JP2016160245A - 殺菌剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】式(1)で示されるポリアルキレンビグアナイド化合物およびその塩からなる群より選択した1種または2種以上と、アルカリ剤を含有し、組成物のpHが12.5以上である殺菌剤組成物とする。さらに第4級アンモニウム塩および/またはアルコールを含有する組成物では殺菌効果が向上し、より短時間の作用で殺菌効果を発揮する。
[式中、Raおよびnは、明細書記載のものと同義である。]
【選択図】なし
Description
かかる消毒剤としては、消毒用エタノール、イソプロパノール等のアルコール製剤;次亜塩素酸ナトリウム等の塩素製剤、ヨードチンキ、複方ヨードグリセリン、ポビドンヨード等のヨード製剤といったハロゲン化合物;オキシドール、過酢酸等の過酸化物製剤;塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム等の陽イオン界面活性剤;アルキルジアミノエチルグリシン等の両性界面活性剤;グルコン酸クロルヘキシジン等のクロルヘキシジン塩;フェノール、クレゾール石鹸等のフェノール類;グルタラール、フタラール等のアルデヒド類などが一般的に用いられている。
また、1重量%を超える高濃度の第4級アンモニウム塩を含む組成物を用いて、30℃〜80℃で表面を処理することにより、枯草菌およびスポロゲネス菌の芽胞を減少させ得ること(特許文献3)や、可食性の酸を添加した、ダイマー型ビス第四級アンモニウム塩の溶液を加温または超音波照射しながら接触させる細菌芽胞の殺菌方法(特許文献4)も開示されている。
また、特許文献3または特許文献4に記載された処理または殺菌方法は、加温や超音波処理を加えることを要し、実際に食品を取扱う施設では実施が困難な場合が多い方法である。
そこで、本発明は、従来の消毒剤では無効であった細菌芽胞に対し優れた殺菌効果を有し、消毒対象物の制限が少なく、安全性および取扱い性に優れる殺菌剤組成物を提供することを目的とする。
また、さらに第4級アンモニウム塩および/またはアルコールを加えることにより、細菌芽胞に対する殺菌効果が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
[1]式(1)で示されるポリアルキレンビグアナイド化合物およびその塩からなる群より選択される1種または2種以上と、アルカリ剤を含有し、組成物のpHが12.5以上である、殺菌剤組成物。
[2]ポリアルキレンビグアナイド化合物およびその塩からなる群より選択される1種または2種以上が、ポリヘキサメチレンビグアナイドおよびその塩からなる群より選択される1種または2種以上である、上記[1]に記載の殺菌剤組成物。
[3]さらに、第4級アンモニウム塩の1種または2種以上を含有する、上記[1]または[2]に記載の殺菌剤組成物。
[4]さらに、アルコールの1種または2種以上を含有する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の殺菌剤組成物。
[5]アルコールの1種または2種以上が、炭素数5〜10のアルカノール、テルペンアルコールおよび芳香族アルコールからなる群より選択される1種または2種以上である、上記[4]に記載の殺菌剤組成物。
[6]細菌芽胞を対象とする、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の殺菌剤組成物。
[7]上記[1]〜[6]のいずれかに記載の殺菌剤組成物を含有する、消毒剤。
[8]上記[1]〜[6]のいずれかに記載の殺菌剤組成物を含有する、殺菌洗浄剤。
なお、上記アルカリ剤としては、各社より提供されている市販の製品を使用することができる。
かかる殺菌剤組成物では殺菌効果が向上し、5〜10分間の短時間の作用で、細菌芽胞に対しても有効な殺菌効果を発揮し得る。
炭素数1〜18程度のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル(ラウリル)、テトラデシル(ミリスチル)、ヘキサデシル(パルミチル)、オクタデシル(ステアリル)等の直鎖状のアルキル基、2−プロピル(イソプロピル)、1−メチルプロピル(sec−ブチル)、2−メチルプロピル(イソブチル)、1,1−ジメチルエチル(tert−ブチル)、3−メチルブチル(イソペンチル)、4−メチルペンチル(イソヘキシル)、1−メチルヘプチル(sec−オクチル)、6−メチルヘプチル(イソオクチル)、1,1−ジメチルヘキシル、2−エチルヘキシル、1−メチルトリデシル、12−メチルトリデシル(イソミリスチル)、1−メチルペンタデシル、14−メチルペンダデシル(イソパルミチル)、1−メチルヘプタデシル、16−メチルヘプタデシル(イソステアリル)等の分岐鎖状のアルキル基が挙げられ、前記アルキル基には、アミノ基、アルキルアミノ基、アルカロイルアルキルアミノ基、フェニルカルバモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フェノキシ基またはアルキルフェノキシ基により置換されたアルコキシ基等により置換されたものも含まれる。
