以下、本発明に係る包装袋について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1、図2、図15は、上記包装袋1を示すものであり、図1、図15は包装袋1の表面側積層フィルム2、図2は包装袋の裏面側積層フィルム3を示す。
本件発明の包装袋1は、表面側積層フィルム2と裏面側積層フィルム3の内側のシーラント層同士を対向し、周囲の所定幅を熱溶着することにより形成され、これにより、一定幅(所定幅)T1の左側熱溶着部4、右側熱溶着部5、上側熱溶着部6、下側熱溶着部7(図15参照)が形成され、内部空間に内容物が収納される。
尚、表面側積層フィルム2を図示した図1、図15において、紙面に向かって左右を「左右方向」、左右方向を基準に上下を「上下方向」と定義する。従って、裏面側積層フィルム3を図示した図2においては「左右方向」だけ図1と逆になる。また、左右外縁4a,5aより包装袋1の中央部方向を「内側」、中央部(中心線P参照)から左又は右の方向を「外側」と表現する。よって、表面側積層フィルム2においても、裏面側積層フィルム3においても、左外縁4aから中央部方向を「内側」、右外縁5aから中央部方向を「内側」という。また、表面側積層フィルム2を「表面側」、裏面側積層フィルム3を「裏面側」ともいう。
また、以下の説明において「切目線」とは、表面側積層フィルム2又は裏面側積層フィルム3の表面に、厚さ方向に貫通しない一定の深さで、レーザー加工により形成された切目線(所謂ハーフカット線)をいう。従って、この切目線は、例えば表面側積層フィルム2又は裏面側積層フィルム3の表面(例えば最外層のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)厚みのみに、切目線として形成されており、フィルム全体を貫通していない。この切目線に沿って包装袋1の上辺部1’を例えば手前下に引くことにより、当該切目線に沿って表面側積層フィルム2又は裏面側積層フィルム3の上辺部1’を切断し得るものであり(図5〜図7、図12〜図14参照)、所謂、開封用誘導線をいう。尚、図1は裏面側の切目線は点線、図2は表面側の切目線は点線にて描いている。
上記包装袋1において、上下の中央部より、上部側に再封手段8が設けられると共に(図15参照)、上記再封手段8と上辺の熱溶着部(上側熱溶着部6)との間に易開封手段9が形成されている。
また、本発明の包装袋1において、易開封手段9より上側であって、開封時に包装袋から切り取られる片部分を上辺部1’という(図1、図2参照)。
上記再封手段8は、周知の構造であり、包装袋の表面側積層フィルム2の内側に左右方向全体に樹脂製凸条を固定し、裏面側積層フィルム3の内側に上記樹脂製凸条に対応する樹脂製凹溝部材を左右全体に固定し、上記樹脂製凸条を上記樹脂製凹溝に着脱自在とし、これにより開口部を再封止できるようにしたものである。
(表面側積層フィルム2の易開封手段9について) 図1参照
上記表面側積層フィルム2の上記易開封手段9は、以下の構造を有している。
まず、表面側積層フィルム2側の易開封手段9は、1本の上部切目線10と、該上部切目線10より下方向に離間した1本の下部切目線11とにより構成されている。
上記上部切目線10は、上記表面側積層フィルム2において、当該包装袋1の左右の熱溶着部4,5の左右外縁4a,5aの同一高さより始まり、左右熱溶着部4,5の幅T1より内側に入った位置における左右の上部変曲部12a,12bまで、上方から下方に向けて下り傾斜に形成された左右対称の下向傾斜切目線(上側両端部切目線)13a,13bと、上記左右の上部変曲部12a,12bから、左右端部が左右の上記下向傾斜切目線13a,13bに連続し、中央部が上方に円弧状に膨れる左右対称の上側凸状切目線14とから構成される、全体として連続する1本の左右対称の切目線により構成されている。尚、左右対称とは中央線Pを中心として左右対称をいう。
上記左右の下向傾斜切目線13a,13bは、図3、図4に示すように、左右熱溶着部4,5の外縁4a,5aから内側方向に向けて下り傾斜直線状に形成されると共に、上記上部変曲部12a,12bにおいて、下向き円弧状に変曲しつつ、さらに上向き円弧状の上記上側凸状切目線14に滑らかに連続するように構成されている。
上記左右の上部変曲部12a,12bの左右方向の中心位置a,a’は、左右の熱溶着部4,5の内縁4b,5bから内側に各々距離S,Sだけ入った左右位置に形成されており、上記距離Sは、上記熱溶着部4,5の幅T1より若干長い程度とすることが好ましい。何れにしても、上記上部変曲部12a,12bは、左右熱溶着部4,5に近い左右位置に各々設けることが好ましい。
次に、上記下部切目線11は、上記表面側積層フィルム2において、当該包装袋1の左右の熱溶着部4,5の左右外縁4a,5aの同一高さより始まり、左右熱溶着部4,5の幅T1より内側に入った位置における左右の下部変曲部15a,15bまで、下方から上方に向けて上り傾斜に形成された左右対称の上向傾斜切目線(下側両端部切目線)16a,16bと、上記左右の下部変曲部15a,15bから、左右端部が上記左右の上向傾斜切目線16a,16bに連続し、中央部が下方に円弧状に膨れる左右対称の下側凹状切目線17とから構成される、全体として連続する1本の左右対称の切目線により構成されている。尚、左右対称とは中央線Pを中心として左右対称をいう。
上記左右の上向傾斜切目線16a,16bは、図3、図4に示すように、左右熱溶着部4,5の外縁4a,5aから内側方向に向けて上向き傾斜直線状に形成されると共に、上記下部変曲部15a,15bにおいて、上向き円弧状に変曲しつつ、さらに下向き円弧状の上記下側凹状切目線17に滑らかに連続するように構成されている。
即ち、上記上部切目線10の上記上側凸状切目線14は、左右両端が上記熱溶着部4,5より内側の左右の上部変曲部12a,12bに至り、上記上部変曲部12a,12bから上記包装袋1の左右外縁4a,5aまで至る下り傾斜の下向傾斜切目線(上側両端部切目線)13a,13bが設けられ、上記下部切目線11の上記下側凹状切目線17は、左右両端が上記熱溶着部4,5より内側の左右の下部変曲部15a,15bに至り、上記下部変曲部15a,15bから上記包装袋1の左右外縁4a,5aまで至る上り傾斜の上向傾斜切目線(下側両端部切目線)16a,16bが設けられている。
上記左右の下部変曲部15a,15bの中心位置a,a’は、左右の熱溶着部4,5の内縁4b,5bから内側に各々距離S,Sだけ入った左右位置に形成されており、上記距離Sは、上記熱溶着部4,5の幅T1より若干長い程度とすることが好ましい。従って、上記上部変曲部12a,12bと上記下部変曲部15a,15bとは、表面側積層フィルム2の左右位置において、同一位置に形成されている。何れにしても、上記下部変曲部15a,15bは、上記上部変曲部12a,12bと同様、何れも左右熱溶着部4,5の外縁に近い位置に各々設けることが好ましい。
そして、上記上部切目線10と上記下部切目線11とは、上下方向に離間して互いに決して接触しないように構成すると共に、上下部切目線10,11の離間距離は、左側の上記上部変曲部12aと15a間、上記右側の上記上部変曲部12bと15b間が最少の離間距離Mとなるように構成している(図4参照)。
