JP6962211B2 - 超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒及び超高分子量ポリエチレン粒子 - Google Patents

超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒及び超高分子量ポリエチレン粒子 Download PDF

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本発明は、超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒及び超高分子量ポリエチレン粒子に関するものであり、さらに詳細には、流動性が高く、機械特性、加工性に優れた超高分子量ポリエチレン粒子、該超高分子量ポリエチレン粒子を効率よく製造することが可能となる超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒に関するものである。
従来、超高分子量ポリエチレンは、その粘度平均分子量(Mvと略記する場合がある。)が100万〜1000万に達するため、通常のポリエチレンにはない耐衝撃性、自己潤滑性、耐薬品性、寸法安定性、軽量性、食品安定性等に優れるという効果を有することから、エンジニアリングプラスチックに匹敵する物性を有するものとして、射出成形、押出成形、圧縮成形等の各種成形法によって成形され、ライニング材、食品工業のライン部品、機械部品、スポーツ用品等の用途に用いられている。
しかし、通常のチーグラー触媒によって製造された超高分子量ポリエチレンは、重量平均分子量(Mwと略記する場合がある。)と数平均分子量(Mnと略記する場合がある。)との比(分子量分布(Mw/Mnと略記する場合がある))が5より大きく、超高分子量成分と低分子量成分が大量に混在した分子量分布の非常に大きいものであった。そして、超高分子量成分は成形体とする際の成形加工性を低下させるという悪影響を有していた。また、その一方で低分子量成分は、耐摩耗性等の機械物性を低下させたり、繊維にした場合に分子鎖末端数が増え、結晶化を阻害することにより、繊維の強度を下げる要因となる等、超高分子量ポリエチレンの特性を低下させる要因となっていた。
これらを解決する手段として、メタロセン系触媒を用いることにより分子量分布が、3.0以下である超高分子量ポリエチレンが提案されている(例えば特許文献1参照。)。
また、一般のポリエチレンは製造工場からペレットとして出荷されるが、超高分子量ポリエチレンは粒子として出荷されるため、粒子形状、粒子径、粒子径分布あるいは帯電の影響により流動性が低いケースがあり、さらに粉じん爆発の対策をする必要もある。
特開平09−291112号公報
ポリエチレン粒子は、粒子径が小さいほど、重量に対する表面積の比率が高くなるため、摩擦や静電気による流動性の低下が発生しやすい。さらに微小粒子は粉じん爆発の恐れがあることから、超高分子量ポリエチレン粒子には、微小粒子が含まれないことが望まれていた。
一方、超高分子量ポリエチレン粒子は、粒径が大きくなると溶解性が悪化するため、加工が困難になることから、粗大粒子を含まないことも望まれていた。
そして、微小粒子や粗大粒子は篩がけ等の分級によって除去することも可能であるが、その際に生じる粉じんによる作業環境の悪化、微小粒子による粉じん爆発の危険性、除去した粒子の廃棄による生産コストの上昇につながる等の課題を有する。
そのため、重合の時点で微小粒子や粗大粒子を含まない狭粒子径分布の超高分子量ポリエチレン粒子、その製造方法が望まれていた。
また、超高分子量ポリエチレン粒子の流動性は粒子形状にも影響され、真球に近いほど流動性は良化することから、より球状を有する超高分子量ポリエチレン粒子であることも望まれていた。
そこで、本発明では、微小及び粗大粒径の粒子を有せず粒子径が揃い、かつ流動性に優れた超高分子量ポリエチレン粒子及びそれを効率よく製造可能な超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒を提供するものである。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の構造を有する遷移金属化合物、特定の形状を有する脂肪族塩にて変性した有機変性粘土紛体、及び有機アルミニウム化合物から得られる超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒、流動性に優れ、かつ微小及び粗大粒径を有しない超高分子量ポリエチレン粒子を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される遷移金属化合物(A)、
Figure 0006962211
[式中、Mはチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、Xは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基であり、R1は下記一般式(2)で示されるシクロペンタジエニル基であり、
Figure 0006962211
(式中、R4は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基である。)
は下記一般式(3)で示されるアミノ基を有するフルオレニル基であり、
Figure 0006962211
(式中、RおよびRは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数6〜30のアリールアミノ基、炭素数7〜30アリールアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換したもの置換基であり、Rおよび/またはRの少なくとも1つが炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数6〜30のアリールアミノ基又は炭素数7〜30のアリールアルキルアミノ基である。)
は、下記一般式(4)または下記一般式(5)で示されるRとRの架橋単位であり、
Figure 0006962211
Figure 0006962211
(式中、Rは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基であり、Mはケイ素原子、ゲルマニウム原子または錫原子である。)
nは1〜5の整数である。]
下記一般式(6)で表される脂肪族塩にて変性した、メジアン径が4μm以上20μm以下かつ粒径の幾何標準偏差が0.15以下である有機変性粘土紛体(B)、
Figure 0006962211
(式中、R〜R10は各々独立して炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルキルアルコキシ基、炭素数1〜30のアルキルアミノ基、炭素数1〜30のアルキルシリル基、上記炭素数1〜30のアルキル基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、上記炭素数1〜30のアルキル基の一部を炭素数1〜30のアルキルアミノ基に置換した置換基、上記炭素数1〜30のアルキル基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基であり、かつR〜R10のうち少なくとも1つが炭素数10以上のアルキル基であり、Mは周期表第15族の原子であり、[A]はアニオンである。)
及び、有機アルミニウム化合物(C)を含んでなることを特徴とする超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒、超高分子量ポリエチレン粒子に関するものである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒は、上記一般式(1)で示される遷移金属化合物(A)、上記一般式(6)で表される脂肪族塩にて変性した、メジアン径4μm以上20μm以下かつ粒径の幾何標準偏差が0.15以下である有機変性粘土紛体(B)及び有機アルミニウム化合物(C)を含んでなることを特徴とする。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒を構成する該遷移金属化合物(A)は、上記一般式(1)で示される遷移金属化合物であり、Rであるシクロペンタジエニル基とRであるアミノ基を有するフルオレニル基でMをサンドイッチする構造をとると共に、RによりRとRとを架橋した構造を有するものである。
