JP6961777B1 - 清掃用シート - Google Patents
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Abstract
Description
従来技術1は、細菌やカビに対する除菌性が良好であり、ウイルス不活化効果にも配慮がなされているとともに、pHが中性域であるため被清拭物の腐食防止性にも優れる。
従来技術2は、細菌やカビに対する除菌性が良好であり、かつ強い抵抗性を示すウイルスに対する除ウイルス性を有し、除菌・除ウイルス効果に優れる。
特許文献3には、従来技術3を用いて汚れを拭き取った際の汚れ落ち、拭き上げた後の艶及び拭き残りの軽減、更には保管時の防腐性に優れることが説明されている。
即ち、従来技術1の清掃用シートは、pHが中性域であるため、優れた被清拭物の腐食防止性が示されるものの、これによってウイルス不活化が充分ではなく、さらなる改善が望まれていた。一方、従来技術2の除菌用シートは、pHがアルカリ性領域であるため、ウイルス不活化効果が優れるものの、被清拭物の腐食防止性が充分ではなかった。
以下に、本発明の清掃用シートの詳細について説明する。
尚、本発明の効果に関するいくつかの用語は、以下の意味を有する。除菌性、除カビ性とは、清掃用シートを用いて任意の被掃拭物を清掃した際の、当該被掃拭物面における細菌の除去性を意味し、ウイルス不活化効果とは、当該被掃拭物面におけるウイルスの除去性又は不活化を意味する。また防カビ性とは、清掃用シートの保管時における清掃用シートにおけるカビ発生の防止抑制を意味する。また洗浄性とは、清掃用シートを利用した際の汚れ落ち性能を指す。
本発明の清掃用シートは、基材シートを備える。本発明の清掃用シートは、実質的に基材シートのみからなる単層シートであってもよいし、基材シートと任意のシートとが積層されてなる2層以上の積層シートであってもよい。また、異なる部材からなる基材シートが積層されていてもよい。
水性除菌剤の基材シートへの含浸量は、通常、基材シートを構成する繊維100質量部当たり20質量部〜120質量部程度であるが、再生繊維を含んで構成された基材シートは、当該基材シートへの水性除菌剤の含浸量を増加させることができる。たとえば基材シートを構成する繊維100質量%において、再生繊維を50質量%以上含む基材シートは、当該基材シートを構成する繊維100質量部当たり、水性除菌剤の含浸量を150質量部以上、350質量部以下の範囲とすることが可能である。
また、再生繊維を含んで構成された基材シートは、使用感の向上や被清拭面に対する摩耗防止の観点からも好ましい。
セルロース系材料を用いて製造される再生繊維としては、レーヨン、ポリノジック、及びキュプラなどを含むレーヨン繊維、リヨセル繊維、ならびにアセテート繊維などが挙げられる。防カビ性及び薬剤耐性に優れるという観点でレーヨン繊維が含まれていることが好ましく、基材シートを構成する繊維100質量%において50質量%を超えてレーヨン繊維が含まれることがより好ましい。
次に本発明における水性除菌剤について説明する。水性除菌剤は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含み、(A)成分と(B)成分との質量比である(A)/(B)の値が特定の範囲となるよう調整される。
本発明において、基材シートに含浸されている水性除菌剤のpHは、4.0以上、9.0以下である。このように中性領域のpHを示し被清拭面の防食性に優れる上、除菌性だけではなく、ウイルス不活化効果にも優れる本発明は、(A)成分である第四級アンモニウム塩に対し、(B)成分であるイソチアゾリン系化合物を、清掃用シートにおける主成分の1つとして組み合わせ、かつこれらの比率を適切な範囲に調整することによって初めて達成されたものである。
水性除菌剤に含まれる(A)成分である第四級アンモニウム塩型界面活性剤としては、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルエチルアンモニウム塩、ジアルキルエチルメチルアンモニウム塩、ジアルキルモノメチルハイドロキシアンモニウム塩、アルキルジメチルハイドロキシエチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルジポリオキシエチレンメチルアンモニウム塩、アルキルジポリオキシエチレンメチルアンモニウム塩、エチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩及びベンゼトニウム塩等が挙げられる。ここで、アルキル基としては、炭素数4以上、22以下のアルキル基、好ましくは炭素数6以上、18以下の直鎖アルキル基が挙げられる。具体的には、例えばブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、エイコシル、ドコシルが挙げられ、より好ましくはオクチル、デシルである。塩としては塩素イオン、臭素イオン、炭素数1又は2のアルキル硫酸エステルイオン、炭素数1以上、12以下の脂肪酸イオン、炭素数1以上、3以下のアルキル基が1個以上、3個以下置換していてもよいベンゼンスルホン酸イオンが好適である。