JP3959608B2 - 外輪が圧延機のバックアップロールとして用いられる転がり軸受および転がり軸受用外輪の製造方法 - Google Patents

外輪が圧延機のバックアップロールとして用いられる転がり軸受および転がり軸受用外輪の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、内輪と、外周面が他部材に接触してロールとして使用される外輪と、内外両輪間に配された複数の転動体とを備えており、外輪の外周面に傷が付いた場合にはこの傷を除去するために再研磨するようになされているとともに、外輪が圧延機のバックアップロールとして用いられる転がり軸受および軸受用外輪の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、多段式圧延機のバックアップロールには、転がり軸受の外輪が使用されている。このような転がり軸受は異物が混入した潤滑油を用いて使用されることが多く、異物が混入した潤滑油による潤滑条件下での転がり疲労寿命の長寿命化が要求されることは当然のことながら、外輪の耐割損性や、外輪の熱や荷重による塑性変形に対する耐変形性が要求される。外輪が割損すると圧延ラインのラインストップの原因となり、外輪が塑性変形すると圧延品質が低下するからである。通常は、このような圧延ラインのラインストップや圧延品質の低下を防止する目的で定期点検が施されており、損傷する前に転がり軸受を交換している。
【0003】
しかしながら、バックアップロールとして用いられる転がり軸受の外輪が短期間で割損したり、塑性変形したりすると、上記定期点検は比較的短い周期で行う必要があり、その作業が面倒である。
【0004】
従来、外輪の割損や塑性変形を防止するために、軸受鋼を用いて所定の形状に形成された外輪素材に、浸炭または浸炭窒化処理を施すことによって、外輪の外周面に硬さの比較的大きい表面硬化層を形成するとともに、それよりも内部には靭性を付与している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、多段式圧延機のバックアップロールとして用いられる外輪を有する転がり軸受は、高負荷容量の軸受であること、および外輪の外周面に傷が付いた場合にはこの傷を除去するために再研磨する必要があることから、表面硬化層の厚さを厚くする必要がある。
【0006】
しかしながら、浸炭処理や浸炭窒化処理で厚さの厚い表面硬化層を形成するには、処理時間を長くしなければならず、製造コストが高くなるという問題がある。
【0007】
この発明の目的は、上記問題を解決し、短期間での外輪の割損や塑性変形の発生を防止しうる外輪が圧延機のバックアップロールとして用いられる転がり軸受、および製造コストを低減しうる転がり軸受用外輪の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段と発明の効果】
請求項1の発明による外輪が圧延機のバックアップロールとして用いられる転がり軸受は、内輪と、外周面が他部材に接触してロールとして使用される外輪と、内外両輪間に配された複数の転動体とを備えており、外輪の外周面に傷が付いた場合にはこの傷を除去するために再研磨するようになされているとともに、外輪がバックアップロールとして用いられる転がり軸受において、外輪が、C0.8〜1.3 wt %、Si0.35〜0.8 wt %、Mn0.3〜1.2 wt %、Cr0.9〜1.5 wt %を含み、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼よりなり、焼き入れ処理および焼戻し処理が施されて、外輪の外周面から深さ3mmまでの部分の硬さがロックウェルC硬さ(HRC)で58〜62となされるとともにこの深さ部分の硬さ勾配が外周面から内側に向かって1HRC/1mm以下となされ、さらにこの深さ部分の残留オーステナイト量が5〜18vol%となされ、外輪の内周面から深さ1mmまでの部分の硬さが61〜64HRCとなされるとともにこの深さ部分の残留オーステナイト量が5〜15vol%となされており、外輪の内外両周面間の厚さ方向の中心部の硬さが35〜42HRCとなされていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項1の発明における各数値の限定理由は次の通りである。なお、外輪に用いる鋼の合金成分については、後述する請求項3の発明の場合と同じである