ここで、Mは、チタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、これら特定の金属原子であることにより分子量の非常に高い超高分子量ポリエチレン粒子を効率よく製造することが可能となり、特に超高分子量ポリエチレン粒子を生産効率よく製造することが可能な超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒となることからジルコニウム原子またはハフニウム原子であることが好ましい。
Xは、各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基であり、これら特定の置換基であることにより分子量の非常に高い超高分子量ポリエチレン粒子を製造することが可能となる。そして、Xの具体的例示として、例えば水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基やそれらの異性体置換基などの炭素数1〜30のアルキル基、フェニル基、インデニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ビフェニレニル基などの炭素数6〜30のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、ジフェニルメチル基、ジフェニルエチル基などの炭素数7〜30のアリールアルキル基、またはメチルフェニル基、エチルフェニル基、メチルナフチル基などの炭素数7〜30のアルキルアリール基、トリメチルシリル基などのアルキルシリル基などが挙げられる。
は、上記一般式(2)で示されるシクロペンタジエニル基であり、R4は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基であり、これら特定の置換基であることにより分子量の非常に高い超高分子量ポリエチレン粒子を製造することが可能となる。そして、Rの具体的例示としては、上記したXの例示と同様のものを挙げることができ、Rの具体的例示としては、例えばシクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n−ブチル−シクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、ジエチルシクロペンタジエニル基、メトキシシクロペンタジエニル基、ジメチルアミノ−シクロペンタジエニル基、トリメチルシリル−シクロペンタジエニル基などが挙げられる。
は、上記一般式(3)で示されるアミノ基を有するフルオレニル基であり、RおよびRは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数6〜30のアリールアミノ基、炭素数7〜30のアリールアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基であり、Rおよび/またはRの少なくとも1つは、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数6〜30のアリールアミノ基又は炭素数7〜30のアリールアルキルアミノ基であり、特に炭素数1〜20のジアルキルアミノ基、炭素数6〜30のジアリールアミノ基又は炭素数7〜30のジアリールアルキルアミノ基であることが好ましい。これら特定の置換基であることにより分子量の非常に高いエチレン系重合体を製造することが可能となる。そして、RおよびRの具体的例示としては、上記したXの例示と同様のもの、更にはジフェニルアミノ基、ジベンジルアミノ基等を挙げることができ、Rの具体的例示としては、2−ジメチルアミノフルオレニル基、2−ジエチルアミノフルオレニル基、2−ジイソプロピルアミノフルオレニル基、2,7−ビス(ジエチルアミノ)−フルオレニル基、2、7−ビス(ジイソプロピルアミノ)−フルオレニル基などが挙げられる。ここで、RおよびRのいずれもが、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数6〜30のアリールアミノ基又は炭素数7〜30のアリールアルキルアミノ基でない場合、得られる触媒をエチレン系重合体の製造に用いても分子量の非常に高いエチレン系重合体を効率的に製造することができない。
は、該Rと該Rの架橋単位であり、上記一般式(4)又は上記一般式(5)で表される架橋単位であり、Rは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基であり、これら特定の置換基であることにより分子量の高い超高分子量ポリエチレン粒子を製造することが可能となる。そして、Rの具体的例示として、上記したXの例示と同様のものを挙げることができる。また、Mはケイ素原子、ゲルマニウム原子または錫原子である。
そして、nは1〜5の整数である。
該遷移金属化合物(A)は、シクロペンタジエニル基(または置換シクロペンタジエニル基)とアミノ基を有するフルオレニル基を組み合わせた構造の配位子を有する遷移金属化合物であり、その具体例として、例えばジフェニルシランテトライル(シクロペンタジエニル)(2−(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランテトライル(シクロペンタジエニル)(2,7−ビス(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランテトライル(シクロペンタジエニル)(2−(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランテトライル(シクロペンタジエニル)(2,7−ビス(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ビス(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ビス(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライドなどのジルコニウム化合物、ジルコニウム原子をチタン原子またはハフニウム原子に変えた化合物や上記遷移金属化合物のジクロロ体をジメチル体、ジエチル体、ジヒドロ体、ジフェニル体、ジベンジル体に変えた化合物などを例示することができ、その中でも、超高分子量ポリエチレン粒子を生産効率よく製造することが可能なポリエチレン製造用触媒系となることからジルコニウム系化合物またはハフニウム系化合物であることが好ましい。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒を構成する有機変性粘土紛体(B)は、上記一般式(6)で表される脂肪族塩にて変性された、メジアン径が4μm以上、20μm以下かつ粒径の幾何標準偏差が0.15以下の有機変性粘土紛体である。
ここで、R〜R10は、各々独立して炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルキルアルコキシ基、炭素数1〜30のアルキルアミノ基、炭素数1〜30のアルキルシリル基、上記炭素数1〜30のアルキル基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、上記炭素数1〜30のアルキル基の一部を炭素数1〜30のアルキルアミノ基に置換した置換基、上記炭素数1〜30のアルキル基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基であり、かつ、R〜R10のうち少なくとも1つが炭素数10以上のアルキル基である。R〜R10のいずれもが、炭素数10未満のアルキル基又はアルキル基以外の置換基である場合、得られる触媒は、超高分子量ポリエチレン粒子を効率的に製造することが困難となる。
