JP6969712B1 - 転がり軸受の耐圧痕性の予測方法、機械加工条件の選定方法、軸受材料品質の選定方法、バニシング加工条件の選定方法及び軸受製造方法 - Google Patents

転がり軸受の耐圧痕性の予測方法、機械加工条件の選定方法、軸受材料品質の選定方法、バニシング加工条件の選定方法及び軸受製造方法 Download PDF

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Abstract

試験片の作製作業や試験作業を要することなく、外輪軌道面及び内輪軌道面を機械加工により硬化させる場合の、外輪及び内輪それぞれの軌道輪の耐圧痕性の測定を可能とする方法を提供する。軌道面に機械加工が施される前の状態における、転がり軸受の形成材料の軌道面の深さ方向の降伏せん断応力を示す第1の曲線と、軌道面に機械加工が施されている状態における、軌道面の深さ方向の静的せん断応力を示す第2の曲線と、軌道面に転動体が接触して静的荷重が負荷された状態における、軌道面の深さ方向の静的せん断応力を示す第3の曲線と、を求めるとともに、第1の曲線と第2の曲線を上回り、かつ第3の曲線を下回ることにより囲まれる領域を面積Aとして、面積Aと軌道輪の圧痕深さとの相関関係を求める、耐圧痕性の測定方法。

Description

本発明は、転がり軸受の耐圧痕性の予測方法、機械加工条件の選定方法、軸受材料品質の選定方法、バニシング加工条件の選定方法及び軸受製造方法に関する。
転がり軸受では、静止中に過大な荷重を受けると、転がり軸受の外輪軌道輪及び内輪軌道輪と転動体との間にHertz接触が生じて永久変形(ブリネル圧痕)が残ることが知られている。このような圧痕が存在すると、転がり軸受の使用時に音響や振動特性に影響を及ぼす。例えば、工作機械のような高速で回転する用途での転がり軸受では、1μm程度の微小な圧痕であっても、異音や振動が大きな問題となる。このため、転がり軸受を設計する場合には、静的限界荷重(基本静定格荷重)を接触応力で定めており、JIS B 1519(2009年)では、例えば、スラスト玉軸受及び自動調心玉軸受を除くラジアル玉軸受の接触応力を4.2GPaにすることが定められている。
また、自動車などの低燃費化を背景とした、転がり軸受の小型化には、過大な荷重に耐えられるような塑性変形抵抗性が必要となる。従来、転がり軸受の塑性変形抵抗性の向上には、転がり軸受の外輪軌道輪及び内輪軌道輪の硬さと残留オーステナイト量とのバランスが重要であり、転がり軸受の軌道輪の硬さを上昇させたり、鋼の軟質な組織である残留オーステナイトを減少させたりすることで永久変形抵抗性を向上させて、耐圧痕性を向上させる取り組みが実施されている。
例えば、特許文献1には、高炭素クロム軸受鋼に浸炭窒化処理及び焼戻しを施した技術が記載されている。また、特許文献2には、軸受内外輪の軌道面にサブゼロ処理を施した技術が記載されている。
しかしながら、このような熱処理及び成分調整のみにて耐圧痕性を向上させようとすると、浸炭窒化処理やサブゼロ処理のような特殊熱処理は、長時間を要するとともに、そのための工程が別途必要にもなり、製造コストが増加する。
一方、圧痕の形成は軌道面の塑性変形であり、単純な材料の降伏現象と考えることができる。材料の強化法は種々の方法が存在しており、熱処理や成分調整の他に、加工硬化という手法が存在する。本発明者らは、焼入れ鋼という熱処理によって最大限に硬化された材料に機械加工を加えることにより、更に耐圧痕性を高められることを見出した。機械加工の方法は、バニシング加工やショットピーニングなど様々な方法が存在し、工業的にも実現されている。
特にバニシング加工は、ショットピーニングのような表面性状の悪化が抑えられ、後工程で必要に応じて実施する仕上げ加工時の取り代を抑制できる。
日本国特開2015−200351号公報 日本国特開2000−274440号公報
しかしながら、いずれも、どのような軸受材料に対して、どの位の機械加工を施せば転がり軸受の耐圧痕性を適正に改善することが出来るのか予測が困難なため、多くの試作と評価及び検討をする必要がある。そのため、処理条件や加工条件、合金組成などを種々変えた試験片を作製し、その都度評価する必要があり、コストや時間を要している。
本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、試験片の作製作業や試験作業を要することなく、外輪軌道面及び内輪軌道面を機械加工により硬化させる場合の、転がり軸受の耐圧痕性の予測方法、更には、機械加工条件の選定及び熱処理後の軸受材料品質の選定を可能とする方法、並びに軸受製造方法を提供することを目的とする。
また本発明は、試験片の作製作業や試験作業を要することなく計算に基づいた検証により、外輪軌道面や内輪軌道面などの軸受軌道輪の軌道面をバニシング加工により硬化させる場合の、耐圧痕性を高めるために最適なバニシング加工条件の選定方法及び軸受製造方法を提供することを目的とする。
