JP6409201B2 - 殺菌剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、栄養型細菌のみならず細菌芽胞に対しても優れた殺菌効果を有する殺菌剤組成物に関する。
食品工場、セントラルキッチン、スーパーのバックヤード、飲食店の厨房などの食品を取扱う施設においては、食器、調理器具、施設内の設備等、対象物の表面を洗浄あるいは消毒するために、種々の消毒剤が使用されている。
かかる消毒剤としては、消毒用エタノール、イソプロパノール等のアルコール製剤;次亜塩素酸ナトリウム等の塩素製剤、ヨードチンキ、複方ヨードグリセリン、ポビドンヨード等のヨード製剤といったハロゲン化合物;オキシドール、過酢酸等の過酸化物製剤;塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム等の陽イオン界面活性剤;アルキルジアミノエチルグリシン等の両性界面活性剤;グルコン酸クロルヘキシジン等のクロルヘキシジン塩;フェノール、クレゾール石鹸等のフェノール類;グルタラール、フタラール等のアルデヒド類などが一般的に用いられている。
しかしながら、上記した汎用される消毒剤のうち、アルコール製剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、クロルヘキシジン塩およびフェノール類は細菌芽胞に対してほとんど効果がなく、ひとたび施設が細菌芽胞に汚染された場合、その除去は困難である。芽胞を形成する細菌には、バチルス(Bacillus)属、アリサイクロバチルス(Alicyclobacillus)属、ブレビバチルス(Brevibacillus)属、ゲオバチルス(Geobacillus)属、パエニバチルス(Paenibacillus)属、スポロラクトバチルス(Sporolactobacillus)属、クロストリジウム(Clostridium)属、デスルフォトマキュラム(Desulfotomaculum)属、ムーレラ(Moorella)属、サーモアネロバクター(Thermoanaerobacter)属などがあり、食中毒や食品腐敗の原因となるため、その対策に頭を悩ませている施設は多い。
細菌芽胞の殺菌には、次亜塩素酸ナトリウムを高濃度で長時間作用させる方法があるが、消毒対象物に対して腐食などの悪影響を及ぼすという問題がある。また、過酢酸あるいはグルタラール等のアルデヒド類はきわめて強力な消毒剤であり、細菌芽胞に対しても幅広く有効であるが、皮膚刺激性などの問題があり人体には適さないため、施設内や居室等の環境の消毒や、取扱いには注意が必要である。
かかる状況の下、細菌芽胞に対する殺菌効果を有し、より安全に使用できる組成物の探求が進められており、ポリヘキサメチレングアニジン塩と、天然アルコール系非イオン界面活性剤、脂肪酸アルキロールアミドエチレンオキシド付加物または酵素を併用する除菌洗浄剤(特許文献1)、ポリヘキサメチレングアニジン塩、珪酸塩、炭素数12〜24の第2級アルコールのアルキレンオキシド付加物、および炭素数6〜8の第1級アルコールのアルキレンオキシド付加物を含有する殺菌洗浄剤組成物(特許文献2)が耐熱性芽胞形成菌に対して殺菌効果を有することが開示されている。
また、1重量%を超える高濃度の第4級アンモニウム塩を含む組成物を用いて、30℃〜80℃で表面を処理することにより、枯草菌およびスポロゲネス菌の芽胞を減少させ得ること(特許文献3)や、可食性の酸を添加した、ダイマー型ビス第四級アンモニウム塩の溶液を加温または超音波照射しながら接触させる細菌芽胞の殺菌方法(特許文献4)も開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の除菌洗浄剤の除菌効果は、適宜希釈された被験薬物を加えた培地に、一定量の試験菌体を接種して37℃で18〜20時間培養し、試験菌体の発育が認められるか否かにより評価され、特許文献2に記載の殺菌洗浄剤組成物の殺菌効果は、枯草菌をSCD寒天培地にて35℃で24時間培養して形成されたコロニーから菌体を採取して調製した菌液を用いて評価されているため、これら特許文献の実施例に示された除菌効果または殺菌効果が、細菌芽胞に対する効果なのか栄養型細菌に対する効果なのかが明確ではない。
また、特許文献3または特許文献4に記載された処理または殺菌方法は、加温や超音波処理を加えることを要し、実際に食品を取扱う施設では実施が困難な場合が多い方法である。
特開2002−047111号公報 特開2009−108184号公報 特表2008−504910号公報 特開平10−295785号公報
従って、食品を取り扱う施設においても容易に適用することができ、人体、動物に対し安全で、かつ細菌芽胞に対しても効果の高い殺菌剤組成物が望まれている。
そこで、本発明は、従来の消毒剤では無効であった細菌芽胞に対し優れた殺菌効果を有し、消毒対象物の制限が少なく、安全性および取扱い性に優れる殺菌剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、単独では細菌芽胞に対して殺菌効果を示さないポリヘキサメチレンビグアナイド(PHMB)等のポリアルキレンビグアナイド化合物またはその塩と、アルカリ剤とを併用し、組成物のpHを12.5以上とすることにより、バチルス属等の細菌芽胞に対する殺菌効果が得られることを見出した。
