JP2016172792A - エチレン系重合体の製造方法 - Google Patents

エチレン系重合体の製造方法 Download PDF

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池田 隆治
Takaharu Ikeda
隆治 池田
彩樹 長谷川
Ayaki Hasegawa
彩樹 長谷川
稲富 敬
Takashi Inatomi
敬 稲富
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Abstract

【課題】 攪拌翼の形状や回転数に関わらず、分子量の高いエチレン系重合体を高効率で製造する方法、特に粘度平均分子量100万を超えるような超高分子量エチレン系重合体の製造に適したエチレン系重合体の製造方法を提供する。【解決手段】 重合触媒の存在下、エチレン又はエチレンとα−オレフィンとのスラリー重合又は溶液重合を行う際に、重合反応中の重合溶媒中にエチレン又はエチレンとα−オレフィンとを供給することを特徴とするエチレン系重合体の製造方法。【選択図】 なし

Description

本発明は、効率よくエチレン系重合体を製造する方法に関するものであり、さらに詳細には、エチレン系重合体をスラリー重合又は溶液重合により製造する際に、溶媒に単量体を供給する製造方法に関するものである。また、特定の構造を有する遷移金属化合物、特定の構造を有する脂肪族塩で変性された有機変性粘土、有機アルミニウム化合物及び場合によっては非イオン性界面活性剤を含むメタロセン系触媒を用いることによる超高分子量エチレン系重合体の製造方法に関するものでもある。
従来、超高分子量エチレン系重合体は、その粘度平均分子量(Mv)が100万〜700万に達するため、通常のエチレン系重合体にはない耐衝撃性、自己潤滑性、耐薬品性、寸法安定性、軽量性、食品安定性等に優れるという効果を有することから、エンジニアリングプラスチックに匹敵する物性を有するものとして、射出成形、押出成形、圧縮成形等の各種成形法によって成形され、ライニング材、食品工業のライン部品、機械部品、スポーツ用品等の用途に用いられている。
しかし、通常のチーグラー触媒によって製造された超高分子量エチレン系重合体は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(分子量分布)が5より大きく、超高分子量成分と低分子量成分が混在した分子量分布の非常に大きいものであった。そして、超高分子量成分は成形体とする際の成形加工性を低下させるという悪影響を有していた。また、その一方で低分子量成分は、耐摩耗性等の機械物性を低下させたり、繊維にした場合に分子鎖末端数が増え、結晶化を阻害することにより、繊維の強度を下げる要因となったり等、超高分子量エチレン系重合体の特性を低下させる要因となっていた。
これらを解決する手段として、メタロセン系触媒を用いることにより分子量分布が、3.0以下である超高分子量エチレン系(共)重合体が提案されている(例えば特許文献1または特許文献2参照)。
特開平09−291112号公報(例えば特許請求の範囲参照。) 特開2014−9269号公報(例えば特許請求の範囲参照。)
しかし、エチレン系重合体の製造の際には、エチレン、その共重合成分であるプロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1等のα−オレフィンは、通常ガス状態にて気相部へ供給されることが一般的であった。そして、溶液重合やスラリー重合等の溶媒を用いた重合反応においては、気相部に供給されたエチレン等が重合反応場である溶媒へ溶け込むことが必要であった。しかし、気体を溶媒に溶解させて平衡に達するまでの時間は、液体や固体を溶解させる時間よりも長くなることが一般的である。
そして、重合反応によりエチレン等の消費速度が溶解速度を上回ると、エチレン等の溶媒への溶け込みが不十分となり、重合反応が進行し難い平衡濃度以下での重合が進行し、エチレン系重合体が低分子量物となる、触媒あたりの生産効率(触媒活性)が低下する等の課題が発生し易くなり、その傾向は、特に重合反応効率の影響の大きい超高分子量エチレン系重合体の製造、高活性触媒による効率的なエチレン系重合体の製造の際にそれら重合触媒の性能を発揮することが困難となり、顕著なものとなる。そして、その対策が望まれていた。
そこで、本発明は、簡易な方法にて、超高分子量ポリエチレン系重合体を製造又は効率よくポリエチレン系重合体を製造する方法を提供するものである。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、エチレン系重合体のスラリー重合又は溶液重合の際に、重合溶媒中にエチレン等を供給することにより、効率的なエチレン系重合体の製造方法となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、重合触媒の存在下、エチレン又はエチレンとα−オレフィンとのスラリー重合又は溶液重合を行う際に、重合反応中の重合溶媒中にエチレン又はエチレンとα−オレフィンとを供給することを特徴とするエチレン系重合体の製造方法に関するものである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のエチレン系重合体の製造方法は、重合触媒の存在下、エチレン又はエチレンとα−オレフィンとのスラリー重合又は溶液重合を行う際に、重合反応中の重合溶媒中にエチレン又はエチレンとα−オレフィンとを供給し、重合を行う製造方法である。そして、重合溶媒中にエチレン又はエチレンとα−オレフィンとを供給することにより、平衡濃度以下での重合反応が抑制され、効率的なエチレン系重合体の製造方法となるものである。
本発明のエチレン系重合体の製造方法において用いられる重合触媒としては、エチレン系重合体の製造の際に用いられる触媒であれば如何なるものも用いることが可能であり、例えばチグラーナッタ系触媒、メタロセン系触媒等を挙げることができ、その中でも、触媒として高活性、高効率を示すことから、効率的なエチレン系重合体の製造方法、又は超高分子量エチレン系重合体の製造方法となることからメタロセン系触媒であることが好ましく、特に優れた超高分子量エチレン系重合体の製造方法となることから、後述するメタロセン系触媒であることが好ましい。
また、本発明のエチレン系重合体を製造方法により得られるエチレン系重合体は、エチレン単独重合体のみならず他のα−オレフィンとの共重合体であってもよく、これら重合により得られるエチレン系重合体は、単独重合体のみならず共重合体も含む意味で用いられる。
本発明におけるエチレン系重合体の製造方法としては、溶液重合法、スラリー重合法等の溶媒を用いる方法を挙げることができ、その中でも、特に粒子形状の整ったエチレン系重合体を効率よく安定的に製造することが可能となることからスラリー重合法であることが好ましい。また、スラリー重合法に用いる溶媒としては、一般に用いられている有機溶媒であればいずれでもよく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等が挙げられ、プロピレン、1−ブテン、1−オクテン、1−ヘキセンなどのオレフィンを溶媒として用いることもできる。
また、エチレン系重合体を共重合体とする際にエチレンとの共重合に用いるα−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィンを挙げることができる。
