とした場合、指標値算出部21は、ステップST6cまでに算出された指標値に対して上記増加分“+4”を加算した指標値を算出する。
ステップST8cの処理が完了すると、指標値算出部21は、図7の処理を終了する。例えば、信号機に異常が検出されなかったが、車両の周辺に歩行者または自転車が存在し、車両と歩行者または自転車との距離が閾値以下であり、さらに、歩行者または自転車が交差点に向けて進行している場合を考える。この場合、指標値算出部21は、車両の周辺に歩行者または自転車が存在する状態での増加分“+2”を初期値“0”に加算した指標値“+2”に対して、車両と歩行者または自転車との距離が閾値以下である状態での増加分“+3”と、歩行者または自転車が交差点に向けて進行している状態での増加分“+4”とを加算した指標値“+9”を、制御部22に出力する。
また、信号機に異常が検出され、車両周辺に歩行者または自転車が存在し、車両と歩行者または自転車との距離が閾値以下であり、さらに歩行者または自転車が交差点に向けて進行している場合を考える。この場合、指標値算出部21は、信号機に異常が検出された状態での増加分“+1”を初期値“0”に加算した指標値“+1”に対して、車両周辺に歩行者または自転車が存在する状態での増加分“+2”と、車両と歩行者または自転車との距離が閾値以下である状態での増加分“+3”と、歩行者または自転車が交差点に向けて進行している状態での増加分“+4”とを加算した指標値“+10”を、制御部22に出力する。
制御部22は、指標値算出部21によって算出された指標値“+9”または“+10”が第1の閾値TH_aよりも大きく、かつ第2の閾値TH_b以下である場合、音および画面表示によって警告情報を運転者に通知する。図8は、実施の形態2における警告情報の通知例を示す図であり、運転支援対象の車両の周辺に存在する自転車が交差点に向けて進入している状態を示している。制御部22は、自転車が交差点に向けて進行していることを示す警告情報を、表示装置40および音出力装置41に出力する。
表示装置40は、制御部22から入力した上記警告情報に基づいて警告画面6bを表示する。例えば、警告画面6bには、運転支援対象の車両の進行方向にある交差点に自転車が進入することを示すテキスト情報6b−1が表示され、自転車を示すアイコン6b−2の進行方向を示す矢印が交差点の地図上に表示されている。さらに、音出力装置41は、制御部22から入力した警告情報に基づいて警告音声7bを出力する。運転者は、警告情報に基づいて、車両の進行方向にある交差点に向けて、車両周辺の自転車も進入しようとしていることを認識できる。
また、指標値算出部21によって算出された指標値“+9”または“+10”が第2の閾値TH_bよりも大きい場合、制御部22は、音および画面表示による警告情報の通知に加え、車両の動作を制御する。例えば、制御部22は、表示装置40を制御して警告画面6bを表示させ、音出力装置41を制御して警告音声7bを出力させる。さらに、制御部22は、車両制御装置5に制御情報を送信することにより、車両制御装置5は、制御部22の制御情報に従って、交差点へ進入する車両を自動で減速させるか、あるいは自転車を自動で回避する運転操作を行う。
なお、信号機に異常が検出された状態、車両周辺に歩行者または自転車が存在する状態、車両と歩行者または自転車との距離が閾値以下である状態、および歩行者または自転車が交差点に向けて進行している状態での指標値の増加分を順に大きくした場合を示したが、これらの状態での指標値の増加分は一定であってもよい。例えば、指標値の増加分を全ての状態で“+1”としてもよい。
以上のように、実施の形態2に係る車載情報装置2において、指標値算出部21が、運転支援対象の車両の周辺に存在する移動体(歩行者または自転車)が上記車両の進行方向に存在する交差点に向けて進行している状態であると判定された場合に、指標値を増加させる。これにより、車載情報装置2は、運転支援対象の車両とその周辺に存在する移動体とが衝突する可能性が高い場合に、運転者への通知または車両の動作制御を適切に行うことができるという効果が得られる。
実施の形態3.
