JP3991901B2 - 転がり軸受用軌道輪およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は転がり軸受用軌道輪およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、多段式圧延機のバックアップロールには、転がり軸受における肉厚が25mm以上となされた外輪が使用されている。このような転がり軸受は異物が混入した潤滑油を用いて使用されることが多く、異物が混入した潤滑油による潤滑条件下での転がり疲労寿命の長寿命化が要求されることは当然のことながら、外輪の耐割損性や、外輪の熱や荷重による塑性変形に対する耐変形性が要求される。外輪が割損すると圧延ラインのラインストップの原因となり、外輪が塑性変形すると圧延品質が低下するからである。通常は、このような圧延ラインのラインストップや圧延品質の低下を防止する目的で定期点検が施されており、損傷する前に転がり軸受を交換している。
【0003】
しかしながら、バックアップロールとして用いられる転がり軸受の外輪が短期間で割損したり、塑性変形したりすると、上記定期点検は比較的短い周期で行う必要があり、その作業が面倒である。
【0004】
従来、このようなバックアップロールとして、鋼よりなり、軌道面である内周面の最表面から深さ3mmまでの領域の硬さがロックウェルC硬さ(HRC)58以上となされ、外周面の最表面から深さ5mmまでの領域の硬さがHRC40〜50となされているものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−102927号公報(請求項3、段落0002)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載されたバックアップロールの場合、圧延ロールに接触する外周面の硬さがHRC40〜50であるから、使用条件によっては、硬さが不足し、塑性変形しやすくなることがある。
【0007】
この発明の目的は、上記問題を解決し、軌道面の転がり疲労寿命を向上させうるとともに、塑性変形が生じ易い使用条件でも軌道面とは反対側の面の塑性変形を効果的に抑制しうる転がり軸受用軌道輪およびその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段と発明の効果】
請求項1の発明による転がり軸受用軌道輪は、鋼よりなりかつ肉厚が25mm以上の転がり軸受用軌道輪において、軌道面の表層部の金属組織がマルテンサイトと残留オーステナイトとよりなり、前記軌道面から全肉厚の1/4の部分の金属組織がマルテンサイトとパーライトとよりなり、前記軌道面から全肉厚の1/2の部分の金属組織がパーライトよりなり、前記表層部の残留オーステナイト量が5〜30vol%となされていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項1の発明において、前記表層部の残留オーステナイト量を5〜30vol%に限定したのは、5vol%未満であると靭性が低下して、たとえば圧延機のバックアップロールのように異物が存在する劣悪な環境で使用される場合に寿命が著しく低下し、30vol%を越えると寸法安定性が悪くなるからである。
【0010】
また、請求項1の発明において、軌道面の表層部とは、表面および表面近傍であって、転がり寿命や表面変形に影響がある部分をいう。たとえば鋼よりなる肉厚25mm以上の軌道輪では、軌道面の最表面から1mmまでの深さの部分である。このような軌道輪では、軌道面における少なくとも最大せん断応力が作用する深さまではマルテンサイトと残留オーステナイトとよりなる組織にしないと必要な硬さにならず、良好な寿命が得られない。軌道面の最表面から1mmまでの部分を上記性状としておけば、最大せん断応力が作用する深さを十分にカバーすることができる。
【0011】
請求項1の発明によれば、軌道輪の肉厚方向の硬さは、軌道面の表層部で最も高く、肉厚方向の内方に向かって向かって徐々に低くなり、肉厚の1/2の部分で最も低くなる。したがって、軌道面の転がり疲労寿命が向上するとともに、靭性が向上して割損が防止される。
【0012】
