JP6961464B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法などに用いられるトナーに関する。
従来からレーザービームプリンター(LBP)にはプリントスピードの向上、省エネルギー化、省スペース化が求められている。
プリントスピードが速くなるほど、定着器を通過する時間が短くなるため、定着器の設定温調が同じでも、トナーが受ける熱量は少なくなる。また省エネルギーの観点からも定着温調を下げることが求められており、これらのことより低温定着性が良好なトナーが求められている。
低温定着性を良化させるためには、定着ニップ内においてトナーをシャープメルトさせることが好ましく、そのためには結着樹脂を柔らかくするなどの設計が求められる。
しかし、トナーの低温定着性を向上させる対応を行うと、プリント画像の排紙接着性が課題となることがわかってきている。
ここでいう排紙接着とは、連続的にプリントした画像がプリンターの排紙トレイに積層される際に、画像が高温状態で積み重ねられることとなるために、画像同士が張り付いてしまう現象であり、張り付いた画像を剥がす際に画像欠陥となってしまう。
特に両面連続印刷を行う際には、定着紙の蓄熱が大きくなり、高温状態で積層されることとなるため、排紙接着が起こり易い傾向にある。最近はオフィスにおける紙資源の有効活用の観点から両面印刷需要が高まっており、さらなる改善が必要である。
また、昨今のプリントスピードの向上により、従来よりも定着された紙が冷める間もなく積層される傾向にあり、排紙接着性には厳しい構成となっていることが実情である。
このような排紙接着性の改善策としては、プリンター本体に冷却ファンを多く取り付けて、定着された紙の冷却を促進させる方法が考えられる。しかし、このような方法ではプリンターの小型化や省エネルギー化の観点で課題が残ってしまう。
そこで、低温定着性と排紙接着性とを両立できるトナーが求められているものの、未だ改善の余地があった。
特許文献1では、トナー中に有機溶媒に可溶である線状成分(可溶分)と、有機溶媒に不溶である架橋成分(不溶分)を共存させ、機能分離によって低温定着性と耐ホットオフセット性を両立させたトナーが記載されている。
また、特許文献2には、トナーのガラス転移温度と、トナー中のテトラヒドロフランに不溶である成分のガラス転移温度を、ともに低く設計し、トナー表面にガラス転移温度の高い樹脂微粒子によるシェルを形成することで、低温定着性と耐熱保存性を両立させたトナーが記載されている。
特開2007−86459号公報 特開2015−52697号公報
本発明者らが検討したところ、特許文献1に記載されたトナーの線状成分は、比較的ガラス転移温度(Tg)が低く、低粘度であるため、低温定着性を良化できる反面、排紙接着性を低下させ易かった。一方で、架橋成分はガラス転移温度が高く、高粘度、高弾性であるために、低温定着性の低下要因となり易かった。
さらに、低温定着性が良好であるトナーは、苛酷環境下でのトナーの保存安定性(苛酷保存性)が低下してしまったり、定着した画像の先端がカールし易くなってしまったり(耐カール性)する課題もあり、改善が必要であった。
また、確かに特許文献2の技術によれば、トナーの低温定着性と耐熱保存性に対して、一定の改善効果が見られる。
しかし、定着後の画像においては、トナーが一旦溶融してしまっているため樹脂微粒子によるシェル効果は薄れてしまい、両面連続印刷における排紙接着性が不十分となるものであった。そのため、排紙接着性に厳しいプリンターでの使用については、改善の余地があった。
以上のことから、トナーの低温定着性、排紙接着性、苛酷保存性、耐カール性が良好であるトナーが求められているものの、未だ改善の余地があった。
すなわち、本発明は、低温定着性、苛酷保存性、耐カール性が良好であり、さらに排紙接着性が良好であるトナーを提供するものである。
本発明は、
結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
トナーの軟化点が、100℃以上150℃以下であり、
トナーの示差走査熱量計(DSC)を用いた測定において、
2回目の昇温時のガラス転移温度(℃)をTgtとし、
該結着樹脂のテトラヒドロフラン不溶分の示差走査熱量計(DSC)を用いた測定における、2回目の昇温時のガラス転移温度(℃)をTgfとし、
該結着樹脂のテトラヒドロフラン可溶分の示差走査熱量計(DSC)を用いた測定における、2回目の昇温時のガラス転移温度(℃)をTgkとしたとき、
該Tgt、Tgf及びTgkが、下記式(1)〜(3)の全てを満たし、
Tgt>Tgf (1)
Tgt>Tgk (2)
35℃≦Tgf≦70℃ (3)
(該結着樹脂のテトラヒドロフラン不溶分は、該トナーのテトラヒドロフランを用いたソックスレー抽出において、18時間抽出したときの該結着樹脂のテトラヒドロフラン不溶分であり、該結着樹脂のテトラヒドロフラン可溶分は、該トナーのテトラヒドロフランを
用いたソックスレー抽出において、18時間抽出したときの該結着樹脂のテトラヒドロフラン可溶分である。)
該結着樹脂が、樹脂A及び樹脂Bを含有し、
該樹脂Aが、
線状成分、及び、
架橋成分
を含むポリエステル樹脂であり、
該樹脂Bが、
ポリエステル構造、及び、
―O―又はR ―COO―で表される部分構造
(該R は、炭素数12〜102の脂肪族炭化水素の水素原子が1つ脱離した構造を有する基を表し、該R は、炭素数11〜101の脂肪族炭化水素の水素原子が1つ脱離した構造を有する基を表す。)
を有する
ことを特徴とするトナーである。
本発明によれば、低温定着性、苛酷保存性、耐カール性が良好であり、さらに排紙接着性が良好であるトナーを提供することができる。
本発明において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○〜××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
本発明者らは、高速プリンターにおいて良好な低温定着性を発現し、かつ小型化を想定した冷却ファンが少ない本体構成においても、両面連続印刷における排紙接着性も良好であるトナーについて鋭意検討した。
これまで、低温定着性を良化させるために、トナーのガラス転移温度(Tg)よりも低いTgを有する線状成分(テトラヒドロフラン可溶分)を含有させ、さらに、苛酷保存性や定着巻き付きなどの改善のために、トナーのTgよりも高いTgを有する架橋成分(テトラヒドロフラン不溶分)を含有させる設計がとられてきた。
しかし、単にこれらの成分を含有させるだけでは、低温定着性は良化できても、両面連
続印刷における排紙接着性を改善することが難しいことがわかった。
上記構成のトナーでなぜ排紙接着性が低下するのか、さらに検討を進めた結果、柔らかい成分である線状成分が分離して画像表面に染み出し易いため、これが排紙接着性を低下させていることがわかった。
そして、トナー中における線状成分と、架橋成分の混合性が低いために、定着後、排紙されて積層される際に、両者がミクロ的に相分離し、線状成分の画像表面への染み出しを助長しているものと推測された。
そこで我々は、線状成分と、架橋成分との混合性をより高めることで低温定着性と排紙接着性とが両立できるのではないかと考えた。しかし、例えば、溶融混練の強化などの手段によって混合性を向上するだけでは、排紙接着性を良化させることはできなかった。
そして、鋭意検討を進めた結果、線状成分と架橋成分とを分子レベルで分散させると同時に、両者が相互に物理的に絡みあい、一体化されたネットワーク構造体を形成することにより、低温定着性と排紙接着性との両立が可能であることを見出した。
そして、上記のようなネットワーク構造体を形成した場合、トナーのTgと、結着樹脂のテトラヒドロフラン可溶分(線状成分)のTgと、結着樹脂のテトラヒドロフラン不溶分(架橋成分)のTgが、特定の関係となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナーの軟化点が、100℃以上150℃以下であり、
該トナーの示差走査熱量計(DSC)を用いた測定において、2回目の昇温時のガラス転移温度(℃)をTgtとし、
該結着樹脂のテトラヒドロフラン不溶分の示差走査熱量計(DSC)を用いた測定における、2回目の昇温時のガラス転移温度(℃)をTgfとし、
該結着樹脂のテトラヒドロフラン可溶分の示差走査熱量計(DSC)を用いた測定における、2回目の昇温時のガラス転移温度(℃)をTgkとしたとき、
該Tgt、Tgf及びTgkが、下記式(1)〜(3)の全てを満たすことを特徴とするトナーである。
Tgt>Tgf (1)
Tgt>Tgk (2)
35℃≦Tgf≦70℃ (3)
(該結着樹脂のテトラヒドロフラン不溶分は、該トナーのテトラヒドロフランを用いたソックスレー抽出において、18時間抽出したときの該結着樹脂のテトラヒドロフラン不溶分であり、該結着樹脂のテトラヒドロフラン可溶分は、該トナーのテトラヒドロフランを用いたソックスレー抽出において、18時間抽出したときの該結着樹脂のテトラヒドロフラン可溶分である。)
上記のように、トナーは、Tgt>Tgf、及び、Tgt>Tgkを満たす。
通常、トナー中の結着樹脂をテトラヒドロフラン(以下、単にTHFともいう)可溶分とTHF不溶分に分けた場合、THF可溶分(線状成分)のTgが低く、THF不溶分(架橋成分)のTgが高く、トナーのTgはその平均的な値となる。そのため、Tgf>Tgt>Tgkの関係となるため、上記式(1)が満たされないこととなる。
一方で、特許文献2のごとく、THF不溶分のTgが低く、THF可溶分のTgが高い場合も存在するが、この場合はTgf<Tgt<Tgkとなり、上記式(2)が満たされない。
このように、従来トナーでは、上記式(1)及び式(2)の両方が満たすようなものではなかった。これに対して、本発明のトナーは、式(1)及び式(2)の両方を満たす。
THF可溶分は結着樹脂中の線状成分Xに由来する成分であり、THF不溶分は結着樹
脂中の架橋成分Yに由来する成分であると解釈される。
トナーのTgが、THF可溶分(線状成分X)のTgよりも高く、かつ、THF不溶分(架橋成分Y)のTgよりも高くなるのは、トナーを構成する結着樹脂中において線状成分Xと架橋成分Yが相互に入り組んだネットワーク構造体を形成されているためと考えられる。
恐らく、架橋成分Yと線状成分Xが分子レベルで均一に絡まりあうことにより、複数の架橋成分が線状成分によって物理的に繋がれて見かけ上、一体化された大きなゲルの如く振る舞うため、上記のようにトナーのTgが上昇する現象が生じると考えている。
本発明のトナーは、結着樹脂中に上記のように線状成分Xと架橋成分Yが物理的に一体化されたネットワーク構造体を含有するため、定着時に線状成分Xが架橋成分Yと相分離して染み出すことが抑制され、排紙接着性が顕著に向上していると考えられる。
さらに、線状成分Xと架橋成分Yとが分子レベルで均一に絡み合っているため、定着時に架橋成分Yが線状成分Xによって効率的に可塑化されるため、架橋成分Yによる定着阻害も少なくなり、低温定着性も向上する。
TgtとTgfの差であるTgt−Tgfが3℃以上であることが好ましく、4℃以上であることがより好ましい。一方、上限は特に制限されないが、好ましくは30℃以下であり、より好ましくは25℃以下である。
Tgt−Tgfが上記範囲を満たす場合、より安定的なネットワーク構造体を形成できており、排紙接着性がより良好となり、低温定着性もより良好となる。