具体的には、上記上部変曲部12a,12bと下部変曲部15a,15bとの離間距離Mは、左右何れも1mm〜5mm、好ましくは、2mm〜5mmとする。勿論、左右の離間距離Mは同一とする。
上記上部切目線10と上記下部切目線11との間において(図3参照)、両端部18a1,18b1、両端部18a2,18b2(左側の端部18a1,18a2、右側の端部18b1,18b2)が、上記上側凸状切目線14の左右対称の線路途中の両端部位置14a1,14b1、左右対称の線路途中の両端部位置14a2,14b2(左側の線路途中の端部位置14a1,14a2、右側の線路途中の端部位置14b1,14b2)に各々下側から近接すると共に、外側の上記両端部18a1,18b1、内側の上記両端部18a2,18b2から下方に円弧状に膨れる凹状誘導切目線18が設けられている。尚、上記凹状誘導切目線18は、全体として上記上部切目線10と上記下部切目線11の間に形成されている。
上記凹状誘導切目線18は、中央部分18’は1本の下方向きの円弧状の切目線であるが、左右の線路途中の両端部分18a,18bから左右の外側部分は、片側2本ずつ(両側で4本)に枝分かれしており、その内の左右の外側の誘導切目線181,181は、上記中央部分18’の下側凹状の円弧の曲率に連続するように、広い曲率半径にて、外側の上記両端部18a1,18b1に至っており、その内の左右の内側の誘導切目線182,182は、上記中央部分18’の下側凹状の円弧の曲率に連続するように、狭い曲率半径にて、内側の上記両端部18a2,18b2に至っている。
何れにしても、左側の外側の誘導切目線181、中央部分18’、右側の外側の誘導切目線181により形成される凹状誘導切目線18、左側の内側の誘導切目線182、中央部分18’、右側の内側の誘導切目線182により形成される凹状誘導切目線18は何れも下側凹状の円滑な円弧を形成している。
そして、上記凹状誘導切目線18の中央部分18’の線路途中の両端部分18a,18bまで、及び、上記誘導切目線181,181、182,182の下半部は、後述の裏面側直線状切目線(裏面側中央部切目線)22a’の下側に位置するように構成されている。尚、上記裏面側直線状切目線22a’と中央部分18’との距離P2が後述の段差となる(図6参照)。即ち、上記表面側積層フィルム2の上記凹状誘導切目線18の中央部分18’は、上記裏面側積層フィルム3の上記裏面側中央部切目線22a’より下側に位置するように構成される。
また、上記凹状誘導切目線18は、上記中心線Pを中心として左右対称に設けられている。
外側の上記両端部18a1,18b1(端部18a1,18b1)の位置は、上記上部変曲部12a,12bよりも内側に各々若干入った上側凸状切目線14の線路途中の両端部位置14a1,14b1(端部位置14a1,14b1)に下側から近接して設けられている。また、枝分かれした内側の上記両端部18a2,18b2(端部18a2,18b2)の位置は、上記上側凸状切目線14の線路途中の上記両端部位置14a1,14b1よりさらに内側に各々若干入った線路途中の両端部位置14a2,14b2(端部位置14a2,14b2)に下側から近接して設けられている。上記上側凸状切目線14の外側の線路途中の上記両端部位置14a1,14b1、内側の線路途中の両端部位置14a2,14b2を、上記上側凸状切目線14の両端部位置という。
また、上記中央線Pより上記両端部位置14a1,14b1(両端部18a1,18b1)までの距離を距離R1,R1とする(図3参照)。上記両端部位置14a1,14b1(両端部18a1,18b1)の位置は、上記上部変曲部12a,12bよりも若干内側に入った上記上側凸状切目線14の左右の線路途中の両端部位置とすることが好ましい。
また、上記両端部位置14a2,14b2(両端部18a2,18b2)の位置は、上記両端部位置14a1,14b1(両端部18a1,18b1)より若干内側(中央線P寄り)に入った位置とすることが好ましい。
また、上記凹状誘導切目線18の外側の左右の両端部18a1,18b1、内側の左右の両端部18a2,18b2は、上記上側凸状切目線14の線路途中の両端部位置14a1,14b1、線路途中の両端部位置14a2,14b2に決して接触しておらず、各々下側から近接した状態となっている(図3、図4参照)。この近接は具体的には、図4に示すように、上記端部18a1,18b1と上記端部位置14a1,14b1間の距離、上記端部18a2,18b2と上記端部位置14a2,14b2間の距離は例えば0.1mm〜1mm程度とすることが好ましい。
これは、図1において上辺部1’を手前下側に引いて開封する際、表面側積層フィルム2は、本来的には、下部切目線11(下側凹状切目線17)に沿って切断すべきところ、配向の影響により(配向が図3矢印H1方向に入っている)、切断線が途中から(例えば上部変曲部12a付近から)、上部切目線10(上側凸状切目線14)に移動した場合、手前下側に引く下向きの力により切断線が容易に、上記端部位置14a1又は14a2から、下側の上記凹状誘導切目線18に移行し得るように構成すると共に、上辺部1’を持って奥側上方に押して開封する場合、本来的に上部切目線10(上側凸状切目線14)に沿って開封する際に(上向きの力が作用している場合)、上部切目線10(上側凸状切目線14)に沿って開封され、下側の上記凹状誘導切目線18に切断線が移行しないようにするためである。
上記凹状誘導切目線18は、上記中央部分18’は1本の下向き円弧状の切目線であるが、左右の線路途中の上記両端部分18a,18bから2本の誘導切目線181,181、182,182(左右合計4本)に枝分れしている事例を説明したが、上記枝分かれの本数は2本以上の複数本(3本(左右合計6本)或いは3本以上)であっても良い。即ち、上記凹状誘導切目線18は、上記中央部分18’は1本の切目線であるが、上記両端部分18a,18bから外側において複数本の誘導切目線181,181,誘導切目線182,182に枝状に分かれており、左右の複数本の誘導切目線181,181の両端部18a1,18b1が、上記上側凸状切目線14の両端部位置14a1,14b1、左右の複数本の誘導切目線182,182の両端部18a2,18b2が、上記上側凸状切目線14の両端部位置14a1,14b1とは異なる両端部位置14a2,14b2に下側から近接するように設けられている。
即ち、上記凹状誘導切目線18は、上記中央部分18’は1本の切目線であるが、上記中央部分18’の左右の線路途中の両端部分18a,18bから複数本に枝分れすることにより、上記両端部分18a,18bから左右に複数本の誘導切目線181,181、182,182が形成されており、左右の複数本の上記誘導切目線181,181、182,182の各両端部18a1,18b1、18a2,18b2が、上記上側凸状切目線14の線路途中の異なる両端部位置14a1,14b1、14a2,14b2に下側から近接している。尚、枝分かれの本数を増加させる場合は、上記距離R1,R1から内側に設けることが好ましい。