そして、R〜R10の具体的例示としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、アリール基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、オレイル基、ベヘニル基等の炭素数1〜30のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜30のアルキルアルコキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等の炭素数1〜30のアルキルアミノ基;トリメチルシリル基、トリtert−ブチルシリル基、ジtert−ブチルメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基等炭素数1〜30のアルキルシリル基;メトキシメチレン基、エトキシメチレン基等の炭素数1〜30のアルキル基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基;ジメチルアミノメチレン基、ジエチルアミノメチレン基等の炭素数1〜30のアルキル基の一部を炭素数1〜30のアルキルアミノ基に置換した置換基;トリメチルシリルメチレン基、tert−ブチルジメチルシリルメチレン基等の炭素数1〜30のアルキル基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基、等を挙げることができる。
該R〜R10のうち少なくとも1つの置換基は、炭素数10以上のアルキル基であり、例えばデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、オレイル基、ベヘニル基等を例示することができる。
該Mは、周期律表第15族の原子であり、周期律表第15族以外の原子である場合、得られる触媒は、超高分子量ポリエチレン粒子を効率的に製造することが困難となる。そして、該Mとしては、例えば窒素原子、リン原子等を挙げることができる。
該[A]はアニオンであり、アニオンの範疇に属するものであれば如何なるものでもよく、例えばフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、過塩素酸イオン、シュウ酸イオン、クエン酸イオン、コハク酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオンまたはヘキサフルオロリン酸イオン等を挙げることがきる。
そして、該脂肪族塩の具体例としては、例えばN,N−ジメチル−ベヘニルアミン塩酸塩、N−メチル−N−エチル−ベヘニルアミン塩酸塩、N−メチル−N−n−プロピル−ベヘニルアミン塩酸塩、N,N−ジオレイル−メチルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−ベヘニルアミン硫酸塩、N−メチル−N−エチル−ベヘニルアミン硫酸塩、N−メチル−N−n−プロピル−ベヘニルアミン硫酸塩、N,N−ジオレイル−メチルアミン硫酸塩等の脂肪族アミン塩;P,P−ジメチル−ベヘニルホスフィン塩酸塩、P,P−ジエチル−ベヘニルホスフィン塩酸塩、P,P−ジプロピル−ベヘニルホスフィン塩酸塩、P,P−ジメチル−ベヘニルホスフィン硫酸塩、P,P−ジエチル−ベヘニルホスフィン硫酸塩、P,P−ジプロピル−ベヘニルホスフィン硫酸塩等の脂肪族ホスフォニウム塩;等を挙げることができる。
また、該有機変性粘土紛体(B)を構成する粘土化合物紛体としては、粘土化合物紛体の範疇に属するものであれば如何なるものであってもよく、一般的にシリカ四面体が二次元上に連続した四面体シートと、アルミナ八面体やマグネシア八面体等が二次元上に連続した八面体シートが1:1又は2:1で組合わさって構成されるシリケート層と呼ばれる層が何枚にも重なって形成され、一部のシリカ四面体のSiがAl、アルミナ八面体のAlがMg、マグネシア八面体のMgがLi等に同型置換されることにより層内部の正電荷が不足し、層全体として負電荷を帯びており、この負電荷を補償するために層間にはNaやCa2+等の陽イオンが存在しているものとして知られているものである。そして、該粘土化合物としては天然品、または合成品としてのカオリナイト、タルク、スメクタイト、バーミキュライト、雲母、脆雲母、縁泥石等が存在し、これらを用いることが可能であり、その中でも入手のしやすさと有機変性の容易さからスメクタイトが好ましく、特にスメクタイトのなかでもヘクトライトまたはモンモリロナイトがさらに好ましい。
該有機変性粘土紛体(B)は、該粘土化合物紛体の層間に該脂肪族塩を導入し、イオン複合体を形成することにより得る事が可能である。該有機変性粘土紛体(B)を調製する際には、粘土化合物の濃度0.1〜30重量%、処理温度0〜150℃の条件を選択して処理を行うことが好ましい。また、該脂肪族塩は固体として調製して溶媒に溶解させて使用しても良いし、溶媒中での化学反応により該脂肪族塩の溶液を調製してそのまま使用しても良い。該粘土化合物紛体と該脂肪族塩の反応量比については、粘土化合物紛体の交換可能なカチオンに対して当量以上の脂肪族塩を用いることが好ましい。処理溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;エチルアルコール、メチルアルコール等のアルコール類;エチルエーテル、n−ブチルエーテル等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;アセトン;1,4−ジオキサン;テトラヒドロフラン;水、等を用いることができる。そして、好ましくは、アルコール類または水を単独もしくは溶媒の一成分として用いることである。
また、該有機変性粘土紛体(B)のメジアン径を4μm以上、20μm以下かつ粒径の幾何標準偏差が0.15以下となるように制御するための方法としては、粉砕や造粒で直接制御する方法、粉砕や造粒後に分級する方法、等が挙げられ、スプレードライにより造粒で直接制御することが好ましい。また、粒径制御の後に変性をしても良いし、変性後に粒径制御を実施しても良く、なかでもスプレードライによる粒径制御は変性前に実施することが好ましい。
そして、変性前の粘土化合物は水に分散させるとコロイド液となり、そのコロイド液をそのままスプレードライすると球状の粘土化合物紛体を得ることができる。
その際に粘土コロイド液は濃度が高くなると粘度が高くなりゲル化が起こる傾向があるため、スプレードライヤーへの送液・供給が困難という課題が発生しやすくなるため、ゲル化防止剤としてピロリン酸ナトリウム及び/又はエチドロン酸ナトリウムを添加することが好ましい。その際、ゲル化防止剤の添加量としてはより効率的なゲル化防止が可能となることから粘土化合物に対して5重量%以上20重量%以下であることが好ましい。そして、その際の粘土化合物としては、市販品として合成粘土にゲル化防止剤を添加済みのものとして、例えば(商品名)ラポナイトRDS(ビックケミー・ジャパン株式会社製、合成ヘクトライトにピロリン酸ナトリウムを添加)、(商品名)ラポナイトS482(ビックケミー・ジャパン株式会社製、合成ヘクトライトにエチドロン酸ナトリウムを添加)を挙げることができる。なお、ピロリン酸ナトリウムは水中で徐々に加水分解してゲル化防止作用のないリン酸ナトリウムに代わり、特に高温状態でそれが促進されるが、エチドロン酸ナトリウムは安定性が高いため、これを含む粘土コロイド液を加熱することで、粘度を下げることが可能である。
一方、変性後の粘土化合物は水に分散させてもコロイド化しないため、有機変性粘土化合物スラリーをボールミル等の湿式粉砕で粉砕し、有機変性粘土化合物を1μm未満の微粒子にさせてからスプレードライを行う。湿式粉砕後の有機変性粘土化合物スラリーは粘度が著しく上昇するため、スラリー濃度は15重量%以下であることが好ましい。
スプレードライの方式としては回転ディスク式、加圧ノズル式、二流体ノズル式、四流体ノズル式等が挙げられ、どの方式でも差し支えないが粒度分布を狭くすることが容易な回転ディスク式が好ましい。回転ディスク式ではコロイド液やスラリーを高速回転するディスクに滴下し、ディスクの遠心力で噴霧させるため、ディスクの直径や回転数により、噴霧液滴の大きさが変わり、液滴の乾燥によって得られる紛体の粒径を制御できる。
有機変性粘土紛体(B)のメジアン径(d50)は4μm以上、20μm以下かつ粒径の幾何標準偏差が0.15以下である。ここで幾何標準偏差とはlog(d84/d50)によって定義される粒度分布の広がりを示す指標であり、d84は粒径の積分曲線が84%となる粒径である。紛体のメジアン径と標準偏差がこの範囲であると、本発明の触媒によって得られる超高分子量ポリエチレン粒子は、紛体特性に優れるものとなり、メジアン径100μm以上、200μm以下であり、粒子径の幾何標準偏差が0.15以下の超高分子量ポリエチレン粒子を効率よく得ることが可能となる。