転がり軸受の圧痕の形成は、転動体と軌道輪との表面接触に伴う塑性変形である。この塑性変形を発生させている応力は、Hertz接触の理論で説明される。一方、金属は降伏応力を越えて荷重が加わると塑性変形が生じ、その塑性変形を継続するためには更に大きな荷重が必要となり、「加工硬化」と呼ばれる現象が起こる。また、加工硬化した金属はいったん除荷した場合、それと同等以上の荷重が付与されない限り変形しないという特徴がある。これらの現象を組み合わせれば、転動体と軌道輪との接触により変形する領域は両者の間に発生するHertz接触の応力場に従い、あらかじめ機械加工を加えておけば、その範囲は変形しないことになり、両者の差分が圧痕形成に寄与する。
すなわち、Hertz接触の理論に基づき材料の変形が説明できることになり、実験的に検量線を作成すれば、幾何学的な計算のみで、加えた機械加工により発生する圧痕の形成量を予測することができる。
そして、例えば、機械加工としてバニシング加工を施す場合、当該予測に際し、バニシングツール先端に装着するバニシングボールのサイズ及びそのバニシングボールを構成する材質、並びにバニシング荷重などを考慮することで、最適な加工条件を選定することができる。
発明は上記の課題を解決するために下記()に示す転がり軸受の耐圧痕性の予測方法、下記()に示す機械加工条件の選定方法、下記()に示す軸受材料品質の選定方法、及び下記()に示す軸受製造方法を提供する。
機械加工を施した軌道面を有する軌道輪の間に、複数の転動体を転動自在に保持してなる転がり軸受の耐圧痕性の予測方法であって、
前記軌道面に機械加工が施される前の状態における、転がり軸受の形成材料の前記軌道面の深さ方向の降伏せん断応力を示す第1の曲線と、
前記軌道面に機械加工が施されている状態における、前記軌道面の深さ方向の静的せん断応力を示す第2の曲線と、
前記軌道面に前記転動体が接触して静的荷重が負荷された状態における、前記軌道面の深さ方向の静的せん断応力を示す第3の曲線と、を求めるとともに、
前記第1の曲線と前記第2の曲線を上回り、かつ前記第3の曲線を下回ることにより囲まれる領域を面積Aとして、前記面積Aと前記軌道輪の圧痕深さとの相関関係を求め、当該相関関係に基づいて、軌道輪の耐圧痕性を予測することを特徴とする、転がり軸受の耐圧痕性の予測方法。
機械加工を施した軌道面を有する軌道輪の間に、複数の転動体を転動自在に保持してなる転がり軸受の機械加工条件の選定方法であって、
前記軌道面に機械加工が施される前の状態における、転がり軸受の形成材料の前記軌道面の深さ方向の降伏せん断応力を示す第1の曲線と、
前記軌道面に機械加工が施されている状態における、前記軌道面の深さ方向の静的せん断応力を示す第2の曲線と、
前記軌道面に前記転動体が接触して静的荷重が負荷された状態における、前記軌道面の深さ方向の静的せん断応力を示す第3の曲線と、を求めるとともに、
前記第1の曲線と前記第2の曲線を上回り、かつ前記第3の曲線を下回ることにより囲まれる領域を面積Aとして、前記面積Aと前記軌道輪の圧痕深さとの相関関係を求め、当該相関関係に基づいて、
前記軌道輪の耐圧痕性が任意の大きさになるように前記面積Aを求め、また、前記面積Aになるように前記第2の曲線を求め、その後前記第2の曲線になるような機械加工条件を決定することを特徴とする、機械加工条件の選定方法。
機械加工を施した軌道面を有する軌道輪の間に、複数の転動体を転動自在に保持してなる転がり軸受の軸受材料品質の選定方法であって、
前記軌道面に機械加工が施される前の状態における、転がり軸受の形成材料の前記軌道面の深さ方向の降伏せん断応力を示す第1の曲線と、
前記軌道面に機械加工が施されている状態における、前記軌道面の深さ方向の静的せん断応力を示す第2の曲線と、
前記軌道面に前記転動体が接触して静的荷重が負荷された状態における、前記軌道面の深さ方向の静的せん断応力を示す第3の曲線と、を求めるとともに、
前記第1の曲線と前記第2の曲線を上回り、かつ前記第3の曲線を下回ることにより囲まれる領域を面積Aとして、前記面積Aと前記軌道輪の圧痕深さとの相関関係を求め、当該相関関係に基づいて、
前記軌道輪の耐圧痕性が任意の大きさになるように前記面積Aを求め、また、前記面積Aになるように前記第1の曲線を求め、その後前記第1の曲線になるような熱処理後の軸受材料品質を決定することを特徴とする、軸受材料品質の選定方法。
) 上記()に記載の転がり軸受の耐圧痕性の予測方法、上記()に記載の機械加工条件の選定方法、及び上記()に記載の軸受材料品質の選定方法のうち少なくとも1つの工程を含むことを特徴とする、軸受製造方法。
なお、本明細書において上記(1)〜()に係る発明を「第1発明群」と称する。
また、本発明は上記の課題を解決するために下記()〜()に示すバニシング加工条件の選定方法を提供する。
) 軸受軌道輪の軌道面に施すバニシング加工の加工条件を選定する方法であって、
前記軌道面に前記バニシング加工が施される前の状態における、前記軸受軌道輪の形成材料の前記軌道面の深さ方向の降伏せん断応力を示す第1の曲線と、
前記軌道面に前記バニシング加工が施されている状態における、前記軌道面の深さ方向の静的せん断応力を示す第2の曲線と、
前記軌道面に転動体が接触して静的荷重が負荷された状態における、前記軌道面の深さ方向の静的せん断応力を示す第3の曲線と、を求めるとともに、
