JP6960124B2 - カラー水性磁性塗料を用いたカラー磁性シート及びカラー磁性面 - Google Patents
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Description
このような室内磁性壁は、例えば非磁性壁の壁面に磁性シートを貼着することで製作できる。ここで磁性シートは、磁粉と、粘結材となる有機高分子エラストマーとを原料としたシート状の磁性体である(例えば特許文献1参照)。
他方で従来の磁性シートは、ハサミ等の切断具で切断する場合に磁性材の黒く小さな粒子や破片が周囲を汚す、いわゆる“粉落ち現象”を起こすことがある。また、ハンドリング時に磁性シートの角を室内の白い壁面に当ててしまった際には、黒いスジ状の跡が付いてしまうことが多い。
即ち、本発明の態様は、四三酸化鉄、ソフトフェライト、ハードフェライトの群から選ばれる1種又は複数の混合物であり且つ、粒子径が32μ以上106μ以下の磁性粉をカラー水性樹脂塗料に分散してなるカラー水性磁性塗料を、両面粘着テープの離型紙面を下にして広げた時の粘着剤層の表面に塗布し、自然乾燥させたことを特徴とするカラー磁性シートとする。
或いは、一般の磁性シートの表面に、又は上述したカラー磁性シートの磁性層の表面に再度、本発明のカラー水性磁性塗料をシート状に塗布・乾燥させたカラー磁性シートであっても良い。
粉体の粒子径を工業的にコントロールする為には篩による分級操作が採用されるが、本発明で採用した、研究及び開発用の「サンポーのステンレスふるい」(ブランド名)では、各篩の網の隙間の大きさ(開口)を、「OPENING」の数値で表している。例えばOPENING32μでは32μ角の綾織の隙間を表している。
OPENING32μの篩を例にとると、基本的には粒子径が32μより小さいものは網を通過し、32μより大きいものは網の上に残る。
なお、粒子径が網の開口より小さくても、各粒子が凝集するか、大きな粒子に付着すると通過しないで網の上に残る。さらに粒子径が網の開口より大きくても、粒子の形状に拠っては通過してしまうことがあるため、篩を用いた分級では粒子径に若干の誤差があり、厳密に区分することは難しい。
以下の実施例では略円筒状の枠体の下部にステンレス製の網を張った「TEST−SIEVE」(商品名)を用いた。
上記とは別に水性多用途カラー(黄色)5ccに、株式会社アサヒペンが販売する水性多用途カラー(白)1ccを加え、それに上記と同じ砂鉄の106μ↓&32μ↑を17.5グラム加えて良く混合して黄色の水性磁性塗料を得た。水性多用途カラー(白)を添加すると塗料の量が2割増しなので、磁性粉の添加量も2割増しとしている。以下の実施例でも、添加する塗料が別途存在するときは、上記例と同様に磁性粉の添加量も増加させる。
具体的には、両面粘着テープ((株)ニトムズ製のPROSELF(登録商標)の「カーペット用強弱両面テープ」)1の巻き凹面(巻体の径方向内側面)を台紙4Aに貼着させ、巻き凸面(巻体の径方向外側面)の離型紙2を取り除いた面の粘着剤層3の表面に、上記カラー水性磁性塗料を配置し、バーコーター6による矢印X1方向への押圧移動により延伸させスペーサー7の厚さのシート状のカラー磁性層(乾燥前)8として塗り付けた。
なお、以下の各実施例2,3及び比較例1,2,3では、結果としてできたカラー磁性シートはそれぞれ色や処方配合は異なるものの、構成形状としては同一であることから、本明細書では、同一の符号「12A」を付す。他の実施形態でも同様な考えを適用する。
尚、実施例1の配合は、表1の実験No.2,4に記載している。下記比較例1の配合は、実験No.1,3である。
該現象は、本発明の実施例2,3及び比較例1,2,3においても同様だった。
実施例1で採用した黄色い水性樹脂塗料5ccに、実施例1で採用した砂鉄を分級して得られた106μ↑の粉体を14.6グラム加えて良く混合して黄色の水性磁性塗料を得た。
更に、上記106μ↑の粉体に替えて32μ↓の粉体14.6グラムを加え、同様にして黄色の水性磁性塗料を得た。
実験No.9及び10は、赤色の顔料としての弁柄(着色用、有限会社ファニス工芸が販売)をそれぞれ0.23グラム加えている。
