JP3666396B2 - 転がり軸受及びその転動体加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、転がり軸受に係り、特に、高温,高荷重, 高振動が作用する環境下で用いられる転がり軸受、例えば自動車のトランスミッション, ハブユニット,エンジン補機( オルタネータ, 中間プーリ, 電磁クラッチ等) 用の玉軸受や、鉄鋼用のガイドロール軸受,バックアップロール軸受または鉄道車両用軸受等のころ軸受に好適な転がり軸受及びその転動体の加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
転がり軸受の寿命計算においては、固定輪と転動体および回転輪と転動体のような接触する二物体( 軌道輪と転動体) に剥離が発生する確率は両者同じであると仮定し、回転輪の基本負荷容量と固定輪の基本負荷容量を組合わせて、軸受の基本動定格荷重を求めることが公知である(例えば「 転がり軸受・ころ軸受の動的負荷容量」 岡本純三著,(有) 正文社印刷) 。
【0003】
一方、近年、転がり軸受の長寿命対策の一環として、軌道輪の材料の高清浄度化が進み、鋼中の非金属介在物が低減されてきて転がり寿命が格段に向上してきた(NSKテクニカルジャーナル,No.652(1992),p1〜8)。
同様に、転動体に使用されるコイル材の高清浄度化も進み、信頼性が向上してきた。しかしコイル材の中心部には非金属介在物の存在する確率が、棒材の中心部を使用しない軌道輪と比較して高い傾向にある。従って、軸受に高荷重, 高振動が加わる環境下では、転動体の方に早期に剥離が生じる場合がある。
【0004】
これら転動体の耐圧痕性及び転がり寿命を向上させる従来の技術としては、特公平1−12812号に記載されているように、転動体を焼入れ焼戻し処理した後、空気噴射法ピーニングによる機械的表面硬化処理を施して表面層に塑性変形を起こさせ、大きな残留圧縮応力層を得て疲れ寿命の向上を図り、且つ硬さを向上させて転動体取扱い時における表面キズの発生を低減させる技術がある。
また、グリース封入軸受用鋼球の長寿命化技術として、特開平3−173714号に開示されているように、鋼球表面が加工硬化処理をうけて鋼球内部と表層との硬度差がHRC1以上あるものにおいて、表層の深さ方向の引張り残留応力を最大150MPa、好ましくは50〜150MPaとすることにより、水素が引張応力作用域へ侵入・集積するのを抑制して疲労き裂・剥離の発生を防止する技術が報告されている。
更に、玉軸受用玉とその製造方法として、特開平6−264929号に、玉の表面精度の経時的劣化を防止するべく表面硬化処理後に焼戻し処理を行って、玉軸受の音響特性の経時的劣化を防止する先行技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、高荷重・高振動下の使用環境で使用した場合、前記特公平1−12812号に示されたような転動体では、既に空気噴射法ピーニングによる機械的表面硬化処理といった接触疲労に相当する塑性加工の一種を行っているため、同様の高荷重・高振動が転動体に作用する使用環境下では表面層の過度の塑性変形が加速的に進行し、その結果として早期に剥離するといった傾向がある。
また、前記特開平3−173714号に開示されているように、表層の引張残留応力の最大値を規制することにより水素の引張応力作用域への侵入を抑制して、疲労き裂,剥離の発生を防止する技術の場合、引張残留応力の最大値が発生するのは最大せん断応力位置近傍であり、従って当該最大引張残留応力150MPaが負荷された状態での高荷重・高振動下においては、き裂の伝播がさらに加速するため寿命延長効果は期待しにくい。
【0006】
更に、特開平6−264929号に開示されている技術は、HDD用の低荷重・高速回転の環境下で使用される場合に、玉の表面精度の経時的劣化により生じる音響問題に対処するために、焼入れ焼戻し処理後、粗研磨し更に表面硬化処理後に再度焼戻し処理を行い、その後仕上げ研磨を行っているものであり、本発明で問題とする高荷重・高振動下での剥離で最も重要となる残留加工ひずみの解放については考慮されておらず、その点でなお改良の余地がある。
【0007】
更にまた、塑性と加工( 日本塑性加工学会誌) 第39巻第446号(1988−3)に「玉の製造にまつわる2,3の問題」として、疲労寿命に及ぼす残留応力の影響に関し、鋼球(玉)形状を修正するための研磨と、強度を向上させるためのピーニング加工が必要ではあるが、一方で加工過度になると疲労寿命の低下をもたらすことがあると示されており、最適なピーニング加工が課題とされている。