また、さらに第4級アンモニウム塩および/またはアルコールを加えることにより、細菌芽胞に対する殺菌効果が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の[1]〜[8]に関する。
[1]式(1)で示されるポリアルキレンビグアナイド化合物およびその塩からなる群より選択される1種または2種以上と、アルカリ剤を含有し、組成物のpHが12.5以上である、殺菌剤組成物。
[式中、Rは炭素数2〜8のアルキレン基、nは2〜18の整数を示す。]
[2]ポリアルキレンビグアナイド化合物およびその塩からなる群より選択される1種または2種以上が、ポリヘキサメチレンビグアナイドおよびその塩からなる群より選択される1種または2種以上である、上記[1]に記載の殺菌剤組成物。
[3]さらに、第4級アンモニウム塩の1種または2種以上を含有する、上記[1]または[2]に記載の殺菌剤組成物。
[4]さらに、アルコールの1種または2種以上を含有する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の殺菌剤組成物。
[5]アルコールの1種または2種以上が、炭素数5〜10のアルカノール、テルペンアルコールおよび芳香族アルコールからなる群より選択される1種または2種以上である、上記[4]に記載の殺菌剤組成物。
[6]細菌芽胞を対象とする、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の殺菌剤組成物。
[7]上記[1]〜[6]のいずれかに記載の殺菌剤組成物を含有する、消毒剤。
[8]上記[1]〜[6]のいずれかに記載の殺菌剤組成物を含有する、殺菌洗浄剤。
本発明の殺菌剤組成物は、従来の消毒剤では無効であった細菌芽胞に対して良好な殺菌効果を示し、消毒対象物の制限が少なく、安全性および取扱い性に優れるため、消毒剤、殺菌洗浄剤の有効成分として有用である。
本発明の殺菌剤組成物は、ポリアルキレンビグアナイド化合物およびその塩からなる群より選択される1種または2種以上と、アルカリ剤を含有し、組成物のpHを12.5以上に調整してなる。
本発明において用いるポリアルキレンビグアナイド化合物は、下記の式(1)で示される。
[式中、Rは炭素数2〜8のアルキレン基、nは2〜18の整数を示す。]
上記式(1)において、Rで示される炭素数2〜8のアルキレン基には、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン(ヘキサメチレン)、ヘプチレン(ヘプタメチレン)、オクチレン(オクタメチレン)等の直鎖状のものの他、イソプロピレン、イソブチレン、イソペンチレン、ジメチルプロピレン、ジメチルブチレン等の分岐鎖状のものも含まれるが、直鎖状のアルキレン基が好ましい。また、細菌芽胞に対する殺菌効果の点からは、炭素数4〜8のアルキレン基が好ましく、ヘキサメチレン基が特に好ましい。なお、式(1)におけるnは2〜18であり、細菌芽胞に対する殺菌効果、取扱い性等を考慮すると、10〜14であることが好ましく、11〜13であることがより好ましい。
式(1)で示されるポリアルキレンビグアナイド化合物は、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸との塩、または酢酸、乳酸、グルコン酸等の有機酸との塩の形態でも用いることができる。かかる塩の中では、塩酸塩、酢酸塩、グルコン酸塩が好ましく、塩酸塩が最も好ましく用いられる。本発明の殺菌剤組成物には、式(1)で示されるポリアルキレンビグアナイド化合物およびその塩からなる群より、1種または2種以上を選択して用いる。
本発明において、ポリアルキレンビグアナイド化合物またはその塩は既知化合物であり、公知の方法、たとえば英国特許第702,268号明細書等に記載された方法に従って製造したものを用いることができるが、市販の製品を用いてもよい。市販製品としては、「エクリンサイドBG」(理工協産株式会社製)、「プロキセルIB」(アーチ・ケミカルズ社製)、「ロンザバックBG」(ロンザジャパン株式会社製)等が挙げられる。
本発明の殺菌剤組成物には、上記ポリアルキレンビグアナイド化合物およびその塩からなる群より選択される1種または2種以上は、通常0.001質量%〜0.1質量%、好ましくは0.003質量%〜0.05質量%、より好ましくは0.005質量%〜0.02質量%含有される。
本発明の殺菌剤組成物に含有されるアルカリ剤としては、組成物のpHを12.5以上に調整できるものであればよく、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、メタ珪酸ナトリウム、メタ珪酸カリウム等のメタ珪酸のアルカリ金属塩等、強塩基性を示す無機塩基が好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよびメタ珪酸ナトリウムがより好ましい。
なお、上記アルカリ剤としては、各社より提供されている市販の製品を使用することができる。
また本発明の好ましい実施態様として、ポリアルキレンビグアナイド化合物およびその塩からなる群より選択される1種または2種以上とアルカリ剤に加えて、さらに第4級アンモニウム塩および/またはアルコールを含有し、組成物のpHを12.5以上に調整してなる殺菌剤組成物を提供する。
