JP6964058B2 - 塗工紙 - Google Patents

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本発明は、印刷が可能であって、ホログラフィー効果を発現するエンボス加工部位を塗工層に有する塗工紙に関する。
マイクロエンボス加工によって微細な凹凸をシート表面に形成すると、干渉光によってホログラフィー効果を有することが公知である(例えば、非特許文献1参照)。そして、ホログラフィーパターンを含む印刷が可能なマイクロエンボス加工が施されたシートが公知である(例えば、特許文献1及び2参照)。これらシートは、ホログラフィー効果を発現するようなマイクロエンボス加工部位を有する。
商業印刷物の生産は、オフセット印刷機を用いる印刷が主流である。オフセット印刷は平版印刷ともいわれ、平版にインキと給湿液と供給して印刷する方式である。
特開2014−530815号公報 米国特許第5756183号明細書
「多様なホログラム」(植田健治著、日本印刷学会誌、第40巻第2号、23〜26頁、2003年)
エンボス加工によってホログラフィー効果を得るためには、樹脂層を設けて該樹脂層にエンボス加工する方法、箔押しによりエンボス加工面を付与して形成する方法が一般的である。原紙と、前記原紙上に白色顔料及びバインダーを少なくとも含有する1層の塗工層とからなる塗工紙において、ホログラフィー効果を発現するような微細な凹凸を塗工層に有するようなものは存在しない。理由は、原紙の低い平滑性によって、エンボス加工によって有効な凹凸が形成され難いためである。すなわち、干渉光を生じるような面状に整った凹凸が得られない。そのために、ホログラフィー効果が発現しない場合が多い。又はホログラフィー効果を発現できても、印刷後では、インキや給湿液の影響によって凹凸が崩れてホログラフィー効果が消滅する場合が多い。従来は、樹脂層及び箔押しによって面状に整った凹凸を得ている。
特許文献1のシートでは非水溶性の熱可塑性ビヒクルを多く含む層によって、特許文献2のシートでは架橋されたシーリング層によって、ホログラフィー効果が発現するエンボス加工を達成する。しかしながら、これらシートは、熱可塑性ビヒクルを多く含む層及び架橋されたシーリング層によってむしろ印刷時のインキ乾燥性が悪く、その結果、商業印刷として印刷適性に問題がある。例えば、インキ乾燥性が低下すると、インキ汚れが発生し易い。また、インキ乾燥性が悪いと、商業印刷として生産性に劣って好ましくない。
上記を鑑みて本発明の目的は、下記の項目を有する塗工紙を提供することである。
(1)商業印刷として印刷が可能であること(印刷適性)
(2)印刷前にホログラフィー効果を有すること(前ホログラフィー性)
(3)印刷後にホログラフィー効果を有すること(後ホログラフィー性)
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、印刷適性を有しながら、塗工紙において前ホログラフィー性及び後ホログラフィー性を有するエンボス加工部位の形状を見出した。本発明の目的は、以下により達成される。
[1]原紙と塗工層とからなる塗工紙であって、前記塗工層中、原紙を基準として最外に位置する最外塗工層が白色顔料及びバインダーを少なくとも含有し、前記最外塗工層が1個あたりの面積30mm以下であるエンボス加工部位を最外塗工層面に個数、位置及び向きを任意に含み、前記エンボス加工部位のエンボスがストライプ形状であり、前記ストライプ形状の凹部の幅が15μm以下かつ凹部の間隔が5μm以上15μm以下であり、前記ストライプ形状の凹部における最大深さが1.5μm以上3.0μm以下かつ前記最外塗工層を含む塗工層全体の厚さ以内である塗工紙。
[2]最外塗工層面において、エンボス加工部位の合計が占める面積率が60面積%以下である前記[1]に記載の塗工紙。
本発明により、印刷適性、前ホログラフィー性及び後ホログラフィー性を有する塗工紙を提供することができる。
本発明の塗工紙であって、エンボス加工部位を含む最外塗工層面を観察した電子顕微鏡写真である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明において、「塗工層」とは、用紙の断面を電子顕微鏡によって観察した際に、原紙と区別できる明確な領域を有する場合、当該領域を指す。例えば、樹脂成分やポリマー成分を塗工し、塗工された前記成分が少量であって原紙に吸収され、結果として、用紙の断面を電子顕微鏡によって観察した際に原紙と区別できる明確な領域を有しない場合、「塗工層」は無となる。
