JP4631578B2 - 転がり軸受けの損傷形態を把握する設計法 - Google Patents

転がり軸受けの損傷形態を把握する設計法 Download PDF

Info

Publication number
JP4631578B2
JP4631578B2 JP2005215378A JP2005215378A JP4631578B2 JP 4631578 B2 JP4631578 B2 JP 4631578B2 JP 2005215378 A JP2005215378 A JP 2005215378A JP 2005215378 A JP2005215378 A JP 2005215378A JP 4631578 B2 JP4631578 B2 JP 4631578B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
damage
rolling
design method
satisfied
strain
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005215378A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007032662A (ja
Inventor
志賀  孜
梅田  敦司
井畑  幸一
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp filed Critical Denso Corp
Priority to JP2005215378A priority Critical patent/JP4631578B2/ja
Priority to EP06015519A priority patent/EP1748371A1/en
Priority to US11/492,775 priority patent/US7577555B2/en
Publication of JP2007032662A publication Critical patent/JP2007032662A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4631578B2 publication Critical patent/JP4631578B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C19/00Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01MTESTING STATIC OR DYNAMIC BALANCE OF MACHINES OR STRUCTURES; TESTING OF STRUCTURES OR APPARATUS, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • G01M13/00Testing of machine parts
    • G01M13/04Bearings
    • GPHYSICS
    • G06COMPUTING; CALCULATING OR COUNTING
    • G06FELECTRIC DIGITAL DATA PROCESSING
    • G06F30/00Computer-aided design [CAD]
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2203/00Investigating strength properties of solid materials by application of mechanical stress
    • G01N2203/003Generation of the force
    • G01N2203/0032Generation of the force using mechanical means
    • G01N2203/0039Hammer or pendulum
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2203/00Investigating strength properties of solid materials by application of mechanical stress
    • G01N2203/0058Kind of property studied
    • G01N2203/006Crack, flaws, fracture or rupture
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2203/00Investigating strength properties of solid materials by application of mechanical stress
    • G01N2203/0058Kind of property studied
    • G01N2203/006Crack, flaws, fracture or rupture
    • G01N2203/0067Fracture or rupture
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2203/00Investigating strength properties of solid materials by application of mechanical stress
    • G01N2203/0098Tests specified by its name, e.g. Charpy, Brinnel, Mullen
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2203/00Investigating strength properties of solid materials by application of mechanical stress
    • G01N2203/02Details not specific for a particular testing method
    • G01N2203/0202Control of the test
    • G01N2203/0212Theories, calculations
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2203/00Investigating strength properties of solid materials by application of mechanical stress
    • G01N2203/02Details not specific for a particular testing method
    • G01N2203/0202Control of the test
    • G01N2203/0212Theories, calculations
    • G01N2203/0218Calculations based on experimental data
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2203/00Investigating strength properties of solid materials by application of mechanical stress
    • G01N2203/02Details not specific for a particular testing method
    • G01N2203/022Environment of the test
    • G01N2203/0222Temperature
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2203/00Investigating strength properties of solid materials by application of mechanical stress
    • G01N2203/02Details not specific for a particular testing method
    • G01N2203/022Environment of the test
    • G01N2203/0222Temperature
    • G01N2203/0226High temperature; Heating means
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2203/00Investigating strength properties of solid materials by application of mechanical stress
    • G01N2203/02Details not specific for a particular testing method
    • G01N2203/022Environment of the test
    • G01N2203/0222Temperature
    • G01N2203/0228Low temperature; Cooling means

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Theoretical Computer Science (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Evolutionary Computation (AREA)
  • Geometry (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Rolling Contact Bearings (AREA)

