本発明に係る電気掃除機の実施形態について、図1から図5を参照して説明する。なお、複数の図面中、同一または相当する構成には同一の符号が付されている。
図1は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の外観を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、いわゆるキャニスタ型である。電気掃除機1は、被掃除面を走行可能な掃除機本体2と、掃除機本体2に着脱自在な管部3と、を備えている。掃除機本体2と管部3とは、流体的に接続されている。
掃除機本体2は、本体ケース5と、本体ケース5の左右それぞれの側部に設けられる一対の車輪6と、本体ケース5の前半部に配置される着脱自在な塵埃分離集塵部7と、本体ケース5の後半部に収納される電動送風機8と、主に電動送風機8を制御する本体制御部9と、電動送風機8へ電力を導く電源コード11と、を備えている。
掃除機本体2は、電源コード11を経て供給される電力で電動送風機8を駆動させる。また、掃除機本体2は、電動送風機8の駆動によって発生する負圧を管部3に作用させる。電気掃除機1は、管部3を通じて被掃除面から塵埃を含んだ空気(以下、「含塵空気」と呼ぶ。)を吸い込み、含塵空気から塵埃を分離し、分離後の塵埃を捕集し、蓄積するとともに塵埃を分離した後の清浄な空気を排気する。
本体ケース5の正面部分には、本体接続口12が設けられている。本体接続口12は、掃除機本体2の流体的な入口であり、管部3を着脱自在に接続する継手構造を有している。本体接続口12は、管部3と塵埃分離集塵部7とを流体的に接続している。
車輪6は、大径の走行輪であり、掃除機本体2を支えている。
塵埃分離集塵部7は、掃除機本体2に流れ込む含塵空気から塵埃を分離し、捕集し、蓄積する一方で、塵埃が除去された清浄な空気を電動送風機8へ送る。塵埃分離集塵部7は、遠心分離方式であっても良いし、濾過分離方式であっても良い。
電動送風機8は、塵埃分離集塵部7から空気を吸い込んで負圧(吸込負圧)を発生させる。
本体制御部9は、マイクロプロセッサ(図示省略)、およびマイクロプロセッサが実行する各種演算プログラム、パラメータなどを記憶する記憶装置(図示省略)を備えている。記憶装置は、予め設定される複数の運転モードに関連する種々の設定(引数)を記憶している。複数の運転モードは電動送風機8の出力に関連付けられている。それぞれの運転モードには、相互に異なる入力値(電動送風機8の入力値、電動送風機8に流れる電流値)が設定されている。それぞれの運転モードは、管部3が受け付ける操作入力に関連付けられている。本体制御部9は、管部3への操作入力に対応する任意の運転モードを、予め設定される複数の運転モードから択一的に選択し、選択した運転モードの設定を記憶部から読み出し、読み出した運転モードの設定にしたがって電動送風機8を運転する。
電源コード11は、配線用差込接続器(図示省略、所謂コンセント)から掃除機本体2へ電力を供給する。電源コード11の自由端部には、差込プラグ14が設けられている。
管部3は、掃除機本体2から作用する負圧によって、被掃除面から含塵空気を吸い込み掃除機本体2へ案内する。管部3は、掃除機本体2に着脱自在に接続される継手としての接続管19と、接続管19に流体的に接続される集塵ホース21と、集塵ホース21に流体的に接続される手元操作管22と、手元操作管22から突出する把持部23と、把持部23に設けられる操作部24と、手元操作管22に着脱自在に接続される延長管25と、延長管25に着脱自在に接続される吸込口体26と、を備えている。
接続管19は、本体接続口12へ着脱自在に接続される継手であり、本体接続口12を通じて塵埃分離集塵部7に流体的に接続されている。
集塵ホース21は、長尺で可撓な略円筒形状のホースである。集塵ホース21の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、接続管19に流体的に接続されている。集塵ホース21は、接続管19を通じて塵埃分離集塵部7に流体的に接続されている。