(A)成分は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上述する(A)成分のより具体的な例としては、たとえば、オクチルデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルモノメチルハイドロキシエチルアンモニウムクロライド、ジデシルモノメチルハイドロキシエチルアンモニウムアジペート、ジデシルモノメチルハイドロキシエチルアンモニウムグルコネート、ジデシルモノメチルハイドロキシエチルアンモニウムスルホネート、1,4−ビス(3,3'−(1−デシルピリジニウム)メチルオキシ)ブタンジブロマイド、N,N'−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムブロマイド)、アルキルジメチルハイドロキシエチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート、ジアルキルジメチルアンモニウムメトサルフェート、オクチルデシルジメチルアンモニウムメトサルフェート、アルキルジメチルベンジルアンモニウムメトサルフェート、セチルピリジニウムクロライド、エチルベンジルアンモニウムクロライド、デシルイソノニルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルメチルポリオキシエチレンアンモニウムプロピオネート、ベンゼトニウムクロライド、及びアルキルピリジニウムクロライド等が挙げられる。
これらの中でもアルキル基の炭素数が8から16である化合物が好ましい。尚、本発明において、(A)成分は、アルキル基の炭素数が8〜16の何れかである単独の化合物であってもよいし、又はアルキル基の炭素数が8〜16何れか2以上の化合物の組み合わせであってもよい。
中でも(A)成分と併用することで、pHが中性領域でありながら、より良好な除菌性、除カビ性、ウイルス不活化効果を発揮させることができるという観点からは、(B)成分として、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、又は1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンより選択される1種以上を(B)成分として含有していることが好ましい。
一方、(A)/(B)が2000を超えると、ウイルス不活化効果が低下し、使用感も悪くなる。良好な使用感を有し、かつ良好な腐食性を維持しつつより優れたウイルス不活化効果を発揮するという観点からは、(A)/(B)は、200以下であることが好ましく、100以下であることがより好ましく、80以下であることが更に好ましく、50以下であることが特に好ましい。
一方、(A)成分と(B)成分の合計の上限は特に限定されないが、使用感、防カビ性の観点からは5質量%以下であることが好ましい。
水性除菌剤における(C)成分の水としては、特に限定はなく、水道水、井水、イオン交換水、軟水などが挙げられる。(C)成分は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、良好な除菌性、除ウイルス性及び使用感の提供という観点から、水道水、イオン交換水又は軟水が好ましい。
基材シートに含浸されている水性除菌剤は、溶媒として(C)成分の水を含有し、清掃のための成分である(A)成分、(B)成分、及びその他の任意の成分の残部となる。水の含有量は、水性除菌剤100質量%において70質量%以上、99.99質量%以下の範囲であることが好ましい。
(D)成分として用いられる得る有機酸又は有機酸塩の例としては、ギ酸又はその塩、酢酸又はその塩、クエン酸又はその塩、リンゴ酸又はその塩、乳酸又はその塩、シュウ酸又はその塩、プロピオン酸又はその塩、酒石酸又はその塩、フマル酸又はその塩、マレイン酸又はその塩、グルコン酸又はその塩、アジピン酸又はその塩、イタコン酸又はその塩等が挙げられる。
(D)成分は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、酢酸又はその塩、クエン酸又はその塩、リンゴ酸又はその塩、乳酸又はその塩、シュウ酸又はその塩、プロピオン酸又はその塩、酒石酸又はその塩、フマル酸又はその塩、マレイン酸又はその塩、グルコン酸又はその塩、アジピン酸又はその塩、イタコン酸又はその塩、リン酸又はその塩、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、塩化ナトリウムを用いると除菌性、除カビ性、ウイルス不活化効果、防カビ性などの向上効果が有意に発揮されやすく好ましく、酢酸とその塩の組み合わせ、クエン酸とその塩の組み合わせ、リンゴ酸とその塩の組み合わせ、グルコン酸とその塩の組み合わせ、リン酸二水素ナトリウム又はリン酸二水素カリウムの少なくとも一種とリン酸水素二ナトリウム又はリン酸水素二カリウムの少なくとも一種との組み合わせがより好ましい。特に、リン酸二水素ナトリウム又はリン酸二水素カリウムの少なくとも一種とリン酸水素二ナトリウム又はリン酸水素二カリウムの少なくとも一種との組み合わせを用いると、除菌性、除カビ性、ウイルス不活化効果、防カビ性などの向上効果が更に有意に発揮されやすく好ましい。