Description

本発明は転がり接触部の損傷形態とストレスの関係を明らかにし 転がり軸受けの異常な損傷を防止し 長寿命軸受けを設計するための設計法に関するものである。
機械要素としての転がり接触要素、とりわけ一般に使われる転がり軸受けはその損傷形態もいろいろあり、それを避けるためにはどうすればいいのか重要な部品であるにもかかわらずストレスとの関係では明確になっていない場合が多い。唯一 前もって設計できるのは基本動定格荷重(一般的にはCで表される)から計算される転がり疲労寿命と基本静定格荷重(一般的にはC0で表される)から計算される局部的に永久変形を発生させないようにすることの2つだけである。すなわち疲労寿命になると最終的な損傷形態はピッチングとかフレーキングになる。また永久変形になると損傷形態はブリネリング(ブリネル圧痕)になると。にもかかわらず実際の転がり軸受けの損傷形態は前述以外にもいろいろある。たとえば擬似圧痕(フォールスブリネリング)、割れ、欠け、フレッチング、切り傷、かじり等。これらはいずれもその原因はわかっているがその原因の値の閾値がどうなれば発生するのかなどは明確ではない。そのため前もって設計でそれを避ける事がほとんどできない状態であった。
さらにこれにくわえて最近、自動車用エンジン用のオルタネータ、エアコン、アイドラプーリ等補機部品のころがり軸受けは振動、温度などのきびしい条件下で使用されるようになってきており新しい形態の組織変化を伴う剥離が顕在化してきた。この剥離は外輪、内輪、ボール(またはローラ)いずれの部位でも発生し、その特徴は従来の一般的な転がり疲労寿命とは異なり、いったん発生するとごく短時間(従来比で1/100〜1/1000くらい)で剥離(フレーキング)する損傷形態である。その損傷部分の組織は従来の疲労寿命のようにナイタル液でエッチングしてみると黒く見える(いわゆるDEA:Dark Etching Area) 組織ではなく、白い層(白層)が見える(いわゆる WEA:White Etching Area)のが特徴である。ベアリング業界ではこの剥離を従来の疲労寿命と区別するために脆性剥離とか白層剥離とか呼んでいる。図1は白層により剥離した例を示した。これは従来の疲労による剥離のようにころがり寿命試験を行えば最終的に全てが疲労破壊するというのとはと異なり、この脆性剥離はいまだにそのメカニズムは決定されていないこともあって再現試験条件次第で壊れるときは非常に短時間で剥離するが、壊れない条件では全く脆性剥離は発生しないという特異性がある。そのため明確な科学的根拠のない応急処置で対応している状態で、本格的な対策を打てていないのが実情である。
この白層剥離(脆性剥離)のメカニズムの有力候補として水素説がある。すなわち使用時の振動などのストレスによりボールにすべりが生じ そのときの熱、圧力によりグリースが分解し水素が発生し、水素脆性により剥離するという説である。その説に基づき 特公平6−89783に見られるようにグリースからの水素の分離を抑制するとか発生した水素が鋼中に侵入しないように転送面に酸化皮膜をつけるなどして剥離を阻止する案が数々提案されているが本発明者が実験した結果は必ずしも剥離防止にはならないのである。効果が見られたのと別の条件で再現試験をすると全く効果が見られないどころかかえって悪くなる現象も見られた。確かに前もって水素を強制的に鋼中に添加したものはほとんどの条件で試験しても短時間で白層剥離はするが、通常の運転でグリースが分解してその水素が鋼中に侵入して 水素脆性により白層剥離という結論は得られなかったのである。
さらに別のメカニズムとしては応力説、(ストレス側の見方で言うと振動説)がある。すなわち剥離を応力面から説明しようとする考え方である。この説では同じように(せん断)応力に基づく一般的な(DEAをともなう)疲労寿命との区別が付かなくなってしまう矛盾などに陥ってしまう。さらに発明者は実機(自動車)で実験した剥離したものの中には ストレスを調べてみるとベルト張力が低いときにエンジン減速による慣性力の逆影響でベルト張力がなくなり(0Kg以下になる)、従って、ベアリングにかかる荷重が明らかに0Kgになったときに白層剥離が発生する事もある事実も突き止めた。この例などは全く応力説では説明が付かないことである。その他説明は省くが上記水素説同様に矛盾があり、従ってその説に基づき対策したものでも実機でもいまだに白層剥離が発生しているのである。
以上述べたように、新たな損傷形態の脆性剥離に対してはどのメカニズムも実情に合わないので、実機のどのストレス因子がどのように影響するのかまったく解らない状態である。したがってその対策など全くできない状況である。さらに近年小型軽量化のためにエンジンには多数のプーリを1つのベルトで駆動するサーペンタイン方式のベルト駆動システムになってきているが、これによる張力アップ、ベルト共振、エンジン振動助長などの問題もでつつある状態で、ベアリングへのストレスも複雑化してきている。それにも全く対応できない状態である。このように重要な機械要素部品であるにもかかわらず転がり軸受けの脆性剥離に対しては本格的な対策ができないことは勿論、メカニズムすら確立していないという状態であった。
さらに最近のサーペンタイン駆動方式のオルタネータには軽微なブリネリングがある損傷も見られるようになった(図2参照)。一見するとフォールスブリネリング(軽微なフレッチングともいう)にみえるが実際は磨耗を伴っていないので正式なブリネリングである。この軽微なブリネリングがあるものには その影響でボールが帯状に磨耗したり、あたかも研磨焼けと見間違うような形態にまで発展するものも出てきた。いわば(1次故障としての)軽微なブリネリングが進行すると2次故障として帯状磨耗、擬似研磨やけなどの新たな損傷モードも発生し出した (図2はボールが帯状磨耗したボールベアリングの内輪軌道面に多数付いていた軽微なブリネリングの1つの写真である)。従来は、そのくぼみをオルタネータ回転停止中に振動が印加されてできたフォールスブリネリングであると説明されているが回転停止中はエンジンも止まっているのであるから振動など加わることがないのである。船やトレーラーで自動車を輸送中にその振動でできるという一般的な考え方もあるが、サーペンタイン方式以前にはこの種の損傷はなかったこと、及びエンジン停止中もベルトテンションによりベアリングが輸送中の振動でゆれることを防止しているのであるから微動磨耗は起こりようがない(磨耗現象をともなうものをフォールスブリネリングとかフレッチングと従来から定義している)。さらに、図2を詳細観察すると、くぼんではいるがくぼみの底には研磨痕がのこっており塑性変形はしているが磨耗など無いのである。したがって本発明者はこれが浅いくぼみであり いわば軽微なブリネリングであることを明らかにしたのである。1次故障(軽微なブリネリング)を抑える事ができればそれから誘発されるさまざまな2次故障は当然発生することはないので、軽微なブリネリングの発生を抑える必要があるがそのメカニズムすら確立していないという状態であった。
以上述べたように転がり軸受けの損傷形態はいろいろあるが、前もって設計に役立つ指針となるものは疲労寿命のフレーキングと永久変形のブリネリングのみであり、その他の形態では設計に役立つ指針は全くない状態であった。また近年の脆性剥離は一般的な疲労寿命(例えば 実際にオルタネータでは疲労寿命が問題になることは全くなかった)に対してきわめて短寿命であるにもかかわらず、その現象を説明できるメカニズムが確立していないため適確な対策がとれない状態になっている。仕方がないのでエンジンの補機ごとにバラバラな対応をとり、実機での試験で確認するというはなはだ非効率な方法をとっているのが現状である。そのため必要以上に大きなサイズにしたり、精度をあげたりムダなことをやっているが、それでもこの不具合が完全に直らないのが現実である。さらに最近の軽微なブリネリングについても発生メカニズムは全く解らない状態であった。ただし損傷形態の中にはメカニカルなもの以外の損傷もあるが(ex焼付き、電食)これはその原因は科学的に明確であるので本発明の議論からは除く。
このように転がり軸受けには種々のメカニカルな損傷形態があるがその発生原因、ストレスとの関係は(一部は解っているが)すべては明確になっておらず その対応はノウハウに頼る部分もあり 前もって設計的に全てを対策することは不可能であった。
本発明はこのような問題を解決するために
*転がり軸受けのあらゆる1次故障の損傷形態の原因を明確にし 転がり軸受けの損傷を防止することができること
*さらに 1つの物理量(ex応力、荷重etc)の大小で全ての損傷形態が判定できるようにして 誰でも間違いなく簡単にできること
を目的とし 転がり軸受けのメカニカルな破損防止に役立つ設計法を提供することである。
上記問題を解決するために本発明者はまず損傷形態を、弾性限度を越えているかどうかである程度区別可能ではと考えた。すなわち
弾性限度内の損傷・・・疲労によるフレーキング、ピッチング(フレーキングの初期に現れることがあるピット。以下本発明ではフレーキングに含める)
弾性限度を越えた損傷・・ブリネリング、割れ、欠け、磨耗、フォールスブリネリング、フレッチング
である。ここで新規の損傷である脆性剥離は上記のどちらに入るかも全く解らないのである。そこで脆性剥離のメカニズムを解明しその後あらゆる損傷形態を1つの物理量で統合できないかを検討した。
そのため、原点に立ち返って脆性剥離の再現方法を見直してみた。すなわち従来はベアリングの剥離の再現というと(一般的な疲労寿命に影響されてか)高荷重、高回転、高温、高振動などと大きいストレスを印荷して試験をして白層剥離を再現させていたが、前述の如く実機では一見何の特徴もない条件(荷重0Kg)でも剥離が発生することに注目した。すなわちエンジンの条件を忠実にシュミレーションすれば何らかのヒントが得られるのではと考えた。その結果図3に示すような従来再現試験に入れていなかったエンジンの特性を利用する事を考えた。すなわち内燃機関(エンジン)は爆発に関連してその気筒数に応じた回転変動を発生させることを盛り込んだ方法である。
