JP6968492B2 - 抗ストレス、抗抑うつ、抗疲労、抗混乱または活気増幅用カキ肉エキスを生産する方法 - Google Patents

抗ストレス、抗抑うつ、抗疲労、抗混乱または活気増幅用カキ肉エキスを生産する方法 Download PDF

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Description

本発明はカキ肉より抽出された3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を有効成分とした抗ストレス、抗抑うつ、抗疲労、抗混乱、活気増幅用カキ肉エキスを生産する方法に関するものである。
脳内酸化ストレスは、HPA系の過剰亢進や概日リズム異常などを惹起させることが示され、脳内酸化ストレスの予防には、脳移行性の良い抗酸化物質、抗ストレス作用物質の摂取が望まれている。
すなわち、物理的・身体的ストレスや心理的ストレスを受けると、酸化ストレスが生じ、視床下部−脳下垂体−副腎皮質系(hypothalamo-pituitary-adrenal axis: HPA系)が活性化され、副腎皮質ホルモンが放出される。
慢性的な脳内酸化ストレスは、CRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン:corticotropin-releasing hormoneの略)、ACTH(adrenocorticotrophic hormone:副腎皮質刺激ホルモンの略)、GC(糖質コルチロイド)共に分泌過多になり、生理的に行われるフィードバックによる分泌抑制機構が崩壊し、HPA系の過剰亢進を惹起させる。
その要因として、フィードバックに重要な働きをする海馬領のGC receptorが酸化ストレスによって消失するからとも言われている。一方、睡眠との関連においては、脳内酸化ストレスと概日リズム異常との関連も判明されつつある。
そして、脳内酸化ストレスの予防には、脳移行性の良い抗酸化物質、抗ストレス作用物質の摂取が重要であると言われている。
ところで、活性酸素の生成は好気性の生活に起因し、脂質、タンパク質、核酸の酸化を生じ、細胞に障害を与えることが一般に知られている。
通常、生体の酸化レベルは活性酸素産生系と抗酸化物質による消去系のバランスでほぼ一定に保たれているが、薬物、放射線、虚血などの様々な要因によりこのバランスが崩れ、活性酸素産生系へ傾くのが酸化ストレスといわれている。
この酸化ストレスの蓄積が、がん、動脈硬化性疾患、虚血/再灌流障害、慢性関節リウマチ、糖尿病、アルツハイマー病やパーキンソン病の神経障害などの様々な疾患や老化の一因であると考えられているのである。
いわゆる抗酸化物質は構造から大きく二群に分類される。酵素性抗酸化物質としては、スーパーオキシドジスムターゼ(superoxidedismutase、SOD)、カタラーゼ(catalase、CAT)、グルタチオンペルオキシダーゼ(glutathioneperoxidase、GPx)、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(glutathioneS-transferase、GST)、グルタチオンリダクターゼ(glutathionereductase)、ペルオキシレドキシン(peroxiredoxin、Prx)などが挙げられる。一方、非酵素性抗酸化物質としては、アスコルビン酸(ascorbicacid)、α-トコフェロール(α-tocopherol)、グルタチオン(glutathione、GSH)、カロテノイド(carotenoids)、フラボノイド(flavonoids)、メタロチオネイン(metallothionein)などを含む。
ここで、カキ、たとえばマガキ(Crassostrea gigas)はウグイスガイ目イタボガキ科に属する二枚貝で、その生息地は日本を初めとして東アジア全域に及んでいる。近年では、フランスやオーストラリアでもマガキが養殖されており、世界で最も食用に供されるカキとして名高い。
カキは、栄養価が高いことから古代より食用にされてきたが、前述したとおりグリコーゲンやタンパク質のほか、カルシウム、亜鉛、セレニウム、銅、マンガンなどのミネラルを多量に含むといわれている。
また、カキ由来の抗酸化物質として報告されているのは、酵素性抗酸化物質としてSOD、CAT、GPx、及びPrx6があり、非酵素性抗酸化物質としてはメタロチオネイン、uncouplingprotein5(UCP5)、アスコルビン酸、α-トコフェロール、β-カロテンがあった。
特開2010−193756号公報
しかして、本件発明の発明者らは、既に、カキ、特にマガキ軟体部からの優れた新規抗酸化物質を見出すことに成功し、さらにその化学構造を決定し、なおかつ前記抗酸化物質の化学合成を行うことにも成功し、そして、カキに由来しない、あるいはカキに由来する場合の双方での優れたいわゆる新規抗酸化剤及び抗酸化剤組成物の提供が行えることにも成功している。
さらに、ヒト低比重リポ蛋白(low-densitylipoproteins、LDL)の酸化実験と、肝臓の株化細胞の酸化実験における当該物質の抗酸化能をも確認している。
かくして、今回は、前記マガキ軟体部から抽出したカキ肉エキスに、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を有効成分とした抗ストレス、抗抑うつ、抗疲労、抗混乱、活気増幅作用を見出すことに成功した。
さらに、本件発明者は、当初の生のカキ肉からは全く見出されなかった3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)をカキ肉エキスの抽出段階で前記カキ肉エキスの抽出液を加熱することや加圧することで生成できることをも見出した。
よって、本発明は前記の様にして、マガキ軟体部から抽出したカキ肉抽出液より、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を有効成分として含む抗ストレス、抗抑うつ、抗疲労、抗混乱、活気増幅用カキ肉エキスを生成する製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明は、
生の状態では3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が検出されない生ガキ肉を、破砕し、その破砕物を後3時間以上、80℃以上で加熱することにより、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を前記加熱処理したカキ肉液より生成し、前記生成された3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を有効成分にして抗ストレス、抗抑うつ、抗疲労、抗混乱または活気増幅用カキ肉エキスを生産する、
ことを特徴とし、
または、
生の状態では3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が検出されない生ガキ肉を、破砕し、その破砕物を6時間以上、98℃乃至100℃で加熱することにより、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を前記加熱処理したカキ肉液より生成し、前記生成された3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を有効成分にして抗ストレス、抗抑うつ、抗疲労、抗混乱または活気増幅用カキ肉エキスを生産する、
ことを特徴とし、
または、
生の状態では3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が検出されない生ガキ肉を、破砕し、その破砕物を少なくとも9時間以上、90℃以上で加熱することにより、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を前記加熱処理したカキ肉液より生成し、前記生成された3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を有効成分にして抗ストレス、抗抑うつ、抗疲労、抗混乱または活気増幅用カキ肉エキスを生産する、
ことを特徴とし、
または、
生の状態では3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が検出されない生ガキ肉を、破砕し、その破砕物を、抽出溶液内に入れてカキ肉エキスを抽出し、抽出したカキ肉エキ抽出液を1気圧の状態で少なくとも10時間以上、90℃以上で加熱することにより、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を前記加熱したカキ肉抽出液より生成し、前記生成された3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を有効成分にして抗ストレス、抗抑うつ、抗疲労、抗混乱または活気増幅用カキ肉エキスを生産する、
ことを特徴とし、
または、
生の状態では3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が検出されない生ガキ肉を、破砕し、その破砕物を1気圧以上の加圧状態で加熱することにより、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を前記加圧状態で加熱したカキ肉液より生成し、前記生成された3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を有効成分にして抗ストレス、抗抑うつ、抗疲労、抗混乱または活気増幅用カキ肉エキスを生産する、
ことを特徴とし、
または、
生の状態では3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が検出されない生ガキ肉を、破砕し、その破砕物を3気圧以上の加圧状態で少なくとも1時間以上、90℃以上で加熱することにより、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を前記加圧状態で加熱したカキ肉液より生成し、前記生成された3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を有効成分にして抗ストレス、抗抑うつ、抗疲労、抗混乱または活気増幅用カキ肉エキスを生産する、
ことを特徴とするものである。
本発明によれば、カキ肉の抽出物から抽出した3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を有効成分とする抗ストレス、抗抑うつ、抗疲労、抗混乱、活気増幅用カキ肉エキスを生産する方法を提供できるとの優れた効果を奏する。
本発明の実験結果を説明する説明図(1)である。 本発明の実験結果を説明する説明図(2)である。 本発明の実験結果を説明する説明図(3)である。 本発明の実験結果を説明する説明図(4)である。 本発明の実験結果を説明する説明図(5)である。 マウスへの標準飼料の成分内容一覧を説明する説明図である。 本発明の概略構成を示す概略構成説明図(1)である。 本発明の概略構成を示す概略構成説明図(2)である。 本発明のフローチャートを説明する説明図である。 3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)抽出のための有機溶媒の極性を段階的に高めていく状態を説明する説明図である。 各抽出物の抗酸化活性試験の結果を示す説明図である。 シリカオープンカラムによる抽出を説明する説明図である。 酢酸エチル分画抽出を説明する説明図である。 本発明により抽出された3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)の構造を説明する説明図である。 ORAC法の測定原理を説明する説明図である。 本発明による3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)の抗酸化能を説明する説明図である。 本発明による3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)の構造解析を説明する説明図(1)である。 本発明による3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)の構造解析を説明する説明図(2)である。 被験者の分類と内訳を説明する説明図である。 有効性解析対象者の背景を説明する表である。 有効性を説明する表である。 50歳未満の被験者層の有効性を説明する表である。 ストレス負荷試験の内容を説明する説明図である。 飼育方法を説明する説明図である。 各臓器のMDA濃度を説明する説明図である。 腎臓中8−OHdG濃度を説明する説明図である。 血漿中コルチコステロン濃度を説明する説明図である。
以下、本発明を図に示す一実施例に基づいて説明する。
図7、図8において、符号1は、抽出容器であり、該抽出容器1内には、カキ肉から抽出物を抽出するための抽出用溶液2が貯留される。そして、該抽出用溶液2が貯留されている抽出容器1内に生ガキ肉3を収納し、カキ肉の各種有効成分を含有する抽出物を抽出する工程が行われる。
