JP6969574B2 - Frp前駆体の製造方法、積層体の製造方法、プリント配線板の製造方法及び半導体パッケージの製造方法 - Google Patents

Frp前駆体の製造方法、積層体の製造方法、プリント配線板の製造方法及び半導体パッケージの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、FRP前駆体の製造方法、積層体の製造方法、プリント配線板の製造方法及び半導体パッケージの製造方法に関する。
FRP(Fiber Reinforced Plastics;繊維強化プラスチック)は、ファイバーなどの弾性率の高い材料を骨材とし、その骨材を、プラスチックのような母材(マトリックス)の中に入れて強度を向上させた複合材料であり、耐候性、耐熱性、耐薬品性、軽量性を生かした、安価かつ軽量で耐久性に優れる複合材料である。
これらの性能を生かして、FRPは幅広い分野で使用されている。例えば、FRPは、造型性及び高い強度を有することから、住宅機器、船舶、車両及び航空機等の構造材として使用されている。また、絶縁性を生かして、電気装置及びプリント配線板等の電子部品分野でも使用されている。
FRPの製造方法としては、骨材を敷き詰めた合わせ型に樹脂を注入するRTM(Resin Transfer Molding、樹脂トランスファー成形)法、骨材を敷き、樹脂を脱泡しながら多重積層するハンドレイアップ法及びスプレーアップ法、あらかじめ骨材と樹脂とを混合したシート状のものを金型で圧縮成型するSMC(Sheet Molding Compound)プレス法等が挙げられる。
FRPをプリント配線板に用いる場合、プリント配線板用のFRPの厚みは、他の用途のFRPの厚みと比較して薄くすることが要求される。また、プリント配線板用のFRPには、FRPを成型した後の厚みのばらつきの許容範囲が狭いこと、ボイドが無いことなど、高いスペックが要求される。
そのため、プリント配線板用のFRPの多くが、ハンドレイアップ(Hand Lay-up;HLU)法で製造されている。ハンドレイアップ法は、塗工機を用いて、骨材に、樹脂を溶解したワニスを塗布し、乾燥させて溶剤除去及び熱硬化を行う製造方法である(特許文献1参照)。ハンドレイアップ法は、予め、骨材に熱硬化性樹脂を塗布しておくと、作業性が向上し、また、周辺の環境にかかる負荷を低減させることができる。
しかし、骨材としてカレンダー処理の無いアラミド不織布、薄いガラスペーパー、薄い織布等を用いる場合、これらは骨材としての強度が低いため、ワニスを塗布し、溶剤除去、乾燥、そして熱硬化を行う際に、自重が骨材の耐荷重を上回ることで切れてしまったり、塗布する樹脂量を調整するためにコーターのギャップを狭くした際に千切れてしまったりするなど、作業性が悪い。
また、プリント配線板用のFRPでは、積層後の厚みの高精度性と、内層回路パターンへの樹脂の充填性(成型性)とを両立させる必要がある。このため、骨材に付着させた樹脂量が数質量%異なるもの、熱硬化性樹脂の硬化時間を変えたもの、それらを組合せたものなど、1種類の骨材で複数種類のFRP前駆体を製造しなければならず、煩雑である。さらに、各々塗工条件を変えて製造するために、製造に用いる材料のロスも大きい。
そのため、骨材に熱硬化性樹脂を直接塗布するのではなく、予め熱硬化性樹脂をフィルム状にした樹脂フィルムを作製しておき、骨材と樹脂フィルムとを加熱及び加圧して接着し、FRP前駆体にする方法がある(特許文献2参照)。
特開平01−272416号公報 特開2011−132535号公報
しかし、特許文献2に記載の方法では、支持体付き樹脂フィルムと骨材とを接着した後に、樹脂フィルムから支持体を剥離することが困難な場合がある。剥離した支持体側に樹脂成分が付着している場合、その分、製造したFRP前駆体の表面に樹脂成分が不足していることとなり、この事が、積層体、プリント配線板及び半導体パッケージ等の反りの原因となり、さらには、耐熱性の悪化及び外観不良を引き起こすという問題が生じ易い。
本発明の課題は、こうした現状に鑑み、支持体付き樹脂フィルムを骨材へ貼付した後に、樹脂フィルムから支持体を容易に剥離することができ、剥離した支持体側に樹脂成分が付着しないようなFRP前駆体の製造方法を提供することにある。さらに、本発明の課題は、前記FRP前駆体の製造方法により得られるFRP前駆体を用いた、積層体の製造方法、プリント配線板の製造方法及び半導体パッケージの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、支持体と密着する樹脂成分にシロキサン化合物を含有させ、特定の方法で製造することで前記課題を解決し得ることを見出し、本発明に到達した。
本発明は、以下の[1]〜[12]に関する。
[1]支持体付き樹脂フィルムを骨材へ貼付した後、前記支持体付き樹脂フィルムから支持体を剥離することによるFRP前駆体の製造方法であって、
前記樹脂フィルムが、シロキサン化合物(a)を含有する熱硬化性樹脂組成物を含んでなる樹脂フィルムである、FRP前駆体の製造方法。
[2]前記シロキサン化合物(a)が、下記一般式(1)で表されるものである、上記[1]に記載のFRP前駆体の製造方法。
Figure 0006969574

(一般式(1)中、Ra1、Ra2、Ra3及びRa4は各々独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、フェニル基又は置換フェニル基を表す。Ra5及びRa6は各々独立に、有機基を表す。mは1〜50の整数である。)
[3]前記熱硬化性樹脂組成物が、さらに、熱硬化性樹脂(b)を含有する、上記[1]又は[2]に記載のFRP前駆体の製造方法。
[4]前記熱硬化性樹脂組成物が、さらに、1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(c)を含有する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のFRP前駆体の製造方法。
[5]前記熱硬化性樹脂組成物が、さらに、1分子中に少なくとも2個の第一級アミノ基を有するアミン化合物(d)を含有する、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のFRP前駆体の製造方法。
[6]前記熱硬化性樹脂組成物が、さらに、硬化促進剤(e)を含有する、上記[1]〜[5]のいずれかに記載のFRP前駆体の製造方法。
[7]前記熱硬化性樹脂組成物が、さらに、無機充填材(f)を含有する、上記[1]〜[6]のいずれかに記載のFRP前駆体の製造方法。
[8]前記支持体付き樹脂フィルムを、常圧下で加熱及び加圧して骨材へ貼付する、上記[1]〜[7]のいずれかに記載のFRP前駆体の製造方法。
[9]前記FRP前駆体がコアレス基板用である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載のFRP前駆体の製造方法。
[10]上記[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法により得られたFRP前駆体を積層成形することによる、積層体の製造方法。
[11]上記[10]に記載の製造方法により得られた積層体に回路を形成することによる、プリント配線板の製造方法。
[12]上記[11]に記載の製造方法により得られたプリント配線板に半導体素子を搭載することによる、半導体パッケージの製造方法。
本発明によれば、支持体付き樹脂フィルムを骨材へ貼付した後に、樹脂フィルムから支持体を容易に剥離することができ、剥離した支持体側に樹脂成分が付着しないようなFRP前駆体の製造方法を提供することができる。当該製造方法によって得られるFRP前駆体を用いることによって得られる、積層体、プリント配線板及び半導体パッケージは、反りが抑制されており、耐熱性に優れている。
本発明によれば、さらに、前記FRP前駆体の製造方法により得られるFRP前駆体を用いた、積層体の製造方法、プリント配線板の製造方法及び半導体パッケージの製造方法を提供することができる。
本発明で使用し得るFRP前駆体の製造装置の一態様を示す概念図である。
[FRP前駆体の製造方法]
本発明は、シロキサン化合物(a)を含有する熱硬化性樹脂組成物を用いるという特徴を有し、支持体付き樹脂フィルムを骨材へ貼付した後、支持体付き樹脂フィルムから支持体を剥離する工程を含む。ここで、「貼付」とは、支持体付き樹脂フィルムの樹脂成分と骨材とが接している状態の他、前記樹脂フィルム中の樹脂成分が骨材中の空隙部へ入り込んでいる状態も含み、特に後者の状態にあることが好ましい。
まずは、FRP前駆体の具体的な製造方法の一態様について詳述し、その後、熱硬化性樹脂組成物について詳述する。
本発明の好ましい一態様としては、前記支持体付き樹脂フィルムを、常圧下で加熱及び加圧して骨材へ貼付する態様が挙げられる。
以下、図1を参照しながら、本発明に係るFRP前駆体の製造方法及びFRP前駆体の製造装置1の実施の好ましい一態様について具体的に説明する。なお、FRP前駆体の製造装置1は、一対の樹脂フィルム(熱硬化性樹脂組成物から作製したフィルム)54を、それぞれ、シート状の骨材40の両面に溶融貼付する装置として説明するが、1つの樹脂フィルム54をシート状の骨材40の一方の表面にのみ溶融貼付する装置としてもよい。この場合、図1において、骨材40より下側(又は上側)にある、一方の樹脂フィルム送出装置3、保護フィルム剥がし機構4及び保護フィルム巻取装置5は不要である。
FRP前駆体の製造装置1は、常圧下におかれる。本発明に係るFRP前駆体の製造方法は、FRP前駆体の製造装置1で行うことができる。ここで、本明細書中、「常圧下」は「大気圧下」と同義である。つまり、「支持体付き樹脂フィルムを、常圧下で加熱及び加圧して骨材へ貼付する」というのは、「常圧下におかれたFRP前駆体の製造装置1において、支持体付き樹脂フィルムをシート加熱加圧装置6で加熱及び加圧して骨材へ貼付する」ことを意味する。当該方法によってFRP前駆体を製造する場合、例えば真空ラミネーター等を採用した場合に生じ易い作業性の問題が生じない傾向にあるため、好ましい。
FRP前駆体の製造装置1は、骨材送出装置2と、一対の樹脂フィルム送出装置3及び3と、シート加熱加圧装置6と、FRP前駆体巻取装置8と、を備える。FRP前駆体の製造装置1は、さらに、骨材加熱装置(図示せず)と、シート加圧冷却装置7と、一対の樹脂フィルム加熱装置(図示せず)と、一対の保護フィルム剥がし機構4及び4と、一対の保護フィルム巻取装置5及び5と、を備えることが好ましい。