これは実際の4気筒エンジンをシュミレーションすべくモータを制御して回転数の2倍の次数(エンジンの爆発の次数相当)で平均回転変動率2%の回転リップルを加えてオルタネータを用いて行った。このモータ回転のアップダウンの途中にはベルトの横方向(弦方向)共振を含むようにセットした。その他の条件としては、振動なし、常温、オルタネータ負荷なし’とまったく平凡なストレスである。実際のエンジン比べてこの条件は非常に低いストレスであり従来の応力説では温度、一定荷重、変動荷重、振動がまったくないので当然脆性剥離はしないような条件である。従来の仮説(水素説、応力説ともに)が荷重を重視する傾向にありしたがって大きなベアリング荷重、大きな振動を加えて再現試験する傾向にあったが今回はあえてメカニズムを明確にするために従来の再現試験では重要視されていたストレスを低くして行った。
その結果、わずか450時間でフロント(プーリ)側のベアリングのボールが白層を有する いわゆる脆性剥離した(8個中1個のボールが剥離)。すなわち従来説では全く考えられなかったようなありふれた条件で白層剥離したのである。しかもこのものをよく見ると 未剥離ボール、内輪にともにほぼ同じ大きさの楕円のくぼみが多数見られた(くぼみの深さはボールのほうが深い)が外輪には見られなかった(図4参照)。この内輪軌道面の写真を図5(a)に示した。接触楕円の長径2.6mmくぼみが観察される(写真は斜めから撮っているので曲率の影響もあり三日月状に見える)。また図5(b)には内輪と同様の楕円が観察されるボールについたくぼみを楕円の長径方向の位置ごとに深さを詳細に測定したものを示した(ボール球面を平面にしてくぼみ深さを表示)。楕円中央部はくぼみがなくボールの表面状態のままであり 周辺部が深い形状のくぼみであった。内輪の軌道面のくぼみ形状も深さが浅い以外は同じ形状である。
すなわち、図5に示すような明らかに軽微なブリネリングが付いていたのである。このくぼみは明らかにボールと軌道面が接触したときの楕円形状のままであり磨耗粉も見られないこと、明らかに1回の接触で付いた痕跡である事よりフォールスブリネリング(軽微なフレッチング)のような微動磨耗現象ではなく、一回の衝撃でできたブリネリングである。これらの実験をさらに詳しく解析した結果、このブリネリングはボールと内輪の正面衝突によりボール内部のひずみが塑性領域になりくぼみができたこと、そのくぼみのうちで塑性変形が大きいものに白層が発生し剥離したと推定された外輪には全くくぼみがないことからも、ボールと内輪間だけに作用するストレスにより剥離したすなわちこの状態になるのはボールと内輪の衝突現象であるということである)。
すなわち今回のベアリングの白層剥離は衝撃加工分野で言われている高速ひずみでの塑性不安定現象であり白層は”断熱せん断変形帯”と呼ばれるもの(別名ホワイト・バンド)であるとの結論に達した。具体的説明の前にこの分野で扱う特徴的なことを2つほど補足説明をしておく。1つは高速変形時の材料の応力−ひずみの関係は普通の低速の材料試験で得られる関係とはかなり違った値になるということである(ここでいう高速とは図6に示したようにひずみ速度10/sec以上の衝撃負荷の領域を言う)。たとえばひずみ速度、温度と降伏せん断応力との関係を軟鋼の例で図7に示したが、イメージ的にはII、IIIの領域の議論である。いま1つは、大きなひずみを扱うということである。たとえば最大せん断ひずみ(破断点ひずみ)γZが0.5から5と非常に高いことである(静的な材料試験の10から100倍くらいの伸びあるということ)。このような衝撃分野での”断熱せん断変形帯”発生のメカニズムは「衝突時の
Figure 0004631578
非常に大きいと局部的に断熱状態になる。この断熱状態でせん断ひずみγが大きいとそのひずみエネルギーで高温になり、さらに衝突(加熱)終了後、高温の局部は周辺部の冷たいmass(質量)により急速に冷却される。すなわち局部は結果的に焼入れ状態に近い組織になる。この局部組織が”断熱せん断変形帯”と呼ばれるものであり、このせん断帯は高強度鋼では白く見えるためホワイト・バンドと呼ばれる。」というものである。このホワイト・バンドが転がり軸受けに発生した白層のことである。
Figure 0004631578
この理屈に基づき、発明者が一般的なベアリング材料(SUJ2)での限界値を計算した結果は平均的には数式11になる。
「数11」
Figure 0004631578
この限界値を超えると白層が発生するという結果であった。さらにSUJ2材料のばらつきを考慮して絶対に白層を発せさせないためには数式12を越えなければ安全である。
「数12」
Figure 0004631578
以下、本発明では実際の現象(通常に起こる現象)とイメージを一致させるために平均的な数式11を使用して説明する。
このようなひずみ速度は当然ながら負荷としては図6の静的、動的な範疇でなく”衝撃”状態の範疇の現象である。そのストレスとしての物理量は荷重ではなく衝突速度(m/sec)で議論する分野である。この白層(ホワイト・バンド)は衝撃加工分野では常識になっていることがわかったのである。その衝撃分野の理論を用いて発明者がボールベアリングで上記2つの限界値を越えないための条件を計算した結果、通常のベアリングサイズでは衝突速度が1m/sec以下(‘want’条件・・・数式12相当)であれば上記限界値を越す事がなく、白層剥離することが全くないということ、実質的には3〜4m/secを越える(‘must’条件は3m/secということ・・・数式11相当)と剥離が発生することを見出した。 (詳細は特許出願番号2005−25437参照のこと)イメージ的には衝突速度が大きくなれば、発生ひずみγ、
Figure 0004631578
も大きくなるということが容易に理解されることと思う。この衝突により楕円状のくぼみ(ブリネリング)は生じることが明確になったのである。衝突速度が大きい場合は深いくぼみのブリネリング、速度が小さいときは軽微なブリネリングになるのである。さらに同じ衝突速度でも凸の曲率をもつボールより凹の曲率を持つ内輪の方がひずみγが小さいこと、衝突面に摩擦がないとひずみγが小さくなること等により’軽微なブリネリング’になることも明らかにしたのである。(図4でも相対的に同じ衝突速度であるにもかかわらず ボールの方が内輪よりくぼみ深さが大きい。すなわちボールが白層剥離しやすいこともこの理由である。)すなわち、本発明者は脆性剥離の損傷形態がせん断ひずみγと
Figure 0004631578
の大きさで議論できることを見出したのである。
さらに最近の軽微なブリネリングがある損傷(図2)も結果的には図5と同じであることがわかったのである。すなわちVリブドベルトの共振などにより発生したボールと軌道輪との接触が一瞬絶たれ、再度接触するときの衝突速度により発生したひずみγ、
Figure 0004631578
が小さいときはときは図2または5の軽微なブリネリングができるのである。衝突速度が大きいときは、ひずみγとひずみ速度が数式11の限界値を超してしまい脆性剥離になるのである。
以上概略述べたように、ベアリングの損傷形態はせん断ひずみγの大小と材料特性で判別することができるのである。たとえば図8(a)にはS−7 tool steel材のいろいろなひずみ速度に対してせん断応力τ−せん断ひずみγの材料特性を示した(前述の如く非常に大きなひずみであることがわかる)。またこの特性より計算した
Figure 0004631578
は0.16であった。これらの材料特性の関係をイメージで書いたのが図8(b)である(弾完全塑性に近似して書いてある)。図では弾性域と塑性域の区別は、降伏点真せん断ひずみγk
Figure 0004631578
完全破壊は最大真せん断ひずみ(破断点ひずみ)γZで 記入してある。この特性と負荷(ex 荷重、衝突速度)からのせん断ひずみγを比較してどの範疇に入るのかを判別すれば結果として損傷形態が決まるのである。すなわち発生したひずみγを図8(b)の特性カーブ内にプロットすればいいのである。(ただし白層の場合は前述の如く、
Figure 0004631578
の判定も含む)
さらに疲労寿命はせん断応力τ0(荷重からPalmgrenの理論により計算される)で計算されるが 応力τ0をせん断弾性係数Gで除せばγとなるのでこの疲労寿命も結果的にはせん断ひずみで計算されると考えることもできるのである。すなわちベアリングの全ての損傷形態はせん断ひずみ(含む:ひずみ速度)とひずみに関係した判別値とで表現可能なのである。
これをふまえ、
請求項1記載の発明は、転がり接触要素内に発生するせん断ひずみおよびひずみ速度の大きさと 要素の材料特性と負荷方法より得られる判別値とを比較することにより 接触要素の損傷形態を判定することができるから、予め、転がり接触部の損傷を防止する設計ができ 的確な対策ができる。
請求項2記載の発明は、判別値として降伏点せん断ひずみ、断熱せん断変形限界ひずみ、断熱せん断変形限界ひずみ速度および破断点せん断ひずみと負荷方法の衝撃発生ひずみ速度の5つとすることにより、せん断ひずみ(ひずみ速度も含む)という1つの物理量の大小だけで全ての損傷形態が判定できるので誰でも間違いなく簡単にできる。
請求項3記載の発明では、5つの具体的な破損形態に分類しているので、メカニカルな損傷形態を全て含んでおり、だれが設計しても検討に抜け、洩れがなくなる。
請求項4記載の発明では、
Figure 0004631578
ことにより、損傷形態を判別するのでより具体的に簡単に設計できる。
請求項5記載の発明では、転がり接触部に使用される鋼材の材料特性を具体的な数値で表示しているので誰でも簡単にすぐに損傷を防止する設計できる。
請求項6ないし10記載の発明では、転がり軸受けの損傷を防止する設計が誰でも簡単に間違いなくできる。
請求項11記載の発明では、損傷形態1の疲労寿命をせん断ひずみと材料のS−N線図とワイブル確立分布を使用してマイナー則または修正マイナー則により寿命予測をすることができるからフレーキングに対するより幅広い検討が容易になる。
本発明になる転がり軸受けの設計法をコンピューターを使用して行う場合、コンピューターに寸法、材料特性、負荷条件を入力するだけで誰でも簡単に間違いなく転がり軸受けの損傷形態を判定することができる。
より具体的に脆性剥離のメカニズムを説明する。
〔1〕まず図1のような損傷形態である白層剥離(脆性剥離)について述べる。
前述のように本発明者はこの白層は”断熱せん断変形帯”と呼ばれるものであとの結論に達した。(詳細は特許出願番号2005−25437参照のこと)
この断熱せん断変形帯は高強度鋼ではホワイト・バンドとして観測されるが、この断熱せん断変形は高速変形下で現れる塑性不安定現象であるとされる。この理論はStakerの研究によると、軸受け内のせん断ひずみとひずみ速度が