(E)成分として用いられる得るノニオン界面活性剤の例としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル、ポリアルキレングリコールモノアルキル脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコールジアルキル脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリンモノアルキル脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタンモノアルキル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリアルキル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのブロックポリマー、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのランダムポリマー、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのランダムポリマー(リバースタイプ)、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのブロック型エチレンジアミン、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのブロック型エチレンジアミン(リバースタイプ)、ソルビタンエステル、グリセライド(グリセリン(モノ又はジ)脂肪酸エステル)、ポリグリセリンのアルキル脂肪酸(モノ又はポリ)エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、有機酸モノグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリセリルエーテル、アルキルポリグルコシド等が挙げられる。
(E)成分として用いられる得る両性界面活性剤の例としては、アルキルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、スルホベタイン、アルキルアミノ(モノ又はジ)プロピオン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、アルキルアミンオキシド、アルキルアミノエチルグリシン、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、グリシンn−(3−アミノプロピル)C10〜16誘導体、アルキルポリアミノエチルグリシン、アルキルβ アラニン、アルキルジエタノールアミン、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ジアミンのオキシエチレン付加型界面活性剤等が挙げられる。
上述する(E)成分は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いても良い。
例えば、天然香料としては、アニス油、バジル油、ベルガモット油、シダー油、クローブ油、コリアンダー油、ユーカリ油、フェンネル油、ガルバヌム油、ゼラニウム油、ジャスミンアブソリュート、ラバンジン油、ラベンダー油、レモングラス油、レモン油、ラベンダースパイク油、ネロリ油、オークモスアブソリュート、パチョリ油、ぺチグレン油、パイン油、ローズ油、ローズマリー油、クラリーセージ油、サンダルウッド油、タイム油、トンカアブソリュート、チュベローズアブソリュート、ベチバー油、イランイラン油、ペパーミント油、しょう脳油、芳油、ペリラ油、スペアミント油、スターアニス油、ライム油、オコチア油、テレピン油、ナツメグ油、シトロネラ油、ボアドローズ油、カナンガ油、カルダモン油、カシア油、オレンジ油、マンダリン油、タンジェリン油、ベイ油、エレミ油、ヒバ油、桧油、グレープフルーツ油、ゆず油等が挙げられる。
合成系色素としては、具体的には、例えば、赤色1号、赤色2号、赤色3号、赤色4号、赤色5号、赤色101号、赤色102号、赤色103号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、橙色1号、橙色2号、黄色1号、黄色2号、黄色3号、黄色4号、黄色5号、緑色1号、緑色2号、緑色3号、青色1号、青色2号、紫色1号、食用混合色素等を挙げることができる。
表に示す割合で各種繊維を含む不織布の基材シート100質量部当たりに、水性除菌剤が270質量部となるよう含侵させて24時間密閉容器に入れて保管したものを清掃用シートとした。また万力を用いて各清掃用シートを10N・cmの力で10分間締め込み、搾出された溶液を、搾出液とした。
清掃用シート及び/又は搾出液を用いて、後述する各測定及び評価を実施した。測定結果及び評価結果は、表1〜7に示す。
A−1:アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド(アルキル基は炭素数12以上、16以下の混合物)
A−2:ジデシルジメチルアンモニウムクロライド
