JP7360977B2 - 軸受部品の寿命診断方法、軸受部品の寿命診断装置、および軸受部品の寿命診断プログラム - Google Patents

軸受部品の寿命診断方法、軸受部品の寿命診断装置、および軸受部品の寿命診断プログラム Download PDF

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Description

本発明は、軸受部品の寿命診断方法、軸受部品の寿命診断装置、および軸受部品の寿命診断プログラムに関する。
転がり軸受(以下、軸受)の寿命は、荷重および潤滑条件等の運転条件、硬度・組織・残留応力等の材料特性に依存することが知られている。従来より、軸受の寿命は運転条件や材料特性から計算できる寿命計算式を使って推定されている。この計算式は、軸受をある条件で使用する際にどのくらいの期間使用できるか、あるいは要求される使用期間を満たすために、どのような運転条件にすればよいかを検討するために用いられる。従って、軸受がその検討の結果に基づいて設定した運転条件で使用されていれば、寿命が問題になる可能性は低い。しかし、市場ではしばしば軸受の短寿命が問題となることがある。これは、実際の軸受では使用環境等の外乱によって、想定外の運転条件で使用されていることに起因する。特に、近年では、各種機械製品の燃費改善を目的とした潤滑剤の低粘度化が進められており、これにともなって軸受が潤滑不良条件で使用される機会が増加している。潤滑不良条件下では、軸受の軌道輪と転動体の間で油膜切れが発生し、両者の表面粗さの突起が接触を起こす。そして、軸受への負荷荷重がミクロンオーダーの突起接触部(以下、ミクロ接触部とする)で支持されるため、その直下には塑性域に達する大きさの応力が発生し、早期の転動疲労損傷に至る。このような潤滑不良条件下での軸受の信頼性を確保するためには、潤滑不良条件下での軸受寿命を正確に推定できる手法が必要である。
現時点で最新の軸受寿命計算式の規格(ISO281:2007)では、潤滑状態を考慮して軸受寿命を推算することが可能である。しかし、この規格は、軸受の軌道面および転動面の表面粗さが標準的な水準であることを想定して制定されたものであるので、表面粗さが大きい軸受には適用できない。実用される軸受では、生産コスト低下のために表面粗さの変更を余儀なくされることがある。そのような軸受にも適用できる寿命予測法が求められている。
特許文献1(特開2018-40769号公報)には、表面粗さの大きい軸受にも適用できる潤滑不良条件下の軸受寿命予測法が記載されている。この方法では、予備実験を行って作成した軸受部品の寿命とその軸受部品の転動面表層に作用した応力についての応力-寿命曲線(以下、S-N曲線)と、診断用の軸受部品の転動面の表層に作用した応力の推定値とを照合することによって、軸受寿命を推定する。この方法において、転動面の表層に作用する応力は、表面粗さの突起が接触することで発生する内部応力(ミクロ応力とする)と残留応力の和として求められている。
特開2018-40769号公報
特許文献1に記載の方法では、転動面の二乗平均平方根傾斜Rdqに基づいてミクロ応力を推定している。しかしながら、例えば、軌道面および転動面の表面性状がプラトー面(ほとんど平滑な面に鋭い凹部が形成されたような面)のようであった場合、Rdqとミクロ応力との相関は小さくなる。
また、特許文献1に記載の方法は、ミクロ応力の大きさに及ぼす潤滑状態の影響を無視しており、これは実現象に沿わない仮定である。
以上の理由から、特許文献1に記載の方法のミクロ応力の推定精度は低い。従って、特許文献1に記載の方法の寿命推定精度も低い。
本発明の目的は、ミクロ応力を高精度に推定することによって、潤滑不良条件下での寿命の推定精度を向上させた軸受部品の寿命診断方法、軸受部品の寿命診断装置、および軸受部品の寿命診断プログラムを提供することである。
本発明の軸受部品の寿命診断方法は、複数個の試験用の軸受部品の各々について、故障破壊するまで複数回の転動疲労試験を行なうステップと、複数回の転動疲労試験の各試験の開始時または終了時に試験用の軸受部品の残留応力とミクロ応力との和である試験用の軸受部品の合成応力を求めるステップと、複数個の試験用の軸受部品について、複数回の転動疲労試験の各試験における負荷回数と合成応力との関係に基づいてS-N曲線を求めるステップと、診断用の軸受部品の残留応力とミクロ応力との和である診断用の軸受部品の合成応力を求めるステップと、診断用の軸受部品の合成応力とS-N曲線とに基づいて、診断用の軸受部品の寿命を求めるステップとを備える。試験用の軸受部品の合成応力を求めるステップおよび診断用の軸受部品の合成応力を求めるステップのうちの少なくとも1つのステップは、X線回折結果から残留応力を求めるステップを含む。試験用の軸受部品の合成応力を求めるステップおよび診断用の軸受部品の合成応力を求めるステップのうちの少なくとも1つのステップは、軸受部品の表面形状の測定データを用いた数値計算によってミクロ応力を求めるステップを含む。数値計算によってミクロ応力を求めるステップは、接触部への負荷荷重のうちミクロな接触部が負荷荷重を請け負う比率を表わす荷重分担率を求めるステップと、接触部への負荷荷重と荷重分担率とを乗じて得られる荷重に基づいて、ミクロ応力を求めるステップとを含む。
好ましくは、数値計算によってミクロ応力を求めるステップが、境界要素法を用いた接触解析によって実行される。
好ましくは、試験用の軸受部品の表面に存在する油膜の厚さと表面の形状の測定結果とから得られる油膜パラメータが第1の所定値以下のときに、試験用の軸受部品の合成応力を求めるステップが実行される。
好ましくは、診断用の軸受部品の表面に存在する油膜の厚さと表面の形状の測定結果とから得られる油膜パラメータが第1の所定値以下のときに、診断用の軸受部品の合成応力を求めるステップが実行される。
好ましくは、油膜パラメータが第2の所定値以上のときに、荷重分担率を求めるステップが実行される。
本発明の軸受の寿命診断方法は、複数個の試験用の軸受部品の各々について、故障破壊するまで複数回の転動疲労試験を行なうステップと、複数回の転動疲労試験の各試験の開始時または終了時に、試験用の軸受部品の転動面の表層に作用するミクロ応力と残留応力との和である合成応力を推定するステップと、複数個の試験用の軸受部品の各々について、複数回の転動疲労試験の各試験における負荷回数とそれらの試験の開始時または終了時の合成応力の推定値からなるデータを収集し、それに基づいて軸受部品の寿命と合成応力の関係を示すS-N曲線を求めるステップと、診断用の軸受部品について転動面の表層に作用するミクロ応力と残留応力との和である合成応力を求めるステップと、診断用の軸受部品の合成応力とS-N曲線とに基づいて、診断用の軸受部品の寿命を求めるステップとを備える。試験用の軸受部品の合成応力を求めるステップおよび診断用の軸受部品の合成応力を求めるステップのうちの少なくとも1つのステップは、試験用および診断用の軸受部品の表面形状の実測データと、軸受部品と接触する部品の表面形状の実測データとを用いて、境界要素法に基づく接触解析法によってミクロ応力を求めるステップを含む。接触解析法によってミクロ応力を求めるステップは、解析対象領域に負荷される荷重Wtのうち、表面粗さの突起の接触が起こるミクロ接触部が分担する荷重W′aの比率を表す荷重分担率αを求めるステップを含む。荷重分担率αを求めるステップは、任意の荷重分担率αの初期値を設定し、初期値に基づいて求められるパラメータについて以下の条件式が成立するように、荷重分担率αを繰り返し修正するステップを含む。
