JP6960086B2 - 防舷材用ゴム組成物 - Google Patents
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Description
ゴム製の防舷材は、架橋性のゴムに充填剤、ゴムを架橋させるための架橋成分、ならびに石油系オイルやワックス等の添加剤を配合して調製したゴム組成物を、所定の防舷材の立体形状に成形するとともに、ゴムを架橋させて製造される(たとえば、特許文献1等)。
天然ゴムは、単独で用いてもよいし、他のゴムと併用してもよい。
防舷材は、通常は屋外に設置されるものであって、設置される地域や季節等によっては、たとえば、−30℃以下といった低温(極寒)環境下で使用される場合がある。
そのため、防舷材には、低温環境下で硬くなりにくいことが求められる。
特許文献2では、防舷材の、温度−30℃の低温環境下での圧縮試験における最大反力R−30と、温度23℃の常温環境下での圧縮試験における最大反力R23との比R−30/R23で表される圧縮性能変化率を1.3以下に規定することが提案されている。これにより、特許文献2では、低温環境下でも良好な緩衝性能を維持できるとしている。
しかし、低温環境下では、とくに圧縮時に、石油系オイルが防舷材から滲出しやすい。そして、石油系オイルが滲出すると防舷材が硬くなり、反力が増大して緩衝性能が低下する傾向があるため、上記の圧縮性能変化率を有する防舷材を実現するのは、技術的に決して容易ではない。
ワックスは、防舷材の表面に滲出し、表面を被覆して、当該防舷材の耐オゾン性を向上するために機能する。
しかし、低温環境下で防舷材の表面に氷が付着すると、付着した氷が防舷材の圧縮によって割れて防舷材の表面から脱落する際に、防舷材の表面に滲出したワックスも一緒に脱落して失われてしまう場合がある。
特許文献3では、ゴムとして、天然ゴムとともに、主鎖中に二重結合を有しないエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)を併用して、防舷材の耐オゾン性を向上することが検討されている。
本発明の防舷材用ゴム組成物によれば、上記各成分の相乗効果によって、常温環境下から低温環境下までの広い温度範囲に亘って、緩衝性能に優れる上、クラックを生じにくい防舷材を形成することができる。
SBRは、上記配合割合の範囲で3種のゴム中に配合することで、架橋後の物性をより好適にバランスさせて、防舷材に、良好な緩衝性能を付与したり、防舷材の強度を高めたりするために機能する。
一方、IIRの配合割合が、上記3種のゴムの総量100質量部中の30質量部を超える場合には、相対的に、天然ゴムおよびSBRの割合が少なくなるため、防舷材の緩衝性能が低下する。
液状ゴムは、ゴム組成物の架橋前に可塑剤として機能し、上記3種のゴムやその他の成分を混練してゴム組成物を調製する際や、調製したゴム組成物を防舷材の形状に成形する際の加工性を向上するために寄与する。しかも、液状ゴムは、架橋時に、上記3種のゴムと架橋反応してゴム中に取り込まれるため、架橋後に、石油系オイルのように防舷材から浸出することがない。そのため、可塑剤として、石油系オイルに代えて液状ゴムを配合することにより、とくに、低温で防舷材が硬くなって反力が増大して、緩衝性能が低下したり、圧縮と伸長を繰り返した際にクラックが生じたりするのを抑制することができる。
〈ゴム〉
ゴムとしては、天然ゴム、SBR、およびIIRの3種のみ(それぞれのゴムについて、2種以上を併用する場合を含む。)を併用する。液状ゴムは、上述したように、ゴムの架橋時に、上記3種のゴムと架橋反応してゴム中に取り込まれるが、本発明では、液状ゴムは、あくまでも、架橋前の可塑剤として用いているため、上記3種のゴムには含まないこととする。
天然ゴムとしては、たとえば、TSR−20、RSS#3等の各種グレードの天然ゴムや、脱蛋白天然ゴム等の1種または2種以上を用いることができる。
(SBR)
SBRとしては、スチレンと1,3−ブタジエンとを溶液重合法、乳化重合法等の種々の重合法によって共重合させて合成される種々の、とくに常温(5〜35℃)で固形のSBRを用いることができる。
スチレン含量がこの範囲未満であるSBRは、防舷材の強度を向上する機能が不十分で、低温だけでなく常温でも、圧縮と伸長を繰り返した際に、防舷材の引張強さが低下したり、耐摩耗性が低下して、繰り返し使用した際に防舷材が損耗したりしやすい傾向がある。
これに対し、スチレン含量が上記の範囲であるSBRを選択して用いることにより、常温環境下から低温環境下までの広い温度範囲に亘って、さらに緩衝性能に優れ、かつ高い強度を有する上、クラックを生じにくい防舷材を形成することができる。
そのため、これらの課題が生じるのを抑制して、本発明の効果をより一層向上することを考慮すると、SBRとしては、伸展油を含まない(除く)非油展タイプのSBRが好ましい。
SBRの配合割合がこの範囲未満では、当該SBRを配合することによる、前述した、常温環境下から低温環境下までの広い温度範囲に亘って、緩衝性能に優れ、かつ高い強度を有する防舷材を形成できない場合がある。