かかる殺菌剤組成物では殺菌効果が向上し、5〜10分間の短時間の作用で、細菌芽胞に対しても有効な殺菌効果を発揮し得る。
本発明において用いる第4級アンモニウム塩としては、上記ポリアルキレンビグアナイド化合物またはその塩、および上記アルカリ剤とともに、あるいはさらに下記アルコールとともに殺菌剤組成物に良好に混和し得るもので、前記成分とともに用いることにより、細菌芽胞に対する殺菌効果を向上させ得るものであれば特に制限なく用いることができ、たとえば、下記の式(2)で示される第4級アンモニウム塩や、下記の式(3)で示されるピリジニウム環を有する第4級アンモニウム塩が挙げられる。
[式中、R〜Rは同一または異なって、アルキル基またはアリール基を示し、A は無機または有機の陰イオンを示す。]
[式中、Rはアルキル基を示し、A は無機または有機の陰イオンを示す。]
上記式(2)において、R、R、RまたはRで表されるアルキル基としては、炭素数1〜18程度のアルキル基が挙げられ、アリール基としては、炭素数6〜12程度のアリール基が挙げられる。
炭素数1〜18程度のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル(ラウリル)、テトラデシル(ミリスチル)、ヘキサデシル(パルミチル)、オクタデシル(ステアリル)等の直鎖状のアルキル基、2−プロピル(イソプロピル)、1−メチルプロピル(sec−ブチル)、2−メチルプロピル(イソブチル)、1,1−ジメチルエチル(tert−ブチル)、3−メチルブチル(イソペンチル)、4−メチルペンチル(イソヘキシル)、1−メチルヘプチル(sec−オクチル)、6−メチルヘプチル(イソオクチル)、1,1−ジメチルヘキシル、2−エチルヘキシル、1−メチルトリデシル、12−メチルトリデシル(イソミリスチル)、1−メチルペンタデシル、14−メチルペンダデシル(イソパルミチル)、1−メチルヘプタデシル、16−メチルヘプタデシル(イソステアリル)等の分岐鎖状のアルキル基が挙げられ、前記アルキル基には、アミノ基、アルキルアミノ基、アルカロイルアルキルアミノ基、フェニルカルバモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フェノキシ基またはアルキルフェノキシ基により置換されたアルコキシ基等により置換されたものも含まれる。
また、炭素数6〜12程度のアリール基としては、フェニル、フェニルメチル(ベンジル)、フェニルエチル(フェネチル)、メチルフェニル(トリル)、ナフチル等が挙げられる。
上記式(2)において、A で示される無機または有機の陰イオンとしては、ハロゲンイオン、無機酸イオン、有機酸イオン等が挙げられる。
ハロゲンイオンとしては、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等が挙げられる。無機酸イオンとしては、塩酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン等が挙げられる。有機酸イオンとしては、メチル硫酸イオン等の炭素数1〜3程度のアルキル硫酸エステルイオン;酢酸イオン、プロピオン酸イオン、酪酸イオン、カプロン酸イオン等の炭素数2〜6程度のモノカルボン酸イオン;乳酸イオン、リンゴ酸イオン、クエン酸イオン等の炭素数3〜6程度のヒドロキシカルボン酸イオン;シュウ酸イオン、マロン酸イオン、コハク酸イオン、フマル酸イオン、マレイン酸イオン、アジピン酸イオン等の炭素数2〜6程度のジカルボン酸イオンなどが挙げられる。
これらのうち、ハロゲンイオン、硫酸イオン、アルキル硫酸エステルイオン、ジカルボン酸イオンが好ましく、塩素イオン、臭素イオン、アジピン酸イオンが特に好ましい。
上記式(2)で示される第4級アンモニウム塩としては、式中のRが炭素数8〜18のアルキル、R、RおよびRが同一または異なって、炭素数1〜4のアルキルであるアンモニウム塩;式中のRおよびRが同一または異なって、炭素数8〜18のアルキル、RおよびRが同一または異なって、炭素数1〜4のアルキルであるアンモニウム塩;および、式中のRがベンジル、フェノキシアルキルまたはフェニルカルバモイルアルキル、Rが炭素数8〜18のアルキル、フェノキシ基またはアルキルフェノキシ基により置換されたアルコキシ基により置換されたアルキル、またはアルカロイルアルキルアミノアルキル、RおよびRが同一または異なって、炭素数1〜4のアルキルであるアンモニウム塩が好ましく、式中のRおよびRが同一または異なって、炭素数8〜18のアルキル、RおよびRが同一または異なって、炭素数1〜4のアルキルであるアンモニウム塩;Rがベンジル、Rが炭素数8〜18のアルキル、RおよびRが同一または異なって、炭素数1〜4のアルキルであるアンモニウム塩;およびRがベンジル、Rがアルキルフェノキシ基により置換されたアルコキシ基により置換されたアルキル、RおよびRが同一または異なって、炭素数1〜4のアルキルであるアンモニウム塩がより好ましい。