比較例1と同様に、実施例2で採用した赤い水性樹脂塗料5ccに、実施例1で採用した砂鉄を分級して得られた106μ↑の粉体を14.6グラム加えて良く混合して赤い水性磁性塗料を得た。
更に、上記106μ↑の粉体に替えて32μ↓の粉体14.6グラムを加え、同様にして赤い水性磁性塗料を得た。
以上の配合は、表1の実験No.5及び7に記載している。
実験No.16は実験No.14の配合において、砂鉄に替えて等方性BaフェライトTF焼結体(東京フェライト製造(株)製)を粉砕・分級して得られた106μ↓&32μ↑の粉体16.6グラムを混合した水性磁性塗料を準備し、同様の方法でカラー磁性シート12Aを得た。
ここに、Baフェライトの密度を考慮して砂鉄と同じ体積比率とした。
比較例1と同様に、実施例3で採用した緑の水性樹脂塗料5ccに、実施例1で採用した砂鉄を分級して得られた106μ↑の粉体を14.6グラム加えて良く混合して緑の水性磁性塗料を得た。
更に、上記106μ↑の粉体に替えて32μ↓の粉体14.6グラムを加え、同様にして緑の水性磁性塗料を得た。
以上の配合は、表1の実験No.11及び13に記載している。
実施例1〜3、及び比較例1〜3で得られたカラー磁性シート12A(全16種類)の表面の色を測色計(株式会社コニカミノルタ社製の分光測色計:CM−700d)で定量化した。サンプルのデータは、1枚に付き所定間隔をあけた異なる3ヶ所を測定し、その測定数値の算術平均を採った。ここに、L*a*b*表色系(国際照明委員会)において、「L*」軸は明度(明るさ)であり、「a*」軸はプラスが赤でマイナスは緑を表す。「b*」軸はプラスが黄でマイナスは青を表している。
また、各カラー磁性シート12Aの表面(以下、単に「シート表面」と記すことがある)を肉眼で観察して、表面の粗さや色彩を感覚的に評価した。その結果を表2に示す。
この現象は「黄色」の塗料、「赤」の塗料、及び「緑」に共通している。このため磁性粉の粒子径は106μ↓&32μ↑が好ましい。
次いで、「こて」でもって子供部屋の壁面の内、約1平方メートルを上記水性磁性塗料で塗装した。
以上の配合は、表1の実験No.14に記載している。
次いで、図4に示すように、表面に格子模様13aを有する装飾シート13の裏面にこの黄色の水性磁性塗料を塗布し、自然乾燥させカラー磁性層11を形成した。
格子模様13aを活かして小片にカットすれば、上記したマグネットシートの壁面にメモやチラシを掲止するカラフルな被吸着体として便利だった。
以上の配合は、表1の実験No.4に記載している。
次いで、図5に示すように、ニチレイマグネット(株)が販売しているアイアンシート(登録商標)4Bの片面に上記水性カラー磁性塗料を約0.35mm厚に塗布し、自然乾燥させることによりカラー磁性層11を形成し、表面がカラー(赤)化された軟磁性のカラー磁性シート12Cを得た。ここにアイアンシート4Bは、厚さ約0.6mmの黒い軟磁性シートである。
得られた軟磁性のカラー磁性シート12Cは、赤い表面の軟磁性シートとして採用できた。
以上の配合は、表1の実験No.8に記載している。
こうして得られた軟磁性シートの黒い色の表面、つまり緑色の水性磁性塗料を塗布しなかった方の面に、両面粘着テープ1をラミネートする要領で片面を貼着させ、離型紙2付きの粘着剤層3を有する緑色の軟磁性のカラー磁性シート12D(図6(a)参照)を得た。
図10に示す様に、本カラー磁性層11の離型紙2を取り去れば、装飾シート13の表面を有するカラー磁性層11を、粘着剤層3を通じて壁面9に貼着させることが出来た。
その後、図8に示す様に、得られたカラー磁性シート12Fは、カラー磁性層11の裏面に粘着剤層3があり、離型紙2で裏面が保護されている。
本実施例で得られたカラー磁性層11は粘着剤層3と強固に粘着していて、乾燥させたカラー磁性層の磁性表面に例えば両面粘着テープ1の粘着剤層3を貼着させた場合と比較して、同等だった。
本実施例で得られたカラー磁性シート12Fを張り詰めると、赤レンガ色の壁面となった。白色顔料を含む白色塗料(水性多用途カラー白)と、添加した無機顔料との相乗効果を生んでいると考えられる。
以上の配合は、表1の実験No.10に記載している。
以下実施例7と同様にして裏面に粘着剤層3を有する緑色のカラー磁性シートを得て、次に該粘着剤層3を介して非磁性の壁面9に張り詰めた。
他方で、本発明の磁性成分としてハードフェライト粉を採用すると、本発明で得られたカラー磁性シートを通常の方法で予め多極着磁しておいて、その後壁面やパーテーションなどに貼着しても良い。貼着手段は、粘着剤または磁気が適宜採用出来る。
本発明で採用したエマルジョン系塗料、更にアクリル樹脂系又はシリコンアクリル樹脂系は、上記粘着が良好である。
また、図14は南アフリカ産砂鉄の106μ↓&32μ↑であり、図15は東京フェライト製造(株)製等方性Baフェライト焼結体を粉砕分級した106μ↓&32μ↑である。図16は着色用弁柄(有限会社ファニス工芸が販売)である。
径の小さな粒子は色を黒くする作用があり、大きな粒子は、塗装表面を粗くすることが、表2から明らかになっている。
図18は同実験No.4の場合であり、実施例5で採用した配合に相当している。
図19は同実験No.8の場合であり、実施例6で採用した配合に相当している。
図20は同実験No.15の場合であり、実施例7で採用した配合に相当している。
図21は同実験No.10の場合であり、実施例8で採用した配合に相当している。
図22は同実験No.16の場合であり、実施例9で採用した配合に相当している。
また、その軟らかさから、手触りが良いという特徴がある。
そこで、本態様のカラーを実現する為には、粒子径は切りの良い数値にまとめることも考えられるが、実際に評価している「106μ↓&32μ↑」である事が好ましい。
また、本態様のカラー水性磁性塗料を両面粘着テープの片面に直接塗布し乾燥させると、裏面に粘着剤層を具備するカラー磁性シートが直接得られる。該カラー磁性シートは裏面の粘着剤層によって簡単に貼り付ける事が出来て、錆びず、カラーで、永久磁石が吸着する面を形成する。
更に本態様の磁性シートはカラー磁性シートとしての活用の他に、裏面に粘着剤層を備える事が出来るので、離型紙を剥がすだけで所定の面に貼着させる事が出来て、簡単にカラー磁性面を形成する事が出来る建装材として、重宝される。
2 離型紙
3 粘着剤層
4A 台紙(シート状部材)
4B アイアンシート(磁性シート)
6 バーコーター
7 スペーサー
8 カラー磁性層
9 壁面
10 カラー磁性層(磁性層)
11 カラー磁性層(磁性層)
12A カラー磁性シート
12B カラー磁性シート
12C カラー磁性シート
12D カラー磁性シート
12E カラー磁性シート
12F カラー磁性シート
13 装飾シート(シート状部材)
14 撮影用導電性両面粘着テープ層
Claims (7)
- 四三酸化鉄、ソフトフェライト、ハードフェライトの群から選ばれる1種又は複数の混合物であり且つ、粒子径が32μ以上106μ以下の磁性粉をカラー水性樹脂塗料に分散してなるカラー水性磁性塗料を、両面粘着テープの離型紙面を下にして広げた時の粘着剤層の表面に塗布し、自然乾燥させたことを特徴とするカラー磁性シート。
- カラー水性樹脂塗料に白色水性樹脂塗料を添加することを特徴とする請求項1に記載のカラー磁性シート。
- 顔料が添加されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカラー磁性シート。
- カラー水性樹脂塗料及び白色水性樹脂塗料がエマルジョン系塗料であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のカラー磁性シート。
- エマルジョン系塗料がアクリル樹脂系エマルジョン塗料とシリコンアクリル樹脂系エマルジョン塗料の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項4に記載のカラー磁性シート。
- 裏面に粘着剤層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載のカラー磁性シート。
- 請求項1乃至請求項6の何れかに記載のカラー磁性シートの粘着剤層面を、磁性又は非磁性の面に貼着させてなる事を特徴とするカラー磁性面。
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