A−3:ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド(アルキル基は炭素数8以上、10以下の混合物)
A−4:ベンゼトニウムクロライド
B−1:1、2−ベンズイソチアゾリン−3−オン
B−2:2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン
B−3:5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン
C−1:イオン交換水
D−1:リン酸水素二カリウム
D−2:リン酸二水素カリウム
D−3:リン酸水素二ナトリウム
D−4:リン酸二水素ナトリウム
D−5:クエン酸
D−6:リンゴ酸
D−7:塩化ナトリウム
E−1:ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム
E−2:ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム
E−3:オクチルジメチルアミンオキシド
E−4:ポリオキシエチレン(EO:6.5モル)アルキルエーテル(アルキル基は炭素数9以上、11以下の混合物)
F−1:エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム
F−2:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
F−3:メチルグリシン二酢酸三ナトリウム
F−4:グルタミン酸二酢酸四ナトリウム
G−1:水酸化ナトリウム
G−2:塩酸
<pHメーターの校正>
pHメーター(株式会社堀場製作所製;pH/イオンメーターF−23)にpH測定用複合電極(株式会社堀場製作所製;ガラス摺り合わせスリーブ型)を接続し、電源を入れる。pH電極内部液としては、飽和塩化カリウム水溶液(3.33mol/L)を使用した。次に、pH4.01標準液(フタル酸塩標準液)、pH6.86標準液(中性リン酸塩標準液)、pH9.18標準液(ホウ酸塩標準液)をそれぞれ100mLビーカーに充填し、25℃の恒温槽に30分間浸漬した。恒温に調整された標準液にpH測定用電極を3分間浸し、pH6.86、pH9.18、pH4.01の順に校正操作を行った。
<pH測定>
恒温槽内にて25℃の恒温に調整された搾出液100mLにpH測定用電極を3分間浸し、pHを測定した。
試験方法:
供試菌株を、細菌についてはSCDブイヨン培地、カビについてはGP液体培地で培養して2.0×108CFU/mL以上、9.0×108CFU/mL以下になるように菌数を調製して菌液とした。搾出液10mLに、各供試菌液0.1mLを添加し、25℃にて15分間接触させた後、滅菌中和溶液(細菌についてはSCDLP培地、カビについてはGPLP液体培地)を加えよく攪拌し試験液を作成した。細菌として、Pseudomonas aeruginosa NBRC13736(108CFU/mLレベル)、Staphylococcus aureus NBRC13276(108CFU/mLレベル)、Escherichia coli ATCC11229(108CFU/mLレベル)、Alcaligenes faecalis NBRC14479(108CFU/mLレベル)、Serratia marcescens NBRC12648(108CFU/mLレベル)の5種を用いた。また、カビとして、NBRC105649(108CFU/mLレベル)、Trichophyton mentagrophytes ATCC9533(108CFU/mLレベル)、Candida albicans ATCC11651(108CFU/mLレベル)の3種を用いた。
評価基準:
1点:供試菌のLog reductionが5以上の菌数減少
2点:供試菌のLog reductionが4以上、5未満の菌数減少
3点:供試菌のLog reductionが3以上、4未満の菌数減少
4点:供試菌のLog reductionが3未満の菌数減少
として各菌種について菌数減少を点数で評価した。
細菌については上記評価の点数の、5種の細菌についての平均値を求め、以下の基準で除菌性を評価した。
◎:平均値が1.0点以上、1.5点未満。
〇:平均値が1.5点以上、2.5点未満。
△:平均値が2.5点以上、3.5点未満。
×:平均値が3.5以上。
カビについては上記評価の点数の、3種のカビについての平均値を求め、以下の基準で除菌性を評価した。
◎:平均値が1.0点以上、1.5点未満。
〇:平均値が1.5点以上、2.5点未満。
△:平均値が2.5点以上、3.5点未満。
×:平均値が3.5以上。
細菌に対する除菌性、カビに対する除菌性ともに、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
試験方法:
試験管に搾出液0.9mLに、下記7種のウイルスそれぞれについて108TCID50/mLとなるように調整したウイルス液0.1mLを加え、ミキサーで混合して混合液を作成し、25℃で10分間作用させた。作用後、上記混合液0.1mLをサンプリングし、9.9mLの作用停止液(2%チオ硫酸ナトリウム、0.2%レシチン及び1.5%ポリソルベート80を含む細胞増殖液)に添加して100倍希釈後、ウイルスに対する水性除菌剤(搾出液)の作用を停止させた。これをウイルス感染価測定用試料原液として感染価の測定に用いた。同様に、搾出液の代わりに、リン酸緩衝生理食塩水(phosphate bufferred saline、以下、PBSと略すことがある)を用いた試験を実施し、コントロールとした。
