[実施例1]
<電子写真画像形成装置>
先ず、本発明に係る電子写真画像形成装置(画像形成装置)の一実施例の全体構成について図2、図3を用いて説明する。図2は、本実施例の画像形成装置100の概略断面図である。図3は、画像形成装置100にプロセスカートリッジ7を装着する斜視図である。
画像形成装置100は、複数の画像形成部として、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための第1、第2、第3、第4の画像形成部SY、SM、SC、SKを有する。
本実施例では、第1〜第4の画像形成部の構成及び動作は、形成する画像の色が異なることを除いて実質的に同じである。従って、以下、特に区別を要しない場合は、Y、M、C、Kは省略して、総括的に説明する。
画像形成装置100は、像担持体としての感光ドラム(感光体)1を有する。本実施例では、画像形成装置100は、4個の感光ドラム1(1Y、1M、1C、1K)を有する。感光ドラム1は、図示矢印A方向に回転する。感光ドラム1の周囲には帯電ローラ2及びスキャナユニット(露光装置)3が配置されている。
ここで、帯電ローラ2は、感光ドラム1の表面を均一に帯電する帯電部材である。そして、スキャナユニット3は、画像情報に基づきレーザーを照射して感光ドラム1上に静電像(静電潜像)を形成する露光装置である。又、感光ドラム1の周囲には、現像装置(以下、現像ユニット)4(4Y、4M、4C、4K)及びクリーニング部材としてのクリーニングブレード6(6Y、6M、6C、6K)が配置されている。
更に、4個の感光ドラム1に対向して、感光ドラム1上のトナー像(現像剤像)を記録材12に転写するための中間転写体としての中間転写ベルト5が配置されている。
また、現像ユニット4は、現像剤として非磁性一成分現像剤、即ち、トナーT(TY、TM、TC、TK)を用いて、感光ドラム1上にトナー像を形成するものである。現像ユニット4は、感光ドラム1に形成された静電潜像を現像する現像剤担持体としての現像ローラ22を有する。本実施例では、現像ローラ22を感光ドラム1に対して接触させて接触現像を行う。現像ローラ22は、感光ドラム1上に形成された静電潜像を、トナーTによって現像する。
本実施例では、感光体ユニット13は、感光ドラム1と、帯電ローラ2、および、清掃部材としてのクリーニングブレード6を備える。また、感光体ユニット13は、感光ドラム1上に残留している転写残トナー(廃トナー)を収容する除去現像剤収容部(以下廃トナー収容部と称す)14a(14aY、14aM、14aC、14aK)を有する。
さらに本実施例では、現像ユニット4および感光体ユニット13を、一体的にカートリッジ化して、プロセスカートリッジ7を形成している。プロセスカートリッジ7は、画像形成装置100に設けられた不図示の装着ガイド、位置決め部材などの装着部材を介して、画像形成装置100に着脱可能となっている。
本実施例では、プロセスカートリッジ7は、図3矢印Gで示すように、感光ドラム1の軸線方向に沿って、画像形成装置100に対して着脱可能である。
本実施例では、各色用のプロセスカートリッジ7は全て同一形状である。各色用のプロセスカートリッジ7内には、それぞれイエロー(TY)、マゼンタ(TM)、シアン(TC)、ブラック(TK)の各色のトナーT(TY、TM、TC、TK)が収納されている。
中間転写ベルト5は、全ての感光ドラム1に当接し、図示矢印B方向に回転する。中間転写ベルト5は、複数の支持部材(駆動ローラ26、二次転写対向ローラ27、従動ローラ28)に掛け渡されている。
中間転写ベルト5の内周面側には、各感光ドラム1に対向するように、一次転写部材としての、4個の一次転写ローラ8(8Y、8M、8C、8K)が並設されている。又、中間転写ベルト5の外周面側において二次転写対向ローラ27に対向する位置には、二次転写部材としての二次転写ローラ9が配置されている。
<画像形成プロセス>
画像形成時には、先ず、感光ドラム1の表面が帯電ローラ2によって一様に帯電される。次いで、スキャナユニット3から発された画像情報に応じたレーザー光によって、帯電した感光ドラム1の表面が走査露光され、感光ドラム1上に画像情報に従った静電潜像が形成される。次いで、感光ドラム1上に形成された静電潜像は、現像ユニット4によってトナー像として現像される。感光ドラム1上に形成されたトナー像は、一次転写ローラ8の作用によって中間転写ベルト5上に転写(一次転写)される。
例えば、フルカラー画像の形成時には、上述のプロセスが、第1〜第4の画像形成部SY、SM、SC、SKにおいて順次に行われ、中間転写ベルト5上に各色のトナー像が順次に重ね合わせて一次転写される。その後、中間転写ベルト5の移動と同期して記録材12が二次転写部へと搬送される。そして、記録材12を介して中間転写ベルト5に当接している二次転写ローラ9の作用によって、中間転写ベルト5上の4色トナー像は、一括して記録材12上に二次転写される。
トナー像が転写された記録材12は、定着部材としての定着装置10に搬送される。定着装置10において記録材12に熱及び圧力を加えられることで、記録材12にトナー像が定着される。
一次転写工程後に感光ドラム1上に残留した一次転写残トナーは、クリーニングブレード6によって除去される。また、二次転写工程後に中間転写ベルト5上に残留した二次転写残トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置11によって除去される。
除去された転写残トナー(廃トナー)は、画像形成装置100の廃トナーボックス(不図示)に排出される。
画像形成装置100は、所望の単独又はいくつか(全てではない)の画像形成部のみを用いて、単色又はマルチカラーの画像を形成することもできるようになっている。
図2に示すように、本実施例では、複数の感光ドラム1を、鉛直方向と交差する方向に一列に配置している。さらに、複数の感光ドラム1を、中間転写ベルト5の下方に配置した。
感光ドラム1を中間転写ベルト5転写体の下方に配置する場合、画像形成装置本体内において、中間転写ベルト5を間に挟んで、例えば定着装置10と現像ユニット4(またはスキャナユニット)とを離れた位置に配置することができる。そのため、現像ユニット4(またはスキャナユニット)が定着装置10の熱の影響を受け難いなどの利点がある。