実施の形態3に係る運転支援システムでは、運転支援対象の車両が片側一車線の道路を走行している状態であると判定された場合に、指標値を増加させる。これにより、歩行者または自転車と車両との衝突の可能性が高い状態であるときに、運転者への通知または車両の動作制御を適切に行うことができる。
実施の形態3に係る車載情報装置は、運転支援対象の車両が片側一車線の道路を走行している状態であるときに指標値を増加させる点で、実施の形態1と異なるが、構成要素の基本的な機能は図1と同じである。従って、実施の形態3に係る運転支援システムおよび車載情報装置の構成については、図1を用いて説明する。
図9は、実施の形態3における指標値算出処理を示すフローチャートであって、図2のステップST3の処理の詳細を示している。図9におけるステップST1dからステップST6dまでの処理は、図3に示したステップST1aからステップST6aまでの処理と同じであるので説明を省略する。
ステップST6dの処理が完了すると、指標値算出部21は、運転支援対象の車両が片側一車線の道路を走行している状態であるか否かを判定する(ステップST7d)。
例えば、指標値算出部21は、情報取得部20によって取得された情報のうち、車両が走行している道路の道路情報を用いて、車両が片側一車線の道路を走行しているか否かを判定する。
車両が片側複数車線の道路を走行している場合(ステップST7d;NO)、指標値算出部21は、図9の処理を終了する。例えば、指標値の初期値を“0”とし、信号機に異常が検出された状態での指標値の増加分を“1”とし、運転支援対象の車両の周辺に歩行者または自転車が存在する状態での指標値の増加分を“2”とし、車両と歩行者または自転車との距離が閾値以下の状態での指標値の増加分を“3”とする。
このとき、信号機に異常が検出されなかったが、車両周辺に歩行者または自転車が存在し、車両と歩行者または自転車との距離が閾値以下であれば、指標値算出部21は、車両周辺に歩行者または自転車が存在する状態についての増加分“+2”を初期値“0”に加算した指標値“+2”に対して車両と歩行者または自転車との距離が閾値以下である状態についての増加分“+3”を加算した指標値“+5”を、制御部22に出力する。
また、信号機に異常が検出され、車両周辺に歩行者または自転車が存在し、かつ車両と歩行者または自転車との距離が閾値以下である場合、指標値算出部21は、信号機に異常が検出された状態についての増加分“+1”を初期値“0”に加算した指標値“+1”に対して、車両周辺に歩行者または自転車が存在する状態についての増加分“+2”と車両と歩行者または自転車との距離が閾値以下である状態についての増加分“+3”とを加算した指標値“+6”を、制御部22に出力する。
車両が片側一車線の道路を走行している場合(ステップST7d;YES)、指標値算出部21は、指標値に対して一定の増加分を加算する(ステップST8d)。上記増加分は、運転支援対象の車両が片側一車線の道路を走行している状態に対して事前に設定された値である。例えば、この増加分を“+4”とした場合、指標値算出部21は、ステップST6dまでに算出された指標値に対して上記増加分“+4”を加算した指標値を、制御部22に出力する。ステップST8dの処理が完了すると、指標値算出部21は、図9の処理を終了する。
制御部22は、指標値算出部21によって算出された指標値が第1の閾値TH_aよりも大きく、かつ第2の閾値TH_b以下である場合、音および画面表示によって警告情報を運転者に通知する。例えば、制御部22は、運転支援対象の車両が片側一車線の道路を走行していることを示す警告情報を表示装置40および音出力装置41に出力する。表示装置40は、制御部22から入力した上記警告情報に基づいて警告画面を表示する。音出力装置41は、制御部22から入力した警告情報に基づいて警告音声を出力する。
また、指標値算出部21によって算出された指標値が第2の閾値TH_bよりも大きい場合、制御部22は、音および画面表示による警告情報の通知に加え、車両の動作を制御する。例えば、制御部22は、表示装置40に警告画面を表示させ、音出力装置41に警告音声を出力させた状態で、車両制御装置5に制御情報を送信することにより、車両制御装置5は、制御部22の制御情報に従って車両を自動で減速させる。
信号機に異常が検出された状態、車両周辺に歩行者または自転車が存在する状態、車両と歩行者または自転車との距離が閾値以下である状態、および、車両が片側一車線の道路を走行している状態における指標値の増加分を順に大きくした場合を示したが、これらの状態での指標値の増加分は一定であってもよい。例えば、指標値の増加分を全ての状態で“+1”としてもよい。
以上のように、実施の形態3に係る車載情報装置2において、指標値算出部21は、運転支援対象の車両が片側一車線の道路を走行している状態であると判定された場合、指標値を増加させる。これにより、車載情報装置2は、運転支援対象の車両とその周辺に存在する移動体とが衝突する可能性が高い場合に、運転者への通知または車両の動作制御を適切に行うことができるという効果が得られる。
実施の形態4.
