尚、以下の実施形態に記載されている構成部品の機能、材質、形状、機能、その相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、以下の説明で一度説明した部材についての材質、形状等は、特に改めて記載しない限り初めの説明と同様のものである。
先ず、図1〜図9を用いて本発明に係る現像剤収納ユニットを有する現像装置を備えたプロセスカートリッジを着脱可能に設けられる画像形成装置の第1実施形態の構成について説明する。
<プロセスカートリッジ>
以下、図1〜図3を用いて本発明に係る現像剤収納ユニットを有する現像装置38を備えたプロセスカートリッジ4について説明する。図1は本発明に係る現像剤収納ユニットを有する現像装置38を備えたプロセスカートリッジ4を着脱可能に設けられる画像形成装置2の構成を示す断面説明図である。図2は本発明に係るプロセスカートリッジ4の構成を示す断面説明図である。図3は本発明に係るプロセスカートリッジ4の構成を示す斜視説明図である。
現像装置38は、静電潜像を担持する像担持体となる感光ドラム11の表面に形成された静電潜像を現像剤Tを用いて現像するための現像剤担持体となる現像ローラ13を有する。
現像装置38は、現像剤Tを収納する現像剤容器となる現像枠体40内に収納された現像剤Tを撹拌する回転可能な撹拌手段となる撹拌部材21を有する。撹拌部材21により現像枠体40内に収納された現像剤Tを撹拌する。そして、現像剤供給ローラ23により現像ローラ13の表面に現像剤Tを供給する。プロセスカートリッジ4は、現像装置38と、感光ドラム11とを有する。
尚、以下の説明において、「長手方向」とは、図3の矢印F方向で示すプロセスカートリッジ4の長手方向と一致するものとする。また、図4(a)に示すように、図示しないモータ等の駆動手段から回転駆動力が伝達される撹拌部材21の棒状の撹拌軸部20の長手方向と一致するものとする。
図2に示すように、プロセスカートリッジ4は、像担持体としての感光ドラム11と、該感光ドラム11の表面に作用する画像形成プロセス手段を備える。ここで、画像形成プロセス手段としては、例えば、感光ドラム11の表面を一様に帯電させる帯電手段となる帯電ローラ12を有する。
更に、図1に示すように、プロセスカートリッジ4の外部に設けられ、一様に帯電した感光ドラム11の表面に画像情報に応じてレーザ光8aを照射して静電潜像を形成する像露光手段となるレーザスキャナ8を有する。
更に、感光ドラム11の表面に形成された静電潜像に現像剤Tを供給してトナー像として現像する現像手段となる現像装置38を有する。更に、感光ドラム11の表面に残留した現像剤T(トナー、キャリア等を含む)を除去するためのクリーニング手段となるクリーナユニット24を有する。
本実施形態のプロセスカートリッジ4は、図2及び図3に示すように、感光ドラム11の周囲に帯電手段である帯電ローラ12、クリーニング手段として弾性を有するクリーニングブレード14を有するクリーナユニット24を備えている。
また、プロセスカートリッジ4は、現像枠体40を有する現像装置38を備えている。プロセスカートリッジ4は、クリーナユニット24と現像装置38とを一体化して図1に示す画像形成装置2本体に対して着脱可能に構成されている。
現像装置38は、現像手段を構成する現像剤担持体としての現像ローラ13、現像ローラ13の表面に担持される現像剤Tの層厚を規制する現像ブレード15を備える。更に、現像剤容器となる現像枠体40内に収納された現像剤Tを現像ローラ13に供給する現像剤の供給回転体となる現像剤供給ローラ23を備える。更に、現像剤Tを収納する現像枠体40、現像剤Tを撹拌して現像剤Tを供給ローラ23に供給する撹拌手段となる撹拌部材21を備える。
撹拌部材21は、図5に示すように、棒状の撹拌軸部20と、可撓性を有する撹拌シート部19とを有して構成される。現像ローラ13及び撹拌部材21の撹拌軸部20は現像枠体40に回転可能に軸支されている。また、現像ブレード15は現像枠体40に固定支持されている。
<画像形成装置>
図2及び図3に示すプロセスカートリッジ4は、図1に示す画像形成装置2に装着されて画像形成に用いられる。画像形成は画像形成装置2本体の下部に装着されたシートカセット6から搬送ローラ7によって記録材となるシートSを搬送する。シートSの搬送動作と同期して、感光ドラム11の表面にレーザスキャナ8から選択的な露光をして静電潜像を形成する。
現像枠体40内に収納された現像剤Tは、スポンジ状の現像剤供給ローラ23によって現像ローラ13に供給される。そして、現像ブレード15により現像ローラ13の表面に現像剤Tが薄層担持される。現像ローラ13に図示しない現像バイアス電源から現像バイアス電圧を印加することにより感光ドラム11の表面に形成された静電潜像に応じて現像剤Tを供給してトナー像として現像する。
感光ドラム11の表面に形成されたトナー像を転写手段となる転写ローラ9へ図示しない転写バイアス電源から転写バイアス電圧を印加する。これによりレジストローラ16によって感光ドラム11の表面に形成されたトナー像と同期をとって感光ドラム11と転写ローラ9との転写ニップ部に搬送されるシートSに転写する。
感光ドラム11と転写ローラ9との転写ニップ部においてトナー像が転写されたシートSは、定着手段となる定着装置10へ搬送されて加熱及び加圧されてトナー像がシートSに定着される。その後、トナー像が定着されたシートSは排出ローラ1により搬送されて画像形成装置2本体上部に設けられた排出部3に排出される。
本実施形態においては、画像形成装置2本体に対して一つのプロセスカートリッジ4を装着する構成の一例を示した。他に、フルカラー画像に対応したイエロー色、マゼンタ色、シアン色、ブラック色の現像剤を収容した複数のプロセスカートリッジ4を画像形成装置2本体に対して装着できる構成でも良い。