なお、中間転写ベルト5にかえて、記録材を搬送する記録材担持体を用いた場合も、上記利点は得られる。
<プロセスカートリッジ>
次に、本実施例の画像形成装置100に装着されるプロセスカートリッジ7の全体構成について、図1、図4を用いて説明する。図1、図4は、プロセスカートリッジ7の概略断面図であり、プロセスカートリッジ7が画像形成装置100に収納され、画像形成を行う際の姿勢を示している。
現像ユニット4は、トナーを収納する現像剤容器を備える。現像剤容器は、トナーTと、トナーTを収納する枠体としての現像枠体18を備える。さらに、現像ユニット4には、感光ドラム1と接触して図4に示す矢印D方向(反時計方向)に回転する現像剤担持体としての現像ローラ22が設けられている。現像ローラ22は、その長手方向(現像ローラ回転軸線方向)の両端部において、軸受を介して回転可能に現像枠体18に支持されている。
現像枠体18には、トナーを収納する現像剤収納室(以下、トナー収納室)18aと、現像ローラ22を収納する現像室18bが設けられる。トナー収納室18aと現像室18bとの間は、隔壁18dによって仕切られている。隔壁にはトナー収納室18aと現像室18bとを連通する開口18cが設けられる。すなわち、開口18cは、トナー収納室18aから現像室18bに、トナーを排出するものである。なお、本実施例では、重力方向において、現像室18bはトナー収納室18aの上方に位置する。
現像室18bには、現像ローラ22に接触して矢印E方向に回転する現像剤供給部材としてのトナー供給ローラ20と現像ローラ22のトナー層を規制するための現像剤規制部材としての現像ブレード21が配置されている。
現像枠体18のトナー収納室18aの内部には、開口18cを封止する封止部材としてのトナーシール部材23cが設けられている。トナーシール部材23cは、現像枠体18の開口18cの周りに対して、剥離可能に接着されている(図1)。トナーシール部材23cは、可撓性を有するシート状の部材である。トナーシール部材23cは、現像枠体18の材料と相溶性のある材料または接着層を有する材料で構成されている。
現像枠体18のトナー収納室18aの内部には、トナーシール部材23cを現像枠体18から剥離する開封部材としての回転部材(軸部材)23aが設けられている。回転部材23aは、回転軸線(回転中心)23a0を中心に矢印F方向に回転可能なように、現像枠体18に支持されている。回転部材23aは、樹脂などによって構成され、可撓性を有し、弾性変形が可能である。ここで、重力方向において、開口18cは、回転軸線23a0の上方に位置する。
回転部材23aの回転軸線23a0の方向(回転軸線方向)と交差(本実施例では直交)する方向において、トナーシール部材23cの一端側(先端側)は、現像枠体18に接着されている。そして、トナーシール部材23cの他端側(固定側)は、回転部材23aに固定されている。回転部材23aが回転すると、トナーシール部材23cは、回転部材23aの周りに巻き付けられる(図4)。そして、トナーシール部材23cは、現像枠体18から剥離される。すなわち、回転部材23aは、回転することによってトナーシール部材23cを巻き取るものである。
また、現像枠体18のトナー収納室18aには、収納されたトナーTを撹拌するとともに、開口18cを介して、現像ローラ22やトナー供給ローラ20へトナーを搬送するための搬送部材(搬送シート)23bが設けられている。搬送部材23bは、可撓性を有するシート状の部材である。回転部材23aの回転軸線方向と交差(本実施例では直交)する方向において、搬送部材23bの一端側(先端側)は自由端である。また、搬送部材23bの他端側(固定側)は回転部材23aに固定されている。搬送部材23bは、回転部材23aと共に回転可能である。搬送部材23bの一端側(先端23b1)は、トナー収納室18aの内壁(現像枠体18の内壁)の、少なくとも一部と接触する。
本実施例では、少なくとも枠体としての現像枠体18、現像剤としてのトナーT、封止部材としてのトナーシール部材23c、開封部材としての回転部材23aを備えたものを、現像剤容器と呼ぶ。また、現像剤容器に少なくとも現像ローラ22が備えられたものを、現像ユニット4と呼ぶ。すなわち、現像ユニット4には、現像剤容器が含まれている。また、回転部材23a、トナーシール部材23c、搬送部材23bを備えたものを、搬送ユニット(開封部材ユニット)23と呼ぶ。
感光体ユニット13は、感光体ユニット13内の各種要素を支持する枠体としてのクリーニング枠体14を有する。クリーニング枠体14には、軸受部材を介して感光ドラム1が図4に示す矢印A方向に、回転可能に取り付けられている。
また、クリーニング枠体14には、帯電ローラ軸受15が、帯電ローラ2の回転中心と感光ドラム1の回転中心とを通る線に沿って、取り付けられている。ここで、帯電ローラ軸受15は、図4に示す矢印C方向に移動可能に取り付けられている。帯電ローラ2は、帯電ローラ軸受15に回転可能に取り付けられている。そして、帯電ローラ軸受15は、付勢部材としての帯電ローラ加圧バネ16により感光ドラム1に向かって付勢される。
また、クリーニングブレード6は、一次転写後に感光ドラム1の表面に残った転写残トナー(廃トナー)を除去するための弾性部材6aと、弾性部材を支持するための支持部材6bとが一体に形成されている。
クリーニングブレード6によって感光ドラム1の表面から除去された廃トナーは、クリーニングブレード6とクリーニング枠体14により形成される空間を重力方向に落下し、廃トナー収容部14a内に収容される。
本実施例では、感光体ユニット13と現像ユニット4を結合して、プロセスカートリッジ7としている。そして、プロセスカートリッジ7を画像形成装置に着脱可能なものとした。しかし、感光体ユニット13と、現像ユニット4は、独立して画像形成装置に着脱可能であってもよい。また、現像剤容器が、独立して画像形成装置に着脱可能であってもよい。
<トナーシール部材による開口の封止>
本実施例における、トナーシール部材23cによる開口18cの封止について説明する。図7(a)は、本実施例におけるトナーシール部材23cの取り付け構成について説明する断面図である。図7(b)は、本実施例における本実施例におけるトナーシール部材23cの取り付け構成について説明するための分解図である。なお、図7(b)は、トナーシール部材23cが伸ばされた状態(後述する折り返し部23c6がのばされた状態)を示している。