Figure 0007360977000001
ただし、Hmeanは、軸受部品と、軸受部品と接触する部品の接触時の2面のすきまの平均値、hcは接触する2面が表面粗さを持たない滑らかな面であると仮定したときの2面間の理論油膜厚さである。
好ましくは、以下の式によって、Hmeanを求めるステップを含む。
Figure 0007360977000002
ただし、Ωlは潤滑油膜の影響が及んでいる点の集合を表わし、Nlは、点の総数を表わす。
好ましくは、S-N曲線は、複数個の第1種定数と、故障破壊までの負荷回数Nと、合成応力Sを含む数式で表される。S-N曲線を求めるステップは、各試験用の軸受部品について、複数回の転動疲労試験の各試験における負荷回数と複数回の転動疲労試験の各試験の開始時または終了時の合成応力に関するサンプルを得るステップと、複数個の試験用の軸受部品についてのサンプルを用いて、複数個の第1種定数を推定するステップとを含む。
好ましくは、複数個の第1種定数の推定が、線形累積損傷則を用いた回帰分析によって行われる。
好ましくは、S-N曲線の数式は、式(1)で表され、A、B、Sfは定数である。
Figure 0007360977000003
好ましくは、寿命に基づいて、診断用の軸受部品が交換を要するか否か、または交換時期を通知するステップを備える。
本発明の軸受部品の寿命診断装置は、上述の軸受部品の寿命診断方法を用いて軸受部品の寿命を診断する。
本発明の軸受部品の寿命診断プログラムは、コンピュータに、上述の軸受部品の寿命診断方法を実行させる。
本発明によれば、潤滑不良条件下で使用される軸受部品の転動面に作用するミクロ応力を高精度に推定することによって、軸受部品の寿命の推定精度を向上させることができる。
本発明の実施の形態1の寿命診断システムの構成を表わす図である。 寿命診断装置14のハードウエア構成を表わす図である。 実施の形態1の寿命診断装置14の機能構成を表わす図である。 油膜パラメータの算出処理の手順を表わすフローチャートである。 3軸の残留応力を計算する方法を説明するための図である。 S-N曲線が作成される手順を説明するための図である。 S-N曲線を用いた寿命の算出方法を表わす図である。 線形累積損傷則を説明するための図である。 転動疲労試験においてS-N曲線を求める手順を表わすフローチャートである。 診断用の軸受部品の寿命診断の手順を表わすフローチャートである。 実施の形態2の寿命診断装置14の機能構成を表わす図である。 実施の形態2のミクロ応力の算出手順を表わすフローチャートである。 見かけの接触領域と解析領域との関係を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1の寿命診断システムの構成を表わす図である。
図1を参照して、この寿命診断システムは、寿命診断装置14と、照射部11と、X線検出器12と、表面形状測定器13とを備える。
照射部11は、被検査軸受部品90に対向させることが可能なように設置されたX線管球を含んでいる。照射部11は、被検査軸受部品90に対してX線を照射する。照射されたX線は、被検査軸受部品90に対して所定の入射角で入射するように、矢印αに沿って照射される。被検査軸受部品90は、転がり軸受の転動体と、診断用または試験用の軸受部品である転がり軸受の軌道輪の一部または全部とを含む。X線は、たとえば、転がり軸受の軌道輪の一部に照射されることとしてもよい。
X線検出器12は、被検査軸受部品90において回折した環状のX線(X線回折環)を検出する。具体的には、X線検出器12は、照射部11から照射したX線を通過させる中心部に形成された孔12Bと、被検査軸受部品90に対向させることが可能な平面状の検出部12Aを含む。検出部12Aとして、たとえばX線CCD(Charge Coupled Device)を用いることができる。矢印αに沿って被検査軸受部品90に入射したX線が、円錐面βを構成するように回折し、検出部12Aに到達する。そして、検出部12Aは、それぞれの画素が出力するX線の強度に相当する強度の信号によりX線回折環を検出する。
表面形状測定器13は、被検査軸受部品90の表面形状を測定する。表面形状測定器13として、たとえばレーザ顕微鏡を用いることができる。測定する表面は、たとえば、転がり軸受の軌道輪の一部の表面、および転動体の全表面としてもよい。
寿命診断装置14は、X線検出器12において検出されたX線回折環、および表面形状測定器13で検出された表面形状に基づいて被検査軸受部品90の寿命を診断する。寿命診断装置14は、たとえば、小型のコンピュータ装置( パーソナルコンピュータ等)としてもよい。
図2は、寿命診断装置14のハードウエア構成を表わす図である。
この寿命診断装置14は、入力部17と、CPU(Central Processing Unit)15と、メモリ16と、表示部18とを備える。
入力部17には、表面形状測定器13の測定結果、およびX線検出器12の検出結果が入力される。
メモリ16は、寿命診断プログラムなどを記憶することができる。
CPU15は、入力部17に入力されたデータを用いて、メモリ16に記憶された寿命診断プログラムを実行する。
表示部18は、CPU15による寿命診断結果を表示する。
図3は、寿命診断装置14の機能構成を表わす図である。
この寿命診断装置14は、入力部17と、油膜パラメータ算出部31と、ミクロ応力算出部32と、残留応力算出部33と、合成応力算出部34と、S-N曲線算出部35と、S-N曲線記憶部36と、診断部37と、制御部50と、表示部18とを備える。
S-N曲線記憶部36は、メモリ16によって実現される。油膜パラメータ算出部31と、ミクロ応力算出部32と、残留応力算出部33と、合成応力算出部34と、S-N曲線算出部35と、診断部37と、制御部50は、CPU15がメモリ16に記憶された寿命診断プログラムを実行することによって実現される。
油膜パラメータ算出部31は、油膜パラメータOPを算出する。
図4は、油膜パラメータの算出処理の手順を表わすフローチャートである。
ステップS201において、油膜パラメータ算出部31は、軌道輪の軌道面の一部の粗さ(Z1)を測定する。油膜パラメータ算出部31は、レーザ顕微鏡などの表面形状測定器13から得られた検査結果に基づいて、粗さZ1(n)を測定する。n=1~Nである。
ステップS202において、油膜パラメータ算出部31は、転動体の転動面の全ての粗さ(Z2)を測定する。油膜パラメータ算出部31は、レーザ顕微鏡などの表面形状測定器13から得られた検査結果に基づいて、粗さZ2(n)を測定する。n=1~Nである。