有機変性粘土紛体(B)の粒径は、レーザー回折・散乱式の粒径測定装置によって測定することができる。
また、該有機変性粘土紛体(B)としては、粒子径分布、紛体特性、流動特性に優れる超高分子量ポリエチレン粒子を効率よく製造することが可能となる超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒となることから、円形度が0.9〜1の有機変性粘土紛体を90%以上含有するものであることが好ましい。ここで、円形度とは(投影面積の等しい円の周長)/(粒子の周長)で定義される指標であり、これが1に近いほど円に近くなる。円形度が1である粒子の比率が100%であった場合、これらの粒子は真球であると見なすことができる。円形度の測定方法は特に限定されないが、例えば粒子や紛体のSEM写真をとり、非常に細かい格子上に投影させ、投影部分の格子面積とその外周を測定することによって求めることが可能である。
一般的にスプレードライによって得られる紛体は球状もしくは偏球状であることが多いが、原液の粘度が高く、液滴の乾燥が均一に進まないケースでは得られる紛体にへこみがあったり、中心に穴のある紛体ができたりする場合もあり、その際には円形度が0.9未満の紛体となる。また、ジェットミル等の粉砕法で得られる紛体は不定形状であるため、円形度が0.9未満となりやすい。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒を構成する有機アルミニウム化合物(C)は、有機アルミニウム化合物と称される範疇に属するものであれば如何なるものも用いることができ、その中でも、特に超高分子量エチレン系重合体粒子を生産効率よく製造することが可能な触媒系となることから、下記一般式(7)で表される有機アルミニウム化合物であることが好ましい。ここで、有機アルミニウム化合物以外の化合物、例えばホウ素系化合物、メチルアルモキサン系化合物を用いた場合、触媒により得られるエチレン系重合体は、分子量が低いものとなったり、成形加工性に劣ったりなどの課題を有するものとなる。
Figure 0006962211
(式中、R11は炭素数1〜20の炭化水素基であり、R12及びR13は各々独立して炭素数1〜20の炭化水素基、水素原子または塩素原子である。)
該有機アルミニウム化合物としては、特に遷移金属化合物(A)を容易にアルキル化することが可能となることから、例えばトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒には非イオン性界面活性剤(D)を加えても良い。
Figure 0006962211
非イオン性界面活性剤(D)は、上記一般式(8)で表される化合物であることを特徴とする。そして、a、b、cはそれぞれ平均重合度を表す、1〜300の整数であり、好ましくはaとcはそれぞれ1〜60の整数であり、bは2〜100の整数であり、全分子量としては100〜20000であることが好ましい。また、mは1もしくは2であり、nは3〜20の整数であり、好ましくとしてmは2、nは3である。
非イオン性界面活性剤(D)としては、具体的にはポリオキシメチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを挙げることができる。
非イオン性界面活性剤(D)を加えると、得られる超高分子量ポリエチレン粒子が帯電しにくくなり、反応器へのファウリング抑制や、静電付着による流動性の低下を防止することが可能となる。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒を構成する該遷移金属化合物(A)(以下(A)成分ということもある。)、該有機変性粘土紛体(B)(以下、(B)成分ということもある。)及び該有機アルミニウム化合物(C)(以下、(C)成分ということもある。)の使用割合に関して、(A)成分、(B)成分および(C)成分については、超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒としての使用が可能であれば如何なる制限を受けるものでなく、その中でも、特に超高分子量ポリエチレン粒子を生産効率よく製造することが可能な触媒となることから、(A)成分と(C)成分の金属原子当たりのモル比は((A)成分):((C)成分)=100:1〜1:100000の範囲にあることが好ましく、特に1:1〜1:10000の範囲であることが好ましい。また、(A)成分と(B)成分の重量比が((A)成分):((B)成分)=10:1〜1:10000にあることが好ましく、特に3:1〜1:1000の範囲であることが好ましい。
また、非イオン性界面活性剤(D)(以下、(D)成分ということもある)の使用比としては帯電防止作用と重合活性に優れることから(B)成分と(D)成分の重量比が((B)成分):((D)成分)=1:0.0001〜1:100の範囲であることが好ましく、特に((B)成分):((D)成分)=1:0.01〜20の範囲であることが好ましい。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒の調製方法に関しては、該(A)成分、該(B)成分及び該(C)成分から調製することが可能であれば如何なる方法を用いてもよい。例えば各(A)、(B)及び(C)成分に関して不活性な溶媒中あるいは重合を行うモノマーを溶媒として用い、混合する方法などを挙げることができる。また、これらの成分を反応させる順番に関しても制限はないが、特に重合活性に優れることから、(B)成分および(C)成分を接触させたのちに、(A)成分を接触させた超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒とすることが好ましい。この際の処理を行う温度、処理時間に制限はない。また、(A)成分、(B)成分、(C)成分のそれぞれを2種類以上用いて超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒系を調製することも可能である。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒を用い得られる超高分子量ポリエチレン粒子としては、エチレンの単独重合体粒子のみならず他のα−オレフィンとの共重合体粒子であってもよく、これら重合により得られる超高分子量ポリエチレン粒子は、単独重合体粒子のみならず共重合体粒子も含む意味で用いられる。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子の製造方法としては、スラリー重合法を挙げるができる。また、スラリー重合法に用いる溶媒としては、一般に用いられている有機溶媒であればいずれでもよく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等が挙げられ、プロピレン、1−ブテン、1−オクテン、1−ヘキセンなどのオレフィンを溶媒として用いることもできる。
また、ポリエチレンを共重合体とする際にエチレンとの共重合に用いるα−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィンを挙げることができる。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子を製造する際の重合温度、重合時間、重合圧力、モノマー濃度などの重合条件については任意に選択可能であり、その中でも、効率よく超高分子量ポリエチレン粒子を製造することが可能となることから重合温度30〜90℃、重合時間10秒〜20時間、重合圧力常圧〜100MPaの範囲で行うことが好ましい。また、重合時に水素などを用いて分子量の調節を行うことも可能である。重合はバッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法でも行うことが可能であり、重合条件を変えて、2段以上に分けて行うことも可能である。また、重合終了後に得られる超高分子量ポリエチレン粒子は、従来既知の方法により重合溶媒から分離回収され、乾燥して得ることができる。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子は、粒子径分布、紛体特性、流動特性に優れる超高分子ポリエチレン粒子となることから、円形度0.9〜1の粒子が90%以上を占め、メジアン径が100μm以上200μm以下であり、デカリンを溶媒とし、135℃で測定した固有粘度(dL/g)が10以上60未満のものであることが好ましい。