<現像装置>
次に図2及び図3を用いて現像装置38の構成について説明する。本実施形態の現像装置38は、現像ローラ13、現像剤供給ローラ23、現像ブレード15、撹拌軸部20と撹拌シート部19とを有する撹拌部材21と、これらを支持する現像枠体40とを有して構成される。
図2に示すように、撹拌部材21の撹拌軸部20の回転中心Pは、図2の矢印G方向で示す現像剤供給ローラ23の重力方向と反対側の図2の上方投影領域V(投影領域内)に配置されている。
図2に示すように、本実施形態の現像装置38は主に現像枠体40内部の現像剤Tの自重により該現像剤Tを現像剤供給ローラ23に供給している。更に、撹拌部材21により現像枠体40内部の現像剤Tの撹拌循環を良好に保つことで現像剤Tの劣化を抑制している。
尚、本実施形態において撹拌部材21の回転中心Pは、現像剤供給ローラ23を図2の矢印G方向で示す重力方向に対して逆向きとなる図2の上方に投影した上方投影領域V内に配置されている。そのため、撹拌部材21により撹拌された現像剤Tを自重により効果的に現像剤供給ローラ23へ供給することができる。
<撹拌手段>
次に図4及び図5を用いて撹拌部材21の構成について説明する。図4(a)は撹拌軸部20の構成を示す斜視説明図である。図4(b)は撹拌軸部20の撹拌シート部19を支持する複数の支持部20cのうちの一つを拡大した部分拡大斜視図である。図4(c)は図4(b)のA−A断面図である。図5(a)は撹拌部材21の構成を示す分解斜視図である。図5(b)は撹拌部材21の構成を示す斜視斜視説明図である。
図4(a)に示すように、撹拌軸部20の長手方向両端部には、図2に示す現像枠体40に対して回転可能に支持される被支持部20a,20bが設けられている。更に、撹拌軸部20の長手方向に沿って所定ピッチで撹拌シート部19を支持する複数の支持部20cを備えている。
本実施形態の支持部20cは、図5に示す撹拌シート部19に設けられた貫通穴として長穴からなる被支持部19aに挿通可能である。支持部20cは、図4(b)に示すように、撹拌軸部20の図4(b)の矢印D方向で示す回転方向の下流に向かって先端部20iが伸びるフック部で構成される。
フック部からなる支持部20cは、撹拌軸部20側(撹拌軸部側)の根元部20fの図4(b)の矢印F方向における幅W1よりも図4(b)の矢印F方向における幅W2が広い引っ掛け部20gを有する。フック部からなる支持部20cの先端部20iは、図4(b)に示すように、撹拌軸部20の図4(b)の矢印D方向で示す回転方向の下流に向かって(先端に向かって)徐々に尖った先鋭部からなる。
支持部20cの引っ掛け部20gの図4(b)の矢印F方向における幅W2は、図5(a)に示す可撓性を有する撹拌シート部19の支持部20cに支持される複数の被支持部19aの図5(a)の矢印F方向における幅W4よりも大きい幅で形成されている。また、支持部20cの根元部20fの図4(b)の矢印F方向における幅W1は、図5(a)に示す可撓性を有する撹拌シート部19の被支持部19aの図5(a)の矢印F方向における幅W4よりも小さい幅で形成されている。
撹拌シート部19の貫通長穴からなる被支持部19aに支持部20cの先端部20iを挿入する。更に、撹拌シート部19を装着方向(図4(b)の下方向)に引っ張る。すると撹拌シート部19が弾性変形して貫通長穴からなる被支持部19aが一時的に拡径して該被支持部19a内に支持部20cの先端部20iを挿通することが出来る。そして、被支持部19aが支持部20cの根元部20fに嵌装され、撹拌シート部19が復元して被支持部19aが支持部20cに支持されて係止される。
図4(c)に示すように、撹拌軸部20は、断面略円筒形状の略円筒部20dと平面部20eとを有して構成されている。平面部20eは、図4(a),(b)に示すように、図4(a)の矢印F方向に沿って所定ピッチで設けられた複数の支持部20cの間に設けられている。更に、平面部20eは、撹拌部材21の長手方向となる図4(a)の矢印F方向の両端部に設けられている。
本実施形態における撹拌軸部20の略円筒部20dの直径は9mm程度である。また、支持部20cは、図4(a)の矢印F方向に沿って約50mmピッチで5箇所に設けられている。
被支持部20bの図4(a)の矢印F方向における外側には図示しない駆動伝達ギアが取り付けられている。この駆動伝達ギアには、画像形成装置2に設けられたモータ等の駆動源から回転駆動力が伝達される。これにより撹拌軸部20は図4(a)の矢印D方向に回転する。
図4(b)に示すように、本実施形態の支持部20cはフック形状で構成される。支持部20cは、フック形状の根元側の根元部20fと、フック形状の中間の引っ掛け部20gとを有する。更に、フック形状の先端側の先端部20iと、該先端部20iから引っ掛け部20gに近付くにつれて徐々に幅が広くなる先鋭部からなる誘い込み部20hとを有して構成される。
根元部20fの図4(b)の矢印F方向の幅は幅W1である。引っ掛け部20gの図4(b)の矢印F方向の幅は幅W2である。先端部20iの図4(b)の矢印F方向の幅は幅W3である。支持部20cの先端部20iは撹拌軸部20の回転方向となる図4(b)の矢印D方向下流側を向いている。
図4(c)に示すように、撹拌軸部20の平面部20eに対向する支持部20cの対向面20jは、該平面部20eに対して一定の隙間gを設けている。この隙間gは撹拌シート部19の厚みよりも大きいため、この隙間gに撹拌シート部19を挿入して被支持部19aを支持部20cに挿通することが出来る。