実施の形態4に係る運転支援システムでは、第1の車両(運転支援対象の車両)の進行方向に存在する交差点に向けて第1の車両以外の第2の車両(以下、周辺車両と記載する)が進行している状態であると判定された場合に、指標値を増加させる。これによって、運転支援対象の車両とその周辺車両との衝突の可能性が高い状態であるときに、運転者への通知または車両の動作制御を適切に行うことができる。
実施の形態4に係る車載情報装置は、周辺車両が上記交差点に向けて進行している状態であるときに指標値を増加させる点で実施の形態1と異なるが、構成要素の基本的な機能は図1と同じである。従って、実施の形態4に係る運転支援システムおよび車載情報装置の構成については、図1を用いて説明する。
図10は、実施の形態4における指標値算出処理を示すフローチャートであり、図2のステップST3の処理の詳細を示している。なお、図10におけるステップST1eからステップST6eまでの処理は、図3に示したステップST1aからステップST6aまでの処理と同じであるので説明を省略する。
ステップST6eの処理が完了すると、指標値算出部21は、交差点に向けて進行している周辺車両が存在するか否かを判定する(ステップST7e)。例えば、指標値算出部21は、情報取得部20によって取得された情報のうち、周辺車両の位置情報、速度情報および進行方向に関する情報と交差点の地図データとを用いて、周辺車両が交差点に向けて進行しているか否かを判定する。
交差点に向けて進行する周辺車両が存在しない場合(ステップST7e;NO)、指標値算出部21は、図10の処理を終了する。例えば、指標値の初期値を“0”とし、信号機に異常が検出された状態での指標値の増加分を“1”とし、運転支援対象の車両の周辺に歩行者または自転車が存在する状態での指標値の増加分を“2”とし、車両と歩行者または自転車との距離が閾値以下の状態での指標値の増加分を“3”とする。
このとき、信号機に異常が検出されなかったが、車両周辺に歩行者または自転車が存在し、車両と歩行者または自転車との距離が閾値以下であれば、指標値算出部21は、車両周辺に歩行者または自転車が存在する状態についての増加分“+2”を初期値“0”に加算した指標値“+2”に対して車両と歩行者または自転車との距離が閾値以下である状態についての増加分“+3”を加算した指標値“+5”を、制御部22に出力する。
また、信号機に異常が検出され、車両周辺に歩行者または自転車が存在し、かつ車両と歩行者または自転車との距離が閾値以下である場合、指標値算出部21は、信号機に異常が検出された状態についての増加分“+1”を初期値“0”に加算した指標値“+1”に対して、車両周辺に歩行者または自転車が存在する状態についての増加分“+2”と車両と歩行者または自転車との距離が閾値以下である状態についての増加分“+3”とを加算した指標値“+6”を、制御部22に出力する。
交差点に向けて進行する周辺車両が存在する場合(ステップST7e;YES)、指標値算出部21は、指標値に対して一定の増加分を加算する(ステップST8e)。
上記増加分は、交差点に向けて進行する周辺車両が存在する状態に対して事前に設定された値である。例えば、増加分を“+4”とした場合に、指標値算出部21は、ステップST6eまでに算出された指標値に対して増加分“+4”を加算した指標値を制御部22に出力する。ステップST8eの処理が完了すると、指標値算出部21は図10の処理を終了する。