図7(a)、図7(b)に示すように、トナーシール部材23cは、一端側において、現像枠体18の開口18cの周りに接着される接着部30を有する。本実施例では、トナーシール部材23cと現像枠体18は熱溶着で接着される。接着部30とは、トナーシール部材23cと現像枠体18が、互いに接着されている部分を指す。回転部材23aは、回転中心である回転軸線23a0の周りに、図中矢印F方向に回転する。回転部材23aの断面は、外形が多角形であり、本実施例では角が丸められた四角形である。トナーシール部材23cは、他端側において、回転部材23aのシール固定面に対して固定される固定部31を有している。なお、トナーシール部材23cの先端を、先端部23c1と呼ぶ。そして、回転部材23aの回転方向の下流側に位置する面を、下流面23c4と呼ぶ。
回転部材23aが回転すると、接着部30と固定部31の間でトナーシール部材23cが図中矢印P1方向に引っ張られる。このP1方向を、引張方向と呼ぶ。トナーシール部材23がP1方向に引っ張られると、接着部30は徐々に剥離していき、図中矢印P2の方向に、開口18cが露出する。この、開口18cの露出が進行する方向(接着部30の剥離が進行していく方向)P2を、開封方向と呼ぶ。
図7(b)に示すように、回転部材23aの回転軸線方向は、接着部30の長手方向(開口18cの長手方向と略同一)に延びている。本実施例では、接着部30の長手方向と、回転軸線方向は平行である。すなわち、回転部材23aは、接着部30の長手方向と交差する方向(好ましくは直交方向)に向けて、トナーシール部材23を引張り、開封(剥離)する。言い換えると、トナーシール23cの引張方向P1と、開封方向P2が、接着部30の長手方向(または回転部材23aの回転軸線方向)と交差する方向(好ましくは直交方向)である。
一方、回転部材23aの回転軸線方向において、回転部材23aの一端には、回転部材23aに駆動を伝え、回転部材23aを回転させる駆動部材としてのギア23eが接続されている。ギア23eと回転部材23aは、回転部材23aの回転軸線方向の一端に設けられた不図示の取り付け穴に、ギア23eの取り付け突起を差し込むことで接続される。ギア23eは、画像形成装置に備えられた不図示の駆動源から駆動入力を受けて回転する。すなわち、回転部材23aは画像形成装置によって回転させられ、トナーシール部材23cの開封や、搬送部材23bの回転が行われる。ここで、回転部材23aの長手方向(回転軸線方向)において、ギア23eが接続される側を駆動側とよぶ。回転軸線方向において、駆動側に対向する側(反対側)を被駆動側と呼ぶ。トナーシール部材23cの端部のうち、回転部材23aの回転軸線方向において、駆動側に位置する端部を、駆動側シール端部(駆動側端部)23c2と呼ぶ。
一方、回転部材23aの被駆動側は、現像枠体18に回転可能に支持されている(被支持部23a5)。また、トナーシール部材23cの端部のうち、回転部材23aの回転軸線方向において、被駆動側に位置する端部を、被駆動側シール端部(被駆動側端部)23c3と呼ぶ。
図7(b)に示すように、接着部30は、開口18cの周囲を囲むように形成されている。ここで、接着部30は、接着部30の長手方向に延びる接着部と、長手方向に交差する方向(本実施例では直交する方向)である短手方向に延びる接着部とを有する。このうち、長手方向に延びる接着部であって、開封方向P2で開口18cの上流側に位置する接着部が接着部30a(上流側接着部)であり、開封方向P2で開口18cの下流側に位置する接着部が接着部30b(下流側接着部)である。また、短手方向に延びる接着部であって、駆動側に位置する接着部が接着部30c(駆動側接着部)である。被駆動側に位置する接着部が、接着部30d(被駆動側接着部)である。接着部30a、接着部30b、接着部30c、接着部30dは開口18cの開口縁に沿って連続的に形成されている。これにより、トナー収納室18aに収納されたトナーTの封止が可能になる。
図7(a)に示すように、本実施例では、固定部31と接着部30の間で、トナーシール部材23cは折り返されている(折り返し部23c6)。そして、接着部30(少なくとも接着部30a)を剥離するとき、接着部30からトナーシール部材23cの先端部23c1に向かう方向を引張方向P1として引っ張られる。すなわち、トナーシール部材23cは、開封方向P2で下流側に位置する接着部30bから、上流側に位置する接着部30aに向かう方向P3に対して、逆方向を含む(逆方向の成分を含む)方向に引っ張られる。
言い換えると、トナーシール部材は折り返し部23c6で折り返された状態で剥離される。そして、引張方向P1は、折り返し部23c6からトナーシール部材23cの先端部23c1に向かう方向P4(本実施例ではP2と同一方向)を含む方向である。なお、引張方向P1と、折り返し部23c6からトナーシール部材23cの先端部23c1に向かう方向P4は、完全に一致している必要はない。
こうすることで、接着面に対して、90度以上傾斜(図中θ)させてトナーシール部材23cを引っ張ることができ、トナーシール部材23cを剥離する際の負荷を低減できる。これを本実施例では傾斜剥離と呼ぶ。
(搬送ユニットの構成説明)
本実施例における搬送ユニット23について、図1、図4、図8、図9を用いてさらに説明する。図8は、本実施例に係る搬送ユニット23を示す斜視図である。図9は、本実施例に係る搬送ユニット23を示す断面図である。
本実施例における搬送ユニット23は、回転部材23aと、搬送部材23bと、トナーシール部材23cと、後述する凸部23dから構成される。
トナーシール部材23c、搬送部材23b、凸部23dは、回転部材23aの回転に伴って変形する(後述)。しかし、図8、9は、搬送ユニット23中のトナーシール部材23c、搬送部材23b、凸部23dが変形していない状態(自然状態)を示している。
ここで、トナーシール部材23c、搬送部材23b、凸部23dの変形していない状態(自然状態)について説明する。