Figure 0004631578
をこえると白層が発生し 亀裂、フレーキングになるとしている。その値は
「数13」
Figure 0004631578
「数14」
Figure 0004631578
ただしCvは体積比熱、nは加工硬化指数、Tは温度、τはせん断応力である。
Figure 0004631578
これを実際の転がり軸受けの材料(ex SUJ2 etc)に置き換えると数式(11)(12)になるのである。軸受け内に発生するひずみγと
Figure 0004631578
が数式(13)(14)を共に越えたときに白層が発生するのである(片方だけ越えても白層にはならない)。さらに発明者はこのひずみとひずみ速度が該限界値を超えるのはボール(または転動体)が内輪または外輪に衝突するときであり、その値は衝突速度V0に影響されると結論付けた。衝突速度V0に応じたくぼみ(塑性変形)が発生し、Taberらの研究によるとそのくぼみの大きさと、ひずみγ及び
Figure 0004631578
が関連するのである。たとえば図9に示したようなくぼみ形状の場合、ひずみの最大値はくぼみの周辺部に発生し その値γは
「数15」
Figure 0004631578
となる。
たとえばボールベアリングの場合にボールと内輪軌道面の接触部の状態を図10に示した。図10(a)(b)は接触部の正面図と側面図であり、(c)は接触部分を見たものである。ボールベアリングのボールと内輪軌道面との接触によるくぼみは楕円形状であり、その長径と短径を2a、2bとすると幾何学的な関係でくぼみ深さは求めることができる。長径と短径の平均値(a+b)をdとすれば数式15よりひずみγが求まる。これを時々刻々のくぼみ深さでγを求めればそれを時間軸との傾きでみれば、ひずみ速度が求まる。(詳細は特許出願番号2005−25437参照のこと)
本発明者がこの理論により、具体的に図3の再現試験の条件を入れて計算してみた結果を図11に示した。ボールが軌道面に速度V0=5m/sec(くぼみの形状より推定した値)で衝突してから停止するまでの時間(図のt3)に対するボールのひずみ、ひずみ速度を図11(a)に、そのときの接触楕円の大きさとくぼみ深さの関係を図11(b)に示した。図11(a)において時間t1からt2(0.7E×10-6〜1.8E×10-6sec)の間で断熱せん断変形条件(数式11で示した限界値)を満足してしまうのでこのボールは白層剥離するというのである。実際に前述の如くボールは白層剥離した。
以上述べたように、発明者の研究によると断熱せん断変形帯(いわゆる白層)によるフレーキング(これを損傷形態4と命名する)は、
Figure 0004631578
で判定できるのである。
〔2〕次に図2のような圧痕(くぼみ)のある損傷形態について述べる。
本形態の具体的な説明の前に塑性加工分野での圧痕の形状についての説明をしておく。硬い球を半無限平面に押し付けたときできる圧痕の形状には図12、13に示すような2つの形態がある。図12は加工硬化した材料に見られる圧痕周りが盛り上がった形状で “piling−up”と呼ばれるものである。図13は焼きなまし材にみられる圧痕周辺は沈み込んだ形状で“sinking−in”と呼ばれる。図12(a)と図13(a)は球(ボール)を矢印方向に荷重Wで平面に押し付けている最中のイメージ図である。そのときの 平面内部の材料の流れを矢印で示した。“piling−up”はa,b部で盛り上がっており、“sinking−in”はa,b部で沈み込んでいる。図12(b)と図13(b)は最終的に平面に残ったくぼみの形状を示した。初期の表面が点線で書いてある。すなわち荷重Wを除荷したとき くぼみの曲率が弾性回復で戻ったときの形状である。いわゆる「浅底」効果(“shallowing”効果)と呼ばれる弾性回復した後の形状である。(“piling−up”の盛り上がりの影響範囲はくぼみの直径の2倍くらいといわれているが 、“sinking−in”の影響範囲はそれよりもっと大きいので実際には“sinking−in”ではくぼみは見えるがそれ以外の部分は初期の表面とほとんど同じで平面のままである。)
すなわち圧痕の形状には周辺の盛り上がった“piling−up”と、盛り上がりのない“sinking−in”の2種類があるのである。転がり接触部品では耐摩耗性のために焼きが入った材料を使用するが(当然ベアリングでも 焼入れ焼戻し材を使用)そのため従来から圧痕形状は当然“piling−up”であると考えられてきた。そのためくぼみの周辺に盛り上がりのないものはありえないという立場から 盛り上がりのない単なるくぼみは微動磨耗である。すなわちフォールスブリネリング(軽微なフレッチングともいう)であるとむりに決めつけていたのである。実際には前述の如く磨耗粉もなく くぼみに研磨跡が残っていることからフォールスブリネリングといえないものであった。ましてや図5(b)のように楕円の周辺部だけがくぼんでいて中心部はへこんでいないということは説明すらできないのであった。
本発明者は上記事実より損傷形態の重要な情報源であるくぼみの形状についてあらためて文献を調査し検討を加えてみた。完全塑性材料の半無限板を硬いボールでくぼみをつけた場合(図14(a))のIshlinskyによって得られた塑性流動領域のすべり線図を図14(b)に、接触面の圧力分布を図14(c)に示した。これによると接触圧力はセンター部が3.5Yと最大であるが(ただしYは降伏応力である)、 しかし逆に応力はエッジ部がすべり線も集中ており高い。実際にFollansbeeらがコンピュータ解析により八面体塑性ひずみを計算した結果を図15に示した。センター部よりエッジ部でひずみが最大になっていることがわかる(弾性変形では センター部でせん断応力τstが高いのと対照的である)。 この結果はTaberの実験結果とも一致している。すなわち全面的に塑性変形した場合は中心部より周辺の方がひずみは大きく塑性変形度は進んでいるのである。
さらに、転がり軸受けの衝撃状態でのくぼみの形状について考察してみると、前述の如く普通は軸受け加工硬化材であるためその形状は“piling−up”であるが、(ひずみ速度が大きく)衝撃になると図7にも見られるように降伏せん断応力kが通常より大幅にアップする。すなわち見かけ上 加工材でない(すなわち焼きなまし材のような)挙動になると考えられる。そのため衝撃では“sinking−in”形状になるものと推定される。さらに図12,13の形状は硬い球を半無限平面に押し付けたときできる圧痕であり、2つの物に硬度差があり一方だけが変形時の形状である。然るに転がり軸受けでは転動体(ボール)、内輪、外輪の硬度差はほとんどないのである。このような時には両者にくぼみができるのである。すなわち硬度差がない場合の衝撃はより焼きなまし材のような挙動をすると思われ この点からも“sinking−in”形状になるものと推定される。
そこで本発明者はこれを実証すべくボールベアリング材であるSUJ2を使用したボールと平板を使用して試験した。すなわち直径10mmのボールを平板に押し付ける試験1(いわゆるブリネル硬さ試験相当)と1mの高さからボールを自由落下させる試験2(いわゆるショア硬さ試験相当)を実施した。試験2の条件を図16(a)に、そのときのひずみとひずみ速度の(数式15による)計算結果を図16(b)に示した。ひずみ速度は103/secのオーダーであり図6に示した衝撃負荷の範疇であることがわかる(ひずみは小さく数式11を満たしていないので白層は発生しない範疇である。実際の物も白層の発生はない)。
その結果は予想道理、試験1(静的な負荷)は“piling−up”形状の圧痕が発生、試験2(衝撃負荷)は“sinking−in”形状の圧痕が発生したのである。すなわち転がり軸受けの圧痕形状は衝撃負荷では“sinking−in”形状になるのである。
以上の結果を踏まえてくぼみの形状を考えると 2つの場合が考えられる。1つはひずみ速度が大きく断熱状態で 準焼きなまし材相当が保たれる場合であり、いま1つはひずみ速度が小さく非断熱状態で 本来の加工材の挙動を示す場合である。ここで図6における動的負荷と衝撃負荷の境界のひずみ速度(衝撃が発生するひずみ速度)を
Figure 0004631578
くぼみ形状はこの衝撃発生ひずみ速度と実際に軸受けに発生するひずみ速度の大きさの比較で整理できるのである。
すなわち
Figure 0004631578
普通にボールを押したときの形状がそのまま残る場合である。すなわち加工硬化した材料では図12の‘piling−up’に、焼きなまし材の場合は図13の‘sinking−in’である。転がり軸受けはSUJ2などが使用されるから当然‘piling−up’になる。ボールベアリングの場合について図17に示した。楕円周辺は盛り上がりがあり従来から言われているブリネリング(いわゆる‘piling−up’形状のブリネリング)である。 さらにくぼみの大きさはひずみγに比例して大きくなる。すなわち
・ひずみγが大きいと普通の‘piling−up’形状のブリネリング (図17(a)参照)
接触楕円の大きさはひずみγに比例
・ひずみγがより小さい場合は塑性変形に対して弾性変形も無視できなく、永久変形として残るのはひずみγの大きい箇所のエッジ部であり、ひずみの小さなセンター部は弾性回復する。さらに数式15より類推されるように長径側より短径側の方がひずみは小さいことより全体形状としては図17(b)のような軽微な‘piling−up’形状のブリネリングが観察されると思われる。
また面粗度をイメージ的に図19に示した。図19(a)は変形が大(ひずみが大、荷重が大)の場合の図であり、くぼみの表面の凹凸(面粗度)は(内部の)地金とともに塑性変形するが、凹凸はもとの個々の形状を保っている(くぼみ部にも荒さは残るということ)。図19(b)は変形小(ひずみが小、荷重が小)の場合の図であり、表面の凹凸は塑性変形しているが地金の大部分はなお弾性変形する。
Figure 0004631578
前述の如く高速変形することより擬似的に焼きなまし材のような挙動になるので基本的には‘sinking−in’形状のブリネリングになると推定される。 すなわち
・ひずみγが大きいと普通の‘sinking−in’形状のブリネリングである(図18(a)参照)
接触楕円の大きさはひずみγに比例