請求項2の発明による転がり軸受用軌道輪は、鋼よりなりかつ肉厚が25mm以上の転がり軸受用軌道輪において、軌道面とは反対側の反対面の表層部の金属組織がマルテンサイトと残留オーステナイトとよりなり、前記反対面から全肉厚の1/4の部分の金属組織がマルテンサイトとパーライトとよりなり、前記反対面から全肉厚の1/2の部分の金属組織がパーライトよりなり、前記表層部の残留オーステナイト量が5〜30vol%となされていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項2の発明において、前記表層部の残留オーステナイト量を5〜30vol%に限定したのは、5vol%未満であると靭性が低下して、たとえば圧延機のバックアップロールのように異物が存在する劣悪な環境で使用される場合に寿命が著しく低下し、30vol%を越えると寸法安定性が悪くなるからである。
【0014】
また、請求項2の発明において、軌道面の反対面の表層部とは、反対面の最表面から2mmまでの深さの部分を意味するものとする。軌道面の反対面とは、たとえば圧延機のバックアップロールの場合にはロール面であり、再研磨して再利用する必要があるので、最表面から2mmまでの深さを上記性状とする。
【0015】
請求項2の発明によれば、軌道輪の肉厚方向の硬さは、前記反対面の表層部で最も高く、肉厚方向の内方に向かって向かって徐々に低くなり、肉厚の1/2の部分で最も低くなる。したがって、この軌道輪を多段式圧延機のバックアップロールとして用いた場合、圧延ロールと接触する軌道面とは反対側の外周面の塑性変形が抑制され、バックアップロールの寿命が向上するとともに、靭性が向上して割損が防止される。
【0016】
請求項3の発明による転がり軸受用軌道輪は、請求項1または2の発明において、前記表層部の表面硬さがロックウェルC硬さで58以上であり、前記全肉厚の1/4の部分の硬さがロックウェルC硬さで50以下であり、前記全肉厚の1/2の部分の硬さがロックウェルC硬さで45以下であるものである。
【0017】
請求項3の発明において、軌道面の表層部の表面硬さをHRC58以上にしたのは、この表面硬さがHRC58未満であると潤滑油に含まれる異物により圧痕が発生しやすいからである。また、請求項3の発明において、軌道面とは反対側の反対面の表層部の表面硬さをHRC58以上にしたのは、この表面硬さがHRC58未満であると、この軌道輪を多段式圧延機のバックアップロールとして用いた場合、圧延ロールと接触する軌道面とは反対側の外周面が塑性変形しやすくなるからである。なお、これらの表層部の表面硬さは、割れの発生を抑制するためにHRC61以下であることが好ましい。
【0018】
請求項3の発明において、軌道面から全肉厚の1/4の部分の硬さをHRC50以下とし、同じく全肉厚の1/2の部分の硬さをHRC45以下としたのは、十分な耐割損性を得るために必要だからである。また、請求項3の発明において、軌道面とは反対側の反対面から全肉厚の1/4の部分の硬さをHRC50以下とし、同じく全肉厚の1/2の部分の硬さをHRC45以下としたのは、十分な耐割損性を得るために必要だからである。
【0019】
請求項4の発明による転がり軸受用軌道輪の製造方法は、請求項1の転がり軸受用軌道輪を製造する方法であって、鋼を用いて肉厚が25mm以上になるように形成された軌道輪素材に焼入処理を施す際に、軌道面の表層部の冷却速度を11℃/秒以上とし、同じく前記軌道面から全肉厚の1/4の部分の冷却速度を4℃/秒以下とすることを特徴とするものである。
【0020】
請求項4の発明において、軌道面の表層部の冷却速度を11℃/秒以上としたのは、この冷却速度が11℃/秒未満であると、表層部にマルテンサイトおよび残留オーステナイト以外の組織、すなわちベイナイトやパーライトが発生して硬度が低下し、転がり寿命および耐変形性に対する所定の性能が得られなくなるからである。同じく軌道面から全肉厚の1/4の部分の冷却速度を4℃/秒以下としたのは、この冷却速度が4℃/秒を越えると、表層部よりも内側の部分にパーライトよりも高硬度となる不要なベイナイトが発生して耐割損性が悪化するからである。
【0021】