【0008】
本発明は、かかる従来技術の不具合を解決するためになされたものであり、転がり軸受の転動体に対する機械的表面硬化処理と熱処理との組み合わせを工夫して、硬さを保持しつつ耐転がり疲労を向上させた転動体を得、この転動体を組み込むことにより高荷重,高振動下でも寿命の長い転がり軸受を提供することを目的とする。
【0009】
より具体的には、転動体の表面の残留応力を制御し、更には必要に応じ表面下の直径の2%深さ位置での残留応力値との関係を規定して残留応力分布を最適化し、耐圧痕性と耐転がり疲労性とを向上させた転動体を得ることにより、高荷重,高振動下でも寿命の長い転がり軸受を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求の範囲第1項〜第6項に記載の発明は、かかる目的を達成することが可能な転がり軸受及びその転動体の加工方法に関するものである。
本発明の請求の範囲第1項及び第4項に記載の転がり軸受は、固定輪と回転輪との間に複数の転動体を配置して用いられる転がり軸受において、転動体の表面層の残留オーステナイト量が0〜15vol%、最終圧縮残留応力値が−600〜−1200MPa、加工ひずみ解放度が10〜60%とされていることを特徴とする。
【0011】
すなわち、転動体はコイル材から製造されるが、コイル材の場合その中心部に非金属介在物が存在する確率が軌道輪より高いので、とくに転動体に剥離が生じやすい。そこで、特に転動体の残留応力を上記のように制御することで転がり疲労き裂や剥離の発生の防止を図ることが寿命延長に有効である。
この場合の数値限定の理由は次の通りである。転動体の表面層の残留オーステナイト量が15vol%を超えると圧痕特性が劣化して表面に疵がつきやすい。また、転動体の表面の最終圧縮残留応力値が−600MPa未満ではき裂伝播の抑制作用が小さく、一方、−1200MPaを超えると半径方向の大きな引張残留応力が作用する。そのため、いずれにしても剥離に至るき裂伝播を助長する。
【0012】
また、加工ひずみ解放度が10%未満では過大加工により発生した塑性歪みの除去が不十分であり、一方、60%を超えると付与した残留圧縮応力の効果がなくなり、耐剥離性能が低下する。
本発明の転がり軸受は、上記請求項1及び請求項5の条件に加えて、転動体の完成品表面から転動体径比の2%Daの深さにおける圧縮残留応力(σD )の値を−400〜−1000MPaとすることができる(請求項2、6)。
【0013】
また、上記請求項1の条件に加えて、転動体の表面の最終圧縮残留応力値σsと完成品
表面から転動体径比の2%Daの深さにおける圧縮残留応力(σD )との関係が|σS|≧|σD|を満たし、かつ|σD|=400〜1000MPaの範囲となるように規定することにより、残留応力分布を最適化したものとすることができる(請求項6)。
【0014】
その理由は、転動体の表面下直径の2%深さ位置での残留応力値σD を、表面での圧縮残留応力値σS より低い−400〜−1000MPaの範囲に適正化することにより、転動疲労強度が向上するためである。2%Daの残留応力値σD が−400MPa未満ではき裂伝播の抑制が不十分となり、一方、−1000MPaを超えたものは過大加工により発生した残留応力の解放が不十分で、転がり疲労による塑性変形が進行し易く寿命が短くなる。なお、σS ,σD の範囲は上記のように選ぶが、σS ≧σD の関係のみではなく、σD ≧σS の関係もあり得るため、絶対値表示とした。
【0015】
本発明の請求の範囲第1項〜第4項は転がり軸受の発明であり、請求の範囲第5項〜第6項記載の発明は、転がり軸受の転動体の加工方法に関するものである。これら請求の範囲各項の特徴は次のようである。
本発明の転がり軸受の転動体加工方法は、軸受鋼からなる転動体を焼入れ焼戻し後に熱処理硬化する焼入れ焼戻し工程と、前記焼入れ焼戻し工程後の転動体の表面及び表面下に圧縮残留応力を付与するため、表面に塑性歪み加工を施す機械加工工程と、前記機械加工工程後に前記塑性歪みを緩和する2次焼戻し工程と、転動体の表面を所定の寸法に仕上げる仕上げ工程とからなることを特徴とする(請求項5)。
【0016】
すなわち、軸受鋼からなる転動体を焼入れ焼戻し後、表面硬化処理を施し、その後に再度焼戻し処理することにより表面の圧縮残留応力による表面層の加工ひずみを解放させ、圧縮残留応力値を低減し、その後仕上げ研磨することにより、表面層の硬さを保持しつつ、高荷重,高振動下での耐転がり疲労の向上を図ったものである。