しかし
Figure 0004631578
大きいと断熱せん断変形帯(白層)になりフレーキングが発生し、そのくぼみの痕跡は通常は見られなくなる。
・ひずみγがより小さい場合は塑性変形に対して弾性変形も無視できなく、全体形状としては図18(b)のような軽微な‘sinking−in’形状のブリネリング観察されると思われる。
面粗度のイメージは上記同様に図19になる。
実際に白層剥離しなかった(白層になりそこねた)が上記衝撃負荷の範疇(条件)になったと思われる図4,5のものは‘sinking−in’形状のブリネリングであった。
以上述べたように、転がり軸受けの圧痕の形状(ブリネリングの形状)には‘sinking−in’と‘piling−up’があるが これが進むと潤滑不良、焼付き、異常磨耗、フレーキング、亀裂etcの2次故障に進展する場合があるのはいうまでもない。
以上くぼみの形状についてまとめると
従来から大きい荷重が加わったときに現れるといわれている‘piling−u
p’形状のブリネリング(これを損傷形態2と命名する)は
Figure 0004631578
その圧痕の大きさはひずみγにより変わる。
また従来ややもするとフォールスブリネリングと間違われていた‘sinking−in’形状のブリネリング(これを損傷形態3と命名する)は
Figure 0004631578
その圧痕の大きさはひずみγにより変わる。
Figure 0004631578
白層が発生しフレーキングになる。(前述の損傷形態4のこと)
〔3〕次にひずみγがさらに大きくなり破断点真ひずみγZを越えると当然ではあるが割れ、欠けが発生する(これを損傷形態5と命名する)。
Figure 0004631578
損傷形態は影響されないが、図8にも示したようにγZの値はひずみ速度により変わる。
〔4〕逆にひずみγは小さく降伏点真ひずみγk以下の場合は当然弾性変形内であり、その損傷形態は最終的に疲労寿命によるフレーキングまたはピッチングになるのは言うまでもない(これを損傷形態1と命名する)。
Figure 0004631578
損傷形態は影響されないが、図8にもあるようにγkの値は変わる。
さらにこの損傷形態1は、従来は応力により寿命計算をしていたが本発明ではその統一性からひずみγで計算することを考える。
従来から転がり軸受けの疲労寿命はPalmgrenの理論にもとづき動定格荷重Cより計算される。ここでこの理論の概略を説明しておく。すなわちこの理論では、転がり疲れを支配する要因として 接触表面下z0の深さで表面に平行な面内に作用する動的最大せん断応力τ0を考える。また材料の耐久性が応力を受ける体積の増加につれて減少するという考えで深さz0付近で材料のミクロな強さの弱い部分に亀裂が発生し、それが表面に広がりフレーキングが起こると仮定する。N回のくり返し応力に対してこれを受ける体積Vの材料がフレーキングに耐える確立SをWeibullの理論に準じて
「数式20」
Figure 0004631578
で与える。
ここで 「数式21」
Figure 0004631578
ただしc,e,hは指数、 aは接触楕円長半径 、は転がり接触面の円周方向長さ である。
この数式20を軸受け寸法、Hertzの弾性接触理論を用いて応力τ0、z0などを荷重Fと、寸法に置き換え、数式22を得る(関数の詳細は省略)
「数式22」
Figure 0004631578
さらにN=106になるときの荷重をCと定義し 数式22に代入すると
「数式23」
Figure 0004631578
ここで数式22を数式23で除し 余分な比例定数を消し去ってしまうのである。さらに消されずに残った指数c,e,hは具体的に疲労寿命試験をして求めるという手法(いわゆる実験値)を取っているのである。これで最終的に寿命が求まるのである。たとえばボールベアリングの場合は
「数式24」
Figure 0004631578
以上が転がり軸受けでいまだに世界中で用いられているPalmgrenの理論である。すなわちこの理論は弾性せん断応力τ0に立脚した理論である。しかし現実にあわない面があるので一部いろいろな部分修正を加えるなどの検討がされているが所詮はPalmgrenの理論から離脱するものではないのである。さらにこの理論の最大のよりどころである動的最大せん断応力τ0は実は全く意味のないものである。実際はどこの部分(位置とか方向)の応力でも結果は同じなのである。すなわち最終的に数式22を数式23で除するときに位置とか方向の違いの係数などは分母、分子が同じ係数なので消えてしまうのである。しかも最後は単なる実験式なのである。このように従来のPalmgrenの理論は複雑なことをやっているが肝心なところが結果的に意味を持たないのである。現実にはよく実験結果とあうという意見があるがそれは実験式なのであるから当然なのである。何よりもこの理論が不便なのは 一般的にはS−N曲線に基づきMiner則を利用して寿命を求める。そのための周辺の機械的、金属学的な学問体系は出来上がっているがベアリングではその学問成果が全く使えないのである。そこで本発明者は以前からPalmgrenの理論からではなく一般的なMiner則を利用した転がり寿命計算を実行している。すなわち応力τと材料のS−N曲線を利用しての普通の方法である。この結果は(実験値である)Palmgrenの理論による寿命結果と全く一致するのである。すなわち理論的に全く意味のないPalmgrenの理論ではなく理論的に意味のある方法で寿命計算ができるのである。しかも通常の学問の成果を時々刻々に反映できるというすぐれた効果があるのである。本発明では損傷形態が前述の如くせん断ひずみγで統一的に判別できそうなので、この疲労寿命計算もγに置き換える検討をする。すなわち応力τは弾性範囲ではせん断弾性係数Gで除せばγになるのである。
転がり寿命のMiner則からの計算
図20(a)に材料の疲労線図(S−N線図)を示したが今回は修正Miner則で計算する。(Palmgrenの理論からも解るように一般的には転がり寿命は疲労限がないといわれているのでこの仮定で計算する。一部にはベアリングでも最小寿命は存在するという考えも提案されているがその場合はMiner則で計算すれば 以下は同様になる。)さらに、図20(b)に示したように転がり疲労は検討する応力範囲が広いのでS−N線図が広い範囲で直線に近似できるようにするため縦軸、横軸共に対数目盛で表示する。よってベアリング材の転がり寿命のS−N線図は
「数25」
Figure 0004631578
となる。
または「数25’」
Figure 0004631578
ここで9は図20(b)の傾きであるがせん断応力での疲労の場合は9になるといわれている (逆に材料試験から9が得られることが転がり寿命がせん断応力に支配されている事の証である。垂直応力の場合は10以上になる)。 Kは材料による違いを表しており、疲労寿命改善をした最近のベアリング材10%不良率(90%信頼)ではK=25くらいの値である。(当然K’=10Kである)
たとえばHertzの理論によると
Figure 0004631578
であるから これを数式25’に代入すると
「数26」
Figure 0004631578
となる。
すなわち数式24の結果と同じになるのである (K’は106寿命になる荷重をCと定義すれば求まり24式に同じになる)。 しかし定格荷重Cと仮定しなくてもS−N線図から寿命計算はできるのである。例として外輪固定、内輪回転で使用するボールベアリングの場合を考えると(図21参照)
内輪1回転あたりのボールの公転(保持器の自転)は
Figure 0004631578
であるから
内輪1回転あたりの内輪とボールの公転差は
Figure 0004631578
となる。
今 図22に示したようにボールが公転してきて外輪上に固定した点Aに次々に接触することになるが、ボール数をZとすると内輪1回転あたりA点は
Figure 0004631578
個のボールと接触することになる。(ボール数にボールの公転を掛けたこと)
同様に内輪に固定したB点は 内輪1回転あたり
Figure 0004631578
個のボールと接触する。
したがって内輪がN回転すると
「数27」
Figure 0004631578
回接触
「数28」
Figure 0004631578
回接触することになる。
したがって材料の疲労線図(数式25)をボールベアリングにも使用可能なように 内輪用、と外輪用に書き直すと、(数式25のNの代わりに数式27または28を代入する)
外輪用(外輪とボールの接触部)は 「数式29」
Figure 0004631578
または 「数式29’」
Figure 0004631578
内輪用(内輪とボールの接触部)は 「数式30」
Figure 0004631578
または 「数式30’」
Figure 0004631578
ただし内輪用と外輪用を区別するためNにそれぞれiとoの添え字をつけた。
数式29,30(または数式29’、30’)がボールベアリングを外輪固定で使用した時のMiner則による計算方法である。
すなわちPalmgrenの理論のように意味不明確な仮定から出発していなく通常の理論で計算できるのである。このτの部分にくり返し振幅の最大値のせん断応力を入れて計算すればよい (ex動的最大せん断応力τ0)。 当然であるが平均応力がある場合はその分だけ疲労線図(数式25)が代わるのは言うまでもない。数式29,30(または29’、30’)はそれぞれ内輪側、外輪側の接触部の単独での10%不良率の寿命であるので両方をあわせたボールベアリングAssyでの10%不良率での疲労寿命NAssyを求める。寿命の分布がWeibullの理論に従うとすると図23からもわかるように (ただしSは信頼度、0.9とは信頼率90%のこと)
「数式31」
Figure 0004631578
「数式32」
Figure 0004631578
よってAssyでは 「数式33」
Figure 0004631578
となる
数式31,32、33から KK’i、、KK’o、を消去すると
「数式34」
Figure 0004631578
せん断応力τがわかれば数式29,30,34よりボールベアリングAssyの疲労寿命が計算できるのである。
しかし実際にはせん断応力τをボールベアリングに加わる荷重Fより求めるには更なる処理を必要とする。すなわちベアリングは全周での荷重分布は一様でないのでその分を考慮する必要がある。計算を簡単にするため全周を一様な分布荷重に置きかれる事を考える。たたし疲労寿命の発生確率が変わらないような考慮をして置き換える。図24に示した任意の位置の荷重Qは