これに対し、SBRの配合割合を上記の範囲とすることにより、常温環境下から低温環境下までの広い温度範囲に亘って緩衝性能に優れ、かつ高い強度を有する上、クラックを生じにくい防舷材を形成することができる。
IIRとしては、イソブチレンとイソプレンとの共重合体である種々のブチルゴムを用いることができる。また、IIRとしては、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、臭素化イソブチレン−p−メチルスチレン共重合ゴム等を用いることもできる。
IIRとしては、たとえばJSR(株)製のJSR(登録商標) BUTYL065〔ブチルゴム、安定剤:NS、不飽和度:1.1モル%、ハロゲン含量:なし〕、JSR BUTYL268〔ブチルゴム、安定剤:NS、不飽和度:1.5モル%、ハロゲン含量:なし〕、JSR BUTYL365〔ブチルゴム、安定剤:NS、不飽和度:2.0モル%、ハロゲン含量:なし〕、JSR CHLOROBUTYL1066〔塩素化ブチルゴム、安定剤:NS、不飽和度:なし、ハロゲン含量(Cl):1.2%〕、JSR BROMOBUTYL2244〔臭素化ブチルゴム、安定剤:NS、不飽和度:なし、ハロゲン含量(Br):2%〕、JSR BROMOBUTYL2255〔臭素化ブチルゴム、安定剤:NS、不飽和度:なし、ハロゲン含量(Br):2%〕等の1種または2種以上が挙げられる。
〈液状ゴム〉
液状ゴムとしては、たとえば、液状イソプレンゴム、水添液状イソプレンゴム、液状ブタジエンゴム、液状スチレンブタジエンゴム、あるいはこれらの末端変性物等の、常温で液状を呈するゴムの1種または2種以上が挙げられる。とくに、天然ゴムとの相溶性に優れた液状イソプレンゴムが好ましい。
液状ゴムの配合割合は、ゴムの総量100質量部あたり10質量部以上であるのが好ましく、40質量部以下であるのが好ましい。
一方、液状ゴムの配合割合が上記の範囲を超える場合には、ゴムの架橋時に架橋しきれなかった液状ゴムが残存して、防舷材の強度が低下する場合がある。
これに対し、可塑剤の配合割合を上記の範囲とすることにより、防舷材の強度が低下するのを抑制しながら、架橋前の防舷材用ゴム組成物に、良好な加工性を付与することができる。
充填剤としては、前述したようにカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ゴムの補強剤、充填剤として機能し得る種々のカーボンブラックを用いることができる。
ただし、カーボンブラックは、ゴムの総量に対する配合割合と補強効果との兼ね合い等を考慮すると、ゴムの総量より少量の配合でゴム硬さを大きくして、防舷材の緩衝性能を効率よく向上させたり、クラックが生じるのを抑制したりできることが望ましい。そのため、カーボンブラックとしては、比較的粒径が小さく、かつストラクチャが発達した、表面積の大きいグレードのものを用いることが好ましい。
窒素吸着比表面積が70m2/g未満であるカーボンブラックは粒径が大きすぎ、またDBP吸油量が90cm3/100g未満であるカーボンブラックはストラクチャの発達が不十分である。そのため、このいずれのカーボンブラックを用いた場合にも、上述した補強効果が十分に得られず、ゴム硬さを十分に大きくできないため、防舷材に良好な緩衝性能を付与したり、クラックが生じるのを抑制したりできない場合がある。
これらの特性を満足するカーボンブラックとしては、たとえば、東海カーボン(株)製のシースト6〔ISAF、窒素吸着比表面積:119m2/g、DBP吸油量:114cm3/100g〕、シースト5H〔IISAF、窒素吸着比表面積:99m2/g、DBP吸油量:129cm3/100g〕、シーストKH〔N399、窒素吸着比表面積:93m2/g、DBP吸油量:119cm3/100g〕、シースト3H〔HAF−HS、窒素吸着比表面積:82m2/g、DBP吸油量:126cm3/100g〕、シーストNH〔N351、窒素吸着比表面積:74m2/g、DBP吸油量:127cm3/100g〕、シースト3〔HAF、窒素吸着比表面積:79m2/g、DBP吸油量:101cm3/100g〕、シーストN〔LI−HAF、窒素吸着比表面積:74m2/g、DBP吸油量:101cm3/100g〕、旭カーボン(株)製の旭#70〔HAF、窒素吸着比表面積:77m2/g、DBP吸油量:101cm3/100g〕、旭#80〔ISAF、窒素吸着比表面積:115m2/g、DBP吸油量:113cm3/100g〕等の1種または2種以上が挙げられる。
カーボンブラックの配合割合がこの範囲未満では、補強効果が十分に得られず、とくに防舷材の強度が低下して、圧縮と伸長を繰り返した際にクラックを生じやすくなる場合がある。
これに対し、カーボンブラックの配合割合を上記の範囲とすることにより、カーボンブラックによる補強効果を適度の範囲に調整して、防舷材に良好な緩衝性能を付与することができる。また、防舷材を長期間に亘って使用し続けても、防舷材の緩衝性能が低下したり、クラックを生じたりするのを抑制することもできる。