図9に示すように、トナーシール部材23c、搬送部材23b、凸部23dの厚み方向を、それぞれt23c、t23b、t23dとする。このとき、それぞれの厚み方向(t23c、t23b、t23d)に交わる(本実施例では直交)面が、平面をなす状態を、各部材が変形していない状態(自然状態)とよぶ。言い換えると、トナーシール部材23c、搬送部材23b、凸部23dの表面が直線(平面)をなした状態をいう。
なお、凸部23dにおいては、厚み方向t23dに交わる面は、面23d2である。搬送部材23bにおいては、厚み方向t23bに交わる面は、23b4である(図9)。
回転部材23aは、トナー収納室18aの内部に備えられ、現像枠体18に回転可能に支持されている。回転部材23aは矢印F方向に回転する。
図1、図9に示すように、回転部材23aは、搬送部材23bを固定する固定面としての搬送固定面23a1を有する。搬送部材23bは、回転部材23aの搬送固定面23a1上に設けられたボス23a9を熱カシメすることで、回転部材23aの搬送固定面23a1に固定される。
搬送部材23bは、回転部材23aの回転軸線23a0に直交する方向(回転半径方向)において、回転部材23aの端部23a41(第一の端部)よりも外側に突出している。ここで、回転軸線23a0に直交する方向において、回転部材23aからの搬送部材23bの突出方向を、搬送突出方向E1とする。すなわち、搬送突出方向E1は、搬送部材23bが回転部材23aの端部23a41(第一の端部)から突出する方向である。搬送突出方向E1は、自然状態において、回転部材23aから搬送部材23bの先端23b2に向かう方向と一致する。
さらに、搬送部材23bは、回転部材23aの回転軸線方向に直交する方向において、一端側(先端側)の少なくとも一部に、トナー収納室18aの内壁に接触する接触部23b1を有する。
搬送部材23bはPET(ポリエチレンテレフタレート)やPC(ポリカーボネート)などの樹脂から成り、可撓性を有するシートであり、厚みは400μm以下が望ましい。
一方、回転部材23aは、トナーシール部材23cが固定される面であるシール固定面23a3を有している。シール固定面23a3は、搬送固定面23a1と回転軸線23a0を挟んで対向する(反対側に位置する)面である。
回転軸線23a0と直交する方向において、トナーシール部材23cの一端側(先端側)は、現像枠体18の開口18cの周りに熱溶着で接着される(図7における接着部30)。一方、回転軸線23a0と直交する方向において、トナーシール部材23cの他端側(固定側)は、シール固定面23a3において、回転部材23aに熱溶着する事で固定されている(固定部31)。
トナーシール部材23cは、回転部材23aの回転軸線23a0に直交する方向(回転半径方向)において、回転部材23aの端部23a43(第三の端部)よりも外側に突出している。
ここで、回転軸線23a0に直交する方向において、回転部材23aからのトナーシール部材23cの突出方向を、シール突出方向E3とする。すなわち、シール突出方向E3は、トナーシール部材23cが回転部材23aの端部23a43から突出する突出方向である。ここで、端部23a43は、回転部材23aに巻き付けられたシール部材23cが接触する回転部材23aの端部であって、固定部31よりも上流側、かつ後述する凸部の下流側に位置し、回転方向Fにおいて最も上流側に位置する端部である。シール突出方向E3は、自然状態において、回転部材23aからトナーシール部材23cの先端23c1に向かう方向と一致する。
回転部材23aには、剥離されたトナーシール部材23cと接触し、トナーシール部材を規制する規制部である凸部23dが設けられている。本実施例において、凸部23dは、搬送部材23bとは異なるシート部材である補助シート23fに設けられている。補助シート23fは、搬送部材23bの上に重ねられており、搬送部材23bと共に、搬送固定面23a1に沿って固定されている。なお、本実施例では、ボス23a9を熱カシメすることで、搬送部材23bと共に固定される。
凸部23dは、回転部材23aの回転軸線23a0に直交する方向(回転半径方向)において、回転部材23aの端部23a42(第二の端部)よりも外側に突出している。ここで、回転軸線23a0に直交する方向において、回転部材23aからの凸部23dの突出方向を、凸部突出方向E2とする。すなわち、凸部突出方向E2は、凸部23dが回転部材23aの端部23a42(第二の端部)から突出する方向である。凸部突出方向E2は、自然状態において、回転部材23aから凸部23dの先端23d1に向かう方向と一致する。
ここで、凸部突出方向E2は、搬送突出方向E1と逆方向を含む(逆方向の成分を含む)。本実施例では、トナーシール部材23cは、搬送固定面23a1に固定されている。そして、凸部23dも、搬送固定面23a1に沿って固定される。そして、搬送部材23bの先端23b2と、凸部23dの先端23d1が、回転軸線23aを挟んで対向する(反対側に位置する)。したがって、搬送突出方向E1に対して、凸部突出方向E2は逆方向(略180°)である。すなわち、この構成では、凸部突出方向E2と、搬送突出方向E1のなす角は完全に逆方向である。しかし、凸部突出方向E2は、搬送突出方向E1と逆方向を含む(逆方向の成分を含む)ようになっていればよく、必ずしも完全に逆方向でなくともよい。すなわち、搬送突出方向E1と凸部突出方向E2のなす挟角が、90°よりも大きくなっていればよい。
また、本実施では、凸部突出方向E2とシール突出方向E3は、同方向である。従って、シール突出方向E3と、搬送突出方向E1は逆方向である。
一方、図1で示す点線は、トナーシール部材23cが開口18cに溶着される前の状態を示す。トナーシール部材23cのうち、回転部材23aの端部23a43から突出した部分の長さをL4とする。長さL4は、回転軸線23a0と直交する方向で測った長さであり、自然状態でのトナーシール部材23cにおいて、端部23a43からトナーシール部材23cの先端23c1までの距離に等しい。
長さL4は、回転部材23aのトナー収納室18a内における配設位置から開口18cを溶着するのに必要な長さによって決定される。
プロセスカートリッジ7は、出荷時において、トナーシール部材23cが接着された状態であり、トナー収納室18aの中にはトナーが充填されている。トナーの充填に関しては、トナー収納室18aを形成する側面に設けられた穴(不図示)から、充填ノズルが挿入され、トナー収納室18a内にトナーが充填される。トナー充填後、前述の穴はキャップを溶着する事で、トナーは封止される。