さらに、上記左側の上記上部変曲部12aと上記下部変曲部15aとの間、及び、上記右側の上記上部変曲部12bと上記下部変曲部15bとの間に、互いに内側に開口する横向きV字型のV字誘導切目線19,20を、上記上部切目線10と上記下部切目線11に接触しないように各々形成する。このV字誘導切目線19,20は表面側積層フィルム2のみに形成される。
このV字誘導切目線19,20は、左右対称なので、左側のV字誘導切目線19について説明し、右側のV字誘導切目線20は対応部分の符号をかっこ書で表示する。このV字誘導切目線19(20)は、図4に示すように、上記上部変曲部12a(12b)と下部変曲部15a(15b)の間であって、その「V字」を構成する上側の開き切目線19a(20a)が、上記凸状切目線14の上向傾斜切目線14cに沿って内側方向に延びると共に、その「V字」を構成する下側の開き切目線19b(20b)が、上記凹状切目線17の下向傾斜切目線17bに沿って内側方向に延びるように形成され、かつ、その「V字」の頂点19c(20c)は、外側方向を向いており、後述のIノッチ21から水平方向に延長した仮想延長線L上に形成されている。
そして、上記上側及び下側の開き切目線19a,19b(20a,20b)は、上記上下向傾斜切目線14c,17bに近接してはいるが、決して接することや交わることはないように構成される。
また、上記包装袋1の左右外縁4a,5aにおける上記下向傾斜切目線13a(13b)の外縁位置13a’(13b’)と上記上向傾斜切目線16a(16b)の外縁位置16a’(16b’)との中間位置に切込部としてのIノッチ21,21を各々形成している。従って、上記仮想延長線Lは上部切目線10と下部切目線11の中間に存在している。尚、ノッチの形状はIに限定されず、V型、U型等、その他の形状が考えられる(第2の実施形態においても同じ)。
(裏面側積層フィルム3の易開封手段9について) 図2参照
上記裏面側積層フィルム3の上記易開封手段9は、以下のように構成されている(図1、図2参照)。まず、上記裏面側積層フィルム3の上記易開封手段9は、上記上側凸状切目線14の最も上に位置する上端位置14aと上記下側凹状切目線17の最も下に位置する下端位置17aとの間に位置しており、中央部が左右の上記Iノッチ21の形成位置よりも上側に位置する裏面側切目線22aと、中央部が左右の上記Iノッチ21の形成位置よりも下側に位置する下部裏面側切目線22bとから構成されている(図2、図3参照)。
即ち、図4に示すように、上記裏面側切目線22aの中央部は、上記Iノッチ21の形成位置(Iノッチ21の中心を通る仮想延長線L)より距離K1だけ上側に位置しており、上記下部裏面側切目線22bの中央部は、上記Iノッチ21の形成位置(Iノッチ21の上記仮想延長線L)より同じ距離K1だけ下側に位置している。
そして、上記裏面側切目線22aは、その両端部は上記左右の切込部(Iノッチ)21の形成位置より下側位置の上記左右外縁4a,5aの左右同一水準位置(図2、位置W1,W1参照)から始まり、左右熱溶着部4,5より内側における上記Iノッチ21の形成位置より上側の左右同一水準位置の裏面側変曲部23a,23bまで下方から上方に向けて上り傾斜に形成された左右の裏面側上向切目線24a,24bと、上記左右の裏面側変曲部23a,23bを結ぶ上記中央部の裏面側直線状切目線(裏面側中央部切目線)22a’とから構成され、全体が1本の連続的な切目線により形成されている。尚、上記裏面側中央部切目線22a’は、上記表面側積層フィルム2の上記上側凸状切目線10と上記下側凹状切目線11との間に位置している。
即ち、上記裏面側切目線22aは、全体として、中央部が直線(裏面側直線状切目線22a’)で、左右両端部(裏面側上向切目線24a,24b)が下側に直線的な下り傾斜となる略台形状(左右対称)に形成されている。また、上記裏面側変曲部23a,23bは、表面側の上下変曲部12a,15a、12b,15bの位置よりも、各々外側に形成されているが(図2参照)、上記裏面側変曲部23a,23bの位置は、上記熱溶着部4,5の内縁4b,5bよりも内側に入った位置に形成されている。
さらに、上記下部裏面側切目線22bは、全体が直線状の切目線であり、その左右両端部22b’,22b’は上記包装袋1の左右外縁4a,5aまで達しない状態に形成されている。具体的には、図2に示すように、上記左右両端部22b’,22b’は、上記左右の熱溶着部4,5より内側であって、上記裏面側切目線22aの上記裏面側変曲部23a,23bに直交する縦方向の仮想直線Uに当接する位置まで形成されており(図2、図4参照)、上記左右両端部22b’,22b’より上記左右外縁4a,5aまでは、切目線は形成されていない。尚、上記下部裏面側切目線22bは左右対称に構成される。
また、上記裏面側直線状切目線22a’は、表面側の上記上部変曲部12a,12bにおいては、上記上部変曲部12a,12bを構成する下向き湾曲状の切目線の上側に位置しており、上記下部裏面側切目線22bは、裏面側の上記下部変曲部15a,15bにおいては、上記下部変曲部15a,15bを構成する上向き湾曲状の切目線の下側に位置している(図2〜図4参照)。
そして、左右の裏面側上向切目線24a,24bは、左右の上記Iノッチ21,21の内側部分に接近して設けられている。即ち、図1において、例えば左側の上辺部1’を摘まんで、手前下に引いて開口する場合(図2では右側を奥側下に押す)においては、Iノッチ21からの切断線(仮想延長線Lに沿って切断される)が直ちに、裏面側上向切目線24aの線路途中に到達するように構成し、配向の影響を受けないように構成されている。尚、左右のIノッチ21の内側の端部(内側端)から裏面側上向切目線24a又は24bまでの接近の距離(Iノッチ21の内側端からの仮想延長線Lと、裏面側上側切目線24a,24bの線路途中の交点までの距離)は、例えば0.5mm〜3mm程度とすることが好ましい。
また、左右の上記Iノッチ21の内側端を内側に延長し、裏面側上向切目線24a,24bの線路途中に接する場合もある。この場合、上記距離は0.0mmとなるため、結局上記距離は0.0mm〜3mm程度となる。
裏面側積層フィルム3の切目線は上述のように構成されているから、Iノッチ21から右側又は左側に延長した仮想延長線Lは、必ず、左右の裏面側上向切目線24a,24bの線路途中に直ちに交わるように構成されている。従って、Iノッチ21から右側又は左側に切断してくと、切断線は裏面側では必ず、左右の裏面側上向切目線24a,24bに直ちに達し、その点からは、裏面側上向切目線24a,24bに沿って切断されていくように構成されている。よって、図1において上記上辺部1’を手前に引いて開封する場合、上記上辺部1’を奥側に押して開封する場合の何れの場合も、裏面側の切断線は、裏面側上向切目線24aを介して、上記裏面側直線状切目線22a’に誘導されて、当該裏面側切目線22aに沿って開封されるように構成されており、配向の影響を受けないように構成されている。