また、該超高分子量ポリエチレン粒子としては、特に流動特性、加工性に優れるものとなることから、その粒子径の幾何標準偏差が0.15以下であることが好ましい。
なお、円形度、メジアン径、幾何標準偏差は、上記した方法と同様の方法により求めることができる。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子は、成形加工性、力学特性に優れるものとなることから重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が2.0を超えて5.0以下、更には2.0を超えて4.0以下であることが好ましく、特に3.0を超えて4.0以下であることが好ましい。
また、該超高分子量ポリエチレン粒子は、流動特性、成形加工性に優れるものとなることから、安息角が40°以下のものであることが好ましい。安息角の測定法は、粒子を自然落下させ、水平面に堆積させた時に粒子の作る角度を測定する注入法、容器底部の小さな穴から自然落下させ、容器内に残った粒子が作る角度を測定する排出法、容器内に粒子を入れ、容器を傾けた際に作る粒子の角度を測定する傾斜法等があり、それぞれで安息角が異なる場合もあるが、ここでは、注入法により測定した安息角を指す。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒は、流動性に優れ、さらに優れた機械的特性、耐摩耗性、成形性を有する超高分子量ポリエチレン粒子を効率的に製造することが可能となり、該超高分子量ポリエチレン粒子は、各種成形品の材料として用いることができる。
以下に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により制限されるものではない。なお、断りのない限り、用いた試薬等は市販品、あるいは既知の方法に従って合成したものを用いた。
粘土の粒径調整には3種のスプレードライヤー(大川原化工機株式会社製の(商品名)L−8i(小型アトマイザー式)、アイエス ジャパン株式会社製の(商品名)SDR−27(大型アトマイザー式)及び藤崎電機株式会社製の(商品名)MDL−050M(四流体ノズル式))のいずれかを用い、さらに必要に応じて気流式分級機(日清エンジニアリング株式会社製の(商品名)TC−15)を用いて実施した。粉砕後の粒径はマイクロトラック粒度分布測定装置(日機装株式会社製、(商品名)MT3000)を用いてエタノールを分散剤として測定を行い、体積基準で累積50%径(d50,メジアン径)及び84%径(d84)を求め、log(d84/d50)を幾何標準偏差(σ)とした。
超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒の調製、超高分子量ポリエチレン粒子の製造および溶媒精製は全て不活性ガス雰囲気下で行った。トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(20wt%)は東ソーファインケム(株)製を用いた。
さらに、実施例における超高分子量ポリエチレン粒子の諸物性は、以下に示す方法により測定した。
〜円形度の測定〜
日本電子株式会社製FE−SEM JSM−7100Fを用い、表面をオスミウムコートして2000倍で写したSEM写真に0.5mm間隔の透明方眼紙を重ね、粒子が重なる方眼紙の格子を塗りつぶし、その格子面積と外周径を測定することにより求めた。
〜固有粘度の測定〜
ウベローデ型粘度計を用い、デカリンを溶媒として、135℃において、超高分子量ポリエチレン粒子濃度0.005wt%〜0.01wt%で測定した。
〜Mw、MnおよびMw/Mnの測定〜
GPC装置(東ソー(株)製、(商品名)HLC−8121GPC/HT)およびカラム(東ソー(株)製、(商品名)TSKgel GMHhr−H(20)HT)を用い、カラム温度を140℃に設定し、溶離液として1,2,4−トリクロロベンゼンを用いて測定した。測定試料は1.0mg/mLの濃度で調製し、0.3mL注入して測定した。分子量の検量線は、分子量既知のポリスチレン試料を用いて校正した。なお、Mw、Mnは直鎖状ポリエチレン換算の値として求めた。
〜超高分子量ポリエチレン粒子のメジアン径及び幾何標準偏差〜
JIS Z8801に規定の篩(目開き;710μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、106μm、75μm、53μm)により超高分子量ポリエチレン粒子を分級し、それぞれの篩上の粒子の重量と篩の目開きとの相関を示す粒子重量−粒径の積分曲線とし、該積分曲線における50重量%の粒径をメジアン径とした。さらに、上記の積分曲線における50重量%の粒径d50と84重量%の粒径d84によりlog(d84/d50)を幾何標準偏差(σ)とした。
〜嵩密度〜
JIS K−6721:1997に従い測定した。
〜融点測定〜
DSC(株式会社日立ハイテクサイエンス製、(商品名)DSC6220)を用い、α−アルミナをリファレンスとし、30℃をスタート温度とし、10℃/minの昇温速度でサンプルを220℃まで昇温後、−20℃まで冷却させ、10℃/minの昇温速度で再度昇温させながら測定した。
〜流動性の測定〜
ポリエチレン粒子50gをホッパーに入れ、自然落下させ、水平面に堆積させた時に粉末の作る角度を測定する注入法で実施した。
〜超高分子量ポリエチレンの評価用シートの作製〜
超高分子量ポリエチレンの評価用シートは以下の方法で成形した。すなわち、超高分子量ポリエチレンをポリエチレンテレフタレートフィルムに挟んで、190℃で、5分間予熱した後、190℃、プレス圧力20MPaの条件にて加熱圧延した。その後、金型温度110℃、10分間冷却し、厚さ0.3mmのプレスシートを作成した。
〜引張破断強度の測定〜
超高分子量ポリエチレンの評価用シートからダンベル型に切り出したサンプル(測定部の幅5mm)を、23℃にて48時間静置した後、引張試験機((株)エイ・アンド・ディー製、(商品名)テンシロンRTG−1210)にて、測定温度23℃、試験片の初期長さ20mm、引張速度20mm/分で引張試験をし、引張破断強度を求めた。
実施例1
(1)粘土紛体の造粒
合成ヘクトライト(ビックケミー・ジャパン株式会社製、(商品名)ラポナイトRDS)0.8kgを水19.2kgに分散し、4時間攪拌して無色透明な粘土コロイド液を得た。このコロイド液を直径40mmの回転ディスクを設置した小型アトマイザー式スプレードライヤーに1時間当たり2.5kg送液し、ディスクの回転数を29,500rpm、熱風入口温度250℃でスプレードライしたところ、0.7kgの粘土紛体を得た。この粘土紛体のメジアン径は7.6μmであり、幾何標準偏差は0.12であった。また、SEM写真から円形度を測定したところ、円形度0.9〜1の粒子の比率は95%であった。
(2)粘土紛体の変性
2リットルの容器に工業用アルコール(日本アルコール販売社製、(商品名)エキネンF−3)0.6リットル及び蒸留水0.6リットルを入れ、濃塩酸1.5g及びジメチルベヘニルアミン;C2245(CHN(ライオン株式会社製、(商品名)アーミンDM22D)84.8g(0.24mol)を添加し、45℃に加熱して(1)で得られた粘土紛体を0.2kg分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水120ミリリットルで2回洗浄し、85℃の乾燥機内で12時間乾燥させることにより0.28kgの有機変性粘土紛体を得た。この有機変性粘土紛体はメジアン径が8.4μm、標準偏差が0.13、円形度0.9〜1の比率は94%であった。
(3)超高分子量ポリエチレン製造用触媒懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された500ミリリットルのフラスコを窒素置換した後に(2)で得られた有機変性粘土紛体50gとヘキサンを140ミリリットル入れ、次いでジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライドを1.2g、及び20%トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液280ミリリットルを添加して60℃で3時間攪拌した。1時間静置後、上澄み液を抜き取り、420ミリリットルのヘキサンにて2回洗浄後、ヘキサンを420ミリリットル及び20%トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液加えて超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒の懸濁液を得た(固形重量分:15.7wt%)。