上記トナー充填量を減少させる要因として、トナー収納室18a内の空間において、回転部材23aや搬送部材23b、トナーシール部材23cが占有する容積が考えられる。本実施例において、搬送部材23bは厚み400μm以下のシート部材であることから、その容積は小さい。また、凸部23dも、後述するように可撓性を有するシート部材であり、その厚みは400μm以下である。したがって、凸部23dの容積も小さい。したがって、トナー充填量に与える影響が小さい。
(封止部材の開封と現像剤の搬送)
次に、トナーシール部材23cの開封と、現像剤の搬送動作について図1、図5を用いて説明する。
上述したように、トナーシール部材23cは、回転部材23aの回転軸線23a0に交わる方向において、一端が回転部材23aに、他端が開口18cの周りに溶着されている。画像形成装置からの駆動が掛かると、回転部材23aは、プロセスカートリッジ7内の駆動列(不図示)を介し、矢印F方向に回転する。トナーシール部材23cは、回転部材23aの回転により、回転部材23aに巻き取られる事で、トナー収納室18aの開口18cから剥離され、トナー収納室18aと現像室18bの開口18cが連通する。
図5は、トナーシール部材23cが開封された後、回転部材23aに巻き取られた時のプロセスカートリッジ7の断面図である。
ここで、上述したように、本実施例では、現像室18bの下方にトナー収納室18aが設けられる。また、重力方向において、回転部材23aの回転中心(回転軸線)より上方にトナー収納室18aが設けられる。さらに、重力方向において、回転中心(回転軸線)より上方に開口18cが配置され、搬送部材23bが開口18cから現像室18bに向けてトナーを供給する。
搬送部材23bの接触部23b1は、トナー収納室18aの内壁(現像枠体18の内壁)に当接する。
本実施例では、回転部材23aは、搬送部材23bが撓んだ状態で回転する。トナー収納室18a内のトナーは、搬送部材23bの撓みが開放される力によって、現像室18bへと搬送される。搬送部材23bの撓みが開放される力によって、開口18cからトナーを供給するために、現像枠体18の内壁には、接触部23b1と当接して、搬送部材23bを変形させる変形部18eが設けられている。回転部材23aの回転に伴って、搬送部材23bの接触部23b1は、変形部18eに接触する。そして、搬送部材23bが変形して撓む(弾性変形)。
一方、回転部材23aの回転方向において、変形部18eの下流側かつ開口18cの上流側には、変形部18eによる搬送部材23bの変形を解放する解放部18fが設けられている。本実施例においては、解放部18fは、変形部18eが設けられている上流内壁面18e1に対して、回転方向下流側かつ回転軸線から遠ざかる方向に延びる下流内壁面18f1によって形成されている。変形部18eによって変形させられた状態で、回転部材23aがさらに回転すると、接触部23b1が解放部18fに到達する。そして、搬送部材23b自身の弾性によって、搬送部材23bの変形が解放される。このとき、回転部材23aの回転軸線周りの搬送部材23bの先端23b2(接触部23b1を含む先端)の角速度は、回転部材23aの角速度よりも早くなる。これにより、搬送部材23bに載せられているトナーは、開口18cを通じて現像室18bに跳ね上げられる。図5における点線は、搬送部材23bの撓みがない時のシートを表している。
ここで、本実施例では接触部23b1が解放部18fに到達したときに変形が解放される例を示した。しかし、実際には変形部18eが、搬送部材23bの変形を維持する力に対して、搬送部材23bの弾性によって変形が解放される力が大きくなったときに搬送部材23bが解放される。したがって、搬送部材23bの先端が、変形部18eを有する上流内壁面18e1の途中まで到達した時点で、搬送部材23bの変形が解放される場合もある。このような場合、上流内壁面18e1内に変形部18eと解放部18fが存在することになる。
なお、搬送部材23bは、解放部18fに到達する前には開口18cから離間しており、接触部23b1が解放部18fに到達すると、開口18cに向けて変位する。
(剥離された封止部材の規制)
上述したように、トナーシール部材23cは回転部材23aによって現像枠体18から剥離される。この剥離されたトナーシール部材23cが、搬送部材23bの接触部23b1を覆ってしまうと、搬送部材23bによる現像剤の搬送が妨げられることがある。そこで、トナーシール部材23cが、搬送部材23bとトナー収納室18aの内壁との間に巻き込まれるのを防止するために、凸形状23dを設けている。すなわち、凸部23dは、少なくとも接触部23b1の一部がトナー収納室18aの内壁(現像枠体18の内壁)に向けて露出されるように、剥離されたトナーシール部材23cと接触(当接)して規制する規制部である。ここで、トナーシール部材23cは凸部23dと当接して変形可能である。トナーシール部材23cと凸部23dの材質、サイズの関係を調整することにより、トナーシール部材23cの曲げ剛性を、凸部23dの曲げ剛性よりも小さくなるようにした。
搬送部材23bの接触部23b1とトナー収納室18aの内壁との間に、トナーシール部材23cがあると、トナーの搬送を妨げることがある。特に、搬送部材23bが解放部18fによって解放されるときには、搬送部材23bの接触部23b1が、トナーシール部材23cに沿って移動することになり、前述したトナーの跳ね上げを阻害する。また、開口18cと搬送部材23bの間が、トナーシール部材23cによって仕切られるような形になるため、開口18cに対するトナーの供給も阻害される。
このため、本実施例では変形部18eによって変形させられた搬送部材23bの変形が、解放部18fによって解放されるとき(解放される前)には、搬送部材23bの接触部23b1が露出しているように、凸部23dを設けた。すなわち、接触部23b1がトナー収納室18aの内壁に設けられた変形部18eに向けて露出されるように、凸部23dを設けた。
本実施では、上述したように折り返し部23c6を有するトナーシール部材23cを、傾斜剥離する構成である。このため、折り返しされる分だけ、トナーシール部材23cの長さが長くなるが、凸部23dを設けたことによって、搬送部材23bの接触部23b1を、トナーシール部材23cが覆わないようすることができる。