請求項4の発明において、焼入処理の際の加熱温度は840〜870℃、同じく加熱時間は1〜3時間であることが好ましい。その理由は、加熱温度に関しては、マトリックス中に固溶する炭素量を適正な量にするためであり、加熱時間に関しては、軌道輪素材の温度を均一な温度にするためである。
【0022】
また、請求項4の発明において、軌道面の表層部の冷却速度を11℃/秒以上とし、同じく軌道面から全肉厚の1/4の部分の冷却速度を4℃/秒以下とするには、焼入処理の加熱後に焼入油中で急冷する際に、軌道面となるべき面に、ノズルにより噴出口における噴射圧力が0.6〜2.1kg/cm2となるように焼入油を噴射することにより行うのがよい。この噴射圧力が0.6kg/cm2未満であると軌道面の表層部の冷却速度を11℃/秒以上にすることができず、2.1kg/cm2を越えると軌道面から全肉厚の1/4の部分の冷却速度を4℃/秒以下にすることができないからである。この噴射圧力は、1.4〜2.1kg/cm2であることが好ましい。また、ノズルの噴出口と軌道面となるべき面との距離は150〜300mmであることが好ましく、200〜250mmであることが望ましい。
【0023】
請求項4の発明によれば、上述する作用効果を有する転がり軸受用軌道輪を比較的簡単に製造することができる。
【0024】
請求項5の発明による転がり軸受用軌道輪の製造方法は、請求項2の転がり軸受用軌道輪を製造する方法であって、鋼を用いて肉厚が25mm以上になるように形成された軌道輪素材に焼入処理を施す際に、軌道面とは反対側の反対面の表層部の冷却速度を11℃/秒以上とし、同じく前記反対面から全肉厚の1/4の部分の冷却速度を4℃/秒以下とすることを特徴とするものである。
【0025】
請求項5の発明において、焼入処理の際の加熱温度は840〜870℃、同じく加熱時間は1〜3時間であることが好ましい。その理由は、加熱温度に関しては、マトリックス中に固溶する炭素量を適正な量にするためであり、加熱時間に関しては、軌道輪素材の温度を均一な温度にするためである。
【0026】
また、請求項5の発明において、軌道面とは反対側の反対面の表層部の冷却速度を11℃/秒以上とし、同じく反対面から全肉厚の1/4の部分の冷却速度を4℃/秒以下とするには、焼入処理の加熱後に焼入油中で急冷する際に、反対面に、ノズルにより噴出口における噴射圧力が1.4〜2.1kg/cm2となるように焼入油を噴射することにより行うのがよい。この噴射圧力が1.4kg/cm2未満であると反対面の表層部の冷却速度を11℃/秒以上にすることができず、2.1kg/cm2を越えると反対面から全肉厚の1/4の部分の冷却速度を4℃/秒以下にすることができないからである。また、ノズルの噴出口と軌道面となるべき面との距離は150〜300mmであることが好ましく、200〜250mmであることが望ましい。
【0027】
請求項5の発明によれば、上述する作用効果を有する転がり軸受用軌道輪を比較的簡単に製造することができる。
【0028】
【発明の実施形態】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。この実施形態は、この発明を多段式圧延機のバックアップロールとして用いられる転がり軸受用外輪に適用したものである。
【0029】
多段式圧延機のバックアップロールとして用いられる転がり軸受用外輪を示す図1において、外輪(1)の肉厚tは25mm以上であり、軌道面となる内周面(2)から深さ1mmまでの表層部(3)の金属組織はマルテンサイトと残留オーステナイトとよりなる。この表層部(3)の残留オーステナイト量は5〜30vol%となされている。また、外輪(1)の内周面(2)から全肉厚tの1/4の部分(P1)(1/4t部分)の金属組織はマルテンサイトとパーライトとよりなり、内周面(2)から全肉厚tの1/2の部分(P2)(1/2t部分)の金属組織がパーライトよりなる。
【0030】
外輪(1)における圧延ロールと接触する外周面(4)から深さ2mmまでの表層部(5)の金属組織はマルテンサイトと残留オーステナイトとよりなる。この表層部(5)の残留オーステナイト量は5〜30vol%となされている。また、外輪(1)の外周面(4)から全肉厚tの1/4の部分(P3)(1/4t部分)の金属組織はマルテンサイトとパーライトとよりなる。
【0031】