なお、交差点に設置された信号機が正常に動作していれば、運転支援対象の車両の進行方向に対する左側または右側から上記交差点に向けて進行する周辺車両は、運転支援対象の車両が上記交差点に進入するときに赤信号で停車している。一方、運転支援対象の車両の対向方向を走行している周辺車両は、運転支援対象の車両と同じタイミングで交差点に進入することになる。このため、運転支援対象の車両の対向方向から交差点に向けて進行する周辺車両の方が、運転支援対象の車両の左側または右側から交差点に向けて進行する周辺車両よりも、運転支援対象の車両と衝突する可能性が高い。
そこで、指標値算出部21は、周辺車両が運転支援対象の車両の進行方向に対する左側または右側から交差点に向けて進行している状態における指標値の増加分よりも、周辺車両が運転支援対象の車両の対向方向から交差点に向けて進行している状態における指標値の増加分を多くしてもよい。指標値算出部21は、周辺車両の位置情報、速度情報および進行方向に関する情報と、交差点の地図データとを用いて、周辺車両がどの方向から交差点に進行しているかを確認する。
例えば、運転支援対象の車両の進行方向に対する左側または右側から交差点に向けて進行する周辺車両が存在する状態での指標値の増加分を“+4”とした場合、運転支援対象の車両の対向方向から交差点に向けて進行する周辺車両が存在する状態での指標値の増加分を“+6”とする。この指標値の大きさに応じて運転者への通知または車両の動作制御が行われるので、車載情報装置2は、運転支援対象の車両と周辺車両とが衝突する可能性が高い場合に、運転者への通知または車両の動作制御を適切に行うことができる。
制御部22は、指標値算出部21によって算出された指標値が第1の閾値TH_aよりも大きく、かつ第2の閾値TH_b以下である場合、音および画面表示によって警告情報を運転者に通知する。例えば、制御部22は、交差点に向けて進行する周辺車両が存在することを示す警告情報を、表示装置40および音出力装置41に出力する。表示装置40は、制御部22から入力した上記警告情報に基づいて警告画面を表示する。音出力装置41は、制御部22から入力した警告情報に基づいて警告音声を出力する。
また、指標値算出部21によって算出された指標値が第2の閾値TH_bよりも大きい場合、制御部22は、音および画面表示による警告情報の通知に加え、車両の動作を制御する。例えば、制御部22は、表示装置40に警告画面を表示させ、音出力装置41に警告音声を出力させた状態で、車両制御装置5に制御情報を送信することにより、車両制御装置5は、制御部22の制御情報に従って車両を自動で減速させる。
以上のように、実施の形態4に係る車載情報装置2において、指標値算出部21は、運転支援対象の車両以外の周辺車両が、運転支援対象の車両の進行方向に存在する交差点に向けて進行している状態であると判定された場合に、指標値を増加させる。これにより、車載情報装置2は、運転支援対象の車両と周辺車両とが衝突する可能性が高い場合に、運転者への通知または車両の動作制御を適切に行うことができるという効果が得られる。
実施の形態4に係る車載情報装置2において、指標値算出部21は、周辺車両が運転支援の車両の進行方向に対する左側または右側から交差点に向けて進行している状態における指標値の増加分よりも、周辺車両が運転支援対象の車両の対向方向から交差点に向けて進行している状態における指標値の増加分を多くする。これにより、車載情報装置2は、運転支援対象の車両と周辺車両とが衝突する可能性が高い場合に、運転者への通知または車両の動作制御を適切に行うことができるという効果が得られる。
実施の形態5.