本発明のエチレン系重合体の製造方法における重合温度、重合圧力、モノマー濃度などの重合条件については任意に選択可能であり、その中でも、重合温度は30〜90℃、重合圧力は常圧〜100MPaの範囲で行うことが好ましい。また、重合時に水素などを用いて分子量の調節を行うことも可能である。重合はバッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法でも行うことが可能であり、重合条件を変えて、2段以上に分けて行うことも可能である。また、重合終了後に得られるエチレン系重合体は、従来既知の方法により重合溶媒から分離回収され、乾燥して得ることができる。
本発明のエチレン系重合体の製造方法において、重合溶媒中にエチレン又はエチレンとα−オレフィンとを供給する方法としては、該供給が可能であれば如何なる方法を用いてもよく、中でも効率的な供給が可能となることから吹込み管、特に複数の吹き込み口を有する吹き込み管により供給することが好ましい。そして、吹き込み管による供給の際には、吹込み口が溶媒に浸っていれば長さ、内径及び形状はいかなるものでも差し支えない。中でも、内径は圧力損失を防ぐ観点から、吹込み管に接続しているエチレン配管の内径と同じ以上であることが好ましい。また、吹込み口は管の先端にあっても、側面にあっても、あるいは両方にあっても良い。
また、本発明のエチレン系重合体の製造方法は、超高分子量エチレン系重合体の製造方法として好ましいものであり、特に粘度平均分子量100万以上を有する超高分子量エチレン系重合体の製造方法として好ましいものである。
以下に、粘度平均分子量100万以上を有する超高分子量エチレン系重合体を製造する際に好ましい触媒の一態様として、メタロセン系触媒について詳細に説明する。
該メタロセン系触媒は、下記一般式(1)で表される遷移金属化合物(A)、
Figure 2016172792
[式中、Mはチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、Xは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基であり、R1は下記一般式(2)で示されるシクロペンタジエニル基であり、
Figure 2016172792
(式中、R4は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基である。)
は下記一般式(3)で示されるアミノ基を1つまたは2つ有するフルオレニル基であり、
Figure 2016172792
(式中、RおよびRは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数6〜30のアリールアミノ基、炭素数7〜30アリールアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換したもの置換基であり、Rのいずれか1つおよび/またはRのいずれか1つが炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数6〜30のアリールアミノ基又は炭素数7〜30のアリールアルキルアミノ基である。)
は、下記一般式(4)または下記一般式(5)で示されるRとRの架橋単位であり、
Figure 2016172792
Figure 2016172792
(式中、Rは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基であり、Mはケイ素原子、ゲルマニウム原子または錫原子である。)
nは1〜5の整数である。]
下記一般式(6)で表される脂肪族塩にて変性した有機変性粘土(B)、
Figure 2016172792
(式中、R〜R10は各々独立して炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルキルアルコキシ基、炭素数1〜30のアルキルアミノ基、炭素数1〜30のアルキルシリル基、上記炭素数1〜30のアルキル基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、上記炭素数1〜30のアルキル基の一部を炭素数1〜30のアルキルアミノ基に置換した置換基、上記炭素数1〜30のアルキル基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基であり、かつR〜R10のうち少なくとも1つが炭素数10以上のアルキル基であり、Mは周期表第15族の原子であり、[A]はアニオンである。)、
有機アルミニウム化合物(C)及び必要に応じて非イオン性界面活性剤(D)を含んでなる触媒である。
該メタロセン系触媒を構成する遷移金属化合物(A)は、上記一般式(1)で示される遷移金属化合物であり、Rであるシクロペンタジエニル基とRであるアミノ基を1つまたは2つ有するフルオレニル基でMをサンドイッチする構造をとると共に、RによりRとRとを架橋した構造を有するものである。
ここで、Mは、チタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、これら特定の金属原子であることにより分子量の非常に高いエチレン系重合体を効率よく製造することが可能となり、特に超高分子量エチレン系重合体を生産効率よく製造することが可能なメタロセン系触媒となることからジルコニウム原子またはハフニウム原子であることが好ましい。
Xは、各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基であり、これら特定の置換基であることにより分子量の非常に高いエチレン系重合体を製造することが可能となる。そして、Xの具体的例示として、例えば水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基やそれらの異性体置換基などの炭素数1〜30のアルキル基、フェニル基、インデニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ビフェニレニル基などの炭素数6〜30のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、ジフェニルメチル基、ジフェニルエチル基などの炭素数7〜30のアリールアルキル基、またはメチルフェニル基、エチルフェニル基、メチルナフチル基などの炭素数7〜30のアルキルアリール基、トリメチルシリル基などのアルキルシリル基などが挙げられる。
は、上記一般式(2)で示されるシクロペンタジエニル基であり、R4は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基であり、これら特定の置換基であることにより分子量の非常に高いエチレン系重合体を製造することが可能となる。そして、Rの具体的例示としては、上記したXの例示と同様のものを挙げることができ、Rの具体的例示としては、例えばシクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n−ブチル−シクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、ジエチルシクロペンタジエニル基、メトキシシクロペンタジエニル基、ジメチルアミノ−シクロペンタジエニル基、トリメチルシリル−シクロペンタジエニル基などが挙げられる。