(4)超高分子量ポリエチレン粒子の製造
窒素置換した内容量2リットルのオートクレーブにヘキサンを1.2リットル及び20%トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液を1.1ミリリットル加え、25℃で30分攪拌後、(3)で得られた超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒の懸濁液を127mg(固形分20mg相当)加え、オートクレーブ内の温度が60℃を保つように調整しつつ、分圧が0.87MPaになるようにエチレンを連続的に供給し、エチレンのスラリー重合を行った。240分経過後に脱圧及び冷却を行い、スラリーを濾別乾燥することで、超高分子量ポリエチレン粒子を120g得た。
この超高分子量ポリエチレン粒子は、円形度0.9〜1の粒子数が全粒子数94%であり、メジアン径は124μm、σは0.13、融点は135℃、固有粘度は22dL/g、Mw/Mnは3.7、嵩密度は396kg/m、安息角は38.3°であった。また、成形シートの引張破断強度は55MPaであった。
実施例2
(1)粘土紛体の造粒
実施例1の(1)と同様に行った。
(2)粘土紛体の変性
2リットルの容器に工業用アルコール(日本アルコール販売社製、(商品名)エキネンF−3)0.6リットル及び蒸留水0.6リットルを入れ、濃塩酸1.5g及びメチルジオレイルアミン;(C1835CHN(ライオン株式会社製、(商品名)アーミンM2O)127g(0.24mol)を添加し、45℃に加熱して、先のスプレードライをした粘土紛体を200g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水120ミリリットルで2回洗浄し、85℃の乾燥器内で12時間乾燥させることにより320gの有機変性粘土紛体を得た。この有機変性粘土紛体はメジアン径が8.5μm、幾何標準偏差が0.14、円形度0.9〜1の比率は91%であった。
(3)超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された5リットルのフラスコを窒素置換した後に(2)で得られた有機変性粘土紛体50gとヘキサンを140ミリリットル入れ、次いでジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライドを1.57g、及び20%トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液280ミリリットルを添加して60℃で3時間攪拌した。1時間静置後、上澄み液を抜き取り、420ミリリットルのヘキサンにて2回洗浄後、ヘキサンを420ミリリットル及び20%トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液加えてメタロセン系触媒の懸濁液を得た(固形重量分:15.9wt%)。
(4)超高分子量ポリエチレン粒子の製造
窒素置換した内容量2リットルのオートクレーブにヘキサンを1.2リットル及び20%トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液を1.1ミリリットル加え、25℃で30分攪拌後、(3)で得られた超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒の懸濁液を1.54g(固形分245mg相当)及び1−ブテンを7.9g加え、オートクレーブ内の温度が60℃を保つように調整しつつ、分圧が0.87MPaになるようにエチレンを連続的に供給し、エチレンのスラリー重合を行った。145分経過後に脱圧及び冷却を行い、スラリーを濾別乾燥することで、超高分子量ポリエチレン粒子を207g得た。
この超高分子量ポリエチレン粒子は、円形度0.9〜1の粒子数が全粒子数92%であり、メジアン径は121μm、σは0.11、融点は121℃、固有粘度は17dL/g、Mw/Mnは3.9、嵩密度は430kg/m、安息角は39.3°また、成形シートの引張破断強度は37MPaであった。
実施例3
(1)粘土紛体の造粒
実施例1の(1)と同様に行った。
(2)粘土紛体の変性
実施例2の(2)と同様に行った。
(3)超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒懸濁液の調製
実施例2の(3)と同様に行った。
(4)超高分子量ポリエチレン粒子の製造
窒素置換した内容量2リットルのオートクレーブにヘキサンを1.2リットル及び20%トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液を1.1ミリリットル加え、25℃で30分攪拌後、(3)で得られた超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒の懸濁液を1.54g(固形分245mg相当)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(第一工業製薬社製、(商品名)エパン710)を15.8mg、1−ブテンを7.9g加え、オートクレーブ内の温度が60℃を保つように調整しつつ、分圧が0.87MPaになるようにエチレンを連続的に供給し、エチレンのスラリー重合を行った。145分経過後に脱圧及び冷却を行い、スラリーを濾別乾燥することで、超高分子量ポリエチレン粒子を201g得た。
この超高分子量ポリエチレン粒子は、円形度0.9〜1の粒子数が全粒子数91%であり、メジアン径は122μm、σは0.11、融点は121℃、固有粘度は17dL/g、Mw/Mnは3.9、嵩密度は435kg/m、安息角は35.7°であった。また、成形シートの引張破断強度は37MPaであった。
実施例4
(1)粘土紛体の造粒及び分級
ゲル化防止剤としてピロリン酸ナトリウムを含む合成ヘクトライト(ビックケミー・ジャパン株式会社製、(商品名)ラポナイトRDS)52.2kgを水747.8kgに分散し、4時間撹拌して無色透明な粘土コロイド液を得た。このコロイド液を大型アトマイザー式スプレードライヤーに1時間当たり149kg送液し、直径150mmのディスクの回転数を24000rpm、熱風入口温度300℃でスプレードライしたところ、44.4kgの粘土紛体を得た。この粘土紛体のメジアン径は11.4μm、幾何標準偏差は0.21であった。この得られた粘土紛体を気流式分級機に20kg/hrで供給し、風量7.5m/min、回転数2550rpmで分級を行ったところ、メジアン径7.1μm、幾何標準偏差0.13の粘土紛体を13.2kg得た。なお、円形度0.9〜1の比率は92%であった。
(2)粘土紛体の変性
1リットルの容器に工業用アルコール(日本アルコール販売社製、(商品名)エキネンF−3)300ミリリットル及び蒸留水300ミリリットルを入れ、濃塩酸13ミリリットル及びメチルベヘニルアミン;C2245(CHN(ライオン株式会社製、(商品名)アーミンDM22D)44.9g(0.12mol)を添加し、45℃に加熱して、先のスプレードライ及び分級により得られた粘土紛体を100g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水60リットルで2回洗浄し、85℃の乾燥器内で12時間乾燥させることにより136gの有機変性粘土紛体を得た。この有機変性粘土紛体はメジアン径が8.4μm、幾何標準偏差が0.13、円形度0.9〜1の比率は92%であった。
(3)超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された300ミリリットルの四つ口フラスコを窒素置換した後に(2)で得られた有機変性粘土紛体15gとヘキサンを65ミリリットル入れ、次いでジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライドを0.429g、及び20%トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液85ミリリットルを添加して60℃で3時間攪拌した。1時間静置後、上澄み液を抜き取り、125ミリリットルのヘキサンにて2回洗浄後、ヘキサンを125ミリリットル及び20%トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液6ミリリットル加えてメタロセン系触媒の懸濁液を得た(固形重量分:12.2wt%)。