原紙は、LBKP(Leaf Bleached Kraft Pulp)、NBKP(Needle Bleached Kraft Pulp)などの化学パルプ、GP(Groundwood Pulp)、PGW(Pressure GroundWood pulp)、RMP(Refiner Mechanical Pulp)、TMP(ThermoMechanical Pulp)、CTMP(ChemiThermoMechanical Pulp)、CMP(ChemiMechanical Pulp)、CGP(ChemiGroundwood Pulp)などの機械パルプ、及びDIP(DeInked Pulp)などの古紙パルプから選ばれる少なくとも一種のパルプに、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリンなどの各種填料、さらにサイズ剤、定着剤、歩留まり剤、カチオン性樹脂又は多価陽イオン塩などのカチオン化剤、紙力剤などの各種添加剤を必要に応じて配合した紙料を抄造した抄造紙である。さらに原紙には、抄造紙にカレンダー処理、澱粉やポリビニルアルコールなどで表面サイズ処理あるいは表面処理などを施した上質紙が含まれる。さらに原紙には、表面サイズ処理あるいは表面処理を施した後にカレンダー処理した上質紙が含まれる。
抄造は、紙料を酸性、中性又はアルカリ性に調整して、従来公知の抄紙機を用いて行われる。抄紙機の例としては、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、コンビネーション抄紙機、円網抄紙機、ヤンキー抄紙機などを挙げることができる。
紙料中には、その他の添加剤として顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤などの一種又は二種以上を、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、適宜配合することができる。
塗工層は、白色顔料及びバインダーを少なくとも含有する塗工層塗工液を塗工及び乾燥することによって原紙上又は下位の塗工層上に設けることができる。塗工層は、原紙の片面に又は両面に設けることができる。塗工層は1層又は2層以上である。本発明においては、原紙を基準として最外に位置する塗工層を最外塗工層という。塗工層が1層の場合は該塗工層が最外塗工層になる。塗工層が2層以上の場合、原紙と最外塗工層との間に存在する塗工層は、白色顔料の有無及び種類、バインダーの有無及び種類並びに各種添加剤の各々有無及び種類について特に限定しない。
原紙上に塗工層を設ける方法は特に限定されない。例えば、製紙分野で従来公知の塗工装置及び乾燥装置を用いて塗工層塗工液を塗工及び乾燥する方法を挙げることができる。塗工装置の例としては、コンマコーター、フィルムプレスコーター、エアナイフコーター、ロッドブレードコーター、バーコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、Eバーコーター、フィルムトランスファーコーターなどを挙げることができる。乾燥装置の例としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤーなどの熱風乾燥機、赤外線加熱ドライヤー、マイクロ波などを利用した乾燥機の各種乾燥装置を挙げることができる。
塗工層は、エンボス加工を受ける前に、カレンダー処理を施すことができる。
カレンダー処理とは、ロール間に紙を通すことによって平滑性や厚みを平均化する処理である。カレンダー処理の装置としては、例えば、マシンカレンダー、ソフトニップカレンダー、スーパーカレンダー、多段カレンダー、マルチニップカレンダーなどを挙げることができる。
塗工層は、エンボス加工を受ける前に、キャスト処理を施すことができる。
キャスト処理とは、湿潤状態にある塗工層を加熱された鏡面に圧着することによって、鏡面形状を塗工層の表面に転写すると共に塗工層から水分を乾燥除去して、塗工層に光沢を付与する処理をいう。キャスト処理に使用する装置は通常、表面がクロムメッキされたシリンダーの表面に、弾性ロールを用いて連続的に塗工紙を圧着する構造の装置である。キャスト処理の方式は、塗工層塗工液を塗工後一旦乾燥させてから再度水分を付与し、その後キャスト装置の鏡面に圧着するリウェット法、塗工層塗工液を塗工後に乾燥させずそのままキャスト装置の鏡面に圧着するいわゆる直接法などを例示することができる。ただし、キャスト処理の方式は、これらの方式に限定されない。