ところで、従来では、カキ肉抽出物抽出時に、抽出容器1内のカキ肉3が収納された抽出用溶液2を攪拌し、抽出をより効率化することが従来行われていたことがあったが、カキ肉3自体を痛めることにもなり、この抽出工程時点での攪拌作業は行わない方が好ましい。
前述のようにしてカキ肉抽出物が抽出された抽出用溶液2を次は濃縮工程によって濃縮されるものとなる。
次に、この濃縮液6に、エタノール溶液4を加え、70%程度のエタノール濃度の溶液とする。その後、攪拌すると共に、沈殿物7と上澄み液8とに分離する。
そして、図7から理解されるように、沈殿物7は乾燥させ、打錠し、最終的に健康食品などに供される。
ところで、従来では前記上澄み液8は、何らカキ肉抽出物の有効成分が入っていない、あるいは入っていてもきわめて微量であるとして廃棄していたことがある。しかし、その後、実験や研究の結果、この上澄み液8内にもカキ肉抽出物に関する多くの有効成分が存在していることが判明し、現在ではこの上澄み液8も廃棄することなく利用している。
近年では、この上澄み液8を再度濃縮するとともに、その濃縮液を最終的に乾燥させる。そして、その乾燥物は、完全な固形物状にはならないが、ペースト状には形成することができ、もってペースト状の健康食品とするなどして製造している。そして、このペースト状の健康食品は、需要者側において白湯などで溶いて飲料用健康食品に供されるのである。
まず、本実施例では、前記の上澄み液8を使用して後述する3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)入りのカキ肉抽出物を回収するものである。
すなわち、前記のごとく沈殿物7と上澄み液8に分離した後、該上澄み液8につき、まず、エバポレータなどで前記上澄み液8のエタノール分を除去し、約半分の量になるまで濃縮する。
たとえば40mL分の上澄み液8を濃縮して20mLの上澄み液8の濃縮液9を確保するがごときである。
次いで、その20mLの濃縮液を約5倍になるよう希釈して希釈液10を生成する。たとえば100mLの希釈液10の量にするがごときである。このような工程を経るのはなるべく不純物を除去するためである。
その後、たとえばこの100mLの希釈液10の溶液に、たとえば酢酸エチル5を200mL程度投入する。そして、その後攪拌するなどして、あるいは分離器を使用して水層10aと酢酸エチル層11とに分離させる。すると、時間の経過と共に、この混合溶液は、水層10a、そして酢酸エチル層11とに分離して形成されるものとなる。
すると、この酢酸エチル層11内に後述する3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が存在していることが確認できた。
ここで、その確認できた3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)の量であるが、具体的には、約2L分収集した酢酸エチル層11から約3mgの3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)があることが確認できた。
次に、前記3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)がどの様な工程でカキ肉抽出物から分離精製でき、もってカキ肉抽出物内での存在が確認できたのか、また3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)はどのような構造から構成されているのか、さらには3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)の抗酸化作用がどの様に確認できたのかなどを以下に説明する。
まず、図9に示すフローチャートに従って説明する。
たとえば、エタノール溶液4を含んだ抽出用溶液2内にカキ肉3を投入してカキ肉有効成分抽出物の抽出を行なう(ステップ100、ステップ102)。
抽出後はその抽出液を濃縮する(ステップ104)。そして、該濃縮液6にたとえば、エタノール溶液4を加え、70%程度のエタノール濃度の溶液とする(ステップ106)。その後、攪拌し、沈殿物7と上澄み液8とに分離する(ステップ108)。
そして、前記上澄み液8を用い、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)抽出のための酢酸エチルを用いた抽出作業を行う。
図9から理解されるように、前記エタノール分をなくし(ステップ110)、かつ約5倍に希釈した上澄み液8におのおのヘキサンからクロロホルム、酢酸エチル、そしてブタノールを投入し、おのおのの分画を生成する。
例えば、ロータリーエバポレーターなどで100mLまで濃縮し、該濃縮液20mLに例えば蒸留水80mLを加えて分液ロートに移し、ヘキサン抽出を行う。
ヘキサン層(200mL)を除去後に、水層からクロロホルム200mL、酢酸エチル200mL、ブタノール200mLの順で段階的に抽出する。
すなわち、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)抽出のための有機溶媒の極性を段階的に高めていってそれらをそれぞれ投入した分画を生成し、おのおのの分画に3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が抽出されているかを確認する(図10参照)。
次いで、前記それぞれの有機溶媒を投入した分画をたとえばエバポレータで濃縮した後、Thin-Layer-Chromatography(以下、TLCと称する。TLC:薄層クロマトグラフィー)により観察すると共に、いわゆるORAC法(OxygenRadicalAbsorbanceCapacity法)による抗酸化力の検索を行うのである。
すると、その結果、TLC像では、ヘキサンからクロロホルム、酢酸エチル、そしてブタノールにかけて極性の低いものから高いものへと溶出されていくことが確認できた。
また、ORAC法により酢酸エチル分画においてプラトーの部分が観察されて、当該酢酸エチル分画に高い抗酸化能が認められ、よって、この酢酸エチル分画に3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が存在していると判断されるのである(図11参照、図9のステップ112)。
次いで、この酢酸エチル分画をエバポレータによりやはり濃縮した後、いわゆるシリカオープンカラムによる抽出を行い(図12、図9のステップ114)、クロロホルム:酢酸エチルが3:2の割合での抽出分画を選択し(図13参照)、最終的にその分画をHPLC(逆相カラム)によって、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を分離精製することができたのである(ステップ116)。
このように、カキ肉抽出物を抽出した上澄み液8から3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を分離精製することができた。
なお、以下の操作によっても3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を分離精製することができる。
まず、0.075mol/Lリン酸緩衝液2.3、5mL、6.3×10-7mol/LFluorescein(蛍光プローブ)0.3mL、7%(w/v)methylatedβ-cyclodextrin(Wako)の混合溶液に溶解したトロロックス(Wako)または被験試料0.05mLを37℃で10分間加温する。
予め37℃に加温した1.28×10-1mol/L2、2’-azobis(2-amidinopropane)dihydrochloride(AAPH、Wako)0.3mLを加え、例えばスターラ―で撹拌しながら、分光蛍光光度計(FP-6500、JASCO、東京)で10秒おきに5,000秒まで蛍光強度(励起波長493nm、蛍光波長515nm)を測定する。
抗酸化活性は測定開始時点の蛍光測定値(例えば図11中の縦軸)が維持される時間(同横軸)の長さで示され、その時間が長いほど抗酸化活性が強いことを意味するものである。
すると、やはり前記4種類の抽出画分の中では酢酸エチル抽出画分に抗酸化活性が確認された。
次いで、抗酸化活性が示された酢酸エチル抽出物について順相のシリカゲル薄層分取クロマトグラフィーを行う。シリカゲル薄層プレート(200×200mm、厚さ0.5mm、Merck、Darmstadt)を用い、移動相として酢酸エチル-クロロホルム(2:1、v/v)を用いた。展開後のプレートに紫外線ランプ(254nm)を照射し、紫外線吸収性の11画分を得た。各画分の試料をゲル担体とともに分離し、例えばメタノールで溶出後に抗酸化活性を測定すると、低極性側から6番目の画分に抗酸化活性が観察された。
さらに、前記薄層クロマトグラフィーで抗酸化活性を示した画分を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で精製する。HPLCシステム(ポンプ:L-2130、UV検出器:L-2420、HITACHI、東京)、逆相カラム(APCELLPACC18、250×4.6mmI.D.、SHISEIDO、東京)、及び移動相5%アセトニトリル水溶液(流速1.0mL/min)を使用して室温で分離した。
しかして、この操作によっても原料の160mLエタノール抽出液から最終的に3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)3.0mgが得られるものとなった。
ところで、前記3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)の存在は、紫外線吸収スペクトル(V-530、JASCO)、核磁気共鳴スペクトル(NMR:AMX-500、Bruker、Karlsruhe)、マススペクトル(JMS-T100CS、JEOL、東京)を測定して、構造解析を行い(図17、図18)、その結果、前記の分離精製物の構造が、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)と推定されるのである。
条件
UV(EtOH)、λmax270nm;1H-NMR(500MHz、Acetone-d6)δH:7.82(2H、br.s、aromatic-OH)、6.40(2H、s、H-2、6)、4.42(2H、s、H-1’)、3.94(1H、br.s、-OH)、3.79(3H、s、-OMe);13C-NMR(125MHz、Acetone-d6)δC:151.1(C-3、5)、139.4(C-1)、13、5.1(C-4)、106.5(C-2、6)、64.5(C-1’)、60.6(-OMe);ESI-TOFMS、m/z153.05451[M-OH]+(calc.forC8H8O3、153.05517)、171.06911[M+H]+(calc.forC8H11O4、171.06573)。
ここで、分離精製された3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)の性状を説明すると、その性状は黄淡色の粉末で、脂溶性及び水溶性を示している。
また、当該3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)は、図14に示すようなフェノール性化合物であることが確認された。
なお、ここで、食品の抗酸化物質の測定法については、これまでに様々報告されてきているが、どれも一長一短があり、統一または公定法化(分析値の妥当性確認)された方法はなかった。しかしながら、米国では、すでにORAC値を表記したサプリメントや飲料が上市されており、世界標準となりつつある。
よって、本実施例では、ORAC法により抗酸化力を測定することとしている。
ところで、日本ではすでにORAC法の公定法化の研究を行う研究会(AntioxidantUnit研究会)が出来ている。ORAC法の利点としては水溶性、脂溶性のどちらのサンプルも測定でき、前述したどの有機溶媒分画も測定できることがあげられる。
また一回の測定で抗酸化作用の持続時間とその力価を合わせて評価でき、実験操作が容易であるなどから本実施例での測定に有利であったと考える。
ここで、ORAC法の測定原理について若干説明する。まず、一定の活性酸素種を発生させ、それによって分解される蛍光強度を測定し、経時的に減少する蛍光強度の曲線を描いた場合、この反応系に抗酸化物質が共存すると蛍光物質の蛍光強度の減少速度が遅延する。よって、この原理により抗酸化物質の存在が確認できるものとなるのである(図15参照)。
しかして、本発明における3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を前記ORAC法によりその抗酸化能を観察したところ、いわゆる標準物質(Trolox)と同じように延滞期が存在し、強い抗酸化活性が観察できたのである(図16参照)。
本実施例では、前述した上澄み液8から探査すべく、ORAC法を用い、酢酸エチル分画において高い抗酸化力を有する3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を発見できたのである。
続いて実施例2について説明する。
従来、生のカキ肉内からは、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)は見出されてはおらず、生のカキ肉から、いかなる製造によって前記3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)なる有効成分が生成されるかは未確認の状態であった。