図5(b)に示すように撹拌シート部19を撹拌軸部20に組み付けた後、撹拌シート部19は、図4(c)に示す撹拌軸部20の軸線方向から見た状態では、平面部20eと対向面20jとの間に存在する。支持部20cが設けられている固定面20kは、対向面20jに対して平面部20eよりも離れた位置に設けられている。これは支持部20cの部品製造上の理由であり、固定面20kと平面部20eとを同一平面上に設けても良い。
図5(a)に示すように、撹拌シート部19には支持部20cに支持される複数の被支持部19aが複数の支持部20cのピッチに対応して設けられている。被支持部19aは貫通長穴で構成され、該長穴の長手方向となる図5(a)の矢印F方向の幅は幅W4である。
ここで、撹拌シート部19に設けられる被支持部19aの図5(a)の矢印F方向の幅W4と、撹拌軸部20の支持部20cの根元部20fの図4(b)の矢印F方向の幅W1がある。更に、引っ掛け部20gの図4(b)の矢印F方向の幅W2と、先端部20iの図4(b)の矢印F方向の幅W3とがある。それらの関係は以下の数1式に示す通りである。
[数1]
W2>W4>W1
W4>W3
撹拌シート部19には被支持部19aに対して撹拌軸部20の回転方向となる図5(b)の矢印D方向上流側に突き出る第一撹拌部19bが設けられている。図6(b)に示すように、撹拌部材21が回転中心Pを中心に図6(b)の矢印D方向に回転することにより第一撹拌部19bは現像枠体40内に収納された現像剤Tを撹拌する。
また、撹拌シート部19には被支持部19aに対して第一撹拌部19bと反対側に突き出る第二撹拌部19cが設けられている。図6(a)に示すように、撹拌シート部19の第一撹拌部19bと第二撹拌部19cとは一体的に構成される。第一撹拌部19bと第二撹拌部19cとは撹拌軸部20の回転中心Pに対して同一側に設けられている。第二撹拌部19cの回転方向の長さYは、第一撹拌部19bの回転方向の長さXよりも短い。第二撹拌部19cは第一撹拌部19bよりも撹拌軸部20の回転方向となる図6(b)の矢印D方向下流側に設けられる。
撹拌シート部19の剛性(弾性力)を適宜設定する。これにより現像枠体40内に収納された現像剤Tの量が多く撹拌部材21の回転負荷が大きい場合には、図6(c)に示すように、第一撹拌部19bが第二撹拌部19cを覆って撹拌軸部20の外周に巻回される。そして、弾性を有する第二撹拌部19cの腰の強さにより第一撹拌部19bをバックアップして該第一撹拌部19bにより現像剤Tを撹拌する。
一方、現像枠体40内に収納された現像剤Tの量が少なく撹拌部材21の回転負荷が小さい場合には、図6(b)に示すように、第一撹拌部19bに加えて第二撹拌部19cも現像剤Tを撹拌する。
図6(c)に示すように、第一撹拌部19bが第二撹拌部19cを覆って撹拌軸部20の外周に巻回された状態では該第二撹拌部19cが第一撹拌部19bをバックアップして撹拌軸部20の外周面よりも径方向に突出させた状態で保持している。これにより第一撹拌部19bによる現像剤Tの撹拌循環を良好に保つことが出来る。
図5(a),(b)に示すように、撹拌シート部19の第二撹拌部19cの図5(a),(b)の矢印F方向に沿って所定ピッチで設けられた複数の被支持部19a間(被支持部間)には切り欠き部19dが設けられている。本実施形態の切り欠き部19dは複数の被支持部19a間(被支持部間)の図5(a),(b)の矢印F方向における中央に設けられている。
撹拌部材21の軸方向となる図5(a)の矢印F方向において第二撹拌部19cの外縁で複数の被支持部19aの間には切り欠き部19dが設けられている。切り欠き部19dは、図8(b)に示す第二撹拌部19cの波打ちを防止するためのものである。本実施形態における切り欠き部19dの図5(a)の矢印F方向の幅W5は2mm程度である。
<撹拌シート部の組み付け>
撹拌シート部19を撹拌軸部20に組み付ける際に被支持部19aが図4(b)に示す引っ掛け部20gを通過するときには、被支持部19aが図5(a)の矢印F方向に押し広げられるように弾性変形する。押し広げられた被支持部19aが引っ掛け部20gを通過して根元部20fに至ると被支持部19aが復元する。これにより図5(b)に示すように、撹拌シート部19の被支持部19aが撹拌軸部20の支持部20cに係止される。
その後、撹拌軸部20が図5(b)の矢印D方向に回転する。すると、撹拌シート部19の第一撹拌部19bは現像剤Tから受ける抵抗Zにより撹拌軸部20の回転方向となる図6(b)の矢印D方向上流側に撓められる。このとき図6(b)に示すように、支持部20cの先端部20iが撹拌軸部20の回転方向となる図6(b)の矢印D方向下流側を向いている。このため第二撹拌部19cは現像剤Tから受ける抵抗Zにより撹拌軸部20の回転方向となる図6(b)の矢印D方向上流側に撓められる。
これにより撹拌部材21が回転しても撹拌シート部19の被支持部19aを支持部20cの根元部20fから先端部20iに向かわせる力は働かない。従って、撹拌部材21の回転中に撹拌シート部19が撹拌軸部20から外れることはない。
図5(b)に示すように、撹拌軸部20に設けられた支持部20cの先端部20i側から撹拌シート部19の被支持部19aを嵌入して組み付ける。これにより撹拌部材21が形成される。
撹拌シート部19の材質は、ポリエチレンテレフタレート(PET;Polyethylene Terephthalate)、ポリフェニレンスルファイド(PPS;Poly Phenylene Sulfide)が適用可能である。更に、ポリエチレン(PE;polyethylene)、ポリプロピレン(PP;Polypropylene)等が適用可能である。撹拌シート部19の厚みは0.03mm〜0.15mmのものを適宜選定すれば良い。また、前述の材質を基材として表層にシーラント層をラミネートしたものでも良い。