実施の形態5に係る運転支援システムでは、異常が検出された信号機と運転支援対象の車両との距離が閾値以下の状態であると判定された場合に、指標値を増加させる。これによって、運転支援対象の車両と、異常が検出された信号機周辺の歩行者、自転車あるいは運転支援対象の車両以外の別の車両との衝突の可能性が高い状態であるときに運転者への通知または車両の動作制御を適切に行うことができる。
実施の形態5に係る車載情報装置は、異常が検出された信号機と運転支援対象の車両との距離が閾値以下の状態であるときに指標値を増加させる点で実施の形態1と異なるが、構成要素の基本的な機能については図1と同じである。従って、実施の形態5に係る運転支援システムおよび車載情報装置の構成については、図1を用いて説明する。
図11は、実施の形態5における指標値算出処理を示すフローチャートであり、図2のステップST3の処理の詳細を示している。なお、図11におけるステップST1fからステップST2fおよびステップST5fからステップST8fまでの処理は、図3におけるステップST1aからステップST2aおよびステップST3aからステップST6aまでの処理と同じであるので説明を省略する。
ステップST2fの処理が完了すると、指標値算出部21は、異常が検出された信号機と運転支援対象の車両との距離が閾値以下であるか否かを判定する(ステップST3f)。例えば、指標値算出部21は、情報取得部20によって取得された情報のうち、運転支援対象の車両の位置情報、速度情報および進行方向に関する情報と、信号機の位置情報を含む信号機情報とを用いて、上記信号機と運転支援対象の車両との間の距離を算出する。そして、指標値算出部21は、算出した上記距離と事前に設定された閾値との比較結果に基づいて上記距離が閾値以下であるか否かを判定する。なお、事前に設定された閾値は、例えば、信号機の位置からの距離範囲のうち、運転支援対象の車両が徐行すべき距離範囲の境界値である。
異常が検出された信号機と運転支援対象の車両との距離が閾値よりも大きい場合(ステップST3f;NO)、指標値算出部21は、指標値を増加させずに、ステップST5fの処理に移行する。なお、信号機に異常が検出された状態での指標値の増加分を“+1”とした場合、指標値算出部21は、ステップST2fにおいて、指標値の初期値“0”に対して上記増加分“+1”を加算した指標値“+1”を算出している。
一方、異常が検出された信号機と運転支援対象の車両との距離が閾値以下である場合(ステップST3f;YES)、指標値算出部21は、指標値に対して一定の増加分を加算する(ステップST4f)。上記増加分は、異常が検出された信号機と運転支援対象の車両との距離が閾値以下である状態に対して事前に設定された値である。例えば、信号機に異常が検出された状態での指標値の増加分が“+1”である場合、この信号機と運転支援対象の車両との距離が閾値以下である状態での指標値の増加分を“+2”とする。指標値算出部21は、ステップST2fで算出した指標値“+1”に対して、異常が検出された信号機と運転支援対象の車両との距離が閾値以下である状態での増加分“+2”を加算した指標値“+3”を算出する。この後、指標値算出部21は、ステップST5fの処理に移行する。
制御部22は、指標値算出部21によって算出された指標値が第1の閾値TH_aよりも大きく、かつ第2の閾値TH_b以下である場合、音および画面表示によって警告情報を運転者に通知する。図12は実施の形態5における警告情報の通知例を示す図であり、異常が検出された信号機と運転支援対象の車両との距離が閾値以下の状態を示している。制御部22は、異常が検出された信号機と運転支援対象の車両との距離が閾値以下であることを示す警告情報を、表示装置40および音出力装置41に出力する。
表示装置40は、制御部22から入力した上記警告情報に基づいて警告画面6cを表示する。例えば、警告画面6cには、異常が検出された信号機に対して運転支援対象の車両が接近していることを示すテキスト情報6c−1が表示され、信号機を示すアイコンが、信号機に異常があることを示すアイコン6c−2に変更されている。また、警告画面6cには、運転支援対象の車両を示すアイコン6c−3が表示されている。
音出力装置41は、制御部22から入力した警告情報に基づいて警告音声7cを出力する。運転者は、これらの警告情報に基づいて、異常が検出された信号機に車両が接近していることを認識できる。
また、指標値算出部21によって算出された指標値が第2の閾値TH_bよりも大きい場合、制御部22は、音および画面表示による警告情報の通知に加え、車両の動作を制御する。例えば、制御部22は、表示装置40を制御して警告画面6cを表示させ、音出力装置41を制御して警告音声7cを出力させる。さらに、制御部22は、車両制御装置5に制御情報を送信することにより、車両制御装置5は、制御部22の制御情報に従って、異常が検出された信号機に向けて進行する車両を自動で減速させる。
以上のように、実施の形態5に係る車載情報装置2において、指標値算出部21は、異常が検出された信号機と運転支援対象の車両との距離が閾値以下の状態であると判定された場合に、指標値を増加させる。これにより、車載情報装置2は、異常が検出された信号機周辺の歩行者、自転車あるいは運転支援対象の車両以外の別の車両と運転支援対象の車両とが衝突する可能性が高い場合に、運転者への通知または車両の動作制御を適切に行うことができるという効果が得られる。
実施の形態6.