しかしながら、本件発明者は生のカキ肉から多くの有効成分を含んだカキ肉エキスを生成するに際し、当初の生のカキ肉からは全く見出されなかった3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol :以下E6と称する場合がある。)をカキ肉エキスの抽出段階で生成できる生成方法を見出すことに成功したのである。
そして、特願2014−169316号として特許出願するに至った。
(加熱実験)
加熱実験(加圧なし)では、1kgの生ガキに1Lの純水を加えて標準気圧にて1時間、例えば90℃以上で加熱した後、固形分(ゆでガキ)を取り除いたカキ肉エキス(抽出液)を例えば90℃以上で長時間加熱した。
そして、前記加熱状態において、2時間おきにサンプリングを行い(16時間から19時間までは1時間おき)、そのサンプリングした抽出液に、該抽出液のエタノール濃度が例えば、70%になるように100%エタノールを加え、その抽出液を遠心分離(8100G、10分)し、上澄みを得た。
そして、前記上澄みを約100倍希釈し、約100倍希釈した上澄み中のE6濃度をMRMによって測定したのである。
しかし、カキ肉エキス抽出後の抽出液を標準気圧にて2時間加熱した場合に、E6(3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)は検出されなかった。
次に、標準気圧にて18時間加熱したサンプルにおけるE6のMRMクロマトグラムを参照すると、保持時間5.2乃至5.5分に単一のピークが確認され、E6が検出されたことが理解できた。
そして、E6濃度は4.86±0.10μg/mLであった。
さらに、18時間加熱した際の液量が125.38gであることより、生ガキ1kgから生成されたE6の総量は609±13μgであった。
また、加圧ありの加熱実験では、20kgのカキに対して20Lの純水を加えて標準気圧にて2時間加熱した後、固形分(ゆでガキ)を取り除き、圧力釜(カジワラ、OAMVPα-C-08EL)を用いて3気圧にて2時間加熱した。
1時間おきにサンプリングを行い、エタノール濃度が70%になるように100%エタノールを加えたものを遠心分離(8100G、10分)し、上澄みを得た。さらに、該上澄みを約100倍希釈し、そのサンプル中のE6濃度をMRMによって測定した。
しかして、カキ肉エキス抽出後の抽出液を3atmにて1時間加熱したサンプルにおけるE6のMRMクロマトグラムがしめされ、保持時間5.2乃至5.5分に単一のピークが確認され、E6が検出された。そして、E6濃度は、1.7±0.10μg/mLであった。
3気圧にて1時間加熱した際の液量が21.2kgであることより、生ガキ20kgから生成されたE6の総量は36040±2120μgであった。生ガキ1kg当たりに換算すると、生成されたE6は1802±106μgとなった。
加圧なしの加熱実験(標準気圧にて18時間加熱したカキ抽出エキス)に比べて、加圧有りの場合(3気圧にて1時間加熱したカキ抽出エキス)は、一見してE6濃度が低い。
しかしながら、加圧ありの場合は、サンプル中の水分蒸発量が少なく得られる液量が多いことから、カキ1kg当たりで比較すると加圧なしの場合よりもE6の収量が約3倍多かったことが理解できる。
カキ肉エキス抽出後の抽出液につき、3atmにて2時間加熱したサンプルにおけるE6のMRMクロマトグラムを参照すると、保持時間5.2乃至5.5分に単一のピークが確認され、E6が検出されている。
そして、E6標準試料の検量線とMRMクロマトグラムの解析により、E6濃度は3.5±0.39μg/mLであった。
この様に、3気圧にて1時間加熱した際の液量が19.1kgであることより、生ガキ20kgから生成されたE6の総量は66850±7449μgであった。生ガキ1kg当たりに換算すると、生成されたE6は3343±373μgとなった。
加圧なしの加熱実験(標準気圧にて18時間加熱したカキ抽出エキス)に比べて、加圧有りの場合(3気圧にて2時間加熱したカキ抽出エキス)は、一見してE6濃度が低い。
しかしながら、加圧ありの場合は、サンプル中の水分蒸発量が少なく得られる液量が多いことから、カキ1kg当たりで比較すると加圧なしの場合よりもE6の収量が約5.5倍多かったのである。
これらのことより、E6は長時間の加熱によって生成され、さらに加圧することで収集量が多くなることが確認できたのである。
ここで、上記の分析結果を踏まえて本実施例を要約説明する。
まず、生ガキ肉を押圧し、潰して、液体化する。
そして、その液体化した生ガキ中に、いかなる濃度の3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が存在するか否かの測定を行った。
しかして、生ガキを押圧し、潰して、液体化した液体中からは、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)は全く検出されなかったのである。すなわち、生ガキ肉当初の細胞中には、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が見出されないのである。
次いで、前記したように、抽出容器に約1対1の割合で生ガキ肉と、抽出用液体、例えば蒸留水とを入れ、前記生ガキ肉が入った抽出用液体を1気圧で1時間の間、例えば、92℃乃至94℃の高温で加熱抽出した。
いわゆる加熱抽出というカキ肉エキスの抽出方法であり、当該方法により、従来から生ガキ肉中に存する多くの有効成分を前記抽出用液体内に抽出できていた。ここで、生ガキ肉中に存する多くの有効成分が抽出されると共に、生カキ肉を取り除いた前記抽出用液体を抽出液というものとする。
続いて、前記の抽出液につき、その後、1気圧で2時間の加熱処理(前記同様92℃乃至94℃)を行った。当初の抽出時間を算入して、都合、3時間の加熱処理である。
しかし、その3時間の加熱処理を行った抽出液においても、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)の存在は認められなかった。
さらに、1気圧で4時間(抽出時間を入れると合計5時間)、前記抽出液につき、加熱処理(92℃乃至94℃)を行い、その抽出液中に3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が存在するか否かの測定を行った。
この5時間の加熱処理(92℃乃至94℃)においては、その抽出液内の3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)の存在は0.09(μg/ml)と濃度測定の数値においては定量限界以下の数値であり、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が確実に存在するとの信頼性は得られなかった。
続いて、1気圧で6時間(抽出時間を入れると合計7時間)、前記抽出液につき、加熱処理(92℃乃至94℃)を行い、その抽出液中に3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が存在するか否かの測定を行ったが、その抽出液中においても、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)の存在は、0.12(μg/ml)とやはり濃度数値としては定量限界以下の数値であり、この場合においても、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が確実に存在するとの信頼性は得られなかった。
しかしながら、1気圧で6時間(抽出時間を入れると合計7時間)、前記抽出液につき、98℃乃至100℃の高温で加熱処理を行い、その抽出液中に3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が存在するか否かを評価するため、HPLC(Prominence LC-20A,Shimadzu)を用いて、E6の存在測定を行った。
そして、その抽出液中において、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)の存在を、濃度数値として定量限界以上の数値を見出すことが出来たのである。
すなわち、この場合において、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が存在するとの信頼性が得られたのである。
この様に、100℃近傍の高温で加熱処理を行った場合には、6時間以上の加熱処理によっても、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)、すなわち、E6について、濃度数値として定量限界以上の数値を見出すことが出来たのである。
さらに、1気圧で8時間(抽出時間を入れると9時間)、前記抽出液につき、加熱処理(92℃乃至94℃)を行い、その抽出液に3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が存在するか否かの測定を行った。
しかし、該抽出液中にも3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)の存在は、確実には確認できなかった。すなわち、0.29(μg/ml)との数値を得たが、やはり濃度測定の定量限界以下の数値であった。
次いで、1気圧で10時間(抽出時間を入れると11時間)、前記の抽出液につき、加熱処理(92℃乃至94℃)を行い、その抽出液に3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が存在するか否かの測定を行った。
そして、この長時間加熱処理(92℃乃至94℃)を行った抽出液内に所定濃度の3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)の存在が認められるか否か確認した。
すると、0.54(μg/ml)と初めて濃度測定の定量限界を超える数値を計測することができ、前記合計11時間の加熱処理を行った抽出液内には、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が明らかに存在するとの確認が得られたのである。これは、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)がカキ1kgあたり215.8μg生成されたことを意味する。
さらに、1気圧で12時間(当初の抽出時間を算入すると合計13時間)、前記抽出液につき、加熱処理を行い、その抽出液に所定濃度の3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が存在するか否かの測定を行った。
そして、その抽出液内に3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)の存在が認められるか否か確認したところ、0.86(μg/ml)とさらに定量限界を超える増加した数値を測定することができた。
そして、これは、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)がカキ1kgあたり288.4μg生成されたことを意味するのである。
さらに、1気圧で14時間(前記抽出時間の1時間を算入すると合計15時間)前記抽出液につき、加熱処理を行い、その抽出液に所定濃度の3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が存在するか否かの測定を行った。
そして、その抽出液内に3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)の存在が認められるか否か確認したところ、1.42(μg/ml)とさらに定量限界を超える数値を測定することができ、長時間加熱処理を行うと、抽出液内に3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)がさらに増加して存在するとの確認が得られた。
そして、この場合には、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)がカキ1kgあたり373.9μg生成されたことを意味する。
次いで、1気圧で16時間(抽出時間を算入して17時間)、前記抽出液につき、加熱処理を行い、その抽出液に所定濃度の3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が存在するか否かの測定を行った。
そして、その抽出液内に3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)の存在が認められるか否か確認したところ、2.63(μg/ml)との再び増加した数値を測定することができ、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が、長時間か熱処理することにより、増加して存在するとの確認が得られた。
この場合、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)がカキ1kgあたり478.6μg生成されたことを意味する。