防舷材用ゴム組成物には、ゴムを架橋させるため、従来同様に架橋成分を配合する。架橋成分としては、硫黄系架橋剤と、硫黄系架橋剤によるゴムの架橋を促進する作用をする架橋促進剤との組み合わせが好適に採用される。
(硫黄系架橋剤)
硫黄系架橋剤としては、粉末硫黄、オイル入り粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、分散性硫黄等の硫黄や、テトラメチルチウラムジスルフィド、N,N−ジチオビスモルホリン等の有機含硫黄化合物などが挙げられ、とくに硫黄が好ましい。
硫黄の配合割合がこの範囲未満では、防舷材用ゴム組成物の全体での架橋速度が遅くなり、架橋に要する時間が長くなって、防舷材の生産性が低下する場合がある。
また、硫黄の配合割合が上記の範囲を超える場合には、架橋後の圧縮永久ひずみが大きくなって、防舷材の緩衝性能が低下したりクラックを生じたり、あるいは過剰の硫黄が防舷材の表面にブルームして、外観が悪化したりする場合がある。
なお、たとえば、硫黄としてオイル入り粉末硫黄、分散性硫黄等を使用する場合、配合割合は、それぞれの中に含まれる有効成分としての硫黄自体の割合とする。
架橋促進剤としては、たとえば、消石灰、マグネシア(MgO)、リサージ(PbO)等の無機促進剤が挙げられる。また、架橋促進剤としては、たとえば、グアニジン系促進剤、チアゾール系促進剤、スルフェンアミド系促進剤、チウラム系促進剤、ジチオカルバミン酸塩系促進剤、チオウレア系促進剤等の有機促進剤を用いることができる。
とくに、遅効性の架橋促進剤を選択して用いるのが好ましい。
一般に、防舷材は、防舷材用ゴム組成物を、防舷材の立体形状に成形した状態で、たとえば、130〜160℃の温度で3〜20時間程度の時間をかけて架橋させることによって製造される。
遅効性の架橋促進剤としては、とくに、スルフェンアミド系促進剤が好ましい。
スルフェンアミド系促進剤としては、たとえば、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(NS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CZ)、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(MSA)等の1種または2種以上が挙げられる。
スルフェンアミド系促進剤と併用する他の架橋促進剤としては、スコーチの発生を抑制しながら、なおかつスルフェンアミド系促進剤を活性化して架橋速度を上昇させ、架橋時間を短縮して、防舷材の生産性を向上できる種々の架橋促進剤を用いることができる。
スルフェンアミド系促進剤を単独で使用する場合の配合割合は、ゴムの総量100質量部あたり0.5質量部以上であるのが好ましく、2質量部以下であるのが好ましい。
一方、スルフェンアミド系促進剤の配合割合が上記の範囲を超える場合には、架橋密度が高くなりすぎるため、緩衝性能が却って低下したり、クラックを生じたりしやすくなる場合がある。
〈その他の成分〉
防舷材用ゴム組成物には、さらに必要に応じて、架橋助剤、粘着付与剤、老化防止剤等を任意の割合で配合してもよい。
架橋助剤の配合割合は、個別に、ゴムの総量100質量部あたり0.5質量部以上であるのが好ましく、7質量部以下であるのが好ましい。
本発明の防舷材用ゴム組成物は、たとえば、上記各成分のうち架橋成分以外の各成分を、まずバンバリミキサ等を用いて混練したのち、さらに架橋成分を加えて混練する等して調製することができる。
〈実施例1〉
ゴムとしては、天然ゴム(TSR20品)70質量部、スチレン含量が18質量%であるSBR〔前出の旭化成(株)製のタフデン1335、非油展〕20質量部、およびIIRとしての塩素化ブチルゴム〔前出のJSR CHLOROBUTYL1066、安定剤:NS、不飽和度:なし、ハロゲン含量(Cl):1.2%〕10質量部を併用した。
液状イソプレンゴム:液状ゴム、前出の(株)クラレ製のクラプレンLIR−50、数平均分子量:54000
カーボンブラック:HAF、前出の旭カーボン(株)製の旭#70、窒素吸着比表面積:77m2/g、DBP吸油量:101cm3/100g
硫黄:架橋剤、鶴見化学工業(株)製の金華印5%油入微粉硫黄
スルフェンアミド系促進剤:N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、三新化学工業(株)製のサンセラー(登録商標)NS−G
〈実施例2〉
IIRとして、塩素化ブチルゴムに代えてブチルゴム〔前出のJSR(株)製のJSR BUTYL065、安定剤:NS、不飽和度:1.1モル%、ハロゲン含量:なし〕を用い、ゴムの総量100質量部中のSBRの配合割合を15質量部、ブチルゴムの配合割合を15質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