エンボス加工する方法は、特許文献1及び特開2001−262497号公報に記載されるが如く、公知である。例えば、エンボス加工は、所望のエンボスパターンを構成する凸構造が設置されたエンボスロールとラバーなどの弾性体ロール又は金属ロールとの間に紙を通し、エンボスパターンを型押しすることによって達成できる。ここで、エンボスロールのエンボス高さ、押し込み量、押し込み圧を変更することによって紙に形成されるエンボス高さ調整することができる。
塗工紙は、最外塗工層面にストライプ形状のエンボス加工部位を有する。塗工紙において、エンボス加工部位の形状がチェック状(格子状)又は波紋状では前ホログラフィー性及び後ホログラフィー性を有することができない。ストライプ形状の大きさ、凹部の幅及び間隔は、例えば、エンボス加工する方法で用いるエンボスロールの凸構造によって変更することができる。ストライプ形状は、凹部の幅及び間隔並びに凹部における最大深さが均等又は概ね均等であることが好ましい。ストライプ形状は、各凹部が直線又は概ね直線であることが好ましい。これらの理由は、前ホログラフィー効果及び後ホログラフィー効果が良化するからである。
エンボス加工部位1個あたりの面積は30mm以下である。エンボス加工部位1個あたりの面積が30mmを超えると、塗工紙は、前ホログラフィー性又は後ホログラフィー性を有することができない。また、エンボス加工部位1個あたりの最小面積は、前ホログラフィー性又は後ホログラフィー性が視覚し易い点から、2mm以上であることが好ましい。個々のエンボス加工部位は、最外塗工層面に個数、位置及び向きが任意に存在する。ここで「向き」とは、個々のエンボス加工部位からストライプ形状によって認められる線の向きを指す。エンボス加工部位の向きはランダムであることが好ましい。この理由は、エンボス加工部位の向きがランダムであることにより、前ホログラフィー性及び後ホログラフィー性を顕著に視覚することができるからである。また、エンボス加工部位1個において、その面積を二等分する想像線を任意に設けた場合に、該想像線と該エンボス加工部位の外周との交点間における想像線長さが1mm以上であることが好ましい。この理由は、前ホログラフィー性又は後ホログラフィー性が視覚しやすいからである。
エンボス加工部位は、ストライプ形状の凹部の幅が15μm以下である。ストライプ形状の凹部の幅が15μmを超える場合、塗工紙は、前ホログラフィー及び後ホログラフィー性を有することができない。ストライプ形状の凹部の幅は、例えば図1のように、走査型電子顕微鏡又は光学顕微鏡などを用いた直接観察により求めることができる。凹部の幅は、観察される凹部のエッジ間距離である。またエンボス加工部位は、ストライプ形状の凹部の幅が8μm以上であることが好ましい。この理由は、塗工紙に安定してエンボスを形成できるからである。
エンボス加工部位は、ストライプ形状の凹部の間隔が5μm以上15μm以下である。ストライプ形状の凹部の間隔は、例えば図1のように、走査型電子顕微鏡又は光学顕微鏡などを用いた直接観察により求めることができる。凹部の間隔は、観察される隣り合う凹部の同一側のエッジ間距離である。ストライプ形状の凹部の間隔が5μmに満たない場合、塗工紙は、前ホログラフィー及び後ホログラフィー性を有することができない。ストライプ形状の凹部の間隔が15μmを超える場合、塗工紙は、前ホログラフィー及び後ホログラフィー性を有することができない。
エンボス加工部位は、ストライプ形状の凹部における最大深さが1.5μm以上3.0μm以下である。ストライプ形状の凹部のおける最大深さは、JIS B 0601:2001に準じて得られる粗さ曲線から求められる最大高さ粗さRzである。ストライプ形状の凹部における最大深さは、例えば、非接触方式あるいは触針式の表面粗さ測定装置を用いて測定することができる。測定装置は、例えば、キーエンス社製のCOLOR3D−LaserScanningMicroscope VK−8700を挙げることができる。
ストライプ形状の凹部における最大深さが1.5μmに満たない場合、塗工紙は、前ホログラフィー及び後ホログラフィー性を有することができない。ストライプ形状の凹部における最大深さが3.0μmを超える場合、塗工紙は、前ホログラフィー及び後ホログラフィー性を有することができない。
ストライプ形状の凹部の間隔が5μm未満であるかつストライプ形状の凹部における最大深さが3.0μm超であると、画像部分のインクの抜け、画像部分の滲み及び画像部分の汚れに関する品質の点から印刷適性が損なわれることがある。
ストライプ形状の凹部における最大深さは、最外塗工層を含む塗工層全体の厚さ以内である。ストライプ形状の凹部における最大深さが塗工層全体の厚さ以上である場合、塗工紙は、前ホログラフィー及び後ホログラフィー性を有することができない。塗工層全体の厚さは、エンボス加工後のエンボス未加工部位において測定される最外塗工層を含む塗工層全体の値である。塗工層全体の厚さは、塗工層塗工液の塗工量により、又は塗工層のカレンダー処理若しくはキャスト処理によって調整できる。塗工紙分野の経験則から大抵は、塗工層塗工液の乾燥固形分量による片面あたり塗工量が5g/mであれば、該塗工層の厚さが約5μmになる。