【0017】
ここで、前記機械加工工程の塑性加工歪みによる転動体表面の圧縮残留応力(σ1 MPa)と前記仕上げ加工工程後の完成品表面での圧縮残留応力(σ2 MPa)との関係が、{(σ1 −σ2 )/σ1 }×100%=10〜60%を満たし、且つ機械加工工程での塑性加工歪みの付与及び2次焼戻し工程での塑性歪み緩和を施すものとすることができる(請求項1,3及び5)。
【0018】
そして、前記σ1 の大きさはσ1 =−900〜−1500MPa、前記σ2 の大きさはσ2 =−600〜−1200MPaとすることができる(請求項5)。
また、前記焼入れ焼戻し工程後の転動体の表面の残留オーステナイト量はγR =10〜30vol%、前記仕上げ加工工程後の転動体の表面の残留オーステナイト量はγR =0〜15vol%とすることができる(請求項1,4及び5)。
【0019】
更に、より具体的には、前記焼入れ焼戻し工程で830〜870℃加熱,油冷,130〜160℃の焼戻しが行われ、前記2次焼戻し工程で150〜240℃の焼戻しを行うようにすると、より好ましい結果を得ることができる(請求項1及び5)。
このような加工方法により得られる本発明の転がり軸受の転動体は、その完成品表面の最終圧縮残留応力(σS MPa)が、完成品表面から転動体径比の2%Daの深さにおける圧縮残留応力(σD MPa)の絶対値表示で、|σS|≧|σD|の関係を満たし、且つ|σD|=400〜1000MPaとなる(請求項6)。
【0020】
本発明の転動体加工方法にあっては、前記機械加工工程は、回転するバレルボックス空間容積中に、所定の転がり軸受に用いる焼入れ焼戻しした鋼球を入れ、鋼球同士の衝突により鋼球の表面に塑性加工歪みを施すものとすることができる(請求項5)。
【発明の実施の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明は、高清浄度の軸受鋼を材料とする転がり軸受の転動体であっても、コイル材の芯部の不純物までも十分に除去することは難しいという材料組成の影響を受けて、高荷重,高振動下では軌道輪より早期に剥離する傾向がある事実に鑑みてなされたものである。
転動体の寿命を向上させるのに、転動体表面に機械的な表面硬化処理を施すことが有効なことはよく知られているが、転動体の表面硬化処理を焼入れ焼戻し前に行うと、焼入れ後の転動体が真円になり難くまた機械的強度が損なわれやすくなる。
そこで、本発明の場合は、転動体の焼入れ焼戻し後に表面硬化処理を施してから、再度焼戻し(二次焼戻し)処理を行う。ここに、軸受転動体に表面硬化処理を施してから焼戻しする技術が、特開平6−264929号公報に示されていることを先に述べたが、それはHDD用の転がり軸受における玉表面の形状精度の経時的な劣化を防ぎ音響特性の劣化を防止するものであって、焼戻し処理における温度と時間との関係を厳密に制御して行われる。しかしながら、その表面硬化処理による残留加工ひずみの大きさを調整することについては全く考慮されていない。
【0022】
これに対し、本発明は、自動車,圧延機,鉄道車両用等の軸受のように、高荷重, 高振動下で用いられる軸受を対象としてその長寿命化を図るものであるから、表面硬化処理により生じる過度の塑性変形が残ったままでは、高荷重, 高振動下の使用でその塑性変形が進行し、その結果早期剥離に至る事実に着目している。従って、表面硬化処理を施したときの転動体表層面の圧縮残留応力を二次焼戻しで低減させる歪み取り(残留加工ひずみの解放)に対する考慮を極めて重視している。
【0023】
本発明の転がり軸受の転動体にあっては、その表面硬化処理手段として、例えば特公平1−12812号公報に開示された空気噴射式ショットピーニングを好適に用いることができる。もっとも、これに限定されるものではなく、その他の一般的な機械的表面効果手段を利用することもできる。
本発明において転動体に施す初めの熱処理は、通常行われるものでよい。しかして、前記表面硬化処理後の転動体に施す二次焼戻し処理では、焼入れに続いて行う初めの焼戻し(一次焼戻し)の温度以上の温度で処理することもできるし、または一次焼戻しの温度以下の温度で処理することもできる。いずれにしても、この二次焼戻し処理により、前記表面硬化処理の残留加工ひずみを解放させることが重要である。この場合の残留加工ひずみの解放度は次のように定義する。
【0024】