(凸部の形状)
上述したように、凸部23dは、回転軸線23a0と直交する方向において、回転部材23aの端部23a42よりも外側に突出している。すなわち、凸部23は、回転部材23aの回転半径方向外側に向けて、回転部材23aの端部23a42から突出している。凸部23dは、可撓性を有するシート状の部材である。また、厚み方向と交わる面23d2が回転部材23aの回転方向Fに面している(図8、9)。
上述したように、回転軸線23a0と直交する方向において、凸部突出方向E2は、搬送突出方向E1と逆方向を含む。また、本実施例では、回転部材23aの搬送固定面23a1に、搬送部材23bと凸部23dが設けられている。すなわち、本実施例において、搬送部材23bと凸部23dは、同一の取り付け面(搬送固定面23a1)上に重ねられて配置されている。そして、搬送部材23bの先端23b2と、凸部23dの先端23d1が、回転部材23aの回転中心(回転軸線23a0)を挟んで反対側に位置するように配置されている。このようにすることで、凸部23dの先端23d1が搬送部材23bの先端23b2と逆に位置するようにすることができる。
一方、回転軸線と直交する方向において、凸部23dの回転部材23aの端部23a42からの凸量x(回転部材23aの端部23a42から、自然状態における凸部23dの先端23d1までの距離)について、図5を用いて説明する。凸量xは、トナーシール部材23cを回転部材23aに巻き付けた時に、トナーシール部材23cの自由端側の先端23c1が搬送部材23bの先端23b2よりも回転半径方向で内側になるように形成されている。
この凸部の大きさについて、図5を用いて説明する。
回転軸線に直交する方向において、凸部23dの先端23d1と、搬送部材23bの先端2b2までの長さをL1とする。このL1は、自然状態における凸部23dの先端23d1と、自然状態における搬送部材23bの先端23b2の距離に等しい。また、L1は、凸部23dや搬送部材23bが変形している状態においては、凸部先端23d1から搬送部材23bの先端23b2までの長さを、凸部23dおよび搬送部材23bにそって測ったものと同じである。
次に、回転軸線に直交する方向において、端部23a43と、自然状態における凸部先端23d1までの距離をL2とする。端部23a43は、回転部材23aに巻き付けられたシール部材23cが接触する回転部材23aの端部であって、固定部31よりも上流側、かつ後述する凸部の下流側に位置し、回転方向Fにおいて最も上流側に位置する端部である。
そして、回転軸線に直交する方向において、回転部材23aよりも外側に突出した部分の長さL4から、距離L2をひいたものを、L3とする。すなわち、長さL4=L2+L3となる。
前述した様に、トナーシール部材23cのシート長さL4は、プロセスカートリッジ7の断面において、回転部材23aと、開口18cの配置によって決定される。一方、L2は凸部23dの凸量xが大きいほど大きくなる。L4の値が固定である場合、L2が長くなるとL3は小さくなる。この時、L1>L3となるように、凸部23dの凸量xを決定する事で、トナーシール部材23cが搬送部材23bとトナー収納室18aの内壁との間に巻き込まれる事を確実に防止する事ができる。
(トナーの影響)
上述のように、凸部23dは剥離されたトナーシール部材23cと当接することにより、接触部23b1をトナー収納室18aの内壁に向けて露出させるものである。
凸部23dは回転部材23dよりも外側に突出している。したがって、回転軸線23a0からみた、自然状態における凸部23dの回転半径Rdは、回転部材23aよりも大きい(図9参照)。よって、回転部材23aが回転すると、凸部23dにトナーによる負荷がかかる。
また、図5に示すように、凸部23dはトナーシール部材23cを回転軸線23a0に対して回転半径方向において外側に規制する。すると、トナーシール部材23cのうち、凸部23dに規制されている部分は、回転軸線23a0から離れる方向に位置する。従って、その部分(図5中23c9)は、回転軸線から見た回転半径が増加する。よって、剥離されたシール部材23dにも、トナーによる負荷がかかる。
したがって、仮に凸部23dが可撓性を有していないときは、トナーが押し固められた時などに、回転部材23aを回転させるために必要な力が増加することがある。特にカートリッジが運搬されたり、長い時間放置されたりした後などは、トナーが押し固められやすい。図6は、トナー収納室18a内のトナーが押し固められた場合において、回転部材23aが回転した時の概略図である。図6(a)はトナーがほぐれる前、図6(b)はトナーがほぐれた後の様子を示す。
本実施例では、可撓性を有する凸部23dを用いている。また、凸部23dの厚み方向と交わる面が、回転部材23aの回転方向に面している。剥離されたトナーシール部材23cは、回転部材23aにそって、回転方向の下流側から回転方向の上流側に向けて、回転部材23aに巻き取つけられる。トナーが押し固められた状態でトナーシール部材23cが回転部材23aに巻きつけられると、図6(a)に示す様に、凸部23dが折れ曲がる。凸部23dの厚み方向t23dと交わる面23d2(図9参照)が、回転方向Fに面しているため、凸部23dはトナーシール部材23dが巻き付いた時に、回転部材23aの回転半径方向内側に向けて変形しやすい。
本実施例において、凸部23dは、図6中θが略180°まで折れ曲がる。凸部23dが折れ曲がる事で、凸部23dに掛かるトナーの粉圧を逃がすことができる。また、トナーシール部材23cのうち、凸部23dに規制されている部分の、トナーシール部材23cの回転半径も、小さくすることができる。これにより、回転部材23aの回転に必要な力が増加することを抑制できる。
なお、上述のように凸部23dが折れ曲がった状態では、トナーシール部材23cが接触部23b1を覆う状態になっている場合がある。しかし、図6(b)に示す様にトナーがほぐれると、凸部23dは自身の弾性によって復帰してくる。凸部23dが所定の状態まで戻ると、前述した様に搬送部材23bの接触部23b1を、トナー収納室18aの内壁に向けて、露出させるように、トナーシール部材23cを規制することができる。