は、上記一般式(3)で示されるアミノ基を1つまたは2つ有するフルオレニル基であり、RおよびRは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数6〜30のアリールアミノ基、炭素数7〜30のアリールアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基であり、Rのいずれか1つおよび/またはRのいずれか1つは、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数6〜30のアリールアミノ基又は炭素数7〜30のアリールアルキルアミノ基であり、特に炭素数1〜20のジアルキルアミノ基、炭素数6〜30のジアリールアミノ基又は炭素数7〜30のジアリールアルキルアミノ基であることが好ましい。これら特定の置換基であることにより分子量の非常に高いエチレン系重合体を製造することが可能となる。そして、RおよびRの具体的例示としては、上記したXの例示と同様のもの、更にはジフェニルアミノ基、ジベンジルアミノ基等を挙げることができ、Rの具体的例示としては、2−ジメチルアミノフルオレニル基、2−ジエチルアミノフルオレニル基、2−ジイソプロピルアミノフルオレニル基、2−(ジ−n−プロピルアミノ)フルオレニル基、2−(ジ−n−ブチルアミノ)フルオレニル基、2−ジベンジルアミノフルオレニル基、3−ジメチルアミノフルオレニル基、3−ジエチルアミノフルオレニル基、3−ジイソプロピルアミノフルオレニル基、3−(ジ−n−プロピルアミノ)フルオレニル基、3−(ジ−n−ブチルアミノ)フルオレニル基、3−ジベンジルアミノフルオレニル基、2−ジメチルアミノフルオレニル基、2−ジエチルアミノフルオレニル基、2−ジイソプロピルアミノフルオレニル基、2−(ジ−n−プロピルアミノ)フルオレニル基、2−(ジ−n−ブチルアミノ)フルオレニル基、2−ジベンジルアミノフルオレニル基、2,7−ビス(ジメチルアミノ)−フルオレニル基、2,7−ビス(ジエチルアミノ)−フルオレニル基、2、7−ビス(ジイソプロピルアミノ)−フルオレニル基、2,7−ビス(ジ−n−プロピルアミノ)−フルオレニル基、2,7−ビス(ジ−n−ブチルアミノ)−フルオレニル基、2,7−ビス(ジベンジルアミノ)−フルオレニル基、3,6−ビス(ジメチルアミノ)−フルオレニル基、3,6−ビス(ジエチルアミノ)−フルオレニル基、3,6−ビス(ジイソプロピルアミノ)−フルオレニル基、3,6−ビス(ジ−n−プロピルアミノ)−フルオレニル基、3、6−ビス(ジ−n−ブチルアミノ)−フルオレニル基、3,6−ビス(ジベンジルアミノ)−フルオレニル基、2,5−ビス(ジメチルアミノ)−フルオレニル基、2,5−ビス(ジエチルアミノ)−フルオレニル基、2,5−ビス(ジイソプロピルアミノ)−フルオレニル基、2,5−ビス(ジ−n−プロピルアミノ)−フルオレニル基、2,5−ビス(ジ−n−ブチルアミノ)−フルオレニル基、2,5−ビス(ジベンジルアミノ)−フルオレニル基などが挙げられる。
は、該Rと該Rの架橋単位であり、上記一般式(4)又は上記一般式(5)で表される架橋単位であり、Rは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基であり、これら特定の置換基であることにより分子量の高いエチレン系重合体を製造することが可能となる。そして、Rの具体的例示として、上記したXの例示と同様のものを挙げることができる。また、Mはケイ素原子、ゲルマニウム原子または錫原子である。
そして、nは1〜5の整数である。
該遷移金属化合物(A)は、シクロペンタジエニル基(または置換シクロペンタジエニル基)とアミノ基を1つまたは2つ有するフルオレニル基を組み合わせた構造の配位子を有する遷移金属化合物であり、その具体例として、例えばジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−(ジイソプロピルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−(ジ−n−プロピル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−(ジ−n−ブチル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(3−(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(3−(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(3−(ジイソプロピルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(3−(ジ−n−プロピル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(3−(ジ−n−ブチル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(3−(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(4−(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(4−(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(4−(ジイソプロピルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(4−(ジ−n−プロピル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(4−(ジ−n−ブチル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(4−(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(ジイソプロピルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(ジ−n−プロピル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(ジ−n−ブチル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3−(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3−(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3−(ジイソプロピルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3−(ジ−n−プロピル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3−(ジ−n−ブチル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3−(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(4−(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(4−(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(4−(ジイソプロピルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(4−(ジ−n−プロピル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(4−(ジ−n−ブチル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(4−(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2、7−ビス(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2、7−ビス(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2、7−ビス(ジイソプロピルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2、7−ビス(ジ−n−プロピル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