さらに、1気圧で17時間(抽出時間を算入して18時間)、前記抽出液につき、加熱処理を行い、その抽出液に所定濃度の3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が存在するか否かの測定を行った。
そして、その抽出液内に3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)の存在が認められるか否か確認したところ、再び増加した3.42(μg/ml)との数値を測定することができ、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が存在するとの確認が得られた。
この場合において、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)はカキ1kgあたり519.5μg生成されたことを意味する。
次いで、1気圧で18時間(抽出時間を入れて19時間)、前記抽出液につき、加熱処理を行い、その抽出液に所定濃度の3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が存在するか否かの測定を行った。
すると、さらに増加した濃度数値である4.86(μg/ml)との数値を測定することができた。
これは、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)がカキ1kgあたり609.3μg生成されたことを意味する。
さらに、1気圧で19時間(抽出時間の1時間を算入して20時間)、前記抽出液につき、長時間の加熱処理を行い、その抽出液に3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が存在するか否かの測定を行った。そして、その抽出液内に所定濃度の3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)の存在が認められるか否か確認したところ、6.49(μg/ml)との数値を測定することができ、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)がさらに増加して存在するとの確認が得られた。
そして、この場合に、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)はカキ1kgあたり581.3μg生成されたことを意味する。
この様に、当初、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)は、生ガキ中には全く存在せず、また1気圧、1時間のカキ肉エキスの加熱抽出を行った抽出液においても全く存在せず、検出されなかったが、該抽出液をきわめて長時間、加熱すればするほど、また、加熱温度を100℃近傍にするほど増加して生成されることが確認された。
この結果、カキ肉エキスの抽出液を1気圧で19時間(抽出時間の1時間を入れると20時間)、加熱処理した場合には、抽出液の比重を1とすると、生ガキ1kgより581μg(6.49μg×89.57g)の3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が生成されたのである。
さらに、前述したように、抽出液につき、1気圧で2時間乃至8時間加熱処理した場合には、所定濃度の3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)は全く検出されなかったが、抽出液(生ガキを取り除いた抽出液体)につき、3気圧で1時間、加熱処理した場合には、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)の濃度が1.7(μg/ml)との数値が得られ、この数値からすると、生ガキ20kgから液量21.2kgを得て、前記抽出液の比重を1とすると、3気圧、1時間の加熱処理では、生ガキ1kgより3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が1820μg生成されたことになる。
さらに、前記抽出液につき、3気圧で2時間、加熱処理した場合には、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)の濃度が3.5(μg/ml)との数値が得られ、この数値からすると、生ガキ20kgからは液量19.1kgを得て、前記抽出液の比重を1とすると、3気圧、2時間の加熱処理では生ガキ1kgより3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が3342.5μg生成されたことになる。
尚、1気圧以上の加圧状態で所定時間、例えば50分以上加熱処理をした場合、加熱温度が加圧により上昇することも相まって、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)の濃度数値として定量限界以上の数値が見出すことが出来るものとなる。
この様に、本来生ガキ肉中には、見出されない3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-、4-methoxybenzyl alcohol)を、前記加熱抽出を行ったカキ肉エキスの抽出液につき、加熱および/または加圧処理することにより明確に生成されることが判明したのである。しかも加熱時間を長時間にすればするほど、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-、4-methoxybenzyl alcohol)が増加して生成されることが判明したのである。
さらに、3気圧の加圧処理を行った場合には、短時間の処理時間であっても3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-、4-methoxybenzyl alcohol)が生成されることが確認できたのである。
尚、本件発明者は、生の状態では3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が検出されない生ガキ肉を、破砕し、ミンチ状態とした。そして、そのミンチにした破砕物を、(生ガキミンチ)3:(水)1の割合で3時間以上、80℃以上で加熱することにより、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を前記加熱処理したカキ肉液より生成した。
生の状態では3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が検出されない生ガキ肉を、破砕し、ミンチ状態とすることにより、比較的短い時間でE6を生成することが出来た(7000ng/mL)。
ところで、マウスは個別飼育することにより、酸化ストレスが生じることが報告されている。
酸化ストレスによるHPA系の過剰亢進は海馬グルココルチコイド受容体の減少とHPA系の伝達不備のため、コルチコステロンの過剰分泌を惹起させることが知られている。
よって、次に、個別飼育により酸化ストレスを生じたマウスに対するマガキ軟体部エキスの3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を含有した分画の抗酸化作用抗ストレス作用の検討を行った。
すなわち、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が抗酸化と抗ストレスの関与成分であるか否かをマウスによって検討したものである。
しかして、本発明者は、個別飼育により酸化ストレスを生じたマウスに対するマガキ軟体部エキスの3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を含有した分画に抗ストレス作用物質を有するか否か、そして、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を有する抗ストレス作用物質は真に抗ストレスの関与成分であるか否かを以下の実験例により明らかにした。
(予備実験)
予備検討実験として、ICR雄性マウスを6日間の予備飼育の後、集団飼育群(n=3)と個別飼育群(n=3)をCRF−1の自由摂取にて42日間の飼育の後、脳内MDA値を測定し、Student’s t-testにて検討した。
その結果、個別飼育群のMDA値31.86±0.77(μmol/g of brain)は、集団飼育群MDA値23.22±1.71(μmol/g of brain)より1%危険率で有意に高かった。これより、長期の個別飼育が、脳内酸化ストレスを惹起させることを確認した。
(実験1)
ICR雄性マウス18匹4週齢を6日間の間、集団飼育を行った。尚、ICR系マウスとは、スイス系マウスを起源とするアルビノマウスで、Dr.Hauschkaが多産を目的に選抜を行った系統である。
アメリカのInstitute of Cancer Researchから各所に送られたことから、その頭文字を取ってICRと命名されている。本系統は1963年にCharles River(USA)から導入され、生産供給が開始された。特徴は、比較的大型で発育が良好、性質は温順である。よって、汎用系統(General purpose)として、毒性・薬理・薬効・免疫・その他幅広い分野の研究に使用されている。
前記の集団飼育の間、固体飼料CRF−1を自由摂取させて馴化させた。ここで、前記固体飼料CRF−1とは、標準飼料であり、その成分内容は、図6の標準飼料成分内容一覧(100g中)から理解されるとおりである。
そして、6日間の集団飼育の後、前記ICR雄性マウス18匹について群分けを行った。
すなわち、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が含有されているカキ肉エキスや3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が含有されていないカキ肉エキスを与えず、例えば飲料水のみを与えた対照群(A群と称する)6匹と、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)-Free群すなわち、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が含有されていないカキ肉エキスを与えた群(B群と称する)6匹と、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)-Containing群、すなわち、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が含有されたカキ肉エキスを与えた群 (C群と称する)6匹の3群に分別した。
その後の飼育は、前記CRF−1の自由摂取にて43日間前記マウスの個別飼育を行った。
個別飼育とはあえて前記のマウスを1匹ずつ隔離し、個別に飼育することを意味する。マウスは集団で、すなわち群で飼育しないとストレスを感じる動物である。よって、あえて個別飼育をすることによって酸化ストレスを生じさせたのである。
また、解剖前の14日間、各試験対象物、すなわち、A群、B群、C群に、それぞれ、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が含有されているカキ肉エキスや3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が含有されていないカキ肉エキスを与えず、例えば飲料水のみを、また、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)-Free群すなわち、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が含有されていないカキ肉エキスを、または、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)-Containing群、すなわち、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が含有(含有量:2.43μg/0.1ml)されたカキ肉エキスを、胃ゾンデにて経口投与していったのである。
尚、胃ゾンデにて経口投与とは、注射器のような器具を使用してマウスの口から直接胃内に強制投与することを意味する。
前記試験対象物の投与量は、マウスの体重10gあたり0.1mLとした。
なお、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)-Free群すなわち、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が含有されていないカキ肉エキスを与えたB群と、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)-Containing群、すなわち、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が含有されたカキ肉エキスを与えたC群へのカキ肉エキス内の亜鉛量等の含有量は同量とした。
その後、14日目の前記試験対象物を経口投与してから1時間後に、採血、臓器摘出を行い、血漿コルチコステロン濃度を測定した。