上記式(1)の関係を満たす、また、Tgt−Tgfの値を上記範囲とするためには、例えば、樹脂Aの製造において、末端変性剤や、架橋剤の添加量を調整し、線状成分X、架橋成分Yのモノマー構成を好ましい範囲で調整する方法により制御することができる。また、トナーの処方(他の樹脂や磁性体等)を好ましい範囲とすることによっても制御することができる。
TgtとTgkの差であるTgt−Tgkが5℃以上であることが好ましく、6℃以上であることがより好ましい。一方、上限は特に制限されないが、好ましくは40℃以下であり、より好ましくは35℃以下である。
Tgt−Tgkが上記範囲を満たす場合、より安定的なネットワーク構造体を形成できており、排紙接着性がより良好となり、低温定着性もより良好となる。
上記式(2)の関係を満たす、また、Tgt−Tgkの値を上記範囲とするためには、例えば、樹脂Aの製造において、末端変性剤や、架橋剤の添加量を調整し、線状成分X、架橋成分Yのモノマー構成を好ましい範囲で調整する方法により制御することができる。
該Tgfは、35℃≦Tgf≦70℃を満たす。また、40℃≦Tgf≦65℃を満たすことが好ましい。
Tgfが35℃未満である場合、架橋成分YのTgが低いため、線状成分Xとネットワーク構造体を形成したとしても、トナーの苛酷保存性が低下する。
一方で、Tgfが70℃を超える場合、線状成分Xによる架橋成分Yの可塑化スピードが追い付かずに、特にベタ画像を連続的に出力した場合に、定着画像からトナーが点状に抜ける定着不良(定着ポツ抜け)が発生する。
該Tgfは、結着樹脂中の架橋成分Yに用いるモノマー組成や製造条件、及びトナーの製造条件を変更することによって調整することが可能である。
トナーの軟化点は、100℃以上150℃以下である。
トナーの軟化点が100℃未満の場合、定着時にトナーの粘度が低くなりすぎて定着器に付着し易くなるために、定着画像が定着器から剥がれにくくなり、画像先端部にカールが発生し易くなる。耐カール性及びトナーの耐久性の観点から、トナーの軟化点は105℃以上であることが好ましい。
一方で、トナーの軟化点が150℃を超える場合、定着時のトナーの溶融状態が不十分となり、特にハーフトーン画像の濃度が摩擦によって低下し易くなる(擦り濃度低下の発生)。擦り濃度低下の発生抑制の観点から、トナーの軟化点は145℃以下であることが好ましい。
トナーの軟化点は、トナーに用いる結着樹脂の軟化点や、トナーの処方や製造条件を調整することによって、上記の範囲に調整することが可能である。
また、Tgt、Tgf及びTgkが、下記式(4)を満たすことが好ましい。下記式(4)を満たすことで、トナーの耐久性がさらに良好となる。特に高温高湿環境下の耐久試験において、ベタ画像の濃度維持が良好となる。
Tgt>Tgf>Tgk (4)
式(4)を満たすようにするためには、線状成分Xと架橋成分Yの絡み合いをより強化することが挙げられる。例えば、後述する結着樹脂の製造において好ましい製造方法を選択することが挙げられる。また、結着樹脂の製造時において、使用するモノマーを調整したり、製造条件を選択したりしてもよい。
該Tgtは、50℃以上70℃以下であることが好ましい。
Tgtが50℃以上であることで、両面連続印刷における排紙接着性がさらに良好となる。一方でTgtが70℃以下であることにより、低温定着性の中でも、ハーフトーン画像の擦り濃度低下がさらに抑制される。
なお、Tgtは、トナー処方や製造条件、およびトナーの製造に用いる結着樹脂のTgを調整することにより制御することができる。
該結着樹脂のテトラヒドロフラン不溶分の含有量は、結着樹脂に対して3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。
テトラヒドロフラン不溶分の含有量が3.0質量%以上であることで、トナーの耐久性がより良好となる。特に高温高湿環境下の耐久試験において、ライン幅の変動率を低くすることが可能である。また、テトラヒドロフラン不溶分の含有量は、5.0質量%以上であることがより好ましい。
一方、テトラヒドロフラン不溶分の含有量が50.0質量%以下であることで、トナーの低温定着性、特に定着ポツ抜けの発生をさらに抑制できる。また、テトラヒドロフラン不溶分の含有量は、40.0質量%以下であることがより好ましく、30.0質量%以下であることがさらに好ましい。
なお、テトラヒドロフラン不溶分の含有量は、トナー処方や製造方法、およびトナーの製造に用いる結着樹脂の架橋成分や架橋剤等の含有量により制御することができる。
トナーのトルエンを用いたソックスレー抽出において、2時間抽出したときの結着樹脂のトルエン不溶分に含まれる樹脂の分子鎖の末端に3価以上の多価カルボン酸に由来する成分が結合していることが好ましい。
これにより、両面印刷された定着画像を高温高湿環境下に加圧状態で積層して長時間放置して保管した場合においても、画像の保存性が良好となる。
本発明者らの検討により、テトラヒドロフラン(THF)で18時間抽出して得られた結着樹脂の不溶分中には線状成分Xは殆ど残っていないが、トルエンで2時間抽出して得られた結着樹脂の不溶分中には、架橋成分Yに対して比較的強く絡まっていた線状成分Xが残っていることが判明した。
これは単純に抽出時間が短いだけでなく、トルエンがTHFよりもやや極性が低いため、線状成分Xを抽出する能力が低いためと考えられ、特に線状成分Xの中でも分子鎖末端の濃度が高く、極性が高い低分子量体の抽出が抑制されることに由来する。
トナーを、ソックスレー抽出器を用いて、トルエンで2時間抽出して得られた結着樹脂
の不溶分中に含まれる分子鎖は、架橋成分Yに対して物理的な絡まりが強く、架橋成分Yから外れにくい線状成分の分子構造を反映していると考えられる。
そして該分子鎖の末端に3価以上の多価カルボン酸由来の成分が結合している場合、該3価以上の多価カルボン酸が、アンカー効果を発現し、架橋成分Yと線状成分Xとの物理的な絡まりを強化させることができる。この効果により、両面印刷された定着画像を高温高湿環境下に加圧状態で積層して長時間放置して保管した場合においても、定着画像表面に線状成分が染み出して画像同士が張り付くことを抑制し、画像の保存性が良好となる。
上記の3価以上の多価カルボン酸由来の成分における3価以上の多価カルボン酸としては、以下ものが挙げられる。トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、及びこれらの無水物。これらの中でも、トリメリット酸及び/又はトリメリット酸無水物がより好ましい。
トナーの結着樹脂中に線状成分Xと架橋成分Yが部分的又は全体的に相互に絡み合った、ネットワーク構造体を形成していることが好ましい。
ここでいうネットワーク構造体とは、相互侵入網目構造とも称されるものであり、ポリマーブレンドの一種であり、ブレンドされた異種ポリマーが部分的又は全体的に相互に絡み合った、多重網目構造を有していることが好ましい。
そして、トナーに用いられる結着樹脂としては、上述した線状成分Xと架橋成分Yが部分的又は全体的に相互に絡み合って形成されたネットワーク構造体を含有する樹脂Aを用いることが好ましい。
樹脂Aについて以下に説明する。
樹脂Aとしては、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂が挙げられる。低温定着性に優れる点で、樹脂Aは、ポリエステル樹脂を含むことが好ましく、ポリエステル樹脂であることがより好ましい。すなわち、樹脂Aが、線状成分及び架橋成分を含むポリエステル樹脂であることが好ましい。樹脂Aにポリエステル樹脂を用いる場合、本発明の効果を損なわない範囲において、他の樹脂を含有していてもよい。
樹脂A中にネットワーク構造体を形成する方法としては特に制限されるものではないが、より安定的にネットワーク構造体を形成し易くするために、例えば、ポリエステル樹脂を製造する工程において、以下の要件を満たすようにすることが好ましい。
A)第一重合工程において、まず線状成分Xを重合する。その後、第二重合工程として、線状成分Xの存在下において、架橋成分Yのモノマーを追添した後、重合を逐次で行う。
具体的には、まず2価のアルコール及び2価のカルボン酸を縮重合し線状ポリエステルを得る。得られた線状ポリエステルの存在下、2価のアルコール及び2価のカルボン酸、並びに3価以上のアルコール又は3価以上のカルボン酸を加えて縮重合を行い、樹脂Aを得る。
B)第一重合工程において線状成分Xを重合する際に、1価の末端変性剤を重合後期に添加し、線状成分Xの末端を末端変性剤によって変性する。その後、第二重合工程へ移行し、架橋成分Yの重合を行う。
具体的には、まず2価のアルコール及び2価のカルボン酸を縮重合し線状ポリエステルを得る。さらに1価の末端変性剤を加えて線状ポリエステルの末端を変性する。次に2価のアルコール及び2価のカルボン酸、並びに3価以上のアルコール又は3価以上のカルボン酸を加えて縮重合を行い、樹脂Aを得る。
C)第二の重合工程において、線状成分Xの存在下、架橋成分Yのモノマーを添加して重合反応を進行させる際に、重合初期から重合後期にかけてのいずれかの段階において、3価の架橋剤を添加し、架橋反応を進行させる。
具体的には、まず2価のアルコール及び2価のカルボン酸を縮重合し線状ポリエステルを得る。さらに1価の末端変性剤を加えて線状ポリエステルの末端を変性する。次に2価のアルコール及び2価のカルボン酸を加え第二の縮重合を行う。該第二の縮重合における重合初期から重合後期のいずれかの時点で、3価以上のアルコール又は3価以上のカルボン酸を加えて縮重合を行い、樹脂Aを得る。
D)上記B)及びC)を満たす製造方法において、第二の重合工程における架橋剤を架橋成分Yの重合後半において添加し、架橋成分Yの架橋反応を進行させると同時に、線状成分Xの末端を、末端変性剤から架橋剤へ交換反応させる。
具体的には、まず2価のアルコール及び2価のカルボン酸を縮重合し線状ポリエステルを得る。さらに1価の末端変性剤を加えて線状ポリエステルの末端を変性する。次に2価のアルコール及び2価のカルボン酸を加え第二の縮重合を行う。その後、3価以上のアルコール又は3価以上のカルボン酸を加えて縮重合を行い、線状ポリエステルの末端を末端変性剤から3価以上のアルコール又は3価以上のカルボン酸に変換し、樹脂Aを得る。
E)上記B)及びC)を満たす製造方法において、第二の重合工程における重合初期において、架橋剤の一部を添加して重合反応を進行させた後、さらに重合後期に架橋剤の一部を添加して架橋成分Yの架橋反応を進行させると同時に、線状成分Xの末端を、末端変性剤から架橋剤へ交換反応させる。
具体的には、まず2価のアルコール及び2価のカルボン酸を縮重合し線状ポリエステルを得る。さらに1価の末端変性剤を加えて線状ポリエステルの末端を変性する。次に2価のアルコール及び2価のカルボン酸、並びに3価以上のアルコール又は3価以上のカルボン酸を加え第二の縮重合を行う。その後、さらに3価以上のアルコール又は3価以上のカルボン酸を加えて縮重合を行うことで、線状ポリエステルの末端を末端変性剤から3価以上のアルコール又は3価以上のカルボン酸に変換し、樹脂Aを得る。
A)の方法のように、線状成分の存在下において、架橋成分の重合を行うことで、線状成分と架橋成分が高度に絡み合った構造が形成され、ネットワーク構造体を形成し易くなるため好ましい。
また、B)の方法のように、線状成分の末端を1価の末端変性剤へ変性した後に、架橋成分のモノマーを添加して重合反応を進行させることで、線状成分の構造が維持された状態で、架橋成分の重合を進行させ易くなるため好ましい。