ステップS203において、油膜パラメータ算出部31は、試験用の軸受部品の使用条件(転動体の回転数、使用温度、荷重、潤滑油の粘度および密度)に基づいて、油膜の厚さ(d)を算出する。
ステップS204において、油膜パラメータ算出部31は、式(A1)に従って、軌道面の二乗平均平方根粗さ(Rq1)を算出する。ここで、Lは基準長さを表す。
Figure 0007360977000004
ステップS205において、油膜パラメータ算出部31は、式(A2)に従って、転動面の二乗平均平方根粗さ(Rq2)を算出する。ここで、Lは基準長さを表す。
Figure 0007360977000005
ステップS206において、油膜パラメータ算出部31は、式(A3)に従って、合成二乗平均平方根粗さ(Rq)を算出する。
Figure 0007360977000006
ステップS207において、油膜パラメータ算出部31は、式(A4)に従って、油膜パラメータ(OP)を算出する。
Figure 0007360977000007
油膜パラメータOPが3以下になると、軸受(軌道輪)の軌道面と転動体の転動面の表面突起が直接接触する可能性があり、表面粗さの接触による応力集中が発生することが知られている。表面起点型の損傷はこのミクロ応力に起因しており、使用中の軸受部品(軌道面)が表面起点型はく離を起こすかどうかは、表面形状の状態によって決まる。
本実施の形態では、油膜パラメータOPが3(第1の所定値)以下の場合に、ミクロ応力算出部32が、たとえば、文献A(長谷川・藤田・内舘・阿保:転がり接触によるピーリングの発生メカニズムとピーリング抑制に及ぼす黒染処理 の影響(第2報),トライボロジスト,63, 9 (2018) p.618)に記載の境界要素法を用いた数値計算によって、ミクロ応力の3軸応力成分(σx(mc)、σy(mc)、σz(mc)、τxy(mc)、τyz(mc)、τzx(mc))を算出する。
この方法では、軌道面および軌道面の表面形状の測定データを用いて、これらの2面が接触したときに表面で発生する接触圧力が得られる。その後、得られた接触圧力にブシネスクの弾性解を適用することによって、ミクロな接触部下の内部応力が計算される。必要な入力データは、転動面および軌道面についての表面形状、ヤング率、ポアソン比、ミクロな接触部での摩擦係数、ミクロな接触部で支持する荷重(Waとする)である。ミクロな接触部での摩擦係数は、転がり軸受の転動部の摩擦係数としてよく用いられる0.05または0.1などにすればよい。ミクロな接触部で支持する荷重Waは以下の手順で求めることができる。
(1)見かけの接触楕円内における圧力分布(ヘルツの接触圧力分布)の式を解析領域の面積で積分して、解析領域への負荷荷重Wtを求める。
(2)転動部に形成される潤滑油膜が表面粗さ(ミクロな接触部)と比較して十分に小さい条件(以下、境界潤滑条件とする)では、接触部の負荷荷重Wtが全てミクロな接触部で支持されると仮定できる。したがって、以下に基づいて、ミクロな接触部で支持する荷重Waを求める。
Figure 0007360977000008
転動部が境界潤滑条件かどうかについては、油膜パラメータOPの値を用いて判断すればよい。例えば、文献B(山本・兼田:トライボロジー第2版,オーム社,p.168)には、油膜パラメータOPが0.5以上の範囲では潤滑油による荷重の支持が支配的になると述べられていることから、油膜パラメータOP<0.5(第2の所定値)の領域を境界潤滑条件と判定してもよい。
(3)潤滑油が荷重の支持に影響を及ぼす条件(以下、混合潤滑条件とする)では、接触部の負荷荷重Wtをミクロな接触部とそれ以外の潤滑油膜が形成されている箇所で分担して支持すると仮定する。従って、以下に基づいて、荷重Waを求める。
Figure 0007360977000009
ここで、定数aは、ミクロな接触部が負荷荷重を請け負う比率を表わす荷重分担率(以下、負荷の荷重分担率)を意味する。0≦a≦1である。ミクロな接触部で支持する荷重Waは、負荷の荷重分担率aと、接触部の負荷荷重Wtとを乗算して得られる。
定数aを推定する方法として、例えば文献C(K.L.Johnson, J.A.Greenwood, S.Y.Poon: A Symple Theory of Asperity Contact in EHL, Wear, 19 (1972) 91.)に記載の方法が知られている。
文献Cの方法では、以下のように、混合潤滑条件下での接触圧力Pがミクロな接触部での分担圧力Paと油膜形成部での分担圧力Pfの和であると仮定する。
Figure 0007360977000010
ミクロな接触部での分担圧力Paは下式で求められる。
Figure 0007360977000011
式中のηは表面粗さの突起密度、βは平均突起先端半径、σ*は突起頂点高さの標準偏差を表わす。これらの表面粗さパラメータは、転動面および軌道面の表面形状データを足し合せることによって得られる合成粗面について算出すればよい。もしくは、これらのうち片方の面の表面粗さが小さく(例えば算術平均粗さRaで0.08μm以下)、それよりも他方の面の表面粗さが顕著に大きい場合(例えばRaで0.20μm)は、表面粗さの大きい面について上記の表面粗さパラメータを算出すればよい。また、deは2つの粗面の接触を合成粗面と平滑面の接触に置き換えた時の分離距離を表わす。
式(B4-1)より、圧力分担率(Pa/P)は、de/σ*の関数として表される。
Figure 0007360977000012
ここでの接触圧力Pは、転動面と軌道面との見かけの接触部におけるヘルツの最大接触圧力などを用いればよい。
次に、接触圧力Pと油膜形成部での分担圧力Pfとの比は下式で表される。
Figure 0007360977000013
ここで、h0は転動面と軌道面がともに平滑面であると仮定して求められる油膜厚さであり、一般的な油膜厚さ計算式を用いて求めればよい。h′はこれらの表面粗さを考慮した場合の油膜厚さを表す。
合成粗面の二乗平均平方根粗さRqを用いると、式(B6)より、以下が成り立つので、Pf/Pをh′/Rqの関数として表現できる。
Figure 0007360977000014
さらに、以下を仮定して、式(B5)と式(B7)について数値計算を行うことによって、ミクロな接触部での圧力分担率(Pa/P)を求める。
Figure 0007360977000015
このとき、以下の式を収束条件とする。
Figure 0007360977000016
圧力分担率(Pa/P)は、見かけの接触楕円内で一定であるので、式(B2)における負荷の荷重分担率aが以下のように求められる。
Figure 0007360977000017
以上の方法によってミクロな接触部直下のミクロ応力の3軸応力成分(σx(mc)、σy(mc)、σz(mc)、τxy(mc)、τyz(mc)、τzx(mc))のそれぞれを算出することができる。一方、表面に高いミクロ応力が繰返し作用する場合は軌道面に残留応力が生成されるため、軌道面には実質的にミクロ応力と残留応力の合成応力が作用する。