<撹拌手段の回転時の挙動>
次に図6〜図9を用いて撹拌部材21の回転時の挙動について説明する。図6及び図7は撹拌部材21の回転中の挙動を本実施形態と比較例1、2とを比較して説明する断面説明図である。図6(a)は本実施形態において撹拌部材21が回転する前の状態を示す断面説明図である。図6(b)は本実施形態において撹拌部材21が回転し始めた直後の状態を示す断面説明図である。図6(c)は本実施形態において撹拌部材21が回転している状態を示す断面説明図である。
図7(a)は比較例1において撹拌部材21が回転している状態を示す断面説明図である。図7(b)は比較例2において撹拌部材21が回転している状態を示す断面説明図である。
図6(a)に示すように、撹拌シート部19の第一撹拌部19bは以下の通り構成される。撹拌軸部20の略円筒部20dと平面部20eとの交点のうち、支持部20cに対して撹拌軸部20の回転方向となる図6(a)の矢印D方向上流側にある点Mから第一撹拌部19bの回転方向に長さXだけ突出している。
また、撹拌シート部19の第二撹拌部19cは、撹拌軸部20の支持部20cの先端部20iから第二撹拌部19cの回転方向に長さYだけ突出している。本実施形態における第一撹拌部19bの回転方向の突出長さXは、撹拌軸部20の周長よりも長い30mm以上に設定される。また、第二撹拌部19cの回転方向の突出長さYは、1mm〜10mm程度である。
次に、図6(b)に示すように、撹拌部材21が図6(b)の矢印D方向に回転し始めると第二撹拌部19cは現像枠体40内に収容された現像剤Tから抵抗Zを受ける。これにより第二撹拌部19cは先端部20iを支点として撹拌部材21の回転方向となる図6(b)の矢印D方向上流側に撓む。同様に第一撹拌部19bも現像剤Tから受ける抵抗Zにより点Mを支点として撹拌部材21の回転方向となる図6(b)の矢印D方向上流側に撓む。
次に、図6(c)に示すように、撹拌部材21が更に図6(c)の矢印D方向に回転する。すると、第一撹拌部19bが現像剤Tから受ける抵抗Zにより撹拌部材21の回転方向となる図6(c)の矢印D方向上流側に撓み続ける。そして、第一撹拌部19bが撹拌軸部20の略円筒部20dに近接するように円弧形状になる。そして、第一撹拌部19bの先端部Qが第二撹拌部19cの先端部Uよりも撹拌部材21の回転方向となる図6(c)の矢印D方向上流側に位置するようになる。
このとき、撹拌シート部19の第一撹拌部19bと撹拌軸部20との間には撹拌部材21の回転方向となる図6(c)の矢印D方向上流側に撓められた第二撹拌部19cが存在する。そのため、撹拌軸部20の回転中心Pからの撹拌シート部19の回転軌跡の最大半径R1は、撹拌軸部20の略円筒部20dに近接する撹拌シート部19の回転軌跡の最小半径(撹拌軸部20の回転軌跡の最大半径)R2よりも大きくなる。つまり、以下の数2式で示す関係となる。
[数2]
R1>R2
例えば、比較例1として図7(a)に示すように、撹拌シート部19に第二撹拌部19cを設けずに薄くて安い剛性の低い撹拌シート部19を用いる。その場合、現像剤Tから受ける抵抗Zにより撹拌シート部19の回転軌跡の最大半径R1と回転軌跡の最小半径R2とは略同等になる。
これに対して、図6(c)に示す本実施形態では、撹拌シート部19に第二撹拌部19cを設けることで撹拌シート部19の回転軌跡の最大半径R1を撹拌軸部20の回転軌跡の最大半径R2よりも大きくすることができる。
また、第一撹拌部19bの先端部Qが第二撹拌部19cの先端部Uよりも撹拌部材21の回転方向となる図6(c)の矢印D方向上流側に位置する。このため第二撹拌部19cの周辺を滑らかに第一撹拌部19bで覆うことができる。このとき、撹拌シート部19の回転軌跡の最大半径R1が撹拌軸部20の回転軌跡の最大半径R2よりも大きくなる範囲は撹拌軸部20の回転中心Pを中心とした角度θ1である。
これに対して、例えば、比較例2として図7(b)に示すように、第一撹拌部19bが短くて第一撹拌部19bの先端部Qが第二撹拌部19cの先端部Uよりも撹拌部材21の回転方向となる図7(b)の矢印D方向下流側に位置する場合がある。その場合、撹拌シート部19の回転軌跡の最大半径R1が撹拌軸部20の回転軌跡の最大半径R2よりも大きくなる範囲は撹拌軸部20の回転中心Pを中心とした角度θ2である。つまり、図6(c)に示す本実施形態の角度θ1と、図7(b)に示す比較例2の角度θ2とは以下の数3式で示す関係となる。
[数3]
θ1>θ2
従って、図6(c)に示す本実施形態では、撹拌シート部19の回転軌跡の最大半径R1が撹拌軸部20の回転軌跡の最大半径R2よりも大きくなる範囲(角度θ1)を広くすることができる。撹拌シート部19の回転軌跡の最大半径R1が撹拌軸部20の回転軌跡の最大半径R2よりも大きくなる範囲を広くすることで、撹拌軸部20が一回転する間に撹拌できる現像剤Tの量を多くすることができる。
この構成により、薄くて安い撹拌シート部19を用いた場合でも、撹拌シート部19の回転軌跡の最大半径R1を撹拌軸部20の回転軌跡の最大半径R2よりも大きくすることができる。また、撹拌シート部19の回転軌跡の最大半径R1が撹拌軸部20の回転軌跡の最大半径R2よりも大きくなる範囲を広くすることができる。従って、現像剤Tから受ける抵抗Zに負けずに良好な現像剤Tの撹拌循環を実現し、濃度ムラのない現像装置38を提供することができる。
次に、図8及び図9を用いて撹拌部材21が回転した際の第二撹拌部19cの変形について本実施形態と比較例3とを比較しながら説明する。図8は比較例3として第二撹拌部19cに切り欠き部19dを設けない構成において撹拌部材21が回転した際の第二撹拌部19cの変形を示す。図8(a)は比較例3において第二撹拌部19cに切り欠き部19dを設けない撹拌部材21の構成を示す平面説明図である。図8(b)は図8(a)に示す矢印E1方向から見た第二撹拌部19cの先端部Uの変形を説明する側面説明図である。図8(c)は図8(b)に示す矢印E2方向から見た断面説明図である。