骨材送出装置2は、シート状の骨材40が巻かれたロールを巻き方向とは反対方向に回転させて、ロールに巻かれた骨材40を送り出す装置である。図1において、骨材送出装置2は、骨材40をローラの下側からシート加熱加圧装置6に向けて送り出している。
一対の樹脂フィルム送出装置3及び3は、保護フィルム付き樹脂フィルム50が巻かれたロールと、送り出される保護フィルム付き樹脂フィルム50に所定の張力を付与させながらロールを回転可能に支持する支持機構とを有し、保護フィルム付き樹脂フィルム50が巻かれたロールを巻き方向とは反対方向に回転させて、ロールに巻かれた保護フィルム付き樹脂フィルム50を送り出す装置である。後述するように、保護フィルム付き樹脂フィルム50は、樹脂フィルム54と、樹脂フィルム54の片方の骨材側フィルム表面(樹脂フィルム54の両表面のうち、骨材40側の表面)54aに積層された保護フィルム52とを含むシート状のフィルムである。
なお、前記保護フィルム付き樹脂フィルム50において、保護フィルム52と反対側には、支持体が付いている。つまり、支持体/樹脂フィルム/保護フィルムという構成になっている。
一対の樹脂フィルム送出装置3及び3は、それぞれ、送り出された骨材40の表面40a側及び裏面40b側に位置する。
一方の樹脂フィルム送出装置3は、送り出された骨材40の表面40a側に位置し、保護フィルム52が、送り出された骨材40側になるように、一方の保護フィルム付き樹脂フィルム50をローラの下側から一方の保護フィルム剥がし機構4に向けて送り出す装置である。
同様に、他方の樹脂フィルム送出装置3は、送り出された骨材40の裏面40b側に位置し、保護フィルム52が、送り出された骨材40側になるように、他方の保護フィルム付き樹脂フィルム50をローラの上側から他方の保護フィルム剥がし機構4に向けて送り出す装置である。
一対の保護フィルム剥がし機構4及び4は、それぞれ、送り出された骨材40の表面40a側及び裏面40b側に位置する転向ローラである。
一方の保護フィルム剥がし機構4は、一方の樹脂フィルム送出装置3から送り出され、一方の保護フィルム剥がし機構4に向けて進む保護フィルム付き樹脂フィルム50を、回転する転向ローラの表面で受け、一方の保護フィルム付き樹脂フィルム50のうち一方の樹脂フィルム54をシート加熱加圧装置6に向けて進ませると共に、一方の保護フィルム52を一方の保護フィルム巻取装置5に向けて進ませることにより、一方の保護フィルム付き樹脂フィルム50から一方の保護フィルム52を剥がす機構である。これにより、一方の樹脂フィルム54の骨材側フィルム表面54aが露出する。
同様に他方の保護フィルム剥がし機構4は、他方の樹脂フィルム送出装置3から送り出され、他方の保護フィルム剥がし機構4に向けて進む他方の保護フィルム付き樹脂フィルム50を、回転する転向ローラの表面で受け、他方の保護フィルム付き樹脂フィルム50のうち他方の樹脂フィルム54をシート加熱加圧装置6に向けて進ませると共に、他方の保護フィルム52を他方の保護フィルム巻取装置5に向けて進ませることにより、他方の保護フィルム付き樹脂フィルム50から他方の保護フィルム52を剥がす機構である。これにより、他方の樹脂フィルム54の骨材側フィルム表面54aが露出する。
一対の保護フィルム巻取装置5及び5は、それぞれ、送り出された骨材40の表面40a側及び裏面40b側に位置し、一対の保護フィルム剥がし機構4及び4で剥がされた、保護フィルム52及び52を巻き取る巻取装置である。
骨材加熱装置(図示せず)は、送り出された骨材40の表面40a側及び裏面40b側にそれぞれ位置する加熱体(図示せず)を有する。該加熱体としては、常圧下において、骨材40の表面40aを加熱する輻射型加熱体と、常圧下において、骨材40の裏面40bを加熱する輻射型加熱体とを有することが好ましい。
なお、骨材の加熱方法は、輻射、接触、対流等、種々の方法を利用できるが、後述する樹脂フィルムの加熱方法を利用すると簡便になり好ましい。加熱位置は、放冷を抑制する観点から、シート加熱加圧装置6が有する加熱圧縮ローラの手前で、ライン速度を計算して、加熱圧縮ローラから20秒以内の位置が好ましく、5秒以内の位置がより好ましく、1〜5秒の位置がさらに好ましい。
骨材表面加熱工程における、骨材40の表面40a及び裏面40bの加熱温度は、それぞれ、後のフィルム圧接工程の加熱温度より、5〜70℃高温であることが好ましく、7〜60℃高温であることがより好ましく、10〜50℃高温であることがさらに好ましい。
樹脂フィルム加熱装置(図示せず)のうちの1つは、送り出される一方の樹脂フィルム54の骨材側フィルム表面54aを加熱することができるように、送り出された骨材40の表面40aと、一方の樹脂フィルム54の骨材側フィルム表面54aとの間に位置することが好ましい。
別の樹脂フィルム加熱装置は、送り出される他方の樹脂フィルム54の骨材側フィルム表面54aを加熱することができるように、送り出された骨材40の裏面40bと、他方の樹脂フィルム54の骨材側フィルム表面54aとの間に位置することが好ましい。
これらの樹脂フィルム加熱装置は、常圧下において、樹脂フィルム54の骨材側フィルム表面54aを加熱する加熱体である。加熱体は、例えば、輻射型加熱体である。
前記輻射型加熱体の加熱源はいずれも、赤外線又は赤外線を含む可視光とすることが簡便であり、加熱を行い易い。これにより、フィルムのばたつきによる樹脂面の変形、表面のべたつきなどを抑制することができる。加熱位置は、放冷を抑制する観点から、シート加熱加圧装置6が有する加熱圧縮ローラの手前で、ライン速度を計算して、加熱圧縮ローラから20秒以内の位置が好ましく、5秒以内がより好ましく、1〜5秒の位置がさらに好ましい。また、加熱する温度は、樹脂の表面温度が熱硬化性樹脂組成物をレオメータで測定した最低溶融粘度温度のマイナス20℃からプラス30℃の範囲が好ましい。
また、フィルム予備加熱工程における、一対の樹脂フィルム54及び54のそれぞれの骨材側フィルム表面54a及び54aの加熱温度は、それぞれ、後のフィルム圧接工程の加熱温度より、5〜70℃高温であることが好ましく、7〜60℃高温であることがより好ましく、10〜50℃高温であることがさらに好ましい。
シート加熱加圧装置6は、一対の加熱圧縮ローラと、一対の加熱圧縮ローラに圧縮力を付与する圧縮力付与機構(図示せず)とを有する。一対の加熱圧縮ローラは、所定の設定された温度で加熱ができるよう、内部に加熱体を有する。
シート加熱加圧装置6は、入り込んだ骨材40に樹脂フィルム54及び54を回転する一対の加熱圧縮ローラで圧接させてシート状のFRP前駆体60を形成する(フィルム圧接工程)と共に、FRP前駆体60をシート加圧冷却装置7に向けて送り出す。具体的には、骨材送出装置2から送り出された骨材40の表面40a及び裏面40bに、それぞれ、一対の保護フィルム剥がし機構4及び4から送り出された樹脂フィルム54及び54が積層するように、骨材送出装置2から送り出された骨材40と、一対の保護フィルム剥がし機構4及び4からそれぞれ送り出された樹脂フィルム54及び54とが、一対の加熱圧縮ローラの間に入り込む。
このとき、一方の樹脂フィルム54の骨材側フィルム表面54a側が骨材40の表面40a側に接着するように、一方の樹脂フィルム54が骨材40に積層し、また、他方の樹脂フィルム54の骨材側フィルム表面54a側が骨材40の裏面40b側に接着するように、他方の樹脂フィルム54が骨材40に積層してFRP前駆体60が形成される。シート加熱加圧装置6から送り出されたFRP前駆体60は高温状態である。
シート加圧冷却装置7は、一対の冷却圧縮ローラと、一対の冷却圧縮ローラに圧縮力を付与する圧縮力付与機構(図示せず)とを有する。一対の冷却圧縮ローラは、シート加熱加圧装置6から送り出された、高温状態のFRP前駆体60を回転する一対の冷却圧縮ローラで圧縮すると共に冷却し、FRP前駆体巻取装置8に送り出す。
FRP前駆体巻取装置8は、シート加圧冷却装置7から送り出されたシート状のFRP前駆体60を巻き取るロールと、ロールを回転させる駆動機構(図示せず)とを有する。
なお、FRP前駆体の製造装置1は、所謂、ローララミネート方法を採用しているため、シート加熱加圧装置6におけるローララミネート時の骨材40及び樹脂フィルム54の加熱温度は、これらの幅方向において、中央が高く、端部が低い方が好ましい。より具体的には、これらの幅方向において、中央の温度が端部の温度よりも5〜20℃高いことが好ましい。ローララミネートの加圧は、ローラ端部に圧力を掛け、ローラの剛直性を利用して全体に線圧を掛けるが、その際に、ローラは微妙に弓形に変形する。そのため、同じ粘度であると弓形の変形を助長するので、樹脂フィルム54の中央部の粘度を低く、端部の粘度を高くすることにより、中央部と端部との間の流動性に差を発生させ、弓形の変形を抑えるようにしている。
また、幅方向の加熱温度に差を付けると、幅方向における溶融した樹脂の硬化性の差が生じてしまうため、加熱量は同じであるがローララミネート時の温度が異なるように、加熱体をVの字型に配置して中央部と端部のローラまでの距離を制御することが好ましい。また、ローララミネート後は冷却圧縮ローラで冷却し、不要な熱の除去と製品の平坦化を行うことが好ましい。
以上のFRP前駆体の製造装置1は、以下のように動作する。
先ず、骨材送出装置2からシート状の骨材40を、シート加熱加圧装置6に向けて送り出す。このとき、骨材40の表面40a及び裏面40bは、露出している。
次に、必要に応じて、骨材40の表面40a及び裏面40bを、それぞれ、常圧下において、骨材加熱装置等の加熱体(図示せず)で加熱する(骨材表面加熱工程)。
他方、保護フィルム52が、送り出された骨材40側になるように、一方の保護フィルム付き樹脂フィルム50を一方の樹脂フィルム送出装置3のローラの下側から一方の保護フィルム剥がし機構4に向けて送り出している。また、保護フィルム52が、送り出された骨材40側になるように、他方の保護フィルム付き樹脂フィルム50を他方の樹脂フィルム送出装置3のローラの上側から他方の保護フィルム剥がし機構4に向けて送り出している。
次に、送り出された一方の保護フィルム付き樹脂フィルム50は、一方の保護フィルム剥がし機構4である転向ローラに架けられ転向する際に、骨材側フィルム表面54aが露出するように、一方の保護フィルム付き樹脂フィルム50から一方の保護フィルム52を剥がして一方の樹脂フィルム54をシート加熱加圧装置6に向けて進ませる。これにより、一方の樹脂フィルム54の骨材側フィルム表面54aが露出する。同様に、送り出された他方の保護フィルム付き樹脂フィルム50は、他方の保護フィルム剥がし機構4である転向ローラに架けられ転向する際に、骨材側フィルム表面54aが露出するように、他方の保護フィルム付き樹脂フィルム50から他方の保護フィルム52を剥がして他方の樹脂フィルム54をシート加熱加圧装置6に向けて進ませる。これにより、他方の樹脂フィルム54の骨材側フィルム表面54aが露出する。