いま、転動体に表面硬化処理を施した直後に測定される転動体表面の圧縮残留応力を初期圧縮残留応力σ1 (MPa)、これを二次焼戻し処理し、さらに仕上げ研磨を行って完成品とされた転動体表面で測定される圧縮残留応力を最終圧縮残留応力σ2 (MPa)とすると、
加工ひずみ解放度(%)=|(σ1−σ2)/σ1|×100 ……(1)
また、転動体を初めに焼入れ焼戻しした後の表面の処理残留オーステナイトの量をγR1、その後に表面硬化処理,二次焼戻し処理を施しさらに仕上げ研磨を行って完成品とされた転動体表面の最終残留オーステナイトの量をγR2とする。
【0025】
本発明の転がり軸受の転動体の製造方法の一例を示すと、例えば、軸受鋼製の転動体を830〜870℃で加熱して焼入れし、これを油冷却後130〜160℃にて一次焼戻しする。この時転動体中に存在する残留オーステナイト(γR)の量は15〜30vol%である。
この転動体に対して、例えば空気噴射式ショットピーニングなどの表面硬化処理を行う。これにより、転動体表面に−900〜−1500MPaの初期圧縮残留応力σ1を生成させる。このショットピーニングの加工エネルギーにより、転動体表面の残留オーステナイト(γR)の一部が加工誘起マルテンサイト組織になり、γR の量は5〜20vol%に減少する。しかして、このとき表面硬化処理による加工歪みが出る。
【0026】
その後、150〜240℃にて二次焼戻し処理を行い、その後仕上げ研磨加工して転動体表面粗さ0.003〜0.01μmRaの完成品とする。この完成品の転動体表面(例えば玉軸受用鋼球)には、残留オーステナイト(γR)が0〜15vol%に減少して残っている。また、転動体表面の最終圧縮残留応力σ2 の大きさは−600〜−1200MPaとなり、初期圧縮残留応力σ1 に対して10〜60%減となってひずみ解放がなされている。
【0027】
かくして、本発明の転がり軸受に組み込まれる完成した転動体は、表面層の残留オーステナイト量0〜15vol%、最終圧縮残留応力値−600〜−1200MPa、加工ひずみ解放度10〜60%とされており、これにより高荷重,高振動下での剥離寿命の向上を実現することができる。
ここに、表面層の残留オーステナイト量が15vol%を越えると圧痕特性の面が劣化し、表面にキズがつき易くなる。
【0028】
また、最終圧縮残留応力値が−600MPa未満では、剥離に至るき裂伝播を抑制する効果が小さく、一方−1200MPaを越えると半径方向に大きな引張残留応力が作用し、せん断応力に起因するき裂伝播を助長する。
また、加工ひずみ解放度が10%未満であると、過大加工により発生した塑性歪の除去が十分ではなく、一方60%を越えると付与した残留圧縮応力の効果がなくなり耐剥離性能が低下する。
【0029】
以下、寿命試験により、本発明の効果を具体的に説明する。
試験体の軸受として、6206深溝玉軸受を使用した。転動体には、軸受鋼2種製の直径3/8インチ鋼球を、軸受1個当たり9個組み込んで用いた。
この鋼球の作り方の一例を以下に示す。 先ず、この鋼球は、冷間鍛造により球体成形後、バリなどを除去するためフラッシング工程にて鋼球を研磨し、その後830〜870℃で加熱,油焼入れ後130〜160℃にて焼戻し(1次焼戻し)を行う。その後、精研工程において、精研研磨機の2枚の溝付き盤の間に1ロッド重量500kgとした3/8インチ鋼球を順次循環のため流し込み、圧力を加えて回転させながら当該鋼球の真円度が5μm以下になるように研磨する。
【0030】
次に、ショットピーニング法により鋼球の表面硬化処理を行う。これは、上記焼入硬化後1次焼戻しされた3/8インチ鋼球を、空間容積0.2m3 のバレルボックス中に5〜250kgf入れて、バレルボックスを100分間、200rpmにて回転させながら鋼球同士を衝突させることにより行う。塑性加工歪みによる転動体表面の圧縮残留応力(σ1 )を−900〜−1500MPa、残留オーステナイト量(γR1)を5〜30vol%とするように、バレルボックスへの鋼球投入量やバレルボックスの運転時間等をそれぞれ変化させて行った。すなわち、バレルボックスに入れる鋼球数が少ないほど、ボックス内空間容積が増えるため、塑性加工エネルギーが増加しσ1 が高くなる。また、バレルボックスを長時間回転させるほど、塑性加工歪みが増加しσ1 が高くなる。そのため、上記投入量や運転時間の条件を違えてσ1 やγR1をそれぞれ変化させた実施例,比較例の3/8インチ鋼球を製作することができる。
【0031】
(試験例1)
図3に示す表に、実施例及び比較例の転動体の形態を示す。
σ1 :初期圧縮残留応力、
σ2 :最終圧縮残留応力(完成品)