【0010】
外輪の外周面から深さ3mmまでの部分の硬さ
この硬さが58HRC未満であると塑性変形を起こしやすく、62HRCを越えると割れが発生しやすくなるからである。
【0011】
外輪の外周面から深さ3mmまでの部分の硬さ勾配
この勾配が1HRC/1mmを越えると表面クラックが進展するからである。すなわち、表面クラックの進展を防止して耐割損性を向上させるためには、圧縮残留応力を増大させることが効果的であるが、外輪の外周面から深さ3mmまでの部分の圧縮残留応力を増大させるには、前記硬さ勾配を1HRC/1mm以下でかつ均一にする必要がある。
【0012】
外輪の外周面から深さ3mmまでの部分の残留オーステナイト量
この残留オーステナイト量が5vol%未満であると靭性が不足して耐割損性が低下し、18vol%を越えると時効変形しやすくなって寸法に狂いが生じ、局所的に高面圧の箇所が発生して割損の原因となるからである。
【0013】
ここで、外輪の外周面から深さ3mmまでの部分の硬さ、硬さ勾配および残留オーステナイト量を上記のようにしたのは、一度使用した外輪の再利用を可能にするためである。すなわち、一度使用した外輪の外周面を研磨(再研磨)すれば、再利用することが可能であるが、研磨した後に所望の性能を得るためには、外輪の外周面から深さ3mmまでの部分の硬さ、硬さ勾配および残留オーステナイト量を上記のようにしておかなければならない。
【0014】
外輪の内周面から深さ1mmまでの部分の硬さ
この硬さが61HRC未満では異物による圧痕が発生しやすく、64を越えると割れが発生しやすくなるからである。
【0015】
外輪の内周面から深さ1mmまでの部分の残留オーステナイト量
この残留オーステナイト量が5vol%未満であると靭性が不足して耐割損性が低下するとともに異物に対する寿命が低下し、15vol%を越えると時効変形しやすくなって寸法に狂いが生じ、局所的に高面圧の箇所が発生して割損の原因となるとともに、転がり寿命が低下するからである。
【0016】
ここで、外輪の内周面から深さ1mmまでの部分の硬さおよび残留オーステナイト量を上記のようにしたのは、内部起点剥離寿命を支配する最大剪断応力深さが1mm以内となっているからである。
【0017】
外輪の内外両周面間の厚さ方向の中心部の硬さ
この硬さが35HRC未満であると塑性変形を起こしやすくなって強度が不足し、たとえば多段圧延機のバックアップロールとして機能しなくなり、42HRCを越えると靭性が不足して耐割損性が低下するからである。
【0018】
請求項1の発明の転がり軸受によれば、たとえば多段圧延機のバックアップロールに用いたさいの短期間での外輪の表面クラックの進展による割損や、短期間での外輪の塑性変形を防止しうる。したがって、外輪の長寿命化を図ることができる。
【0019】
請求項2の発明による外輪が圧延機のバックアップロールとして用いられる転がり軸受は、請求項1の発明において、外輪の両端面における外周縁から幅3mmの環状部分および内周縁から幅1mmの環状部分を除いた部分の表面硬さが、45〜59HRCとなされているものである。
【0020】
請求項2の発明において、外輪の両端面における外周縁から幅3mmの環状部分および内周縁から幅1mmの環状部分を除いた部分の表面硬さを、45〜59HRCに限定したのは、45HRC未満であると軸受外輪全体としての強度が不足し、59HRCを越えると軸受外輪の耐割損性が不足するからである。
【0021】
請求項2の発明によれば、外輪の両端面とそれに隣接するスラストワッシャにヒートクラックが発生したとしても、軸受外輪全体が割損することが防止される。
【0022】
請求項3の発明による転がり軸受用外輪の製造方法は、請求項1の転がり軸受の外輪を製造する方法であって、請求項1の転がり軸受の外輪を製造する方法であって、C0.8〜1.3wt%、Si0.35〜0.8wt%、Mn0.3〜1.2wt%、Cr0.9〜1.5wt%を含み、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼を用いて所定の形状に形成された外輪素材を、800〜880℃で1〜3時間加熱した後、焼入油中に焼入し、焼入油中において外輪素材の内周面に圧力0.2〜0.8kg/cmで焼入油を噴射するとともに同じく外周面に圧力1.4〜2.1kg/cmで焼入油を噴射することを特徴とするものである。