剥がされた一対の保護フィルム52及び52は、それぞれ、一対の保護フィルム巻取装置5及び5で巻き取られる。
骨材側フィルム表面54aが露出した樹脂フィルム54がシート加熱加圧装置6に到達する前に、樹脂フィルム54を、樹脂フィルム加熱装置(図示せず)で、樹脂フィルム54の骨材側フィルム表面54a側から輻射により加熱してもよい(フィルム予備加熱工程)。これにより、樹脂フィルム54の骨材側フィルム表面54aが溶融する。
骨材送出装置2から送り出され、表面40a及び裏面40bが加熱された骨材40に、それぞれ、骨材側フィルム表面54a及び54aが溶融した樹脂フィルム54及び54が積層するように、骨材送出装置2から送り出された骨材40と、一対の保護フィルム剥がし機構4及び4からそれぞれ送り出された樹脂フィルム54及び54とが一対の加熱圧縮ローラ6の間に入り込む。さらに、常圧下において、一対の樹脂フィルム54及び54の骨材側フィルム表面54a及び54aを、それぞれ、表面40a及び裏面40bが加熱された骨材40に、シート加熱加圧装置6で圧接させてFRP前駆体60を得る(フィルム圧接工程)。このとき、一対の加熱圧縮ローラの内部にある加熱体の温度制御をすることにより、一対の加熱圧縮ローラを所定の温度に維持し、フィルム圧接工程をする際に加熱しながら加圧をする。
骨材に樹脂フィルムを加熱加圧接着する際、加熱圧縮ローラの温度は、樹脂フィルムの形成に使用する熱硬化性樹脂組成物をレオメータで測定した最低溶融粘度温度のマイナス40℃からプラス20℃の範囲であることが好ましい。圧力は任意の線圧でよいがIPC−TM−650のNo.2.3.17.1の試験方法で加熱加圧をロールラミネートで実施したときに、1.6mmのパンチ穴の染み出しが50μm以上で、且つ6.4mmのパンチ穴の染み出しが1,200μm以下であることが好ましく、1.6mmのパンチ穴の染み出しが100μm以上で、且つ6.4mmのパンチ穴の染み出しが500μm以下であることがより好ましい。
また、熱硬化性樹脂組成物の最低溶融粘度温度は、FRP前駆体の生産性の観点から、60〜150℃が好ましく、80〜140℃がより好ましく、100〜130℃がさらに好ましい。
フィルム圧接工程では、作業性が良い大気中で骨材40に樹脂フィルム54を接着する。その際、シート加熱加圧装置6の加熱圧縮ローラによるキャリアフィルム越しの骨材側フィルム表面54aへの加温によって樹脂フィルム54を溶融し流動させるのではなく、樹脂フィルム54の骨材40に接着する側から加熱、又は予め骨材40を加熱する。これにより、骨材40の表面40a及び裏面40bで樹脂成分を予め高温化して低粘度化することができ、それにより骨材への含浸性が向上すると共に、シート加熱加圧装置6の加熱圧縮ローラからの過剰な加熱による骨材40への充填に関与しない部分の樹脂粘度の低下を抑えることができる。つまり、骨材40中の空隙部への樹脂充填性と端部からの樹脂噴き出し防止とを両立させ、FRP前駆体60の生産性を良好なものとすることができる。
以上の様に、前記支持体付き樹脂フィルム及び前記骨材のそれぞれが対向する面のうちの少なくとも一方を常圧下で加熱し、次いで、加熱圧縮ローラで両者を挟み込みながら加熱及び加圧することによって、前記支持体付き樹脂フィルムを前記骨材へ貼付する態様が好ましい。
シート加熱加圧装置6から送り出されたFRP前駆体60を、シート加圧冷却装置7により、さらに加圧し、また、冷却する。
シート加圧冷却装置7から送り出されたFRP前駆体60を、FRP前駆体巻取装置8により、巻き取る。
以上のように、本発明のFRP前駆体の製造方法では、所謂、真空ラミネート方式ではなく、作業性が良い常圧下(大気圧下)において、樹脂フィルムの骨材に接着する側から加熱、又は、予め骨材を加熱しておくことで、骨材中の空隙部への樹脂充填性と端部からの樹脂噴出し防止とを両立でき、生産性良くFRP前駆体を製造できる。
次に、本発明で使用する樹脂フィルムの製造に使用される熱硬化性樹脂組成物について説明する。本発明で使用する樹脂フィルムは、該熱硬化性樹脂組成物を含んでなる樹脂フィルムであって、支持体が付いている「支持体付樹脂フィルム」の状態であってもよい。
[熱硬化性樹脂組成物]
樹脂フィルムの材料として用いる熱硬化性樹脂組成物は、シロキサン化合物(a)(以下、「(a)成分」ともいう)を含有する熱硬化性樹脂組成物である。このような熱硬化性樹脂組成物を含んでなる樹脂フィルムを用いることによって、支持体付き樹脂フィルムを骨材へ貼付した後に、樹脂フィルムから支持体を容易に剥離することができ、剥離した支持体側に樹脂成分が付着しない。
<シロキサン化合物(a)>
シロキサン化合物(a)は、シロキサン骨格を含有する化合物であれば、特に限定されず、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。シロキサン化合物(a)は、熱硬化性樹脂組成物中での相溶性を高めるために、後述する(c)成分又は(d)成分と反応性を有することが好ましい。
シロキサン化合物(a)としては、剥離時の支持体への樹脂残り性が小さく、耐熱性に優れ、且つ反り量が低減される(以下、低反り性と称する。)という観点から、例えば、下記一般式(1)で表されるシロキサン化合物が好ましい。
Figure 0006969574

(一般式(1)中、Ra1、Ra2、Ra3及びRa4は各々独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、フェニル基又は置換フェニル基を表す。Ra5及びRa6は各々独立に、有機基を表す。mは1〜50の整数である。)
一般式(1)中、Ra1、Ra2、Ra3及びRa4が表すアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。該アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。
置換アルキル基におけるアルキル基としては、Ra1、Ra2、Ra3及びRa4が表すアルキル基と同様に説明され、好ましいものも同じである。また、置換アルキル基における置換基としては、アミノ基、エポキシ基、脂環式エポキシ基、ポリエーテル残基、フェニル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基及び(メタ)アクリル基からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましく、ヒドロキシル基であることがより好ましい。つまり、置換アルキル基としては、カルビノール基(ヒドロキシメチル基)が好ましい。前記脂環式エポキシ基としては、エポキシシクロヘキシル基等が挙げられる。
置換フェニル基におけるフェニル基が有する置換基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基等が挙げられる。該炭素数1〜5のアルキル基としては、前記したものと同じものが挙げられる。該炭素数2〜5のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基等が挙げられる。炭素数2〜5のアルキニル基としては、エチニル基、プロパルギル基等が挙げられる。
以上の中でも、Ra1、Ra2、Ra3及びRa4としては、メチル基、フェニル基、カルビノール基が好ましく、いずれもメチル基であることも好ましい。また、mが2以上の場合、複数あるRa1のうちの少なくとも1つのRa1がカルビノール基で、カルビノール基ではないRa1と、さらにRa2、Ra3及びRa4が、いずれもメチル基であることも好ましい。
a5及びRa6が表す有機基は、置換又は無置換の有機基であることが好ましく、置換又は無置換の炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、置換又は無置換のメチル基がより好ましい。置換されている場合の置換基としては、アミノ基、エポキシ基、脂環式エポキシ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基及び(メタ)アクリル基からなる群から選択される少なくとも1つが好ましい。前記脂環式エポキシ基としては、エポキシシクロヘキシル基等が挙げられる。
a5及びRa6が表す有機基としては、メチル基;エポキシ基で置換されたアルキル基;アミノ基で置換されたアルキル基が好ましい。なお、Ra5及びRa6が表す有機基が、エポキシ基で置換されたアルキル基又はアミノ基で置換されたアルキル基であるシロキサン化合物(a)を、それぞれエポキシ変性シロキサン化合物、アミン変性シロキサン化合物と称することがある。Ra5及びRa6がいずれもエポキシ基で置換されたアルキル基であるシロキサン化合物(a)を、両末端エポキシ変性シロキサン化合物と称し、Ra5及びRa6がいずれもアミノ基で置換されたアルキル基であるシロキサン化合物(a)を、両末端アミン変性シロキサン化合物と称することがある。
mは1〜50の整数であり、好ましくは3〜50の整数、より好ましくは8〜50の整数、さらに好ましくは10〜40の整数、特に好ましくは15〜40の整数である。mが2以上の整数である場合、複数のRa1同士、複数のRa2同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
シロキサン化合物(a)としては、剥離時の支持体への樹脂残り性が小さく、耐熱性に優れ、且つ低反り性であるという観点から、前記Ra1〜Ra6のうちの少なくとも1つがアルキル基(特にメチル基)以外の基である化合物、いわゆる、変性シロキサン化合物であることが好ましい。当該変性シロキサン化合物の中でも、1分子中に2個の第一級アミノ基を有するシロキサン化合物(つまりアミノ変性シロキサン化合物)、1分子中に2個のエポキシ基を有するシロキサン化合物(つまりエポキシ変性シロキサン化合物)であることが好ましい。これらは、第一級アミノ基又はエポキシ基を、シロキサン骨格の側鎖又は末端のいずれか又は両方に有していればよく、入手容易性の観点及び低反り性であるという観点から、末端に有することが好ましく、両末端に有する(両末端変性と称することがある。)ことがより好ましい。アミノ変性シロキサン化合物とエポキシ変性シロキサン化合物は、それぞれを単独で用いてもよいし、併用してもよい。