本発明に係る包装袋の表面側積層フィルム2及び裏面側積層フィルム3の材料は、最外層が、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、中間層がポリエチレン(PE)フィルム、アルミニウム箔、ポリエチレン(PE)フィルム、最内層のシーラント層がポリエチレン(PE)フィルム、又は、ポリプロピレン(PP)フィルム、或いは、最外層が、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、中間層がアルミニウム箔、最内層のシーラント層がポリエチレン(PE)フィルム、又は、ポリプロピレン(PP)フィルム等が考えられる。この場合、2軸延伸されるのは最外層のポリエチレンテレフタレートフィルムのみであり、その他の樹脂フィルム(ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム)は、延伸されないため、分子配向の問題は生じない。
尚、最外層のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが2枚重ねられるケースもあるが、この場合、2枚ともに配向の方向が一致していれば、本発明の上記第1の実施形態の凹状誘導切目線18又は後述の凸状誘導切目線29(第2の実施形態)にてきれいな段差を形成し得るし、2枚の配向が交差する場合は、中取り(図16参照)と同じく、切断方向は水平となるので、大きな問題ない。
(第1の実施形態の動作説明)
本発明に係る包装袋1は上述のように構成されるものであるから、次に、この包装袋1の開封動作について説明する(図5参照)。
まず、図1において右手で上記上辺部1’を持って、左端部から上記上辺部1’を手前側下方に引いて開封する場合を説明する(図1の矢印A方向、図5も参照)。
この場合、左手で包装袋1の下半部を保持し、右手で上記上辺部1’の左端部を持って手前下方(図1、矢印A方向)に引くと、左端部のIノッチ21から右方向に引き裂きが始まり、表面側積層フィルム2では、手前下方に引いているので、切断線は上向傾斜切目線16aに達し(図5切断線16a’参照)、下部変曲部15aを通って下部切目線11に沿って切断される。
即ち、手前下方に力が加わっているので、切断線は上向傾斜切目線16aから下部変曲部15aを通って、下側凹状切目線17に移行し、そのまま下側凹状切目線17に沿って切断され、右側の下部変曲部15bを通って上向傾斜切目線16bを介して右外縁5aまで切断される(図5参照)。
一方、裏面側積層フィルム3では、上記Iノッチ21から手前側下方に引かれるが、裏面側の切断線は、上記Iノッチ21から接近する裏面側上向切目線24aの線路途中に直ぐに到達し、配向の影響を受けずに当該到達位置から該裏面側上向切目線24aに沿って切断され、裏面側変曲点23aを通って裏面側直線状切目線(裏面側中央部切目線)22a’に沿って切断されて行き、右側の裏面側変曲点23bを通って最終的には右側の裏面側上向切目線24bに沿って右外縁5aまで切断される。
その結果、表面側積層フィルム2側は、その中央部は下側凹状切目線17に沿って切断されるため、下向凹状切断線25が形成され、裏面側積層フィルム3は、上側の裏面側直線状切目線22a’に沿って切断されるため、当該切目線22a’に沿った直線状切断線26が形成される(図5参照)。
このとき、上記下向凹状切断線25の最も下部の位置と上記直線状切断線26との間には、距離P1の段差が生じているので、その後、使用者は上記距離P1の段差を利用して、包装袋1を容易に開口することができる。
上記の場合は、図3の斜め下方向の配向(最外層の例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの配向が矢印H2方向)が存在する場合は、表面側積層フィルム2側は、力の方向(矢印A方向)と配向の方向(矢印H2方向)が略同一の方向なので、何ら支障なく、下部切目線11(下側凹状切目線17)に沿って切断することができる。
また、この場合、切る方向(手前側下方)に余計な片は存在しないので、抵抗なく切断することができる。
次に、開封方向は同一であるが、表面側積層フィルム2(最外層の例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)に図3のH1方向(右斜め上方向)の配向があった場合の開封動作について説明する(図6参照)。
まず、図1において、右手で上記上辺部1’を持って、左端部から上記上辺部1’を手前側下方に引いて開封する場合を説明する(図1の矢印A方向、図6も参照)。
この場合、左手で包装袋1の下半部を保持し、右手で上記上辺部1’の左端部を持って手前下方(図1、矢印A方向)に引くと、左端部のIノッチ21から右方向に引き裂きが始まり、表面側積層フィルム2では、手前下方に引いているので、切断線は上向傾斜切目線16aに達し(図6切断線16a’参照)、下部変曲部15aを通って下部切目線11(下側凹状切目線17)に沿って切断されようとする。
即ち、手前下方に力が加わっているので、切断線は上向傾斜切目線16aから下部変曲部15aを通って、下側凹状切目線17に移行しようとする。
ここで、図3、図6の矢印H1方向に配向が存在すると、切断線の方向は、配向に影響を受け、配向の方向(矢印H1方向)に沿って切断され、早い段階の、下部変曲部15a付近の途中から、斜め上方に切断され(図6切断線14’参照)、上部切目線10である上側凸状切目線14に沿って切断されていく。或いは、Iノッチ21から上向傾斜切目線16aまで距離があるので、当初から配向(矢印H1方向)の影響を受け、上部切目線10(上側凸状切目線14)に沿って切断される場合もある。
しかしながら、力の方向は下方(図1の矢印A方向)を向いているので、切断線は、上側凸状切目線14の最初の線路途中の左側の端部位置14a1から下側に近接している凹状誘導切目線18の左側の端部18a1に移行し、引き続いて、左側の誘導切目線181に沿って切断され、線路途中の両端部分18aを介して下側凹状切目線18の中央部分18’に沿って切断されて行き、右側の両端部分18b、及び、右側の外側の誘導切目線181を通って右側の端部18b1を介して上側に近接する右側の端部位置14b1に到達し、該端部位置14b1から上側凸状切目線14、上部変曲部12b、上向傾斜切目線16bを介して右外縁5aまで切断される(図6参照)。
一方、裏面側積層フィルム3では、上記Iノッチ21から手前側下方に引かれるが、裏面側の切断線は、上記Iノッチ21から接近する裏面側上向切目線24aの線路途中に直ぐに到達し、当該到達位置から該裏面側上向切目線24aに沿って切断され、配向の影響を受けずに、裏面側変曲点23aを通って裏面側直線状切目線(裏面側中央部切目線)22a’に沿って切断されて行き、右側の裏面側変曲点23bを通って最終的には右側の裏面側上向切目線24bに沿って右外縁5aまで切断される。
その結果、表面側積層フィルム2側は、その中央部は凹状誘導切目線18に沿って切断されるため、下向凹状切断線27が形成され、裏面側積層フィルム3は、上側の裏面側直線状切目線22a’に沿って切断されるため、当該切目線22a’に沿った直線状切断線26が形成される(図6参照)。
このとき、上記下向凹状切断線27の最も下部の位置と上記直線状切断線26との間には、距離P2の段差が生じているので、その後、使用者は上記距離P2の段差を利用して、包装袋1を容易に開口することができる。