2、7−ビス(ジ−n−ブチル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2、7−ビス(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(3、6−ビス(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(3、6−ビス(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(3、6−ビス(ジイソプロピルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(3、6−ビス(ジ−n−プロピル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(3、6−ビス(ジ−n−ブチル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(3、6−ビス(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2、5−ビス(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2、5−ビス(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2、5−ビス(ジイソプロピルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2、5−ビス(ジ−n−プロピル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2、5−ビス(ジ−n−ブチル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2、5−ビス(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、7−ビス(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、7−ビス(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、7−ビス(ジイソプロピルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、7−ビス(ジ−n−プロピル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、7−ビス(ジ−n−ブチル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、7−ビス(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3、6−ビス(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3、6−ビス(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3、6−ビス(ジイソプロピルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3、6−ビス(ジ−n−プロピル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3、6−ビス(ジ−n−ブチル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3、6−ビス(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、5−ビス(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、5−ビス(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、5−ビス(ジイソプロピルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、5−ビス(ジ−n−プロピル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、5−ビス(ジ−n−ブチル−アミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2、5−ビス(ジベンジルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライドなどのジルコニウム化合物、ジルコニウム原子をチタン原子またはハフニウム原子に変えた化合物や上記遷移金属化合物のジクロロ体をジメチル体、ジエチル体、ジヒドロ体、ジフェニル体、ジベンジル体に変えた化合物などを例示することができ、その中でも、超高分子量エチレン系重合体を生産効率よく製造することが可能なメタロセン系触媒となることからジルコニウム系またはハフニウム系化合物であることが好ましい。
該メタロセン系触媒を構成する有機変性粘土(B)は、上記一般式(6)で表される脂肪族塩にて変性された有機変性粘土である。
ここで、R〜R10は、各々独立して炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルキルアルコキシ基、炭素数1〜30のアルキルアミノ基、炭素数1〜30のアルキルシリル基、上記炭素数1〜30のアルキル基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、上記炭素数1〜30のアルキル基の一部を炭素数1〜30のアルキルアミノ基に置換した置換基、上記炭素数1〜30のアルキル基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基であり、かつ、R〜R10のうち少なくとも1つが炭素数10以上のアルキル基である。
そして、R〜R10の具体的例示としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、アリール基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、オレイル基、ベヘニル基等の炭素数1〜30のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜30のアルキルアルコキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等の炭素数1〜30のアルキルアミノ基;トリメチルシリル基、トリtert−ブチルシリル基、ジtert−ブチルメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基等炭素数1〜30のアルキルシリル基;メトキシメチレン基、エトキシメチレン基等の炭素数1〜30のアルキル基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基;ジメチルアミノメチレン基、ジエチルアミノメチレン基等の炭素数1〜30のアルキル基の一部を炭素数1〜30のアルキルアミノ基に置換した置換基;トリメチルシリルメチレン基、tert−ブチルジメチルシリルメチレン基等の炭素数1〜30のアルキル基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基、等を挙げることができる。
該R〜R10のうち少なくとも1つの置換基は、炭素数10以上のアルキル基であり、例えばデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、オレイル基、ベヘニル基等を例示することができる。