外輪(1)の内外両周面(2)(4)の表層部(3)(5)の硬さはそれぞれHRC58以上であり、1/4t部分(P1)(P3)の硬さはそれぞれHRC50以下であり、1/2t部分(P2)の硬さはHRC45以下である。そして、外輪(1)の肉厚方向の硬さ分布は、内外両周面(2)(4)から1/2t部分(P2)にかけて滑らかに変化している。
【0032】
外輪(1)は、次に述べる方法により製造される。
【0033】
まず、鋼を用いて肉厚25mm以上の円筒状外輪素材(10)を形成する。ついで、外輪素材(10)を840〜870℃で1〜3時間加熱した後、焼入油中に焼入する。焼入の際に、図2および図3に示すように、外輪素材(10)の内周側における中心軸線上に軸線方向に伸びる第1焼入油噴射装置(11)を1つ配置しておくとともに、外輪素材(10)の外周側における周方向に等間隔をおいた複数個所にそれぞれ軸線方向に伸びる第2焼入油噴射装置(12)を配置しておく。第1焼入油噴射装置(11)における上下方向に等間隔をおいた複数個所には、それぞれ周方向に等間隔をおいて第2焼入油噴射装置(12)と同数のノズル(11a)が形成されている。また、第2焼入油噴射装置(12)における上下方向に等間隔をおいた複数個所には、それぞれ外輪素材(10)の中心軸線を向いたノズル(12a)が形成されている。両装置(11)(12)のノズル(11a)(12a)に形成された噴出口(11b)(12b)はそれぞれ縦長方形である。この実施形態においては、第1焼入油噴射装置(11)の全てのノズル(11a)のうち上側の複数個は焼入油の油面(L)よりも上方に位置しているとともに、第2焼入油噴射装置(12)の全てのノズル(12a)は焼入油の油面よりも下方に位置している。第1焼入油噴射装置(11)における焼入油の油面(L)よりも下方に位置するノズル(11a)の数は第2焼入油噴射装置(12)のノズル(12a)の数と同じであり、油面(L)下に位置する第1焼入油噴射装置(11)のノズル(11a)と第2焼入油噴射装置(12)のノズル(12a)とは同一高さ位置にある。そして、外輪素材(10)の内周面に第1焼入油噴射装置(11)のノズル(11a)により噴出口(11b)における噴射圧力が0.6〜2.1kg/cm2となるように焼入油を噴射するとともに、外輪素材(10)の外周面に第2焼入油噴射装置(12)のノズル(12a)により噴出口(12b)における噴射圧力が1.4〜2.1kg/cm2となるように焼入油を噴射する。こうして、外輪素材(10)の内外両周面の表層部の冷却速度を11℃/秒以上とし、同じく内外両周面から全肉厚の1/4の部分の冷却速度を4℃/秒以下とする。
【0034】
焼入終了後、外輪素材(10)を焼入油中から取り出して焼戻し処理を施す。最後に、外輪素材(10)の内外両周面および両端面に所定の切削加工、研磨加工等の仕上げ加工を施す。こうして、外輪(1)が製造される。
【0035】
次に、この発明の具体的実施例について説明する。
【0036】
C1.01wt%、Si0.43wt%、Mn0.49wt%、P0.01wt%、S0.007wt%、Cu0.09wt%、Ni0.06wt%、Cr1.18wt%およびMo0.03wt%を含み、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼を用いて、外径300mm、内径220mm、肉厚40mm、長さ170mmの円筒状外輪素材(10)を形成した。
【0037】
ついで、外輪素材(10)を860℃で100分間加熱した後、外輪素材(10)をマスタークエンチAからなる油温80℃の焼入油中に浸漬して焼入れするとともに、焼入油中において第1焼入油噴射装置(11)のノズル(11a)により外輪素材(10)の内周面にノズル(11a)の噴出口(11b)における噴射圧力が0.6kg/cm2となるように焼入油を噴射するとともに同じく第2焼入油噴射装置(12)のノズル(12a)により外周面にノズル(12a)の噴出口(12b)における噴射圧力が1.9kg/cm2となるように焼入油を噴射した。ここで、ノズル(11a)(12a)の噴出口(11b)(12b)は、長さ20mm、幅4mmである。また、第2焼入油噴射装置(12)の数は8つである。焼入条件を以下に示す。なお、油温は80℃、ノズル(11a)(12a)の噴出口(11b)(12b)と素材(10)の内外両周面との距離は200mm、噴射時間は6分である。