ここで、コルチコステロンとは、副腎皮質から分泌されるグルココルチコイドの一種であり、体内でコレステロールから一連の酵素反応を経て合成され、脳下垂体前葉ホルモンACTHにより分泌がコントロールされている物質である。コルチコステロンは、ストレス負荷時に分泌量が増加することが知られており、ストレス度測定に有効なバイオマーカーとして用いられている。
また、8-OHdGとは、グアニン塩基が酸化によって8-ヒドロキシ-デオキシグアノシン(8-OHdG)に変化した物質のことである。DNAはアデニン、グアニン、シトシン、チミンの4種類の塩基から構成されている。DNAは活性酸素によって酸化損傷を受けることが知られており、グアニン塩基は酸化によって8-OHdGに変化する。この8-OHdGは遺伝子DNAの修復過程で遺伝子本体から切り出され、血液を経て尿中に排泄される。さらに8-OHdGは比較的安定な物質で、生体内で代謝や分解されることなく尿中に速やかに排泄されることから、活性酸素による生体損傷を鋭敏に反映する優れたバイオマーカーとして用いられている。
また、MDAとは、マロンジアルデヒド(MDA)のことである。MDAは脂質過酸化分解生成物の一つであり、脂質過酸化の主要なマーカーとして用いられている。
ところで、前記危険率などの算出に際しての統計処理については、一元配置分散(ANOVA)を行った後、分散分析で有意差の認められた項目についてはTukey法を用いて多重比較による検討を行った。分散分析、多重比較のいずれも、統計的有意水準は1%、5%とした。
(実験1の結果及び考察)
尚、図1中のA群は、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が含有されているカキ肉エキスや3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が含有されていないカキ肉エキスを与えず、例えば飲料水のみを与えた対照群であり、B群は、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)-Free群すなわち、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が含有されていないカキ肉エキスを与えた群であり、C群は3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)-Containing群、すなわち、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が含有されたカキ肉エキスを与えた群である。
図1に血漿コルチコステロン濃度を示す。SMIRNOFFの棄却検定法により、B群の1つのデータに異常が認められ、棄却をした。図1から理解されるように、C群の血漿コルチコステロン濃度値は、119.8±5.7(ng/mL)であるのに対し、A群の血漿コルチコステロン濃度値は、149.9±7.5(ng/mL)であることが測定された。
前記結果より、C群の血漿コルチコステロン濃度値は、A群の血漿コルチコステロン濃度値より低くなることが確認できた。したがって、1%の危険率となり有意であった。
検定の結果、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)-Containing群、すなわち、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が含有されたカキ肉エキスを与えた群(C群)は3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が含有されているカキ肉エキスや3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が含有されていないカキ肉エキスを与えず、例えば飲料水のみを与えた対照群(A群)と比較して1%危険率で有意に低い数値を示したと理解できるのである。
したがって、血漿コルチコステロン濃度値の測定結果より、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)-Containing群、すなわち、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が含有されたカキ肉エキスを与えたC群のストレス緩和作用が観察されたと判断できる。
しかしながら、B群とA群との血漿コルチコステロン濃度値を比較した結果、有意差はなかった。
すなわち、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)-Free群すなわち、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が含有されていないカキ肉エキスを与えたB群に抗ストレス作用は観察されなかったからである。
なお、B群とC群の成分の違いは、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を「含有しない」か「含有する」のみの違いであり、その他の亜鉛等の成分含有量は同量とした。
したがって、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)-Containing群、すなわち、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が含有されたカキ肉エキスを与えたC群のみに観察されたストレス緩和作用は、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)に由来することが明らかになった。
すなわち、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)は、カキ肉エキスの抗ストレス作用の機能性成分として作用することが示されたのである。
(実験2)
実験2では、個別飼育ストレスによる各群のストレス応答状況を正確に把握するため各試験食餌の投与量を2倍に増加し、かつ匹数を増加し、脳中8-OHdG濃度、脳中のMDA濃度、血漿コルチコステロン濃度と海馬コルチコステロン受容体数の変化を観察した。
実験2でも上記と同じ予備飼育の後、群分けを行い、A群(n=10)、B群(n=10)、C群(n=10)の3群に群分けした後、ICR雄性マウスをCRF-1と蒸留水の自由摂取にて50日間の個別飼育を行った。
個別飼育開始後43日目から、各試料を8日間、毎日AM9:00に胃ゾンデにて強制経口投与した。投与量は、体重10gあたり0.2 mLとした。
A群には、純水を、B群には、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)-Free群すなわち、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を含有しないカキ軟体部エキス分画を、C群には、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)-Containing群、すなわち、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を含有したカキ軟体部エキス分画を強制経口投与した。8日目投与1時間後(AM10:00)より解剖を行った。解剖は、ソムノペンチル(50mg/kg)麻酔下にて開腹し、腹部下大静脈よりヘパリン加採血を行った。その後、全脳を摘出し、海馬を分離した。
(実験2の結果及び考察)
次に、図2に脳中の8-OHdG濃度を示す。図2から理解されるように、C群の脳中の8-OHdG濃度値は、7.51±0.71(ng/g of brain)であるのに対し、A群の脳中の8-OHdG濃度値は、11.32±0.86(ng/g of brain)であることが測定された。
前記結果より、C群の脳中の8-OHdG濃度値は、A群の脳中の8-OHdG濃度値より低くなることが確認できた。したがって、1%の危険率となり有意であった。
次に、図3に脳中のMDA濃度を示す。図3から理解されるように、C群の脳中のMDA濃度値は、22.13±0.58(μmol/g of brain)であるのに対し、A群の脳中のMDA濃度値は、28.11±1.33(μmol/g of brain)であることが測定された。
前記結果より、C群の脳中のMDA濃度値は、A群の脳中のMDA濃度値より低くなることが確認できた。したがって、1%の危険率となり有意であった。
したがって、脳中の8-OHdG濃度値及び脳中のMDA濃度値の測定結果より、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)-Containing群、すなわち、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が含有されたカキ肉エキスを与えた群の脳内DNAと脂質に対する有意な抗酸化作用が観察された。
図4に血漿コルチコステロン濃度を示す。
C群の血漿コルチコステロン値141.4±9.8(ng/ml)は、A群193.9±9.1(ng/ml)より1%危険率で有意に低く、また、B群177.3±6.7(ng/ml)より5%危険率で有意に低値であった(図4)。
実験1の結果と同様に、C群は、A群、B群よりHPA系の過剰亢進を抑制し、ストレスに対するホメオスタシスを維持する作用が有意に高いことが観察され、再現性が確認された。
次に、図5に海馬グルココルチコイド受容体Alpha濃度を示す。
図5から理解されるように、C群の海馬におけるGR Alpha値0.812±0.038(ng/mg of hippocampus)は、A群0.590±0.036(ng/mg of hippocampus)より1%危険率で有意に高く、また、B群0.638±0.049(ng/mg of hippocampus)より5%危険率で有意に高い値であった(図5)。
ストレスに対する生体応答としては、HPA系の活性化を介して血中にコルチコステロンが放出され、コルチコステロンが海馬のGR Alphaと結合すると、ストレス応答の休止シグナルを視床下部に伝達して一連のストレス応答が終了することで恒常性(ホメオスタシス)が維持される。
しかし、個別飼育ストレス負荷による酸化ストレスで海馬のGR Alphaが減少し、視床下部に休止シグナルを伝達できなくなることで、コルチコステロンの放出が続き、血漿コルチコステロン濃度が上昇し、ストレス状態が長期化する状況にあったと思われる。
なお、ストレス状態が長期化すると海馬自体の神経突起が萎縮・消失することで、脳がストレスに対して脆弱になると言われている。
本実験では、個別飼育ストレス環境下においても血漿コルチコステロン濃度が高値であったが、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)-Containing群、すなわち、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)含有牡蠣肉エキスの摂取で脳内酸化ストレスが緩和され、それによって海馬GR Alphaが増加し、GR発現が上昇していたことから、視床下部への休止シグナル伝達が円滑になり、コルチコステロン放出が減少し、生体のホメオスタシスが維持されている可能性が示された。
つまり、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)-Containing群、すなわち、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を含有したカキ軟体部エキス分画の3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)に由来する脳内抗酸化作用によって海馬GR Alphaの増加に引き起こし、視床下部への休止シグナル伝達によって血漿コルチコステロン濃度の低下を生じ、ストレスに対する生体のホメオスタシスが保たれたと思われ、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)のストレス緩和作用が観察されたのである。
次に、男女勤労者を対象としたE6(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)含有カキ肉エキス摂取による抗ストレス、抗抑うつ、抗疲労、抗混乱、活気増幅効果の実験例について説明する。
ここでは、E6(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)含有カキ肉エキスの飲料を4週間連続摂取した時のストレス、疲労の主観的評価への影響について検討するため、POMS短縮版(POMS-S)の「疲労」スコアが60点以上かつ「活気」スコアが40点以下の仕事などの日常生活でストレス、疲労を感じている30歳以上60歳以下の成人勤労男女84名を対象に、プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施した。
研究に組入れた84名のうち、研究期間中に脱落した被験者はおらず84名全員が所定のスケジュールを完遂した。そのうち、研究計画書に予め定めていた有効性解析対象除外基準に該当した6名(被験食品群(A群)2名、プラセボ群(P群)4名)を除いた78名(A群40名、P群38名)で有効性解析を行った。