手元操作管22は、集塵ホース21と延長管25とを中継している。手元操作管22の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、集塵ホース21の他方の端部(ここでは、前方の端部)に流体的に接続されている。手元操作管22は、集塵ホース21および接続管19を通じて塵埃分離集塵部7に流体的に接続されている。
把持部23は、電気掃除機1を操作するために使用者が手で把持する部分である。把持部23は、使用者が手で容易に把持できる適宜の形状で手元操作管22から突出している。
操作部24は、それぞれの運転モードに対応付けられるスイッチを備えている。具体的には、操作部24は、電動送風機8の運転停止操作に対応付けられる停止スイッチ24aと、電動送風機8の運転開始操作に対応付けられる起動スイッチ24bと、吸込口体26への電源供給に対応付けられるブラシスイッチ24cと、を備えている。停止スイッチ24aおよび起動スイッチ24bは、本体制御部9に電気的に接続されている。電気掃除機1の使用者は、操作部24を操作して電動送風機8の運転モードを択一的に選択できる。起動スイッチ24bは、電動送風機8の運転中に、運転モードの選択スイッチとしても機能する。この場合、本体制御部9は、起動スイッチ24bから操作信号を受け取る度に運転モードを強→中→弱→強→中→弱→………の順に切り換える。なお、操作部24は、起動スイッチ24bに代えて、強運転スイッチ(図示省略)、中運転スイッチ(図示省略)、および弱運転スイッチ(図示省略)を個別に備えていても良い。
複数の筒状体を重ね合わせたテレスコピック構造の延長管25は、伸縮可能な細長略円筒状の管である。延長管25の一方の端部(ここでは、後方の端部)には、手元操作管22の他方の端部(ここでは、前方の端部)に着脱自在な継手構造が設けられている。延長管25は、手元操作管22、集塵ホース21および接続管19を通じて塵埃分離集塵部7に流体的に接続されている。
吸込口体26は、木床やカーペットなどの被掃除面上を走行自在または滑走自在であり、走行状態または滑走状態において被掃除面に対向する底面に吸込口28を有する。また、吸込口体26は、吸込口28に配置される回転自在な回転清掃体29と、回転清掃体29を駆動させる電動機31と、を備えている。吸込口体26の一方の端部(ここでは、後方の端部)には、延長管25の他方の端部(ここでは、前方の端部)に着脱自在な継手構造が設けられている。吸込口体26は、延長管25、手元操作管22、集塵ホース21および接続管19を通じて塵埃分離集塵部7に流体的に接続されている。つまり、吸込口体26、延長管25、手元操作管22、集塵ホース21、接続管19、および塵埃分離集塵部7は、電動送風機8から吸込口28へ至る吸込風路である。電動機31は、ブラシスイッチ24cから操作信号を受け取る度に運転開始と停止とを交互に繰り返す。
電気掃除機1は、起動スイッチ24bが操作されると電動送風機8を始動させる。例えば、電気掃除機1は、電動送風機8が停止している状態で起動スイッチ24bが操作されると、先ず電動送風機8を強運転モードで運転し、再び起動スイッチ24bが操作されると電動送風機8の運転モードを中運転モードに変更し、三度、起動スイッチ24bが操作されると電動送風機8の運転モードを弱運転モードに変更し、以下同様に繰り返す。強運転モード、中運転モードおよび弱運転モードは、予め設定される複数の運転モードであり、強運転モード、中運転モード、弱運転モードの順に電動送風機8に対する入力値が小さい。始動した電動送風機8は、塵埃分離集塵部7から空気を排気してその内部を負圧にする。
塵埃分離集塵部7内の負圧は、本体接続口12、接続管19、集塵ホース21、手元操作管22、延長管25、および吸込口体26を順次に通じて吸込口28に作用する。電気掃除機1は、吸込口28に作用する負圧によって、被掃除面の塵埃を空気とともに吸い込んで掃除する。塵埃分離集塵部7は、電気掃除機1に吸い込まれた含塵空気から塵埃を分離し、蓄積する一方で、含塵空気から分離した空気を電動送風機8へ送る。電動送風機8は、塵埃分離集塵部7から吸い込んだ空気を掃除機本体2外へ排気する。
図2は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の電動送風機を部分的に切り欠いて示す図である。
図2に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1の電動送風機8は、吸気口35を有する遠心ファン部36と、排気口37を有するモータ部38と、を備えている。