γR1:処理残留オーステナイト量
γR2:最終残留オーステナイト量(完成品)
比較例1には、通常流れ品の鋼球を用いた。実施例1〜9及び比較例2〜5に関しては、それぞれ加工ひずみを解放させた鋼球を製作した。また実施例10a,10bに関しては、表面硬化処理, 仕上げ研磨後に二次焼戻し処理を行い鋼球を製作した。
【0032】
続いて、これらの転動体を組み込んだ6206深溝玉軸受の寿命試験を行った。
寿命試験に際し、軸受の内・外輪の早期剥離を防止するため、実施例及び比較例とも、当社で開発した超高清浄度材料であるSUJ2EP鋼(NSKテクニカルジャーナル、No.652,1992,p1〜8)を用い、通常熱処理(840℃で焼入れ加熱、油冷却後180℃にて焼戻し) を施して使用した。なお、内・外輪の表面硬さはHRC61〜63、内・外輪の表面粗さを0.01〜0.04μmRaとした。
【0033】
寿命試験の内容は次の通りである。
〔試験機〕
図1に示す試験機を用いて潤滑油VG68にて行った。図中の符号1が試験体の転がり軸受で、2は外輪(固定輪)、3は内輪(回転輪)、4は転動体である。5はこの転がり軸受を装着するシャフト、6は軸受ハウジング、7は試験体にラジアル方向から負荷を与える負荷軸、8は潤滑油タンク、9はフィルタ、10は給油用ポンプである。
〔試験方法〕
試験体の転がり軸受は型番6206深溝玉軸受で、試験荷重Fr=1600kgf(P/C=0.8)、回転数は1000rpmとした。試験個数は各n=10として行った。軸受1個当たりで9個の鋼球を使用しているため、90個にてL10寿命をもとめた。更に、試験の終了の判定は、試験体の測定振動値が初期振動値の5倍となった時点とし、試験を中断してフレーキングを確認した。なお、測定振動値が初期振動値の5倍に達しない場合の試験打ち切り時間は1000時間とした。
【0034】
〔試験結果〕
実施例1,4においては、二次焼戻し処理による転動体表面の加工ひずみ解放度が他の実施例より大きく、それぞれ60,50%であったため、L10寿命はそれぞれ651hr,852hrと比較例1〜5の約5倍以上の長寿命となった。また、剥離はそれぞれ90個中4個,3に過ぎなかった。
また、実施例6,9においては、二次焼戻し処理による転動体表面の加工ひずみ解放度を他の実施例より小さくし、それぞれ17%,11%とした。L10寿命はそれぞれ795hr,670hrであり、比較例1〜5の約5倍以上長寿命となった。
更に、実施例2,3,5,7,8においては、二次焼戻し処理による転動体表面の加工ひずみ度を20〜40%としたため、転動体硬さの低下はほとんど無く、L10寿命はいずれも、試験打ち切り時間の1000hrに至っても90個中に剥離は発生しなかった。
【0035】
実施例10a,10bに関しては、表面硬化処理後仕上げ研磨加工し、その後に寸法安定性のため一次焼戻し温度より低い温度にて二次焼戻し処理を行って、加工ひずみ解放度をそれぞれ58%,25%としたが、他の実施例と寿命は変わらず、L10寿命はそれぞれ782hr,1000hrであった。
一方、比較例1は、一般鋼球を使用した試験であり、二次焼戻し処理を行わなかったため、L10寿命は78hrと計算寿命の2倍程度長くはなったが、実施例1〜11と比較すると格段に寿命値は短い。従って、機械的表面硬化処理による残留圧縮応力の生成が寿命延長効果に有効となりうることがわかる。
【0036】
また、比較例2は、二次焼戻し処理を行って加工ひずみ解放度を7%としたが、ひずみ解放が十分ではなかったためL10寿命が120hrと短かった。これは、オーバー加工による残留応力の解放が十分ではなかったため、転がり疲労による塑性変形が進行して寿命が短くなったものである。
更に、比較例3は、二次焼戻し処理を行って加工ひずみ解放度を73%としたが、軸受硬さがHRC58と低下し、また表面の圧縮残留応力も−400MPaと低くなったため、耐剥離効果が十分とはならずL10寿命が75hrと短くなった。
【0037】
比較例4,5は、表面硬化処理後の最終圧縮残留応力がそれぞれ−400MPa,−300MPaと低かったため、加工ひずみ解放度が56%,40%と十分であってもL10寿命は73hr,60hrと最も短くなった。
以上の結果より、転動体製作においては、通常の粗仕上げ加工し、熱処理後に表面硬化処理を行い、その後更に二次焼戻しを行うことによって、表面硬化処理による一種の接触疲労状態の加工ひずみを10〜60%除去できるため、更なる長寿命転動体を提供することができるといえる。