評価項目であるPOMS-Sについて、「抑うつ」スコアの事前から3週目及び4週目までの変化量は、A群はP群と比較して有意に低値(3週目:A群:-17.5 ± 13.4、P群:-11.1 ± 12.2、4週目:A群:-19.0 ± 11.8、P群:-13.6 ± 11.0)を示した。また、「疲労」スコアの事前から2週目までの変化量は、A群はP群と比較して有意に低値(A群:-15.1 ± 11.1、P群:-9.9 ± 10.0)を示した。また、「活気」スコアは、群間比較では統計学的な有意差が認められなかったが、各時点でP群に比べA群の事前からの変化量が大きい(改善)結果となった。
以上の結果から、E6含有カキ肉エキス飲料を摂取することにより、E6は精神的なストレスや疲労感を緩和させる働きがあると考えられた。また、E6は、50歳未満の勤労男女に対して、ストレス、疲労感、活力、睡眠困難の改善に特に効果を示した。また、E6含有カキ肉エキスの飲料の安全性には問題はなかった。
(本実験の目的と背景)
本実験に使用したカキ肉エキスは、生ガキから抽出濃縮されたエキスに、エタノール添加の後、得られた上澄みを濃縮させたカキ肉エキスである。
カキ肉エキスに含まれるE6 (3,5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)は新規抗酸化物質として研究が進められており、前述の様に、E6を含有するカキ肉エキスを用いた動物試験によって抗酸化とストレス緩和作用が認められている。
そこで、本実験では、ストレス、疲労を感じている30歳から60歳の男女にE6含有カキ肉エキスの飲料を4週間連続摂取させたときのストレス、疲労の主観的評価への影響について、プラセボを対照として比較検討したものである。
研究の方法
研究デザイン
プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験
被験者数及び割付
被験者数
本研究に組入れた被験者数は、被験食品群42名、プラセボ群42名、合計84名であった。
割付方法
割付担当者は乱数を用いて割付表を作成し、研究食品に割付番号を付与した。割付表は割付担当者が封緘し、割付表開封時まで密封保管した。
研究期間
2016年1月〜2016年4月に実施した。
被験者の選択及び除外基準
以下の選択基準に合致し、かつ除外基準に抵触しない被験者を選択した。
選択基準
(1)年齢が30歳以上60歳以下の成人男女勤労者
(2)事前検査時のアテネ式不眠尺度スコアが6点以上の者
(3)事前検査時のPOMS短縮版の「疲労」スコアが60点以上かつ「活気」スコアが40点以下の者
研究対象食品(以下、研究食品)
研究食品の名称
被験食品:E6(3,5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)含有カキ肉エキスの飲料
プラセボ:E6(3,5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)含有カキ肉エキス非含有の飲料
研究食品の食経験
カキ肉エキスに含まれるE6 (3,5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol) は新規抗酸化物質として研究が進められており、E6(3,5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を含有するカキ肉エキスを用いた動物試験によって抗酸化作用ストレス緩和作用等が認められている。
関与成分
E6 (3,5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)
研究食品の摂取量、摂取方法、摂取期間及び関与成分摂取量の設定
(1)研究食品の摂取量、摂取方法及び摂取期間
研究食品は、1日2回、朝1回、夜就寝1時間以上前に1回、1回あたり1本(50mL)を摂取させた。研究期間中は日誌を毎日記録させた。摂取期間は4週間とした。
研究スケジュール及び検査内容
研究スケジュール
(1)被験者候補を事前検査に来院させ、生活習慣アンケート、POMS短縮版(POMS-S)への記入の各検査を実施した。
(2)事前検査結果から被験者を選択し、摂取前検査に来院させ、体調確認・計測、一般臨床検査の各検査を実施した。
(3)摂取前検査結果から被験者を84名選択した。被験者に研究食品、摂取期間中日誌を配布し、研究食品の摂取及び摂取期間中日誌の記録を開始させた。
(4)被験者を摂取から2週目(15日目)、4週目(29日目)に来院させ、体調確認・計測、POMS-Sへの記入の各検査を実施する。4週目検査では一般臨床検査も実施した。
(5)摂取開始後は1週目(8日目)、3週目(22日目)でPOMS-Sを自宅で記入させた。
(6)各検査来院前日及び自宅でのアンケート記入日前日は、禁酒し、夜10時までに飲食を終え、夜12時頃までに就寝し、十分に睡眠をとるよう指導した。
有効性の評価
有効性の評価指標
評価項目:POMS-S
評価方法
POMS-Sは、摂取後各時点の検査の値の摂取前値からの変化量について、被験食品摂取群とプラセボ摂取群とを2標本t検定を用いて比較した。なお、参考として各群内における摂取後各時点の摂取前からの変化量を1標本t検定を用いて評価した。
数値の表示及び有意水準
数値は平均値±標準偏差で示し、検定の有意水準はp<0.05およびp<0.01の両者を用いた。
研究結果
以下では平均値がxxx、標準偏差がyyyの場合、xxx±yyyと示した。
被験者の選択
被験者として男性37名、女性47名、合計84名を選択し、研究を開始した。
解析対象者の内訳
研究を開始した84名の内、研究より脱落した被験者はおらず、所定のスケジュール及び検査内容を完遂した被験者は84名であった。
6名の被験者は、割付表を開封する前に当該被験者を有効性解析から除外することを決めた。
したがって、有効性解析対象者は78名とした(図19で説明するFig. 1)。
有効性解析対象者の背景因子
図20で説明するTable 2-1に、有効性解析対象者の背景因子(性別、年齢、身長、体重、BMI、収縮期血圧、拡張期血圧、脈拍、POMS-S、AIS)を示した。選択基準として用いたPOMS-S、AISに関しては、有意な差は認められなかった。
有効性の評価
主要評価項目(POMS-S)
図21で説明するTable 2-2-1、図22で説明するTable2-2-4に評価項目であるPOMS-Sの推移を示した。
POMS-S
抑うつ(D)の事前から3週目及び4週目までの変化量は、A群はP群と比較して有意に低値(3週目:A群:-17.5 ± 13.4、P群:-11.1 ± 12.2、4週目:A群:-19.0 ± 11.8、P群:-13.6 ± 11.0)を示した。疲労(F)の事前から2週目までの変化量は、A群はP群と比較して有意に低値(A群:-15.1 ± 11.1、P群:-9.9 ± 10.0)を示した(Table 2-2-1)。
各群の群内比較では、A群においては緊張・不安(TA)(各時点)、抑うつ(D)(各時点)、怒り・敵意(AH)(1週目、3週目、4週目)、活気(V)(1週目、3週目、4週目)、疲労(F)(各時点)、混乱(C)(1週目、3週目、4週目)が事前と比較して有意に変動(改善)した。P群においては緊張・不安(TA)(各時点)、抑うつ(D)(各時点)、怒り・敵意(AH)(1週目、3週目、4週目)、活気(V)(1週目、3週目、4週目)、疲労(F)(1週目、3週目、4週目)、混乱(C)(1週目、3週目、4週目)が事前と比較して有意に変動(改善)した。
探索的な有効性解析(POMS-S)
若年者ほどストレス適応能が高いことが考えられるため、探索的な有効性解析として、有効性解析対象者のうち50歳未満の男女61名(A群:31名、P群:30名)を対象とし、POMS-Sについて、追加解析を行った。
POMS-S(50歳未満の被験者層)
抑うつ(D)の事前から摂取後各時点の変化量は、A群はP群と比較して有意に低値(1週目:A群:-14.0 ± 12.0、P群:-7.4 ± 10.1、2週目:A群:-16.9 ± 11.6、P群:-9.8 ± 9.2、3週目:A群:-18.8 ± 2.6、P群:-9.7 ± 11.1、4週目:A群:-19.9 ± 11.9、P群:-12.3 ± 10.6)を示した。活気(V)の事前から摂取後各時点の変化量は、A群はP群と比較して有意に高値(1週目:A群:9.2 ± 10.3、P群:3.9 ± 5.1、2週目:A群:9.3 ± 9.0、P群:4.1 ± 5.3、3週目:A群:11.1 ± 11.1、P群:4.1 ± 7.1、4週目:A群:10.0 ± 10.4、P群:3.7 ± 4.9)を示した。疲労(F)の事前から摂取後各時点の変化量は、A群はP群と比較して有意に低値(1週目:A群:-12.7 ± 10.6、P群:-6.5 ± 8.4、2週目:A群:-15.6 ± 11.3、P群:-7.6 ± 8.2、3週目:A群:-16.4 ± 11.5、P群:-10.1 ± 9.7、4週目:A群:-17.7 ± 10.8、P群:-11.6 ± 11.1)を示した。混乱(C)の事前から摂取後各時点の変化量は、A群はP群と比較して有意に低値(1週目:A群:-13.5 ± 12.1、P群:-7.7 ± 9.4、2週目:A群:-14.5 ± 12.3、P群:-8.9 ± 7.4、3週目:A群:-18.0 ± 11.8、P群:-10.5 ± 11.3、4週目:A群:-18.0 ± 12.4、P群:-10.6 ± 10.7)を示した(Table 2-2-4)。
各群の群内比較では、A群においては緊張・不安(TA)(各時点)、抑うつ(D)(各時点)、怒り・敵意(AH)(1週目、3週目、4週目)、活気(V)(1週目、3週目、4週目)、疲労(F)(各時点)、混乱(C)(1週目、3週目、4週目)が事前と比較して有意に変動(改善)した。P群においては緊張・不安(TA)(1週目、3週目、4週目)、抑うつ(D)(1週目、3週目、4週目)、怒り・敵意(AH)(3週目、4週目)、活気(V)(1週目、3週目、4週目)、疲労(F)(1週目、3週目、4週目)、混乱(C)(1週目、3週目、4週目)が事前と比較して有意に変動(改善)した。
考察
アテネ式不眠尺度が6点以上であり、POMS短縮版(POMS-S)の「疲労」スコアが60点以上かつ「活気」スコアが40点以下の睡眠の問題やストレス、疲労を感じている30歳以上60歳以下の成人勤労男女84名を対象に、E6含有カキ肉エキスの飲料を4週間連続摂取による睡眠の質、ストレス、疲労の主観的評価への影響について、プラセボを対照として比較検討を行った。
主要評価項目であるPOMS-Sについて、抑うつ(D)の事前から3週目及び4週目までの変化量は、A群はP群と比較して有意に低値(3週目:A群:-17.5 ± 13.4、P群:-11.1 ± 12.2、4週目:A群:-19.0 ± 11.8、P群:-13.6 ± 11.0)を示した。また、疲労(F)の事前から2週目までの変化量は、A群はP群と比較して有意に低値(A群:-15.1 ± 11.1、P群:-9.9 ± 10.0)を示した(Table 2-2-1)。選択基準に用いた活気(V)は、群間比較では統計学的な有意差が認められなかったが、各時点でP群に比べA群の事前からの変化量が大きい(改善)結果であった。抑うつは「自信喪失感を伴った抑うつ感」、疲労は「意欲や活力の低下・疲労感」、活気は「元気さ、躍動感ないし活力」をそれぞれ意味している。よって、E6含有カキ肉エキス飲料摂取により、精神的なストレスや疲労感を緩和し活力を改善させる働きがあると考えられる。
物理的・身体的ストレスや心理的ストレスを受けると、脳内酸化ストレスを生じ、視床下部−脳下垂体−副腎皮質系(hypothalamic-pituitary-adrenal axis: HPA系)が亢進され、副腎皮質ホルモンであるグルココルチコイドの放出が増大される。グルココルチコイドが海馬中のグルココルチコイド受容体に結合することでHPA系の負のフィードバックが機能し、ストレス応答が終了する。慢性的な脳内酸化ストレスでは、海馬中のグルココルチコイド受容体量が減少しHPA系の亢進をもたらすが、抗酸化物質であるビタミンEにより減少したグルココルチコイド受容体が増加し、ラットにおいては不安行動が減少することが分かっている。
血液脳関門in vitro再構成系モデル試験やマウス経口投与試験の脳試料から、E6の脳内移行性が確認されているが、ラットの一般状態観察よりE6の中枢神経系に対する安全性については確認されている。また、長期個別飼育によりストレスを与えたマウスに対して、E6含有カキ肉エキスを経口投与することにより、脳中の酸化ストレスマーカー(8-OHdG、MDA)の減少が確認されている。さらには、脳内酸化ストレス減少に伴い、海馬のグルココルチコイド受容体の有意な増加や血漿中コルチコステロン濃度の有意な減少が確認されている。したがって、ヒトにおいても、E6の抗酸化能により脳内の酸化ストレス状態を緩和させることにより、精神的なストレスや疲労感を緩和させたと考えられる。
ストレスバイオマーカーの研究結果より、若年者ほどストレス適応能が高いことが考えられたため、有効性解析対象者のうち50歳未満の男女61名(A群:31名、P群:30名)を対象に、POMS-Sについて探索的な追加解析を行った。POMS-Sでは、抑うつ(D)及び疲労(F)に加え、活気(V)及び混乱(C)においても、A群はP群と比較して有意に改善が見られた。
これらの結果から、E6含有カキ肉エキスの飲料摂取により、ストレス適応能が比較的高いと考えられる50歳未満の勤労男女に対して、ストレス、疲労感、混乱、活力の改善に特に効果を発揮したといえる。