モータ部38は、整流子電動機である。モータ部38は、排気口37を有するモータハウジング39と、モータハウジング39の内周面39aに設けられる固定子41と、モータハウジング39内に回転自在に支持される回転子42と、モータハウジング39に設けられて回転子42に電気的に接続される一対のブラシ機構43と、を備えている。
固定子41は、回転子42を環状に囲んでいる。
回転子42は、固定子41の内側に配置されている。回転子42は、回転中心となるロータ軸45と、ロータ軸45に設けられる回転子鉄心46と、回転子鉄心46に巻き付けられるフィールド巻線47と、ロータ軸45に設けられてフィールド巻線47に電気的に接続される整流子48と、を備えている。
ブラシ機構43は、モータハウジング39のブラシホルダ固定部49を貫いて固定されるブラシホルダ51と、ブラシホルダ51内に収容される摺動自在なブラシ52と、ブラシ52を整流子48へ押さえ付けるコイルバネ53と、を備えている。ブラシ52は、カーボンブラシである。
図3は、本発明の実施形態に係る電気掃除機を示すブロック図である。
図3に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、差込プラグ14を介して商用交流電源Eに電気的に接続される本体制御回路55を備えている。
本体制御回路55は、電動送風機8の運転を制御する。本体制御回路55は、商用交流電源Eへ直列に接続される電動送風機8と、商用交流電源Eと電動送風機8とを接続する電路を開閉するスイッチング素子56と、商用交流電源Eを変換して本体制御部9へ動作電力を供給する本体電源部57と、電動送風機8に吸い込まれる空気の風量Qを検知する風量検知部58と、電動送風機8の運転を制御する本体制御部9と、を備えている。
スイッチング素子56は、双方向サイリスタや逆阻止3端子サイリスタなどの素子であって、本体制御部9に接続されるゲートを備えている。スイッチング素子56は、ゲート電流の変化に応じて電動送風機8の入力を変える。
本体電源部57は、本体制御部9の制御電源を発生させる電源回路である。本体電源部57は、商用交流電源Eから電源コード11の差込プラグ14が抜かれると、電源を喪失して制御電源の供給を停止する。
風量検知部58は、例えば電動送風機8に流れる電流値を測定するカレントトランスである。風量検知部58は、電動送風機8に流れる電流値の変化から電動送風機8に流れる空気の風量Qを推測する。なお、電動送風機8に通じる風路、すなわち管部3、および塵埃分離集塵部7が閉塞するなどして風量Qが低下すると、電動送風機8に流れる電流値が低下する。つまり、風量検知部58は、電動送風機8に流れる電流値の低下量から電動送風機8に流れる空気の風量Qの低下量を検出している。風量検知部58は、検知した電流値を電圧値に変換して本体制御部9へ出力する。
なお、風量検知部58は、例えば電動送風機8に吸い込まれる空気の風量Qを直接的に検知する風量計であっても良い。この場合、風量検知部58は、検知した風量Qを電圧値に変換して本体制御部9へ出力する。また、風量検知部58は、例えば電動送風機8に吸い込まれる空気の圧力を検知する圧力センサであっても良い。電動送風機8に吸い込まれる空気の風量Qの低下は、圧力の低下(負圧の上昇)を伴う。この場合、風量検知部58は、検知した圧力を電圧値に変換して本体制御部9へ出力する。
本体制御部9は、マイクロコンピュータを含み、中央処理部(図示省略)、記憶部59、I/O部(図示省略)およびタイマ(図示省略)を備えている。記憶部59は、中央処理部が実行する制御プログラムや、制御プログラムの実行に必要な定数などのデータを予め記憶する。このデータは、予め設定された各運転モードに対応する入力値を示す定数を含んでいる。また、記憶部59は、中央処理部の演算データなどを一時記憶しておくデータ記憶領域および作業領域である。
また、本体制御部9は、操作部24が出力する操作信号と、ゼロクロス検出器(図示省略)が検出する商用交流電源Eのゼロクロスタイミングと、を周期的に読み取り、選択された運転モードにしたがってスイッチング素子56のスイッチング制御(位相制御)を行い電動送風機8の入力を制御する。