該Mは、周期律表第15族の原子であり、該Mとしては、例えば窒素原子、リン原子等を挙げることができる。
該[A]はアニオンであり、アニオンの範疇に属するものであれば如何なるものでもよく、例えばフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、過塩素酸イオン、シュウ酸イオン、クエン酸イオン、コハク酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオンまたはヘキサフルオロリン酸イオン等を挙げることがきる。
そして、該脂肪族塩の具体例としては、例えばN,N−ジメチル−ベヘニルアミン塩酸塩、N−メチル−N−エチル−ベヘニルアミン塩酸塩、N−メチル−N−n−プロピル−ベヘニルアミン塩酸塩、N,N−ジオレイル−メチルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−ベヘニルアミンフッ化水素酸塩、N−メチル−N−エチル−ベヘニルアミンフッ化水素酸塩、N−メチル−N−n−プロピル−ベヘニルアミンフッ化水素酸塩、N,N−ジオレイル−メチルアミンフッ化水素酸塩、N,N−ジメチル−ベヘニルアミン臭化水素酸塩、N−メチル−N−エチル−ベヘニルアミン臭化水素酸塩、N−メチル−N−n−プロピル−ベヘニルアミン臭化水素酸塩、N,N−ジオレイル−メチルアミン臭化水素酸塩、N,N−ジメチル−ベヘニルアミンヨウ化水素酸塩、N−メチル−N−エチル−ベヘニルアミンヨウ化水素酸塩、N−メチル−N−n−プロピル−ベヘニルアミンヨウ化水素酸塩、N,N−ジオレイル−メチルアミンヨウ化水素酸塩、N,N−ジメチル−ベヘニルアミン硫酸塩、N−メチル−N−エチル−ベヘニルアミン硫酸塩、N−メチル−N−n−プロピル−ベヘニルアミン硫酸塩、N,N−ジオレイル−メチルアミン硫酸塩等の脂肪族アミン塩;P,P−ジメチル−ベヘニルホスフィン塩酸塩、P,P−ジエチル−ベヘニルホスフィン塩酸塩、P,P−ジプロピル−ベヘニルホスフィン塩酸塩、P,P−ジメチル−ベヘニルホスフィンフッ化水素酸塩、P,P−ジエチル−ベヘニルホスフィンフッ化水素酸塩、P,P−ジプロピル−ベヘニルホスフィンフッ化水素酸塩、P,P−ジメチル−ベヘニルホスフィン臭化水素酸塩、P,P−ジエチル−ベヘニルホスフィン臭化水素酸塩、P,P−ジプロピル−ベヘニルホスフィン臭化水素酸塩、P,P−ジメチル−ベヘニルホスフィンヨウ化水素酸塩、P,P−ジエチル−ベヘニルホスフィンヨウ化水素酸塩、P,P−ジプロピル−ベヘニルホスフィンヨウ化水素酸塩、P,P−ジメチル−ベヘニルホスフィン硫酸塩、P,P−ジエチル−ベヘニルホスフィン硫酸塩、P,P−ジプロピル−ベヘニルホスフィン硫酸塩等の脂肪族ホスフォニウム塩;等を挙げることができる。
また、該有機変性粘土(B)を構成する粘土化合物としては、粘土化合物の範疇に属するものであれば如何なるものであってもよく、一般的にシリカ四面体が二次元上に連続した四面体シートと、アルミナ八面体やマグネシア八面体等が二次元上に連続した八面体シートが1:1又は2:1で組合わさって構成されるシリケート層と呼ばれる層が何枚にも重なって形成され、一部のシリカ四面体のSiがAl、アルミナ八面体のAlがMg、マグネシア八面体のMgがLi等に同型置換されることにより層内部の正電荷が不足し、層全体として負電荷を帯びており、この負電荷を補償するために層間にはNaやCa2+等の陽イオンが存在しているものとして知られているものである。そして、該粘土化合物としては天然品、または合成品としてのカオリナイト、タルク、スメクタイト、バーミキュライト、雲母、脆雲母、縁泥石等が存在し、これらを用いることが可能であり、その中でも入手のしやすさと有機変性の容易さからスメクタイトが好ましく、特にスメクタイトのなかでもヘクトライトまたはモンモリロナイトがさらに好ましい。
該有機変性粘土(B)は、該粘土化合物の層間に該脂肪族塩を導入し、イオン複合体を形成することにより得る事が可能である。該有機変性粘土(B)を調製する際には、粘土化合物の濃度0.1〜30重量%、処理温度0〜150℃の条件を選択して処理を行うことが好ましい。また、該脂肪族塩は固体として調製して溶媒に溶解させて使用しても良いし、溶媒中での化学反応により該脂肪族塩の溶液を調製してそのまま使用しても良い。該粘土化合物と該脂肪族塩の反応量比については、粘土化合物の交換可能なカチオンに対して当量以上の脂肪族塩を用いることが好ましい。処理溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;エチルアルコール、メチルアルコール等のアルコール類;エチルエーテル、n−ブチルエーテル等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;アセトン;1,4−ジオキサン;テトラヒドロフラン;水、等を用いることができる。そして、好ましくは、アルコール類または水を単独もしくは溶媒の一成分として用いることである。
また、該メタロセン系触媒を構成する有機変性粘土(B)の粒径に制限はなく、その中でも触媒調製時の効率、超高分子量エチレン系重合体製造時の効率に優れるものとなることから0.01〜100μmであることが好ましい。その際の粒径を調節する方法にも制限はなく、大きな粒子を粉砕して適切な粒径にしても、小さな粒子を造粒して適切な粒径にしても良く、あるいは粉砕と造粒を組み合わせても良い。また、粒径の調節は有機変性前の粘土に行っても、変性後の有機変性粘土に行っても良い。
有機変性粘土(B)の粒径制御を行う際の粉砕や造粒の方法に制限はなく、粉砕としては、例えばインパクトミル、回転ミル、カスケードミル、カッターミル、ケージミル、衝撃式粉砕機、コニカルミル、コロイドミル、コンパウンドミル、ジェットミル、振動ミル、スタンプミル、チューブミル、ディスクミル、タワーミル、媒体攪拌ミル、ハンマーミル、ピンミル、フレットミル、ペブルミル、ボールミル、摩砕機、遊星ミル、リングボールミル、リングロールミル、ロッドミル、ローラーミル、ロールクラッシャー等の機器による粉砕を挙げることができ、造粒としては、例えば転動造粒、流動層造粒、攪拌造粒、圧縮造粒、押出造粒、破砕造粒、溶融造粒、噴霧造粒等の方法を挙げることができる。
該有機アルミニウム化合物(C)は、有機アルミニウム化合物と称される範疇に属するものであれば如何なるものも用いることができ、その中でも、特に超高分子量エチレン系重合体を生産効率よく製造することが可能なメタロセン系触媒となることから、下記一般式(7)で表される有機アルミニウム化合物であることが好ましい。
Figure 2016172792
(式中、R11は炭素数1〜20の炭化水素基であり、R12は各々独立して炭素数1〜20の炭化水素基、水素原子または塩素原子である。)
該有機アルミニウム化合物としては、特に遷移金属化合物(A)を容易にアルキル化することが可能となることから、例えばトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
該メタロセン系触媒には非イオン性界面活性剤(D)を加えてもよい。非イオン性界面活性剤(D)には得られるエチレン系重合体のパウダーモルフォロジーを良化させるとともに、反応器の壁面や攪拌機へのファウリングを抑制する効果があるため、嵩密度が低い超高分子量エチレン系重合体やファウリングが発生しやすいα−オレフィンとの共重合させた超高分子量エチレン系重合体を製造する際には用いた方が好ましい。