また、炭素数6〜12程度のアリール基としては、フェニル、フェニルメチル(ベンジル)、フェニルエチル(フェネチル)、メチルフェニル(トリル)、ナフチル等が挙げられる。
ハロゲンイオンとしては、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等が挙げられる。無機酸イオンとしては、塩酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン等が挙げられる。有機酸イオンとしては、メチル硫酸イオン等の炭素数1〜3程度のアルキル硫酸エステルイオン;酢酸イオン、プロピオン酸イオン、酪酸イオン、カプロン酸イオン等の炭素数2〜6程度のモノカルボン酸イオン;乳酸イオン、リンゴ酸イオン、クエン酸イオン等の炭素数3〜6程度のヒドロキシカルボン酸イオン;シュウ酸イオン、マロン酸イオン、コハク酸イオン、フマル酸イオン、マレイン酸イオン、アジピン酸イオン等の炭素数2〜6程度のジカルボン酸イオンなどが挙げられる。
これらのうち、ハロゲンイオン、硫酸イオン、アルキル硫酸エステルイオン、ジカルボン酸イオンが好ましく、塩素イオン、臭素イオン、アジピン酸イオンが特に好ましい。
また、上記式(3)において、A2 −で示される無機または有機の陰イオンとしては、上記式(2)においてA1 −で示される陰イオンと同様のハロゲンイオン、無機酸イオン、有機酸イオン等が挙げられ、ハロゲンイオン、硫酸イオン、アルキル硫酸エステルイオン、ジカルボン酸イオンが好ましく、塩素イオン、臭素イオン、アジピン酸イオンが特に好ましい。
好適な第4級アンモニウム塩としては、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルベンゼトニウム、臭化セトリモニウム、臭化ドミフェン、塩化ドファニウム、塩化ラウリルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム等が挙げられ、これらの中でも、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウムがより好ましく、塩化ジデシルジメチルアンモニウムが特に好ましい。
炭素数5〜10の直鎖または分岐鎖一価アルカノールとしては、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、デカノール等が挙げられ、炭素数5〜8の直鎖一価アルカノールがより好ましく、炭素数5〜7の直鎖一価アルカノールが特に好ましい。
炭素数5〜10のアルカンジオールとしては、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール等、炭素数5〜10の1,2−アルカンジオールがより好ましい。
細菌芽胞に対する殺菌効果の観点からは、炭素数5〜10のアルカノール、テルペンアルコールおよび芳香族アルコールが好ましく、炭素数5〜7の一価アルカノール、モノテルペンアルコール、およびフェニル基またはフェノキシ基により置換された炭素数が1〜3のアルカノールがより好ましく、2−フェニルエタノール、2−フェニル−1−プロパノール、3−フェニル−1−プロパノール、2−フェノキシエタノール等がさらに好ましく、2−フェニルエタノールが最も好ましい。
殺菌剤組成物のpHが12.5以上であれば、後述するように、60分程度の作用時間で、細菌芽胞に対して有効な殺菌効果が認められ、効率的に対象物の殺菌、消毒を行うことができる。
また、本発明の殺菌剤組成物のpHは14以下であり、組成物の安定性の観点からは、13.5以下であることが好ましい。
本発明の殺菌剤組成物が、後述するペースト状等の高粘性の形態で提供される場合や、ゲル状等の固形状の形態で提供される場合には、たとえば25℃にて、pHメーターの電極を直接試料に刺すまたは押し当てて測定される。また、本発明の殺菌剤組成物が、粉末状、顆粒状等の形態で提供される場合には、たとえば該組成物を一般的な使用濃度で精製水に懸濁し、25℃で測定される。
かかる界面活性剤としては、第1級〜第3級の脂肪アミン塩、2−アルキル−1−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩等の他の陽イオン界面活性剤;N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン等のアルキルベタイン型、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸等のアミノカルボン酸型、N,N,N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアンモニウムベタイン等のアルキルスルホベタイン型、2−アルキル−1−ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリン型両性界面活性剤などを用いることができる。