このように、表面側積層フィルム2の最外層の例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに矢印H1方向(斜め上方向)の配向があり、表面側積層フィルム2側において、本来的には下部切目線11を切断すべきところ、上記配向(矢印H1方向)の影響により、切断線が上部切目線10(上側凸状切目線14)に移行したとしても、手前側下方(矢印A方向)に引いている関係上、上部切目線10(上側凸状切目線14)の線路途中(右側の端部位置14a1)から、下側に近接する凹状誘導切目線18に移行することができるため、最終的には距離P2のきれいな段差(表面側積層フィルム2側は下向き円弧状、裏面側積層フィルム3側は直線状からなる段差)を形成することが可能となる。
また、凹状誘導切目線18の左右の線路途中から複数本(本実施形態では片側で2本)の誘導切目線181,182に枝分かれしているので、左側から最初に到来する誘導切目線181に、端部位置14a1、端部18a1からの移行が失敗したとしても、次に到来する誘導切目線182に、端部位置14a2、端部18a2から移行することができ、凹状誘導切目線18への移行のチャンスが複数回(本実施形態では2回)設けられており、凹状誘導切目線18への移行のチャンスを複数回設けることができる。
この場合、手前方向に引いており、凹状誘導切目線18に沿って切断されるため、従来技術のように、切る方向に表面側の片40a(図17参照)が存在せず、従って抵抗を生じることもなく、切断線が波打つこともなく、きれいな段差(距離P2)を形成することができる(図6参照)。
上記動作説明では、矢印H1方向の配向がある場合を説明したが、配向とは関係なく、包装袋1に重いものが入っており、図18に示すように、包装袋1の左上方を把持したとき、包装袋1が左方向(矢印Y方向)に回動した状態で、上辺部1’を持って手前側下方に引いて開封する場合にも同様の事象が生じる。即ち、この場合、手前側下方への力(図1の矢印A方向)が、包装袋1が回動したことによって矢印H1方向の力となり、図6と同様に、本来下部切目線11に沿って開封すべきところが、上部切目線10(上側凸状切目線14)に沿って切断されることがある。
このような状況においては、開封しようとする者は、手前側下方に引いて開封しようとして、できるだけ力の方向が下方を向くように手前に引く関係上、上側凸状切目線14の左側の端部位置14a1又は14a2から上記凹状誘導切目線18(端部18a1又は18a2)に移行することが可能となる。その結果、上記と同様に、開封部に距離P2のきれいな段差を形成することが可能となる(図6参照)。
次に、表面側積層フィルム2(例えば最外層のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)に図3のH1方向(右斜め上方向)の配向があった場合、上辺部1’を持って奥側上方(図1矢印B方向)に押して開封する場合の開封動作について説明する(図7参照)。
この場合、図1において、左手で包装袋1の下半部を保持し、右手で上記上辺部1’の左端部を持って奥側上方(矢印B方向)に押すと、左端部のIノッチ21から右方向に引き裂きが始まり、表面側積層フィルム2では、奥側上方に押しているので、切断線は下向傾斜切目線13aに達し(図7切断線13a’参照)、上部変曲部12aを通って上部切目線10(上側凸状切目線14)に沿って切断される。
即ち、奥側上方に力が加わっているので、切断線は下向傾斜切目線13aから上部変曲部12aを通って、上側凸状切目線14に移行し、そのまま上側凸状切目線14に沿って切断され、右側の上部変曲部12bを通って下向傾斜切目線13bを介して右外縁5aまで切断される(図7参照)。この場合、配向の方向が矢印H1方向(右斜め上方向)であって、力の方向(奥側上方)と配向の方向が略同一の方向なので、何ら支障なく、上部切目線10に沿って開封することができる。
一方、裏面側積層フィルム3では、上記Iノッチ21から奥側上方に押されるが、裏面側の切断線は、上記Iノッチ21から接近する裏面側上向切目線24aの線路途中に直ぐに到達し、配向の影響を受けずに、当該到達位置から該裏面側上向切目線24aに沿って切断され、裏面側変曲点23aを通って裏面側直線状切目線22a’に沿って切断されて行き、右側の裏面側変曲点23bを通って最終的には右側の裏面側上向切目線24bに沿って右外縁5aまで切断される。
その結果、表面側積層フィルム2側は、その中央部は上側凸状切目線14に沿って切断されるため、上向凸状切断線28が形成され、裏面側積層フィルム3は、上側の裏面側直線状切目線22a’に沿って切断されるため、当該切目線22a’に沿った直線状切断線26が形成される(図7参照)。
このとき、上記上向凸状切断線28の最も上部の位置と上記直線状切断線26との間には、距離P3の段差が生じているので、その後、使用者は上記距離P3の段差を利用して、包装袋1を容易に開口することができる(図7参照)。
また、上辺部1’を奥部上方(図1、矢印B方向)に押して(力のかかる方向は上方に)開口しており、上記上側凸状切目線14の線路途中の端部位置14a1,14b1、14a2,14b2と、凹状誘導切目線18の端部18a1,18b1,18a2,18b2は狭いけれども近接した間隔が空いているので、上方に力がかかった状態で、上側凸状切目線14に沿って切断されている途中に、切断線が、下側の凹状誘導切目線18に移行することはない。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態(図8〜図11参照)について説明する。この第2の実施形態は、図1〜図4に示す第1の実施形態における、表面側積層フィルム2における上部切目線10(上側凸状切目線14)に下側から近接する上記凹状誘導切目線18に代えて、表面側積層フィルム2において、下部切目線11(下側凹状切目線17)に上側から近接する凸状誘導切目線29を設けた点において異なっており、その他の構成については、裏面側積層フィルム3の構成を含め、第1の実施形態と同一である。よって、第1の実施形態との相違点(凸状誘導切目線29)についてのみ説明し、第1の実施形態と同一部分については同一符号を付し、同一部分については、表面側積層フィルム1及び裏面側積層フィルム3共に、便宜上説明を省略する。
上記上部切目線10と上記下部切目線11との間において(主に図10参照)、両端部29a1,29b1、両端部29a2,29b2(左側の端部29a1,29a2、右側の端部29b1,29b2)が、上記下側凹状切目線17の左右対称の線路途中の両端部位置17a1,17b1、左右対称の線路途中の両端部位置17a2,17b2(左側の線路途中の端部位置17a1,17a2、右側の線路途中の端部位置17b1,17b2)に各々上側から近接すると共に、外側の上記両端部29a1,29b1、内側の両端部29a2,29b2から上方に円弧状に膨れる凸状誘導切目線29が設けられている。尚、上記凸状誘導切目線29は、全体として上記上部切目線10と上記下部切目線11の間に形成されている。