残留応力算出部33は、X線検出器12によって検出された環状の回折X線に基づいて、残留応力を算出する。
本実施の形態では、3方向入射による佐々木-広瀬法を用いて、3軸の残留応力を計算する方法について説明する。図5に示すようにデバイリングの中心角αに対する歪みεαはデバイリングの半径から以下の式(C1)を使って得られる。ここで、θ0は、無ひずみ状態でのブラッグ角、Rαは回折環中心角αにおけるデバイリングの半径、CLはX線の照射位置からX線検出器12までの距離を表わす。
Figure 0007360977000018
式(C1)に示す座標系において、εαと応力の関係は次式(C2)で表される。ここで、EはX線的ヤング率、νはX線的ポアソン比を表わす。
Figure 0007360977000019
また、n1~n3はεαの方向余弦であり、次式(C3)~(C5)で表される。ここで、ηはブラッグ角θの補角(η=π/2-θ)、ψ0はX線入射角、φ0は入射X線の投影がX軸となす角を表わす。
Figure 0007360977000020
次に、式(C2)から各応力成分を得るために、デバイリングの中心角π+α、π-α、-αにおけるひずみをそれぞれεπ+α、επ-α、ε-αと表し、式(C6)、(C7)で表されるパラメータを定義する。
Figure 0007360977000021
式(C2)~(C7)から、φ0=0におけるa1とa2は、以下の式(C8)、(C9)で表される。
Figure 0007360977000022
式(C8)と(C9)において、ψ0=0のとき、すなわちX線を試料面に垂直な方向から入射(垂直入射)するとき、せん断応力τxz、τyzについて次式(C10)、(C11)の関係が得られる。
Figure 0007360977000023
また、式(C8)と(C9)はa1とa2がそれぞれcosα、sinαに対して線形であることを示しており、その傾きは次式(C12)、(C13)で表される。
Figure 0007360977000024
式(C12)と(C13)において、τxz、τyzは、すでに式(C10)と(C11)で得られているため、ψ0≠0のときσx-σz、τxyは次式(C14)、(C15)で得られる。
Figure 0007360977000025
σy-σzはφ0=π/2rad(=90°)における式(C14)の関係を用いれば計算できる。σzは次式(C16)から求める。ここで、Xは次式(C17)で表される。
Figure 0007360977000026
式(C17)における各応力成分と方向余弦は既知であるので、σzの値が求められる。なお、式(C16)にはεαの項が含まれており、デバイリングの中心角ごとにσzが得られるので、σzはその平均値とする。以上のように、3回のX線照射で残留応力の3軸応力成分が得られる。
軌道輪の表面起点型はく離による寿命がミクロ応力と残留応力の両方の影響を受けることを考慮して、合成応力算出部34は、以下の式(D1-1)~(D1-7)のように、ミクロ応力と残留応力の3軸応力成分を組合せた合成応力Sを算出する。
Figure 0007360977000027
式(D1-2)~(D1-7)中の添え字(mc)はミクロ応力の3軸応力成分であることを意味する。
S-N曲線算出部35は、複数個の試験用の軸受部品iに対して、故障破壊が発生するまでに、複数回の転動疲労試験が行われたときに、試験用の軸受部品iについて、j回目の転動疲労試験の負荷回数Nijと合成応力Sijとに基づいて、S-N曲線を求める。ここで、iは1からMAX_i(試験用の軸受部品の個数)までである、jは1からX(故障破壊が発生するまでの転動疲労試験の回数)である。
S-N曲線は、試験用の軸受部品または診断用の軸受部品が故障破壊するまでに与えられる負荷回数Nと、合成応力Sとの関係を表わす式である。ここで、負荷回数は転動体が、軌道輪の一部に接触する回数を表わす。試験用の軸受部品または診断用の軸受部品が故障破壊するまでに与えられる負荷回数Nは、その試験用の軸受部品または診断用の軸受部品の寿命を表わす。
図6を参照して、S-N曲線が作成される手順について説明する。
まず、試験用の軸受部品1に対して、第1回目の転動疲労試験において、合成応力S11でN11回の負荷が加えられたとする。初期位置P11(0,S11)からN軸方向にN11回移動した点P12(N11,S11)をプロットする。
第2回目の転動疲労試験において、合成応力S12でN12回の負荷が加えられたとする。ここで、ほとんどの場合はS12<S11となる。なぜなら、転がり接触では、負荷回数の増加に伴って、軌道面の表面粗さが低下し、突起接触部の応力集中が軽減されるからである。P12(N11,S11)のS軸の値をS12とした点P13(N11,S12)をプロットする。P13(N11,S12)からN軸方向にN12回移動した点P14(N11+N12,S12)をプロットする。
第3回目の転動疲労試験において、合成応力S13でN13回の負荷が加えられたとする。P14(N11+N12,S12)のS軸の値をS13とした点P15(N11+N12,S13)をプロットする。P15(N11+N12,S13)からN軸方向にN13回移動した点P16(N11+N12+N13,S13)をプロットする。
第4回目の転動疲労試験において、合成応力S14でN14回の負荷が加えられたときに故障破壊が発生したとする。P16(N11+N12+N13,S13)のS軸の値をS14とした点P17(N11+N12+N13,S14)をプロットする。P17(N11+N12+N13,S14)からN軸方向にN14回移動した点P18(N11+N12+N13+N14,S14)をプロットする。このようにして得られた点P11~P18を試験用の軸受部品1の合成応力と寿命の関係を表わす第1サンプルとする。
次に、試験用の軸受部品2に対して、第1回目の転動疲労試験において、合成応力S21でN21回の負荷が加えられたとする。初期位置P21(0,S21)からN軸方向にN21回移動した点P22(N21,S21)をプロットする。
第2回目の転動疲労試験において、合成応力S22でN22回の負荷が加えられたとする。P22(N21,S21)のS軸の値をS22とした点P23(N21,S22)をプロットする。P23(N21,S22)からN軸方向にN22回移動した点P24(N21+N22,S22)をプロットする。
第3回目の転動疲労試験において、合成応力S23でN23回の負荷が加えられたとする。P24(N21+N22,S22)のS軸の値をS23とした点P25(N21+N22,S23)をプロットする。P25(N21+N22,S23)からN軸方向にN23回移動した点P26(N21+N22+N23,S23)をプロットする。
第4回目の転動疲労試験において、合成応力S24でN24回の負荷が加えられたときに故障破壊が発生したとする。P26(N21+N22+N23,S23)のS軸の値をS24とした点P27(N21+N22+N23,S24)をプロットする。P27(N21+N22+N23,S24)からN軸方向にN24回移動した点P28(N21+N22+N23+N24,S24)をプロットする。このようにして得られた点P28を試験用の軸受部品2の合成応力と寿命の関係を表わす第2サンプルとする。