塗工紙は、塗工紙の最外塗工層を有する側におけるエンボス加工後のエンボス未加工部位において最外塗工層を含む塗工層全体の厚さが5μm以上であることが好ましい。塗工層全体の厚さは、片面あたりであって、塗工層が1層で最外塗工層のみの場合、最外塗工層に関する値であり、塗工層が2層以上の場合、最外塗工層を含む塗工層全体に関する値である。ここで、エンボス加工後のエンボス未加工部位において測定される塗工層の厚さが5μm以上であることは、エンボス加工前において塗工層の厚さが5μm以上であることに相当する。塗工層の厚さは、塗工層塗工液の塗工量により、又は塗工層のカレンダー処理若しくはキャスト処理によって調整できる。なお、塗工量は、材料コストの増加に影響するために少ない方が好ましい。
塗工層全体の厚さの上限は、特に限定されない。塗工層の強度の点から、塗工層全体の厚さは片面あたり40μm以下が好ましい。塗工層全体の厚さが40μmを超えると、オフセット印刷機に対する耐刷性に劣る場合があり、またエンボス加工が困難になってむしろホログラフィー効果が低下する場合がある。
最外塗工層において、エンボス加工部位の合計が占める面積率は特に制限が無い。最外塗工層においてエンボス加工部位の合計が占める面積率は片面あたり60面積%以下であることが好ましい。この理由は、後ホログラフィー性が良化するからである。
最外塗工層は、白色顔料を少なくとも含有する。
白色顔料は、塗工紙分野で従来公知の白色顔料である。白色顔料の例としては、重質炭酸カルシウム、各種軽質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、マイカ、タルク、板状硫酸バリウム、板状水酸化マグネシウム、サチンホワイト、リトポン、二酸化チタン、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、天然シリカ、乾式合成シリカ、湿式合成シリカ、密実有機顔料、中空有機顔料、お椀型有機顔料及び金平糖型有機顔料などの各種有機顔料、並びにこれらを変性した顔料、並びにこれら二種以上の複合体などを挙げることができる。白色顔料は、これらからなる群から選ばれる一種又は二種以上であることが好ましい。
最外塗工層がエンボス加工部位を得るために、最外塗工層は、中空有機顔料又は平均粒子径の0.3μm以下の無機白色顔料を含有することが好ましい。例えば、最外塗工層は、レーザー回折・散乱法又は動的光散乱法によって体積基準として得られる粒度分布から求められる平均粒子径が0.1μm以上0.3μm以下の無機白色顔料を、最外塗工層中の白色顔料100質量部に対して80質量部以上含有することが好ましい。又は、最外塗工層は、中空有機顔料を最外塗工層中の白色顔料100質量部に対して8質量部以上30質量部以下含有することが好ましい。
最外塗工層は、バインダーを少なくとも含有する。
最外塗工層におけるバインダーの含有量は、最外塗工層の白色顔料100質量部に対して5質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
バインダーは、塗工紙分野で従来公知のバインダーである。バインダーの例としては、スチレン−ブタジエン系及びエチレン−酢酸ビニル系などの各種共重合体、アクリル酸系樹脂、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ユリア及びメラミンなどのホルマリン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミン、エピクロルヒドリンなどの水溶性合成物が挙げられる。さらにバインダーの例としては、天然植物から精製した澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、燐酸エステル化澱粉、酵素変性澱粉及びそれらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性澱粉、デキストリン、マンナン、キトサン、アラビノガラクタン、グリコーゲン、イヌリン、ペクチン、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロースなどの天然多糖類、並びにそれらの変性体を挙げることができる。またバインダーの例としては、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白及びコラーゲンなどの天然タンパク質及びそれらの変性体、ポリ乳酸及びポリペプチドなどの合成高分子を挙げることができる。バインダーは、これらからなる群から選ばれる一種又は二種以上であることが好ましい。