【0023】
請求項3の発明における各数値の限定理由は次の通りである。
【0024】
鋼種
C含有量
Cは軸受としての強度を維持するために必須の元素であり、含有量が0.8wt%未満であると焼入、焼戻し後の外輪の内外両周面の硬さをそれぞれ所望の硬さにすることが困難となって転がり寿命が低下し、1.3wt%を越えると鋼材の溶製段階で巨大な炭化物を生成しやすくなって加工性が劣化するとともに耐破断性および転がり疲労寿命が低下するからである。
【0025】
Si含有量
Siは転がり寿命を改善する性質を有するが、含有量が0.35wt%未満では転がり寿命改善効果が得られにくく、0.8wt%を越えると軟化熱処理後の硬さが高くなり、被削性や鍛造性を大幅に劣化させるからである。
【0026】
Mn含有量
Mnは脱酸剤として用いられるものであり、同時に焼入性および耐破断性を改善させる性質を有するが、含有量が0.3wt%未満であると溶製コストが高くなり、1.2wt%を越えると被削性が急激に低下するからである。
【0027】
Cr含有量
Crは焼入性、耐破断性および転がり寿命を改善する性質を有するが、含有量が0.9wt%未満であると耐破断性および転がり寿命を改善する効果が得られず、1.5wt%を越えると大型の炭化物が生成して耐破断性および転がり寿命がかえって劣化するからである。
【0028】
加熱温度
加熱温度が800℃未満では外輪の内外両周面の硬さを所望の硬さにすることができず、880℃を越えると結晶粒の粗大化がすすむとともに、第2相である炭化物のマトリックス中への固溶が多くなりすぎて、必要とする転がり寿命および耐割損性を得ることができないからである。
【0029】
加熱時間
加熱時間が1時間未満であると均熱不足に起因して熱処理不良になり、3時間を越えると熱処理コストが増大するからである。
【0030】
外輪素材の内周面および外周面への焼入油の噴射圧力
外輪素材の内周面および外周面への焼入油の噴射圧力が下限値未満であると外輪の内周面および外周面の硬さを所定の硬さにすることができず、上限値を越えると内部の硬さが硬くなりすぎて42HRCよりも大きくなるからである。なお、上記噴射圧力は、噴射ノズルの噴射口における圧力である。また、外輪素材の外周面に焼入油を噴射するノズルの噴射口は、外輪素材の外周面より150〜300mm離れていることが好ましく、200〜250mm離れていることが望ましい。
【0031】
請求項3の発明によれば、外周面から深さ3mmまでの部分の硬さがロックウェルC硬さ(HRC)で58〜62となるるとともにこの深さ部分の硬さ勾配が外周面から内側に向かって1HRC/1mm以下となり、さらにこの深さ部分の残留オーステナイト量が5〜18vol%となり、内周面から深さ1mmまでの部分の硬さが61〜64HRCとなるとともにこの深さ部分の残留オーステナイト量が5〜15vol%となる外輪を製造することができる。
【0032】
そして、外輪素材を、800〜880℃で1〜3時間加熱した後、焼入油中に焼入し、焼入油中において外輪素材の内周面に圧力0.2〜0.8kg/cmで焼入油を噴射するとともに同じく外周面に圧力1.4〜2.1kg/cmで焼入油を噴射するだけであるので、従来の浸炭や浸炭窒化処理を施す方法に比べて、コストが安くなる。
【0033】
請求項4の発明による転がり軸受用外輪の製造方法は、請求項3の発明において、請求項2の転がり軸受の外輪を製造する方法であって、焼入油中への焼入時に、外輪素材の両端面における外周縁から幅3mmの環状部分および内周縁から幅1mmの環状部分を除いた部分を、鋼材からなるリングで覆っておくことを特徴とするものである。
【0034】
この場合、リングの厚さを適宜調節することにより、外輪素材の両端面におけるリングで覆われている部分の焼入後の硬さを調節することが可能になり、その結果リングに覆われていた部分の硬さを、焼入後の外輪の内外両周面の硬さよりも柔らかい45〜59HRCとすることができる。たとえば、リングの厚さを5mmとした場合、焼入後の外輪の両端面におけるリングで覆われていた部分の硬さは、リングで覆われていない場合の表面から5mmの深さの部分の硬さとなる。
【0035】
【発明の実施形態】
以下、この発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0036】