また、増泡、製剤安定性の向上、着色、着香等を目的として、アラビアゴム、カラギーナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子;エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、トリポリリン酸、ヘキサメタリン酸塩等の金属イオン封鎖剤;塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩;色素;香料などを添加してもよい。
特に、ポリアルキレンビグアナイド化合物およびその塩からなる群より選択される1種または2種以上およびアルカリ剤に加えて、第4級アンモニウム塩および/またはアルコールを含有する殺菌剤組成物では、5分〜10分程度作用させることにより、十分な殺菌効果が認められる。
表1〜3に示す各成分を順次イオン交換水に添加溶解し、実施例1〜17、比較例1〜3および参考例1〜4の各殺菌剤組成物を調製した。
細菌芽胞に対す殺菌効果の評価は、下記に示す供試菌の芽胞を使用して行った。
供試菌1:バチルス ズブチリス(Bacillus subtilis) ATCC6633
供試菌2:バチルス セレウス(Bacillus cereus) ATCC14579
供試菌3:バチルス リケニフォリミス(Bacillus licheniformis) ATCC14580
供試菌4:バチルス シュードマイコイデス(Bacillus pseudomycoides) NRRL B−617
供試菌5:バチルス メガテリウム(Bacillus megaterium ATCC14581)
細菌芽胞は、各供試菌を液体ブイヨン培地で24時間培養後、1/2濃度の標準寒天培地に塗抹して、偏光顕微鏡(「ECLIPSE E600」、株式会社ニコン製)にて、90%以上の細菌で芽胞形成が確認されるまで2〜3週間培養した。次いで培地上に冷滅菌水を加えコンラージ棒で培地表面のコロニーを回収し、数回冷滅菌水で遠心洗浄した後、80℃で10分間加熱処理し氷水で急冷し、さらに冷滅菌水で数回遠心洗浄して、芽胞数が107〜108 Colony Forming Unit(CFU)/mLとなるように調製し、冷凍保存した。
次いで、芽胞懸濁液および殺菌剤組成物の混合液の0.5mLを、レシチン・ポリソルベート80加ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト(SCDLP)ブロス4.5mLに加え、10倍段階希釈を行った。この段階希釈液各0.1mLをSCDLP寒天培地平板に塗抹し、35℃で、48時間培養した。
培養後、培地上に発育したコロニー数から、殺菌剤組成物を作用させた後の菌数を算出し、接種した菌数との差(Δlog10CFU/mL)により、各殺菌剤組成物の芽胞に対する殺菌効果を評価した。
本評価においては、Δlog10 CFU/mLが3.0以上である場合に、細菌芽胞に対する殺菌効果があると評価した。
しかし、炭素数が2または3の一価アルカノールであるエタノールまたはプロパノールを加えた参考例2または3の殺菌剤組成物、および両性界面活性剤である塩酸アルキルジアミノエチルグリシンを加えた参考例4の殺菌剤組成物では、10分間という短時間の作用では、細菌芽胞に対する十分な殺菌効果は認められなかった。
Claims (8)
- 式(1)で示されるポリアルキレンビグアナイド化合物およびその塩からなる群より選択される1種または2種以上と、アルカリ剤を含有し、組成物のpHが12.5以上である、殺菌剤組成物。
- ポリアルキレンビグアナイド化合物およびその塩からなる群より選択される1種または2種以上が、ポリヘキサメチレンビグアナイドおよびその塩からなる群より選択される1種または2種以上である、請求項1に記載の殺菌剤組成物。
- さらに、第4級アンモニウム塩の1種または2種以上を含有する、請求項1または2に記載の殺菌剤組成物。
- さらに、アルコールの1種または2種以上を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の殺菌剤組成物。
- アルコールの1種または2種以上が、炭素数5〜10のアルカノール、テルペンアルコールおよび芳香族アルコールからなる群より選択される1種または2種以上である、請求項4に記載の殺菌剤組成物。
- 細菌芽胞を対象とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の殺菌剤組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の殺菌剤組成物を含有する、消毒剤。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の殺菌剤組成物を含有する、殺菌洗浄剤。
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