「数式35」
Figure 0004631578
数式35の分布荷重を 全周(2πラジアン)にわたって一様分布荷重に置き換えた場合の
Figure 0004631578
(寿命を等価的に等しくする荷重)は 寿命と荷重の関係(数式26)を考慮すると
・内輪(回連輪)では(当然全周にわたって発生確率は同じであるから)
Figure 0004631578
上式に数式35を代入整理すると
Figure 0004631578
よって 「数式36」
Figure 0004631578
・外輪(固定輪)では 周方向位置により荷重が異なり したがって寿命確立も異なるから 同一の不良確立に変換する必要がある。数式32に数式,26を代入すると
Figure 0004631578
となる。
すなわち 同じ確立にするには荷重は3c乗にで影響することを考慮して等価転動体荷重に変換する必要がある。よって
Figure 0004631578
上式に数式35を代入整理すると
Figure 0004631578
よって 「数式37」
Figure 0004631578
ただし ワイブルの勾配c=10/9とした(ボールベアリングの場合の実験値)
ここでボール荷重Qmaxとベアリング荷重Fの関係は
「数式38」
Figure 0004631578
である。
以上Palmgrenの理論から疲労寿命計算方式ではなく 材料のS−N線図から修正Miner則を用いて疲労寿命計算をする方法をまとめると
ベアリング荷重Fが与えられると数式34よりボール荷重Qmaxが求まる。このボール荷重より数式36,37より内外輪の接触部の
Figure 0004631578
Hertzの弾性接触理論を用いてそれぞれのせん断応力τを計算し、数式29,30,34よりボールベアリングAssyの疲労寿命が計算できるのである。本発明者がこの方法によって計算した寿命は負荷容量Cより計算したベアリング寿命に一致していることは確認している。
このように転がり疲労寿命が明確にせん断応力τで計算できるので当然ではあるがせん断ひずみγ基準でも寿命計算は可能なのである。すなわちせん断弾性係数をGとすると 数式29’、30’より
「数式39」
Figure 0004631578
「数式40」
Figure 0004631578
「数式41」
Figure 0004631578
である
よって 損傷形態1も荷重とか応力によらなくても、せん断ひずみγで表示可能となったのである。
以上転がり接触要素(ex軸受け)の全てのメカニカルな損傷が せん断ひずみとせん断ひずみ速度のみで整理でき判別も可能であることを本発明者は明確にしたのである。これによると転がり接触要素(軸受け)の損傷形態がひずみとひずみ速度で簡単に整理できるのである。
すなわち損傷形態は
形態1は転がり疲労によるフレーキング(含むピッチング)である。
形態2はpiling−up形状のブリネリング及びそれから誘発される損傷(ex打痕)である。
形態3はsinking−in形状のブリネリング及びそれから誘発される損傷(ex帯状磨耗)。
形態4は断熱せん断変形帯(いわゆる白層)によるフレーキング。
形態5は割れ、欠け。
の5つの形態であり それはせん断ひずみγと
Figure 0004631578
の大きさで決まる。
すなわち 数式42から46を
「数42」
Figure 0004631578
「数43」
Figure 0004631578
「数44」
Figure 0004631578
「数45」
Figure 0004631578
「数46」
Figure 0004631578
とするとき
形態1は数式42を 形態2は数式43を 形態3は数式44を 形態4は数式45を 形態5は数式46を それぞれ満たすときにその損傷形態になるのである。だたし、この判定に用いるひずみγ
Figure 0004631578
は塑性領域でかつ高ひずみ状態まで考慮するので、公称ひずみではなく真ひずみであることはいうまでもないことである。
この本発明になる方法によるひずみ、ひずみ速度と損傷形態の関係を整理したものが図25である。図25に示したように形態4は形態3に含まれる損傷形態である。ここでボールベアリングの場合 損傷形態2は図17(a)、損傷形態3は図18(a)相当のくぼみである。このうち特にひずみγがγkに近い場合は軽微なブリネリングでありそれぞれ図17(b)、図18(b)相当のくぼみ形状となる。
Figure 0004631578
さらに一般的な転がり接触要素材料(ex SUJ2)ではその値は
「数47」
Figure 0004631578
「数48」
Figure 0004631578
「数49」
Figure 0004631578
「数50」
Figure 0004631578
(γk、γZは静的負荷から衝撃負荷までの高ひずみ状態を含む値であるので通常より広い範囲の値である。
Figure 0004631578
これはバラツキを含めた最悪は数式12相当であるが、一般的な破損形態を判別するには平均的な値の方が現実的な損傷形態に合うのでこの値を採用する。)
また衝撃発生ひずみ速度は
「数51」
Figure 0004631578
すなわち材料特性、負荷方法から得られる判別値としては数式47〜51に示したような値にすれば実際の転がり接触要素の損傷形態の判定に使用しても 実質的に損傷形態を矛盾なく十分に推定可能と思われる。
このように本発明によれは今までメカニズムが不明であった、白層によるフレーキングのメカニズムを解明し、また従来フォールスブリネリングといわれていた損傷形態がほんとは軽微なブリネリングであることを明らかにすることにより前もっての設計検討ができるようになった。またそれにより今まで種々のメカニカルな損傷形態があったがその発生原因、ストレス(負荷)との関係がすべては整理されていなかったが、その全ての損傷形態をひずみ(ひずみ速度も含む)という1つの物理量(ひずみ速度もひずみの時間的な変化であるので実質はひずみに同じである)の大小のみで整理できることを明確にした。 すなわちひずみ(ひずみ速度)の値と(材料特性、負荷方法からの)判別値とを比較する事により損傷形態を正しく、簡単に決定できるのである。それにより明確な対策もでき、従来のような実機での試験で確認するというはなはだ非効率な方法をとらなくてもよくなり その実験結果の判断もメカニズムと照らしてできるので間違いもない、しかも不必要に大きなサイズのベアリングにしたり、精度アップする必要もないのである。
また今まで損傷形態の判別にはベテランのノウハウに頼っていた しかもその実際の判別は必ずしも正しい場合ばかりではなく時には間違った対策をとるとか、とりあえず不必要なサイズアップすることもあったが、本発明の設計法をコンピューターを使えば誰でも簡単に正確に転がり軸受けの損傷防止の設計が可能となる。たとえばパソコンでエクセルのような表計算プログラムを使用してインプットからアウトップトまで1分以内に判別できるという優れた効果がある。実際のボールベアリングの場合を例にそのフローチャートを図26に示した。勿論ボールベアリングばかりでなく同様に一般的な転がり軸受けの設計にも同様なフローチャートがつかえるのは説明するまでもない。
このように、本発明の設計法によれば損傷形態の把握と対策を簡単にしかも間違えなくできるという優れた効果がある。
白層により剥離(フレーキング)した部分の写真である。 軽微なブリネリングの写真である。 白層剥離(脆性剥離)のメカニズムを解明するために本発明者が行った再現試験を示した図である。 図3の再現試験の結果 得られたボール、内輪、外輪の様子を示した図である。 図4のくぼみの部分を拡大した図であり、(a)は内輪軌道面の写真 (b)はボールのくぼみの深さを示した図である。 ひずみ速度と負荷方法の関係を表した図である。 軟鋼のせん断ひずみ速度と降伏せん断応力の関係を表した図である。 S−7工具鋼のせん断応力とせん断ひずみの関係を表した図であり、(a)は実際の測定値 (b)はそのイメージを表した図である。 ボールが平面に衝突した時にできるくぼみを表した図である。 ボールベアリングにおいて ボールが内輪軌道面に衝突したときのくぼみの形状を示した図であり、(a)は正面図 (b)は側面図 (c)は接触部分の図である。 図3の再現試験において ボールが内輪軌道面に衝突している時のひずみ、ひずみ速度、くぼみの寸法を計算した図である。 (a)はひずみとひずみ速度の時間に対する変化を、(b)はくぼみの寸法の時間に対する変化を示した図である。 ‘piling−up’形状の圧痕を示した図であり、 (a)は球を平面に押し付けている状態を (b)は平面についた(永久変形の)くぼみを表した図である。 ‘sinking−in’形状の圧痕を示した図であり、 (a)は球を平面に押し付けている状態を (b)は平面についた(永久変形の)くぼみを表した図である。 硬いボールを半無限板に押し付けた時の様子を示した図であり、(a)は塑性流動領域を (b)はすべり線図を (c)は接触面の圧力分布を示した図である。 くぼみ部分のひずみを計算した結果を示した図である。 発明者が行ったボール落下試験の様子を示した図であり、(a)は試験方法を (b)はくぼんでいる最中のひずみとひずみ速度の変化を示した。 ボールベアリングの場合の‘piling−up’形状の圧痕を示した図であり、(a)はひずみが大きい場合 (b)はひずみが小さい場合のくぼみを表した図である。 ボールベアリングの場合の‘sinking−in’形状の圧痕を示した図であり、(a)はひずみが大きい場合 (b)はひずみが小さい場合のくぼみを表した図である。 くぼみ部分の面粗度の状態を表した図であり、(a)は変形が大きい場合 (b)は変形が小さい場合を示した図である。 材料の疲労線図(S−N線図)を示した図であり、(a)はイメージを (b)はばらつきを示した図である。 ボールベアリングの断面図である。 ボールベアリングの回転の様子を示した図である。 Weibull分布の信頼度と寿命の関係を示した図である。 ボールベアリングの荷重分布を示した図である。 本発明になる方法による ひずみ、ひずみ速度と損傷形態の関係を表した図である。 本発明になる転がり軸受けの設計法を コンピューターを使用して行う場合のフローチャートの概略である。