ゴムの総量100質量部中の天然ゴムの配合割合を75質量部、塩素化ブチルゴムの配合割合を5質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
〈実施例4〉
ゴムの総量100質量部中の天然ゴムの配合割合を60質量部、SBRの配合割合を10質量部、塩素化ブチルゴムの配合割合を30質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
SBRとして、スチレン含量が10質量%である前出のランクセス社製のBUNA BL8497(非油展)を同量配合したこと以外は実施例1と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
〈実施例6〉
SBRとして、スチレン含量が23.5質量%である前出の日本ゼオン(株)製のNipol1502(非油展)を同量配合したこと以外は実施例1と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
SBRとして、スチレン含量が5質量%である旭化成(株)製のタフデン1005A(非油展)を同量配合したこと以外は実施例1と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
〈実施例8〉
SBRとして、スチレン含量が30質量%である旭化成(株)製のN207(非油展)を同量配合したこと以外は実施例1と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
ゴムの総量100質量部中の天然ゴムの配合割合を80質量部、SBRの配合割合を10質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
〈実施例10〉
ゴムの総量100質量部中の天然ゴムの配合割合を50質量部、SBRの配合割合を40質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
ゴムの総量100質量部中の天然ゴムの配合割合を85質量部、SBRの配合割合を5質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
〈実施例12〉
ゴムの総量100質量部中の天然ゴムの配合割合を50質量部、SBRの配合割合を45質量部、塩素化ブチルゴムの配合割合を5質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
ゴムの総量100質量部あたりの液状イソプレンゴムの配合割合を10質量部(実施例13)、40質量部(実施例14)、45質量部(実施例15)としたこと以外は実施例1と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
〈実施例16〜19〉
ゴムの総量100質量部あたりのカーボンブラックの配合割合を40質量部(実施例16)、80質量部(実施例17)、30質量部(実施例18)、85質量部(実施例19)としたこと以外は実施例1と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
ゴムの総量100質量部中の天然ゴムの配合割合を75質量部、SBRの配合割合を25質量部として、塩素化ブチルゴムを配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
〈比較例2〉
ゴムの総量100質量部中の天然ゴムの配合割合を75質量部、SBRの配合割合を10質量部とし、かつ塩素化ブチルゴムに代えてEPDM〔住友化学(株)製のエスプレン(登録商標)EPDM301〕15質量部を配合したこと以外は実施例1と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
液状イソプレンゴムに代えて、石油系オイル〔出光興産(株)製のダイアナ(登録商標)プロセスオイルNH−70S〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
〈比較例4、5〉
ゴムの総量100質量部中の塩素化ブチルゴムの配合割合を2質量部(比較例4)、40質量部(比較例5)としたこと以外は実施例1と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
上記各実施例、比較例で調製したシート状の防舷材用ゴム組成物を140℃で50分間プレス架橋させたのち、打ち抜いて、日本工業規格JIS K6251:2010「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」において規定されたダンベル状3号形試験片を作製した。
引張強さTSは、16MPa未満を「×」、16MPa以上、20MPa未満を「○」、20MPa以上を「◎」と評価した。
また切断時伸びEbは、350%未満を「×」、350%以上、400%未満を「○」、400%以上を「◎」と評価した。