最外塗工層は、白色顔料及びバインダー以外に必要に応じて、増粘剤、分散剤、消泡剤、界面活性剤、pH調整剤、耐水化剤、着色剤など塗工紙分野で従来公知の各種添加剤を含有することができる。
塗工紙は、塗工紙の最外塗工層を有する側におけるエンボス加工後のエンボス未加工部位において、ISO8254−1:2009の規定に基づく入射・受光角75度の白紙光沢度が40%以上であることが好ましい。ここで、塗工紙の最外塗工層を有する側におけるエンボス加工後のエンボス未加工部位が白紙光沢度40%以上であることは、エンボス加工前において塗工紙の最外塗工層を有する側が白紙光沢度40%以上であることに相当する。好ましい理由は、白紙光沢度が40%以上であると、前ホログラフィー性及び後ホログラフィー性が良化するからである。
塗工紙は、原紙のカレンダー処理、塗工層の塗工量とカレンダー処理及び/又はキャスト処理とによって、あるいは塗工層中の白色顔料の種類及び含有量によって、塗工紙の最外塗工層を有する側におけるエンボス加工後のエンボス未加工部位において、ISO8254−1:2009の規定に基づく入射・受光角75度の白紙光沢度を40%以上にすることができる。
エンボス加工によってホログラフィー効果を得るためには、樹脂層を設けて該樹脂層にエンボス加工する方法、箔押しによりエンボス加工面を付与して形成する方法が一般的である。しかしながら、これらの方法では、従来から商業印刷に使用される塗工紙から構造が異なるばかりか古紙資源として不向きとなり、加えて塗工紙の製造コスト的にも不利である。従来から商業印刷に使用される塗工紙には、ホログラフィー効果を得るための凹凸を形成することが困難である。この理由は、原紙の低い平滑性によって、エンボス加工によって有効な凹凸が形成され難いから、またエンボス加工によって形成した凹凸が維持されずに崩れるからである。
本発明は、樹脂層を設けて該樹脂層にエンボス加工する方法又は箔押しによりエンボス加工面を付与して形成する方法に因らず、従来から商業印刷に使用される塗工紙に近い構造でありながら、ホログラフィー効果を発現しかつ凹凸が維持される特定のエンボス加工部位の形状を発明し、最外塗工層面に該エンボス加工部位を含む塗工紙を見出したものである。すなわち、最外塗工層が白色顔料及びバインダーを少なくとも含有し、前記最外塗工層が1個あたりの面積30mm以下であるエンボス加工部位を最外塗工層面に個数、位置及び向きを任意に含み、前記エンボス加工がストライプ形状であり、前記ストライプ形状の凹部の幅が15μm以下かつ凹部の間隔が5μm以上15μm以下であり、前記ストライプ形状の凹部における最大深さが1.5μm以上3.0μm以下かつ塗工層の厚さ以内である塗工紙によって、印刷適性及びホログラフィー効果を有することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されない。ここで「質量部」及び「質量%」は、乾燥固形分量あるいは実質成分量の各々「質量部」及び「質量%」を表す。塗工層の塗工量は乾燥固形分量を表す。
<原紙>
濾水度420mlcsfのLBKP80質量部及び濾水度450mlcsfのNBKP20質量部からなるパルプスラリーに、填料として炭酸カルシウム9質量部、カチオン化澱粉1質量部、硫酸バンド1質量部及びアルキルケテンダイマー型サイズ剤0.05質量部を添加して、長網抄紙機で抄造し、サイズプレス装置で酸化澱粉を片面あたり1.5g/mになるよう両面に付着させ、マシンカレンダー処理をして坪量100g/mの原紙を作製した。
<最外塗工層塗工液>
水を媒体として、下記の配合で最外塗工層塗工液を調製した。
重質炭酸カルシウム 35質量部
カオリン 55質量部
中空有機顔料(平均粒子径1μm、中空率50体積%) 10質量部
スチレン−ブタジエン系共重合体 10質量部
ポリビニルアルコール(ケン化度99.5モル%、平均重合度1200)
2質量部
ステアリン酸カルシウム 0.5質量部
pH調整剤 適宜
上記の内容で配合し、水で混合及び分散して、濃度43質量%に調整した。
<塗工紙>
塗工紙を以下の手順にて作製した。
原紙上に最外塗工層塗工液をブレードコーターにて両面塗工し、その後に乾燥した。さらに乾燥後に、カレンダー処理を施した。
<エンボス加工>