上記式(2)で示される第4級アンモニウム塩の好適な具体例としては、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩<セトリモニウム塩>、ジデシルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩<ベンザルコニウム塩>、N,N−ジメチル−N−[2−[2−[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノキシ]エトキシ]エチル]ベンゼンメタンアミニウム塩<ベンゼトニウム塩>、メチルベンゼトニウム塩、ドデシルジメチル(2−フェノキシエチル)アンモニウム塩<ドミフェン塩>、[2−(ラウロイルメチルアミノ)エチル]ジメチル(フェニルカルバモイルメチル)アンモニウム塩<ドファニウム塩>等が挙げられる。
上記式(3)において、Rで示されるアルキル基としては、炭素数8〜18のアルキル基が挙げられ、オクチル、デシル、ドデシル(ラウリル)、テトラデシル(ミリスチル)、ヘキサデシル(パルミチルまたはセチル)、オクタデシル(ステアリル)等の直鎖状のアルキル基が好ましく、ドデシル(ラウリル)、ヘキサデシル(パルミチルまたはセチル)が特に好ましい。
また、上記式(3)において、A で示される無機または有機の陰イオンとしては、上記式(2)においてA で示される陰イオンと同様のハロゲンイオン、無機酸イオン、有機酸イオン等が挙げられ、ハロゲンイオン、硫酸イオン、アルキル硫酸エステルイオン、ジカルボン酸イオンが好ましく、塩素イオン、臭素イオン、アジピン酸イオンが特に好ましい。
本発明においては、上記式(2)および式(3)で示される第4級アンモニウム塩等より、1種または2種以上を選択して用いることができる。
好適な第4級アンモニウム塩としては、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルベンゼトニウム、臭化セトリモニウム、臭化ドミフェン、塩化ドファニウム、塩化ラウリルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム等が挙げられ、これらの中でも、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウムがより好ましく、塩化ジデシルジメチルアンモニウムが特に好ましい。
本発明の殺菌剤組成物に用いる上記第4級アンモニウム塩は、公知の方法に従って製造して用いることもできるが、「コータミンD86P」、「コータミンD2345P」(以上花王株式会社製)、「ハイアミン(Hyamine)1622」、「ハイアミン(Hyamine)3500J」、「バーダック(Bardac)2250」、「バーダック(Bardac)2280」(以上ロンザジャパン株式会社製)、「カチオーゲンDDM−PG」、「カチオーゲンSV」、「カチオーゲンBC50」(以上第一工業製薬株式会社製)、「カチオンDDC−50」、「オスモリンDA−50」、「カチオンG−50」(以上三洋化成工業株式会社製)、「オスバンS」(日本製薬株式会社製)、「塩化セチルピリジニウム(CPC)」(和光純薬工業株式会社製)等の市販の製品を用いることもできる。
本発明の殺菌剤組成物には、第4級アンモニウム塩の1種または2種以上は、通常0.001質量%〜0.5質量%、好ましくは0.001質量%〜0.2質量%、より好ましくは0.01質量%〜0.1質量%含有される。
本発明の殺菌剤組成物に用いるアルコールとしては、上記ポリアルキレンビグアナイド化合物またはその塩、および上記アルカリ剤とともに、あるいはさらに第4級アンモニウム塩とともに殺菌剤組成物に良好に混和し得るもので、前記成分とともに用いることにより、細菌芽胞に対する殺菌効果を向上させ得るものであれば特に制限なく用いることができ、たとえば、アルカノール、テルペンアルコール、芳香族アルコール等が挙げられる。
アルカノールとしては、直鎖または分岐鎖一価アルカノール、アルカンジオール等が挙げられ、炭素数5〜10のアルカノールが好ましい。
炭素数5〜10の直鎖または分岐鎖一価アルカノールとしては、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、デカノール等が挙げられ、炭素数5〜8の直鎖一価アルカノールがより好ましく、炭素数5〜7の直鎖一価アルカノールが特に好ましい。
炭素数5〜10のアルカンジオールとしては、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール等、炭素数5〜10の1,2−アルカンジオールがより好ましい。
テルペンアルコールとしては、ゲラニオール、シトロネロール、テルピネン−4−オール、ネロール、メントール、ラバンジュロール、リナロール、ツジョール、ボルネオール等のモノテルペンアルコール、グアイオール、サンタロール、ネロリドール、ビサボロール等のセスキテルペンアルコール、スクラレオール、フィトール等のジテルペンアルコール等が好ましい。
芳香族アルコールとしては、ベンゼン環等の芳香族環に直接結合しない水酸基を有するアルコール、たとえばベンジルアルコール、サリチルアルコール、シンナミルアルコール、バニリルアルコール等が挙げられるが、本発明の目的には、フェニル、ナフチル等のアリール基、またはフェノキシ、ナフトキシ等のアリールオキシ基により置換されたアルカノールが好ましく、前記アリール基またはアリールオキシ基により置換された炭素数1〜3のアルカノールがより好ましく、フェニルメタノール(ベンジルアルコール)、2−フェニルエタノール(フェネチルアルコール)、1−フェニルエタノール、2−フェニル−1−プロパノール、3−フェニル−1−プロパノール、2−フェノキシエタノール、3−フェノキシプロパノール等のフェニル基またはフェノキシ基により置換された炭素数が1〜3のアルカノールが特に好ましい。