前記第1の曲線と前記第2の曲線を上回り、かつ前記第3の曲線を下回ることにより囲まれる領域を面積Aとし、
前記第1の曲線を上回り、かつ前記第3の曲線を下回ることにより囲まれる領域を面積Sとするとき、
前記面積A<前記面積S、を満足する加工条件を選定することを特徴とする、バニシング加工条件の選定方法。
) 上記()に記載のバニシング加工条件の選定方法であって、
前記バニシング加工が、先端にバニシングボールを装着したバニシングツールを用いて行われるものであり、
前記バニシングボールの半径を前記軸受軌道輪の溝半径で除した値を、バニシングボール選定指数Bとするとき、
B≦1であることを特徴とする、バニシング加工条件の選定方法。
) 上記()に記載のバニシング加工条件の選定方法であって、
(前記面積S−前記面積A)/前記面積S、で表されるバニシング耐圧痕性指数αと、前記バニシングボール選定指数Bとの相関を求めることを特徴とする、バニシング加工条件の選定方法。
) 上記()に記載のバニシング加工条件の選定方法であって、
前記バニシング耐圧痕性指数αと前記バニシングボール選定指数Bとの相関関係から、前記バニシング耐圧痕性指数αが最大になるような、前記バニシングボールのサイズ及び材質、並びにバニシング荷重を決定することを特徴とする、バニシング加工条件の選定方法。
) 上記()〜()のいずれか1つに記載のバニシング加工条件の選定方法であって、
前記バニシングボールとして、200GPa以上のヤング率を有する材料を選択することを特徴とする、バニシング加工条件の選定方法。
また、本発明は、下記(10)に示す軸受製造方法を提供する。
10) 上記()〜()のいずれか1つに記載のバニシング加工条件の選定方法により選定したバニシング加工条件を用いるバニシング加工工程を含むことを特徴とする、軸受製造方法。
なお、本明細書において上記()〜(10)に係る発明を「第2発明群」と称する。
上記「第1発明群」に係る本発明によれば、試験片の作製作業や試験作業を要することなく、軸受軌道輪の耐圧痕性の測定、耐圧痕性の予測、機械加工条件の選定、熱処理後の軸受材料品質の選定、及び耐圧痕性に優れる軸受の製造を可能にする。
また、上記「第2発明群」に係る本発明によれば、試験片の作製作業や試験作業を要することなく計算に基づいた検証により、外輪軌道面や内輪軌道面などの軸受軌道輪の軌道面をバニシング加工により硬化させる場合の、耐圧痕性を高めるために最適な加工条件の選定方法及び軸受製造方法を提供することができる。
図1は、転がり軸受の一例であるラジアル玉軸受を示す一部切欠斜視図である。 図2は、静的せん断応力を説明するための模式図である。 図3は、面積Sの算出方法を説明するための模式図である。 図4は、面積Aの算出方法を説明するための模式図である。 図5は、第1実施形態において第1発明群に係る本発明を説明するための、面積Aと軌道輪の圧痕深さとの関係を示すグラフである。 図6は、第2実施形態において第2発明群に係る本発明を説明するための、バニシングツール、ボールの材質及びバニシング荷重を変化させた場合における、バニシングボール選定指数Bとバニシング耐圧痕性指数αとの相関関係を示すグラフである。 図7は、第2実施形態において第2発明群に係る本発明を説明するための、バニシング荷重を変化させた場合における、バニシングボール選定指数Bとバニシング耐圧痕性指数αとの関係を示すグラフである。 図8は、第2実施形態において第2発明群に係る本発明を説明するための、バニシングボールの材質を変化させた場合における、バニシングボール選定指数Bとバニシング耐圧痕性指数αとの関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
なお、以下に示す実施形態においては、上記「第1発明群」に係る本発明を説明するための実施形態を「第1実施形態」と称し、上記「第2発明群」に係る本発明を説明するための実施形態を「第2実施形態」と称する。
<第1実施形態>
まず、第1実施形態について説明する。
本発明において転がり軸受の種類や構成に制限はなく、例えば図1に示すラジアル玉軸受を示すことができる。図示されるように、ラジアル玉軸受1は、内周面に外輪軌道面2を有する外輪3と、外周面に内輪軌道面4を有する内輪5と、これら外輪軌道面2と内輪軌道面4との間に設けた、それぞれが転動体である複数個の玉6とを備える。これら各玉6は、円周方向に等間隔に配置された状態で、保持器7により、転動自在に保持されている。
また、外輪軌道面2及び内輪軌道面4は、機械加工が施されている。機械加工としては、制限はないが、バニシング加工やショットピーニング加工が好ましい。
バニシング加工とは、加工治具である先端が球状で高硬度の部品が設けられた装置を外輪軌道面2や内輪軌道面4に押し当てて、外輪3や内輪5を自身の軸線を中心にして回転させて、外輪軌道面2や内輪軌道面4に圧縮応力を作用させる加工方法である。また、ショットピーニング加工とは、高硬度で略球状の投射材を外輪軌道面2や内輪軌道面4に噴射する加工方法である。略球状の投射材の大きさや材質、噴射速度などの処理条件を調整し、バニシング加工と同等の品質に調整することができる。