上記凸状誘導切目線29は、中央部分29’は1本の上向き円弧状の切目線であるが、左右の線路途中の両端部分29a,29bから左右の外側部分は、片側2本ずつ(両側で4本)に枝分かれしており、その内の左右の外側の誘導切目線291,291は、上記中央部分29’の上側凸状の円弧の曲率に連続するように、広い曲率半径にて、外側の上記両端部29a1,29b1に至っており、その内の左右の内側の誘導切目線292,292は、上記中央部分29’の上側凸状の円弧の曲率に連続するように、狭い曲率半径にて、内側の上記両端部29a2,29b2に至っている。
尚、中央部分29’は、中央は略平坦面を構成しているが、全体としては曲率半径の広い円弧を構成している。何れにしても、左側の外側の誘導切目線291、中央部分29’、右側の外側の誘導切目線291により形成される凸状誘導切目線29、左側の内側の誘導切目線292、中央部分29’、右側の内側の誘導切目線292により形成される凸状誘導切目線29は何れも上側凸状の円滑な円弧を形成している。
そして、上記凸状誘導切目線29の中央部分29’の線路途中の両端部分29a,29bまで、及び、上記誘導切目線291,291、292,292の上部は、上記裏面側直線状切目線22a’(裏面側中央部切目線)の上側に位置するように構成されている。尚、上記裏面側直線状切目線22a’と中央部分29’との距離P5が後述の段差となる(図13参照)。即ち、上記表面側積層フィルム2の上記凸状誘導切目線29の中央部分29’は、上記裏面側積層フィルム3の上記裏面側中央部切目線22a’より上側に位置している。
また、上記凸状誘導切目線29は、上記中心線Pを中心として左右対称に設けられている。
外側の上記両端部29a1,29b1(端部29a1,29b1)の位置は、上記下部変曲部15a,15bよりも内側に各々若干入った下側凹状切目線17の線路途中の両端部位置17a1,17b1(端部位置17a1,17b1)に上側から近接して設けられている。また、枝分かれした内側の上記両端部29a2,29b2(端部29a2,29b2)の位置は、上記下側凹状切目線17の線路途中の上記両端部位置17a1,17b1よりさらに内側に各々若干入った上記下側凹状切目線17の線路途中の両端部位置17a2,17b2(端部位置17a2,17b2)に上側から近接して設けられている。上記下側凹状切目線17の外側の線路途中の上記両端部位置17a1,17b1、内側の線路途中の上記両端部位置17a2,17b2を、上記下側凹状切目線17の両端部位置という。
また、上記中央線Pより上記両端部位置17a1,17b1(両端部29a1,29b1)までの距離を距離R2,R2とする(図10参照)。上記両端部位置17a1,17b1(両端部291、29b1)の位置は、上記下部変曲部15a,15bよりも若干内側に入った上記凹状切目線17の左右の線路途中の両端部位置とすることが好ましい。
また、上記両端部位置17a2,17b2(両端部29a2,29b2)の位置は、上記両端部位置17a1,17b1(両端部29a1,29b1)より若干内側(中央線P寄り)に入った位置とすることが好ましい。
また、上記凸状誘導切目線29の外側の左右の両端部29a1,29b1、内側の左右の両端部29a2,29b2は、上記下側凹状切目線17の線路途中の両端部位置17a1,17b1、線路途中の両端部位置17a2,17b2に決して接触しておらず、各々上側から近接した状態となっている(図10、図11参照)。この近接は具体的には、図11に示すように、上記端部29a1,29b1と上記端部位置17a1,17b1間の距離、上記端部29a2,29b2と上記端部位置17a2,17b2間の距離は例えば0.1mm〜1mm程度とすることが好ましい。
これは、図8において、上辺部1’を奥側に押して開封する際、表面側積層フィルム2は、本来的には、上部切目線10(上側凸状切目線14)に沿って切断すべきところ、配向の影響により(配向が図10矢印H2方向に入っている)、切断線が途中から下部切目線11(下側凹状切目線17)に移動した場合、奥側上方に押す上向きの力により切断線が容易に、上記端部位置17a1又は17a2から、上記凸状誘導切目線29に移行し得るように構成すると共に、上辺部1’を持って手前下方に引いて開封する場合、本来的に下部切目線11(下側凹状切目線17)に沿って開封する際に(下向きの力が作用している場合)、下部切目線11(下側凹状切目線17)に沿って開封され、上記凸状誘導切目線29に切断線が移行しないようにするためである。
上記凸状誘導切目線29は、上記中央部分29’は1本の上向き円弧状の切目線であるが、左右の線路途中の上記両端部分29a,29bから2本の誘導切目線291,291、292,292(左右合計4本)に枝分れしている事例を説明したが、上記枝分かれの本数は2本以上の複数本(3本(左右合計6本)或いは3本以上)であっても良い。即ち、上記凸状誘導切目線29は、上記中央部分29’は1本の切目線であるが、上記両端部分29a,29bから外側において複数本の誘導切目線291,291,誘導切目線292,292に枝状に分かれており、左右の複数本の誘導切目線291,291の両端部29a1,29b1が、上記下側凹状切目線17の両端部位置17a1,17b1、左右の複数本の誘導切目線292,292の両端部29a2,29b2が、上記下側凹状切目線17の両端部位置17a1,17b1とは異なる両端部位置17a2,17b2に上側から近接するように設けられている。尚、枝分かれの本数を増加させる場合は、上記距離R2,R2から内側に設けることが好ましい。
即ち、上記凸状誘導切目線29は、上記中央部分29’は1本の切目線であるが、上記中央部分29’の左右の線路途中の両端部分29a,29bから複数本に枝分れすることにより、上記両端部分29a,29bから左右に複数本の誘導切目線291,291、292,292が形成されており、左右の複数本の上記誘導切目線291,291、292,292の各両端部29a1,29b1、29a2,29b2が、上記下側凹状切目線17の線路途中の異なる両端部位置17a1,17b1、17a2,17b2に上側から近接している。
また、第2の実施形態においても、包装袋を構成する表面側積層フィルム2、裏面側積層フィルム3のフィルム構成は、第1の実施形態と同様である。
(第2の実施形態の動作説明)
本発明に係る包装袋1(第2の実施形態)は上述のように構成されるものであるから、次に、この包装袋1の開封動作について説明する(図12参照)。
まず、図8において、右手で上記上辺部1’を持って、左端部から上記上辺部1’を奥側上方に押して開封する場合を説明する(図8の矢印C方向、図12も参照)。
この場合、左手で包装袋1の下半部を保持し、右手で上記上辺部1’の左端部を持って奥側上方(図8、矢印C方向)に押すと、左端部のIノッチ21から右方向に引き裂きが始まり、表面側積層フィルム2では、奥側上方に押しているので、切断線は下向傾斜切目線13aに達し(図12切断線13a’参照)、上部変曲部12aを通って上部切目線10に沿って切断される。
即ち、奥側上方に力が加わっているので、切断線は下向傾斜切目線13aから上部変曲部12aを通って、上側凸状切目線14に移行し、そのまま上側凸状切目線14に沿って切断され、右側の上部変曲部12bを通って下向傾斜切目線13bを介して右外縁5aまで切断される(図12参照)。