今回は、転動体の表面加工ひずみの解放度10〜60%の場合に効果がみられたが、更に当該ひずみ解放度を20〜40%とすることにより、更なる寿命延長効果が期待できる。
【0038】
(試験例2)
続いて、他の試験の例を説明する。
試験体軸受の種類,サイズ、転動体の材料,サイズは前記試験例1と同じである。
また、その転動体の熱処理条件の温度範囲,機械的表面硬化処理(ショットピーニング加工),二次焼戻し処理の温度範囲,仕上げ研磨加工後の転動体表面粗さの範囲等も、機械的表面硬化処理法を除けば前記試験例1と同様である。
図5に示す表に、実施例及び比較例の試験転動体の形態を示した。
表中
σS :鋼球表面の圧縮残留応力(図3における最終圧縮残留応力σ2 と同じ)
σD :鋼球表面下の深さDa×2%位置での圧縮残留応力(Daは鋼球直径)
【0039】
図2は、実施例,比較例の残留応力の分布パターン・〜・を示したものである。比較例11には、耐圧痕性を考慮していない通常流れ品の鋼球を用いた。実施例11〜15や比較例12〜14に関しては、それぞれに加工ひずみを解放させた試験例1と同様の鋼球を製作した。
【0040】
また実施例16〜21、比較例15,16に関しては、ピーニング加工時のバレルボックス中に入れる鋼球の数を増加させることにより空間容積を従来より小さくし、各鋼球が衝突する際のエネルギー量を低下させ、且つまた、ピーニング加工の所要時間を異ならせることにより、転動体直径Daの2%位置深さまでの残留応力分布が異なる鋼球を製作した。すなわち、バレルボックスの空間容積を0.1m3 と小さいものを使用し、3/8インチ鋼球を250kg入れてバレルボックスを50〜300分間,200rpmにて回転させながら鋼球同士を衝突させて、仕上げ加工後の転動体表面の圧縮残留応力(σ2=σS)を−600〜−1500MPa,残留オーステナイト量(γR2)を0〜15vol%とし、完成品表面から転動体径比の2%Daの深さにおける圧縮残留応力(σD )を−400〜1000MPaとした。この2%Daの位置は、転がり軸受に鋼球を組込んで使用する際、軌道表面下に発生する最大せん断応力のピーク位置に相当する。 軸受の内・外輪に関しては、早期剥離防止のため実施例及び比較例とも、試験例1と同じ超高清浄度材料のSUJ2EPを用い、熱処理,表面硬さ,表面粗さ等も全て試験例1の場合と同様にした。
【0041】
また、試験装置も前記試験例1と同じとして行った。
但し、
試験荷重Fr:990kgf(P/C=0.50)
試験温度 :120℃
回転数 :1000rpm
試験個数n :各試験体ともn=10個ずつ
軸受1個あたり9個の鋼球を使用しているため、90個にてL10寿命を求めた。
【0042】
試験の終了の判定は、初期振動値の5倍となった時点にて試験を中断し、フレーキングを確認した。試験打ち切り時間は、計算寿命が130hrであったため、4倍の500時間とした。
図6に示す表に、試験の結果を示す。
実施例11,14においては、再焼戻し処理により転動体表面の加工ひずみ解放度を他の実施例より大きくしたため、L10寿命は比較例11〜16と比べて約3倍以上で、それぞれ351hr,459hrと長寿命となった。しかしながら、表面の残留応力値もそれぞれ−600MPa,−800MPaと小さくなったため、高温試験による内部疲労加速に伴うき裂の伝播を抑制する効果も小さくなり、そのため4/90個,3/90個の鋼球にそれぞれ剥離を生じた。
【0043】
実施例13,21においては、再焼戻し処理により転動体表面の加工ひずみ解放度を他の実施例より小さくしたため、2%Da位置での残留圧縮応力値は−1000,−800MPaと高かったが、L10寿命は376,370hrと比較例11〜16と比べて約3倍以上長寿命となった。
また、実施例12,15においては、再焼戻し処理により転動体表面の加工ひずみ解放が十分となり、且つ転動体硬さの低下はほとんど無く、L10寿命については500hrに至っても90個中に剥離は発生しなかった。
【0044】
また、実施例18に関しては、表面硬化処理の時間を従来の30%と短くしたため、2%Da位置での残留圧縮応力は−400MPaと小さくすることが可能となった。しかしながら、表面の残留圧縮応力値も−800MPaと十分ではなかったため、き裂伝播抑制が十分ではなく、L10寿命はそれぞれ487hrで3/90個の剥離を生じた。
【0045】
実施例16,17に関しては、ピーニング時間を従来の50%と短くし、且つバレルボックス中に従来より2倍多く鋼球を入れ、鋼球どうしの衝突エネルギーを低下させたことにより、500hrに至っても剥離を生じなかった。