上記各実施例、比較例で調製したシート状の防舷材用ゴム組成物を140℃で50分間プレス架橋させて、日本工業規格JIS K6264−2:2005「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−耐摩耗性の求め方−第2部:試験方法」において規定されたアクロン摩耗試験用の円盤状試験片を作製した。
摩耗体積は、0.15mlを超えるものを「×」、0.11mlを超え、0.15ml以下を「○」、0.11ml以下を「◎」と評価した。
上記各実施例、比較例で調製したシート状の防舷材用ゴム組成物を140℃で50分間プレス架橋させたのち、打ち抜いて、引張試験と同じダンベル状3号形試験片を作製した。
作製した試験片について、温度23℃の常温環境下、デマッチャ屈曲試験機を用いて、伸長ひずみ150%の条件で伸長試験を繰り返した際に、試験片が破断に至る伸長の繰り返し回数をカウントした。
〈動的特性試験〉
上記各実施例、比較例で調製したシート状の防舷材用ゴム組成物を140℃で50分間プレス架橋させたのち、打ち抜いて、日本工業規格JIS K6394:2007「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−動的性質の求め方−一般指針」に規定された短冊状試験片を作製した。
(ガラス転移温度)
低周波数におけるガラス転移温度Tg(℃)を求めて、ガラス転移温度Tgが−10℃を超えるものを「×」、−10℃以下、−30℃以上を「○」、−30℃未満を「◎」と評価した。
−30℃での複素縦弾性係数E* −30と、23℃での複素縦弾性係数E* 23とを求めて、両者の比E* −30/E* 23を弾性変化率とした。
弾性変化率は、2.3以上を「×」、2.3未満を「○」と評価した。
(損失正接)
23℃での損失正接(tanδ)を求めて、0.10以上を「×」、0.10未満を「○」と評価した。
上記各実施例、比較例で調製したシート状の防舷材用ゴム組成物を140℃で50分間プレス架橋させたのち、打ち抜いて、引張試験と同じダンベル状3号形試験片を作製した。
作製した試験片について、日本工業規格JIS K6259:2004「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−耐オゾン性の求め方」に規定された試験方法に則って、伸長ひずみ20%、温度−30℃、オゾン濃度50pphmの条件で静的オゾン劣化試験を実施した。
〈総合評価〉
引張強さTS、切断時伸びEb、摩耗体積(ml)、破断に至る伸長回数(回)、およびガラス転移温度Tg(℃)の5項目の評価がいずれも「◎」で、5項目以外の他の評価がすべて「○」であったものを「◎」、上記5項目の評価の少なくとも一つが「○」、他は「◎」で、かつ5項目以外の他の評価がすべて「○」であったものを「○」、一つでも「×」であったものを「×」と評価した。
実施例1、5〜8の結果より、SBRとしては、スチレン含量が10質量%以上、25質量%以下であるものを用いるのが好ましいことが判った。
実施例1、9〜12の結果より、SBRの配合割合は、ゴムの総量100質量部中の10質量部以上であるのが好ましく、40質量部以下であるのが好ましいことが判った。
実施例1、16〜19の結果より、カーボンブラックの配合割合は、ゴムの総量100質量部あたり40質量部以上であるのが好ましく、80質量部以下であるのが好ましいことが判った。
Claims (5)
- ゴム、可塑剤としての液状ゴム、ならびに充填剤を含み、前記ゴムは、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、およびブチルゴムの3種のみであるとともに、前記スチレンブタジエンゴムの配合割合は、前記ゴムの総量100質量部中の5質量部以上、45質量部以下で、かつ前記ブチルゴムの配合割合は、前記ゴムの総量100質量部中の5質量部以上、30質量部以下である防舷材用ゴム組成物。
- 前記スチレンブタジエンゴムは、スチレン含量が10質量%以上、25質量%以下である請求項1に記載の防舷材用ゴム組成物。
- 前記スチレンブタジエンゴムの配合割合は、前記ゴムの総量100質量部中の10質量部以上、40質量部以下である請求項1または2に記載の防舷材用ゴム組成物。
- 前記液状ゴムの配合割合は、前記ゴムの総量100質量部あたり10質量部以上、40質量部以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の防舷材用ゴム組成物。
- 前記充填剤の配合割合は、前記ゴムの総量100質量部あたり40質量部以上、80質量部以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の防舷材用ゴム組成物。
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JP2019085512A (ja) | 2019-06-06 |
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