図9は本実施形態の第二撹拌部19cに切り欠き部19dを設けた構成において撹拌部材21が回転した際の第二撹拌部19cの変形を示す。図9(a)は本実施形態において第二撹拌部19cに切り欠き部19dを設けた撹拌部材21の構成を示す平面説明図である。図9(b)は図9(a)に示す矢印E1方向から見た第二撹拌部19cの先端部Uの変形を説明する側面説明図である。図9(c)は図9(b)に示す矢印E2方向から見た断面説明図である。
先ず、比較例3として図8(a)に示すように第二撹拌部19cに切り欠き部19dを設けない場合の構成について説明する。撹拌軸部20の支持部20cが撹拌シート部19の被支持部19aを支持している。撹拌軸部20が回転方向となる図8(c)の矢印D方向に回転し始めると、図8(b)に示すように、第二撹拌部19cの先端部Uは図8(c)に示す現像剤Tから受ける抵抗Zにより変形する。
このとき、図8(c)に示すように、撹拌軸部20の軸方向となる図8(b)の矢印F方向において撹拌軸部20の支持部20cの近傍における第二撹拌部19cの先端部U1と、撹拌軸部20の平面部20eを含む平面5との間に隙間C1ができる。
また、図8(c)に示すように、撹拌軸部20の図8(b)の矢印F方向において隣り合った支持部20cの中間付近における第二撹拌部19cの先端部U2と、撹拌軸部20の平面部20eを含む平面5との間に隙間C2ができる。図8(c)に示す前記隙間C1と隙間C2とは以下の数4式に示す関係である。
[数4]
C1<C2
これは、支持部20cの近傍では現像剤Tの抵抗Zを受ける先端部U1と支持部20cとの離間距離が短く、先端部U1が変形し難い。それに対して、図8(b)の矢印F方向において隣り合った支持部20cの中間付近では現像剤Tの抵抗Zを受ける先端部U2と支持部20cとの離間距離が長く、先端部U2が変形し易いためである。
このように、撹拌軸部20の平面部20eを含む平面5と第二撹拌部19cの先端部U1,U2との間の隙間C1,C2が撹拌軸部20の軸方向(図8(b)の左右方向)の位置によって異なる。このため図8(b)に示すように、撹拌シート部19の第二撹拌部19cに波打ちが発生する。第二撹拌部19cに波打ちが発生した場合、第二撹拌部19cの撹拌軸部20の回転方向となる図8(c)の矢印D方向上流側への曲げ剛性が高くなる。このため第二撹拌部19cが撓み難くなる。
ここで、図8(c)に図8(b)に示す矢印E2方向から見た第二撹拌部19cの変形の様子を示す。尚、説明の都合上、図8(c)では第二撹拌部19cの支持部20cの近傍における変形と、図8(b)の矢印F方向において隣り合う支持部20cの中間付近における変形とを同一の図に示す。
図8(c)に示すように、第二撹拌部19cの被支持部19aから遠い先端部U2は撹拌軸部20の支持部20cから遠いため変形量が大きく、波打ちも大きい。また、第二撹拌部19cの被支持部19aに近い先端部U1は撹拌軸部20の支持部20cに近いため変形量が小さく、波打ちも小さい。
そのため第二撹拌部19cの被支持部19aから遠い先端部U2では撹拌軸部20の回転方向となる図8(c)の矢印D方向上流側への曲げ剛性が高い。一方、第二撹拌部19cの被支持部19aに近い先端部U1では撹拌軸部20の回転方向となる図8(c)の矢印D方向上流側への曲げ剛性が低い。
従って、撹拌部材21が図8(c)の矢印D方向に回転する際に第二撹拌部19cの被支持部19aから遠い先端部U2が撹拌軸部20の回転方向となる図8(c)の矢印D方向上流側に撓み難くなり、現像剤Tから受ける抵抗Zが大きくなり過ぎる。そのため、第二撹拌部19cに大きな力が加わり、撹拌シート部19は剛性の低い第二撹拌部19cの被支持部19aに近い先端部U1に応力が集中して折れ曲がり、塑性変形する可能性がある。
また、撹拌部材21が回転する際の現像剤Tから受ける抵抗Zが大きくなり過ぎて撹拌シート部19を支持する撹拌軸部20の支持部20cに大きな力が加わって破損する可能性がある。これに対して、本実施形態における撹拌シート部19は、第二撹拌部19cの先端部Uに波打ちが発生しないように、第二撹拌部19cの図9(a)の矢印F方向における複数の被支持部19aの間に切り欠き部19dを有している。
次に、図9(a)に示すように、第二撹拌部19cに切り欠き部19dを設けた場合の作用効果について説明する。撹拌軸部20の支持部20cにより撹拌シート部19の被支持部19aを支持している。撹拌軸部20が図9(c)の矢印D方向に回転し始めると、図9(b)に示すように第二撹拌部19cは現像剤Tから受ける抵抗Zにより全体的に撹拌軸部20の回転方向となる図9(c)の矢印D方向上流側に撓められる。
このとき、図9(c)に示すように、撹拌軸部20の軸方向(図9(b)の矢印F方向)において撹拌軸部20の支持部20cの近傍における第二撹拌部19cの先端部U1と、撹拌軸部20の平面部20eを含む平面5との間に隙間C3ができる。
また、図9(c)に示すように、切り欠き部19dの近傍における第二撹拌部19cの先端部U2と、撹拌軸部20の平面部20eを含む平面5との間に隙間C4ができる。図9(c)に示す前記隙間C3と隙間C4とは以下の数5式に示す関係である。
[数5]
C3<C4
また、図8(c)に示す隙間C1と隙間C2との差と、図9(c)に示す隙間C3と隙間C4との差は以下の数6式に示す関係である。
[数6]
(C2−C1)>(C4−C3)