これにより、トナーが押し固められた状態においては、回転部材23aを回転するのに必要な力の増加を抑制し、且つ、トナーがほぐれた後は、トナーシール部材23cが搬送部材23bとトナー収納室18aの内壁との間に挟まる事を防止する事ができる。
また、上述したように、自然状態において、凸部突出方向E2は、搬送突出方向E1とは、逆方向を含む(本実施例では略180°)ように構成している。
凸部23dは可撓性を有するため、トナーと接触した際に、回転部材23aを回転させるのに必要な力に対して、大きく影響することは少ない。しかし、回転部材23aを回転させる力はなるべく小さい方が好ましい。したがって、凸部23dはなるべく小さい方が良い。
凸部23dでトナーシール部材23cの位置を規制する場合、接触部23b1からトナーシール部材23cの先端23c1が離れる方向に規制することが望ましい。
したがって、凸部突出方向E2を、搬送突出方向E1の逆方向を含むように構成することで、凸部23dの大きさを小さくすることができる。
さらに、本実施例では、凸部23dは搬送部材23bと異なるシート部材(補助シート23f)で構成されている。そして、凸部23dと、搬送部材23dとを、同一面である搬送固定面23a1の上で重ねて取り付けた。そして、凸部23dの凸部突出方向E2と、搬送突出方向E1が、逆方向になるようにした。すなわち、この構成では、凸部突出方向E2と、搬送突出方向E1のなす角は180°(完全に逆方向)である。したがって、凸部23dの大きさが小さくても、より確実に接触部23b1を露出させることができる。
また、凸部23dは可撓性を有しているため、トナーシール部材23cの巻きつきや、トナーの負荷によって変形する。可撓性を有するシートが復帰する力は、変形の大きさに依存する。したがって、凸部突出方向E2を、搬送突出方向E1の逆方向を含むように構成することで、変形が大きくなり、復帰する力を大きくすることができる。本実施例では、凸部23dの凸部突出方向E2と、搬送突出方向E1が、逆方向になる(完全に逆方向になる)ため、変形が大きく、より好適である。
また、本実施例では、回転軸線と直交する方向において、凸部23dの長さは、搬送部材23bの長さよりも短い。すなわち、自然状態において、回転軸線と直交する方向において、回転軸線と搬送部材23bの先端23b2の距離(図9中Rb)は、回転軸線と凸部の先端23d1の距離(図9中Rd)よりも大きい。したがって、トナーが押し固められた場合でも、搬送部材23bでトナーがほぐされ、凸部23dが早く復帰することができる。
また、本実施例では凸部23dは、現像枠体18cの内壁には接触せず、隙間を保って回転する。こうすることで、凸部23dが現像枠体18に接触して変形することを防止できる。
また、図8(a)に示す様に、回転軸線方向において、凸部23dは、長手全域ではなく、中央近傍にのみ形成されている。すなわち、回転軸線方向において、凸部23dの長さは、搬送部材23bの接触部23b1の長さより短い。凸部23dは、剥離されたトナーシール部材23cを規制できる範囲で、必要最低限に形成されていれば良い。回転軸線方向において、凸部23dの長さを短くすることで、凸部23dにかかるトナーの負荷を減少できる。また、回転軸線方向において、搬送部材23bよりも短くすることで、凸部23dの回転軸線方向の端部まで、搬送部材23bがトナーをほぐすため、凸部23dが変形した後の回復を早くすることができる。凸部23dが大きくなることによるコストアップも抑制できる。
なお、本実施例において、凸部23dは、搬送部材23bとは異なるシート部材として、回転部材23aに取り付けられていた。しかし、例えば搬送部材23bの他端部を延長し、凸部23dを形成してもよい(図10)。
この構成をとることでも、凸部突出方向E2と、搬送突出方向E1を、逆方向とすることができる。すなわち、この構成では、凸部突出方向E2と、搬送突出方向E1のなす角は180°(完全に逆方向)である。
また、搬送部材23bは厚み400μm以下のシート部材であることから、搬送部材23bの凸部23dの容積は小さい。よって、凸部23dを設ける事がトナー充填量に与える影響も小さい。
以上のように、剥離されたトナーシール部材23c(封止部材)に凸部23dを接触させ、剥離後のナーシール部材23cを規制することで、剥離後のトナーシール部材23cが搬送部材23bによるトナー(現像剤)の搬送に影響を与えることを抑制できる。さらに、凸部23dが可撓性を有し、凸部23dの厚み方向t23dと交わる面23d2が、回転部材(開封部材)23aの回転方向Fに面する。これにより、トナー収納室(現像剤収納室)18aのトナー押し固められた場合等において、回転部材23aを回転するために必要な力の増加を抑制できる。
[実施例2]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置、プロセスカートリッジの基本的な構成は、実施例1のものと同じである。したがって、実施例1のものと同一またはそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
本実施例では、凸部23dが搬送部材23bの上面に重ねられた補助搬送部材123fに形成されている。
図11は、他のトナー搬送部材を示す概略図で、図11(a)は搬送ユニット123の単体斜視図、図11(b)は、搬送ユニット123をプロセスカートリッジ7に取り付けた時の概略図である。
本実施例において、回転部材23aには、搬送部材23bに乗っているトナーを保持する部材としての、可撓性シート状部材である補助搬送部材123fが設けられている。補助搬送部材123fは、搬送部材23bとは異なるシート部材である。補助搬送部材123fは、図13のように、搬送部材23bと同位相で、搬送部材23bの上に重ねて配置される。補助搬送部材123fは、搬送部材23bと同じ材質のPET(ポリエチレンテレフタレート)やPC(ポリカーボネート)などのシート部材で、厚みは400μm以下で構成される。