一方、裏面側積層フィルム3では、上記Iノッチ21から奥側上方に押されるが、裏面側の切断線は、上記Iノッチ21から接近する裏面側上向切目線24aの線路途中に直ぐに到達し、配向の影響を受けずに、当該到達位置から該裏面側上向切目線24aに沿って切断され、裏面側変曲点23aを通って裏面側直線状切目線22a’に沿って切断されて行き、右側の裏面側変曲点23bを通って最終的には右側の裏面側上向切目線24bに沿って右外縁5aまで切断される。
その結果、表面側積層フィルム2側は、その中央部は凸状切目線14に沿って切断されるため、上向凸状切断線30が形成され、裏面側積層フィルム3は、上側の裏面側直線状切目線22a’に沿って切断されるため、当該切目線22a’に沿った直線状切断線26が形成される(図12参照)。
このとき、上記上向凸状切断線30の最も上部の位置と上記直線状切断線26との間には、距離P4の段差が生じているので、その後、使用者は上記距離P4の段差を利用して、包装袋1を容易に開口することができる。
上記の場合は、図10の方向の斜め上方の配向(最外層の例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの配向が矢印H1方向)が存在する場合は、表面側積層フィルム2側は、力の方向(矢印C方向)と配向の方向(矢印H1方向)が略同一の方向なので、何ら支障なく、上部切目線10(上側凸状切目線14)に沿って切断することができる。
また、この場合、切る方向(奥側上方)に余計な片は存在しないので、抵抗なく切断することができる。
次に、開封方向は同一であるが、表面側フィルム(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)に図10のH2方向(右斜め下方向)の配向があった場合の開封動作について説明する(図13参照)。
まず、図8において、右手で上記上辺部1’を持って、左端部から上記上辺部1’を奥側上方に押して開封する場合を説明する(図8の矢印C方向、図13も参照)。
この場合、左手で包装袋1の下半部を保持し、右手で上記上辺部1’の左端部を持って奥側上方(図8、矢印C方向)に押すと、左端部のIノッチ21から右方向に引き裂きが始まり、表面側積層フィルム2では、奥側上方に押しているので、切断線は下向傾斜切目線13aに達し(図13切断線13a’参照)、上部変曲部12a付近を通って上部切目線10に沿って切断されようとする。
即ち、奥側上方に力が加わっているので、切断線は下向傾斜切目線13aから上部変曲部12aを通って、上側凸状切目線14に移行しようとする。
ここで、図10、図13の矢印H2方向に配向が存在すると、切断線は、配向に影響を受け、配向の方向(矢印H2方向)に沿って切断され、早い段階の、上部変曲部12aの途中から、斜め下方向に切断され(図13、切断線17’参照)、下部切目線11である下側凹状切目線17に沿って切断されていく。或いは、Iノッチ21から下向傾斜切目線13aまで距離があるので、当初から配向(矢印H2方向)の影響を受け、下部切目線11(下側凸状切目線17)に沿って切断される場合もある。
しかしながら、力の方向は上方(図8の矢印C方向)を向いているので、切断線は下側凹状切目線17の線路途中の左側の端部位置17a1から、上側に近接している凸状誘導切目線29の左側の端部29a1に移行し、引き続いて、左側の誘導切目線291に沿って切断され、線路途中の両端部分29aを介して凸状誘導切目線29の中央部分29’に沿って切断され、右側の両端部分29b、及び、右側の外側の誘導切目線291を通って右側の端部位置17b1から下側凹状切目線17、下部変曲部15b、上向傾斜切目線16bを介して右外縁5aまで切断される(図13参照)。
一方、裏面側積層フィルム3では、上記Iノッチ21から奥側上方に引かれるが、裏面側の切断線は、上記Iノッチ21から接近する裏面側上向切目線24aの線路途中に直ぐに到達し、配向の影響を受けずに、当該到達位置から該裏面側上向切目線24aに沿って切断され、裏面側変曲点23aを通って裏面側直線状切目線22a’に沿って切断されて行き、右側の裏面側変曲点23bを通って最終的には右側の裏面側上向切目線24bに沿って右外縁5aまで切断される。
その結果、表面側積層フィルム2側は、その中央部は凸状誘導切目線29に沿って切断されるため、上向凸状切断線31が形成され、裏面側積層フィルム3は、上側の裏面側直線状切目線22a’に沿って切断されるため、当該切目線22a’に沿った直線状切断線26が形成される(図13参照)。
このとき、上記上向凸状切断線31の最も上部の位置と上記直線状切断線26との間には、距離P5の段差が生じているので、その後、使用者は上記距離P5の段差を利用して、包装袋1を容易に開口することができる。
このように、表面側積層フィルム2の最外層の例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに矢印H2方向(斜め下方向)の配向があり、表面側積層フィルム2側において、本来的には上部切目線10を切断すべきところ、上記配向(矢印H2方向)の影響により、切断線が下部切目線11(下側凹状切目線17)に移行したとしても、奥側上方(矢印C方向)に押している関係上、下部切目線11(下側凹状切目線17)の線路途中(右側の端部位置17a1)から、上側に近接する下側凸状誘導切目線29に移行することができるため、最終的には距離P5のきれいな段差(表面側積層フィルム2側は上向き円弧状、裏面側積層フィルム3側は直線状からなる段差)を形成することが可能となる。
また、凸状誘導切目線29の左右の線路途中から複数本(本実施形態では片側で2本)の誘導切目線291,292に枝分かれしているので、左側から最初に到来する誘導切目線291に、端部位置17a1、端部29a1から移行が失敗したとしても、次に到来する誘導切目線292に、端部位置17a2、端部29a2から移行することができ、凸状誘導切目線29への移行のチャンスが複数回(本実施形態では2回)設けられており、凸状誘導切目線29への移行のチャンスを複数回設けることができる。
この場合、奥側方向に押している関係上、凸状誘導切目線29に沿って切断されるため、従来技術のように、切る方向に裏面側の片40b(図17参照)が存在せず、抵抗を生じることもなく、切断線が波打つこともなく、きれいな段差(距離P5)を形成することができる(図13参照)。
次に、表面側積層フィルム2(例えば最外層のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)に図10のH2方向(右斜め下方向)の配向があった場合、上辺部1’を持って手前側下方(図8、矢印D方向)に引いて開封する場合の開封動作について説明する(図14参照)。
この場合、図8において、左手で包装袋1の下半部を保持し、右手で上記上辺部1’の左端部を持って手前側下方(矢印D方向)に引くと、左端部のIノッチ21から右方向に引き裂きが始まり、表面側積層フィルム2では、手前側下方に引いているので、切断線は上向傾斜切目線16aに達し(図14、切断線16a’参照)、下部変曲部15aを通って下部切目線11(下側凹状切目線17)に沿って切断される。