【0038】
焼入終了後、外輪素材(10)を焼入油中から取り出して200℃で5時間加熱する焼戻し処理を施した。その後、外輪素材(10)の内外両周面および両端面に所定の切削加工および研削加工を施した。
【0039】
こうして、製造された外輪(1)の長さ方向の中心における内周面(2)から外周面(3)までの硬さ分布を計測した。その結果、図4に示すように、内外両周面(2)(4)の硬さは61.5HRC、内外両周面(2)(4)から1/4t部分(P1)(P3)の硬さは45HRC、内外両周面(2)(4)から1/2t部分(P2)の硬さは36.5HRCとなっていた。また、内外両周面(2)(4)から深さ2mmまでの表層部(3)(5)の金属組織はマルテンサイトと残留オーステナイトよりなり、残留オーステナイト量が15vol%であった。また、内外両周面(2)(4)から1/4t部分(P1)(P3)の金属組織はマルテンサイトとパーライトとよりなり、内外両周面(2)(4)から1/2t部分(P2)の金属組織はパーライトとなっていた。
【0040】
さらに、上述したようにして製造された外輪(1)を利用して転がり軸受を組立て、外輪(1)がバックアップロールとなるように多段式圧延機に組込んだ場合、従来の外輪を用いた場合に点検や交換を要していた6ヶ月の使用後も、外輪(1)に割損や塑性変形は見られなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による転がり軸受の外輪の半分を示す縦断面図である。
【図2】焼入油中において外輪素材に焼入油を噴射する焼入油噴射装置の配置状態を示す平面図である。
【図3】焼入油中において外輪素材に焼入油を噴射する焼入油噴射装置の配置状態を示す一部切り欠き正面図である。
【図4】具体的実施例において製造された外輪の硬さ分布を示すグラフである。
【符号の説明】
(1):外輪
(2):内周面
(3):表層部
(4):外周面
(5):表層部
(10):外輪素材
(P1)(P3):1/4部分
(P3):1/2部分
t:肉厚
Claims (5)
- 鋼よりなりかつ肉厚が25mm以上の転がり軸受用軌道輪において、軌道面の表層部の金属組織がマルテンサイトと残留オーステナイトとよりなり、前記軌道面から全肉厚の1/4の部分の金属組織がマルテンサイトとパーライトとよりなり、前記軌道面から全肉厚の1/2の部分の金属組織がパーライトよりなり、前記表層部の残留オーステナイト量が5〜30vol%となされていることを特徴とする転がり軸受用軌道輪。
- 鋼よりなりかつ肉厚が25mm以上の転がり軸受用軌道輪において、軌道面とは反対側の反対面の表層部の金属組織がマルテンサイトと残留オーステナイトとよりなり、前記反対面から全肉厚の1/4の部分の金属組織がマルテンサイトとパーライトとよりなり、前記反対面から全肉厚の1/2の部分の金属組織がパーライトよりなり、前記表層部の残留オーステナイト量が5〜30vol%となされていることを特徴とする転がり軸受用軌道輪。
- 前記表層部の表面硬さがロックウェルC硬さで58以上であり、前記全肉厚の1/4の部分の硬さがロックウェルC硬さで50以下であり、前記全肉厚の1/2の部分の硬さがロックウェルC硬さで45以下である請求項1または2の転がり軸受用軌道輪。
- 請求項1の転がり軸受用軌道輪を製造する方法であって、鋼を用いて肉厚が25mm以上になるように形成された軌道輪素材に焼入処理を施す際に、軌道面の表層部の冷却速度を11℃/秒以上とし、同じく前記軌道面から全肉厚の1/4の部分の冷却速度を4℃/秒以下とすることを特徴とする転がり軸受用軌道輪の製造方法。
- 請求項2の転がり軸受用軌道輪を製造する方法であって、鋼を用いて肉厚が25mm以上になるように形成された軌道輪素材に焼入処理を施す際に、軌道面とは反対側の反対面の表層部の冷却速度を11℃/秒以上とし、同じく前記反対面から全肉厚の1/4の部分の冷却速度を4℃/秒以下とすることを特徴とする転がり軸受用軌道輪の製造方法。
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