(4)超高分子量ポリエチレン粒子の製造
窒素置換した内容量10リットルのオートクレーブにヘキサンを6リットル及び20%トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液を5.5ミリリットル加え、25℃で10分攪拌後、(3)で得られた超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒の懸濁液を3.17g(固形分387mg相当)加え、オートクレーブ内の温度が60℃を保つように調整しつつ、分圧が0.87MPaになるようにエチレンを連続的に供給し、エチレンのスラリー重合を行った。240分経過後に脱圧及び冷却を行い、スラリーを濾別乾燥することで、超高分子量ポリエチレン粒子を1918g得た。
この超高分子量ポリエチレン粒子は、円形度0.9〜1の粒子数が全粒子数93%であり、メジアン径は172μm、σは0.12、融点は134℃、固有粘度は18.5dL/g、Mw/Mnは3.8、嵩密度は412kg/m、安息角は38.1°また、成形シートの引張破断強度は51MPaであった。
実施例5
(1)粘土紛体の造粒
エチドロン酸ナトリウムを添加した合成ヘクトライト(ビックケミー・ジャパン株式会社製、(商品名)ラポナイトS482)3kgを水7kgに分散し、60℃にて3時間攪拌して、薄く白濁した粘土コロイド液を得た。このコロイド液を四流体ノズル式スプレードライヤーに1時間当たり1.2kgずつ送液し、熱風入口温度200℃にてスプレードライをしたところ、2.7kgの粘土紛体を得た。この粘土紛体はメジアン径が6.2μm、幾何標準偏差は0.21、円形度0.9〜1の比率は93%であった。
(2)粘土紛体の変性
500ミリリットルの容器にエタノール150ミリリットル及び蒸留水150ミリリットルを入れ、濃塩酸6.7ミリリットル及びメチルベヘニルアミン;C2245(CHN(ライオン株式会社製、(商品名)アーミンDM22D)22.5gを添加し、45℃に加熱して、先のスプレードライ及び分級により得られた粘土紛体を50g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水60リットルで2回洗浄し、85℃の乾燥器内で12時間乾燥させることにより68gの有機変性粘土紛体を得た。この有機変性粘土紛体はメジアン径が7.5μm、標準偏差が0.10、円形度0.9〜1の比率は93%であった。
(3)超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された500ミリリットルの四つ口フラスコを窒素置換した後に(2)で得られた有機変性粘土紛体30gとヘキサンを130ミリリットル入れ、次いでジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライドを0.858g、及び20%トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液170ミリリットルを添加して60℃で3時間攪拌した。1時間静置後、上澄み液を抜き取り、125ミリリットルのヘキサンにて2回洗浄後、ヘキサンを125ミリリットル及び20%トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液6ミリリットル加えてメタロセン系触媒の懸濁液を得た(固形重量分:12.2wt%)。
(4)超高分子量ポリエチレン粒子の製造
窒素置換した内容量2リットルのオートクレーブにヘキサンを1.2リットル及び20%トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液を1.1ミリリットル加え、25℃で10分攪拌後、(3)で得られた超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒の懸濁液を639mg(固形分78mg相当)加え、オートクレーブ内の温度が60℃を保つように調整しつつ、分圧が0.67MPaになるようにエチレンを連続的に供給し、エチレンのスラリー重合を行った。180分経過後に脱圧及び冷却を行い、スラリーを濾別乾燥することで、超高分子量ポリエチレン粒子を152g得た。
この超高分子量ポリエチレン粒子は、円形度0.9〜1の粒子数が全粒子数92%であり、メジアン径は156μm、σは0.09、融点は134℃、固有粘度は18.4dL/g、Mw/Mnは3.8、嵩密度は403kg/m、安息角は39.1°また、成形シートの引張破断強度は52MPaであった。
比較例1
(1)粘土紛体の造粒
合成ヘクトライト(ビックケミー・ジャパン株式会社製、(商品名)ラポナイトRDS)2.6kgを水17.4kgに分散し、4時間攪拌して無色透明な粘土コロイド液を得た。このコロイド液を直径40mmの回転ディスクを設置した小型アトマイザー式スプレードライヤーに1時間当たり2.5kg送液し、ディスクの回転数を20,000rpm、熱風入口温度250℃でスプレードライしたところ、2.4kgの粘土紛体を得た。この粘土紛体のメジアン径は25μmであり、幾何標準偏差は0.21であった。また、SEM写真から円形度を測定したところ、円形度0.9〜1の比率は92%であった。
(2)粘土紛体の変性
2リットルの容器に工業用アルコール0.6リットル及び蒸留水0.6リットルを入れ、濃塩酸1.5g及びメチルジオレイルアミン;(C1835CHN(ライオン株式会社製、(商品名)アーミンM2O)127g(0.24mol)を添加し、45℃に加熱して、先のスプレードライをした粘土紛体を200g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水120ミリリットルで2回洗浄し、85℃の乾燥器内で12時間乾燥させることにより324gの有機変性粘土紛体を得た。この有機変性粘土紛体はメジアン径が26μm、幾何標準偏差が0.22、円形度0.9〜1の粒子の比率は91%であった。
(3)ポリエチレン製造用触媒懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された5リットルのフラスコを窒素置換した後に(2)で得られた有機変性粘土紛体50gとヘキサンを140ミリリットル入れ、次いでジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライドを1.57g、及び20%トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液280ミリリットルを添加して60℃で3時間攪拌した。1時間静置後、上澄み液を抜き取り、420ミリリットルのヘキサンにて2回洗浄後、ヘキサンを420ミリリットル及び20%トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液加えてポリエチレン製造用触媒の懸濁液を得た(固形重量分:15.9wt%)。
(4)超高分子量ポリエチレンの製造
窒素置換した内容量2リットルのオートクレーブにヘキサンを1.2リットル及び20%トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液を1.1ミリリットル加え、25℃で30分攪拌後、(3)で得られたポリエチレン製造用触媒の懸濁液を1.54g(固形分245mg相当)、1−ブテンを7.9g加え、オートクレーブ内の温度が60℃を保つように調整しつつ、分圧が0.87MPaになるようにエチレンを連続的に供給し、エチレンのスラリー重合を行った。145分経過後に脱圧及び冷却を行い、スラリーを濾別乾燥することで、超高分子量ポリエチレンを87g得た。
この超高分子量ポリエチレンは、円形度0.9〜1の粒子数が全粒子数80%であり、メジアン径は210μm、σは0.22、融点は122℃、固有粘度は16.5dL/g、Mw/Mnは3.8、嵩密度は250kg/m、安息角は47.7°であった。また、成形シートの引張破断強度は20MPaであった。