多段式圧延機のバックアップロールとして用いられる転がり軸受の外輪を示す図1において、外輪(1)の外周面(2)から深さ3mmまでの部分(3)の硬さがロックウェルC硬さ(HRC)で58〜62となされるとともに、この深さ部分(3)の硬さ勾配が外周面(2)から内側に向かって1HRC/1mm以下となされている。また、外輪(1)の内周面(4)から深さ1mmまでの部分(5)の硬さが61〜64HRCとなされており、外輪(1)の内外両周面(4)(2)間の厚さ方向の中心部の硬さが35〜42HRCとなされている。なお、外輪(1)の厚さ方向の硬さ分布は、内外両周面(4)(2)から厚さ方向の中心部にかけて滑らかに変化している。また、外輪(1)の外周面(2)から深さ3mmまでの部分(3)の残留オーステナイト量が5〜18vol%となされ、外輪(1)の内周面(4)から深さ1mmまでの部分(5)の残留オーステナイト量が5〜15vol%となされている。
【0037】
外輪(1)の両端面(6)における外周縁から幅3mmの環状部分(7)および内周縁から幅1mmの環状部分(8)を除いた部分の表面硬さが、45〜59HRCとなされている。
【0038】
上述したような外輪(1)は、次に述べる方法により製造される。
【0039】
まず、C0.8〜1.3wt%、Si0.35〜0.8wt%、Mn0.3〜1.2wt%、Cr0.9〜1.5wt%を含み、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼を用いて所定の形状の外輪素材(10)を形成する。ついで、外輪素材(10)を、800〜880℃で1〜3時間加熱した後、焼入油中に焼入する。この焼入の前に、図2に示すように、外輪素材(10)の両端面における外周縁から幅3mmの環状部分および内周縁から幅1mmの環状部分を除いた部分を、鋼材からなるリング(11)で覆っておき、両リング(11)を図示しないクリップで固定しておく。また、図3に示すように、焼入のさいに、焼入油中において外輪素材(10)の内周側における中心軸線上に軸線方向に伸びる第1の焼入油噴射ノズル(12)を1つ配置するとともに、外輪素材(10)の外周側における周方向に等間隔をおいた複数箇所にそれぞれ軸線方向に伸びる第2の焼入油噴射ノズル(13)を配置しておき、外輪素材(10)の内周面に第1焼入油噴射ノズル(12)により圧力0.2〜0.8kg/cmで焼入油を噴射するとともに同じく外周面に第2焼入油噴射ノズル(13)により圧力1.4〜2.1kg/cmで焼入油を噴射する。
【0040】
焼入終了後、外輪素材(10)を焼入油中から取り出してリング(11)を取り外し、焼戻し処理を施す。最後に、外輪素材(10)の内外両周面および両端面に所定の切削加工等を施す。こうして、外輪(1)が製造される。
【0041】
次に、この発明の具体的実施例について説明する。
【0042】
C1.02wt%、Si0.55wt%、Mn1.01wt%、P0.015wt%、S0.003wt%、Cu0.09wt%、Ni0.07wt%、Cr1.10wt%およびMo0.02wt%を含み、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼を用いて、外径300mm、内径220mm、長さ170mmの円筒状外輪素材(10)を形成した。
【0043】
ついで、外輪素材(10)を860℃で100分間加熱した後、外輪素材(10)の両端面における外周縁から幅3mmの環状部分および内周縁から幅1mmの環状部分を除いた部分を、JIS S45Cからなる厚さ5mmのリング(11)で覆うとともに両リング(11)をクリップで固定した。ついで、外輪素材(10)をマスタークエンチAからなる油温80℃の焼入油中に浸漬して焼入れするとともに、焼入油中において第1焼入油噴射ノズル(12)により外輪素材(10)の内周面に圧力0.6kg/cmで焼入油を噴射するとともに同じく第2焼入油噴射ノズル(13)により外周面に圧力1.9kg/cmで焼入油を噴射した。なお、第2焼入油噴射ノズル(13)の数は8つである。焼入条件を表1に示す。
【0044】
【表1】
Figure 0003959608
【0045】
焼入終了後、外輪素材(10)を焼入油中から取り出してリング(11)を取り外し、200℃で5時間加熱する焼戻し処理を施した。その後、外輪素材(10)の内外両周面および両端面に所定の切削加工および研削加工を施した。
【0046】