本発明においては、上記したアルコール等の1種または2種以上を用いることができる。
細菌芽胞に対する殺菌効果の観点からは、炭素数5〜10のアルカノール、テルペンアルコールおよび芳香族アルコールが好ましく、炭素数5〜7の一価アルカノール、モノテルペンアルコール、およびフェニル基またはフェノキシ基により置換された炭素数が1〜3のアルカノールがより好ましく、2−フェニルエタノール、2−フェニル−1−プロパノール、3−フェニル−1−プロパノール、2−フェノキシエタノール等がさらに好ましく、2−フェニルエタノールが最も好ましい。
本発明の殺菌剤組成物には、上記アルコールは公知の方法に従って製造して用いることもできるが、各社より提供されている市販の製品を用いることもできる。
本発明の殺菌剤組成物には、上記アルコールの1種または2種以上は、通常0.02質量%〜5質量%、好ましくは0.05質量%〜2質量%、より好ましくは0.2質量%〜1質量%含有される。
本発明においては、殺菌剤組成物のpHは12.5以上となるように調整され、13以上であることがより好ましい。
殺菌剤組成物のpHが12.5以上であれば、後述するように、60分程度の作用時間で、細菌芽胞に対して有効な殺菌効果が認められ、効率的に対象物の殺菌、消毒を行うことができる。
また、本発明の殺菌剤組成物のpHは14以下であり、組成物の安定性の観点からは、13.5以下であることが好ましい。
なお、本発明の殺菌剤組成物のpH値は、日本工業規格(JIS) K 3362:2008「8.3 pH値」または医薬部外品原料規格 2006「一般試験法 55.pH測定法」に準拠して測定される。
本発明の殺菌剤組成物が、後述するペースト状等の高粘性の形態で提供される場合や、ゲル状等の固形状の形態で提供される場合には、たとえば25℃にて、pHメーターの電極を直接試料に刺すまたは押し当てて測定される。また、本発明の殺菌剤組成物が、粉末状、顆粒状等の形態で提供される場合には、たとえば該組成物を一般的な使用濃度で精製水に懸濁し、25℃で測定される。
本発明の殺菌剤組成物には、上記したポリアルキレンビグアナイド化合物およびその塩からなる群より選択される1種または2種以上、アルカリ剤、第4級アンモニウム塩ならびにアルコール以外に、本発明の特徴を損なわない範囲で、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等の一般的な抗菌成分を含有させることもできる。
本発明の殺菌剤組成物は、液状担体、ゲル状担体、エマルション、固体担体等を用いて、液状、ペースト状、ゲル状、乳状、固形状等の種々の形態で提供することができるが、短時間に広範囲の消毒対象物に作用させるには、液状の組成物とすることが好ましい。液状担体としては、水;エタノール、イソプロパノール、ブタノール等の低級アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ブチレングリコール等の多価アルコールなどの有機溶媒を用いることができるが、消毒対象物に対する腐食性等の取扱い性および経済性等を考慮すると、水または水と前記有機溶媒との混合物を用いることが好ましい。
さらに本発明の殺菌剤組成物には、細菌芽胞に対する殺菌効果や組成物の安定性等に影響を与えない範囲において、洗浄性や起泡性の付与を目的として、上記第4級アンモニウム塩以外の界面活性剤を添加することができる。
かかる界面活性剤としては、第1級〜第3級の脂肪アミン塩、2−アルキル−1−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩等の他の陽イオン界面活性剤;N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン等のアルキルベタイン型、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸等のアミノカルボン酸型、N,N,N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアンモニウムベタイン等のアルキルスルホベタイン型、2−アルキル−1−ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリン型両性界面活性剤などを用いることができる。
また、増泡、製剤安定性の向上、着色、着香等を目的として、アラビアゴム、カラギーナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子;エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、トリポリリン酸、ヘキサメタリン酸塩等の金属イオン封鎖剤;塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩;色素;香料などを添加してもよい。