これは、支持部20cの近傍では現像剤Tの抵抗Zを受ける先端部U1と支持部20cとの離間距離が短く、先端部U1が変形し難い。それに対して、切り欠き部19dの近傍では現像剤Tの抵抗Zを受ける先端部U2と支持部20cとの離間距離が長く、先端部U2が変形し易いためである。
このように、第二撹拌部19cの先端部Uの変形量に撹拌軸部20の軸方向(図9(b)の矢印F方向)において差がある。その場合でも、第二撹拌部19cは切り欠き部19dにより撹拌軸部20の軸方向(図9(b)の矢印F方向)で複数に分断されている。このため変曲点を持たない。
従って、第二撹拌部19cには波打ちが発生しない。そのため第二撹拌部19cの撹拌軸部20の回転方向となる図9(c)の矢印D方向上流側への曲げ剛性は、被支持部19aの近傍の第二撹拌部19cの先端部U1でも、切り欠き部19dの近傍の第二撹拌部19cの先端部U2でも同等である。
従って、図9(c)に示すように、第二撹拌部19cは現像剤Tから受ける抵抗Zにより撹拌軸部20の回転方向となる図9(c)の矢印D方向上流側に滑らかに撓められる。従って、図8に示す比較例3のように撹拌シート部19が被支持部19aの近傍から折れ曲がって塑性変形することはない。また、撹拌軸部20の支持部20cに大きな力が加わって破損することがない。
尚、図8に示す比較例3のように、撹拌シート部19に切り欠き部19dを設けない場合、第二撹拌部19cに形成される波打ちの山の頂点は、撹拌軸部20の軸方向(図8(b)の左右方向)に沿って隣設される被支持部19aの中央に発生する。
そのため図9に示す本実施形態のように、撹拌シート部19に切り欠き部19dを設ける場合には、該切り欠き部19dを撹拌軸部20の軸方向(図9(b)の左右方向)に沿って隣設される被支持部19aの中央に設けることが望ましい。また、図8(b)の比較例3に示すように、第二撹拌部19cに形成される波打ちは第二撹拌部19cの被支持部19aに近い部分を起点に発生する。このため図9(a)の本実施形態に示すように、第二撹拌部19cの先端部Uからの切り欠き部19dの深さN1は、第二撹拌部19cの先端部Uから被支持部19aまでの離間距離N2の0.5倍〜1.5倍程度であることが望ましい。第二撹拌部19cの先端部Uからの切り欠き部19dの深さN1が、第二撹拌部19cの先端部Uから被支持部19aまでの離間距離N2よりも大きければ更に好ましい。
上記構成により、撹拌シート部19に第二撹拌部19cを設ける場合でも、第二撹拌部19cの波打ちを抑制し、部品を破損させることなく良好な現像剤Tの撹拌循環を実現し、濃度ムラのない現像装置38を提供することができる。
本実施形態では、薄くて安い剛性の低い撹拌シート部19を用いた場合でも、撹拌軸部20を中心とした撹拌シート部19の回転軌跡を該撹拌軸部20の回転軌跡よりも広い範囲で大きくすることができる。そのため、撹拌軸部20が一回転する間に撹拌できる現像剤Tの量を多くすることができ、現像剤Tから受ける抵抗Zに負けずに良好な現像剤Tの撹拌循環を実現した濃度ムラのない良好な画像を出力することができる現像装置38を提供することができる。
また、撹拌シート部19の図9(a)の矢印F方向における被支持部19aの間に切り欠き部19dを設ける。これにより第二撹拌部19cの波打ちを抑制し、撹拌軸部20の支持部20cを破損させることなく良好な現像剤Tの撹拌循環を実現し、濃度ムラのない現像装置38を提供することができる。
次に、図12〜図16を用いて本発明に係る現像剤収納ユニットを有する現像装置を備えたプロセスカートリッジを装着可能に構成した画像形成装置の第5実施形態の構成について説明する。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。
<撹拌手段>
先ず図12〜図16を用いて本実施形態の撹拌部材21の構成について説明する。図12は本実施形態の現像剤収納ユニットを有する現像装置38を備えたプロセスカートリッジ4の構成を示す断面説明図である。図13(a)は撹拌軸部20へ撹拌シート部19を取り付ける組み立て方法を説明する分解斜視図である。図13(b)は撹拌部材21の断面説明図である。
図12に示すように、本実施形態の現像剤容器は剛性を有する枠体としての現像容器61と底部材62とを有して構成される。現像容器61には開口63が設けられている。現像剤容器内に収納された現像剤Tを撹拌する回転可能な撹拌手段となる撹拌部材21は撹拌軸部20と、可撓性を有する撹拌シート部19とを有して構成される。撹拌シート部19の固定部19eが接着または両面テープ等の固定部材22により撹拌軸部20の平面部20eに貼着して固定される。
図13(a)に示すように、本実施形態の撹拌軸部20は図2に示す現像枠体40に対して回転可能に支持される被支持部20aと、撹拌シート部19を支持する平面部20eとを備える。また、被支持部20aの長手方向外側には図示しない駆動伝達ギアが取り付けられている。画像形成装置2の駆動部から前記駆動伝達ギアに回転駆動力が伝達され、撹拌軸部20を回転方向となる図14(a)の矢印D方向に回転させる。
撹拌シート部19は、図13(b)に示すように、撹拌軸部20の平面部20eに固定部材22を貼り付けて固定される。本実施形態において使用される固定部材22は両面テープである。撹拌シート部19の固定部19eが撹拌軸部20の平面部20eに接着または両面テープにより貼着される。
撹拌シート部19の第一撹拌部19bは撹拌シート部19の固定部19eに対して撹拌軸部20の回転方向の上流側に突き出される。第一撹拌部19bは現像容器61に設けられた開口63を封止する封止部材を兼ねている。第一撹拌部19bの先端部は現像容器61に設けられた開口63の周囲に設けられた封止部64a,64bに剥離可能に熱溶着されている。そして、撹拌軸部20が図12の矢印D方向に回転することで第一撹拌部19bが撹拌軸部20の外周面に巻き取られて封止部64a,64bが剥離して開口63から現像剤Tが排出される。