非イオン性界面活性剤(D)は、ポリオキシアルキレンオキサイドであり、公知のポリアルキレンオキサイドであれば何ら制限なく用いることができ、例えばポリオキシアルキレンデシルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシアルキレントリデシルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、フェノキシエタノール、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル等を挙げることができる。その中でも、特に重合時のファウリングを抑制する効果に優れ、優れたパウダーモルフォロジーを有する粒子を効率的に製造することが可能となることから、下記一般式(8)で表されるエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体であることが好ましい。
H(OCHCH(OC(OCHCHOH (8)
ここで上記一般式(8)における平均重合度を示すa、b、cはそれぞれ1〜300の整数であり、好ましくはaとcはそれぞれ1〜60の整数であり、bは2〜100の整数であり、全分子量としては100〜20000であることが好ましい。
該メタロセン系触媒を構成する該遷移金属化合物(A)(以下(A)成分ということもある。)、該有機変性粘土(B)(以下、(B)成分ということもある。)、該有機アルミニウム化合物(C)(以下、(C)成分ということもある。)および場合によっては用いられる非イオン性界面活性剤(D)(以下、(D)成分ということもある)の使用割合に関して、(A)成分、(B)成分および(C)成分については、エチレン系重合体製造用触媒であるメタロセン系触媒としての使用が可能であれば如何なる制限を受けるものでなく、その中でも、特に超高分子量エチレン系重合体を生産効率よく製造することが可能なメタロセン系触媒となることから、(A)成分と(C)成分の金属原子当たりのモル比は((A)成分):((C)成分)=100:1〜1:100000の範囲にあることが好ましく、特に1:1〜1:10000の範囲であることが好ましい。また、(A)成分と(B)成分の重量比が((A)成分):((B)成分)=10:1〜1:10000にあることが好ましく、特に3:1〜1:1000の範囲であることが好ましい。また、該メタロセン系触媒に含まれる(D)成分については、重合時のファウリングの抑制効果と重合活性に優れることから(B)成分と(D)成分の重量比が((B)成分):((D)成分)=1:0.0001〜1:100の範囲であることが好ましく、特に((B)成分):((D)成分)=1:0.01〜20の範囲であることが好ましい。
該メタロセン系触媒の調製方法に関しては、該(A)成分、該(B)成分、該(C)成分および場合によっては用いられる該(D)成分を含むメタロセン系触媒を調製することが可能であれば如何なる方法を用いてもよい。例えば各(A)、(B)、(C)及び場合によっては用いられる(D)成分に関して不活性な溶媒中あるいは重合を行うモノマーを溶媒として用い、混合する方法などを挙げることができる。また、これらの成分を反応させる順番に関しても制限はなく、4成分を同時に接触させても、任意3成分を接触させたのち残りの1成分を接触させても、任意の2成分を接触させたのち、残りの2成分を同時あるいは逐次接触させても良い。この処理を行う温度、処理時間も制限はない。また、(A)成分、(B)成分、(C)及び場合によっては用いられる(D)成分のそれぞれを2種類以上用いてメタロセン系触媒を調製することも可能である。
そして、本発明のエチレン系重合体の製造方法によって得られるエチレン系重合体としては、特に耐摩耗性等の機械物性に優れるエチレン系重合体となることから、固有粘度(dL/g)13以上またはMvが100万以上の超高分子量エチレン系重合体であることが好ましい。また、成形加工性と機械的物性のバランスに優れるエチレン系重合体となることからMw/Mnが3を越えて5未満であることが好ましく、特に3を越えて4未満であることが好ましい。
本発明のエチレン系重合体の製造方法によれば、スラリー重合中又は溶液重合中に吹込み管から溶媒中にエチレンを供給することにより、攪拌翼の形状や回転数に関わらず、分子量の高いエチレン系重合体を高効率で製造することが可能となり、特に粘度平均分子量100万を超えるような超高分子量エチレン系重合体の製造方法として適したものとなる。
以下に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により制限されるものではない。なお、断りのない限り、用いた試薬等は市販品、あるいは既知の方法に従って合成したものを用いた。
有機変性粘土の粉砕にはジェットミル(セイシン企業社製、(商品名)CO−JET SYSTEM α MARK III)を用い、粉砕後の粒径はマイクロトラック粒度分布測定装置(日機装株式会社製、(商品名)MT3000)を用いてエタノールを分散剤として測定した。
重合触媒の調製、エチレン系重合体の製造および溶媒精製は全て不活性ガス雰囲気下で行った。トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(20wt%)は東ソーファインケム(株)製を用いた。
さらに、実施例におけるエチレン系重合体の諸物性は、以下に示す方法により測定した。
〜固有粘度の測定〜
ウベローデ型粘度計を用い、ODCB(オルトジクロルベンゼン)を溶媒として、135℃において、エチレン系重合体濃度0.005wt%〜0.01wt%で測定した。
〜粘度平均分子量〜
固有粘度([η](dl/g))と粘度平均分子量(Mv)の下記関係式に基づき算出した。
[η]=5.05×10−4×(Mv)0.693
実施例1
(1)有機変性粘土の調製
1リットルのフラスコに工業用アルコール(日本アルコール販売社製、(商品名)エキネンF−3)300mL及び蒸留水300mLを入れ、濃塩酸15.0g及びジメチルベヘニルアミン;C2245(CH32N(ライオン株式会社製、(商品名)アーミンDM22D)42.4g(120mmol)を添加し、45℃に加熱して合成ヘクトライト(Rockwood Additives社製、(商品名)ラポナイトRDS)を100g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水600mLで2回洗浄し、85℃の乾燥機内で12時間乾燥させることにより140gの有機変性粘土を得た。この有機変性粘土はジェットミル粉砕して、メジアン径を6.5μmとした。
(2)重合触媒懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された300mLのフラスコを窒素置換した後に(1)で得られた有機変性粘土25.0gとヘキサンを108mL入れ、次いでジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ビス(ジメチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライドを0.600g、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mLを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、200mLのヘキサンにて2回洗浄後、ヘキサンを200mL加えて重合触媒の懸濁液を得た(固形重量分:13.23wt%)。
(3)エチレン系重合体の製造
2リットルのオートクレーブにヘキサンを1.2リットル、20%トリイソブチルアルミニウムを1.1mL、(2)で得られた重合触媒の懸濁液を38.5mg(固形分51.2mg相当)加え、60℃に昇温後、吹き込み口をヘキサン中に有する内径8mmの筒型吹込み管から分圧が0.2MPaになるようにエチレンを連続的に供給し、アンカー翼を300rpmで回転させることで攪拌を行い、エチレンのスラリー重合を行った。180分経過後に脱圧し、オートクレーブを解放してスラリーを濾別後、乾燥することで88.2gのエチレン単独重合体を得た(活性:1700g/g触媒)。得られたエチレン単独重合体の固有粘度は16.9dL/gであり、粘度平均分子量は340万であった。