本発明の殺菌剤組成物は、細菌芽胞に対する殺菌効果に優れる。芽胞形成細菌としては、バチルス アンスラシス(Bacillus anthracis)(炭疽菌)、バチルス セレウス(Bacillus cereus)(セレウス菌)、バチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)(枯草菌)、バチルス コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、バチルス シュードマイコイデス(Bacillus pseudomycoides)等のバチルス(Bacillus)属に属する細菌、アリサイクロバチルス アシドテレストリス(Alicyclobacillus acidoterrestris)、アリサイクロバチルス アシドフィルス(Alicyclobacillus acidiphilus)、アリサイクロバチルス ハーバリウス(Alicyclobacillus herbarius)等のアリサイクロバチルス(Alicyclobacillus)属に属する細菌、ブレビバチルス コシネンシス(Brevibacillus choshinensis)等のブレビバチルス(Brevibacillus)属に属する細菌、ゲオバチルス サーモデニトリフィカンス(Geobacillus thermodenitrificans)、ゲオバチルス カルドキシロシリティカス(Geobacillus caldoxylosilyticus)、ゲオバチルス ステアロサーモフィラス(Geobacillus stearothermophilus)等のゲオバチルス(Geobacillus)属に属する細菌、パエニバチルス ボルテックス(Paenibacillus vortex)、パエニバチルス フクイネンシス(Paenibacillus fukuinensis)等のパエニバチルス(Paenibacillus)属に属する細菌、スポロラクトバチルス イヌリナス(Sporolactobacillus inulinus)、スポロラクトバチルス ラエビス(Sporolactobacillus laevis)等のスポロラクトバチルス(Sporolactobacillus)属に属する細菌、クロストリジウム テタニ(Clostridium tetani)(破傷風菌)、クロストリジウム ボツリヌム(Clostridium botulinum)(ボツリヌス菌)、クロストリジウム パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)(ウェルシュ菌)、クロストリジウム ノビィ(Clostridium novyi)、クロストリジウム セプティクム(Clostridium septicum)(ガス壊疽菌群)、クロストリジウム ディフィシレ(Clostridium difficile)、クロストリジウム サーモセラム(Clostridium thermocellum)、クロストリジウム ブチリカム (Clostridium butyricum)、クロストリジウム アセトブチリクム (Clostridium acetobutylicum)等のクロストリジウム(Clostridium)属に属する細菌、デスルフォトマキュラム ニグリフィカンス(Desulfotomaculum nigrificans)、デスルフォトマキュラム サーモアセトキシダンス(Desulfotomaculum thermoacetoxidans)、デスルフォトマキュラム サーモベンゾイカム subsp. サーモベンゾイカム(Desulfotomaculum thermobenzoicum subsp. thermobenzoicum)、デスルフォトマキュラム サーモベンゾイカム subsp. サーモシントロフィカム(Desulfotomaculum thermobenzoicum subsp. thermosyntrophicum)、デスルフォトマキュラム サーモシステルナム(Desulfotomaculum thermocisternum)、デスルフォトマキュラム サーモサポボランス(Desulfotomaculum thermosapovorans)、デスルフォトマキュラム サーモサブテラネウム(Desulfotomaculum thermosubterraneum)等のデスルフォトマキュラム(Desulfotomaculum)属に属する細菌、ムーレラ サーモアセティカ(Moorella thermoacetica)、ムーレラ グリセリネ(Moorella glycerine)、ムーレラ ムルデリ(Moorella mulderi)、ムーレラ サーモオートトロフィカ(Moorella thermoautotrophica)等のムーレラ(Moorella)属に属する細菌、サーモアネロバクター マスラニイ(Thermoanaerobacter mathranii)、サーモアネロバクター アセトエチリカス(Thermoanaerobacter acetoethylicus)、サーモアネロバクター ブロキイ(Thermoanaerobacter brockii)、サーモアネロバクター セルロリティカス(Thermoanaerobacter cellulolyticus)、サーモアネロバクター エタノリカス(Thermoanaerobacter ethanolicus)、サーモアネロバクター イタリカス(Thermoanaerobacter italicus)、サーモアネロバクター キブイ(Thermoanaerobacter kivui)、サーモアネロバクター シデロフィラス(Thermoanaerobacter siderophilus)、サーモアネロバクター スルフロフィラス(Thermoanaerobacter sulfurophilus)、サーモアネロバクター サーモコプリエ(Thermoanaerobacter thermocopriae)、サーモアネロバクター サーモヒドロスルフリカス(Thermoanaerobacter thermohydrosulfuricus)、サーモアネロバクター ウィエジェリイ(Thermoanaerobacter wiegelii)等のサーモアネロバクター(Thermoanaerobacter)属に属する細菌等が挙げられる。