また、撹拌シート部19の第二撹拌部19cは撹拌シート部19の固定部19eに対して第一撹拌部19bと反対側に突き出される。尚、両面テープの他に撹拌シート部19の固定部19eを撹拌軸部20の平面部20eに接着材等を使用し固定しても良い。撹拌シート部19の第一撹拌部19bと第二撹拌部19cとは一体的に構成される。
図13(b)に示すように、撹拌部材21の回転駆動時において固定部材22により固定された撹拌シート部19の第一撹拌部19bと、第二撹拌部19cとは、以下の点をそれぞれ支点として撹拌動作を行う。第一撹拌部19b側の固定端部Bと、第二撹拌部19c側の固定端部Jとをそれぞれ支点として撹拌動作を行う。
<撹拌手段の回転時の挙動>
次に図13〜図16及び図8を用いて本実施形態の撹拌部材21の回転時の挙動について説明する。図13〜図16は撹拌部材21の回転中の挙動を説明する断面説明図である。撹拌軸部20は平面部20eを備える断面D字形状(略円筒形状)で構成される。図14(a)は撹拌部材21が回転する前の状態を示す断面説明図である。図14(b)は撹拌部材21が回転し始めた直後の状態を示す断面説明図である。図14(c)は撹拌部材21が回転している状態を示す断面説明図である。図15(a)は比較例4の撹拌部材21が回転している状態を示す断面説明図である。図15(b)は比較例5の撹拌部材21が回転している状態を示す断面説明図である。
図14(a)に示すように、撹拌シート部19の第一撹拌部19bは図13(b)に示す撹拌シート部19の固定部に設けられる固定部材22に対して以下の通り構成される。撹拌軸部20の回転方向となる図14(a)の矢印D方向上流側にある固定端部Bから第一撹拌部19bの回転方向の長さXだけ突出している。
また、撹拌シート部19の第二撹拌部19cは撹拌軸部20の支持部となる固定部材22に対して撹拌軸部20の回転方向となる図14(a)の矢印D方向下流側にある固定端部Jから第二撹拌部19cの回転方向の長さYだけ突出している。本実施形態における前記長さXは撹拌軸部20の周長よりも長い30mm以上であり、前記長さYは1mm〜10mm程度である。
次に、図14(b)に示すように、撹拌部材21が図14(b)の矢印D方向に回転し始めると第二撹拌部19cは現像剤Tから抵抗Zを受ける。これにより固定部材22の固定端部Jを支点として撹拌部材21の回転方向となる図14(b)の矢印D方向上流側に撓む。同様に第一撹拌部19bも現像剤Tから受ける抵抗Zにより固定部材22の固定端部Bを支点として撹拌部材21の回転方向となる図14(b)の矢印D方向上流側に撓む。
現像容器61と底部材62とからなる現像剤容器内に収容されている現像剤Tの量が多く、現像剤Tから受ける負荷が大きい場合がある。その場合には、図14(c)に示すように、撹拌部材21が更に図14(c)の矢印D方向に回転すると、第一撹拌部19bが現像剤Tから受ける抵抗Zにより撹拌部材21の回転方向となる図14(c)の矢印D方向上流側に撓み続ける。そして、第一撹拌部19bが撹拌軸部20の略円筒部20dに近接するように円弧形状になる。更に、第一撹拌部19bの先端部Qが第二撹拌部19cの先端部Uよりも撹拌部材21の回転方向となる図14(c)の矢印D方向上流側に位置するようになる。
このとき、撹拌シート部19の第一撹拌部19bと撹拌軸部20との間には撹拌部材21の回転方向となる図14(c)の矢印D方向上流側に撓められた第二撹拌部19cが存在する。そのため撹拌軸部20の回転中心Pからの撹拌シート部19の回転軌跡の最大半径R1は、撹拌軸部20の略円筒部20dに近接する撹拌シート部19の回転軌跡の最小半径(撹拌軸部20の回転軌跡の最大半径)R2よりも大きくなる。つまり、前記数2式で示される関係となる。
比較例4として図15(a)に示すように、撹拌シート部19に第二撹拌部19cを設けずに薄く剛性の低い撹拌シート部19を用いた。その場合、現像剤Tから受ける抵抗Zにより前記最大半径R1と最小半径R2とは略同等になる。これに対して、図14(c)に示す本実施形態では、撹拌シート部19に第二撹拌部19cを設けることで撹拌シート部19の回転軌跡の最大半径R1を撹拌軸部20の回転軌跡の最大半径R2よりも大きくすることができる。
また、第一撹拌部19bの先端部Qが第二撹拌部19cの先端部Uよりも撹拌部材21の回転方向となる図14(c)の矢印D方向上流側に位置する。このため第二撹拌部19cの周辺を滑らかに第一撹拌部19bで覆うことができる。このとき、撹拌シート部19の回転軌跡の最大半径R1が撹拌軸部20の回転軌跡の最大半径R2よりも大きくなる範囲は図14(c)に示す撹拌軸部20の回転中心Pを中心とした角度θ1である。
これに対して比較例5として図15(b)に示すように、第一撹拌部19bの先端部Qが第二撹拌部19cの先端部Uよりも撹拌部材21の回転方向となる図15(b)の矢印D方向下流側に位置する。その場合、撹拌シート部19の回転軌跡の最大半径R1が撹拌軸部20の回転軌跡の最大半径R2よりも大きくなる範囲は図15(b)に示すように、撹拌軸部20の回転中心Pを中心とした角度θ2である。つまり、前記数3式に示された関係となる。
従って、本実施形態では、図14(c)に示すように、撹拌シート部19の回転軌跡の最大半径R1が撹拌軸部20の回転軌跡の最大半径R2よりも大きくなる範囲を広くすることができる。撹拌シート部19の回転軌跡の最大半径R1が撹拌軸部20の回転軌跡の最大半径R2よりも大きくなる範囲を広くすることで、撹拌軸部20が一回転する間に撹拌できる現像剤Tの量を多くすることができる。