ところで、転がり軸受においては、静的荷重が負荷された場合、転動体との接触により軌道輪が塑性変形し、軌道面に圧痕が生じる場合がある。塑性変形による変形量は、転がり軸受の形成材料の静的降伏せん断応力と、転動体と軌道輪とのHertz接触によって軌道輪内部に生じる静的せん断応力との相対関係によるものと考えられる。なお、静的せん断応力は、図2に示すように、軌道輪と転動体との接触点Oにおいて、転動体の接線方向に対して45°の方向に作用する静的せん断応力(τst)である。
図3において、転がり軸受の形成材料の軌道面の深さ方向における降伏せん断応力を示す「曲線a」と、所定の静的荷重が負荷された場合の、軌道輪の内部に生じる軌道面の深さ方向における静的せん断応力を示す「曲線b」を示す。図示されるように、曲線bで示される静的せん断応力が曲線aで示される転がり軸受の形成材料の降伏せん断応力を上回る領域(図中、ハッチング部分)が形成されており、その「面積S」の大きさによって軌道面の塑性変形量を推定することができる。この面積Sが小さいほど、塑性変形し難く、軌道面に圧痕が付き難いといえる。
なお、図3において「曲線a」は、便宜上、単なる直線で示しているが、実際には略直線状の曲線である。また、以下で説明する図4における「曲線a」も同様である。
同様に、軌道面に機械加工を施した場合も、加工治具(バニシング加工であれば先端部が球状部品、ショットピーニング加工であれば略球状の投射材)と、軌道面とが接触するため、Hertz接触と考えることができる。また、静的荷重が負荷される前にあらかじめ、転がり軸受の形成材料の降伏せん断応力を上回る静的せん断応力が導入されたと考えることができる。
図4に、軌道面に機械加工が施される前の状態における、転がり軸受の形成材料の軌道面の深さ方向における降伏せん断応力を示す「曲線a」(第1の曲線)と、所定の条件下で機械加工された場合、すなわち軌道面に機械加工が施されている状態における、軌道面の深さ方向における静的せん断応力を示す「曲線c」(第2の曲線)と、所定の静的荷重が負荷された場合、すなわち軌道面に転動体が接触して静的荷重が負荷された状態における、軌道面の深さ方向における静的せん断応力を示す「曲線b」(第3の曲線)を、併せて示す。
図4では、曲線a(第1の曲線)と曲線c(第2の曲線)を上回り、かつ曲線b(第3の曲線)を下回ることにより囲まれる領域(図中、ハッチング部分)の「面積A」(塑性変形指数)により、機械加工の条件から得られる軌道輪の耐圧痕性を予測することができる。なお、各曲線は、以下の計算から求めることができる。
軌道輪の内部に生じる静的せん断応力τstは、軌道輪と転動体との接触点において、転動体の接線方向に対して生じる垂直応力σx(単位MPa)、法線方向に対して生じる垂直応力σz(単位MPa)とすると以下の式(1)で表され、公知の弾性理論解を用いて計算できる。
Figure 0006969712
垂直応力σとσは、点接触の場合、例えばHansonの弾性理論解(Hanson,M.T.and Johnson,T.,“The Elastic Field for Spherical Hertzian Contact of Isotropic Bodies Revisited:Some Alternative Expressions”,Transactions of the ASME,Journal of Tribology,Vol.115(1993),pp.327−332)を用いて計算することができる。Hertz接触の最大接触面圧qmax、接触面半径a、ポアソン比νを用いて、σとσは以下の式(2)〜(7)で表される。
Figure 0006969712
Figure 0006969712
Figure 0006969712
Figure 0006969712
Figure 0006969712
Figure 0006969712
ここで、x=rcosθ(r>0)であり、x>0のときθ=0、x<0のときθ=πとする。Hertz接触の最大接触面圧qmax、接触面半径aは、例えば「ボールベアリング設計計算入門」(岡本純三,2011年)などを参考に計算することができる。
なお、線接触の場合は、例えばSmithの弾性理論解(Smith,J.O., Liu,C.K.and Ill U.,“Stress Due to Tangential and Normal Loads on an Elastic Solid With Application to Some Contact Stress Problems“,Transaction of the ASME,Journal of Applied Mechanics,Vol.20(1953),pp.157−166)、又は、田中の計算式(田中直行,“楕円接触の内部応力の計算について”,日本機械学会論文集C編,61巻660号(2001),pp.265−269)を用いて計算することができる。
また、転がり軸受の形成材料の降伏せん断応力τ(単位MPa)は、0.2%耐力をσ0.2、軌道輪のビッカース硬さをHVとすると、以下の式(8)で表される。
Figure 0006969712
そして、上記式から各曲線を算出し、表面からの同一深さにおける曲線aと、曲線bと、曲線cとの差分を、表面からの深さ方向に積分することにより、面積Aを求めることができる。