尚、リン酸緩衝生理食塩水は、塩化ナトリウム8g、塩化カリウム0.2g、リン酸水素二ナトリウム1.44g、リン酸二水素カリウム0.24gの4種類の塩を混合し、超純水で900mLに溶解後、塩酸でpHを7.4に調整した。そして、1Lにメスアップ後、オートクレーブにより滅菌した。
上記試験にはウイルスとして、ネコカリシウイルス、マウスノロウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、アデノウイルス、AIDSウイルス、インフルエンザウイルスの7種を用いた。
各ウイルス感染価測定用試料原液をPBSで108まで10倍段階希釈して希釈液を作成した後、感染価測定用試料原液及び各希釈段階の希釈液をそれぞれ50μL、およびウシ胎仔血清(FBS)を5%含有したDulbecco's modified Eagle’s Medium(DMEM)に懸濁した細胞液50μlを、96ウェルプレートに植え込んだ。その後、炭酸ガスふ卵器において37℃、5%CO2の条件で4日間培養した。培養後、倒立顕微鏡下でウイルスの増殖によるCPE(細胞変性効果)の有無を観察し、Reed−Muench法を用いてウイルス感染価(TCID50/mL)を求め、下記の基準で評価した。
評価基準:
1点:ウイルス感染価のLog reductionが5以上の減少
2点:ウイルス感染価のLog reductionが4以上、5未満の減少
3点:ウイルス感染価のLog reductionが3以上、4未満の減少
4点:ウイルス感染価のLog reductionが3未満の減少
として各ウイルスについてウイルス感染価の減少を点数で評価し、当該評価の点数の、7種のウイルスについての平均値を求め、以下の基準でウイルス不活化効果を評価した。
◎:平均値が1.0点以上、1.5点未満。
〇:平均値が1.5点以上、2.5点未満。
△:平均値が2.5点以上、3.5点未満。
×:平均値が3.5以上。
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
試験方法:
各清掃用シートの搾出液に対して、2.5cm×7.5cmの大きさにカットされたアルミニウム板(A1100P)1枚を浸漬し、25℃で48時間保管後、各アルミニウム板をイオン交換水ですすぎ24時間室温で乾燥した後、腐食度合いを目視で評価した。
評価基準:
◎:変色・さび・劣化などが全く見られない。
○:ほぼ変色・さび・劣化などが見られない。
△:一部に変色・さび・劣化などが見られるが、問題ないレベル。
×:全体に変色・さび・劣化などが見られる。
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
試験方法:
質量を測定したステンレス板(15×50mm)に、牛脂:大豆油:クロロホルムを1:1:5で混合した擬似汚れを付着・乾燥させた試験片の質量を測定した。この試験片を平らな表面に固定し、表1〜表7に示す各種清掃用シートを50g分取り出し、2回折り畳んだ状態で、試験片の上に置き、更に重量300gのおもりを乗せた。その状態で清掃用シートを1秒間に1回の間隔で上下に5回動かした。その後、試験片をイオン交換水ですすぎ、自然乾燥させた後、質量を測定した。
洗浄率を清拭前後の試験片の質量変化により下記式(1)より算出し、以下の評価基準に基づき評価した。
[数1]
洗浄率=(S−T)/(S−U)×100・・・・・(1)
S:清拭前の試験片の質量
T:清拭後の試験片の質量
U:ステンレス板の質量
評価基準:
○:洗浄率70%以上、100%以下
△:洗浄率30%以上、70%未満
×:洗浄率30%未満
とし、△、○を実用性のあるものとして判定した。
試験方法:
表1〜表7に示す各種素材からなる不織布(200mm×250mm)を10枚用い、各供試水性除菌剤200mLに含浸させ、十分に薬液が行き渡ったことを確認した後、薬液が染み込んだ不織布を1枚取り出し、清浄なステンレス表面を約30センチメートル四方に渡って、上下5回左右5回ふき取りを行い、泡立ちやべたつき水っぽさやごわごわ感・湿り気などの観点から官能試験によって使用感を確認した。また、パネラーは無作為に選定し、それぞれのサンプルにつきn=10とした。評価結果の解析には統計処理を行い、最も評価が多い項目を評価結果として採用した。
評価基準:
○:泡立ち・べたつき・水っぽさ・ごわごわ感がなく、適度な湿り気があり使用感が良い。
△:やや泡立ち・べたつき・水っぽさ・ごわごわ感がある、もしくは適度な湿り気がない。
×:泡立ち・べたつき・水っぽさ・ごわごわ感が非常に強い、もしくはほとんど湿り気がなく使用感が悪い。
とし、△、○を実用性のあるものとして判定した。
<試験方法>
試験方法:
表1〜表7に示す各種素材からなる不織布(200mm×250mm×300枚)を容量3Lのポリプロピレン製の袋に入れて、実施例、比較例に用いられたものと同様の各水性除菌剤2Lを含浸させ、室温にて24時間保存した後、縦半分に裁断し外側から中心にかけて不織布を等間隔に3カ所1枚ずつ取り出し、シャーレに収まるようにはさみで切りだしたあと、あらかじめ黒カビの菌液(Aspergillus niger NBRC105649(108CFU/mLレベル))を塗布したシャーレに貼り付け、25℃で4日間培養後、不織布上へのカビの発生度合いを目視によって観察した。
評価基準:
◎:カビの発生を完全に抑制している。
○:カビの発生をほとんど抑制している。
△:一部、カビの発生が見られるが、概ね抑制している。
×:全体的にカビが発生している。
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
(1)水性除菌剤が含浸された基材シートを備える清掃用シートであって、
前記水性除菌剤が、
(A)成分として第四級アンモニウム塩型界面活性剤、
(B)成分としてイソチアゾリン系化合物、
(C)成分として水、
を含み、(A)成分と(B)成分との質量比が、(A)/(B)の値で0.005以上、2000以下であり、
前記基材シートに含浸されている前記水性除菌剤のpHが4.0以上、9.0以下であることを特徴とする清掃用シート。
(2)前記基材シートが再生繊維を含む上記(1)に記載の清掃用シート。
(3)(A)成分が、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ベンゼトニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、エチルベンジルアンモニウム塩、及びアルキルピリジニウム塩より選ばれた少なくとも1種である上記(1)又は(2)の何れかに記載の清掃用シート。
(4)前記水性除菌剤が、
(A)成分を0.08質量%以上、1.5質量%以下、及び(B)成分を0.005質量%以上、0.1質量%以下の範囲で含有するとともに、(A)成分と(B)成分の質量比が、(A)/(B)の値で1以上、50以下である上記(1)から(3)の何れか一項に記載の清掃用シート。
(5)前記水性除菌剤における(A)成分と(B)成分の合計が0.1質量%以上である上記(1)から(4)の何れか一項に記載の清掃用シート。
(6)前記水性除菌剤が、更に(D)成分として無機電解質、及び有機酸又はその塩より選ばれた少なくとも1種を含有する上記(1)から(5)の何れか一項に記載の清掃用シート。
(7)前記水性除菌剤が、更に(E)成分としてアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、及び両性界面活性剤より選ばれた少なくとも1種の界面活性剤を含有する上記(1)から(6)の何れか一項に記載の清掃用シート。
(8)前記水性除菌剤が、更に(F)成分としてキレート剤を含有する上記(1)から(7)の何れか一項に記載の清掃用シート。
Claims (8)
- 水性除菌剤が含浸された基材シートを備える清掃用シートであって、
前記水性除菌剤が、
(A)成分として第四級アンモニウム塩型界面活性剤、
(B)成分としてイソチアゾリン系化合物、
(C)成分として水、
を含み、(A)成分と(B)成分との質量比が、(A)/(B)の値で1.0以上、100以下であり、
前記水性除菌剤における(A)成分と(B)成分の合計が0.1質量%以上であり、
前記基材シートに含浸されている前記水性除菌剤のpHが4.0以上、9.0以下であることを特徴とする清掃用シート。 - 前記基材シートが再生繊維を含む請求項1に記載の清掃用シート。
- (A)成分が、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ベンゼトニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、エチルベンジルアンモニウム塩、及びアルキルピリジニウム塩より選ばれた少なくとも1種である請求項1又は2の何れかに記載の清掃用シート。
- 前記水性除菌剤が、
(A)成分を0.08質量%以上、1.5質量%以下、及び(B)成分を0.005質量%以上、0.1質量%以下の範囲で含有するとともに、(A)成分と(B)成分の質量比が、(A)/(B)の値で1以上、50以下である請求項1から3の何れか一項に記載の清掃用シート。 - 前記水性除菌剤における(A)成分と(B)成分の合計が0.3質量%以上、5質量%以下である請求項1から4の何れか一項に記載の清掃用シート。
- 前記水性除菌剤が、更に(D)成分として無機電解質、及び有機酸又はその塩より選ばれた少なくとも1種を含有する請求項1から5の何れか一項に記載の清掃用シート。
- 前記水性除菌剤が、更に(E)成分としてアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、及び両性界面活性剤より選ばれた少なくとも1種の界面活性剤を含有する請求項1から6の何れか一項に記載の清掃用シート。
- 前記水性除菌剤が、更に(F)成分としてキレート剤を含有する請求項1から7の何れか一項に記載の清掃用シート。
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