さらに、本体制御部9は、例えば、弱運転モード、中運転モードおよび強運転モードを含む複数の運転モードに応じて電動送風機8の入力を制御する。本体制御部9は、起動スイッチ24bから操作信号を受け取る都度、運転モードを順次に切り換えてスイッチング素子56のスイッチング制御を行う。
さらにまた、本体制御部9は、風量検知部58が検知する風量Qの急低下とそれ以外の低下とを識別する。そして、本体制御部9は、電動送風機8が始動してから予め定める所定の時間T以内に風量検知部58が検知する風量Qが急低下した場合には、電動送風機8を停止させる。
ここで、電動送風機8に吸い込まれる空気の風量Qの急低下とは、予め定める判定時間Δtで風量Qが所定の減少量以上に減少するような事象である。一方、電動送風機8に吸い込まれる空気の風量Qの急低下以外の低下とは、予め定める判定時間Δtで風量Qが所定の減少量より小さく減少するような事象である。電動送風機8に吸い込まれる空気の風量Qの急低下とは、予め定める判定時間Δt、例えば3秒間で風量Qが例えば50%以上減少するような事象である。一方、電動送風機8に吸い込まれる空気の風量Qの急低下以外の低下、換言すると電動送風機8に吸い込まれる空気の風量Qの緩やかな(緩慢な)低下とは、予め定める判定時間Δt、例えば3秒間で風量Qが例えば50%未満に収まるような事象である。判定時間Δtや風量Qの減少率、あるいは減少量は、回転数が上昇した電動送風機8に損傷を生じない範囲に設定される。例えばクッションのようなものが吸込口28に吸い付いてしまい、吸込口28を閉塞させてしまうと、電動送風機8に吸い込まれる空気の風量Qは急低下する。また、例えば吸込口28に積み木のようなものが吸い付いてしまい、吸込口28を半閉塞(風路が部分的には抜けている状態)させてしまうと、電動送風機8に吸い込まれる空気の風量Qは緩やかに低下する。
また、電動送風機8に吸い込まれる空気の風量Qの急低下とは、それぞれの運転モードにおいて予想される風量Qから逸脱し、例えば50%以上減少するような事象である。一方、電動送風機8に吸い込まれる空気の風量Qの急低下以外の低下、換言すると電動送風機8に吸い込まれる空気の風量Qの緩やかな(緩慢な)低下とは、それぞれの運転モードにおいて予想される風量Qから逸脱しつつも、減少量が例えば50%未満に収まるような事象である。例えば、運転の当初から電動送風機8に繋がる風路に異物が入り込み、風路を閉塞している一方で、外観からそれとは判別できないような場合、電動送風機8に吸い込まれる空気の風量Qは、運転の開始時点から低下している虞がある。このような場合、風量Qの変化率で評価すると、風路の閉塞を見落とす可能性がある。そのため、それぞれの運転モードにおいて、当然予想される風量Qが得られていない場合にも、電動送風機8に吸い込まれる空気の風量Qの低下(急低下、または緩やかな低下)として識別することが好ましい。なお、この場合、風量Qの低下を電流値の低下量で検出することが難しい。そのため、風量検知部58にカレントトランスを適用する場合には、例えば電動送風機8に流れる電流値の大きさ(絶対値)で風量Qの低下を検出することが好ましい。
ところで、電気掃除機1は塵埃を吸い込んで塵埃分離集塵部7に蓄積する。そのため、電動送風機8に吸い込まれる空気の風量Qは、塵埃分離集塵部7に蓄積される塵埃が増える、換言すると塵埃分離集塵部7が満杯に近づくほど低下する。そのため、本体制御部9は、風量Qの急低下とそれ以外の低下とを識別する一方、風量Qの急低下以外の低下について、塵埃分離集塵部7に塵埃を蓄積することに起因する、謂わば通常の正常な使用状況における風量Qの低下と、それ以外の風量Qの低下とを識別する。電動送風機8に吸い込まれる空気の風量Qの、通常の正常な使用状況における風量Qの低下とは、予め定める判定時間Δt、例えば3秒間で風量Qが5%未満に収まるような事象である。換言すると、電動送風機8に吸い込まれる空気の風量Qの緩やかな(緩慢な)低下とは、予め定める判定時間Δt、例えば3秒間で風量Qが5%以上、かつ50%未満に収まるような事象である。
後の説明を簡潔、かつ明瞭にするため、塵埃分離集塵部7に塵埃を蓄積することに起因する、謂わば通常の正常な使用状況における風量の低下を「通常の風量低下」と呼び。前述のように吸込口28や、吸込口28から電動送風機8に至る風路の途中に異物を吸い込んでしまい、それによって生じる風量の低下を「異常な風量低下」と呼ぶ。