比較例1
吹込み管を介さず、オートクレーブのフランジ上部からエチレンを供給した以外は、実施例1と同様の方法により65.1gのエチレン単独重合体を得た(活性:1300g/g触媒)。得られたエチレン単独重合体の固有粘度は6.6dL/gであり、粘度平均分子量は90万であった。実施例1に対して生産効率、分子量共に低いものであった。
実施例2
有機変性粘土の調製
1リットルのフラスコに工業用アルコール(日本アルコール販売社製、(商品名)エキネンF−3)300mL及び蒸留水300mLを入れ、濃塩酸15.0g及びジオレイルメチルアミン;(C18352CH3N(ライオン株式会社製、(商品名)アーミンM2O)63.7g(120mmol)を添加し、45℃に加熱して合成ヘクトライト(Rockwood Additives社製、(商品名)ラポナイトRDS)を100g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水600mLで2回洗浄し、85℃の乾燥機内で12時間乾燥させることにより160gの有機変性粘土を得た。この有機変性粘土はジェットミル粉砕して、メジアン径を4.7μmとした。
(2)重合触媒懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された300mLのフラスコを窒素置換した後に(1)で得られた有機変性粘土25.0gとヘキサンを108mL入れ、次いでジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ビス(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライドを0.604g、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mLを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、200mLのヘキサンにて2回洗浄後、ヘキサンを200mL加えて重合触媒の懸濁液を得た(固形分濃度12.58%)。
(3)エチレン系重合体の製造
2リットルのオートクレーブにヘキサンを1.2リットル、20%トリイソブチルアルミニウムを1.1mL、非イオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、(商品名)エパン710)を3.0mg、(2)で得られた重合触媒の懸濁液を1.464g(固形分184.2mg相当)加え、60℃に昇温後、2個の吹き出し口をヘキサン中に有する内径8mmの筒型吹込み管から分圧が0.1MPaになるようにエチレンを連続的に供給し、パドル翼を600rpmで回転させることで攪拌を行い、エチレンのスラリー重合を行った。180分経過後に脱圧し、180分経過後に脱圧し、オートクレーブを解放してスラリーを濾別後、乾燥することで107.3gのエチレン系重合体を得た(活性:580g/g触媒)。得られたエチレン系重合体の固有粘度は16.0dL/gであり、粘度平均分子量は310万であった。
比較例2
吹込み管を介さず、オートクレーブのフランジ上部からエチレンを供給した以外は、実施例2と同様の方法により、99.5g(活性:540g/g触媒)のエチレン単独重合体を得た。得られたエチレン単独重合体の固有粘度は6.4dL/gであり、粘度平均分子量は80万であった。実施例2に対して、生産効率、分子量共に低いものであった。
実施例3
(1)有機変性粘土の調製
1リットルのフラスコに工業用アルコール(日本アルコール販売社製、(商品名)エキネンF−3)300mL及び蒸留水300mLを入れ、濃塩酸15.0g及びジメチルベヘニルアミン;C2245(CH32N(ライオン株式会社製、(商品名)アーミンDM22D)42.4g(120mmol)を添加し、45℃に加熱して合成ヘクトライト(Rockwood Additives社製、(商品名)ラポナイトRD)を100g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水600mLで2回洗浄し、85℃の乾燥機内で12時間乾燥させることにより141gの有機変性粘土を得た。この有機変性粘土はジェットミル粉砕して、メジアン径を5.0μmとした。
(2)重合触媒懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された300mLのフラスコを窒素置換した後に(1)で得られた有機変性粘土25.0gとヘキサンを108mL入れ、次いでジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(エチルアミノ)−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライドを0.629g、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mLを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、200mLのヘキサンにて2回洗浄後、ヘキサンを200mL加えて重合触媒の懸濁液を得た(固形分濃度13.14%)。
(3)エチレン系重合体の製造
2リットルのオートクレーブにヘキサンを1.2リットル、20%トリイソブチルアルミニウムを1.1mL、非イオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、(商品名)エパン710)を3.1mg、(2)で得られた重合触媒の懸濁液を0.191g(固形分25.1mg相当)加え、60℃に昇温後、吹き出し口をヘキサン中に有する内径8mmの筒型吹込み管から分圧が0.9MPaになるようにエチレンを連続的に供給し、パドル翼を300rpmで回転させることで攪拌を行い、エチレンのスラリー重合を行った。180分経過後に脱圧し、オートクレーブを解放してスラリーを濾別後、乾燥することで150.8gのエチレン単独重合体を得た(活性:6000g/g触媒)。得られたエチレン系重合体の固有粘度は24.4dL/gであり、粘度平均分子量は570万であった。
実施例4
2リットルのオートクレーブにヘキサンを1.2リットル、20%トリイソブチルアルミニウムを1.1mL、非イオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、(商品名)エパン710)を1.6mg、1−ブテンを4.5g、実施例3(2)で得られた重合触媒の懸濁液を2.134g(固形分280.4mg相当)加え、60℃に昇温後、吹き出し口をヘキサン中に有する内径8mmの筒型吹込み管から分圧が0.38MPaになるようにエチレンを連続的に供給し、パドル翼を300rpmで回転させることで攪拌を行い、エチレンのスラリー重合を行った。220分経過後に脱圧し、オートクレーブを解放してスラリーを濾別後、乾燥することで202gのエチレン/1−ブテン共重合体を得た(活性:720g/g触媒)。得られたエチレン系重合体の固有粘度は14.0dL/gであり、粘度平均分子量は260万であった。また、融点は125℃であった。
比較例3
吹込み管を介さず、オートクレーブのフランジ上部からエチレンを供給した以外は、実施例4と同様の方法により、150g(活性:530g/g触媒)のエチレン/1−ブテン共重合体を得た。得られたエチレン/1−ブテン共重合体の固有粘度は7.0L/gであり、粘度平均分子量は95万であった。実施例4に対して、生産効率、分子量共に低いものであった。
実施例5
(1)有機変性粘土の調製