実施の形態6に係る運転支援システムでは、運転支援対象の車両の進行方向で次に存在する信号機(以下、次の信号機と記載する)に異常が検出された状態であると判定された場合に、指標値を増加させる。これにより、運転支援対象の車両と、異常が検出された次の信号機周辺の歩行者、自転車または運転支援対象の車両以外の別の車両との衝突の可能性が高い状態であるときに、運転者への通知または車両の動作制御を適切に行うことができる。
実施の形態6に係る車載情報装置は、次の信号機に異常が検出された状態であるときに指標値を増加させる点で実施の形態1と異なるが、構成要素の基本的な機能については、図1と同じである。従って、実施の形態6に係る運転支援システムおよび車載情報装置の構成については、図1を用いて説明する。
図13は、実施の形態6における指標値算出処理を示すフローチャートであり、図2のステップST3の処理の詳細を示している。なお、図13におけるステップST1gからステップST2gおよびステップST7gからステップST10gまでの処理は、図3におけるステップST1aからステップST2aおよびステップST3aからステップST6aまでの処理と同じであるので説明を省略する。
ステップST2gの処理が完了すると、指標値算出部21は、運転支援対象の車両の進行方向に存在する次の信号機に異常が検出されたか否かを判定する(ステップST3g)。例えば、指標値算出部21は、情報取得部20によって映像情報から認識された信号機の灯色状態と路側機から受信された信号機情報における灯色状態とを比較して両者が整合していない場合、次の信号機に異常が発生していると判定する。また、指標値算出部21は、情報取得部20から入力した信号機の映像情報から信号機の無灯状態が認識された場合、次の信号機に異常が発生していると判定してもよい。
次の信号機に異常が検出されなかった場合(ステップST3g;NO)、指標値算出部21は、指標値を増加させずに、ステップST7gの処理に移行する。なお、信号機に異常が検出された状態での指標値の増加分を“+1”とした場合、指標値算出部21は、ステップST2gにおいて、指標値の初期値“0”に対して上記増加分“+1”を加算した指標値“+1”を算出している。
一方、次の信号機に異常が検出された場合(ステップST3g;YES)、指標値算出部21は、指標値に一定の増加分を加算する(ステップST4g)。上記増加分は、運転支援対象の車両の進行方向に存在する次の信号機に異常が検出された状態に対して事前に設定された値である。例えば、次の信号機に異常が検出された状態での指標値の増加分が“+1”である場合、指標値算出部21は、ステップST2gで算出した指標値“+1”に対して、次の信号機に異常が検出された状態における増加分“+1”を加算した指標値“+2”を算出する。この後、指標値算出部21は、ステップST7gに移行する。
次に、指標値算出部21は、異常が検出された次の信号機と運転支援対象の車両との距離が閾値以下であるか否かを判定する(ステップST5g)。例えば、指標値算出部21は、情報取得部20によって取得された情報のうち、運転支援対象の車両の位置情報、速度情報および進行方向に関する情報と、次の信号機の位置情報を含む信号機情報とを用いて、次の信号機と運転支援対象の車両との間の距離を算出する。指標値算出部21は、算出した上記距離と事前に設定された閾値との比較結果に基づいて上記距離が閾値以下であるか否かを判定する。なお、事前に設定された閾値は、例えば、次の信号機の位置からの距離範囲のうち、運転支援対象の車両が徐行すべき距離範囲の境界値である。