次いで、本体制御部9が処理する電動送風機8の風量低下時の停止制御について詳細に説明する。
図4は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の風量低下時における電動送風機の停止制御のフローチャートである。
図4に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1の本体制御部9は、電動送風機8が始動してから予め定める所定の時間T以内に風量検知部58が検知する風量Qが急低下した場合には、電動送風機8を停止させる。
具体的には、本体制御部9は、操作部24の起動スイッチ24bが操作されると電動送風機8を起動すると同時に計時を開始する(ステップS1)。その後、本体制御部9は、電動送風機8が始動してから予め定める所定の時間Tが経過したか否かを判断する(ステップS2)。所定の時間Tは、例えば20秒に設定される。
本体制御部9は、電動送風機8が始動してから予め定める所定の時間Tが経過していなければ(ステップS2 No)、風量Qが異常に低下しているか否かを判断する(ステップS3)。風量Qが異常に低下していない、換言すると通常の風量低下が生じている場合には(ステップS3 No)、本体制御部9は、電動送風機8を通常の出力で運転し(ステップS4)、ステップS2に戻る。一方、風量Qが異常に低下している場合には(ステップS3 Yes)、本体制御部9は、風量Qが急激に低下しているか否かを判断する(ステップS5)。
本体制御部9は、電動送風機8の風量Qが急激に低下している場合には(ステップS5 Yes)、電動送風機8を停止させ(ステップS6)、制御を終了させる。一方、本体制御部9は、電動送風機8の風量Qが急激に低下していない場合、つまり電動送風機8の風量Qが緩慢に低下している場合には(ステップS5 No)、通常の出力で運転する場合よりも小さい入力値を適用して電動送風機8の運転回転数を通常よりも低減させ(ステップS7)、ステップS2に戻る。
そして、本体制御部9は、電動送風機8が始動してから予め定める所定の時間Tを過ぎると(ステップS2 Yes)、風量低下時における電動送風機8の停止制御を終了させて、電動送風機8の通常の運転制御へ移行する。
なお、電動送風機8の通常の運転制御における電動送風機8の運転回転数は、風量低下時における電動送風機8の停止制御を引き継ぐ。つまり、電動送風機8の通常の運転制御における電動送風機8の運転回転数は、ステップS7を経た場合には電動送風機8の運転回転数を通常よりも低減され、ステップS6、およびステップS7を経ることなく、ステップS4のみを経た場合には電動送風機8の運転回転数を通常どおりに維持される。
また、本体制御部9は、電動送風機8が始動してから予め定める所定の時間Tを過ぎた後(ステップS2 Yes)に異常な風量低下を検知した場合には、ステップS7のように、通常の出力で運転する場合よりも小さい入力値を適用して電動送風機8の運転回転数を通常よりも低減させる。
図5は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の風量低下時における電動送風機の停止制御の他の例のフローチャートである。
なお、図5のステップS1からステップS7の処理は、図4のステップS1からステップS7の処理と同様であり、説明が繰り返しになるので省略する。
図5に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1の本体制御部9は、電動送風機8を停止させる制御を行って以後、電動送風機8を運転する場合には、電動送風機8の運転回転数を、電動送風機8を停止させる制御を行う前の電動送風機8の運転回転数よりも低下させる。
なお、ここでいう電動送風機8の停止制御は、図5におけるステップS6の停止制御にあたり、ステップS7以降、電動送風機8の通常の運転制御において停止スイッチ24aの操作に基づいて電動送風機8を停止させたり、図5の制御が行われている最中、停止スイッチ24aの操作に基づいて電動送風機8を停止させたりする場合を除く。