エンボス加工は、エンボスパターンを構成する凸構造が設置されたエンボスロールとラバーロールとの間に塗工紙を通して、個々のエンボス加工部位の大きさが均等である前記エンボスパターンを塗工紙の片面に型押しすることによって行った。エンボスパターンは複数用意した。エンボス加工部位1個あたりの面積、エンボスの形状及びエンボス加工部位の合計が占める面積率を表1に記載する。
最外塗工層表面において、エンボス加工部位のストライプ形状の凹部の幅及び凹部の間隔は、キーエンス社製のCOLOR3D−LaserScanningMicroscope VK−8700を用いて、倍率50倍で観察することで測定した。
また、最外塗工層表面において、エンボス加工部位のストライプ形状の凹部における最大深さは、キーエンス社製のCOLOR3D−LaserScanningMicroscope VK−8700を用いて、倍率100倍で観察した画像に対し、カットオフ値2.5mmの条件でJIS B 0601−2001に準じて得られる粗さ曲線から求められる最大高さ粗さRzの値を測定することによって求めた。
塗工層の厚さは、日本電子社製走査型電子顕微鏡JSM−6490LAを用いた断面観察することで測定した。
各実施例及び各比較例の塗工紙について、エンボス加工部位のストライプ形状の凹部の幅、凹部の間隔、凹部における最大深さ、最外塗工層の厚さを表1に記載する。
<前ホログラフィー性>
前ホログラフィー性は、印刷する前の白紙状態である塗工紙を観察することで行った。上記のように得られたエンボス加工部位を有する塗工紙に対して、室内照明下で目視にて観察してホログラフィー効果の視認程度を下記の基準で評価した。本発明において、2、3又は4の評価であれば、塗工紙は、前ホログラフィー性を有するものとする。
4:良好にホログラフィー効果が認められる。
3:概ね良好にホログラフィー効果が認められる。
2:微かにホログラフィー効果が認められる。
1:ホログラフィー効果が認められない。
<印刷適性>
印刷適性は、オフセット印刷機を用いて実施した。枚葉オフセット印刷機(三菱重工社製DAIYA3H)を用いて、6000枚/時間の印刷速度で2000枚の印刷を行い、印刷後、画像部分のインクの抜け、画像部分の滲み及び画像部分の汚れの観点から印刷サンプルの状態を目視で観察し、印刷適性の有無を評価した。
<後ホログラフィー性>
後ホログラフィー性は、オフセット印刷後の画像部分に存在するエンボス加工部位を有する塗工紙を観察することで行った。印刷された画像部分に存在するエンボス加工部位を有する塗工紙に対して、室内照明下で目視にて観察してホログラフィー効果の視認程度を下記の基準で評価した。本発明において、2、3又は4の評価であれば、塗工紙は、後ホログラフィー性を有するものとする。
4:良好にホログラフィー効果が認められる。
3:概ね良好にホログラフィー効果が認められる。
2:微かにホログラフィー効果が認められる。
1:ホログラフィー効果が認められない。
各実施例及び各比較例は全て印刷適性を有していた。また、各実施例及び各比較例の前ホログラフィー性及び後ホログラフィー性の評価結果を表1に示す。
Figure 0006964058
表1の結果から、本発明に該当する実施例1〜12は、印刷適性を有し、前ホログラフィー性及び後ホログラフィー性を有することが分かる。本発明の構成を満足しない比較例1〜8は、前ホログラフィー性及び/又は後ホログラフィー性を有しないことが分かる。
また主に、実施例1及び実施例10と実施例11との対比から、最外塗工層において、エンボス加工部位の合計が占める面積率が60面積%以下であることが好ましいと分かる。
本発明のホログラフィー効果を有する塗工紙は、光学的なデザイン性を有するポストカード、書籍及びカタログなどの表紙などに活用できる。ホログラフィー効果を有する塗工紙をコピー用紙にコピーした後のコピー用紙にはホログラフィー効果を発現しないことから、本発明の塗工紙は、各種チケットなどの偽造防止に活用できる。

Claims (2)

  1. 原紙と塗工層とからなる塗工紙であって、前記塗工層中、原紙を基準として最外に位置する最外塗工層が白色顔料及びバインダーを少なくとも含有し、前記最外塗工層が1個あたりの面積30mm以下であるエンボス加工部位を最外塗工層面に個数、位置及び向きを任意に含み、前記エンボス加工部位のエンボスがストライプ形状であり、前記ストライプ形状の凹部の幅が15μm以下かつ凹部の間隔が5μm以上15μm以下であり、前記ストライプ形状の凹部における最大深さが1.5μm以上3.0μm以下かつ前記最外塗工層を含む塗工層全体の厚さ以内である塗工紙。
  2. 最外塗工層面において、エンボス加工部位の合計が占める面積率が60面積%以下である請求項1に記載の塗工紙。
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