本発明の殺菌剤組成物は、これらの栄養型細胞のみならず、芽胞に対しても良好な殺菌効果を示す。
本発明の殺菌剤組成物は、そのまま、または各種担体、他の界面活性剤、殺菌剤等の添加成分等を加えて、消毒剤または殺菌洗浄剤とすることができる。本発明の消毒剤または殺菌洗浄剤は、液状、ゲル状、粉末状等の種々の形態で提供することができるが、短時間に広範囲の消毒対象物に作用させ得る点で、液状とすることが好ましい。液状の消毒剤または殺菌洗浄剤は、ローション剤、スプレー剤等として提供することができ、計量キャップ付きボトル、トリガータイプのスプレー容器、スクイズタイプもしくはディスペンサータイプのポンプスプレー容器等に充填し、散布または噴霧等して用いることができる。
本発明の消毒剤または殺菌洗浄剤は、食品工場、セントラルキッチン、スーパーのバックヤード、飲食店の厨房などの食品を取扱う施設内の消毒、殺菌洗浄、食器、調理器具、食品加工、処理用の機器、装置などの消毒、殺菌洗浄など、細菌芽胞が存在する可能性のある場所、または細菌芽胞に汚染されている可能性のある物の消毒、殺菌洗浄などに幅広く用いることができる。
本発明の消毒剤または殺菌洗浄剤は、消毒対象物の表面がまんべんなく濡れる程度の量を用いればよい。また、消毒対象物に対する本発明の消毒剤または殺菌洗浄剤の作用時間は比較的短時間でよく、5分〜60分で十分な消毒または殺菌洗浄効果を得ることができる。
特に、ポリアルキレンビグアナイド化合物およびその塩からなる群より選択される1種または2種以上およびアルカリ剤に加えて、第4級アンモニウム塩および/またはアルコールを含有する殺菌剤組成物では、5分〜10分程度作用させることにより、十分な殺菌効果が認められる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下において、「%」は特に記載のない限り、質量%を意味する。
[実施例1〜17、比較例1〜3、参考例1〜4]
表1〜3に示す各成分を順次イオン交換水に添加溶解し、実施例1〜17、比較例1〜3および参考例1〜4の各殺菌剤組成物を調製した。
[細菌芽胞に対する殺菌効果の評価]
細菌芽胞に対す殺菌効果の評価は、下記に示す供試菌の芽胞を使用して行った。
供試菌1:バチルス ズブチリス(Bacillus subtilis) ATCC6633
供試菌2:バチルス セレウス(Bacillus cereus) ATCC14579
供試菌3:バチルス リケニフォリミス(Bacillus licheniformis) ATCC14580
供試菌4:バチルス シュードマイコイデス(Bacillus pseudomycoides) NRRL B−617
供試菌5:バチルス メガテリウム(Bacillus megaterium ATCC14581)
細菌芽胞は、各供試菌を液体ブイヨン培地で24時間培養後、1/2濃度の標準寒天培地に塗抹して、偏光顕微鏡(「ECLIPSE E600」、株式会社ニコン製)にて、90%以上の細菌で芽胞形成が確認されるまで2〜3週間培養した。次いで培地上に冷滅菌水を加えコンラージ棒で培地表面のコロニーを回収し、数回冷滅菌水で遠心洗浄した後、80℃で10分間加熱処理し氷水で急冷し、さらに冷滅菌水で数回遠心洗浄して、芽胞数が10〜10 Colony Forming Unit(CFU)/mLとなるように調製し、冷凍保存した。
下記に示す供試菌の芽胞を10〜10CFU/mLとなるように滅菌水で希釈し、芽胞懸濁液とした。各芽胞懸濁液1mLと、表1〜3に示す各殺菌剤組成物9mLとを混合した後、室温で所定の時間作用させた。なお、表1〜3中、殺菌剤組成物の各成分についての数値は、芽胞懸濁液と混合した後の終濃度(%)を示す。
次いで、芽胞懸濁液および殺菌剤組成物の混合液の0.5mLを、レシチン・ポリソルベート80加ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト(SCDLP)ブロス4.5mLに加え、10倍段階希釈を行った。この段階希釈液各0.1mLをSCDLP寒天培地平板に塗抹し、35℃で、48時間培養した。
培養後、培地上に発育したコロニー数から、殺菌剤組成物を作用させた後の菌数を算出し、接種した菌数との差(Δlog10CFU/mL)により、各殺菌剤組成物の芽胞に対する殺菌効果を評価した。
本評価においては、Δlog10 CFU/mLが3.0以上である場合に、細菌芽胞に対する殺菌効果があると評価した。
実施例1〜17、比較例1〜3および参考例1〜4の殺菌剤組成物について、各供試菌の芽胞に対する殺菌効果の評価結果を表1〜3に併せて示した。