具体的には、本体制御部9は、電動送風機8を停止させた場合(ステップS6)、電動送風機8の入力値抑制情報を例えば零値から1値に変更する(ステップS11)。入力値抑制情報は、記憶部59に確保される記憶領域である。
本体制御部9は、操作部24の起動スイッチ24bが操作されると入力値抑制情報を確認し(ステップS12)、入力値抑制情報=零値の場合には(ステップS13 Yes)、ステップS1以降の処理を行う。一方、本体制御部9は、入力値抑制情報≠零値の場合には(ステップS13 No)、通常の入力値よりも低い入力値を設定し(ステップS14)、風量低下時における電動送風機8の停止制御を終了させて、入力値を低下させたまま電動送風機8の運転制御を継続する。
なお、入力値抑制情報の初期値は零値に設定されている。そのため、ステップS12からステップS14の処理が行われるのは、ステップS6の停止制御が行われ、ステップS11で入力値抑制情報が1値に変更された後になる。
また、通常の入力値よりも低い入力値は、予め記憶部59に記憶されているものでも良いし、通常の入力値と1より小さい補正係数との積によって演算されるものであっても良い。それぞれの運転モードにおいて一律に低減されるものであっても良いし、異なっていても良い。
また、本体制御部9は、一旦電源を喪失すると電動送風機8の運転回転数を、電動送風機8を停止させる制御を行う前の電動送風機8の運転回転数に戻す。
つまり、記憶部59の入力値抑制情報は、電気掃除機1が商用交流電源Eから切り離される都度、初期化されて零値に戻る。
このように、本実施形態に係る電気掃除機1は、電動送風機8の風量Qの急低下とそれ以外の低下とを識別し、かつ、電動送風機8が始動してから予め定める所定の時間T以内に風量Qが急低下した場合には、電動送風機8を停止させる。そのため、電気掃除機1は、電動送風機8に繋がる風路が閉塞されて風量Qが急激に低下し、電動送風機8が過加熱することを抑制し、ひいては安全性を高めることができる。
ところで、電気掃除機1を使用している最中、異物を吸い込んで電動送風機8に繋がる風路を閉塞させてしまっても、使用者は、状況を把握しやすい。他方、幼児が誤って起動スイッチ24bを操作してしまい、電動送風機8に繋がる風路に異物が入り込んで風路を詰まらせた場合、使用者は、状況を把握できないまま、電気掃除機1の運転を開始させる。このような状況において、電気掃除機1は、電動送風機8が始動してから予め定める所定の時間T以内に風量Qが急低下した場合には、電動送風機8を停止させる。そのため、電気掃除機1は、使用者が気づかないうちに電動送風機8に繋がる風路が塞がれ、外観上、これを識別できないような場合に、速やかに電動送風機8を停止させることができる一方で、掃除の最中に異物が吸込口28に吸い付いたり、風路に吸い込まれたりしても、電動送風機8を停止させることなく、使用者の利便を優先させることができる。
また、本実施形態に係る電気掃除機1は、電動送風機8を停止させる制御を行って以後、電動送風機8を運転する場合には、電動送風機8の運転回転数を、電動送風機8を停止させる制御を行う前の電動送風機8の運転回転数よりも低下させる。そのため、電気掃除機1は、電動送風機8に吸い込まれる空気の風量Qが急低下し、一旦、電動送風機8を停止させた後、仮に風路の閉塞が改善されないまま、つまり風路が塞がったまま、再度、電動送風機8が再始動されたとしても、電動送風機8が損傷に至る虞を低下させ、ひいては安全性を高めることができる。
さらに、本実施形態に係る電気掃除機1は、一旦電源を喪失すると電動送風機8の運転回転数を、電動送風機8を停止させる制御を行う前の電動送風機8の運転回転数に戻す。そのため、電気掃除機1は、使用者が風路に入り込んだ異物を除去して風路の閉塞が改善された場合には、通常どおりの出力で電動送風機8を運転し、使用者の利便に適うことができる。
したがって、本実施形態に係る電気掃除機1によれば、電動送風機8への吸込風路の閉塞が推測された場合、速やかに電動送風機8を停止させて、より高い安全性を確保できる。
なお、本実施形態に係る電気掃除機1は、キャニスタ型のものに限らず、アップライト型、スティック型、あるいはハンディ型などのものであってもよい。また、電気掃除機1は、商用交流電源Eの他に二次電池を備えたコードレス型のものであってもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。