異常が検出された次の信号機と運転支援対象の車両との距離が閾値よりも大きい場合(ステップST5g;NO)、指標値算出部21は、指標値を増加させずに、ステップST7gの処理に移行する。一方、異常が検出された次の信号機と運転支援対象の車両との距離が閾値以下である場合(ステップST5g;YES)、指標値算出部21は、指標値に対して一定の増加分を加算する(ステップST6g)。上記増加分は、異常が検出された次の信号機と運転支援対象の車両との距離が閾値以下である状態に対して事前に設定された値である。
例えば、次の信号機に異常が検出された状態における指標値の増加分が“+1”である場合、この信号機と運転支援対象の車両との距離が閾値以下である状態における指標値の増加分を“+2”とする。このとき、指標値算出部21は、ステップST4gで算出した指標値“+2”に対して、異常が検出された次の信号機と運転支援対象の車両との距離が閾値以下である状態での増加分“+2”を加算した指標値“+4”を算出する。この後、指標値算出部21は、ステップST7gの処理に移行する。
制御部22は、指標値算出部21によって算出された指標値が第1の閾値TH_aよりも大きく、かつ第2の閾値TH_b以下である場合、音および画面表示によって警告情報を運転者に通知する。図14は実施の形態6における警告情報の通知例を示す図であり、次の信号機に異常が検出された状態を示している。制御部22は、次の信号機に異常が検出されたことを示す警告情報を、表示装置40および音出力装置41に出力する。
表示装置40は、制御部22から入力した上記警告情報に基づいて警告画面6dを表示する。例えば、警告画面6dには、異常が検出された次の信号機に運転支援対象の車両が接近していることを示すテキスト情報6d−1が表示され、前方の信号機を示すアイコンが、信号機に異常があることを示すアイコン6d−2に変更され、次の信号機を示すアイコンが、信号機に異常があることを示すアイコン6d−3に変更されている。矢印Aは、運転支援対象の車両の進行方向を示している。また、音出力装置41は、制御部22から入力した警告情報に基づいて警告音声7dを出力する。運転者は、これらの警告情報に基づいて、異常が検出された次の信号機に車両が接近していることを認識できる。
また、指標値算出部21によって算出された指標値が第2の閾値TH_bよりも大きい場合、制御部22は、音および画面表示による警告情報の通知に加え、車両の動作を制御する。例えば、制御部22は、表示装置40を制御して警告画面6dを表示させ、音出力装置41を制御して警告音声7dを出力させる。さらに、制御部22は、車両制御装置5に制御情報を送信することにより、車両制御装置5は、制御部22の制御情報に従って、次の信号機に向けて進行する車両を自動で減速させる。
以上のように、実施の形態6に係る車載情報装置2において、指標値算出部21は、運転支援対象の車両の進行方向で次に存在する信号機に異常が検出された状態であると判定された場合に、指標値を増加させる。これにより、車載情報装置2は、運転支援対象の車両と、異常が検出された次の信号機周辺の歩行者、自転車または運転支援対象の車両以外の別の車両との衝突の可能性が高い状態であるときに、運転者への通知または車両の動作制御を適切に行うことができる。
実施の形態6に係る車載情報装置2において、指標値算出部21は、運転支援対象の車両の進行方向の次に存在して異常が検出された信号機と、運転支援対象の車両との距離が閾値以下の状態であると判定された場合に、指標値を増加させる。これにより、車載情報装置2は、異常が検出された次の信号機周辺の歩行者、自転車あるいは運転支援対象の車両以外の別の車両と運転支援対象の車両とが衝突する可能性がさらに高い場合に、運転者への通知または車両の動作制御を適切に行うことができるという効果が得られる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、実施の形態のそれぞれの自由な組み合わせまたは実施の形態のそれぞれの任意の構成要素の変形もしくは実施の形態のそれぞれにおいて任意の構成要素の省略が可能である。