表1には、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩(終濃度=0.01%)および水酸化ナトリウムを含有し、所定のpHに調整してなる実施例1〜3および比較例1〜3の各殺菌剤組成物を、供試菌1の細菌芽胞に60分間作用させた場合の結果を示す。
実施例1〜3の殺菌剤組成物を作用させた場合において、Δlog10CFU/mL値は3.0以上となっており、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩をpH12.5以上の条件下で作用させることにより、細菌芽胞に対して殺菌効果が認められた。
表2には、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩(終濃度=0.01%)、水酸化ナトリウム(終濃度=0.9%)および第4級アンモニウム塩(終濃度=0.001%)またはアルコール(終濃度=0.1%または0.5%)を含有し、pHを13に調整してなる実施例4〜16および参考例1〜4の各殺菌剤組成物を、供試菌1の細菌芽胞に10分間作用させた場合の結果を示す。
ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩と水酸化ナトリウムを含有し、pHを13とした参考例1の殺菌剤組成物では、10分間という短時間の作用では、細菌芽胞に対し十分な殺菌効果を示すことができず、Δlog10CFU/mL値は3未満であったが、さらに第4級アンモニウム塩、炭素数5または6の一価アルカノール、芳香族アルコール、炭素数5または6のアルカンジオール、モノテルペンアルコールをそれぞれ加えた実施例4〜16の殺菌剤組成物では、殺菌効果の向上が認められ、10分間作用させた場合にはΔlog10CFU/mL値は3以上となり、10分間という短時間の作用でも細菌芽胞に対する殺菌効果が認められた。
しかし、炭素数が2または3の一価アルカノールであるエタノールまたはプロパノールを加えた参考例2または3の殺菌剤組成物、および両性界面活性剤である塩酸アルキルジアミノエチルグリシンを加えた参考例4の殺菌剤組成物では、10分間という短時間の作用では、細菌芽胞に対する十分な殺菌効果は認められなかった。
表3にはポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩(終濃度=0.01%)、水酸化ナトリウム(終濃度=0.9%)、第4級アンモニウム塩(終濃度=0.01%)および芳香族アルコール(終濃度=0.5%)を含有し、pHを13に調整してなる実施例17の殺菌剤組成物を、供試菌1〜5の各細菌芽胞にそれぞれ5分間作用させた場合の結果を示す。
ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩およびアルカリ剤に加えて、さらに第4級アンモニウム塩およびアルコールを含有し、pHを13に調整してなる実施例17の殺菌剤組成物では、さらに殺菌効果の向上が認められ、全供試菌の細菌芽胞に対し、5分間と非常に短時間の作用でΔlog10CFU/mL値が3以上となり、供試菌すべての細菌芽胞に対して殺菌効果が認められた。
以上詳述したように、本発明により、従来の消毒剤では無効であった細菌芽胞に対し、有効な殺菌効果を有し、消毒対象物の制限が少なく、安全性および取扱い性に優れ、消毒剤、殺菌洗浄剤の有効成分として有用な殺菌剤組成物を提供することができる。

Claims (8)

  1. 式(1)で示されるポリアルキレンビグアナイド化合物およびその塩からなる群より選択される1種または2種以上と、アルカリ剤を含有し、組成物のpHが12.5以上である、細菌芽胞を対象とする殺菌剤組成物。

    [式中、Rは炭素数2〜8のアルキレン基、nは2〜18の整数を示す。]
  2. ポリアルキレンビグアナイド化合物およびその塩からなる群より選択される1種または2種以上の含有量が0.001重量%〜0.1重量%である、請求項1に記載の殺菌剤組成物。
  3. ポリアルキレンビグアナイド化合物およびその塩からなる群より選択される1種または2種以上が、ポリヘキサメチレンビグアナイドおよびその塩からなる群より選択される1種または2種以上である、請求項1または2に記載の殺菌剤組成物。
  4. さらに、第4級アンモニウム塩1種または2種以上含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の殺菌剤組成物。
  5. さらに、アルコール1種または2種以上含有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の殺菌剤組成物。
  6. 素数5〜10のアルカノール、テルペンアルコールおよび芳香族アルコールからなる群より選択される1種または2種以上を含有する、請求項に記載の殺菌剤組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の殺菌剤組成物を含有する、消毒剤。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の殺菌剤組成物を含有する、殺菌洗浄剤。
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