JP4900098B2 - 転がり軸受 - Google Patents

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Description

本発明は、転がり軸受に関し、特に、潤滑剤から水素が発生しやすい環境下や潤滑剤中に水が混入しやすい環境下で使用される転がり軸受に関する。
一般に、転がり軸受は潤滑剤中に混入した異物(例えば金属粉など)の噛み込みによって軌道輪表面に圧痕が発生すると、軌道輪表面に発生した圧痕が疲労き裂発生の起点となる。また、潤滑剤不足による金属接触が軌道輪と転動体との間で発生し、金属接触による軌道輪表面の疲労損傷が進行すると、転がり軸受を短寿命化する疲労き裂が軌道輪表面に発生する。
転がり軸受の軌道輪に疲労き裂が発生することを抑制する技術としては、軌道輪素材に浸炭焼入れあるいは浸炭窒化焼入れを施すことによって軌道輪の表層部に硬化層を形成する技術(例えば、非特許文献1参照)や、転がり軸受の軌道輪表面にショットピーニングを施して所要の圧縮残留応力を軌道輪に付与する技術(例えば、特許文献1参照)などが知られている。
特許第2949794号公報 「軸受用鋼」 瀬戸浩蔵著 日本鉄鋼協会発行(1999)
しかしながら、浸炭焼入れあるいは浸炭窒化焼入れによる硬化層を軌道輪の表層部に形成するためには、軌道輪素材として肌焼鋼を用いる必要がある。このため、前者の方法では、浸炭あるいは浸炭窒化に要する熱処理時間が長くなり、転がり軸受のコストアップを招くという問題がある。これに対して、後者の方法は軌道輪素材として通常の軸受鋼を用いることができるが、軸受鋼からなる軌道輪にショットピーニングを施すと、ショットピーニングによる塑性変形が生じ難いため、ショットピーニング工程の時間が長くなるという問題がある。
また、軌道輪表面で発生した疲労き裂が軌道輪の深さ方向に進展すると、深さ方向に進展した疲労き裂は動的最大せん断応力が最大となる深さ付近で方向を変え、転動体の転がり方向とほぼ平行な方向に進展した後、剥離に至る。したがって、疲労き裂が軌道輪の表面から発生し、深さ方向に進展する段階では、転がり方向の圧縮残留応力は疲労き裂の進展方向に対して垂直な方向に働くため、疲労き裂の進展を抑えることができるが、その後の転がり方向と平行な方向に進展する段階では、疲労き裂の進展を抑制する効果はない。
さらに、転がり軸受の破損形態は軌道輪表面からのき裂進展によるものだけでなく、内部の介在物も疲労破壊の起点となる。この場合、疲労き裂は介在物から発生し、転がり方向とほぼ平行に進展した後、剥離に至るため、転がり方向の圧縮残留応力だけでは、転がり方向と平行に発生したり進展したりする疲労き裂を抑制することができないという問題もあった。
本発明者らは、浸炭やショットピーニングなどの長時間を要する工程を用いずに、高周波焼入れ法を用いて、転がり軸受の軌道輪の深さ方向、すなわち転がり方向と垂直な方向の残留応力を軌道輪に与えることによって、転がり軸受の長寿命化が図れることを見出した。
そこで、請求項1記載の発明に係る転がり軸受は、互いに対向する二つの軌道輪と、これら軌道輪の間に配置された複数個の転動体とを具備し、前記二つの軌道輪のうち一方または両方の軌道輪が0.65質量%以上1.10質量%以下のCを含有する鋼からなる転がり軸受であって、前記鋼からなる軌道輪の表面残留オーステナイト量20vol%以上になると共に動定格荷重を負荷したときの動的最大せん断応力が最大となる深さでの軌道輪の深さ方向である転がり方向と垂直な方向の圧縮残留応力が200MPa以上になるように、前記鋼からなる軌道輪の表層部に高周波焼入れによって硬化層が形成されていることを特徴とする。