更に実施例19,20に関しては、実施例例16,17と同様な加工を行った後、再度2次焼戻しを180℃,200℃で行ったため、表面硬さ, 残留応力分布に関して耐圧痕性, き裂伝播抑制が向上し、500hrに至っても剥離を生じなかった。
【0046】
以上の実施例の結果をみると、特に実施例15〜17及び実施例19,20の寿命評価時間がいずれも500時間と、試験打ち切り時間に達していることがわかる。すなわち、転動体の表面の圧縮残留応力σS (=σ2 )については、クラックの伝播を抑えるため−1000〜−1200MPaと本発明における許容範囲内の上限側が望ましい。一方、表面下2%Da位置での圧縮残留応力σD については、疲労強度を向上するため−400〜−600MPaと本発明における許容範囲内の下限側が望ましく、この組合せで最も良い結果が得られることが明らかである。
【0047】
これに対して、比較例11は、一般鋼球を使用した試験であり、高温試験下においては耐剥離強度は十分ではないため、L10寿命は44hrにて9/90個の剥離を生じた。
また、比較例12,14は、再焼戻し処理をそれぞれ150℃,180℃で行ったが、加工ひずみ解放が十分ではなかったため、L10寿命が各々93hr,123hrと計算寿命より短時間となった。これは、オーバー加工による残留応力の解放が十分ではなかったため、転がり疲労による塑性変形が進行し、その結果寿命が短くなったものである。
【0048】
比較例13は、再焼戻し処理を280℃で行い、加工ひずみ解放度を十分行ったが、軸受硬さがHRC56と低下し、また表面の圧縮残留応力も−600MPaと低く、2%Daも−300MPaと小さいためき裂伝播抑制が十分ではなく、その結果L10寿命が57hrとなった。
また、比較例15は、表面効果処理後の2%Daでの圧縮残留応力が−300MPaと小さいため、高温試験に伴う内部疲労加速に起因するき裂伝播抑制が十分ではなく、比較例16も同様で、表面の残留圧縮応力が−500MPaと低かったため、転走面へ伝播するき裂を抑制する効果は十分ではなく、更には耐圧痕性も十分ではない。従って、L10寿命はそれぞれ68hr及び71hrと短くなった。
【0049】
以上の結果より、転動体製作においては、通常の粗仕上げ加工, 焼入れ,一次焼戻し処理を施した後に表面硬化処理(ピーニング加工)を行い、その後更に再度焼戻し(二次焼戻し)を行って加工ひずみを除去したり、またボールピーニング加工のエネルギーを従来と比較して減少させることにより、最適な残留応力分布とすれば、耐圧痕性や耐剥離性能を向上させて更なる長寿命転動体を提供することができるといえる。
【0050】
なお、今回、実施例に用いた材料は、軸受鋼の通常熱処理を行ったが、転動体として使用されうる鋼, 肌焼鋼やその材料に浸炭および浸炭窒化処理した転動体においても同様な効果が認められる。
また、転動体の材料清浄度を高め、鋼中酸素量を5ppm以下、S量を30ppm以下に抑制することにより、総被検面積3200mm2 (鋼球の断面または鋼球を製造する前のコイル材の断面における非金属介在物の大きさを検定するための単位総被検面積)中の10μm以上の酸化物系介在物をなくすことは、格段の寿命延長効果を有する。
【0051】
またなお、表面硬化処理する際、同サイズの鋼球をバレルボックスに入れて処理を行ったが、異なるサイズの鋼球を入れて表面硬化することにより、初期圧縮残留応力σ1(=−900〜−1500MPa),初期残留オーステナイト量γR1(=5〜30vol%)を作りあげ、最終的に仕上げ加工後の完成品表面の残留オーステナイト量γR2を0〜15vol%、表面下2%Da位置での圧縮残留応力σD を−400〜−1000MPa、圧縮残留応力 σS =σ2 を−600〜−1200MPaとすることも可能である。
【0052】
また、転動体の二次焼戻しに関しては、完成品に真空中にて二次焼戻し処理を施してもよい。
また、完成した転動体に二次焼戻し処理を行うと、転動体表面に1〜100nmの酸化被膜が形成される。この酸化被膜により、潤滑油中に水分が混入した際に発生する水素イオン(H+ )が鋼球表面に吸着し、水素原子(H)となって鋼球内へ侵入するのを防止する効果がある。
更に、高温環境下にて潤滑条件が劣化した場合には、焼付き性が向上するという効果もある。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の転がり軸受によれば、軌道輪に比べて早期に剥離現象が生じやすい転動体の表面層の加工ひずみを10〜60%解放したため、特に高温,高荷重, 高振動が作用する環境下で用いられる転がり軸受の転がり寿命を、従来に比べて大幅に延長することができる。