即ち、手前側下方に力が加わっているので、切断線は上向傾斜切目線16aから下部変曲部15aを通って、下側凹状切目線17に移行し、そのまま下側凹状切目線17に沿って切断され、右側の下部変曲部15bを通って上向傾斜切目線16bを介して右外縁5aまで切断される(図14参照)。この場合、配向の方向が矢印H2方向(右斜め下方向)であって、力の方向(手前側下方、矢印D方向)と配向の方向(矢印H2方向)が略同一の方向なので、何ら支障なく、下部切目線11に沿って開封することができる。
一方、裏面側積層フィルム3では、上記Iノッチ21から手前下方に引かれるが、裏面側の切断線は、上記Iノッチ21から接近する裏面側上向切目線24aの線路途中に直ぐに到達し、配向に影響されずに、当該到達位置から該裏面側上向切目線24aに沿って切断され、裏面側変曲点23aを通って裏面側直線状切目線22a’に沿って切断されて行き、右側の裏面側変曲点23bを通って最終的には右側の裏面側上向切目線24bに沿って右外縁5aまで切断される。
その結果、表面側積層フィルム2側は、その中央部は下側凹状切目線17に沿って切断されるため、下向凹状切断線25が形成され、裏面側積層フィルム3は、上側の裏面側直線状切目線22a’に沿って切断されるため、当該切目線22a’に沿った直線状切断線26が形成される(図14参照)。
このとき、上記下向凹状切断線25の最も下部の位置と上記直線状切断線26との間には、距離P6の段差が生じているので、その後、使用者は上記距離P6の段差を利用して、包装袋1を容易に開口することができる。
また、上辺部1’を手前下方(図8、矢印D方向)に引いて(力のかかる方向は下方に)開口しており、上記下側凹状切目線17の線路途中の端部位置17a1,17b1、17a2,17b2と、凸状誘導切目線29の端部29a1,29b1,29a2,29b2は狭いけれども間隔が空いているので、下方に力がかかった状態で、下側凹状切目線17に沿って切断されている途中に、切断線が、上側の凸状誘導切目線29に移行することはない。
(第1の実施形態と第2の実施形態の共通の動作)
切断線が上部切目線10又は下部切目線11からずれた場合は、左右のV字状のV字誘導切目線19,20により、上部切目線10又は下部切目線11に切断線を移行させることができる。また、仮に、裏面側積層フィルム3において、裏面側直線状切目線22a’から切断線が下方にずれたとしても、下部裏面側切目線22bにより受け止めて、水平方向に切断することができる。
上記各実施形態において、図1又は図8において、左側の上辺部1’を持って左側から右側に開封する場合を説明したが、上記易開封手段9は左右対称に設けられているので、右側の上辺部を持って右側から左側に開封する場合についても(手前側に引く場合も、奥側に押す場合も)、左右が逆になるだけで、基本的な構成は変わらない。
本発明は以上のように、包装袋1の左の上辺部1’を手前下方に引いて開封する場合(本来、下部切目線11の下側凹状切目線17に沿って切断する)、力の入る方向(図1矢印A方向)とは逆方向に配向(図3H1方向)が入っている場合、或いは配向とは関係なく、包装袋1の内容物が重く、包装袋1の左端部を持ったとき、包装袋1が左方向に傾いた場合(図6参照)、切断線が上部切目線10の上側凸状切目線14に移行するが、切断線を途中から、凹状誘導切目線18に沿って開封することにより、凹状誘導切目線18の中央部分18’は、上記裏面側中央部切目線22a’より下側に位置しているので、上記凹状誘導切目線18の中央部分18’と上記裏面側中央部切目線22a’との間が段差となる。よって、この段差を利用して容易に開口することができる。尚、手前下方に引いて開封する際、引く方向(表面側積層フィルム)に邪魔な片は存在しないので、円滑に開封することができ、きれいな段差を構成することが可能となる。
また、凹状誘導切目線18の左右の線路途中の両端部分18a,18bから複数本の誘導切目線181,182に枝分かれしており、各誘導切目線181,182の端部が上側凸条切目線14に近接しているので、左側から最初に到来する誘導切目線181に移行が失敗したとしても、次に到来する誘導切目線182に移行することができ、凹状誘導切目線18への移行のチャンスが複数回(例えば2回)設けられており、凹状誘導切目線18への移行のチャンスを複数回設けることができる。
また、包装袋1の左の上辺部1’を奥側上方(図8矢印C方向)に押して開封する場合(本来、上部切目線10の上側凸状切目線14に沿って切断する)、力の入る方向とは逆方向に配向(図10矢印H2方向)が入っている場合(図13参照)、切断線が下部切目線11の下側凹状切目線17に移行するが、切断線を途中から、凸状誘導切目線29に沿って開封することにより、凸状誘導切目線29の中央部分29’は、上記裏面側中央部切目線22a’より上側に位置しているので、上記凸状誘導切目線29の中央部分29’と上記裏面側中央部切目線22a’との間が段差となる。よって、この段差を利用して容易に開口することができる。尚、奥側上方に押して開封する際、押す方向(裏面側積層フィルム)に邪魔な片は存在しないので、円滑に開封することができ、きれいな段差を構成することが可能となる。
また、凸状誘導切目線29の左右の線路途中の両端部分29a,29bから複数本の誘導切目線291,292に枝分かれしており、各誘導切目線291,292の端部が下側凹状切目線17に近接しているので、左側から最初に到来する誘導切目線291に移行が失敗したとしても、次に到来する誘導切目線292に移行することができ、凸状誘導切目線29への移行のチャンスが複数回(例えば2回)設けられており、凸状誘導切目線29への移行のチャンスを複数回設けることができる。
また、上記切込部21からの切断線の内側端は裏面側上向切目線24a,24bの線路途中に接しているので、裏面側は配向の方向に拘わらず、切断線は必ず裏面側上向切目線24a,24bに到達するので、裏面側は配向の影響を受けないように構成することができる。
また、裏面側は直線状の裏面側直線状切目線22a’なので、これに対応する表面側の凹状誘導切目線18又は凸状誘導部切目線29により、上辺部を切り離した後、幅の広い段差を構成することができる。
また、左右の外縁には、下り傾斜の上側両端部切目線13a,13bと、上り傾斜の下側両端部切目線16a,16bにより構成されるので、上下の両端部切目線の間隔が広くなり、例えばその中間位置に切込部21を形成し易くなる、という利点がある。
また、切断線が切目線からずれたとしても、V字誘導切目線19,20により、上部切目線10又は下部切目線11に切断線を誘導することができるという利点がある。
また、易開封手段により開封後、再封手段8により再度開閉可能であるため、当初の開封時にきれいな段部を形成しておけば、開封の度に、容易に開封することが可能となる。
尚、第1の実施形態と第2の実施形態は、主に配向により本来切断すべき切目線とは異なる切目線に切断線が移行した場合を説明したが、この点は、必ずしも配向が原因ではなく、第1の実施形態においても説明したが、包装袋に重い物が入っており、包装袋が傾斜した場合(図18矢印Y方向)、その他、開封者の力のかけ方の違い、開封方向等、開封者が右利きであるか左利きであるかの違い等、各種の要因が含まれる。