なお、上述のように、複数個の点をプロットするのではなく、故障破壊が発生したときの合成応力S24、故障破壊が発生するまでの総負荷回数(N21+N22+N23+N24)によって第2サンプルを求めるものとしてもよい。
以上のようにして、複数個の試験用の軸受部品に対して故障破壊するまで転動疲労試験を行うことによって、複数個のサンプルが得られる。
S-N曲線は、以下の式(D2)で表される。
Figure 0007360977000028
3個以上のサンプルを用いることによって、式(D2)の3個の未知数A、B、Sfを求めることができる。より正確なS-N曲線を作成するためにはできるだけ多くのサンプルを用いるのが望ましい。
これらの未知数の求め方として、線形累積損傷則を用いた回帰分析を用いる方法があげられる。例えば、i番目の試験用の軸受部品について得られた合成応力と寿命tpの関係を表わすサンプルに線形累積損傷則を適用すると、以下の式が成り立つ。
Figure 0007360977000029
ここで、Lijは合成応力Sijが一定に作用する場合の寿命であり、図7のようにS-N曲線から求められる。上式における左辺の値は損傷発生までに累積された疲労度(総疲労度とする)を意味する。
Lijを式(D2)の3個の未知数A、B、Sfに適当な値を入れて得られる仮のS-N曲線から推定すれば、i番目の試験用の軸受部品について複数回の転動疲労試験の間に蓄積された総疲労度が推定できる。このようにして、全ての試験用の軸受部品について同じ仮のS-N曲線を用いて総疲労度を推定し、それぞれの総疲労度ができるだけ1に近づくようなS-N曲線の3個の未知数A、B、Sfを回帰分析によって求めれば、真のS-N曲線が得られる。
S-N曲線記憶部36は、得られた真のS-N曲線の式を記憶する。
診断部37は、S-N曲線記憶部36に記憶されたS-N曲線の式を用いて、運転停止時の診断用の軸受部品について算出された合成応力SXに対応する寿命LXを特定する。寿命LXは一定の合成応力SXが繰返し作用した場合に診断用の軸受部品が故障破壊するまでの総負荷回数である。
図8は、線形累積損傷則を説明するための図である。
診断用の軸受部品が過去に断続運転を繰り返し、各運転の負荷回数NX(i)(i =1,2,・・・M、Mは運転を停止した回数)と運転時に負荷されていた合成応力SX(i)(以下、これらのNXiとSXiについてのデータを応力履歴と称する)が既知の場合は、今後故障破壊するまでの残存負荷回数(残存寿命)Nresが線形累積損傷則に基づいて特定される。
Figure 0007360977000030
ここで、LX(i)は一定の合成応力SX(i)が繰返し作用した場合の診断用の軸受部品が故障破壊するまでの総負荷回数である。従って、以下が成り立つ。
Figure 0007360977000031
図9は、転動疲労試験においてS-N曲線を求める手順を表わすフローチャートである。
ステップS101において、制御部50は、制御変数iを1に設定する。
ステップS102において、制御部50は、制御変数jを1に設定する。
ステップS103において、制御部50は、試験用の軸受部品iを稼働する。
ステップS104において、試験用の軸受部品iが稼働されてから所定時間が経過したときには、処理がステップS105に進む。
ステップS105において、制御部50は、試験用の軸受部品iを停止する。
ステップS106において、油膜パラメータ算出部31は、試験用の軸受部品iである軌道輪の軌道面と、試験用の軸受部品iと接触する転動体の転動面の間の油膜の油膜パラメータOPを算出する。
ステップS107において、油膜パラメータOPが3以下の場合に、処理がステップS108に進み、油膜パラメータOPが3を超える場合に、処理がステップS103に戻る。
ステップS108において、ミクロ応力算出部32は、文献Aに記載の境界要素法を用いた数値計算によって、試験用の軸受部品iである軌道輪の軌道面に作用するミクロ応力を算出する。
ステップS110において、残留応力算出部33は、X線検出器12によって検出された環状の回折X線に基づいて、3方向入射による佐々木-広瀬法を用いて、試験用の軸受部品iである軌道輪の軌道面に作用する残留応力の3軸応力成分を算出する。
ステップS111において、合成応力算出部34は、ミクロ応力の3軸応力成分および残留応力の3軸応力成分を用いて、式(D1-1)~(D1-7)に従って合成応力SXを算出する。
ステップS112において、制御部50は、ステップS111で求められた合成応力SXを、現在の制御変数i、jの下で試験用の軸受部品iが動作したときの合成応力Sijとして取得する。
ステップS113において、制御部50は、現在の制御変数i、jの下で試験用の軸受部品iが動作したときの転動体が軌道輪の一部に接触した回数を負荷回数をNijとして取得する。
ステップS114において、試験用の軸受部品iに故障破壊が発生したときには、処理がステップS116に進み、試験用の軸受部品iに故障破壊が発生していないときには、処理がステップS115に進む。
ステップS115において、制御変数jがインクリメントされ、その後、処理がステップS103に戻る。
ステップS116において、制御部50は、Ni1+Ni2+・・・+Nijを制御変数iにおける負荷回数Niとする。制御部50は、試験用の軸受部品iが故障破壊するまでに取得された全ての合成応力のデータ(Si1,Si2,…,Sij)とNiとを第iサンプルとする。
ステップS117において、iが所定値MAX_iのときには、処理がステップS119に進み、iが所定値MAX_iでないときには、処理がステップS118に進む。
ステップS118において、制御変数iがインクリメントされ、その後、処理がステップS102に戻る。
ステップS119において、S-N曲線算出部35は、第iサンプルを用いて、S-N曲線を算出する。ただし、i=1~MAX_iである。
図10は、診断用の軸受部品の寿命診断の手順を表わすフローチャートである。
ステップS301において、制御部50は、診断用の軸受部品を停止する。
ステップS302において、油膜パラメータ算出部31は、診断用の軸受部品である軌道輪の軌道面と、診断用の軸受部品と接触する転動体の転動面の間の油膜の油膜パラメータOPを算出する。
ステップS303において、油膜パラメータOPが3以下の場合に、処理がステップS305に進み、油膜パラメータOPが3を超える場合に、処理がステップS304に戻る。
ステップS305において、ミクロ応力算出部32は、文献Aに記載の境界要素法を用いた数値計算によって、診断用の軸受部品のミクロ応力の3軸応力成分を算出する。
ステップS306において、残留応力算出部33は、X線検出器12によって検出された環状の回折X線に基づいて、3方向入射による佐々木-広瀬法を用いて、診断用の軸受部品である軌道輪の軌道面に作用する残留応力の3軸応力成分を算出する。