安全性に関しては、いくつかの検査値の変動が見られたものの、実施医師責任者によってE6含有カキ肉エキス飲料の安全性に問題なしと判断された。また、E6含有カキ肉エキス飲料による副次作用も認めらなかった。したがって、本研究条件下において、E6含有カキ肉エキス飲料の安全性が示された。
結論
ストレス、疲労を感じている30歳から60歳の勤労男女を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験の結果、E6含有カキ肉エキス飲料摂取により、ストレスの主観的評価であるPOMS-Sの抑うつ及び疲労のスコアを改善した。よって、E6は精神的なストレスや疲労感を緩和させると考えられる。
また、E6は、50歳未満の勤労男女に対しては、ストレス、疲労感、混乱、活力の改善に特に効果を示した。
また、本実験下ではE6含有カキ肉エキス飲料の安全性に問題はなかった。
さらに、マガキ軟体部抽出液から同定した新規抗酸化物質、3,5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol(以後、E6と称する)の酸化ストレスマウスに及ぼす抗酸化作用とストレス緩和作用を検討する。
マガキ軟体部からE6を含有する抽出液(E6含有量24.3μg/mL)とE6を含まない抽出液の2種類を調整した。
SLc:ICR雄性マウス30匹を42日間の長期個別飼育を行い、酸化ストレスマウスを作成した。それらのマウスを3群に分け、それぞれ、水、E6非含有抽出液、E6含有抽出液を8日間経口投与した。その後、採血、肝臓、副腎を含む腎臓(以後、腎臓)、膵臓、脾臓を摘出し、各臓器中のmalondialdehyde(MDA)値、腎臓中の8-hydroxy-2'-deoxyguanosine(8-OHdG)値と血漿中コルチコステロン値を測定した。
結果:E6含有抽出液の摂取群(以後、E6有群)のみで各臓器中MDA、腎臓中8-OHdGが有意に減少し、血漿中コルチコステロン濃度が有意に低下した。
結語:マガキ軟体部に含まれるE6は、各臓器中での脂質抗酸化作用、腎臓中のDNA抗酸化作用による疲労緩和作用、及び、血漿コルチコステロン低下によるストレス緩和作用を示した。
(はじめに)
我々はヒト試験において、睡眠に問題があり、疲労やストレスを感じている被験者にマガキ軟体部抽出液(被験飲料)を摂取させたところ、心理的指標である日本版Profile of Moods States 短縮版(POMS)、アテネ式不眠尺度(AIS)で抑うつなどのストレス、疲労、睡眠の質に対する被験飲料の有用性を確認した。さらに、プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験で被験飲料摂取時のAISとヒト睡眠時脳波測定による睡眠改善作用と中途覚醒の増加抑制作用を観察した。このようにマガキ軟体部抽出液のストレス緩和作用、疲労軽減、睡眠の質の改善作用は観察されているが、その関与成分は不明である。
マッサージなどによりPOMSの抑うつの項目の低下が生じるとともにコルチゾール濃度が低下することが示され、主観的側面からの感情、情動アプローチとしてのPOMSと客観的アプローチとしてのストレスマーカーとして血漿、唾液中コルチゾールが使用されている。ストレス負荷による血漿中コルチゾール濃度の上昇は、うつ様行動を生じさせることが報告されている。うつ病患者において入院時にストレス・ホルモンである血中コルチゾール濃度が高値を示し、治療によりうつ病が改善するとコルチゾール濃度が低下することが示されている。
抗酸化物質であるアスコルビン酸などは、活性酸素種により引き起こされる内分泌系を含む障害を予防することが報告されている。She-Fang Yeらは、副腎を含む腎が、酸化ストレスの影響を受けるとその分泌機能に影響を受け血中コルチコステロン値は上昇するが、抗酸化物質の投与によって数値は抑えられ、正常化することを示した。
つまり、酸化ストレスは、血漿グルココルチコイドの上昇を誘導し、心理的指標であるPOMSの抑うつの数値を上昇させていることが示唆され、次いで、抗酸化物質の摂取による血中グルココルチコイドの減少とPOMSの低下が報告されている。
我々はマガキ軟体部より、強い両親媒性を示す新規抗酸化物質3,5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol(E6)を分離、同定した。E6の抗酸化能は、抗酸化能測定法であるOxygen Radical Absorbance Capacity Assay(ORAC法)の評価で、1.24±0.35 μmol of TE/μmolであった。ビタミンCとも呼ばれる抗酸化物質であるL-アスコルビン酸のORAC値は、0.53±0.13 μmol of TE/μmolであり、E6のORAC値はL-アスコルビン酸の約2.3倍であった。
本試験では、マガキ軟体部抽出液の酸化ストレス軽減とストレス緩和作用を発現する関与成分が、E6であるとの仮説を設けた。これに基づき、個別飼育により生じた酸化ストレス状態のマウスに対して、マガキ軟体部抽出液中のE6が、抗酸化作用とストレス緩和作用を発現するか否かを検討した。
(材料と方法)
1.実験動物と飼育条件
4週齢のSlc:ICR 雄性マウス(三協ラボサービス(株))を固型飼料CRF-1(オリエンタル酵母工業(株))と飲水を自由摂取として、6日間の集団飼育を予備飼育として行い、馴化した。飼育条件としては、設定温湿度:24±1℃、55±5%、空調設備:All Fresh方式、照明時間:12時間自動点灯・消灯方式(8:00 AM~8:00 PM点灯)、飼育設備:プラスチック製ケージとした。
本実験は株式会社天然素材探索研究所動物実験指針に基づき、「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の緩和に関する基準」(平成18年4月28日環境省告示第88号、最終改正平成25年環境省告示第84号)に遵守して行った。
2.E6非含有抽出液とE6含有抽出液の調製
マガキ軟体部に水を加え、加熱にて水抽出の後、マガキ軟体部を除去した抽出液を第一抽出液とした。ついで、第一抽出液中のE6濃度をトリプル四重極型高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS/MS : LCMS-8040、島津製作所)にて測定し、E6が含有されていないことを確認した(検出限界:0.04μg/mL)。
株式会社渡辺オイスター研究所は、マガキ軟体部の加熱加圧抽出によるE6生成法を開発し、特許を出願した。
第一抽出液を二つに分割した。一つ目の抽出液は、無処理とし、E6が検出されないため、この抽出液をE6非含有抽出液とした。同抽出液摂取群をE6非含有抽出液摂取群(以後、E6無群)とした。
二つ目の抽出液は加熱加圧して、E6を生成した。これをE6含有抽出液とし、同抽出液摂取群をE6有群とした。E6含有抽出液中のE6濃度は、24.3 μg/mLである。
3.E6が抗酸化作用の関与成分であることの評価方法
本試験のプロトコルにおいてE6含有抽出液に含有されているE6が抗酸化作用の関与成分であることを述べる。
我々はマガキ軟体部抽出液の主な抗酸化物質をすでに報告した。加熱処理されたマガキ軟体部抽出液(本試験のE6含有抽出液)を薄層クロマトグラフィーにて分離し、11個の分画を得た後、各分画をORAC法にて抗酸化能を評価したところ、第6分画は、最も高い抗酸化能を示したが、その他の分画にはほとんど抗酸化能は観察できなかった。第6分画をHPLC(LC-20A、島津製作所)にて精製の後、1H NMR、13C NMR、heteronuclear multiple-bond correlation(HMBC)とelectrospray ionization-mass spectrometry(ESI-MS)を用いてE6であると同定した。E6をマガキ軟体部抽出液の主要な抗酸化物質とした。
また、抗酸化酵素の機能発現には亜鉛、銅、セレンなどが関与する。そこで、E6非含有抽出液とE6含有抽出液の微量元素量を比較するために、亜鉛を全微量元素の代表的なマーカーとして、両抽出液の亜鉛含有量を原子吸光分光光度計(AA-7000、島津製作所)にて測定した。その結果、E6非含有抽出液とE6含有抽出液の亜鉛含有量は、両抽出液とも2.23 ppmであり、差は生じなかった。この結果より、E6非含有抽出液とE6含有抽出液との間で、亜鉛を含むその他の微量元素含有量にも大差はないと思われた。
これらの結果より、E6非含有抽出液とE6含有抽出液の抗酸化能に関与する成分の違いは、E6を「含有しない」か「含有する」かの違いであることが示された。
4.ストレス負荷検討試験
Huongらは、Slc:ICR雄性マウスの42日間の個別飼育により酸化ストレスマーカーであるマロンジアルデヒド(Malondialdehyde: MDA)値の上昇を観察し、個別飼育が酸化ストレスを誘発させることを報告した。この酸化ストレス状況はストレス社会に生活している現代人と類似していると思われた。本試験では、酸化ストレスマウスを作製するために、Huongらの長期個別飼育方法を用いた。
長期個別飼育によりストレス状態が生じているか否かを確認するため、集団飼育と個別飼育の酸化ストレスマーカーのMDAおよびストレスマーカーの血漿コルチコステロン値を比較した。
ストレス負荷検討試験として、Slc:ICR雄性マウスを予備飼育の後、集団飼育群として、水と固型飼料CRF-1を自由摂取させ、50日間の集団飼育(n=10)とした。マウスの個別飼育群として、水と固型飼料CRF-1を自由摂取させ、50日間の個別飼育(n=10)を行い、最後の8日間は、純水を胃ゾンデにて強制経口投与した。50日目に両群の尿中8-OHdG値及び肝臓中、腎臓中のMDA値とストレスマーカーの血漿中コルチコステロン値を測定し、酸化ストレスとストレス状態を比較した。
DNA酸化ストレスマーカーである8-OHdG測定は、尿採取後、highly sensitive ELISA kit for 8-OHdG(日本老化制御研究所)を用いて測定した。脂質過酸化の最終物である主要なマーカーとして用いられているMDA値は、肝臓と腎臓を摘出後、Malondiadehyde assay kit(日本老化制御研究所)を用いて測定した。
ストレス負荷試験の結果より、個別飼育マウスの尿中8-OHdG値、肝臓、腎臓中のMDA値そして血漿中コルチコステロン値は、集団飼育マウスより有意に高かった(図23:ストレス負荷試験)。これより、長期の個別飼育によりマウスの全身、肝臓、腎臓で、酸化ストレスが誘導されたことが確認された。
さらに長期の個別飼育によりストレス-ホルモンまたストレスマーカーと言われる血漿コルチコステロンが、有意に上昇したことより、長期の個別飼育によるストレス増加が確認された。
5. 飼育方法及び群分け
長期の個別飼育によって誘導された酸化ストレス状態のマウスを対照群とした。既存の試験と類似した条件下での抗酸化作用及びストレス緩和作用などの再現性を確認するために、対照群(純水を経口投与)と既存食と同一成分であるE6有群を設けた。また、E6が、抗酸化作用とストレス緩和作用に対する関与成分であることを確認するために、E6無群とE6有群を設けた(図24)。
予備飼育の後、群分けを行い、対照群(n=10)、E6無群(n=10)、E6有群(n=10)の3群に群分けの後、Slc:ICR雄性マウスを固型飼料CRF-1と蒸留水の自由摂取にて50日間の個別飼育を行った。
43日目から8日間、対照群には純水を、E6無群にはE6非含有抽出液を、E6有群にはE6含有抽出液を、毎日9:00 AMに胃ゾンデにて強制経口投与した。各飼料の投与量は、体重10 gあたり0.2 mLとし、解剖日の対照群、E6無群、E6有群の体重は、45.2±1.1 g、42.8±1.0 g、43.4±1.1 gであった。
投与8日目の投与1時間後(10:00 AM)より解剖を行った。解剖は、ソムノペンチル(50 mg/kg)麻酔下にて開腹し、腹部下大静脈よりヘパリン加採血を行った。その後、肝臓、副腎を含む腎臓(以後:腎臓)、膵臓、脾臓を摘出した。
測定項目は、肝臓、腎臓、膵臓、脾臓中の MDA値、腎臓中の8-OHdG、血漿中コルチコステロン値とした。MDA値と8-OHdG値の測定方法は、ストレス負荷検討試験と同様にした。
5-1 血漿中コルチコステロン測定
血漿中のコルチコステロンは、Assay Max Corticosterone ELISA kit(Assaypro)を用いて測定した。コルチコステロン標準溶液または血漿サンプルを25 μLずつ96ウェルに添加し、ビオチン化コルチコステロン25 μLを加えた後、室温で2時間インキュベートした。洗浄バッファー200 μLを加えて洗浄後、Streptavidin-Peroxidase Conjugate を50 μLずつ添加し、30分間インキュベートした。洗浄バッファー200 μLを加えて洗浄後、Chromogen Substrateを 50 μLずつ添加し、20分間インキュベートした。続いて、各ウェルにStop Solution 50 μLを加え反応を停止した後、マイクロプレートリーダー(ImmunoMiniNJ-2300、バイオテック)で450 nmにおける吸光度を測定した。この吸光データより、コルチコステロン濃度を算出した。
6.統計処理法
ストレス負荷検討試験の統計解析は、平均値±標準誤差で表し、有意差の検定はStudent’s t-testにより行った。統計的有意水準は1%、5%未満とした。