【0054】
また、本発明の転動体加工方法によれば、転動体を焼入れ焼戻し後に表面硬化処理を施し、さらに塑性歪み加工を施した後、2次焼戻しして表面の残留応力値σS を緩和して−600〜−1200MPaとし、且つ転動体直径Daに対し表面下Da×2%深さ位置での残留応力値σD を−400〜−1000MPaの範囲となる残留応力分布としたため、従来に比べて大幅に転がり寿命を延長することができる。
【0055】
したがって、本発明の転がり軸受は、例えば自動車のトランスミッション, ハブユニット,エンジン補機( オルタネータ, 中間プーリ, 電磁クラッチ等) 用の玉軸受や、鉄鋼用のガイドロール軸受,バックアップロール軸受または鉄道車両用軸受等に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】転がり軸受の寿命試験機の概略図である。
【図2】試験に用いた転動体の実施例及び比較例の残留応力分布のパターンを示した図である。
【図3】試験例1における実施例及び比較例の転動体形態を示す表である。
【図4】試験例1の試験結果を示す表である。
【図5】試験例2における実施例及び比較例の転動体形態を示す表である。
【図6】試験例2の試験結果を示す表である。
【符号の説明】
1……転がり軸受
2……外輪(固定輪)
3……内輪(回転輪)
4……転動体
Claims (6)
- 固定輪と回転輪との間に複数の転動体を配置して用いられる転がり軸受において、前記転動体は焼入れ後130〜160℃で焼戻され、該焼戻した後に表面に塑性歪み加工を施す機械加工をして、該機械加工後に前記塑性歪みを緩和するため150〜240℃で2次焼戻した後、転動体の表面は所定の寸法に仕上げられ、前記焼入れ焼戻し後の転動体の表面の残留オーステナイト量は10〜30vol%であり、前記機械加工工程の塑性加工歪み付与後の転動体表面の圧縮残留応力値(σ1MPa)は−900〜−1500MPaであり、前記完成状態での転動体の表面は残留オーステナイト量0〜15vol%、最終圧縮残留応力値(σ 2 MPa)−600〜−1200MPa、加工ひずみ解放度10〜60%とされることを特徴とする、自動車、鉄鋼、鉄道車両用転がり軸受。
- 前記転動体は転動体の完成表面から転動体径比の2%Daの深さにおける圧縮残留応力(σD)の値が−400〜−1000MPaとされた請求項1に記載の転がり軸受。
- 前記転動体は、転動体の表面の 加工ひずみ解放度が20〜40%とされた請求項1に記載の転がり軸受。
- 前記焼入れ焼戻し後の転動体の表面の残留オーステナイト量が20〜30vol%である請求項1又は請求項3に記載の転がり軸受。
- 転がり軸受の固定輪と回転輪との間に配される複数の転動体加工方法において、軸受鋼からなる転動体を焼入れ後130〜160℃で焼戻して、前記転動体の表面の残留オーステナイト量を10〜30Vol%にする焼入れ焼戻し工程と、前記焼入れ焼戻し工程後の転動体の表面及び表面下に圧縮残留応力を付与するため、表面に塑性歪み加工を施す機械加工工程と、前記機械加工工程後に前記塑性歪みを緩和するため150〜240℃で焼戻す2次焼戻し工程と、転動体の表面を所定の寸法に仕上げ完成表面の残留オーステナイト量を0〜15Vol%とする仕上げ工程とからなることを特徴とする転動体加工方法であって、
前記機械加工工程の塑性加工歪みによる転動体表面の圧縮残留応力値(σ1MPa)と前記仕上げ加工工程後の完成品表面での圧縮残留応力値(σ2MPa)との関係が、{(σ1−σ2)/σ1}×100%=10〜60%を満たし、且つ機械加工工程での塑性加工歪みの付与及び2次焼戻し工程での塑性歪み緩和を施し、前記σ1=−900〜−1500MPa、前記σ2=−600〜−1200MPaとされ、前記機械加工工程は、回転するバレルボックス空間容積中に、所定の転がり軸受に用いる焼入れ焼戻しをした鋼球を入れ、鋼球同士の衝突により鋼球の表面に塑性加工歪みを施すことを特徴とする転動体加工方法。 - 前記転動体の完成品表面の最終圧縮残留応力値(σSMPa)は、完成品表面から転動体径比の2%Daの深さにおける圧縮残留応力値(σDMPa)の絶対値表示で、|σS|≧|σD|の関係を満たし、且つ|σD|=400〜1000MPaである請求項5に記載の転動体加工方法。
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