ステップS308において、合成応力算出部34は、ミクロ応力の3軸応力成分および残留応力の3軸応力成分を用いて、式(D1-1)~(D1-7)に従って合成応力SX(M)を算出する。
ステップS309において、診断部37は、S-N曲線記憶部36に記憶されたS-N曲線の式を用いて、診断用の軸受部品である軌道輪の軌道面について算出された合成応力SX(M)に対応する寿命LX(M)を特定する。
ステップS310において、診断用の軸受部品の応答履歴が既知の場合に、処理がステップS311に進み、診断用の軸受部品の応答履歴が既知でない場合に、処理がステップS313に進む。
ステップS311において、診断部37は、式(E2)に従って、残存寿命Nresを推定する。
ステップS312において、残存寿命Nresが要求残存寿命TH1以下の場合に、処理がステップS314に進み、残存寿命Nresが要求残存寿命TH1を超える場合に、処理がステップS304に進む。
ステップS313において、寿命LX(M)が要求残存寿命TH1以下の場合に、処理がステップS314に進み、寿命LX(M)が要求残存寿命TH1を超える場合に、処理がステップS304に進む。
ステップS304において、診断部37は、診断用の軸受部品の交換が不要である旨のメッセージを表示部18に表示する。
ステップS314において、診断部37は、診断用の軸受部品の交換が必要である旨のメッセージを表示部18に表示する。
[実施の形態2]
図11は、実施の形態2の寿命診断装置14の機能構成を表わす図である。
実施の形態2の寿命診断装置14が、実施の形態1の寿命診断装置14と相違する点は、以下である。
ミクロ応力算出部32Aは、混合潤滑理論と境界要素法に基づく接触解析法によって、運転中に診断用または試験用の軸受部品の転動面の表層に作用するミクロ応力の3軸応力成分(σx(mc)、σy(mc)、σz(mc)、τxy(mc)、τyz(mc)、τzx(mc))を推算する。以下、診断用または試験用の軸受部品が軸受の軌道輪である場合を想定して、ミクロ応力の算出手順を説明する。
図12は、実施の形態2のミクロ応力の算出手順を表わすフローチャートである。
ステップS401において、ミクロ応力算出部32Aは、軌道輪およびそれと組み合わせて使われる転動体の形状(図面寸法)とこれらの部品の接触部に負荷される荷重(Wmacro)の値から、見かけの接触領域とその中での圧力分布を求める。これは、一般的なヘルツの接触理論を用いて行えばよい。このとき、Wmacroには、軸受の諸元および軸受への総負荷荷重の値から求められる最大転動体荷重などを用いればよい。
ステップS402において、表面形状測定器13が、軌道面の表面形状と転動面の表面形状とを測定する。このときの測定領域は、接触解析の対象範囲(以下、解析領域とする)に相当し、図13のように見かけの接触領域の中心付近とすることが望ましい。測定された軌道面の表面形状および転動面の表面形状は、それぞれグリッドサイズ(Δx,Δy)、高さzi(x,y)を有する点群で表され、両者の測定面積は等しくする必要がある。ここで、添え字i=1または2であり、1は軌道面、2は転動面の表面形状であることを意味する。
ステップS403において、ミクロ応力算出部32Aは、軌道体と転動輪とを完全弾性体であると仮定し、これらの接触を剛体の等価粗面と半無限弾性体平面との接触モデルに置き換える。このとき、等価粗面の表面形状データは、ステップS402で測定した軌道面の表面形状データと転動面の表面形状データとの和として求められる。
Figure 0007360977000032
ステップS404において、ミクロ応力算出部32Aは、ステップS401で求めた見かけの接触領域内の圧力分布の式を解析領域の範囲で積分し、解析領域への負荷荷重Wtを求める。ここで、潤滑油の流体力学的作用(以下、油圧作用とする)とミクロ接触部が、接触部への負荷荷重Wmacroを分担して支持することを仮定すると、以下の式が成り立つ。
Figure 0007360977000033
ここで、WaとWは、それぞれミクロ接触部および油圧作用によって支持される荷重を表す。また、定数αはミクロ接触部で請け負う荷重の比率を意味し、本ステップにおいて適当な初期値を与える。αが見かけの接触領域内で一定であるとすると、解析領域での荷重支持について以下の式が成り立つ。
Figure 0007360977000034
ここで、W′aは解析領域内に存在するミクロ接触部が支持する荷重を、W′は解析領域への負荷荷重のうち油圧作用によって支持される荷重を表わす。
ステップS405において、ミクロ応力算出部32Aは、解析領域内について、油圧作用によって発生する圧力pH(x,y)の分布を求める。一般的に、転がり軸受の軌道輪と転動体の接触部のように、接触面積が接触する2物体の表面積より十分に小さく、接触部で弾性変形が生じる条件での油膜厚さおよびpH(x,y)の分布は、弾性流体潤滑理論(EHL理論)によって説明される。EHL理論によれば、見かけの接触領域の中央付近に形成される油膜厚さ(中央油膜厚さとする)は、主に接触部入口の形状に依存するため、ミクロ接触部の存在はpH(x,y)の分布に影響を与えないと仮定することができる。また、転がり軸受の軌道輪と転動体の最大接触圧力は数GPaに達するが、このような場合のpH(x,y)の分布はヘルツの接触理論に基づいて求められる接触圧力分布に近似する。以上のことから、pH(x,y)の分布は軌道輪と転動体を負荷荷重Wlで接触させたときのヘルツ接触圧力の分布として求めることができる。
ステップS406において、ミクロ応力算出部32Aは、ステップS405で求めたpH(x,y)の分布に基づいて、油圧作用によって半無限弾性体表面に発生する弾性変位量uH(x,y)を求める。軌道輪と転動体が同じ材料である場合、uH(x,y)は以下の式で求められる。
Figure 0007360977000035
式(F8)中のE′は軌道輪と転動体の等価ヤング率を、Ωlは潤滑油膜の影響が及んでいる点の集合を表わす。点(a,b)は点(x,y)の近傍に位置する点であり、Ωlに属する。
ステップS407において、ミクロ応力算出部32Aは、以上の方法で求めたuH(x,y)をステップS403で得られた等価粗面の表面形状データz(x,y)から減ずることによって、油圧の影響を考慮した等価粗面形状データz′(x,y)を算出する。
Figure 0007360977000036
ステップS408において、ミクロ応力算出部32Aは、ステップS406で得られた油圧の影響を考慮した等価粗面の形状データz′(x,y)を用いて、半無限弾性体平面と等価粗面が荷重W′を与えられて接触した時の接触解析を行う。これは、例えば文献Aに記載の境界要素法を用いた数値計算で実施される。この接触解析により、ミクロ接触部の位置とそこでの接触圧力pc(x,y)、pc(x,y)の作用による半無限弾性体表面の変位量uc(x,y)、ならびに半無限弾性体に対する等価粗面の押し込み量dの情報が得られる。これらの情報と等価粗面の表面形状データz′(x,y)に基づけば、解析領域内における軌道面と転動面のすきまg(x,y)の分布が得られる。