10リットルの容器に工業用アルコール(日本アルコール販売社製、(商品名)エキネンF−3)3L及び蒸留水3Lを入れ、濃塩酸150g及びジメチルベヘニルアミン;C2245(CH32N(ライオン株式会社製、(商品名)アーミンDM22D)424g(120mmol)を添加し、45℃に加熱して合成ヘクトライト(Rockwood Additives社製、(商品名)ラポナイトRD)を1kg分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水6Lで2回洗浄し、85℃の乾燥機内で12時間乾燥させることにより1.41kgの有機変性粘土を得た。この有機変性粘土はジェットミル粉砕して、メジアン径を4.9μmとした。
(2)重合触媒懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された3Lのフラスコを窒素置換した後に(1)で得られた有機変性粘土250gとヘキサンを1.1L入れ、次いでジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−(ジエチルアミノ)−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライドを6.3g、及び20%トリイソブチルアルミニウム1.4Lを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、2Lのヘキサンにて2回洗浄後、ヘキサンを200mL加えて重合触媒の懸濁液を得た(固形分濃度12.0%)。
(3)エチレン系重合体の製造
1000リットルのオートクレーブにヘキサンを600リットル、20%トリイソブチルアルミニウムを550mL、非イオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、(商品名)エパン710)を3.1g、(2)で得られた重合触媒の懸濁液を616.7g(固形分74.0g相当)加え、60℃に昇温後、3個の吹き出し口をヘキサン中に有するエチレンを内径60mmの筒型吹込み管から分圧が0.4MPaになるようにエチレンを連続的に供給し、パドル翼を300rpmで回転させることで攪拌を行い、エチレンのスラリー重合を行った。180分経過後に脱圧し、オートクレーブを解放してスラリーを濾別後、乾燥することで35.5kgのエチレン単独重合体を得た(活性:480g/g触媒)。得られたエチレン系重合体の固有粘度は21.0dL/gであり、粘度平均分子量は300万であった。
比較例4
吹込み管を介さず、オートクレーブのフランジ上部からエチレンを供給した以外は、実施例5と同様の方法により、30.2kg(活性:410g/g触媒)のエチレン単独重合体を得た。得られたエチレン単独重合体の固有粘度は7.0L/gであり、粘度平均分子量は95万であった。実施例5に対して、生産効率、分子量共に低いものであった。
本発明のエチレン系重合体の製造方法によれば、攪拌翼の形状や回転数に関わらず、分子量の高いエチレン系重合体を高効率で製造することが可能となり、特に粘度平均分子量100万を超えるような超高分子量エチレン系重合体の製造方法として適したものとなることから、その産業上の利用価値は極めて高いものである。

Claims (5)

  1. 重合触媒の存在下、エチレン又はエチレンとα−オレフィンとのスラリー重合又は溶液重合を行う際に、重合反応中の重合溶媒中にエチレン又はエチレンとα−オレフィンとを供給することを特徴とするエチレン系重合体の製造方法。
  2. エチレン又はエチレンとα−オレフィンとを供給する際に、吹き込み管により導入することを特徴とする請求項1に記載のエチレン系重合体の製造方法。
  3. 粘度平均分子量100万以上のエチレン系重合体を製造するものであること特徴とする請求項1又は2に記載のエチレン系重合体の製造方法。
  4. 重合触媒が、下記一般式(1)で表される遷移金属化合物(A)、
    Figure 2016172792
    [式中、Mはチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、Xは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基であり、R1は下記一般式(2)で示されるシクロペンタジエニル基であり、
    Figure 2016172792
    (式中、R4は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基である。)
    は下記一般式(3)で示されるアミノ基を1つまたは2つ有するフルオレニル基であり、
    Figure 2016172792
    (式中、RおよびRは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数6〜30のアリールアミノ基、炭素数7〜30アリールアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換したもの置換基であり、Rのいずれか1つおよび/またはRのいずれか1つが炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数6〜30のアリールアミノ基又は炭素数7〜30アリールアルキルアミノ基である。)
    は、下記一般式(4)または下記一般式(5)で示されるRとRの架橋単位であり、
    Figure 2016172792
    Figure 2016172792
    (式中、Rは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換した置換基、炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基であり、Mはケイ素原子、ゲルマニウム原子または錫原子である。)
    nは1〜5の整数である。]
    下記一般式(6)で表される脂肪族塩にて変性した有機変性粘土(B)、
    Figure 2016172792
    (式中、R〜R10は各々独立して炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルキルアルコキシ基、炭素数1〜30のアルキルアミノ基、炭素数1〜30のアルキルシリル基、上記炭素数1〜30のアルキル基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入した置換基、上記炭素数1〜30のアルキル基の一部を炭素数1〜30のアルキルアミノ基に置換した置換基、上記炭素数1〜30のアルキル基の一部の炭素をケイ素に置換した置換基であり、かつR〜R10のうち少なくとも1つが炭素数10以上のアルキル基であり、Mは周期表第15族の原子であり、[A]はアニオンである。)
    及び有機アルミニウム化合物(C)を含むメタロセン系触媒であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエチレン系重合体の製造方法。
  5. メタロセン系触媒に非イオン性界面活性剤(D)として、下記一般式(8)で表されるエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体をさらに加える重合触媒であることを特徴とする請求項4に記載のエチレン系重合体の製造方法。
    H(OCHCH(OC(OCHCHOH (8)
    (式中、a、b、cはそれぞれ1〜300の整数である)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018145402A (ja) * 2017-03-07 2018-09-20 東ソー株式会社 超高分子量ポリエチレン粒子製造用触媒及び超高分子量ポリエチレン粒子

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