請求項2記載の発明に係る転がり軸受は、請求項1記載の転がり軸受において、前記軌道輪の表面残留オーステナイト量が20vol%以上40vol%以下であることを特徴とする
本発明において、鋼である軌道輪素材のC含有量の下限値を0.65質量%とした理由は、Cが0.65質量%未満であると軌道輪表面の残留オーステナイトを安定的に得ることができなくなり、軌道輪と転動体との接触点に発生する高面圧に耐え得る高硬度を得ることが困難となるためである。
また、軌道輪素材のC含有量の上限値を1.10質量%とした理由は、Cが1.10質量%を超えると加工性が低下するためである。
なお、C以外の合金元素や不純物元素に関しては、下記の範囲とすることが好ましい。
Crは、焼入れ時の焼入れ性を向上させるために、0.2質量%以上添加することが好ましい。ただし、2.0質量%を超えると加工性が低下するため、2.0質量%以下とすることが好ましい。
Siは、製鋼時の脱酸のために必要な元素であり、さらに焼戻し軟化抵抗を高め、転がり疲労寿命を向上させるため、0.15質量%以上添加することが好ましい。ただし、2.00質量%を超えて添加すると、加工性が低下するため、2.00質量%以下とすることが好ましい。
Mnは、焼入れ性を高めるため、軌道輪の硬さを安定的に得るために必要な元素であり、0.2質量%以上添加することが好ましい。ただし、1.0質量%を超えて添加しても、その効果は飽和する。
Oは、鋼中で非金属介在物を形成し、転動疲労寿命に非常に有害な元素であるため、0.0015質量%以下にすることが好ましい。より好ましくは、転動疲労寿命の安定性のために、0.0010質量%以下にすることが望ましい。
Pは、結晶粒界などに偏析し、鋼の靭性などを低下させる元素であるため、0.02質量%以下にすることが好ましい。
Sは、結晶粒界などに偏析し、鋼の靭性などを低下させる元素であるため、0.02質量%以下にすることが好ましい。ただし、0.01質量%未満になると切削性が低下する。
CuおよびNiは、鋼の原材料となるスクラップに混入する元素であり、それぞれ0.3質量%を超えると、焼入れ後の残留オーステナイト量が多くなり過ぎ、寸法安定性が低下する。
また、本発明の鋼は、上記の合金元素や不純物元素の他に、残部Feと不可避不純物とを含有してなるものである。
本発明において、軌道輪の表面残留オーステナイト量を20vol%以上とした理由は下記の通りである。
転がり軸受内に金属粉などの異物が混入すると、異物の噛み込みによって軌道輪表面に圧痕が生じる。疲労き裂は軌道輪表面に発生した圧痕の近傍から発生するが、軌道輪表面の残留オーステナイトは、軌道輪表面からの疲労き裂を抑制する効果があり、転がり軸受の転がり疲労寿命を向上させる。
また、残留オーステナイトを含む金属組織は、外部から鋼中に侵入した水素の拡散が遅い。潤滑剤が分解することによって水素は発生した場合や、潤滑剤に混入した水が分解して水素が発生した場合には、水素は軌道輪中に侵入し、転がり軸受の転がり疲労寿命を短くする場合があるが、本発明に係る転がり軸受では、水素の拡散を遅くする残留オーステナイトが軌道輪表面近傍に存在するため、水素の侵入および局所的水素の集積が抑制され、転がり疲労寿命が向上する。
軌道輪表面の残留オーステナイト量が20vol%未満では、上記の効果が小さい。ただし、軌道輪表面の残留オーステナイト量が40vol%を超えると、硬さが低下するため、転がり疲労寿命が短くなる。したがって、軌道輪表面の残留オーステナイト量は20vol%以上40vol%以下とすることが好ましい。
また、本発明の転がり軸受は軌道輪表面の残留オーステナイト量が相対的に高く、軌道輪内部の残留オーステナイト量が相対的に低い、あるいは実質的に0vol%となっている。したがって、軌道輪全体での平均残留オーステナイト量は、10vol%以下となっている。軌道輪全体での平均残留オーステナイト量が10vol%を超えると、寸法安定性が低下するため、転がり疲労寿命が短くなる。
本発明において、動定格荷重Cを負荷したときの動的最大せん断応力が最大となる深さdでの深さ方向の圧縮残留応力を200MPa以上とした理由は下記の通りである。
転がり軸受の疲労き裂は、表面から発生する場合と内部から発生する場合とがある。表面から発生する疲労き裂は、深さ方向に進展し、動的最大せん断応力が最大になる深さ付近で方向を変えて、転がり方向と平行に進展する。また、内部から発生する疲労き裂は、動的最大せん断応力が最大になる深さ付近に存在する介在物などを起点として、転がり方向とほぼ平行な方向に発生し進展する。
本発明者らは、き裂が進展する方向と、き裂の進展を抑制するための残留応力の方向との関係に着目して、以下のことを明らかにした。動的最大せん断応力が最大になる深さ位置において、き裂が進展する方向と垂直な方向、すなわち深さ方向の圧縮残留応力を付与することによって、転がり方向と平行な方向の疲労き裂の進展を抑制することができ、転がり疲労寿命を向上させることをできることを明らかにした。
転がり軸受の動定格荷重Cを負荷した際に、軌道輪のせん断応力が最大になる深さ位置をdと規定すると、d近傍における深さ方向の圧縮残留応力を200MPa以上とすることによって、上記転がり疲労寿命の効果が大きくなる。好ましくは、d近傍における深さ方向の圧縮残留応力を300MPa以上とすることによって、良好な転がり疲労寿命を安定して得ることができる。
また、水素が軸受の鋼中に侵入した場合には、疲労き裂の進展が加速する場合があるが、本発明では、水素による疲労き裂の加速も抑制することができる。
上述した残留オーステナイトおよび圧縮残留応力を本発明で規定する範囲にするためには、高周波焼入れによる熱処理を用いることが好ましい。軌道輪に使用する鋼の合金成分および金属組織に応じて、高周波焼入れ時の周波数、出力および加熱時間を最適に調整することによって、本発明で規定する表面残留オーステナイト量と深さ方向の圧縮残留応力を得ることができる。
高周波焼入れによって軌道輪の表層部に硬化層を形成すると、軌道輪の硬さが深さ方向に向かって次第に低下していく。深さ方向の圧縮残留応力を大きくするためには、硬さ勾配を急にするほうが好ましい。急な硬さ勾配を得るためには、高周波焼入れをする際の周波数は高いほうが好適であり、具体的には50kHz以上が好ましく、100kHz以上がより好ましい。
本発明によれば、軌道輪に疲労き裂が発生したり、軌道輪に発生した疲労き裂が転がり方向に進展したりすることが抑制されるので、異物混入潤滑下や水混入潤滑下でも転がり疲労寿命が長い転がり軸受を得ることができる。また、疲労き裂の発生を抑えるために、浸炭処理または浸炭窒化処理を軌道輪素材に施したり、あるいはショットピーニングによる硬化層を軌道輪の表面に形成したりする必要がないので、コストの上昇等を招くことなく軌道輪に疲労き裂が発生することを抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明をスラスト玉軸受に適用した一実施形態を示す図であり、同図に示されるスラスト玉軸受1は軌道輪2a,2bを備えている。これらの軌道輪2a,2bは互いに対向しており、軌道輪2aと軌道輪2bとの間には、転動体としての玉3が複数設けられているとともに、これらの玉3を軌道輪2a,2bの円周方向に一定間隔で保持する保持器4が設けられている。
また、軌道輪2a,2bは0.65質量%以上1.1質量%以下のCと、0.2質量%以上2.0質量%以下のCrと、0.15質量%以上2.00質量%以下のSiと、0.2質量%以上1.0質量%以下のMnと、0.0015質量%以下(好ましくは、0.0010質量%以下)のOと、0.02質量%以下のPと、0.01質量%以上0.02質量%以下のSと、0.3質量%以下のCuとを含有し、その他不可避不純物と残部Feとからなる鋼からなることが好ましく、これら軌道輪2a,2bの表層部には、軌道輪表面の残留オーステナイトが20vol%以上で且つ動定格荷重Cを負荷したときの動的最大せん断応力が最大となる深さdでの深さ方向の圧縮残留応力が200MPa以上となるように、高周波焼入れによる硬化層が形成されている。
(実施例)
Figure 0004900098
本発明らは、表1に示す組成の鋼種A,B,Cからスラスト玉軸受51305の軌道輪をそれぞれ作製した。具体的には、軌道輪素材である鋼種A,B,Cを旋削によって粗加工した後、各軌道輪の表層部に硬化層を高周波焼入れによって同じ焼入れ条件で形成した。その後、170℃で2時間焼戻しを行い、最後に研削加工を行なってスラスト玉軸受の完成寸法(内径:25mm、外径:52mm、幅:18mm)に仕上げた。そして、上記の工程で作製された各軌道輪の表面残留オーステナイト量と動定格荷重Cを負荷したときの動的最大せん断応力が最大となる深さdでの深さ方向の圧縮残留応力を測定した。その測定結果を高周波焼入れ時の焼入れ周波数および焼入れ時間と共に表2に示す。
Figure 0004900098
また、本発明者らは上記の工程で作製された各軌道輪とSUJに浸炭窒化処理を施した3/8inch鋼球3個とを組み合せたものを試験軸受とし、下記の異物混入潤滑下寿命試験と水混入潤滑下寿命試験を行った。
(1)異物混入潤滑下寿命試験
ビッカース硬さHv500〜Hv600の鉄粉を潤滑油中に混入させ、異物混入下での軸受寿命を下記の試験条件で調べた。
荷重:8.82kN
回転数:1000min−1
潤滑油:ISO−VG68
(2)水混入潤滑下寿命試験
潤滑油中に水を30ml/dayの割合で滴下し、水混入潤滑下での軸受寿命を下記の試験条件で調べた。
荷重:8.82kN
回転数:1000min−1
潤滑油:ISO−VG32
具体的には、上記の異物混入潤滑下寿命試験および水混入潤滑下寿命試験に各試験軸受をそれぞれ5個ずつ供し、累積破損確率10%の寿命(以下「L10寿命」という)を求めた。また、比較のため、通常の炉を用いて焼入れ焼戻しを行ったSUJ2の標準品を用意し、上記の異物混入潤滑下寿命試験および水混入潤滑下寿命試験に供してL10寿命を求めた。
異物混入潤滑下寿命試験および水混入潤滑下寿命試験における各試験軸受のL10寿命を表2に併記する。なお、表2に示す寿命値は、比較例10で表したSUJ2標準品の寿命値を1.0とした場合の寿命比で表している。
実施例1〜6と比較例10とを比較すると、実施例1〜6のほうが軸受の転がり疲労寿命が長いことがわかる。これは、比較例10は軌道輪表面の残留オーステナイト量が20vol%未満で且つ深さdでの深さ方向の圧縮残留応力が200MPa未満であるのに対し、実施例1〜6は軌道輪表面の残留オーステナイト量が20vol%以上で且つ深さdでの深さ方向の圧縮残留応力が200MPa以上であり、実施例1〜6の軌道輪表面の残留オーステナイト量と深さdでの深さ方向の圧縮残留応力が比較例10より高い値となる理由は、転がり軸受の軌道輪素材として0.65質量%以上1.10質量%以下のCを含有する鋼種を用い、軌道輪の表層部に形成される硬化層を高周波焼入れによって形成しているためと考察される。
次に、実施例1,4と比較例7とを比較すると、実施例1,4のほうが軸受の転がり疲労寿命が長いことがわかる。これは、比較例7は深さdでの深さ方向の圧縮残留応力が200MPa未満であるのに対し、実施例1,4は深さdでの深さ方向の圧縮残留応力が200MPa以上であるためであり、実施例1,4の深さdでの深さ方向の圧縮残留応力が比較例7より高い値となる理由は、軌道輪を50kHz以上の周波数で高周波焼入れしているためと考察される。
次に、実施例2,5と比較例8とを比較すると、実施例2,5のほうが軸受の転がり疲労寿命が長いことがわかる。これは、比較例8は軌道輪表面の残留オーステナイト量が20vol%未満であるのに対し、実施例2,5は軌道輪表面の残留オーステナイト量が20vol%以上であり、実施例2,5の軌道輪表面の残留オーステナイト量が比較例8より高い値となる理由は、軌道輪を50kHz以上の周波数で高周波焼入れしているためと考察される。
次に、実施例3,6と比較例9とを比較すると、実施例3,6のほうが軸受の転がり疲労寿命が長いことがわかる。これは、比較例8は軌道輪表面の残留オーステナイト量が40vol%を上回っているのに対し、実施例3,6は軌道輪表面の残留オーステナイト量が40vol%以下になっているためと考察される。
次に、実施例1〜3と実施例4〜6とを比較すると、実施例4〜6のほうが軸受の転がり疲労寿命が長いことがわかる。これは、実施例1〜3は高周波焼入れ時の周波数が100kHz未満であるのに対し、実施例4〜6は高周波焼入れ時の周波数が100kHz以上であるためと考察される。
したがって、転がり軸受の軌道輪素材として0.65質量%以上1.10質量%以下のCを含有する鋼種を用い、軌道輪表面の残留オーステナイト量が20vol%以上(好ましくは、20vol%以上40vol%以下)になると共に深さdでの深さ方向の圧縮残留応力が200MPa以上となるように、軌道輪の表層部に硬化層を高周波焼入れによって形成することにより、異物混入潤滑下や水混入潤滑下でも転がり疲労寿命が長い転がり軸受を得ることができる。
また、高周波焼入れ時の周波数を50kHz以上(好ましくは、100kHz以上)にすることにより、異物混入潤滑下や水混入潤滑下でも転がり疲労寿命がより長い転がり軸受を得ることができる。
なお、上述した実施形態では本発明をスラスト玉軸受に適用した場合を例示したが、これに限定されるものではない。たとえば、ラジアル軸受、フランジを有する車輪支持用軸受、円筒ころ軸受、円錐ころ軸受、ニードル軸受についても本発明を適用することができる。さらに、転がり軸受以外の転動装置(例えばボールねじ、リニアガイド等)についても本発明と同様の効果が得られる。
本発明の第1の実施形態に係る転がり軸受の断面図である。
符号の説明
1 スラスト玉軸受
2a,2b 軌道輪
3 玉
4 保持器

Claims (2)

  1. 互いに対向する二つの軌道輪と、これら軌道輪の間に配置された複数個の転動体とを具備し、前記二つの軌道輪のうち一方または両方の軌道輪が0.65質量%以上1.10質量%以下のCを含有する鋼からなる転がり軸受であって、
    前記鋼からなる軌道輪の表面残留オーステナイト量20vol%以上になると共に動定格荷重を負荷したときの動的最大せん断応力が最大となる深さでの軌道輪の深さ方向である転がり方向と垂直な方向の圧縮残留応力が200MPa以上になるように、前記鋼からなる軌道輪の表層部に高周波焼入れによって硬化層が形成されていることを特徴とする転がり軸受。
  2. 請求項1記載の転がり軸受において、前記軌道輪の表面残留オーステナイト量が20vol%以上40vol%以下であることを特徴とする転がり軸受。
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