比較例2
(1)粘土紛体の粒径調整
合成ヘクトライト(ビックケミー・ジャパン株式会社製、(商品名)ラポナイトRDS)をジェットミル(セイシン企業社製、(商品名)CO−JET SYSTEM α MARK III)に10g/minで供給し、0.7MPaの窒素気流で粉砕したところ、メジアン径3.1μm、標準偏差0.16の粘土紛体を得た。この紛体には、円形度0.9〜1の粒子が81%存在した。
(2)粘土紛体の変性
2リットルの容器に工業用アルコール0.6リットル及び蒸留水0.6リットルを入れ、濃塩酸1.5g及びメチルジオレイルアミン;(C1835CHN(ライオン株式会社製、(商品名)アーミンM2O)127g(0.24mol)を添加し、45℃に加熱して、先のスプレードライをした粘土紛体を200g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水120ミリリットルで2回洗浄し、85℃の乾燥器内で12時間乾燥させることにより325gの有機変性粘土紛体を得た。この有機変性粘土紛体はメジアン径が3.8μm、幾何標準偏差が0.17、円形度0.9〜1の粒子の比率は81%であった。
(3)ポリエチレン製造用触媒懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された5リットルのフラスコを窒素置換した後に(2)で得られた有機変性粘土紛体50gとヘキサンを140ミリリットル入れ、次いでジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライドを1.57g、及び20%トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液280ミリリットルを添加して60℃で3時間攪拌した。1時間静置後、上澄み液を抜き取り、420ミリリットルのヘキサンにて2回洗浄後、ヘキサンを420ミリリットル及び20%トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液加えてポリエチレン製造用触媒の懸濁液を得た(固形重量分:15.9wt%)。
(4)超高分子量ポリエチレンの製造
窒素置換した内容量2リットルのオートクレーブにヘキサンを1.2リットル及び20%トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液を1.1ミリリットル加え、25℃で30分攪拌後、(3)で得られたポリエチレン製造用触媒の懸濁液を1.54g(固形分245mg相当)、1−ブテンを7.9g加え、オートクレーブ内の温度が60℃を保つように調整しつつ、分圧が0.87MPaになるようにエチレンを連続的に供給し、エチレンのスラリー重合を行った。145分経過後に脱圧及び冷却を行い、スラリーを濾別乾燥することで、超高分子量ポリエチレンを204g得た。
この超高分子量ポリエチレンは、円形度0.9〜1の粒子数が全粒子数89%であり、メジアン径は110μm、σは0.17、融点は120℃、固有粘度は13dL/g、Mw/Mnは4.5、嵩密度は380kg/m、安息角は44.7°であった。また、成形シートの引張破断強度は22MPaであった。
本発明の超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒から得られる超高分子量ポリエチレン粒子は、優れた流動性、機械的特性、耐摩耗性、成形性を有しており、各種成形品の材料として用いることができる。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表される遷移金属化合物(A)、
    Figure 0006962211
    [式中、Mはチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、Xは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基であり、R1は下記一般式(2)で示されるシクロペンタジエニル基であり、
    Figure 0006962211
    (式中、R4は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基である。)
    は下記一般式(3)で示されるアミノ基を2つ有するフルオレニル基であり、
    Figure 0006962211
    (式中、RおよびRは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数6〜30のアリールアミノ基、炭素数7〜30アリールアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換したもの置換基であり、Rのいずれか1つおよび/またはRのいずれか1つが炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数6〜30のアリールアミノ基又は炭素数7〜30アリールアルキルアミノ基である。)
    は、下記一般式(4)または下記一般式(5)で示されるRとRの架橋単位であり、
    Figure 0006962211
    Figure 0006962211
    (式中、Rは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基であり、Mはケイ素原子、ゲルマニウム原子または錫原子である。)
    nは1〜5の整数である。]
    下記一般式(6)で表される脂肪族塩にて変性した、メジアン径が4μm以上20μm以下かつ粒径の幾何標準偏差が0.15以下である有機変性粘土紛体(B)、
    Figure 0006962211
    (式中、R〜R10は各々独立して炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルキルアルコキシ基、炭素数1〜30のアルキルアミノ基、炭素数1〜30のアルキルシリル基、上記炭素数1〜30のアルキル基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、上記炭素数1〜30のアルキル基の一部を炭素数1〜30のアルキルアミノ基に置換した置換基、上記炭素数1〜30のアルキル基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基であり、かつR〜R10のうち少なくとも1つが炭素数10以上のアルキル基であり、Mは周期表第15族の原子であり、[A]はアニオンである。)、
    及び、有機アルミニウム化合物(C)を含んでなることを特徴とする超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒。
  2. 有機変性粘土紛体(B)が、円形度0.9〜1の有機変性粘土紛体を90%以上含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒。
  3. 有機変性粘土紛体(B)が、ピロリン酸ナトリウム及び/又はエチドロン酸ナトリウムを含むものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒。
  4. 円形度0.9〜1の粒子が90%以上を占め、メジアン径が100μm以上200μm以下であり、粒子径の幾何標準偏差が0.15以下であり、デカリンを溶媒とし、135℃で測定した固有粘度(dL/g)が10以上60未満であることを特徴とする超高分子量ポリエチレン粒子。
  5. 自然落下させ、水平面に堆積させた時に粒子の作る角度を測定する注入法により測定した安息角が40°以下のものであることを特徴とする請求項4に記載の超高分子量ポリエチレン粒子。
  6. 分子量分布が3.0を超えて4.0以下のものであることを特徴とする請求項4又は5に記載の超高分子量ポリエチレン粒子。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載の超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒の存在下、エチレンの単独重合又は共重合を行うことを特徴とする超高分子量ポリエチレン粒子の製造方法。
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