本飼育試験の統計解析は一元配置分散(ANOVA)を行った後、分散分析で有意差が認められた項目については、Tukey法を用いて多重比較による検討を行った。分散分析、多重比較のいずれも、統計的有意水準は1%、5%未満とした。解析ソフトには、エクセル統計2015(株式会社 社会情報サービス)を使用した。
(結果)
図25の表(各臓器のMDA濃度)にある様にE6有群の肝臓のMDA値180.1±5.1 μmol/ g of wet tissueは、対照群のMDA値210.7±7.6 μmol/ g of wet tissueより危険率1%で有意に低値であった。E6有群の腎臓中のMDA値106.5±3.1 μmol/ g of wet tissueは、対照群のMDA値120.0±4.1μmol/ g of wet tissueより危険率5%で有意に低値であった。E6有群の膵臓のMDA値87.92±4.2 μmol/ g of wet tissueは、対照群のMDA値102.3±3.2μmol/ g of wet tissueより危険率5%で有意に低値であった。E6有群の脾臓中のMDA値144.5±4.5 μmol/ g of wet tissueは、対照群のMDA値159.5±3.9 μmol/ g of wet tissueより危険率5%で有意に低値であった。
E6無群の肝臓、腎臓、膵臓、脾臓中のMDA値は、対照群の各臓器中のMDA値より低い傾向はあるが、有意差は認められなかった。
E6無群の腎臓中8-OHdG値は25.9±1.7 ng/g of wet tissueであり、対照群の腎臓中8-OHdG値30.5±2.0 ng/g of wet tissueと有意差は認められなかった。E6有群の腎臓中8-OHdG値18.7±1.3 ng/g of wet tissueは、対照群の腎臓中8-OHdG値より1%危険率で有意に低かった。また、E6有群の腎臓中8-OHdG値は、E6無群の腎臓中8-OHdG値より5%危険率で有意に低かった(図26)。
図27にある様にE6無群の血漿中コルチコステロン値177.3±6.7 ng/mLと対照群193.9±9.1 ng/mLとの間に有意差は生じなかった。E6有群の血漿中コルチコステロン値141.4±9.8 ng/mLは、対照群の血漿中コルチコステロン値193.9±9.1ng/mlより1%危険率で有意に低かった。また、E6有群の血漿中コルチコステロン値は、E6無群の血漿中コルチコステロン値より5%危険率で有意に低値であった。
(考察)
本試験では、マガキ軟体部抽出液の酸化ストレス緩和、抗疲労作用とストレス緩和作用を発現する関与成分が、E6であるか否かを検討した。
図25より、E6有群の肝臓、腎臓、膵臓と脾臓中のMDA値は、対照群より有意に低値であり、E6含有抽出液の投与による各臓器での脂質抗酸化作用が確認できた。
一方、E6無群の各臓器中のMDA値は、対照群より有意な低下は示されず、E6非含有抽出液の投与による脂質抗酸化作用は観察されなかった。我々は、肝臓が酸化ストレス状態である非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)モデルマウスに対するE6含有抽出液の経口投与試験においても肝臓中のMDA値の有意な低下を報告した。
なお、E6含有抽出液とE6非含有抽出液の成分の違いは、E6を「含有する」か「含有しない」かのみの違いであり、他の成分は同程度である。これより、マガキ軟体部エキスの脂質抗酸化作用においてE6が関与成分として示唆された。
図26の腎臓のデータにある様に、E6有群の腎臓中8-OHdG値は、対照群より有意に低い値を示し、かつ、E6無群より有意に低い値を示した。長期の個別飼育によって上昇した各群の腎臓中8-OHdG値は、3群比較の検定により、E6有群のみで腎臓中8-OHdG値は有意な低下が観察され、E6含有抽出液のみにDNA抗酸化作用が認められた。
E6含有抽出液とE6非含有抽出液の成分の違いは、E6を含有するか否かのみの違いであり、E6含有抽出液投与のみに観察された腎臓内でのDNA抗酸化作用の関与成分は、マガキ軟体部より抽出された新規抗酸化物質であるE6であることが示唆された。
疲労は、活性酸素の過剰な産生により細胞や細胞内の蛋白質の部品が損傷し、細胞部品を修復するのに必要なエネルギー・物質が少ない状態と言われている。ヒトにおいても,抗酸化物質の摂取は疲労の改善に有効であることが示唆されている。
これらより、ヒト二重盲検比較群間試験において観察されたE6含有食品の摂取によるPOMS試験での有意な疲労軽減作用は、各臓器におけるE6含有抽出液の抗酸化作用に由来することが示唆された。特に、腎臓内のDNA抗酸化作用の関与成分として示唆されたE6は、腎臓での疲労軽減作用の関与成分としても示唆された。
また、図27にある様に、E6有群の血漿中コルチコステロン濃度は、対照群より、また、E6無群より有意に低い値を示した。3群比較の検定により、長期個別飼育のストレスにより上昇した血漿中コルチコステロン濃度の有意な低下が、E6有群のみに観察された。ストレス・ホルモンであるコルチコステロンの有意な低下が、E6有群に観察されたことよりE6含有抽出液投与によるストレス緩和作用が認められた。
この現象は、活性酸素種によって内分泌系に障害を生じ、抗酸化物質の摂取によってその機能不調を予防すること、また、生体内酸化ストレスにより血漿コルチコステロン濃度の上昇が誘導され、抗酸化物質の摂取によって副腎を含む腎の機能調節の改善により血漿コルチコステロン濃度が低下した報告と同じ動態であった。これより、E6含有抽出液投与のみで観察された血漿中コルチコステロン濃度の低下のメカニズムは、E6の抗酸化作用により副腎を含む腎の機能調節の改善が行われ、次いで、副腎からのコルチコステロンの過剰分泌が抑制されたことによると思われた。
E6含有抽出液とE6非含有抽出液の成分の違いは、抗酸化物質であるE6を「含有する」か「含有しない」かのみの違いであり、E6含有抽出液投与のみに観察されたストレス緩和作用の関与成分は、E6であることが示唆された。
既に報告したE6含有抽出液投与によるヒト試験のPOMSの抑うつ緩和作用は、本試験においてE6有群のみに観察された血漿中コルチコステロン濃度の低下によるストレス緩和作用に由来すると思われた。
本試験で観察されたE6有群の血漿中コルチコステロン濃度の低下によって示されたストレス緩和作用と睡眠の関連を考察する。我々は、ヒトにおけるプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験で被験飲料摂取時のAISとヒト睡眠時脳波測定による睡眠改善作用と中途覚醒の増加抑制作用を観察した。
健常人および不眠症患者の両方において夕方と入眠時の血漿中コルチゾール値とその後の睡眠における覚醒回数の間には正の相関があり、夕方の増加したコルチゾールは、睡眠障害を誘発し維持する重要な要素である可能性が指摘されている。
本試験の採血時間の10:00 AMは、夜行性のマウスにとっては夕方または入眠時に相当する時間と思われる。個別飼育によるストレスで対照群の血漿中コルチコステロン濃度は、高値を示したが、E6有群のみで、血漿中コルチコステロン濃度は有意に低下した。この事実より、ストレスにより血漿中コルチコステロン濃度が増加し、睡眠の質が低下しているヒトに対するE6含有抽出液の投与は、血漿中コルチゾール濃度を低下させ、睡眠の質を向上させる機能を生じさせる可能性が期待された。
(結論)
長期の個別飼育による酸化ストレスマウスに対して、E6有群のみに肝臓、腎臓、膵臓、脾臓中の脂質に対する有意な抗酸化作用が観察された。E6有群のみに腎臓中のDNAに対する有意な抗酸化作用が観察された。
E6含有抽出液中のE6による各臓器中の脂質抗酸化作用と腎臓中のDNA抗酸化作用に由来する疲労軽減作用が示唆された。
E6有群のみに血漿中コルチコステロン濃度の有意な低下が誘導され、E6によるストレス緩和作用が示唆された。
E6含有抽出液とE6非含有抽出液の成分の違いは、E6を「含有する」か「含有しない」のみの違いである。これより、E6有群のみに観察された各臓器での脂質抗酸化作用と腎臓でのDNA抗酸化作用及び血漿中コルチコステロン濃度低下に対する関与成分はE6であることが示唆された。
1 抽出容器
2 抽出用溶液
3 生カキ肉
4 エタノール溶液
5 酢酸エチル
6 濃縮液
7 沈殿物
8 上澄み液
9 上澄み液の濃縮液
10 希釈液
10a 水層
11 酢酸エチル層

Claims (6)

  1. 生の状態では3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が検出されない生ガキ肉を、破砕し、その破砕物を後3時間以上、80℃以上で加熱することにより、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を前記加熱処理したカキ肉液より生成し、前記生成された3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を有効成分にして抗ストレス、抗抑うつ、抗疲労、抗混乱または活気増幅用カキ肉エキスを生産する、
    ことを特徴とする抗ストレス、抗抑うつ、抗疲労、抗混乱または活気増幅用カキ肉エキスを生産する方法。
  2. 生の状態では3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が検出されない生ガキ肉を、破砕し、その破砕物を6時間以上、98℃乃至100℃で加熱することにより、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を前記加熱処理したカキ肉液より生成し、前記生成された3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を有効成分にして抗ストレス、抗抑うつ、抗疲労、抗混乱または活気増幅用カキ肉エキスを生産する、
    ことを特徴とする抗ストレス、抗抑うつ、抗疲労、抗混乱または活気増幅用カキ肉エキスを生産する方法。
  3. 生の状態では3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が検出されない生ガキ肉を、破砕し、その破砕物を少なくとも9時間以上、90℃以上で加熱することにより、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を前記加熱処理したカキ肉液より生成し、前記生成された3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を有効成分にして抗ストレス、抗抑うつ、抗疲労、抗混乱または活気増幅用カキ肉エキスを生産する、
    ことを特徴とする抗ストレス、抗抑うつ、抗疲労、抗混乱または活気増幅用カキ肉エキスを生産する方法。
  4. 生の状態では3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が検出されない生ガキ肉を、破砕し、その破砕物を、抽出溶液内に入れてカキ肉エキスを抽出し、抽出したカキ肉エキ抽出液を1気圧の状態で少なくとも10時間以上、90℃以上で加熱することにより、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を前記加熱したカキ肉抽出液より生成し、前記生成された3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を有効成分にして抗ストレス、抗抑うつ、抗疲労、抗混乱または活気増幅用カキ肉エキスを生産する、
    ことを特徴とする抗ストレス、抗抑うつ、抗疲労、抗混乱または活気増幅用カキ肉エキスを生産する方法。
  5. 生の状態では3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が検出されない生ガキ肉を、破砕し、その破砕物を1気圧以上の加圧状態で加熱することにより、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を前記加圧状態で加熱したカキ肉液より生成し、前記生成された3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を有効成分にして抗ストレス、抗抑うつ、抗疲労、抗混乱または活気増幅用カキ肉エキスを生産する、
    ことを特徴とする抗ストレス、抗抑うつ、抗疲労、抗混乱または活気増幅用カキ肉エキスを生産する方法。
  6. 生の状態では3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)が検出されない生ガキ肉を、破砕し、その破砕物を3気圧以上の加圧状態で少なくとも1時間以上、90℃以上で加熱することにより、3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を前記加圧状態で加熱したカキ肉液より生成し、前記生成された3、5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol)を有効成分にして抗ストレス、抗抑うつ、抗疲労、抗混乱または活気増幅用カキ肉エキスを生産する、
    ことを特徴とする抗ストレス、抗抑うつ、抗疲労、抗混乱または活気増幅用カキ肉エキスを生産する方法。
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