また、計算を容易にするために、区分求積法を用いて近似的に算出することもできる。すなわち、軌道輪と転動体との接触点を基準として転動体の法線方向に対して、複数の微小区間ΔZに分割し、これら微小区間の面積を合算すればよい。より正確に計算するためには、微小区間ΔZを小さくすることが望ましいが、0.01mmが適当である。これ以上小さくしても、算出される面積Aの差は無視できるほど小さい。
なお、本発明は、ローラーバニシング等、Hertz接触の理論により金属を機械加工し、さらに転がり軸受のように変形に関する理論がHertz接触によって生じる場合に適用される圧痕形成量の予測方法であり、圧痕形成量を制御するための機械加工の条件や熱処理後の軸受材料品質の選定をするものである。
<第1実施形態に係る実施例>
以下、実施例及び比較例を挙げて、第1発明群に係る本発明の効果を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。上記で説明したようにして求められる面積Aは、下記に示すように、軌道面の圧痕深さとの間に高い相関を有することが判明した。
(試験片の作製)
転がり軸受の軌道輪を模擬した平板形状の試験片に鋼球を押し付け、試験片の表面に発生した圧痕の深さを測定した。試験片はいずれも軸受鋼(SUJ2鋼)を素材とし、焼入れ焼戻しを施した。実施例1は840℃焼入れ180℃焼戻しを施し、また実施例2は840℃焼入れ300℃焼戻しを施した。そして、平面仕上げ加工後、実施例1、2ではバニシング加工を施した。比較例1は840℃焼入れ180℃焼戻し、比較例2は840℃焼入れ300℃焼戻しを施した。その後、比較例1、2ではバニシング加工を施さず、平面仕上げ加工のみ施した。なお、バニシング加工条件は、バニシングツールの先端形状をφ3mm、すべり率を100%、周速を100m/min、ツールの送り速度を0.05mm/rev、ツールの押し込み量を0.3mmとした。また、加工時は、ろ過された工作液を使用し、バニシング荷重は、弾性変形のみが生じると仮定して最大接触面圧を算出し、9.2GPaとした。
(圧痕試験)
圧痕試験では、転がり軸受の軌道輪を模擬した平板形状の試験片と同様、軸受鋼で作製し、焼入れ焼戻しされた3/8インチの鋼球を用いて、試験片の最大接触面圧が5.0GPa、5.5GPa、6.0GPaとなるように荷重を負荷した後、テーラーホブソン社製の3次元表面性状測定機(CCI)を用いて、試験片の表面に発生した圧痕の深さを測定した。表1に、圧痕試験の結果及び面積Aの算出結果を示す。実施例1と比較例1、実施例2と比較例2の結果を比較し、バニシング加工を施すことで、圧痕深さが低減していることが確認できた。
また、図5に、面積Aと軌道輪の圧痕深さとの関係をグラフ化して示す。図5に示すように、算出した面積Aと測定した圧痕深さには良好な相関性が認められた。
このように、面積Aを算出することができれば圧痕深さを予測できるので、試験片を作製するごとに耐圧痕性の評価試験を実施する必要がなくなり、機械加工後の軸受軌道輪の耐圧痕性を予測でき、耐圧痕性に優れる軸受を提供することができる。
また、面積Aと軌道輪の圧痕深さとの相関関係から、軌道輪の耐圧痕性が任意の大きさになるように面積Aを求め、また、その面積Aになるように第2の曲線を求め、その後第2の曲線になるような機械加工条件を決定することができる。
さらに、面積Aと軌道輪の圧痕深さとの相関関係から、軌道輪の耐圧痕性が任意の大きさになるように面積Aを求め、またその面積Aになるように第1の曲線を求め、その後第1の曲線になるような熱処理後の軸受材料品質を決定することができる。
また更に、上記した転がり軸受の耐圧痕性の予測方法、機械加工条件の選定方法、及び軸受材料品質の選定方法のうち少なくとも1つの工程を含む軸受製造方法により、耐圧痕性に優れる軸受を製造することができる。
Figure 0006969712
<第2実施形態>
続いて、第2実施形態について説明する。
第2実施形態においても転がり軸受の種類や構成に制限はなく、例えば図1に示すラジアル玉軸受を示すことができる。そして、外輪軌道面2及び内輪軌道面4は、機械加工としてバニシング加工が施されている。
軌道面にバニシング加工を施した場合も、球状であるバニシングツールの先端と、軌道面とが接触するため、Hertz接触と考えることができる。また、静的荷重が負荷される前にあらかじめ、転がり軸受の形成材料の降伏せん断応力を上回るせん断応力が導入されたと考えることができる。
そのため、図3を参照して説明したように、転がり軸受の形成材料の軌道面の深さ方向における降伏せん断応力を示す「曲線a」と、所定の静的荷重が負荷された場合の、軌道輪の内部に生じる軌道面の深さ方向における静的せん断応力を示す「曲線b」とにおいて、曲線bで示される静的せん断応力が曲線aで示される転がり軸受の形成材料の降伏せん断応力を上回る領域の「面積S」の大きさによって軌道面の塑性変形量を推定することができる。この面積Sが小さいほど、塑性変形し難く、軌道面に圧痕が付き難いといえる。