ステップS409において、ミクロ応力算出部32Aは、ステップS408で得られたすきまg(x,y)の分布に基づいて、潤滑油膜の影響が及んでいる範囲における2面のすきまの平均値(以下、平均すきまHmeanとする)を求める。このとき、ミクロ接触部のすきまは0とする。
Figure 0007360977000037
ここで、Nlは潤滑油の影響が及んでいる点の総数を意味する。
ステップS410において、ステップS405で述べたように、ミクロ接触部の存在は中央油膜厚さに影響を与えないと仮定する。また、実際には見かけの接触領域内にミクロ接触部と油膜形成部が混在するが、接触部に流入する潤滑油の質量は不変であるので、以下の等式が成立する。
Figure 0007360977000038
式(F11)中のhcは軌道面と転動面が粗さのない滑らかな面であると仮定したときの中央油膜厚さであり、一般的なEHL油膜厚さ計算式を用いて求めることができる。EHL油膜厚さ計算式として、線接触の場合はDowsonらの式、点もしくは楕円接触の場合はChittendenらの式などがある。例としてChittendenらの式を用いると、hcは以下の式から求められる。
Figure 0007360977000039
式(F12)中のRxとRyはそれぞれ転がり方向および軸方向の等価曲率半径、Eは等価ヤング率(前述のE′と等しい)、umは軌道面と転動面の平均周速、Wは油圧作用によって支持される荷重に相当する。η0とαはそれぞれ潤滑油の常圧密度および粘度-圧力係数である。ミクロ応力算出部32Aは、式(F11)と式(F12)とを組み合わせて、ステップS408で得られたHmeanの値に基づいて、接触部への負荷荷重(Wmacro)のうち油圧作用によって支持される荷重の推定値Wl, estを求める。
Figure 0007360977000040
ステップS411において、ミクロ応力算出部32Aは、ステップS404で得られたWとステップS410で得られたWl, estは等しいはずであるため、両者を比較することでステップS404にて設定したαの初期値の妥当性を検討する。両者の差が大きい(例えばWを基準として両者の差が±3%以上である)場合は、再度ステップS404に戻ってαの値を修正する。最終的に差が十分に小さいと判断されるまでステップS404からステップS411を繰り返し、αの真値を取得する。
ステップS412において、ミクロ応力算出部32Aは、αの真値が得られたときのpH(x,y)およびpc(x,y)を足し合わせることで、解析領域内の真の圧力分布を算出する。
ステップS413において、ミクロ応力算出部32Aは、ステップS412で得られた真の圧力分布に基づいて軌道面の表層に作用するミクロ応力の3軸応力成分を求める。これは、例えば圧力分布に対してブシネスクの弾性解を適用することで実行される。このときに摩擦力を考慮する場合は、ミクロな接触部での摩擦係数として0.12、油膜形成部での摩擦係数を0.05などとして計算すればよい。これらの値は文献D(G. E. Morales-Espajel & V. Brizmer:Micropitting Modeling in Rolling-Sliding Contacts: Application to Rolling Bearings, Tribology Transactions, 54 (2011) 625.)で用いられている値であり、その他に適当と思われる値(実測値など)がある場合はそれを用いればよい。
(変形例)
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。たとえば、以下のような変形例も含まれる。
(1)ミクロ応力
上記の実施形態では、ミクロ応力算出部32は、文献Aに記載の境界要素法を用いた数値計算によって、試験用の軸受部品のミクロ応力の3軸応力成分、および診断用の軸受部品のミクロ応力の3軸応力成分を算出するものとしたが、これに限定されるものではない。ミクロ応力算出部32は、文献Aに記載の境界要素法を用いた数値計算によって、試験用の軸受部品のミクロ応力の3軸応力成分、および診断用の軸受部品のミクロ応力の3軸応力成分のうちのいずれか一方を算出し、他の方法を用いて、試験用の軸受部品のミクロ応力の3軸応力成分、および診断用の軸受部品のミクロ応力の3軸応力成分のうちの他方を算出するものとしてもよい。
他の方法として、たとえば、特開2018-40769号公報に記載されているように、二乗平均平方根傾斜Rdqを用いた方法を用いることができる。
(2)残留応力
実施の形態では、残留応力算出部33は、X線検出器12によって検出された環状の回折X線に基づいて、3方向入射による佐々木-広瀬法を用いて、試験用の軸受部品である軌道輪の軌道面に作用する残留応力の3軸応力成分、および診断用の軸受部品である軌道輪の軌道面に作用する残留応力の3軸応力成分を算出したが、これに限定されるものではない。残留応力算出部33は、X線検出器12によって検出された環状の回折X線に基づいて、3方向入射による佐々木-広瀬法を用いて、試験用の軸受部品である軌道輪の軌道面に作用する残留応力の3軸応力成分、および診断用の軸受部品である軌道輪の軌道面に作用する残留応力の3軸応力成分のうちのいずれか一方を算出し、他の方法を用いて、試験用の軸受部品である軌道輪の軌道面に作用する残留応力の3軸応力成分、および診断用の軸受部品である軌道輪の軌道面に作用する残留応力の3軸応力成分のうちの他方を算出するものとしてもよい。
他の方法として、たとえば、例えば文献D「H.Dolle and V.Hauk、”The Influence of Stress States, Stress Gradients and Elastic Anisotropy on the Evaluation of (Residual) Stresses by X-rays”, J.Appl.Crysr、12 (1979) 489-501」に記載されている方法を用いてもよい。
(3)試験用の軸受部品の合成応力
実施の形態では、図9に示されるように、複数回の転動疲労試験の各試験の終了時に試験用の軸受部品の残留応力とミクロ応力との和である試験用の軸受部品の合成応力を求めた。すなわち、ステップS105の実行後に、ステップS106~S115が実行された。しかし、これに限定するものではない。
複数回の転動疲労試験の各試験の開始時に試験用の軸受部品の残留応力とミクロ応力との和である試験用の軸受部品の合成応力を求めるものとしてもよい。すなわち、ステップS103の実行前に、ステップS106~S116が実行されるものとしてもよい。
(4)交換時期の通知
診断部37は、診断用の軸受部品の交換が必要か否かのメッセージに替えて、診断用の軸受部品の交換時期を表示部18に表示するものとしてもよい。たとえば、診断部37は、寿命と現在までの負荷回数とに基づいて交換時期を判定することできる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