回転部材23aの回転時に、重力の影響で、搬送部材23b上のトナーが搬送部材23bの傾斜に沿って搬送部材23bから落下しようとする。補助搬送部材123fは、回転部材23aの回転時に搬送部材23bから落下しようとするトナーを受ける受け部123d5を有する。受け部123d5は、回転部材23aから搬送部材23bと同じ方向に突出する部分である。この受け部123d5が壁となり、搬送部材23b上に乗るトナーを保持する機能がある。補助搬送部材123fが、搬送部材23bの表面上に乗っているトナーがこぼれ落ちるのを抑制するため、実施例1で述べた搬送部材23bの変形が解放されることによる、トナーの跳ね上げを効率的に行うことができる。したがって、現像室18bへ供給するトナーの量を安定させることができる。
本実施例では、回転軸線23a0と直交する方向において、補助搬送部材123fの受け部が突出する方向と反対側の端部において、実施例1と同様の凸部23dが形成される。
また、図13(a)に示す様に、回転軸線方向において、凸部23dは、長手全域ではなく、中央近傍に形成されている。すなわち、回転軸線方向において、凸部23dの長さは、搬送部材23bの長さより短い。凸部23dは、剥離されたトナーシール部材23cを規制できる範囲で、必要最低限に形成されていれば良い。回転軸線方向において、凸部23dの長さを短くすることで、凸部23dにかかるトナーの負荷を減少できる。また、回転軸線方向において、搬送部材23bよりも短くすることで、凸部23dの端部まで搬送部材23bがトナーをほぐすため、凸部23dが変形した後の回復を、早くすることができる。凸部23dが大きくなることによるコストアップも抑制できる。
本実施例では、凸部23dが搬送部材23bの上面に重ねられた補助搬送部材123fに形成されている。したがって、トナーシール部材23cが回転軸23に巻き付いたときに、トナーシール部材23cの固定端と凸部23d先端までの距離L2は、搬送部材23bの厚みtだけ長くなる。よって、トナーシール部材23cの自由端先端が、搬送部材23bとトナー収納室18aの内壁との間に巻き込まれるのをより確実に防止する事ができる。
[実施例3]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置、プロセスカートリッジの基本的な構成は、実施例1のものと同じである。したがって、実施例1のものと同一またはそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
図12は、他の搬送ユニット23Lを示す概略単体斜視図である。
本実施例において、補助シート23fcの凸部23dcには複数の穴部(穴)24が設けられている。本実施例において、穴部24は四角形状であり、回転軸線方向に沿って、三か所に設けられている。ただし、この構成に限定されない。例えば、穴部24の形状は丸形状等であっても良いし、穴の数も三か所でなくても良い。また、穴は一つでもよい。この穴部24は、後述するトナー充填において、充填の効率を向上させることができる。
(トナー充填)
現像ユニット4aへのトナー充填について説明する。
図13は本実施例の搬送ユニット23Lが設けられた組立途中の現像ユニット4aであり、図13(a)は現像ユニット4aの斜視図、図13(b)は現像ユニット4aの断面図である。
現像ユニット4aには、トナーTを充填するためのトナー充填口50が設けられている。トナーTのトナー充填工程としては、まず充填装置の充填ノズル(不図示)をトナー充填口50からトナー収容室18aに挿入しトナーTを充填する(充填工程)。次に脱気装置の脱気ノズル(不図示)をトナー充填口50からトナー収容室18aに挿入し、トナーTに含まれる空気を脱気することでトナーTの充填密度を向上させる(脱気工程)。
図13(b)の現像ユニット4aの断面図に示すように、補助シート23fcの凸部23dcはトナー収容室18aを仕切るように設けられている。このようにトナー収容室18aが仕切られると、脱気工程においてトナー収容室18aの凸部23dcを挟んで充填口50(断面投影位置)と対向する空間の脱気性能が低下してしまう。
しかし、本実施例のように補助シート23fcの凸部23dcに穴部24を設けることで、穴部24からも前述した充填口50と対向する空間のトナーTに含まれる空気を脱気することが可能となるため、脱気工程の脱気性能の向上を図ることができる。
また、本実施例では補助シート23fcの凸部23dcに、穴部24が設けられているが、実施例1及び実施例2で前述した搬送部材23bの他端部を延長した凸部23dや補助搬送部材123fの凸部23dに穴部24を設けても良い。
(穴部の引っ掛かり防止)
図14、15を用いて、穴部24が引っ掛かることを防止する構成について説明する。図14は、穴部の引っ掛かりを防止する構成を示す斜視図である。図15は、補助シートのみが略180°折れ曲がった状態を示す搬送ユニットの斜視図である。図15(a)は、穴部24の引っ掛かり防止形状がない構成を示している。図15(b)は、穴部24の引っ掛かり防止形状が設けられた構成を示している。なお、補助シートの状態を示すために、図15では、トナーシール部材を変形していない形で描いているが、実際には、トナーシール部材は回転部材23aに巻きつけられた状態である。
実施例1、2で述べたように、回転部材23aは、補助シート23fc、搬送部材23b、トナーシール部材23cなどを固定する、ボス23a9を有している。ボス23a9は熱カシメすることで、各部材を固定している。本実施例では、熱カシメされたボス23a9を、カシメボス51と呼ぶ。
本実施例のように補助シート23fcの凸部23dcに穴部24を設けた構成において、トナーシール部材23cの開封を行った場合にも図6(a)で示したように、凸部23dcが略180°まで折れ曲がる可能性がある。凸部23dcが変形して折り曲げられている状態において、穴部24がカシメボス51と重なるような位置に設けられていると、カシメボス51と、穴部24が引っ掛かることがある。
図15(a)は凸部23dcのみが略180°まで折れ曲がった状態を示している。図15(a)に示すように、カシメボス51が穴部24に入り込むことで、穴部24がカシメボス51に引っ掛かってしまう場合がある。
図14に示す搬送ユニット23Mは、穴部24に引っ掛かり防止部52を設けた構成である。図15(b)に示すように、凸部23ddが略180°折れ曲がった場合においても、引っ掛かり防止部52が、カシメボス51に当接する。これにより、カシメボス51が穴部24に入り込むことを抑え、穴部24がカシメボス51に引っ掛かることを防止することができる。