また、図4を参照して説明したように、曲線a(第1の曲線)と曲線c(第2の曲線)を上回り、かつ曲線b(第3の曲線)を下回ることにより囲まれる領域(図中、ハッチング部分)の「面積A」(塑性変形指数)により、バニシング加工の条件から得られる軌道輪の耐圧痕性を予測することができる。
なお、各曲線は、上記した式(1)〜式(8)から求めることができる。
そして、上記式から各曲線を算出し、表面からの同一深さにおける曲線aと、曲線bと、曲線cとの差分を、表面からの深さ方向に積分することにより、面積S又は面積Aを求めることができる。
また、計算を容易にするために、区分求積法を用いて近似的に算出することもできる。すなわち、軌道輪と転動体との接触点を基準として転動体の法線方向に対して、複数の微小区間ΔZに分割し、これら微小区間の面積を合算すればよい。より正確に計算するためには、微小区間ΔZを小さくすることが望ましいが、0.01mmが適当である。これ以上小さくしても、算出される面積Sや面積Aの差は無視できるほど小さい。
バニシング加工により、軸受軌道輪の耐圧痕性を向上させるためには、曲線aと曲線cを上回り、かつ曲線bを下回ることにより囲まれる領域を面積Aとし、曲線aを上回り、かつ曲線bを下回ることにより囲まれる領域を面積Sとするとき、「面積A<面積S」である必要がある。なお、「面積A=面積S」であると、バニシング加工による硬化が不十分であり、耐圧痕性の向上に寄与しない。
軸受軌道輪の軌道面にバニシング加工を施すには、バニシングツールであるバニシングボールの半径を軸受軌道輪の溝半径で除した値を、バニシングボール選定指数Bとするとき、B≦1である必要がある。なお、B>1の場合、軸受軌道輪の溝部にバニシングツール先端のボールを挿入することができず、所望のバニシング加工を施すことができない。
また、面積Sから面積Aを引いた値を面積Sで除した値、すなわち「(面積S−面積A)/面積S」をバニシング耐圧痕性指数αとするとき、後述する実施例で示すように、このバニシング耐圧痕性指数αとバニシングボール選定指数Bとの間には相関が認められる。そして、後述する図6〜8に示すように、バニシングボール選定指数Bを「x」(横軸)、バニシング耐圧痕性指数αを「y」(縦軸)とするxy座標を取る場合に、バニシング耐圧痕性指数αが大きくなるほど、バニシング加工による軸受軌道輪の耐圧痕性がより効果的に向上する。
すなわち、上記xy座標においてバニシング耐圧痕性指数αが最大となるような、バニシングボールのサイズ、すなわち半径や、バニシングボールの材質、並びにバニシング荷重を決定することが好ましい。
また、バニシングボールの材質が、バニシング加工条件に影響を与える。ここで、後述する実施例で示すように、バニシングボールのヤング率と耐圧痕性との間には相関が認められ、ヤング率の大きな材料ほどバニシング耐圧痕性指数αが大きくなる。
具体的には、鉄(ヤング率200GPa)のヤング率以上のヤング率を有する材料を選択することが好ましく、例えば、窒化ケイ素(ヤング率320GPa)が好ましく、炭化タングステン(ヤング率550GPa)等の超硬合金と呼ばれるものや、ダイヤモンド(ヤング率786GPa)等が更に好ましい。
以上説明したように、バニシングツールのボールサイズや、そのボールを構成する材質、更には、負荷するバニシング荷重により、バニシング加工による軸受軌道輪の耐圧痕性が大きく異なる。よって、本発明のように、バニシングボール選定指数Bとバニシング耐圧痕性指数αとの相関関係から、バニシング耐圧痕性指数αが最大になるようなバニシングボールのサイズ及び材質、並びにバニシング荷重を決定すれば、試験片の作製作業や試験作業を要することなく、軸受軌道輪の耐圧痕性を向上させる最適なバニシング加工条件の選定が可能となる。
また、上記「第2発明群」に係る本発明は、上記のように選定した最適な加工条件にてバニシング加工を内輪軌道面や外輪軌道面に施すバニシング加工工程を含む、転がり軸受の軸受製造方法を提供する。なお、バニシング加工工程以外は、従来の製造方法に従って適宜行うことができる。
<第2実施形態に係る実施例>
バニシング加工の加工条件の選定(ツール選定)が、軸受軌道輪の耐圧痕性に及ぼす影響を計算に基づき検証した。なお以下、検証例を挙げて、第2発明群に係る本発明の効果を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
種々の軸受軌道輪に対して、バニシング加工を施した場合の耐圧痕性を検証した。対象とした軸受は、アンギュラ玉軸受内輪であり、主要な軸受形状を表2に示す。対象とした軸受の材質は、浸炭窒化鋼、転動体は、セラミックスである。なお、表2において「PCD」とは、転動体ピッチ円径である。
Figure 0006969712
また、本検証で用いたバニシングツールを表3に示す。各ツールは、先端のボールサイズと適用可能なバニシング荷重が異なっている。ボールの材質は、窒化ケイ素(ヤング率320GPa、ポアソン比0.26)、超硬合金である炭化タングステン(ヤング率550GPa、ポアソン比0.22)、ダイヤモンド(ヤング率786GPa、ポアソン比0.2)のいずれかとした。
Figure 0006969712