こうして、製造された外輪(1)の長さ方向の中心における外周面(2)から内周面(3)までの硬さ分布を計測した。その結果、図4に示すように、外周面(2)の硬さは61HRC、外周面(2)から深さ3mmの部分(3)の硬さは59HRC、外周面(2)から深さ3mmまでの部分(3)の硬さ勾配が外周面(2)から内側に向かって2/3HRC/1mmとなっていた。また、内周面(4)の硬さは62HRC、内周面(4)から深さ1mmの部分(5)の硬さが61HRC、厚さ方向の中心の硬さは39HRCとなっていた。さらに、外周面(2)から深さ3mmまでの部分(3)の残留オーステナイト量が11vol%、内周面(4)から深さ1mmまでの部分(5)の残留オーステナイト量が13vol%となっていた。
【0047】
さらに、上述したようにして製造された外輪(1)を利用して転がり軸受を組立て、外輪(1)がバックアップロールとなるように多段式圧延機に組込んだ場合、従来の外輪を用いた場合に点検や交換を要していた6ヶ月の使用後も、外輪(1)に割損や塑性変形は見られなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による転がり軸受の外輪の半分を示す縦断面図である。
【図2】加熱した外輪素材にリングを取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図3】焼入油中において外輪素材に焼入油を噴射するノズルの配置状態を示す図である。
【図4】具体的実施例において製造された外輪の硬さ分布を示すグラフである。
【符号の説明】
(1):外輪
(2):外周面
(3):外周面から深さ3mmまでの部分
(4):内周面
(5):内周面から深さ1mmまでの部分
(6):端面
(7):外周縁から幅3mmの環状部分
(8):内周縁から幅1mmの環状部分

Claims (4)

  1. 内輪と、外周面が他部材に接触してロールとして使用される外輪と、内外両輪間に配された複数の転動体とを備えており、外輪の外周面に傷が付いた場合にはこの傷を除去するために再研磨するようになされているとともに、外輪が圧延機のバックアップロールとして用いられる転がり軸受において、外輪が、C0.8〜1.3 wt %、Si0.35〜0.8 wt %、Mn0.3〜1.2 wt %、Cr0.9〜1.5 wt %を含み、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼よりなり、焼き入れ処理および焼戻し処理が施されて、外輪の外周面から深さ3mmまでの部分の硬さがロックウェルC硬さ(HRC)で58〜62となされるとともにこの深さ部分の硬さ勾配が外周面から内側に向かって1HRC/1mm以下となされ、さらにこの深さ部分の残留オーステナイト量が5〜18vol%となされ、外輪の内周面から深さ1mmまでの部分の硬さが61〜64HRCとなされるとともにこの深さ部分の残留オーステナイト量が5〜15vol%となされており、外輪の内外両周面間の厚さ方向の中心部の硬さが35〜42HRCとなされていることを特徴とする外輪が圧延機のバックアップロールとして用いられる転がり軸受。
  2. 外輪の両端面における外周縁から幅3mmの環状部分および内周縁から幅1mmの環状部分を除いた部分の表面硬さが、45〜59HRCとなされている請求項1の外輪が圧延機のバックアップロールとして用いられる転がり軸受。
  3. 請求項1の転がり軸受の外輪を製造する方法であって、C0.8〜1.3wt%、Si0.35〜0.8wt%、Mn0.3〜1.2wt%、Cr0.9〜1.5wt%を含み、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼を用いて所定の形状に形成された外輪素材を、800〜880℃で1〜3時間加熱した後、焼入油中に焼入し、焼入油中において外輪素材の内周面に圧力0.2〜0.8kg/cmで焼入油を噴射するとともに同じく外周面に圧力1.4〜2.1kg/cmで焼入油を噴射することを特徴とする転がり軸受用外輪の製造方法。
  4. 請求項2の転がり軸受の外輪を製造する方法であって、焼入油中への焼入時に、外輪素材の両端面における外周縁から幅3mmの環状部分および内周縁から幅1mmの環状部分を除いた部分を、鋼材からなるリングで覆っておくことを特徴とする請求項3の転がり軸受用外輪の製造方法。
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