11 照射部、12 X線検出器、13 表面形状測定器、14 寿命診断装置、15 CPU、16 メモリ、17 入力部、18 表示部、31 油膜パラメータ算出部、32 ミクロ応力算出部、33 残留応力算出部、34 合成応力算出部、35 S-N曲線算出部、36 S-N曲線記憶部、37 診断部。

Claims (13)

  1. 軸受部品の寿命診断方法であって、
    複数個の試験用の軸受部品の各々について、故障破壊するまで複数回の転動疲労試験を行なうステップと、
    前記複数回の転動疲労試験の各試験の開始時または終了時に前記試験用の軸受部品の残留応力とミクロ応力との和である前記試験用の軸受部品の合成応力を求めるステップと、
    前記複数個の試験用の軸受部品について、前記複数回の転動疲労試験の各試験における負荷回数と前記合成応力との関係に基づいてS-N曲線を求めるステップと、
    診断用の軸受部品の残留応力とミクロ応力との和である前記診断用の軸受部品の合成応力を求めるステップと、
    前記診断用の軸受部品の合成応力と前記S-N曲線とに基づいて、前記診断用の軸受部品の寿命を求めるステップとを備え、
    前記試験用の軸受部品の合成応力を求めるステップおよび前記診断用の軸受部品の合成応力を求めるステップのうちの少なくとも1つのステップは、X線回折結果から残留応力を求めるステップを含み、
    前記試験用の軸受部品の合成応力を求めるステップおよび前記診断用の軸受部品の合成応力を求めるステップのうちの少なくとも1つのステップは、軸受部品の表面形状の測定データを用いた数値計算によってミクロ応力を求めるステップを含み、
    前記数値計算によってミクロ応力を求めるステップは、接触部への負荷荷重のうちミクロな接触部が負荷荷重を請け負う比率を表わす荷重分担率を求めるステップと、前記接触部への負荷荷重と前記荷重分担率とを乗じて得られる荷重に基づいて、ミクロ応力を求めるステップとを含
    前記Sは、前記合成応力を表わし、前記Nは、前記軸受部品の故障破壊までの負荷回数を表わす、軸受部品の寿命診断方法。
  2. 前記数値計算によってミクロ応力を求めるステップが、境界要素法を用いた接触解析によって実行される、請求項1に記載の軸受部品の寿命診断方法。
  3. 前記試験用の軸受部品の表面に存在する油膜の厚さと前記表面の形状の測定結果とから得られる油膜パラメータが第1の所定値以下のときに、前記試験用の軸受部品の合成応力を求めるステップが実行される、請求項1または2に記載の軸受部品の寿命診断方法。
  4. 前記診断用の軸受部品の表面に存在する油膜の厚さと前記表面の形状の測定結果とから得られる油膜パラメータが第1の所定値以下のときに、前記診断用の軸受部品の合成応力を求めるステップが実行される、請求項1または2に記載の軸受部品の寿命診断方法。
  5. 前記油膜パラメータが第2の所定値以上のときに、前記荷重分担率を求めるステップが実行される、請求項3または4に記載の軸受部品の寿命診断方法。
  6. 軸受の寿命診断方法であって、
    複数個の試験用の軸受部品の各々について、故障破壊するまで複数回の転動疲労試験を行なうステップと、
    前記複数回の転動疲労試験の各試験の開始時または終了時に、前記試験用の軸受部品の転動面の表層に作用するミクロ応力と残留応力との和である合成応力を推定するステップと、
    前記複数個の試験用の軸受部品の各々について、前記複数回の転動疲労試験の各試験における負荷回数とそれらの試験の開始時または終了時の合成応力の推定値からなるデータを収集し、それに基づいて軸受部品の寿命と合成応力の関係を示すS-N曲線を求めるステップと、
    診断用の軸受部品について転動面の表層に作用するミクロ応力と残留応力との和である合成応力を求めるステップと、
    前記診断用の軸受部品の合成応力と前記S-N曲線とに基づいて、前記診断用の軸受部品の寿命を求めるステップとを備え、
    前記試験用の軸受部品の合成応力を求めるステップおよび前記診断用の軸受部品の合成応力を求めるステップのうちの少なくとも1つのステップは、前記試験用および診断用の軸受部品の表面形状の実測データと、前記軸受部品と接触する部品の表面形状の実測データとを用いて、境界要素法に基づく接触解析法によってミクロ応力を求めるステップを含み、
    前記接触解析法によってミクロ応力を求めるステップは、解析対象領域に負荷される荷重Wtのうち、表面粗さの突起の接触が起こるミクロ接触部が分担する荷重W′aの比率を表す荷重分担率αを求めるステップを含み、
    前記Sは、前記合成応力を表わし、前記Nは、前記軸受部品の故障破壊までの負荷回数を表わし、
    前記荷重分担率αを求めるステップは、任意の荷重分担率αの初期値を設定し、前記初期値に基づいて求められるパラメータについて以下の条件式が成立するように、荷重分担率αを繰り返し修正するステップを含み、
    Figure 0007360977000041

    ただし、Hmeanは、前記軸受部品と、前記軸受部品と接触する部品の接触時の2面のすきまの平均値、hcは前記接触する2面が表面粗さを持たない滑らかな面であると仮定したときの2面間の理論油膜厚さである、軸受の寿命診断方法。
  7. 以下の式によって、Hmeanを求めるステップを含む、
    Figure 0007360977000042

    ただし、Ωlは潤滑油膜の影響が及んでいる点の集合を表わし、Nlは、前記点の総数を表わす、請求項6記載の軸受の寿命診断方法。
  8. 前記S-N曲線は、複数個の第1種定数と、故障破壊までの負荷回数Nと、前記合成応力Sを含む数式で表され、
    前記S-N曲線を求めるステップは、
    前記試験用の軸受部品について、前記複数回の転動疲労試験の各試験における負荷回数と前記複数回の転動疲労試験の各試験の開始時または終了時の合成応力の推定値からなるデータを収集するステップと、
    前記複数個の試験用の軸受部品についての前記データを用いて、前記複数個の第1種定数を推定するステップとを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の軸受部品の寿命診断方法。
  9. 前記複数個の第1種定数の推定が、線形累積損傷則を用いた回帰分析によって行われる、請求項8に記載の軸受部品の寿命診断方法。
  10. 前記S-N曲線の数式は、式(1)で表され、A、B、Sfは定数である、
    Figure 0007360977000043

    請求項1~9のいずれか1項に記載の軸受部品の寿命診断方法。
  11. 前記寿命に基づいて、前記診断用の軸受部品が交換を要するか否か、または交換時期を通知するステップを備える、請求項1~10のいずれか1項に記載の軸受部品の寿命診断方法。
  12. 請求項1~11のいずれか1項に記載の軸受部品の寿命診断方法を用いて軸受部品の寿命を診断する、軸受部品の寿命診断装置。
  13. コンピュータに、請求項1~11のいずれか1項に記載の軸受部品の寿命診断方法を実行させる、軸受部品の寿命診断プログラム。
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