末端変性剤としては、特に制限されるものではなく、1価のカルボン酸、1価のアルコール、又はこれらの誘導体であることが好ましい。
その中でも1価の芳香族カルボン酸(安息香酸)及び/又はその誘導体であると、第二の重合工程において加水分解やエステル交換反応によって線状成分の構造が壊されにくくなるため、安定的にネットワーク構造体を形成し易くなるため好ましい。
なお、末端変性剤を添加した後、線状成分の末端と末端変性剤との反応を十分に進行させることが好ましい。
第二の重合工程において、線状成分が加水分解されにくくなり、安定的にネットワーク構造体を形成し易くなる点で、末端変性剤の添加量は、末端変性剤以外の線状成分のモノマー総量を100モル部とした場合に、3.0モル部以上14.0モル部以下であることが好ましく、5.0モル部以上13.5モル部以下であることがより好ましい。
そして、C)の方法のように、線状成分Xの存在下において、架橋成分Yのモノマーを
添加して重合反応を進行させる際に、重合初期から重合後期にかけてのいずれかの段階において、3価の架橋剤を添加して架橋反応を進行させることが好ましい。
これにより、線状成分Xと架橋成分Yとが相互に絡み合って、入り組んだネットワーク構造体を形成し易い。特に制限されるものではないが、架橋剤の添加は、重合初期及び重合後期の両方で行うことにより、より線状成分Xと架橋成分Yとが相互に入り組んだネットワーク構造体が得やすい。
架橋剤としては、特に制限されるものではなく、3価以上の多価カルボン酸、3価以上の多価アルコール、又はこれらの誘導体であることが好ましい。
3価以上の多価アルコール成分としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼンが挙げられる。
3価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、及びこれらの無水物が挙げられる。
これらの中でも、架橋剤としてはより反応性が高く、均一な架橋構造が形成され易い点で、トリメリット酸及び/又はトリメリット酸無水物を用いることが好ましい。
さらに、D)の方法に記載のように、第二の重合工程における架橋成分Yの重合後期において架橋剤を添加し、架橋成分Yの架橋反応を進行させると同時に、線状成分Xの末端を、末端変性剤から架橋剤へ交換反応させることが好ましい。
この方法により、トナーのトルエン不溶分中に含まれる樹脂の分子鎖の末端に、3価以上の多価カルボン酸由来の成分を結合させやすくなる。その結果、前述したように、画像の加圧保存性がさらに良好となる。
さらに、E)の方法に記載のように、第二の重合工程における重合初期において、架橋剤の一部を添加して重合反応を進行させた後、さらに重合後期に架橋剤の一部を添加して架橋成分Yの架橋反応を進行させることが好ましい。
重合初期における架橋剤の添加により、架橋成分Yが分岐しながら重縮合されることとなるため、線状成分Xと強固なネットワーク構造が形成されるため好ましい。また、重合後期における架橋剤の添加により、架橋成分Yの架橋構造が多重化することで、線状成分Xとの絡まりを助長できるため好ましい。また、トルエン不溶分中に含まれる分子鎖の末端に、3価以上の多価カルボン酸由来の成分を結合させやすくなる。
さらに、前述したように、線状成分Xの末端を、末端変性剤から架橋剤へ交換反応させることもできるため、架橋成分Yの網目に対して絡まった線状成分Xを外れにくく維持することができ、画像の加圧状態での保存性が良好となるため好ましい。
第二の重合工程において線状成分Xと架橋成分Yの絡み合いが強化され、壊されにくいネットワーク構造体が形成され易くなる点で、架橋剤の総添加比率は、架橋成分Yの架橋剤以外のモノマーの総量を100モル部とした場合、8.0モル部以上23.0モル部以下であることが好ましい。より好ましくは10.0モル部以上20.0モル部以下であり、さらに好ましくは14.0モル部以上19.0モル部以下である。
重合初期から添加する架橋剤の添加量が特定の範囲にあることで、架橋成分Yにおいて均一な分岐構造が形成され、線状成分Xとの物理的な絡まりが強くなる。重合初期から添加する架橋剤の添加量は、架橋成分Yの架橋剤以外のモノマーの総量を100モル部とした場合、3.0モル部以上20.0モル部以下であることが好ましい。より好ましくは、5.5モル部以上15.0モル部以下であり、さらに好ましくは、5.5モル部以上10.0モル部以下である。
重合後期に添加する架橋剤の添加量が多いほど、線状成分Xの末端変性剤と架橋剤との交換反応を促進できるため好ましい。添加量を適度な範囲に抑えることで、未反応の架橋剤の残存が抑制され、高温高湿環境下での帯電安定性が安定化する。
重合後期に添加する架橋剤の添加量は、架橋成分Yの架橋剤以外のモノマーの総量を100モル部とした場合、2.0モル部以上20.0モル部以下であることが好ましい。より好ましくは、4.0モル部以上15.0モル部以下であり、さらに好ましくは、8.0モル部以上13.0モル部以下である。
樹脂Aとして、ポリエステル樹脂を採用する場合、該ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分及び酸成分は以下のものが挙げられる。
アルコール成分としては、以下のような2価のアルコールが挙げられる。
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェールA、芳香族ジオールとしては、下記式[I]で表されるビスフェノール及びその誘導体、下記式[II]で示されるジオール類。
Figure 0006961464

(式中、Rはエチレン基又はプロピレン基を示し、x及びyはそれぞれ0以上の整数であり、かつx+yの平均値は0以上10以下である。)
Figure 0006961464

式中、R’は
Figure 0006961464

であり、x’及びy’はそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x’+y’の平均値は0以
上10以下である。
酸成分としては、以下のような2価のカルボン酸が挙げられる。
フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸のようなベンゼンジカルボン酸類又はその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸のようなアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6以上18以下のアルキル基若しくは炭素数6以上18以下のアルケニル基で置換されたこはく酸又はその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸又はその無水物。
3価以上の多価アルコール成分としては、上記樹脂Aを合成する際に用いる架橋剤として挙げた3価以上の多価アルコール成分と同様のものが挙げられる。
3価以上の多価カルボン酸成分としては、上記樹脂Aを合成する際に用いる架橋剤として挙げた3価以上の多価カルボン酸成分と同様のものが挙げられる。
トナーには、発明の効果を損なわない範囲において、他の樹脂を含有していてもよい。また、ポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂と、スチレンアクリル樹脂などのビニル樹脂とのハイブリッド樹脂であってもよい。
樹脂Aのガラス転移温度(Tg)は、Tgtが上述の範囲となるように調整すれば特に制限はないが、原材料の保管性の観点から50℃以上75℃以下であることが好ましい。また、同様の観点から、樹脂Aの軟化点は90℃以上170℃以下であることが好ましい。
さらに、樹脂Aの重量平均分子量(Mw)は、トナーの耐久性と、定着性の観点から、8,000以上1,200,000以下であることが好ましく、40,000以上300,000以下であることがより好ましい。
トナー粒子に含有される結着樹脂は、樹脂Aの1種類であってもよいが、さらに以下のi)及びii)の規定を満たす樹脂Bを含有することが好ましい。これにより、さらに定着画像の保存性が良好となり、トナーの低温定着性も良化する。
i)ポリエステル構造を有する。
ii)R―O―又はR―COO―で表される部分構造を有する。
(該構造式中、Rは、炭素数12〜102の脂肪族炭化水素の水素原子が1つ脱離した構造を有する基を表す。Rは、炭素数11〜101の脂肪族炭化水素の水素原子が1つ脱離した構造を有する基を表す。)
該結着樹脂中の樹脂Aの含有量は、15質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、25質量%以上であることがさらに好ましい。また上限の制限はないが、樹脂Bを含有することが好ましいことから、85質量%以下であることが好ましく、80質量%以下がより好ましく、75質量%以下であることがさらに好ましい。
該樹脂Bは、
i)ポリエステル構造を有することで、前述した線状成分Xと架橋成分Yとで構成されるネットワーク構造体に対して均一に分散し、線状成分Xと架橋成分Yの相互の分散性をより良化させる。
さらに、ii)R―O―又はR―COO―で表わされる部分構造を有することで、樹脂Bはネットワーク構造体に対して物理的に絡まり易くなる。
これらのことから、定着画像を高温高湿環境下、加圧状態で放置するという厳しい放置条件においても、線状成分Xと架橋成分Yの分散性状態が良好に維持され、画像の張り付きを抑制できる。
さらに、樹脂Bの分子鎖の末端に存在するii)R―O―又はR―COO―の構造
が、定着時に架橋成分Yを効率的に可塑化するため、低温定着性がより良好となる。
より良好な低温定着性を有し、加圧状態での画像保存性も良好であるトナーとするために、Rは、炭素数25〜75の脂肪族炭化水素の水素原子が1つ脱離した構造を有する基であることがより好ましい。また、Rは、炭素数24〜74の脂肪族炭化水素の水素原子が1つ脱離した構造を有する基であることがより好ましい。
上記脂肪族炭化水素は炭素数が大きいことから、炭素数を「炭素数のピーク値」で表すこともある。例えば、炭素数12〜102の脂肪族炭化水素は、炭素数のピーク値が12〜102の脂肪族炭化水素と表すこともある。この時、「炭素数のピーク値」とは、脂肪族炭化水素のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたメインピーク分子量から算出される炭素数のことである。
また、樹脂Bがネットワーク構造体に対して均一に分散し、線状成分Xや架橋成分Yと絡みあうことで上記の効果が高まることから、樹脂Bは実質的に架橋していない非架橋性の樹脂であることが好ましい。
該樹脂Bのガラス転移温度(Tg)は、Tgtが上述の範囲となるように調整すれば特に制限はないが、原材料の保管性と得られるトナーの低温定着性の観点から、45℃以上65℃以下であることが好ましい。また、同様の観点から、樹脂Bの軟化点は80℃以上120℃以下であることが好ましい。
さらに、樹脂Bの重量平均分子量(Mw)は、トナーの耐久性と、定着性の観点から、3,000以上20,000以下であることが好ましく、4,000以上15,000以下であることがより好ましい。
結着樹脂中における、樹脂Aと樹脂Bの質量比(樹脂A:樹脂B)は、15:85〜85:15であることが好ましく、20:80〜80:20であることがより好ましく、25:75〜75:25であることがさらに好ましい。
なお、トナー粒子が樹脂Bを含み、樹脂Bが非架橋性の樹脂である場合、THF不溶分は主として架橋成分Yに由来するものとなるが、THF可溶分は線状成分Xと樹脂Bの混合物に由来するものとなる。