各軸受のバニシングボール選定指数Bをバニシングツールごとにまとめたものを表4に示す。なお、軸受軌道面にバニシング加工を施すには、少なくともバニシングボール選定指数B≦1である必要がある。上述したように、バニシングボール選定指数B>1の場合、軸受軌道輪の溝部にバニシングツール先端のボールを挿入できず、所望のバニシング加工を施すことができない。そのため、表4にはバニシングボール選定指数B>1の場合、「−」を記してある。
Figure 0006969712
そして、軸受軌道面に転動体が接触して最大接触面圧で4.6GPaの静的荷重が負荷されたとし、曲線a、曲線b及び曲線cをそれぞれ求め、面積A及び面積Sを算出した。なお、表4において、「−」が記されていない軸受とツールとの組み合わせの中で、後述するように、バニシングボールの材質やバニシング荷重を適宜選定することで、「面積A<面積S」を満足させることができる。
続いて、面積A及び面積Sから、「(面積S−面積A)/面積S」であるバニシング耐圧痕性指数αを算出し、バニシングボール選定指数Bとの相関を調べた。図6に、バニシングツール、ボールの材質及びバニシング荷重を変化させた場合における、バニシングボール選定指数Bを「x」(横軸)、バニシング耐圧痕性指数αを「y」(縦軸)とするxy座標のグラフを示す。図6に示すように、バニシング耐圧痕性指数αとバニシングボール選定指数Bとの間には相関が認められ、バニシングボール選定指数Bが大きくなるのに伴ってバニシング耐圧痕性指数αが上昇するが、バニシングボール選定指数Bがある値以上になるとバニシング耐圧痕性指数αが小さくなっている。このように、計算に基づいた検証により軸受軌道輪の溝半径に対応して、バニシングツールの最適なボールサイズが存在するといえる。
続いて図7に、バニシングボールの材質が超硬合金であるバニシングツール1又は2を用いた検証において、バニシング荷重を変化させた場合における、バニシングボール選定指数Bとバニシング耐圧痕性指数αとの関係を示す。図7に示すように、バニシング荷重が大きいほど軸受軌道輪の耐圧痕性が向上することが、計算に基づいた検証により確認できた。また、バニシングボールが小さいほど軸受軌道輪の耐圧痕性が向上するものの、実際にバニシングツールを使用する際はボールの耐久性を考慮して適用可能なバニシング最大荷重が制限されるため、ボールサイズとバニシング荷重の最適な組み合わせから、所望のバニシングツールを選定する必要がある。
図8に、軸受3〜9を対象とした、バニシングツール2を用いたバニシング荷重2000Nの場合の検証において、バニシングボールの材質を変化させた場合における、バニシングボール選定指数Bとバニシング耐圧痕性指数αとの関係を示す。なお、本検証(計算に基づいた検証)においては、バニシングボールの材質として、上記した窒化ケイ素(ヤング率320GPa、ポアソン比0.26)、超硬合金である炭化タングステン(ヤング率550GPa、ポアソン比0.22)、ダイヤモンド(ヤング率786GPa、ポアソン比0.2)に加え、鉄(ヤング率200GPa、ポアソン比0.28)も追加し、検証を行った。
図8に示すように、バニシングボールの材質が、鉄、窒化ケイ素、超硬合金(炭化タングステン)、ダイヤモンドの順で耐圧痕性が向上しており、すなわちヤング率が高いほど耐圧痕性が向上することが確認できた。また、本検証において、バニシングボールが鉄のヤング率200GPa以上の材質で構成されていれば、軸受軌道輪の耐圧痕性を向上させることを確認できた。
以上のように、バニシングツールであるバニシングボールのサイズや、そのボールを構成する材質、並びに負荷するバニシング荷重により、バニシング加工による軸受軌道輪の耐圧痕性が大きく異なる。よって、本発明のように、バニシングボール選定指数Bとバニシング耐圧痕性指数αの相関関係から、バニシング耐圧痕性指数αが最大になるような、バニシングボールのサイズ及び材質、並びにバニシング荷重を決定すれば、試験片の作製作業や試験作業を要することなく、軸受軌道輪の耐圧痕性を向上させるバニシング加工の最適な加工条件(ツール選定)が可能となる。
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
なお、本出願は2020年4月30日出願の日本特許出願(特願2020−080615)及び2021年2月17日出願の日本特許出願(特願2021−023516)に基づくものであり、その内容は本出願の中に参照として援用される。
1 ラジアル玉軸受
2 外輪軌道面
3 外輪
4 内輪軌道面
5 内輪
6 玉
7 保持器

Claims (10)

  1. 機械加工を施した軌道面を有する軌道輪の間に、複数の転動体を転動自在に保持してなる転がり軸受の耐圧痕性の予測方法であって、
    前記軌道面に機械加工が施される前の状態における、転がり軸受の形成材料の前記軌道面の深さ方向の降伏せん断応力を示す第1の曲線と、
    前記軌道面に機械加工が施されている状態における、前記軌道面の深さ方向の静的せん断応力を示す第2の曲線と、
    前記軌道面に前記転動体が接触して静的荷重が負荷された状態における、前記軌道面の深さ方向の静的せん断応力を示す第3の曲線と、を求めるとともに、