一方、現像容器61と底部材62とからなる現像剤容器内に収容されている現像剤Tの量が少なく、現像剤Tによる負荷が小さい場合がある。その場合には、撹拌部材21が回転しても第一撹拌部19bが撹拌軸部20に円弧状に巻き付くことがなく、図14(b)に示すような状態で、第一撹拌部19bは回転し続ける。この際、現像剤Tは第一撹拌部19bのみならず第二撹拌部19cによっても撹拌される。
この際、第二撹拌部19cは第一撹拌部19bと反対側に突き出るように設けられている。このため図16(a)に示すように、第二撹拌部19cの回転中心Pと先端部Uとを結んだ直線aに対して第二撹拌部19cの撓みの支点となる固定部材22の固定端部Jは回転方向となる図16(a)の矢印D方向下流側にくる。
一方、特許文献2のように図16(b)に示す比較例6では、複数の撹拌部51,52が撹拌軸部53の互いに平行に対向する平面部53a,53bに固定部材22により固定されている。そして、撹拌軸部53の回転中心Pと、撹拌部51の先端部Uを結んだ直線aに対して該撹拌部51の撓みの支点となる固定部材22の固定端部Jが回転方向となる図16(b)の矢印D方向上流側に設けられている。
現像容器61と底部材62とからなる現像剤容器内に収容されている現像剤Tの撹拌搬送方向が重力方向Gに対して垂直方向に最大となるのは、図16(a),(b)に示すように第二撹拌部19c及び撹拌部51が重力方向Gと平行となっている場合である。
図14(a)に示す本実施形態と、図16(b)に示す比較例6との構成を比較すると、本実施形態の方がより回転方向となる図16(a)の矢印D方向上流側で重力方向Gに対して垂直方向の撹拌力が最大となっていることが分かる。
撹拌部材21の回転中心Pは、図2に示す現像剤供給ローラ23の重力方向Gと反対側の上方投影領域Vに配置されている。このため図14(a)に示す本実施形態のように、図16(b)に示す比較例6よりも回転方向となる図16(a)の矢印D方向上流側で重力方向Gに対して垂直方向の撹拌力が最大となっている。これにより現像剤供給ローラ23に近傍の現像剤Tを効果的に撹拌することが可能となる。
この構成により、薄い撹拌シート部19を用いた場合でも該撹拌シート部19の回転軌跡の最大半径R1を撹拌軸部20の回転軌跡の最大半径R2よりも大きくすることができる。また、撹拌シート部19の回転軌跡の最大半径R1が撹拌軸部20の回転軌跡の最大半径R2よりも大きくなる範囲を広くすることができる。従って、現像剤Tから受ける抵抗Zに負けずに良好な現像剤Tの撹拌循環を実現し、濃度ムラのない現像装置38を提供することができる。
また、現像容器61と底部材62とからなる現像剤容器の内壁面と撹拌軸部20との離間距離が小さい場合がある。そのとき、現像容器61と底部材62とからなる現像剤容器の壁面が撹拌シート部19の回転軌跡の最大半径R1と撹拌軸部20の回転軌跡の最大半径R2との間に位置する場合がある。その場合でも第二撹拌部19cが可撓性を有するため現像容器61と底部材62とからなる現像剤容器の壁面に沿って現像剤Tを撹拌することができる。
尚、本実施形態では第二撹拌部19cが可撓性を有するシート部材で構成される一例について説明した。他に第二撹拌部19cが撹拌軸部20と一体的に剛性を有する板状に形成され、可撓性を有さない場合には、撹拌シート部19の回転軌跡の最大半径R1をより大きくすることができる。
しかし、現像剤Tから受ける抵抗Zが大きくなり過ぎる。そのため、第二撹拌部19cに大きな力が加わり撹拌軸部20が破損する可能性がある。また、撹拌軸部20を回転させるトルクが大きくなり、画像形成装置2から撹拌軸部20への駆動伝達を行う部品が破損する可能性がある。また、現像容器61と底部材62とからなる現像剤容器の内壁面と撹拌軸部20との離間距離を撹拌シート部19の回転軌跡の最大半径R1よりも大きくする必要がある。このため現像容器61と底部材62とからなる現像剤容器に対する撹拌軸部20の配置の自由度が制約を受ける。
本実施形態では、薄く剛性の低い撹拌シート部19を用いることが出来る。その場合でも現像容器61と底部材62とからなる現像剤容器内の現像剤Tの量が多い場合では撹拌シート部19の回転軌跡の最大半径R1が撹拌軸部20の回転軌跡の最大半径R2よりも大きい範囲を広くすることができる。また、現像容器61と底部材62とからなる現像剤容器内の現像剤Tの量が少ない場合では第一撹拌部19bに加えて第二撹拌部19cも単体で現像剤Tの撹拌を行うことができる。
そのため、撹拌軸部20が一回転する間に撹拌できる現像剤Tの量を多くすることができ、現像剤Tから受ける抵抗Zに負けずに良好な現像剤Tの撹拌循環を実現した濃度ムラのない良好な画像を出力することができる現像装置38を提供することができる。
また、撹拌シート部19の被支持部19aに対する撹拌軸部20の回転方向となる図14(a)の矢印D方向下流側には可撓性の第二撹拌部19cが設けられている。現像容器61と底部材62とからなる現像剤容器内の現像剤Tの量が多い場合がある。その場合には撹拌部材21の回転負荷が大きい。その場合には図14(c)に示すように、可撓性を有する第二撹拌部19cの腰の強さにより第一撹拌部19bをバックアップして第一撹拌部19bによる現像剤Tの撹拌循環を良好に保つ。
また、現像容器61と底部材62とからなる現像剤容器内の現像剤Tの量が少ない場合がある。その場合には撹拌部材21の回転負荷が小さい。その場合には第一撹拌部19bに加えて第二撹拌部19cが単独で現像剤Tの撹拌循環を良好に保つことができる。他の構成は前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。