このようにTHF可溶分が混合物に由来するものであっても、上述した関係を満たすことで、樹脂Bを含めた結着樹脂が全体としてネットワーク構造体を形成できているものと推定される。これにより、低温定着性、排紙接着性、苛酷保存性、耐カール性などの効果を発揮しうるものと考えられる。
トナー粒子は離型剤を含有してもよい。該離型剤としては定着スリーブとトナー画像との離型性を高められるものであれば制限はないが、以下に好ましい離型剤について説明する。
例えば、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、及びフィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素系ワックスが挙げられる。また、これらの離型剤を、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は融液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたものなどがある。
離型剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。
ビスコール(登録商標)330−P、550−P、660−P、TS−200(三洋化成工業社)、ハイワックス400P、200P、100P、410P、420P、320P、220P、210P、110P(三井化学社)、サゾールH1、H2、C80、C105、C77(シューマン・サゾール社)、HNP−1、HNP−3、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12(日本精鑞株式会社)、ユニリン(登録商標)350、425、550、700、ユニシッド(登録商標)350、425、550、700(東洋アドレ株式会社)、木ろう、蜜ろう、ライスワックス、キャンデリラワックス、
カルナバワックス(株式会社セラリカNODAにて入手可能)。
該離型剤を添加するタイミングは、トナー粒子の製造時でもよいが、結着樹脂の製造時であってもよく、既存の方法から適宜選ばれる。また、これらの離型剤は単独で使用しても、併用してもよい。
離型剤の含有量は、結着樹脂100.0質量部に対して、0.5質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。より好ましくは、0.5質量部以上10.0質量部以下である。
離型剤の融点は、トナーの耐久性と低温定着性の観点から、60℃以上120℃以下であることが好ましく、70℃以上110℃以下であることがより好ましい。
トナーは、磁性一成分トナーとしてもよい。
磁性一成分トナーとして用いる場合、着色剤としては、磁性体が好ましく用いられる。磁性一成分トナーに含まれる磁性体としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトのような磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む磁性酸化鉄;Fe、Co、Niのような金属、又は、これらの金属とAl、Co、Cu、Pb、Mg、Ni、Sn、Zn、Sb、Be、Bi、Cd、Ca、Mn、Se、Ti、W、Vのような金属との合金、及びこれらの混合物が挙げられる。
磁性体はトナー粒子中への微分散性を向上させる目的で、製造時にせん断力を付与し、磁性体を一旦ほぐす処理を施すことが好ましい。
これらの磁性体は個数平均粒子径が、0.05μm以上2.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.05μm以上0.50μm以下である。
着色剤が磁性体である場合、磁性体の含有量は、トナーの排紙接着性、耐カール性、定着性の観点から、結着樹脂100質量部に対して、35質量部以上120質量部以下であることが好ましく、40質量部以上100質量部以下であることがより好ましい。
また、必要に応じて、トナーの色味調整のために従来公知の顔料や染料を併用してもよい。
トナー粒子は、帯電均一性をより良好にするために、電荷制御剤を含有してもよい。
電荷制御剤としては、結着樹脂にポリエステル樹脂を用いる場合、その末端に存在する酸基又は水酸基と中心金属が相互作用し易い、有機金属錯体、キレート化合物が好ましい。例えば、モノアゾ金属錯体;アセチルアセトン金属錯体;芳香族ヒドロキシカルボン酸若しくは芳香族ジカルボン酸の金属錯体又は金属塩が好ましく用いられる。
具体例として、Spilon Black TRH、T−77、T−95(保土谷化学工業(株))、BONTRON(登録商標)S−34、S−44、S−54、E−84、E−88、E−89(オリエント化学工業(株))が挙げられる。
また、電荷制御剤は1種類で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
トナーは、トナー中の円相当径1.985μm未満の粒子の個数%で表される小粒子率が低いほど、ライン幅の均一性が良好となるため好ましい。
トナーが、線状成分Xと架橋成分Yとが一体化されたネットワーク構造体を有する場合、定着時にトナーが完全溶融せずにトナー形状がある程度残された状態で定着される傾向にある。
そのため、縦ラインと横ラインにおいて、現像されたトナーの個数にバラツキがあると、ライン幅のバラツキとして顕在化され易い。
トナーの小粒子率が低いほどトナー間付着力が低下し、現像時にトナーが一粒子ごとに解れて現像され易くなり、縦ラインと横ラインを現像するトナーの個数を均一化することができ、縦ラインと横ラインのライン幅の均一性が良好となる。
該小粒子率は、8.0%以下であることが好ましく、5.0%以下であることがより好ましい。下限は特に制限されないが、好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.3%
以上であり、さらに好ましくは2.0%以上である。
トナーの製造方法は、特に制限されるものではなく従来公知の製造方法を採用することができる。
トナーは、特に制限されるものではないが、溶融混練工程を経て、得られたトナー粒子を含有することが好ましく、トナー粒子の製造方法として好ましい態様を以下に説明する。
トナー粒子の製造方法としては、結着樹脂及び着色剤、並びに必要に応じて離型剤などの添加剤を混合する原料混合工程、得られた混合物を溶融混練する溶融混練工程、得られた溶融混練物を冷却固化し、それを粉砕する工程などを含む粉砕法が例示できる。
例えば、原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、結着樹脂(例えば、樹脂A及び樹脂B)及び着色剤、並びに必要に応じて離型剤などの添加剤を、所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、FMミキサー、ナウターミキサー、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
混合した材料を溶融混練してせん断力を加えることで、結着樹脂中におけるネットワーク構造体の構造を維持しながら樹脂Bを均一に分散させることができる。同時に、トナー粒子における着色剤、離型剤などの分散性を向上されることができる。
溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーのようなバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。連続生産でき、均一混合性に優れることから2軸押出機を用いることが好ましい。
具体的にはTEX混練機(日本製鋼所社製)、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝鉄工製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、などが挙げられる。
混練軸の全長に対するニーディングゾーンの比率(以下、単にニーディング比率ともいう)は20%以上50%以下であることが好ましい。20%以上50%以下であることにより、混練時の発熱や過度なせん断力を抑制しながら、結着樹脂と着色剤や離型剤などに適切なせん断力をかけることが可能となる。その結果、材料分散性が向上し、トナーの現像時の飛び散りが抑えられてドット再現性が良好となる。
また、結着樹脂中のネットワーク構造体を壊さずに他の材料の分散性を高められることから、得られるトナーの軟化点を好ましい範囲に調整し易く、溶融混練によるTHF不溶分量の低下も抑えることができる。
冷却工程では、得られた溶融混練物は、2本ロールなどで圧延し、水などによって冷却するとよい。
得られた冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕するとよい。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルのような粉砕機で粗粉砕した後、さらに、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボ・ミル(ターボ工業製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕するとよい。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)のような分級機や篩分機を用いて分級し、トナー粒子を得るとよい。
また、必要に応じて、粉砕後に、ハイブリタイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)、メテオレインボー MR Type(日本ニューマチック社製)を用いて、
球形化処理のようなトナー粒子の表面処理を行うこともできる。
トナーの小粒子率を低くする手法は、特に限定されないが、例えば、粉砕後にファカルティを用いて機械的に表面処理を施す際に、機械的処理部(ハンマー)の個数を増やしたり、1バッチにおける仕込み量を低くしたり、処理時間を長くしたりするとよい。
また、メテオレインボーのような熱風を用いた球形化処理を施すことによっても小粒子率を低減することが可能である。この場合、熱風の温度を、トナーの「軟化点−20℃」以上、トナーの「軟化点+100℃」以下の範囲おいて、調整するとよい。
上記工程後、トナー粒子表面に必要に応じて他の外添剤を外添した後、必要に応じて分級機や篩分機を用いて分級し、トナーを得るとよい。
外添工程で用いる混合装置としては、FMミキサー(日本コークス工業社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)などが挙げられる。
外添工程における混合時間は、外添剤の分散性の観点から、0.5分以上10.0分以下の範囲に調整することが好ましく、1.0分以上5.0分以下の範囲に調整することがより好ましい。
外添剤としては、トナーの流動性や帯電性を向上させるために小粒径(一次粒子の個数平均粒径が5nm以上30nm以下程度)の流動性向上剤を添加してもよい。
流動性向上剤としては、例えば、フッ化ビニリデン微粒子、及びポリテトラフルオロエチレン微粒子のようなフッ素系樹脂微粒子;湿式製法シリカ又は乾式製法シリカのようなシリカ微粒子、酸化チタン微粒子、及びアルミナ微粒子などの無機微粒子;該無機微粒子をシラン化合物、チタンカップリング剤、又はシリコーンオイルなどにより表面処理を施した処理微粒子;酸化亜鉛、及び酸化スズのような酸化物微粒子;チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウム、及びジルコン酸カルシウムのような複酸化物微粒子;炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウムのような炭酸塩化合物微粒子が挙げられる。
これらのうち、好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粒子であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次のようなものである。
SiCl+2H+O→SiO+4HCl
この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタンなどの他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粒子を得ることも可能であり、シリカ微粒子としてはそれらも包含する。
流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粒子に疎水化処理した処理シリカ微粒子がより好ましい。
流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が、30m/g以上300m/g以下であることが好ましい。
次に、本発明に係る各物性の測定方法に関して記載する。
<ガラス転移温度の測定方法>
ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)「Q2000」(TA Instruments社製)を用い、ASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料約2mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用いる。
測定温度範囲を−10℃〜200℃とし、昇温速度10℃/minで測定を行う。
なお、測定においては、一度、−10℃から200℃まで昇温速度10℃/minで昇温し、続いて200℃から−10℃まで降温速度10℃/minで降温する。
その後、−10℃から200℃まで昇温速度10℃/minで再度昇温を行う。
該2回目の昇温時の20℃から100℃の範囲におけるDSC曲線を得る。
該2回目の昇温時のDSC曲線において、比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線とDSC曲線との交点における温度(℃)を、ガラス転移温度とする。
<軟化点の測定方法>
軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。なお、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。
まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとSminの和となるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料は、約1.0gのトナーを、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
昇温速度:4℃/min
開始温度:40℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
ピストン断面積:1.000cm
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
<トナー粒子の重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行なう前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10
.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(商品名;非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤及び有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(商品名;日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー粒子を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<トナーの小粒子率の測定方法>
トナーの小粒子率は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mLを入れる。
この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2mL加える。
さらに測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。
超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2mL添加する。
測定には、対物レンズとして「UPlanApro」(倍率10倍、開口数0.40)を搭載したフロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−
900A」(シスメックス社製)を使用する。上記手順に従い調製した分散液をフロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナーを計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上39.69μm未満に限定する。
そして解析結果から、円相当径1.985μm未満のトナーの個数%である、小粒子率(個数%)を求める。
<結着樹脂のテトラヒドロフラン(THF)不溶分又は可溶分の抽出及び含有量の測定方法>
トナー約1.5gを精秤(W1[g])し、予め精秤した円筒濾紙(商品名:No.86R、サイズ28×100mm、アドバンテック東洋社製)に入れてソックスレー抽出器にセットする。
溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)200mLを用いて18時間抽出する。その際に溶媒の抽出サイクルが約5分に一回になるような還流速度で抽出を行う。
抽出終了後、円筒ろ紙を取り出して風乾した後、40℃で8時間真空乾燥し、抽出残分を含む円筒濾紙の質量を秤量し、円筒濾紙の質量を差し引くことにより、抽出残分の質量(W2[g])を算出する。
次に、結着樹脂以外の成分の含有量(W3[g])を以下の手順で求める。
予め秤量した30mLの磁性るつぼに約2gのトナーを精秤(Wa[g])する。
磁性るつぼを電気炉に入れ、約900℃で約3時間加熱し、電気炉中で放冷し、常温下でデシケーター中に1時間以上放冷し、焼却残灰分を含むるつぼの質量を秤量し、るつぼの質量を差し引くことにより焼却残灰分(Wb[g])を算出する。
そして、下記式(A)により、試料W1[g]中の焼却残灰分の質量(W3[g])を算出する。
W3=W1×(Wb/Wa) (A)
この場合、結着樹脂中のTHF不溶分の含有量(質量%)は、下記式(B)で求められる。
結着樹脂中のTHF不溶分の含有量(質量%)=
{(W2−W3)/(W1−W3)}×100 (B)
<Tgt、Tgf、Tgkの測定方法>
Tgtは、上記「ガラス転移温度の測定方法」において、試料をトナーとして測定する。
Tgfは、上記「ガラス転移温度の測定方法」において、上記「結着樹脂のテトラヒドロフラン(THF)不溶分又は可溶分の抽出及び含有量の測定方法」に記載の、円筒濾紙上に残った抽出残分(結着樹脂のTHF不溶分)を試料として測定する。
Tgkは、上記「ガラス転移温度の測定方法」において、以下の方法で取得した、結着樹脂のTHF可溶分を試料として測定する。
上記「結着樹脂のテトラヒドロフラン(THF)不溶分又は可溶分の抽出及び含有量の測定方法」において、抽出終了後、ソックスレー抽出器で抽出されたTHF可溶分を採取してナスフラスコに投入し、ウォーターバスを付帯するロータリーエバポレーターを用いて水温40℃で4時間THFを留去した後、40℃で8時間真空乾燥を行い、ナスフラスコ中に残った残分を結着樹脂のTHF可溶分とする。
<結着樹脂のトルエン不溶分に含まれる分子鎖の末端に、3価以上の多価カルボン酸由来の成分が結合されていることの確認方法>
トナー約1.5gを精秤し、予め精秤した円筒濾紙(商品名:No.86R、サイズ28×100mm、アドバンテック東洋社製)に入れてソックスレー抽出器にセットする。
溶媒としてトルエン200mLを用いて2時間抽出し、その際に溶媒の抽出サイクルが約5分に一回となるような還流速度で抽出を行う。
抽出終了後、円筒濾紙紙を取り出して風乾した後、40℃で3時間真空乾燥を行い、円筒流紙上に残った抽出残分をサンプリングして結着樹脂のトルエン不溶分とする。
そして、MALDI−TOFMS(Bruker Daltonics製 Ultraflextream)を用い、該結着樹脂のトルエン不溶分に含まれる分子鎖の末端に3価以上の多価カルボン酸由来の成分が結合しているか確認する。
該結着樹脂のトルエン不溶分(サンプル)を2mg精秤し、クロロホルム2mLを加えて溶解してサンプル溶液を作製する。
次に、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(DHBA)20mg精秤し、クロロホルム1mLを添加し、溶解して、マトリックス溶液を調製する。
そして、トリフルオロ酢酸Na(NaTFA)3mgを精秤した後、アセトンを1mL添加し、溶解して、イオン化助剤溶液を調製する。
このようにして調製したサンプル溶液25μL、マトリックス溶液50μL、イオン化助剤溶液5μLを混合して、MALDI分析用のサンプルプレートに滴下し、乾燥することで測定サンプルとする。
得られたマススペクトルにおいて、オリゴマー領域(m/Zが2000以下)の各ピークの帰属を行い、樹脂の分子鎖末端に3価以上の多価カルボン酸由来の成分が結合した組成に対応するピークが存在するか否かを確認する。これにより、結着樹脂のトルエン不溶分に含まれる樹脂の分子鎖の末端に、3価以上の多価カルボン酸由来の成分が結合しているか否かを判別する。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は何らこれに制約されるものではない。なお、実施例において部及び%は、特に断りのない限り質量基準である。
<樹脂A−1の製造例>
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、線状成分Xの重合に用いる原料モノマーのうち、安息香酸以外の原料モノマーを表1に示す配合量(モル部)で投入した後、触媒としてジブチル錫を、原料モノマー総量100部に対して1.0部添加した。
そして、窒素雰囲気下にて撹拌しながら槽内温度を150℃に昇温した後、150℃から200℃まで10℃/時間の昇温速度で加熱しながら水を留去して重合を行った。
200℃に到達してから反応槽内を5kPa以下まで減圧し、200℃、5kPa以下の条件下にて3時間重縮合を行った。
その後、一旦常圧に戻した後、安息香酸を表1の配合量で添加し、窒素雰囲気下にて撹拌しながら2時間反応させた。
次に、窒素雰囲気下にて撹拌しながら150℃に降温させた後、架橋成分Yの重合に用いる原材料モノマーのうち、無水トリメリット酸の一部(表1に記載の無水トリメリット酸(後))を除いた原料モノマーを、表1に示す配合量(モル部)で投入した。
その後、窒素雰囲気下で撹拌しながら150℃から220℃まで10℃/時間の昇温速度で加熱しながら水を留去して重合を行い、220℃に到達してから、反応槽内を5kPa以下まで減圧し、220℃、5kPa以下の条件下にて3時間重縮合を行った。
その後、一旦常圧に戻した後、表1の無水トリメリット酸(後)の欄に記載の配合量の無水トリメリット酸を投入し、窒素雰囲気下にて撹拌しながら3時間重縮合させた。
そして、反応槽内を5kPa以下まで減圧し、撹拌しながら3時間重縮合させて取り出し、冷却、粉砕して樹脂A−1を製造した。得られた樹脂A−1の諸物性を表1に示す。
Figure 0006961464

表1及び表2中において、
BPA−POは、ビスフェールAプロピレンオキサイド付加物(2.0mol付加)を、
BPA−EOは、ビスフェールAエチレンオキサイド付加物(2.0mol付加)を、
無水トリメリット酸(初)は、架橋成分Yのモノマーと同時に添加した無水トリメリット酸の添加量を、
無水トリメリット酸(後)は、架橋成分Yの重合後半において添加した無水トリメリット酸の添加量を、
モル部は、線状成分Xに用いたアルコール成分(BPA−PO、BPA−EO)の総量を100モル部とした時の比率を、
全架橋剤比率は、架橋成分Yの架橋剤以外のモノマーの総量(モル部)を100モル%とした場合の、架橋剤の添加比率を、
初期の架橋剤比率は、架橋成分Yの架橋剤以外のモノマーの総量(モル部)を100モル%とした場合の、初期に添加した架橋剤の添加比率を、
後期の架橋剤比率は、架橋成分Yの架橋剤以外のモノマーの総量(モル部)を100モル%とした場合の、後期に添加した架橋剤の添加比率を、それぞれ示す。
<樹脂A−2〜樹脂A−8の製造例>
樹脂A−1の製造例において、表1に示すように、線状成分Xと架橋成分Yに用いる原料モノマーの配合量(モル部)を変更した以外は、樹脂A−1の製造例と同様にして、樹脂A−2〜樹脂A−8を得た。樹脂A−2〜樹脂A−8の諸物性を表1に示す。
<樹脂A−9〜樹脂A−14の製造例>
樹脂A−1の製造例において、表2に示すように、線状成分Xと架橋成分Yに用いる原
料モノマーの配合量(モル部)を変更した以外は、樹脂A−1の製造例と同様にして、樹脂A−9〜樹脂A−14を得た。樹脂A−9〜樹脂A−14の諸物性を表2に示す。
Figure 0006961464
<樹脂C−1の製造例>
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、表3に記載の原料モノマーのうち、無水トリメリット酸の一部(表3に記載の無水トリメリット酸(後))を除いた原料モノマーを、表3に示す配合量(モル部)で投入した。
その後、触媒としてジブチル錫を原料モノマー総量100質量部に対して1.0質量部添加した。
そして、窒素雰囲気下にて撹拌しながら槽内温度を150℃に昇温した後、150℃から220℃まで10℃/時間の昇温速度で加熱しながら水を留去して重合を行った。
220℃に到達してから反応槽内を5kPa以下まで減圧し、220℃、5kPa以下の条件下にて3時間重縮合を行った。
その後、一旦常圧に戻した後、表3の無水トリメリット酸(後)の欄に記載の配合量の無水トリメリット酸を投入し、窒素雰囲気下にて撹拌しながら3時間重縮合させた。
そして、反応槽内を5kPa以下まで減圧し、撹拌しながら3時間重縮合させて取り出し、冷却、粉砕して樹脂C−1を製造した。得られた樹脂C−1の諸物性を表3に示す。
Figure 0006961464

表3中において、
BPA−POは、ビスフェールAプロピレンオキサイド付加物(2.0mol付加)を、
BPA−EOは、ビスフェールAエチレンオキサイド付加物(2.0mol付加)を、
無水トリメリット酸(初)は、初めに添加した無水トリメリット酸の添加量を、
無水トリメリット酸(後)は、重合後半において添加した無水トリメリット酸の添加量を、
モル部は、原料モノマーにおける、アルコール成分(BPA−PO、BPA−EO)の総量を100モル部とした時の比率を、それぞれ示す。
<樹脂C−2の製造例>
窒素導入管、脱水管、携拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、表3に記載の原料モノマーのうち、安息香酸以外の原料モノマーを表3に示す配合量(モル部)で投入した。
その後、触媒としてジブチル錫を原料モノマー総量100質量部に対して1.0質量部添加した。
そして、窒素雰囲気下にて撹拌しながら槽内温度を150℃に昇温した後、150℃から200℃まで10℃/時間の昇温速度で加熱しながら水を留去して重合を行った。
200℃に到達してから反応槽内を5kPa以下まで減圧し、200℃、5kPa以下の条件下にて3時間重縮合を行った。
その後、一旦常圧に戻した後、安息香酸を表3の配合量で添加し、窒素雰囲気下にて撹拌しながら2時間反応させた後に取り出し、冷却、粉砕して樹脂C−2を製造した。得られた樹脂C−2の諸物性を表3に示す。
<樹脂C−3の製造例>
樹脂C−2の製造例において、表3に示すように、原料モノマーの配合量(モル部)を変更した以外は、同様にして、樹脂C−3を得た。樹脂C−3の諸物性を表3に示す。
<樹脂C−4の製造例>
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、表3に記載の原料モノマーを表3に示す配合量(モル部)で投入した後、触媒としてジブチル錫を原料モノマー
総量100質量部に対して1.0質量部添加した。
そして、窒素雰囲気下にて撹拌しながら槽内温度を150℃に昇温した後、150℃から220℃まで10℃/時間の昇温速度で加熱しながら水を留去して重合を行った。
220℃に到達してから反応槽内を5kPa以下まで減圧し、220℃、5kPa以下の条件下にて5時間重縮合を行った後に取り出し、冷却、粉砕して樹脂C−4を製造した。得られた樹脂C−4の諸物性を表3に示す。
<樹脂C−5の製造例>
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、表3に記載の原料モノマーを表3に示す配合量(モル部)で投入した後、触媒としてジブチル錫を原料モノマー総量100質量部に対して1.0質量部添加した。
そして、窒素雰囲気下にて撹拌しながら槽内温度を150℃に昇温した後、150℃から200℃まで10℃/時間の昇温速度で加熱しながら水を留去して重合を行った。
200℃に到達してから反応槽内を5kPa以下まで減圧し、200℃、5kPa以下の条件下にて3時間重縮合を行った。
その後、取り出し、冷却、粉砕して樹脂C−5を製造した。得られた樹脂C−5の諸物性を表3に示す。
<脂肪族化合物1の製造例>
炭素数のピーク値が22の飽和脂肪族炭化水素をアクリル酸によって変性させ、反応物を得た。該変性品20部をn−ヘキサン100部に加え、未変成分を溶解除去して脂肪族化合物1を得た。得られた脂肪族化合物1の諸物性を表4に示す。
Figure 0006961464
<脂肪族化合物2の製造例>
炭素数のピーク値が75の飽和脂肪族炭化水素1200部をガラス製の円筒型反応容器に入れ、硼酸38.5部を温度140℃で添加した。その後、直ちに空気50容量%と窒素50容量%の酸素濃度約10容量%の混合ガスを毎分20Lの割合で吹き込み、200℃で3.0時間反応させた。反応後、反応液に温水を加え、95℃で2時間加水分解を行い、静置後上層の反応物を得た。得られた変性品20部をn−ヘキサン100部に加え、未変性成分を溶解除去して脂肪族化合物2を得た。得られた脂肪族化合物2の諸物性を表4に示す。
<脂肪族化合物3の製造例>
飽和脂肪族炭化水素の炭素数のピーク値を変更した以外は、脂肪族化合物2の製造例と同様にして、脂肪族化合物3を得た。得られた脂肪族化合物3の諸物性を表4に示す。
<樹脂B−1の製造例>
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、表5に記載の原料モノマーを表5に示す配合量(モル部)で投入した後、触媒としてジブチル錫を原料モノマー総量100部に対して1.0部添加した。このとき脂肪族化合物4としては、ユニリン7
00(東洋ペトロライト社製、炭素数のピーク値が50、分子量が717)を用いた。
そして、窒素雰囲気下にて攪拌しながら槽内温度を150℃に昇温した後、150℃から200℃まで10℃/時間の昇温速度で加熱しながら水を留去して重合を行った。
200℃に到達してから反応槽内を5kPa以下まで減圧し、200℃、5kPa以下の条件下にて3時間重縮合を行った。その後、取り出し、冷却、粉砕して樹脂B−1を製造した。得られた樹脂B−1の諸物性を表5に示す。
Figure 0006961464
<樹脂B−2〜樹脂B−5、及び樹脂6の製造例>
樹脂B−1の製造例おいて、表5に示すように、原料モノマーの配合量(モル部)を変更した以外は、同様にして、樹脂B−2〜樹脂B−5、及び樹脂6を得た。
このとき、脂肪族化合物1の分子量は383であり、脂肪族化合物2の分子量は1067であり、脂肪族化合物3の分子量は1417であった。
また、樹脂B−5の製造例においては、脂肪族化合物5として、1−ドデカノール(和光純薬社製 和光純薬工業社(一級)、炭素数12、分子量185)を用いた。樹脂B−2〜樹脂B−5、及び樹脂6の諸物性を表5に示す。
<シリカ微粒子1の製造例>
乾式法により得られたヒュームドシリカ(BET:200m/g)100部を原体とし、ヘキサメチルジシラザン15部で処理した後、25℃における粘度が50mm/sのジメチルシリコーンオイル13部でオイル処理したのち、解砕、篩分級処理を施し、シリカ微粒子1を得た。
<トナー1の製造例>
・結着樹脂(樹脂A−1) 60.0部
・結着樹脂(樹脂B−1) 40.0部
・着色剤(磁性粒子1) 95.0部
(磁性粒子1は、一次粒子の個数平均粒径が0.12μm、保持力Hcが9.3kA/m、磁化σsが80.6Am/kg、残留磁化σrが12.9Am/kgの磁性酸化鉄微粒子であり、磁気特性は外部磁場10kOe印加時における値である。)
・離型剤(フィッシャートロップシュワックス) 2.0部
(サゾール社製、C105、融点105℃)
・電荷制御剤(T−77、保土谷化学社製) 2.0部
上記の材料をFMミキサ(日本コークス工業社製)で前混合した後、二軸混練押し出し機(東芝機械社製 TEM−26SS φ26mm L/D=48)によって溶融混練した。
このとき、混練軸としてニーディング比率(混練軸全長に対する、ニーディングパドルピースの長さの合計の割合)が35%である、混練軸1を用いた。
そして、フィード量を20kg/h、回転数を200rpmとし、ダイから吐出される結着樹脂の温度が150℃となるように、ダイ温度及び混練機のヒーター温度を調整した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、機械式粉砕機(ターボ工業社製 T−250)で粉砕し、得られた微粉砕物を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級したのち、機械式表面処理装置(ホソカワミクロン社製 ファカルティF−400)を用いて表面処理を行った。
表面処理条件は、分散回転数を5500rpm、分級回転数を7000rpm、ハンマーの個数を8個とし、1バッジの処理質量を200g、処理時間を60秒とした(この表面処理条件を条件1とした)。
これにより、重量平均粒径(D4)6.8μmのトナー粒子1を得た。
次いで、FMミキサー(FM−10型、処理容積10L、日本コークス工業社製)を用い、以下の処方で材料を投入し、回転羽根の周速35m/sec、混合時間180secの条件で外添した。
・トナー粒子1 100.0部
・シリカ微粒子1 1.20部
その後、目開き75μmの篩を通過させた後、トナー1を得た。
得られたトナー1の諸物性を表6に示す。
<トナー2〜10の製造例>
トナー1の製造例において、トナー粒子の処方、混練軸の条件をそれぞれ変更した以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー2〜10を得た。トナー2〜10の諸物性を表6に示す。混練軸2は、ニーディング比率(混練軸全長に対する、ニーディングパドルピースの長さの合計の割合)が20%であり、混練軸3は、ニーディング比率が50%であり、混練軸4は、ニーディング比率が15%であり、混練軸5は、ニーディング比率が55%である。
Figure 0006961464
<トナー11〜14の製造例>
トナー4の製造例において、トナー粒子に用いる結着樹脂を変更した以外は同様にして、トナー11〜14を得た。トナー11〜14の諸物性を表7に示す。
<トナー15〜18の製造例>
トナー3の製造例において、トナー粒子に用いる結着樹脂を変更した以外は同様にして、トナー15〜18を得た。トナー15〜18の諸物性を表7に示す。
<トナー19の製造例>
トナー18の製造例において、表面処理条件を以下のように変更した以外は同様にして
、トナー19を得た。トナー19の諸物性を表7に示す。
表面処理条件としては、分散回転数を5500rpm、分級回転数を7000rpm、ハンマーの個数を4個とし、1バッジの処理重量200g、処理時間30秒とした(この表面処理条件を条件2とした)。
<トナー20の製造例>
トナー18の製造例において、機械式表面処理を施さず、多分割分級機の条件を調整して得られるトナー粒子の重量平均粒径(D4)が6.8μmになるようにした以外は同様にして、トナー20を得た。トナー20の諸物性を表7に示す。
<トナー21の製造例>
トナー20の製造例において、トナー粒子に用いる結着樹脂を変更し、及び着色剤として磁性粒子1とカーボンブラック1(BET比表面積が60m/g、DBP吸油量が45cm/100g、表7中にはCB1と記載)を表7に記載の質量部で併用した以外は、トナーの製造例20と同様にしてトナー21を得た。トナー21の諸物性を表7に示す。
Figure 0006961464
<トナー22〜24の製造例>
トナー3の製造例において、トナー粒子に用いる結着樹脂を変更し、機械式表面処理を施さず、多分割分級機の条件を調整して得られるトナー粒子の重量平均粒径(D4)が6.8μmになるようにした以外は同様にして、トナー22〜24を得た。トナー22〜24の諸物性を表8に示す。
<トナー25〜26の製造例>
トナー4の製造例において、トナー粒子に用いる結着樹脂を変更し、機械式表面処理を施さず、多分割分級機の条件を調整して得られるトナー粒子の重量平均粒径(D4)が6.8μmになるようにした以外は同様にして、トナー25〜26を得た。トナー25〜26の諸物性を表8に示す。
<トナー27の製造例>
トナー1の製造例において、トナー粒子に用いる結着樹脂を変更し、機械式表面処理を施さず、多分割分級機の条件を調整して得られるトナー粒子の重量平均粒径(D4)が6.8μmになるようにした以外は同様にして、トナー27を得た。
トナー27の諸物性を表8に示す。
<トナー28の製造例>
トナー6の製造例において、混練軸の条件を変更し、機械式表面処理を施さず、多分割分級機の条件を調整して得られるトナー粒子の重量平均粒径(D4)が6.8μmになるようにした以外は同様にして、トナー28を得た。トナー28の諸物性を表8に示す。
<トナー29の製造例>
トナー3の製造例において、混練軸の条件を変更し、機械式表面処理を施さず、多分割分級機の条件を調整して得られるトナー粒子の重量平均粒径(D4)が6.8μmになるようにした以外は同様にして、トナー29を得た。トナー29の諸物性を表8に示す。
<トナー30の製造例>
トナー5の製造例において、混練軸の条件を変更し、機械式表面処理を施さず、多分割分級機の条件を調整して得られるトナー粒子の重量平均粒径(D4)が6.8μmになるようにした以外は同様にして、トナー30を得た。トナー30の諸物性を表8に示す。
<トナー31の製造例>
トナー1の製造例において、トナー粒子に用いる結着樹脂を変更し、機械式表面処理を施さず、多分割分級機の条件を調整して得られるトナー粒子の重量平均粒径(D4)が6.8μmになるようにした以外は同様にして、トナー31を得た。トナー31の諸物性を表8に示す。
Figure 0006961464
<実施例1>
トナー1を以下のようにして評価した。評価結果を表9に示す。また、特に記載がない場合、評価紙はPB PAPER(キヤノンマーケティングジャパン社製、坪量66g/cm、レター)を用いた。
また、評価機としては、HP LaserJet Enterprise M606dnをプロセススピード400mm/secとなるように改造して用いた。
<排紙接着性>
上記改造機を用いて、本体内の冷却ファンをすべて停止状態とし、高温高湿環境下、両面連続印刷モードにおいて、排紙接着性の評価を行った(排紙接着性に厳しい条件)。
そして、カートリッジ内のトナーを空にした後、トナー1を700g充填して評価を行った。評価紙はPB PAPER(キヤノンマーケティングジャパン社製、坪量66g/cm、レター)を用いた。
評価環境は高温高湿環境下(温度32.5℃、湿度85%RH)で行い、両面印刷モー
ドで、100枚連続(200ページ)で、表面に全面ベタ画像、裏面にはテキスト画像(E文字、印字率5%)を印刷して排紙部に画像を積層させた。
印刷終了後、10分間放置したのち、100枚の画像を一枚ずつ剥がして目視にて確認し、ベタ画像(表面)とテキスト画像(裏面)の接着によりトナーが欠けて白く抜けてしまっている画像の枚数(欠け枚数)を数え、以下の基準により評価を行った。評価がA〜Cであれば、本願発明の効果が得られているものと判断した。
A:欠け枚数が0枚である。
B:欠け枚数が1枚以上5枚以下である。
C:欠け枚数が6枚以上10枚以下である。
D:欠け枚数が11枚以上である。
<擦り濃度低下>
擦り濃度低下は、上記評価機の定着器を外部に取り出し、定着器の温度を任意に設定可能にし、プロセススピードを400mm/secとなるように改造した外部定着器を用いた。
上記装置を用い、低温低湿環境下(温度15℃、湿度10%RH)において、単位面積当たりのトナー載り量を0.5mg/cmに設定した未定着画像を、150℃に温調した上記定着器に通した。なお、記録媒体には「プローバーボンド紙」(105g/m、フォックスリバー社製)を用いた。得られた定着画像を4.9kPa(50g/cm)の荷重をかけたシルボン紙で摺擦し、摺擦前後での画像濃度の低下率(%)で評価した。評価がA〜Cであれば、本願発明の効果が得られているものと判断した。
A:画像濃度の低下率が10.0%未満である。
B:画像濃度の低下率が10.0%以上15.0%未満である。
C:画像濃度の低下率が15.0%以上20.0%未満である。
D:画像濃度の低下率が20.0%以上である。
<定着ポツ抜け>
定着ポツ抜けは、上記評価機の定着器を外部に取り出し、定着器の温度を任意に設定可能にし、プロセススピードを400mm/secとなるように改造した外部定着器を用いた。
上記装置を用い、低温低湿環境下(温度15℃、湿度10%RH)において、単位面積当たりのトナー載り量を1.0mg/cmに設定した全面ベタの未定着画像を、150℃に温調した定着器に通した。なお、記録媒体にはPB PAPER(キヤノンマーケティングジャパン社製、坪量66g/cm、レター)を用いた。
得られた画像を目視にて確認し、トナーの定着が不十分でトナーがポツ抜けしている箇所の個数を数え、以下の基準により定着ポツ抜け性を評価した。評価がA〜Cであれば、本願発明の効果が得られているものと判断した。
A:ポツ抜け個数が4個未満である。
B:ポツ抜け個数が4個以上8個未満である。
C:ポツ抜け個数が8個以上11個未満である。
D:ポツ抜け個数が11個以上である。
<耐カール性>
上記改造機を用いて、耐カール性の評価を行った。カートリッジのトナーを空にした後、トナー1を700g充填して評価を行った。
評価は定着画像のカールに厳しい環境である高温高湿環境下(温度32.5℃、湿度85%RH)で行い、評価紙はPB PAPER(キヤノンマーケティングジャパン社製、坪量66g/cm、レター)を用いた。
片面連続印刷モードで、100枚連続で、先端余白5mm、後端余白5mm、左右余白各5mmで、全面ベタ画像を出力した。
同環境下において、画像出力後のベタ画像面を上向きとして100枚重ねた後、紙の後端側に、210mm×30mmで重さが100gの重りを、210mmの側面と紙の後端のラインを合わせて載せた。
そして、紙の後端側の高さと、紙の先端側の高さをそれぞれ計測し、先端側の高さから、後端側の高さを引いた後、後端側の高さで除して100倍することにより、高さ比率(%)を求めた。
この高さ比率が大きいほど、カールが発生していることを示しており、以下の基準により評価を行った。評価がA〜Cであれば、本願発明の効果が得られているものと判断した。
A:高さ比率が6%未満である。
B:高さ比率が6%以上11%未満である。
C:高さ比率が11%以上16%未満である。
D:高さ比率が16%以上である。
<苛酷保存性>
カートリッジのトナーを空にした後、トナー1を700g充填した。まず、駆動側を下として、300回タッピングを行い、トナーを圧密充填させた状態とした。
その後、該カートリッジを、駆動側を下とした状態で、苛酷環境下(温度40℃、湿度95%RH)に90日間放置することで、厳しい状態で苛酷保存性の評価を行った。
カートリッジを取り出した後、上記改造機を用いて、高温高湿環境下(温度32.5℃、湿度85%RH)にて画出し試験を実施し、苛酷保存性の評価を行った。
画出し試験は、まず印字率が2.0%となる横線パターンを2枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンが一旦停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで、1,000枚の画出し試験を実施した後、同環境にてチェック画像を出力した。
チェック画像としては、200mm×280mmのハーフトーン画像(ドット印字率23%)を出力し、チェック画像に縦スジが発生しているかどうかを目視にて観察し、下記の基準から評価を行った。評価がA〜Cであれば、本願発明の効果が得られているものと判断した。
A:スジは発生していない。
B:幅1mm未満のスジが1本以上5本以下発生し、幅1mm以上のスジは発生していない。
C:幅1mm未満のスジが6本以上発生し、幅1mm以上のスジは発生していない。
D:幅1mm以上のスジが発生している。
<耐久後の画像濃度>
上記改造機を用いて評価を行った。カートリッジのトナーを空にした後、トナー1を700g充填した。
印字率が1.5%となる横線パターンを2枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンが一旦停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで、25,000枚の画出し試験を実施した。評価はトナーの劣化に厳しい環境である高温高湿環境下(温度32.5℃、湿度85%RH)で行った。評価紙はPB PAPER(キヤノンマーケティングジャパン社製、坪量66g/cm、レター)を用いた。
25,001枚目において、先端余白5mm、左右余白5mmで、左、右、中央の3箇所、さらにこれを長手方向に30mm間隔で3箇所、合計で9個に5mm×5mmのベタ黒パッチ画像を有するチェック画像を出力した。
このチェック画像の9箇所のベタ黒パッチ画像部分の画像濃度を測定し、平均値を求めた。画像濃度は反射濃度計であるマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して測定し、以下の基準で評価を行った。評価がA〜Cであれば、本願発明の効果が得られているものと判断した。
A.画像濃度が1.40以上。
B.画像濃度が1.30以上1.40未満。
C.画像濃度が1.20以上1.30未満。
D.画像濃度が1.20未満。
<耐久後のライン幅>
上記改造機を用いて評価を行った。カートリッジのトナーを空にした後、トナー1を700g充填した。
印字率が1.5%となる横線パターンを2枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンが一旦停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで、25,000枚の画出し試験を実施した。
評価はトナーの劣化に厳しい環境である高温高湿環境下(温度32.5℃、湿度85%RH)で行った。
評価紙はPB PAPER(キヤノンマーケティングジャパン社製、坪量66g/cm、レター)を用いた。
25,001枚目において、先端余白5mm、左右余白5mmで、左、右、中央の3箇所、さらにこれを長手方向に30mm間隔で3箇所、合計で9箇所に、4dot(600dpiで潜像として170μm)10mm長の縦ライン、及び4dot(600dpiで潜像として170μm)10mm長の横ラインを、10mm間隔で出力した。
そして、得られた画像をマイクロスコープVK−8500(キーエンス社製)で観察し、9本の縦ライン、9本横ラインの太さを測定し、縦ライン太さと横ライン太さ平均値を求めることで耐久後のライン幅とした。
このとき、1つのラインについて5点太さ測定を行って平均値を求め、縦横合計18本のラインの太さの平均値を用いて、以下の基準を用いて耐久後のライン幅の評価を行った。評価がA〜Cであれば、本願発明の効果が得られているものと判断した。
A.ライン幅が160μm以上である。
B.ライン幅が160μm未満150μm以上である。
C.ライン幅が150μm未満140μm以上である。
D.ライン幅が140μm未満である。
<画像の加圧保存性>
上記改造機を用いて評価を行った。カートリッジのトナーを空にした後、トナー1を700g充填した。評価紙はPB PAPER(キヤノンマーケティングジャパン社製、坪量66g/cm、レター)を用いた。
画出し環境は、常温常湿環境下(温度23℃、湿度50%RH)で行い、両面印刷モードで、10枚連続(20ページ)で、表面に全画ベタ画像、裏面にはテキスト画像(E文字、印字率5%)を出力した。この操作を10回繰り返して、100枚(200ページ)の両面印刷画像を得た。
そして、100枚の両面印刷画像を重ねた状態で高温高湿環境下(温度32.5℃、湿度85%RH)に移動させ、100枚重ねた状態の両面印刷画像の上に、さらに100枚のPB PAPERをおもりとして重ね、この状態で30日間放置した。
30日経過後に、100枚の両面印刷画像を常温常湿環境下(温度23℃、湿度50%RH)に移動させ、1日調湿した後、100枚の画像を1枚ずつ剥がして目視にて確認した。ベタ画像(表面)とテキスト画像(裏面)の接着により、トナーが欠けて白く抜けてしまっている枚数(欠け枚数)を数え、以下の基準により評価を行った。評価がA〜Cであれば、本願発明の効果が得られているものと判断した。
A.トナーの欠けが存在していない。
B.欠け枚数が1枚以上5枚以下である。
C.欠け枚数が6枚以上10枚以下である。
D.欠け枚数が11枚以上である。
<ライン幅均一性>
上記改造機を用いて評価を行った。カートリッジのトナーを空にした後、トナー1を700g充填した。印字率が1.5%となる横線パターンを2枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンが一旦停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで、1,000枚の画出し試験を実施した。
評価紙はPB PAPER(キヤノンマーケティングジャパン社製、坪量66g/cm、レター)を用いた。
評価はトナー間付着力が高くなり易く、ライン幅の均一現像性に厳しい環境である、高温高湿環境下(温度32.5℃、湿度85%RH)で行った。
1,001枚目において、先端余白5mm、左右余白5mmで、左、右、中央の3箇所、さらにこれを長手方向に30mm間隔で3箇所、合計で9箇所に、4dot(600dpiで潜像として170μm)10mm長の縦ライン、及び4dot(600dpiで潜像として170μm)10mm長の横ラインを、10mm間隔で出力した。
そして、得られた画像をマイクロスコープVK−8500(キーエンス社製)で観察し、縦ラインについて各ライン5点平均で太さ測定を行い、9本の縦ラインの太さの平均値を求めた。
そして、横ラインについて各ライン5点平均で太さ測定を行い、9本の横ラインの太さの平均値を求めた。
横ライン太さの平均値から縦ライン太さの平均値を引いた後、横ライン太さの平均値で除した後、100倍することによって、縦横差(%)を求め、以下の基準を用いてライン幅均―性の評価を行った。評価がA〜Cであれば、本願発明の効果が得られているものと判断した。
A.縦横差が6%未満である。
B.縦横差が6%以上11%未満である。
C.縦横差が11%以上16%未満である。
D.縦横差が16%以上である。
<ドット再現性>
上記改造機を用いて評価を行った。カートリッジのトナーを空にした後、トナー1を700g充填した。
常温常湿環境下(温度23℃、湿度50%RH)において、印字率が1.5%となる横線パターンを2枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンが一旦停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで、1,000枚の画出し試験を実施した。
このとき、1,001枚目において、1mm×1mmのベタ黒パッチ画像を有するチェック画像を出力した。得られた画像をマイクロスコープVK−8500(キーエンス製)で観察し、1mm×1mmのベタ黒パッチを中心とした、3mm×3mmの領域におけるトナーの飛び散りの個数をカウントした。
A.トナーの飛び散りが発生していない。
B.トナーの飛び散りが1個以上10個以下である。
C.トナーの飛び散りが11個以上20個以下である。
D.トナーの飛び散りが21個以上である。
< 実施例2〜21、比較例1〜10>
トナー1を表9〜表11に記載したトナーに変更する以外、実施例1と同様に評価を行った。結果を表9〜表11に示す。なお、実施例3〜5、9〜20を、それぞれ参考例3〜5、9〜20とする。
Figure 0006961464
Figure 0006961464
Figure 0006961464

Claims (8)

  1. 結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    該トナーの軟化点が、100℃以上150℃以下であり、
    該トナーの示差走査熱量計(DSC)を用いた測定において、
    2回目の昇温時のガラス転移温度(℃)をTgtとし、
    該結着樹脂のテトラヒドロフラン不溶分の示差走査熱量計(DSC)を用いた測定における、2回目の昇温時のガラス転移温度(℃)をTgfとし、
    該結着樹脂のテトラヒドロフラン可溶分の示差走査熱量計(DSC)を用いた測定における、2回目の昇温時のガラス転移温度(℃)をTgkとしたとき、
    該Tgt、Tgf及びTgkが、下記式(1)〜(3)の全てを満たし、
    Tgt>Tgf (1)
    Tgt>Tgk (2)
    35℃≦Tgf≦70℃ (3)
    (該結着樹脂のテトラヒドロフラン不溶分は、該トナーのテトラヒドロフランを用いたソックスレー抽出において、18時間抽出したときの該結着樹脂のテトラヒドロフラン不溶分であり、該結着樹脂のテトラヒドロフラン可溶分は、該トナーのテトラヒドロフランを用いたソックスレー抽出において、18時間抽出したときの該結着樹脂のテトラヒドロフラン可溶分である。)
    該結着樹脂が、樹脂A及び樹脂Bを含有し、
    該樹脂Aが、
    線状成分、及び、
    架橋成分
    を含むポリエステル樹脂であり、
    該樹脂Bが、
    ポリエステル構造、及び、
    ―O―又はR ―COO―で表される部分構造
    (該R は、炭素数12〜102の脂肪族炭化水素の水素原子が1つ脱離した構造を有する基を表し、該R は、炭素数11〜101の脂肪族炭化水素の水素原子が1つ脱離した構造を有する基を表す。)
    を有する
    ことを特徴とするトナー。
  2. 前記Tgt、前記Tgf及び前記Tgkが、下記式(4)を満たす、請求項1に記載のトナー。
    Tgt>Tgf>Tgk (4)
  3. 前記結着樹脂のテトラヒドロフラン不溶分の含有量が、前記結着樹脂に対して3.0質量%以上50.0質量%以下である、請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記トナーのトルエンを用いたソックスレー抽出において、
    2時間抽出したときの前記結着樹脂のトルエン不溶分に含まれる樹脂の分子鎖の末端に3価以上の多価カルボン酸に由来する成分が結合している、請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー。
  5. トナー中の円相当径1.985μm未満の粒子の個数%で表される小粒子率が、8.0%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナー。
  6. 前記結着樹脂中の前記樹脂Aの含有量が、20質量%以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナー。
  7. 前記R が、炭素数25〜102の脂肪族炭化水素の水素原子が1つ脱離した構造を有する基であり、前記R が、炭素数24〜101の脂肪族炭化水素の水素原子が1つ脱離した構造を有する基である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のトナー。
  8. 前記R が、炭素数25〜75の脂肪族炭化水素の水素原子が1つ脱離した構造を有する基であり、前記R が、炭素数24〜74の脂肪族炭化水素の水素原子が1つ脱離した構造を有する基である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のトナー。
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