Claims (11)

  1. 転動体と固定部または2つ以上の転動体よりなる転がり接触を構成する部品よりなる機械要素(いわゆる転がり接触要素)の設計方法において
    該機械要素の外部からまたは内部のストレスにより該接触要素内に発生するせん断ひずみ及びせん断ひずみ速度の大きさと、該接触要素の材料特性と負荷方法より得られる判別値とを比較することにより、接触要素のメカニカルな損傷形態を判定することを特徴とする転がり接触要素の損傷形態を判別する設計法。
  2. 請求項1記載の転がり接触要素の損傷形態を判別する設計法において、
    該判別値として、該接触要素の材料特性の降伏点せん断ひずみ、断熱せん断変形限界ひずみ、断熱せん断変形限界ひずみ速度および破断点せん断ひずみと負荷方法の衝撃発生ひずみ速度の5つとすることにより、接触要素の損傷形態を判定することを特徴とする転がり接触要素の損傷形態を判別する設計法。
  3. 請求項1記載の転がり接触要素の損傷形態を判別する設計法において、
    接触要素のメカニカルな損傷形態を
    形態1.転がり疲労寿命によるフレーキング
    形態2.piling−up形状のブリネリング及びそれから誘発される損傷
    形態3.sinking−in形状のブリネリング及びそれから誘発される損傷
    形態4.断熱せん断変形帯(いわゆる白層)によるフレーキング
    形態5.割れ、欠け
    の5つの形態とすることを特徴とする転がり接触要素の損傷形態を判別する設計法。
  4. 請求項1ないし3記載の転がり接触要素の損傷形態を判別する設計法において、
    Figure 0004631578
    その転がり接触要素の損傷形態を、
    数式1を満たせば形態1になる
    数式2を満たせば形態2になる
    数式3を満たせば形態3になる
    数式4を満たせば形態4になる
    数式5を満たせば形態5になる
    と判定することを特徴とする転がり接触要素の損傷形態を判別する設計法。
    「数1」
    Figure 0004631578
    「数2」
    Figure 0004631578
    「数3」
    Figure 0004631578
    「数4」
    Figure 0004631578
    「数5」
    Figure 0004631578
  5. 請求項4記載の転がり接触要素の損傷形態を判別する設計法において、
    Figure 0004631578
    ことを特徴とする鋼材よりなる転がり接触要素の損傷形態を判別する設計法。
  6. 転動体と固定部または2つ以上の転動体よりなる転がり接触を構成する部品よりなる転がり軸受けの設計方法において
    該転がり軸受けの外部からまたは内部のストレスにより該軸受け部品内に発生するせん断ひずみ及びせん断ひずみ速度の大きさと、該軸受け部品の材料特性と負荷方法より得られる判別値とを比較することにより、接触要素のメカニカルな損傷形態を判定することを特徴とする転がり軸受けの損傷形態を判別する設計法。
  7. 請求項6記載の転がり軸受けの損傷形態を判別する設計法において、
    該判別値として該軸受け部品の材料特性の降伏点せん断ひずみ、断熱せん断変形限界ひずみ、断熱せん断変形限界ひずみ速度および破断点せん断ひずみと負荷方法の衝撃発生ひずみ速度の5つとすることにより軸受けの損傷形態を判定することを特徴とする転がり軸受けの損傷形態を判別する設計法。
  8. 請求項6記載の転がり軸受けの損傷形態を判別する設計法において、
    軸受けのメカニカルな損傷形態を
    形態1.転がり疲労寿命によるフレーキング
    形態2.piling−up形状のブリネリング及びそれから誘発される損傷
    形態3.sinking−in形状のブリネリング及びそれから誘発される損傷
    形態4.断熱せん断変形帯(いわゆる白層)によるフレーキング
    形態5.割れ、欠け
    の5つの形態とすることを特徴とする転がり軸受けの損傷形態を判別する設計法。
  9. 請求項6ないし8記載の転がり軸受けの損傷形態を判別する設計法において、
    Figure 0004631578
    その転がり軸受けの損傷形態を
    数式6を満たせば形態1になる
    数式7を満たせば形態2になる
    数式8を満たせば形態3になる
    数式9を満たせば形態4になる
    数式10を満たせば形態5になる
    と判定することを特徴とする転がり軸受けの損傷形態を判別する設計法。
    「数6」
    Figure 0004631578
    「数7」
    Figure 0004631578
    「数8」
    Figure 0004631578
    「数9」
    Figure 0004631578
    「数10」
    Figure 0004631578
  10. 請求項9記載の転がり軸受けの損傷形態を判別する設計法において、
    Figure 0004631578
    ことを特徴とする鋼材よりなる転がり軸受けの損傷形態を判別する設計法。
  11. 請求項8記載の転がり軸受けの損傷形態を判別する設計法において、
    形態1の疲労寿命を該せん断ひずみと材料のS−N線図とワイブル確立分布を使用してマイナー則または修正マイナー則により寿命予測をすることを特徴とする転がり軸受けの設計法。
JP2005215378A 2005-07-26 2005-07-26 転がり軸受けの損傷形態を把握する設計法 Expired - Fee Related JP4631578B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005215378A JP4631578B2 (ja) 2005-07-26 2005-07-26 転がり軸受けの損傷形態を把握する設計法
EP06015519A EP1748371A1 (en) 2005-07-26 2006-07-25 Apparatus and method for determining patterns of damage being caused in rolling contact element
US11/492,775 US7577555B2 (en) 2005-07-26 2006-07-26 Apparatus and method for determining patterns of damage being caused in rolling contact element