    前記第1の曲線と前記第2の曲線を上回り、かつ前記第3の曲線を下回ることにより囲まれる領域を面積Aとして、前記面積Aと前記軌道輪の圧痕深さとの相関関係を求め、当該相関関係に基づいて、軌道輪の耐圧痕性を予測することを特徴とする、転がり軸受の耐圧痕性の予測方法。
  2. 機械加工を施した軌道面を有する軌道輪の間に、複数の転動体を転動自在に保持してなる転がり軸受の機械加工条件の選定方法であって、
    前記軌道面に機械加工が施される前の状態における、転がり軸受の形成材料の前記軌道面の深さ方向の降伏せん断応力を示す第1の曲線と、
    前記軌道面に機械加工が施されている状態における、前記軌道面の深さ方向の静的せん断応力を示す第2の曲線と、
    前記軌道面に前記転動体が接触して静的荷重が負荷された状態における、前記軌道面の深さ方向の静的せん断応力を示す第3の曲線と、を求めるとともに、
    前記第1の曲線と前記第2の曲線を上回り、かつ前記第3の曲線を下回ることにより囲まれる領域を面積Aとして、前記面積Aと前記軌道輪の圧痕深さとの相関関係を求め、当該相関関係に基づいて、
    前記軌道輪の耐圧痕性が任意の大きさになるように前記面積Aを求め、また、前記面積Aになるように前記第2の曲線を求め、その後前記第2の曲線になるような機械加工条件を決定することを特徴とする、機械加工条件の選定方法。
  3. 機械加工を施した軌道面を有する軌道輪の間に、複数の転動体を転動自在に保持してなる転がり軸受の軸受材料品質の選定方法であって、
    前記軌道面に機械加工が施される前の状態における、転がり軸受の形成材料の前記軌道面の深さ方向の降伏せん断応力を示す第1の曲線と、
    前記軌道面に機械加工が施されている状態における、前記軌道面の深さ方向の静的せん断応力を示す第2の曲線と、
    前記軌道面に前記転動体が接触して静的荷重が負荷された状態における、前記軌道面の深さ方向の静的せん断応力を示す第3の曲線と、を求めるとともに、
    前記第1の曲線と前記第2の曲線を上回り、かつ前記第3の曲線を下回ることにより囲まれる領域を面積Aとして、前記面積Aと前記軌道輪の圧痕深さとの相関関係を求め、当該相関関係に基づいて、
    前記軌道輪の耐圧痕性が任意の大きさになるように前記面積Aを求め、また、前記面積Aになるように前記第1の曲線を求め、その後前記第1の曲線になるような熱処理後の軸受材料品質を決定することを特徴とする、軸受材料品質の選定方法。
  4. 請求項に記載の転がり軸受の耐圧痕性の予測方法、請求項に記載の機械加工条件の選定方法、及び請求項に記載の軸受材料品質の選定方法のうち少なくとも1つの工程を含むことを特徴とする、軸受製造方法。
  5. 軸受軌道輪の軌道面に施すバニシング加工の加工条件を選定する方法であって、
    前記軌道面に前記バニシング加工が施される前の状態における、前記軸受軌道輪の形成材料の前記軌道面の深さ方向の降伏せん断応力を示す第1の曲線と、
    前記軌道面に前記バニシング加工が施されている状態における、前記軌道面の深さ方向の静的せん断応力を示す第2の曲線と、
    前記軌道面に転動体が接触して静的荷重が負荷された状態における、前記軌道面の深さ方向の静的せん断応力を示す第3の曲線と、を求めるとともに、
    前記第1の曲線と前記第2の曲線を上回り、かつ前記第3の曲線を下回ることにより囲まれる領域を面積Aとし、
    前記第1の曲線を上回り、かつ前記第3の曲線を下回ることにより囲まれる領域を面積Sとするとき、
    前記面積A<前記面積S、を満足する加工条件を選定することを特徴とする、バニシング加工条件の選定方法。
  6. 請求項に記載のバニシング加工条件の選定方法であって、
    前記バニシング加工が、先端にバニシングボールを装着したバニシングツールを用いて行われるものであり、
    前記バニシングボールの半径を前記軸受軌道輪の溝半径で除した値を、バニシングボール選定指数Bとするとき、
    B≦1であることを特徴とする、バニシング加工条件の選定方法。
  7. 請求項に記載のバニシング加工条件の選定方法であって、
    (前記面積S−前記面積A)/前記面積S、で表されるバニシング耐圧痕性指数αと、前記バニシングボール選定指数Bとの相関を求めることを特徴とする、バニシング加工条件の選定方法。
  8. 請求項に記載のバニシング加工条件の選定方法であって、
    前記バニシング耐圧痕性指数αと前記バニシングボール選定指数Bとの相関関係から、前記バニシング耐圧痕性指数αが最大になるような、前記バニシングボールのサイズ及び材質、並びにバニシング荷重を決定することを特徴とする、バニシング加工条件の選定方法。
  9. 請求項のいずれか1項に記載のバニシング加工条件の選定方法であって、
    前記バニシングボールとして、200GPa以上のヤング率を有する材料を選択することを特徴とする、バニシング加工条件の選定方法。
  10. 請求項のいずれか1項に記載のバニシング加工条件の選定方法により選定したバニシング加工条件を用いるバニシング加工工程を含むことを特徴とする、軸受製造方法。
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