また、上記以外にも、変性シロキサン化合物としては、側鎖にカルビノール基を有するシロキサン化合物(以下、側鎖カルビノール変性シロキサン化合物と称することがある。)も好ましい。
(a)成分としては、市販品を用いることができる。
例えば、側鎖にメチル基を有する「1分子中に2個の第一級アミノ基を有するシロキサン化合物」としては、「KF−8010」(アミノ基の官能基当量430g/mol)、「X−22−161A」(アミノ基の官能基当量800g/mol)、「X−22−161B」(アミノ基の官能基当量1,500g/mol)、「KF−8012」(アミノ基の官能基当量2,200g/mol)、「KF−8008」(アミノ基の官能基当量5,700g/mol)、「X−22−9409」(アミノ基の官能基当量700g/mol)(以上、信越化学工業株式会社製)等が挙げられる。
側鎖にフェニル基を有する「1分子中に2個の第一級アミノ基を有するシロキサン化合物」としては、「X−22−1660B−3」(アミノ基の官能基当量2,200g/mol)(信越化学工業株式会社製)、「BY−16−853U」(アミノ基の官能基当量460g/mol)、「BY−16−853」(アミノ基の官能基当量650g/mol)、「BY−16−853B」(アミノ基の官能基当量2,200g/mol)(以上、東レ・ダウコーニング株式会社製)等が挙げられる。
両末端エポキシ変性シロキサン化合物としては、例えば、「X−22−163」(エポキシ基の官能基当量200g/mol)、「X−22−163A」(エポキシ基の官能基当量1,000g/mol)、「X−22−163B」(エポキシ基の官能基当量1,800g/mol)、「KF−105」(エポキシ基の官能基当量490g/mol)等が挙げられる。
側鎖カルビノール変性シロキサン化合物としては、例えば、「X−22−4015」(水酸基価30mgKOH/g)、「X−22−4039」(水酸基価58mgKOH/g)等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、剥離時の支持体への樹脂残り性が小さく、耐熱性に優れ、且つ低反り性であるという観点から、「X−22−163B」、「X−22−4039」、「X−22−161A」が好ましい。
(a)成分において、両末端に官能基を有するシロキサン化合物の場合、官能基当量は、300〜3,000g/molが好ましく、400〜2,500g/molがより好ましく、600〜1,500g/molがさらに好ましい。
また、側鎖にヒドロキシル基を有するシロキサン化合物の場合、水酸基価は、20〜100mgKOH/gが好ましく、25〜70mgKOH/gがより好ましい。
熱硬化性樹脂組成物中におけるシロキサン化合物(a)の含有量は、剥離時の支持体への樹脂残り性が小さく、耐熱性に優れ、且つ低反り性であるという観点から、熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分の固形分100質量部に対して、2〜30質量部が好ましく、2〜25質量部がより好ましく、3〜20質量部がさらに好ましい。
ここで、本実施形態における固形分とは、水分、後述する溶媒等の揮発する物質以外の熱硬化性樹脂組成物中の成分のことをいう。すなわち、固形分は、25℃付近の室温で液状、水飴状又はワックス状のものも含み、必ずしも固体であることを意味するものではない。なお、樹脂成分の固形分という場合は、(f)無機充填材等の無機物が含まれないことを意味する。
<熱硬化性樹脂(b)>
熱硬化性樹脂組成物は、さらに、熱硬化性樹脂(b)を含有していてもよい。但し、該熱硬化性樹脂(b)は、前記(a)成分及び後述の(c)成分を含まない。
熱硬化性樹脂(b)としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和イミド樹脂(但し、後述の(c)成分を含まない)、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、オキセタン樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、シリコーン樹脂、トリアジン樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、成形性及び電気絶縁性の観点、並びに金属回路との接着強度の観点から、エポキシ樹脂及びシアネート樹脂からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、エポキシ樹脂がより好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、α−ナフトール/クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリアジン骨格含有エポキシ樹脂、フルオレン骨格含有エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、多官能フェノール類及びアントラセン等の多環芳香族類のジグリシジルエーテル化合物、これらにリン化合物を導入したリン含有エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐熱性及び難燃性の観点から、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、α−ナフトール/クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
熱硬化性樹脂組成物が熱硬化性樹脂(b)を含有する場合、その含有量は、低反り性の観点から、熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分の固形分100質量部に対して、1〜85質量部が好ましく、2〜80質量部がより好ましく、5〜80質量部がさらに好ましく、10〜80質量部が特に好ましい。
<1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(c)>
(c)成分は、1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(以下、マレイミド化合物(c)と略称することがある。)であれば特に限定されない。
マレイミド化合物(c)としては、1分子中に2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物が好ましく、下記一般式(c−1)で表される化合物がより好ましい。
Figure 0006969574

(一般式(c−1)中、Xc1は、下記一般式(c1−1)、(c1−2)、(c1−3)又は(c1−4)で表される基である。)
Figure 0006969574

(一般式(c1−1)中、Rc1は各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子である。pは0〜4の整数である。)
Figure 0006969574

(一般式(c1−2)中、Rc2及びRc3は各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子である。Xc2は炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、ケト基、単結合又は下記一般式(c1−2−1)で表される基である。q及びrは各々独立に0〜4の整数である。)
Figure 0006969574

(一般式(c1−2−1)中、Rc4及びRc5は各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子である。Xc3は炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、カルボニルオキシ基[−O−C(=O)−]、ケト基又は単結合である。s及びtは各々独立に0〜4の整数である。)
Figure 0006969574

(一般式(c1−3)中、nは1〜10の整数である。)
Figure 0006969574

(一般式(c1−4)中、Rc6及びRc7は各々独立に、水素原子又は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基である。uは1〜8の整数である。)
前記一般式(c1−1)中、Rc1が表す脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。該脂肪族炭化水素基としては、好ましくは炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基であり、より好ましくはメチル基である。また、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
以上の中でも、Rc1としては炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基が好ましい。
pは0〜4の整数であり、入手容易性の観点から、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは0又は1、さらに好ましくは0である。pが2以上の整数である場合、複数のRc1同士は同一であっても異なっていてもよい。
前記一般式(c1−2)中、Rc2及びRc3が表す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子としては、前記Rc1の場合と同じものが挙げられる。該脂肪族炭化水素基としては、好ましくは炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、より好ましくはメチル基及びエチル基、さらに好ましくはエチル基である。
c2が表す炭素数1〜5のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、1,2−ジメチレン基、1,3−トリメチレン基、1,4−テトラメチレン基、1,5−ペンタメチレン基等が挙げられる。該アルキレン基としては、耐熱性及び低熱膨張性の観点から、好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基であり、より好ましくはメチレン基である。
c2が表す炭素数2〜5のアルキリデン基としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、イソブチリデン基、ペンチリデン基、イソペンチリデン基等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性及び低熱膨張性の観点から、イソプロピリデン基が好ましい。
c2としては、上記選択肢の中でも、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、一般式(c1−2−1)で表される基が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基、一般式(c1−2−1)で表される基がより好ましい。さらに好ましいものは前述又は後述のとおりである。
q及びrは各々独立に0〜4の整数であり、入手容易性の観点から、いずれも、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは0又は2である。q又はrが2以上の整数である場合、複数のRc2同士又はRc3同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
前記一般式(c1−2−1)中、Rc4及びRc5が表す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子としては、前記Rc2及びRc3の場合と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
c3が表す炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基としては、前記Xc2が表す炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
c3としては、上記選択肢の中でも、好ましくは炭素数2〜5のアルキリデン基であり、より好ましいものは前述のとおりである。
s及びtは0〜4の整数であり、入手容易性の観点から、いずれも、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは0又は1、さらに好ましくは0である。s又はtが2以上の整数である場合、複数のRc4同士又はRc5同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
前記一般式(c1−2−1)は、下記一般式(c1−2−1’)で表されることが好ましい。
Figure 0006969574

(一般式(c1−2−1’)中のXc3、Rc4、Rc5、s及びtは、一般式(c1−2−1)中のものと同じであり、好ましいものも同じである。)
前記一般式(c1−2)で表される基は、下記一般式(c1−2’)で表される基であることが好ましく、下記(c1−i)〜(c1−iii)のいずれかで表される基であることがより好ましく、下記(c1−i)又は(c1−iii)で表される基であることがさらに好ましい。
Figure 0006969574

(一般式(c1−2’)中のXc2、Rc2、Rc3、q及びrは、一般式(c1−2)中のものと同じであり、好ましいものも同じである。)
Figure 0006969574
前記一般式(c1−3)中、nは、1〜10の整数であり、入手容易性の観点から、好ましくは1〜5の整数、より好ましくは1〜3の整数である。
前記一般式(c1−4)中、Rc6及びRc7が表す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子としては、前記一般式(c1−1)中のRc1の場合と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。uは1〜8の整数であり、好ましくは1〜3の整数、より好ましくは1である。
前記一般式(c−1)中、Xc1は、前記一般式(c1−1)、(c1−2)、(c1−3)又は(c1−4)で表される基のいずれであってもよく、これらの中でも、低反り性、寸法安定性、耐熱性及び入手容易性の観点から、(c1−2)で表される基であることが好ましい。
マレイミド化合物(c)の具体例としては、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ポリフェニルメタンマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、反応性が高く、より高耐熱性化できるという観点から、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンが好ましく、溶媒への溶解性の観点から、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンがより好ましく、製造コストの観点から、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンがさらに好ましい。
熱硬化性樹脂組成物がマレイミド化合物(c)を含有する場合、その含有量は、低反り性の観点から、熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分の固形分100質量部に対して、20〜90質量部が好ましく、30〜85質量部がより好ましく、30〜80質量部がさらに好ましい。
<1分子中に少なくとも2個の第一級アミノ基を有するアミン化合物(d)>
1分子中に少なくとも2個の第一級アミノ基を有するアミン化合物(d)(以下、アミン化合物(d)と略称することがある。)は、前記成分(a)とは区別され、分子内にシロキサン結合を有さない。
アミン化合物(d)が有する第一級アミノ基の数は、耐熱性の観点から、好ましくは2〜4個、より好ましくは2個又は3個、さらに好ましくは2個である。
アミン化合物(d)としては、耐熱性の観点から、下記一般式(d−1)〜(d−3)のいずれかで表されるジアミン化合物であることが好ましく、下記一般式(d−1)又は(d−3)で表されるジアミン化合物であることがより好ましく、下記一般式(d−1)で表されるジアミン化合物であることがさらに好ましい。
Figure 0006969574
上記式中、Xd1は、単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、−O−、スルホニル基、ケト基、フルオレンジイル基又はフェニレンジオキシ基を示す。Rd1及びRd2は、各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、メトキシ基又は水酸基を示す。v及びwは、各々独立に、0〜4の整数である。
d2〜Xd4は、各々独立に、単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、イソプロピリデン基、−O−又はスルホニル基を示す。
d1が示す炭素数1〜5のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、1,2−ジメチレン基、1,3−トリメチレン基、1,4−テトラメチレン基、1,5−ペンタメチレン基等が挙げられる。該アルキレン基としては、耐熱性の観点から、好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基であり、より好ましくはメチレン基である。
d1が示す炭素数2〜5のアルキリデン基としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、イソブチリデン基、ペンチリデン基、イソペンチリデン基等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性の観点から、イソプロピリデン基が好ましい。
d1が示すフルオレンジイル基としては、例えば、フルオレン−1,8−ジイル基、フルオレン−1,7−ジイル基、フルオレン−1,6−ジイル基、フルオレン−1,5−ジイル基、フルオレン−2,7−ジイル基、フルオレン−2,6−ジイル基、フルオレン−2,5−ジイル基、フルオレン−3,6−ジイル基、フルオレン−3,5−ジイル基、フルオレン−4,5−ジイル基等が挙げられる。
d1が示すフェニレンジオキシ基としては、1,4−フェニレンジオキシ基、1,3−フェニレンジオキシ基、1,2−フェニレンジオキシ基が挙げられる。
d1としては、上記選択肢の中でも、炭素数1〜5のアルキレン基、−O−、スルホニル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基、スルホニル基がより好ましい。
d1及びRd2が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。該脂肪族炭化水素基としては、耐熱性の観点から、好ましくは炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、さらに好ましくはエチル基である。
v及びwは0〜4の整数であり、耐熱性の観点から、それぞれ、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは0又は1、さらに好ましくは1である。
d2〜Xd4が示す炭素数1〜5のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、1,2−ジメチレン基、1,3−トリメチレン基、1,4−テトラメチレン基、1,5−ペンタメチレン基等が挙げられる。該アルキレン基としては、耐熱性の観点から、好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基である。
d2〜Xd4としては、上記選択肢の中でも、それぞれ好ましくは、メチレン基又はイソプロピリデン基である。
アミン化合物(d)としては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,6−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミン、2,3,5,6−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノメシチレン、m−キシレン−2,5−ジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,4−ビス(アミノ−t−ブチル)トルエン、2,4−ジアミノキシレン、2,4−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、2,5−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノデュレン、4,5−ジアミノ−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン、3−ビス(3−アミノベンジル)ベンゼン、4−ビス(4−アミノベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、4−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、3−ビス(3−(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、4−ビス(4−(4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、3−ビス(α,α−ジメチル−3−アミノベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(α,α−ジメチル−3−アミノベンジル)ベンゼン、3−ビス(α,α−ジメチル−4−アミノベンジル)ベンゼン、ビス(4−メチルアミノペンチル)ベンゼン、p−ビス(2−メチル−4−アミノペンチル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、ビス[(4−アミノフェニル)−2−プロピル]1,4−ベンゼン、2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジエチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジメチル−5,5'−ジエチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、3,3'−ジアミノジフェニルエタン、4,4'−ジアミノジフェニルエタン、2,2'−ジアミノジフェニルプロパン、3,3'−ジアミノジフェニルプロパン、4,4'−ジアミノジフェニルプロパン、2,2'−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2'−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3−(2',4'−ジアミノフェノキシ)プロパンスルホン酸、ビス(4−アミノフェニル)ジエチルシラン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(4−アミノ−t−ブチルフェニル)エ−テル、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル−2,2'−ジスルホン酸、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ベンジジン、2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジメトキシ−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル−6,6'−ジスルホン酸、2,2',5,5'−テトラクロロ−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジアミノビフェニル、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'−ジアミノ−3,3'−ビフェニルジオール、1,5−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、9,9'−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9'−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン−2,7−ジスルホン酸、9,9'−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)フルオレン、ジアミノアントラキノン、3,7−ジアミノ−2,8−ジメチルジベンゾチオフェンスルホン等の芳香族基含有アミン;
エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、2,5−ジアミノ−1,3,4−オキサジアゾ−ル、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン等の脂肪族アミン;メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−アリル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−アクリロイルオキシエチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−s−トリアジン等のグアナミン系化合物などが挙げられる。
これらの中でも、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジエチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、2,2'−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ベンジジン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'−ジアミノ−3,3'−ビフェニルジオール、ベンゾグアナミンが好ましく、3,3'−ジエチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、2,2'−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンがより好ましい。
アミン化合物(d)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
熱硬化性樹脂組成物がアミン化合物(d)を含有する場合、その含有量は、低反り性の観点から、熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分の固形分100質量部に対して、1〜40質量部が好ましく、2〜35質量部がより好ましく、2〜30質量部がさらに好ましく、また、7〜30質量部であってもよい。
<硬化促進剤(e)>
熱硬化性樹脂組成物は、さらに、硬化促進剤(e)を含有していてもよい。
硬化促進剤(e)としては、例えば、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリスアセチルアセトナートコバルト(III)等の有機金属塩;イミダゾール類及びその誘導体;有機リン系化合物;第二級アミン類;第三級アミン類;第四級アンモニウム塩などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、難燃性及び金属回路との接着強度の観点からは、イミダゾール類及びその誘導体が好ましく、低熱膨張性の観点からは、有機リン系化合物が好ましい。
硬化促進剤(e)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
硬化促進剤(e)としては市販品を用いてもよい。市販品としては、イソシアネートマスクイミダゾール(第一工業製薬株式会社製、商品名:G−8009L)、トリフェニルホスフィントリフェニルボラン(北興化学工業株式会社製、商品名:TPP−S)等が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物が硬化促進剤(e)を含有する場合、その含有量は、熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分の固形分100質量部に対して、0.05〜10質量部が好ましく、0.01〜5質量部がより好ましく、0.1〜1質量部がさらに好ましい。硬化促進剤(e)の含有量が0.05質量部以上であれば、耐熱性、難燃性及び銅箔接着性に優れる傾向にあり、10質量部以下であれば、耐熱性、経日安定性及びプレス成形性に優れる傾向にある。
<無機充填材(f)>
熱硬化性樹脂組成物は、さらに、無機充填材(f)を含有していてもよい。
無機充填材(f)としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、マイカ、ベリリア、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、炭酸アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、焼成クレー等のクレー、タルク、ホウ酸アルミニウム、炭化ケイ素、石英粉末、ガラス短繊維、ガラス微粉末、中空ガラス等が挙げられる。ガラスとしては、Eガラス、Tガラス、Dガラス等が好ましく挙げられる。
これらの中でも、誘電特性、耐熱性及び低熱膨張性の観点から、シリカが好ましい。シリカとしては、例えば、湿式法で製造され含水率の高い沈降シリカと、乾式法で製造され結合水等をほとんど含まない乾式法シリカが挙げられ、乾式法シリカとしてはさらに、製造法の違いにより、破砕シリカ、フュームドシリカ、溶融球状シリカ等に分類される。これらの中でも、低熱膨張性及び樹脂に充填した際の流動性の観点から、溶融球状シリカが好ましい。
無機充填材(f)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
無機充填材(f)の平均粒子径は、0.1〜10μmが好ましく、0.3〜8μmがより好ましく、0.3〜3μmがさらに好ましい。平均粒子径が0.1μm以上であると、樹脂に高充填した際の流動性を良好に保てる傾向にあり、10μm以下であると、粗大粒子の混入確率を低減し、粗大粒子起因の不良の発生を抑えることができる傾向にある。ここで、平均粒子径とは、粒子の全体積を100%として粒子径による累積度数分布曲線を求めたとき、体積50%に相当する点の粒子径のことであり、レーザ回折散乱法を用いた粒度分布測定装置等で測定することができる。
無機充填材(f)は、カップリング剤で表面処理されたものであってもよい。カップリング剤による表面処理の方式は、配合前の無機充填材(f)に対して乾式又は湿式で表面処理する方式であってもよく、表面未処理の無機充填材(f)を、他の成分に配合して組成物とした後、該組成物にシランカップリング剤を添加する、いわゆるインテグラルブレンド処理方式であってもよい。
カップリング剤としては、例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、シリコーンオリゴマー等が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物が無機充填材(f)を含有する場合、その含有量は、熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分の固形分100質量部に対して、20〜400質量部が好ましく、50〜350質量部がより好ましく、70〜230質量部がさらに好ましい。無機充填材(f)の含有量が前記範囲内であると、成形性及び低熱膨張性が良好となる。
<その他の成分>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性の性質を損なわない程度に、有機充填材、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤、接着性向上剤等を含有していてもよい。
有機充填材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル樹脂、シリコーン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂等よりなる樹脂フィラー;アクリル酸エステル系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂、共役ジエン系樹脂等よりなるゴム状態のコア層と、アクリル酸エステル系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂、芳香族ビニル系樹脂、シアン化ビニル系樹脂等よりなるガラス状態のシェル層を持つコアシェル構造の樹脂フィラーなどが挙げられる。
難燃剤としては、例えば、臭素、塩素等を含有する含ハロゲン系難燃剤;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、リン酸エステル系化合物、赤リン等のリン系難燃剤;スルファミン酸グアニジン、硫酸メラミン、ポリリン酸メラミン、メラミンシアヌレート等の窒素系難燃剤;シクロホスファゼン、ポリホスファゼン等のホスファゼン系難燃剤;三酸化アンチモン等の無機系難燃剤が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤等が挙げられる。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン類、ベンジルケタール類、チオキサントン系等の光重合開始剤が挙げられる。
蛍光増白剤としては、例えば、スチルベン誘導体の蛍光増白剤等が挙げられる。
接着性向上剤としては、例えば、尿素シラン等の尿素化合物、前記カップリング剤などが挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物は、プリプレグ等の製造に用い易いように、各成分が有機溶媒中に溶解又は分散されたワニスの状態であってもよい。
該有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の窒素原子含有溶媒;ジメチルスルホキシド等の硫黄原子含有溶媒などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、各成分の溶解性の観点からは、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましく、メチルエチルケトンがより好ましく、また、低毒性であるという観点からは、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルがより好ましい。
ワニスの固形分濃度は、40〜90質量%が好ましく、50〜80質量%がより好ましい。ワニスの固形分濃度が前記範囲内であると、塗工性を良好に保ち、熱硬化性樹脂組成物の含有量が適切なプリプレグを得ることができる。
[骨材]
本発明で使用し得る骨材は、ガラス、カーボン等の無機繊維基材;アラミド、セルロース等の有機繊維基材;鉄、銅、アルミニウム、これら金属の合金等からなる金属繊維基材などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。特に、誘電特性の観点から、無機物繊維が好ましく、低誘電ガラス、Qガラスがより好ましい。
骨材としては、例えば、織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット又はサーフェシングマット等の形状を有するものを使用できる。これらの中でも、織布又は不織布が好ましい。
骨材の材質及び形状は、目的とする成形物の用途、性能等により適宜選択され、必要により、1種の材質及び1種の形状からなる繊維基材であってもよいし、2種以上の材質からなる骨材であってもよいし、2種以上の形状を有する骨材であってもよい。
骨材の厚さは、例えば、5μm〜0.5mmであり、低反り性及び高密度配線を可能にする観点から、5μm〜100μmが好ましく、8μm〜60μmがより好ましく、10〜30μmがさらに好ましい。これらの骨材は、耐熱性、耐湿性、加工性等の観点から、シランカップリング剤等で表面処理したもの、機械的に開繊処理を施したものであることが好ましい。
FRP前駆体中における熱硬化性樹脂組成物の固形分の含有量は、好ましくは20〜90質量%である。
[支持体付き樹脂フィルム]
本発明でFRP前駆体の製造に使用する支持体付き樹脂フィルムは、例えば、熱硬化性樹脂組成物を支持体に塗布し、90〜130℃で1〜10分間乾燥することによって製造することができる。
支持体としては、特に限定されないが、例えば、有機樹脂フィルム、金属箔、離型紙等が挙げられる。
有機樹脂フィルムの材質としては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」ともいう)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリカーボネート、ポリイミドなどが挙げられる。これらの中でも、価格及び取り扱い性の観点から、PETが好ましい。つまり、有機樹脂フィルムとしては、PETフィルムが好ましい。
金属箔としては、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。支持体に銅箔を用いる場合には、銅箔をそのまま導体層とし、回路を形成することもできる。この場合、銅箔としては、圧延銅、電解銅箔等を用いることができる。また、銅箔の厚さは、特に限定されないが、例えば、2〜36μmの厚さを有するものを使用することができる。厚さの薄い銅箔を用いる場合には、作業性を向上させる観点から、キャリア付き銅箔を使用してもよい。
支持体の厚さは、特に限定されないが、取扱い性の観点から、10〜120μmであることが好ましく、15〜80μmであることがより好ましく、15〜70μmであることがさらに好ましい。
支持体は、上述のように単一の成分である必要はなく、複数層(2層以上)の別材料で形成されていてもよい。
本発明により得られるFRP前駆体は、コアレス基板用に有用である。
コアレス基板は、例えば、コア基板上に、本発明のプリプレグを用いて導体層と絶縁層とが交互に積層されてなるビルドアップ層を形成した後、前記コア基板を分離除去することにより製造されるものである。なお、前記ビルドアップ層の形成方法に特に制限はなく、公知の方法を採用できる。例えば、ビルドアップ層は次の方法によって形成できる。
まず、コア基板上にプリプレグ1を配置する。なお、前記コア基板上には接着層を配置した上で、プリプレグ2を配置してもよい。その後、プリプレグ2を加熱硬化して絶縁層とする。次いで、ドリル切削方法、又はYAGレーザー、COレーザー等を用いるレーザー加工方法などによってビアホールを形成した後、必要に応じて表面粗化処理及びデスミア処理を行なう。続いて、サブトラクティブ法、フルアディティブ法、セミアディティブ法(SAP:Semi Additive Process)、モディファイドセミアディティブ法(m−SAP:modified Semi Additive Process)等によって回路パターンを形成する。以上の過程を繰り返すことによって、ビルドアップ層が形成される。形成したビルドアップ層を、コア基板から分離することによって、コアレス基板が得られる。
[積層体の製造方法及びプリント配線板の製造方法]
本発明では、前記製造方法により得られるFRP前駆体を積層成形することによる積層体の製造方法も提供する。より具体的には、本発明で得たFRP前駆体(例えばプリプレグ)を1枚又は2〜20枚重ねたものを準備し、必要に応じて、その片面又は両面に、銅、アルミニウム等の金属箔を配置した構成で積層成形することにより、積層体(積層板とも称する)を製造することができる。金属箔は、電気絶縁材料用途で用いるものであれば特に制限されないが、銅箔が好ましい。金属箔が銅箔である場合、得られる積層体(積層板)は、一般的に銅張積層板と称される。
積層体を製造する際の成形条件は、例えば、電気絶縁材料用積層板及び多層板の成形条件を適用できる。具体的には、多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、温度100〜250℃、圧力0.2〜10MPa、加熱時間0.1〜5時間という条件で成形することができる。また、FPR前駆体と内層用配線板とを組合せ、積層成形して、積層体を製造することもできる。
さらに、前記積層体に回路を形成すること、具体的には、前記金属箔を回路加工することにより、プリント配線板を製造することができる。
[半導体パッケージ]
本発明は、前記製造方法により得られるプリント配線板に半導体素子を搭載することによる半導体パッケージの製造方法も提供する。半導体パッケージは、前記プリント配線板の所定の位置に半導体チップ、メモリ等の半導体素子を搭載し、封止樹脂等によって半導体素子を封止することによって製造できる。
次に、下記の実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。
なお、以下の実施例で得られたFRP前駆体について、以下の方法で物性又は特性を測定及び評価した。
(1)剥離時の支持体への樹脂残り性
FRP前駆体の製造後の支持体が付いたFRP前駆体から、該支持体を手動で剥離し、支持体の状態を目視にて観察し、下記評価基準に従って評価をした。なお、A評価の場合、骨材に十分に樹脂が転写している状態であり、支持体との剥離性が良好であり、製品として合格である。B評価及びC評価の場合は、いずれも製品として不合格である。
A:支持体に全く樹脂が付いていない。
B:支持体に薄く樹脂が付着している。
C:支持体に多くの樹脂が付着している。
(2)耐熱性(はんだ耐熱性)
各例で得た銅張積層板から5cm角の大きさに切り出した評価基板を、288℃のはんだ浴に1分間浮かべた後、目視にて外観を観察することにより、はんだ耐熱性を評価した。
膨れが確認されなかったものを「良好」、膨れが確認されたものを「膨れ有り」と評価した。
(3)反り量
各例で作製した銅張積層板から下記の手順にて評価用基板を作成し、表面形状測定装置(AKROMETRIX社製、商品名:サーモレイPS200、シャドーモアレ分析)を用いて、前記評価用基板の反り量を測定した。
まず、銅張積層板の両面に残銅率40%の回路パターンを形成し、両面にレジストを塗布し、焼き付けした後、40mm×40mmの大きさに切り出した。銀粉入りのエポキシ樹脂系導電性接着剤によって、20×20mmのシリコンチップを中央部に固着し、エポキシ樹脂系封止材を用いて封止し、評価用基板とした。
室温にある評価用基板を260℃まで加熱し、その後、50℃まで冷却したときの反り量を測定した。当該方法によって測定した反り量が70μm以下であることが好ましく、65μm以下であることがより好ましく、該反り量は少なければ少ないほど好ましい。
実施例1〜7、比較例1〜4
以下に示す各成分を表1に示す配合割合(表中の数値の単位は質量部である。)で混合し、溶媒にメチルエチルケトンを用いて固形分濃度65質量%のワニスを作製した。
次に、各ワニスを支持体であるPETフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:G2)に塗布して、90〜130℃で3分間加熱乾燥することにより、支持体付き樹脂フィルム(樹脂厚:60μm)を得た。
次いで、支持体付き樹脂フィルム2枚それぞれの樹脂側を骨材(厚さ25μmのEガラスクロス)と対向する様に配置した。これを加圧ロールにより、ロール温度100℃、線圧0.2MPa、速度2.0m/分でラミネートし、骨材に樹脂組成物を加圧含浸させた。
その後、巻き取りを行い、ついで、PETフィルムを手動で両面から剥離することにより、FRP前駆体(プリプレグ)を得た。
このFRP前駆体を1枚用いて、12μmの電解銅箔を上下に配置し、圧力2.5MPa、温度200〜240℃で60分間プレスを行って、銅張積層板を得た。得られた銅張積層板を用いて、前記測定方法に従って各物性を評価した。結果を表1に示す。
〔シロキサン化合物(a)〕
(a−1):両末端エポキシ変性シロキサン
(信越化学工業株式会社製、商品名;X−22−163A、エポキシ基の官能基当量:1,000g/mol)
(a−2):側鎖カルビノール変性シロキサン
(信越化学工業株式会社製、商品名;X−22−4039、水酸基価:58mgKOH/g)
(a−3):両末端アミン変性シロキサン
(信越化学工業株式会社製、商品名;X−22−161A、アミノ基の官能基当量:800g/mol)
〔熱硬化性樹脂(b)〕
(b−1)α−ナフトール/クレゾールノボラック型エポキシ樹脂
(日本化薬株式会社製、商品名;NC−7000L、エポキシ当量:223〜238g/eq)
(b−2)ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂
(日本化薬株式会社製、商品名;NC−3000−H、エポキシ当量:280〜300g/eq)
(b−3)フェノール樹脂
(DIC株式会社製、フェノールノボラック樹脂、商品名;PHENOLITE(登録商標)TD−2090、水酸基当量:105g/eq)
〔マレイミド化合物(c)〕
(c−1)ビス(4−マレイミドフェニル)メタン
(ケイ・アイ化成株式会社製、商品名;BMI)
(c−2)2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン
(大和化成工業株式会社製、商品名;BMI−4000)
〔アミン化合物(d)〕
(d−1)3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン
(日本化薬株式会社製、商品名;KAYAHARD A−A)
(d−2)2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
(和歌山精化工業株式会社製、商品名;BAPP)
〔硬化促進剤(e)〕
(e−1)イソシアネートマスクイミダゾール
(第一工業製薬株式会社製、商品名;G−8009L)
(e−2)テトラフェニルホスホニウムテトラ−p−トリルボレート
(北興化学工業株式会社製、商品名;TPP−MK)
〔無機充填材(f)〕
(f−1)球状溶融シリカ
(株式会社アドマテックス製、平均粒径:0.5μm)
Figure 0006969574
表1より、実施例では、剥離時の支持体への樹脂残り性が小さく、耐熱性に優れ、かつ基板の反り量が低減されている。一方、比較例では、剥離時の支持体への樹脂残り性、耐熱性及び基板の反りの評価において、少なくとも1項目の結果が悪い。
従って、本発明のFRP前駆体の製造方法によれば、外観が良好なFRP前駆体が得られ、さらに、良好な耐熱性を有し、且つ反りが抑制された積層板が得られることがわかる。
本発明により得られる熱硬化性樹脂組成物は、良好な耐熱性を有し、且つ反りが抑制された積層板が得られることから、高密度化及び高多層化されたプリント配線板の製造用に有用であり、さらに、大量のデータを高速で処理するコンピュータ及び情報機器端末等に用いられる電子機器の配線板に好適に用いられる。
1 FRP前駆体の製造装置
2 骨材送出装置
3 樹脂フィルム送出装置
4 保護フィルム剥がし機構
5 保護フィルム巻取装置
6 シート加熱加圧装置(フィルム圧接手段)
7 シート加圧冷却装置
8 FRP前駆体巻取装置
40 骨材
40a 骨材の表面(骨材の一方の表面、骨材両表面の一方)
40b 骨材の裏面(骨材の他方の表面、骨材両表面の他方)
50 保護フィルム付き樹脂フィルム
52 保護フィルム
54 樹脂フィルム(フィルム)
54a 樹脂フィルムの骨材側の表面(骨材側フィルム表面)
60 FRP前駆体

Claims (14)

  1. 支持体付き樹脂フィルムを骨材へ貼付した後、前記支持体付き樹脂フィルムから支持体を剥離することによるFRP前駆体の製造方法であって、
    前記樹脂フィルムが、シロキサン化合物(a)、熱硬化性樹脂(b)、1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(c)及び1分子中に少なくとも2個の第一級アミノ基を有するアミン化合物(d)を含有する熱硬化性樹脂組成物を含んでなる樹脂フィルムである、FRP前駆体の製造方法。
  2. 前記シロキサン化合物(a)が、下記一般式(1)で表されるものである、請求項1に記載のFRP前駆体の製造方法。
    Figure 0006969574

    (一般式(1)中、Ra1、Ra2、Ra3及びRa4は各々独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、フェニル基又は置換フェニル基を表す。Ra5及びRa6は各々独立に、有機基を表す。mは1〜50の整数である。)
  3. 記熱硬化性樹脂(b)エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和イミド樹脂(但し、前記(c)成分を含まない)、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、オキセタン樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、シリコーン樹脂、トリアジン樹脂、メラミン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のFRP前駆体の製造方法。
  4. 前記シロキサン化合物(a)の含有量が、熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対して2〜30質量部である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のFRP前駆体の製造方法。
  5. 前記熱硬化性樹脂(b)の含有量が、熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対して1〜85質量部である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のFRP前駆体の製造方法。
  6. 前記マレイミド化合物(c)の含有量が、熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対して20〜90質量部である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のFRP前駆体の製造方法。
  7. 前記アミン化合物(d)の含有量が、熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対して1〜40質量部である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のFRP前駆体の製造方法。
  8. 前記熱硬化性樹脂組成物が、さらに、硬化促進剤(e)を含有する、請求項1〜のいずれか1項に記載のFRP前駆体の製造方法。
  9. 前記熱硬化性樹脂組成物が、さらに、無機充填材(f)を含有する、請求項1〜のいずれか1項に記載のFRP前駆体の製造方法。
  10. 前記支持体付き樹脂フィルムを、常圧下で加熱及び加圧して骨材へ貼付する、請求項1〜のいずれか1項に記載のFRP前駆体の製造方法。
  11. 前記FRP前駆体がコアレス基板用である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のFRP前駆体の製造方法。
  12. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法により得られたFRP前駆体を積層成形することによる、積層体の製造方法。
  13. 請求項12に記載の製造方法により得られた積層体に回路を形成することによる、プリント配線板の製造方法。
  14. 請求項13に記載の製造方法により得られたプリント配線板に半導体素子を搭載することによる、半導体パッケージの製造方法。
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