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005215378A JP4631578B2 (ja) 2005-07-26 2005-07-26 転がり軸受けの損傷形態を把握する設計法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007032662A JP2007032662A (ja) 2007-02-08
JP4631578B2 true JP4631578B2 (ja) 2011-02-16

Family

ID=37103405

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005215378A Expired - Fee Related JP4631578B2 (ja) 2005-07-26 2005-07-26 転がり軸受けの損傷形態を把握する設計法

Country Status (3)

Country Link
US (1) US7577555B2 (ja)
EP (1) EP1748371A1 (ja)
JP (1) JP4631578B2 (ja)

Families Citing this family (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2038632B1 (en) * 2006-06-28 2012-01-11 Ab Skf A method for indicating fatigue damage of a metal object
JP2011215140A (ja) * 2010-03-16 2011-10-27 Ntn Corp 車輪用転がり軸受材料の疲労限面圧の推定方法および推定装置
JP5718690B2 (ja) * 2010-03-16 2015-05-13 Ntn株式会社 転がり接触金属材料のせん断疲労特性評価方法および装置
CN102803922B (zh) * 2010-03-16 2015-04-08 Ntn株式会社 滚动接触金属材料的剪切疲劳特性的评价方法、采用它的疲劳极限面压力的推算方法和装置
JP5615726B2 (ja) * 2011-01-17 2014-10-29 Ntn株式会社 転がり軸受の寿命推定装置および寿命推定方法
EP2694940A4 (en) 2011-04-04 2014-09-10 Skf Ab METHOD FOR ASSESSING THE MATERIAL FEEDING OF A ROLLER BEARING
JP5877964B2 (ja) * 2011-07-01 2016-03-08 Ntn株式会社 転がり接触金属材料の内部起点型はく離寿命の相対優劣の推定方法および推定装置
CN102564946A (zh) * 2012-02-15 2012-07-11 青岛泰德汽车轴承有限责任公司 一种滚动轴承白层组织剥落的试验方法及装置
JP5908356B2 (ja) 2012-07-12 2016-04-26 Ntn株式会社 転がり軸受の寿命推定装置および寿命推定方法
JP6062766B2 (ja) * 2013-02-28 2017-01-18 Ntn株式会社 軸受損傷形態およびピーリング寿命の予測方法
JP7360977B2 (ja) * 2019-07-08 2023-10-13 Ntn株式会社 軸受部品の寿命診断方法、軸受部品の寿命診断装置、および軸受部品の寿命診断プログラム
EP4145103A4 (en) * 2020-04-30 2023-11-01 NSK Ltd. INPRESSION RESISTANCE MEASURING METHOD, INPRESSION RESISTANCE PREDICTION METHOD FOR ROLLING BEARINGS, METHOD FOR SELECTING BEARING MATERIAL QUALITY, METHOD FOR SELECTION
CN113076606B (zh) * 2021-03-24 2024-03-26 西北工业大学 考虑接触变形的航空管路扩口接头泄漏率计算方法及系统

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10104125A (ja) * 1996-09-26 1998-04-24 Nippon Yakin Kogyo Co Ltd 転がり軸受の診断方法および転がり軸受装置
JPH10159579A (ja) * 1996-12-02 1998-06-16 Nippon Seiko Kk エンジン補機用転がり軸受
JP2001515600A (ja) * 1998-01-06 2001-09-18 フレンダー エンジニアリング アンド サービス アントリーブステヒニク ゲーエムベーハー 診断対象物を自動的に診断する方法
JP2001323932A (ja) * 2000-03-06 2001-11-22 Nsk Ltd 転がり支持装置
JP2003270176A (ja) * 2002-03-13 2003-09-25 Sumitomo Kinzoku Technol Kk 金属材料の疲労損傷診断方法
JP2004263751A (ja) * 2003-02-28 2004-09-24 Koyo Seiko Co Ltd 転がり、摺動部品およびその製造方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0689783A (ja) 1992-09-09 1994-03-29 Toshiba Lighting & Technol Corp 照明器具
JP3855651B2 (ja) * 2000-08-29 2006-12-13 日本精工株式会社 転がり軸受の寿命予測方法、寿命予測装置、寿命予測装置を使用した転がり軸受選定装置及び記憶媒体
JP4334284B2 (ja) 2003-06-26 2009-09-30 株式会社東芝 磁気ランダムアクセスメモリ
JP4289044B2 (ja) 2003-07-01 2009-07-01 パナソニック株式会社 サーバと画面表示方法
JP4424664B2 (ja) 2004-07-02 2010-03-03 北陸電力株式会社 スパイラル巻着式注意喚起材と、その製造方法
US20060064197A1 (en) * 2005-01-26 2006-03-23 Denso Corporation Method and apparatus for designing rolling bearing to address brittle flaking

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10104125A (ja) * 1996-09-26 1998-04-24 Nippon Yakin Kogyo Co Ltd 転がり軸受の診断方法および転がり軸受装置
JPH10159579A (ja) * 1996-12-02 1998-06-16 Nippon Seiko Kk エンジン補機用転がり軸受
JP2001515600A (ja) * 1998-01-06 2001-09-18 フレンダー エンジニアリング アンド サービス アントリーブステヒニク ゲーエムベーハー 診断対象物を自動的に診断する方法
JP2001323932A (ja) * 2000-03-06 2001-11-22 Nsk Ltd 転がり支持装置
JP2003270176A (ja) * 2002-03-13 2003-09-25 Sumitomo Kinzoku Technol Kk 金属材料の疲労損傷診断方法
JP2004263751A (ja) * 2003-02-28 2004-09-24 Koyo Seiko Co Ltd 転がり、摺動部品およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
US20070044543A1 (en) 2007-03-01
US7577555B2 (en) 2009-08-18
JP2007032662A (ja) 2007-02-08
EP1748371A1 (en) 2007-01-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4631578B2 (ja) 転がり軸受けの損傷形態を把握する設計法
Champaigne Shot peening overview
Bruce et al. Formation of white etching cracks at manganese sulfide (MnS) inclusions in bearing steel due to hammering impact loading
Bruce et al. Threshold maps for inclusion-initiated micro-cracks and white etching areas in bearing steel: the role of impact loading and surface sliding
JP3666396B2 (ja) 転がり軸受及びその転動体加工方法
JP2006329319A (ja) 転がり摺動部品、転がり軸受、カムフォロア及び転がり摺動部品の表面改質方法
US20060064197A1 (en) Method and apparatus for designing rolling bearing to address brittle flaking
JPH09257041A (ja) 表面起点型損傷に強い転がり軸受
Yang et al. Influence of the volume content of α+ β colonies on the very high cycle fatigue behavior of a titanium alloy
JPH0650344A (ja) 転がり軸受
Torrance Metallurgical effects associated with grinding
Littmann et al. Competitive modes of failure in rolling contact fatigue
Beeching et al. A theoretical discussion of pitting failures in gears
JP2019066040A (ja) 円錐ころ軸受
JP2008308743A (ja) 工作機械用転動部材および工作機械用転がり軸受
JP2006242376A (ja) 転がり軸受の設計方法及び設計装置
JP2001079766A (ja) ショットピーニング用投射材
Ioannides Life prediction in rolling element bearings
Tsushima Rolling contact fatigue and fracture toughness of rolling element bearing materials
Bamberger et al. Improved fatigue life bearing development
JP6969712B1 (ja) 転がり軸受の耐圧痕性の予測方法、機械加工条件の選定方法、軸受材料品質の選定方法、バニシング加工条件の選定方法及び軸受製造方法
JP2005308207A (ja) 自動調心ころ軸受
Malenko et al. Corrosion and Fatigue at Steel Fretting Damage
Wada et al. Crack Behavior around a Nonmetallic Inclusion under Hydrogen Precharged Rolling Contact Fatigue
Ohue et al. Effect of fine particle bombarding on rolling fatigue strength of carburized steel

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070824

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091112

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100106

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20100201

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20100201

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100706

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100730

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101019

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101101

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4631578

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131126

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees