JP6959740B2 - ミンチ状畜肉加工食品用油脂組成物 - Google Patents

ミンチ状畜肉加工食品用油脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、ミンチ状畜肉加工食品用油脂組成物に関し、より詳細には畜肉加工食品の含気性を改善することの可能な前記油脂組成物に関する。
肉団子(ミートボール)やハンバーグのように、食材の挽肉を固めて加熱調理した畜肉加工食品が数多く存在する。また、調理前の畜肉加工食品を冷凍又は冷蔵状態で提供する冷凍食品やチルド食品が、多種・多量に市場に流通している。
上記畜肉加工食品を加熱調理して得られる調理品において、肉粒子同士が互いに強固に結合していると、その硬さが食品の食感を損ねる。また、冷凍食品の製造やハンドリングにおいて、畜肉加工食品の肉粒子同士が詰まっていると、冷凍食品のカッティング等の作業性が悪化する。
ミンチ状の畜肉加工食品の物性を変える施策として、各種の改質剤が提案されている。例えば特許文献1には、挽き肉と他の具材を混合し、起泡剤を添加してホイップさせ、成型したことを特徴とする含気性畜肉加工食品生地が提案されている。上記起泡剤は、油脂を、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルの内1種以上の乳化剤で水中油型に乳化した乳化物である。特許文献1の発明によれば、微細な気泡が畜肉加工食品全体に散在し、局所的にも軽い食感の含気性畜肉加工食品を提供することができるとされる。
特許文献2では、畜肉をミンチ処理する複数のミンチ処理工程と、ミンチ状畜肉と他の食材を混合する混合工程とを備え、最後のミンチ処理工程を除くいずれかのミンチ処理工程中に畜肉の改質剤を添加することを特徴とする畜肉加工食品の製造方法が提案されている。前記改質剤は、ピロリン酸ナトリウム,トリポリリン酸ナトリウム,テトラポリリン酸ナトリウム,リン酸三ナトリウム,リン酸水素二ナトリウム,コハク酸二ナトリウム,クエン酸ナトリウム,クエン酸カリウム,炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,重炭酸ナトリウム,重炭酸カリウムの少なくともいずれか1種である。特許文献2の製造方法によれば、畜肉はミンチ状態でゲル化するので、ハムのような均一な食感にはならず、肉粒感があり、かつ弾力性のある食感を得ることができるとされる。
特開2012−223131(含気性畜肉加工食品) 特開2007−274999(畜肉加工食品の製造方法)
しかし、特許文献1に記載の起泡剤を用いても、後述の比較例に示すとおり、畜肉加工食品やその調理品の含気性等の物性は、あまり改善されない。そこで、本発明の目的は、ミンチ状畜肉加工食品の含気性を有意に増大させる組成物を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を鋭意検討した結果、以下の発明によれば、上記課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明は、食用油脂及びレシチンを含有するミンチ状畜肉加工食品用油脂組成物を提供する。「ミンチ状畜肉加工食品」とは、本明細書において、挽肉のようにミンチ状のものを加工したものの他に、パテやテリーヌのようにペースト状やムース状に練り上げたものを含む意味で使用される。
ミンチ状畜肉加工食品用油脂組成物は、特にミンチ状畜肉加工食品の含気性を改善するために提供される。
前記レシチンは、植物由来のレシチンであることが好ましい。
前記ミンチ状畜肉加工食品用油脂組成物は、さらに、乳化剤を含有することが好ましい。
前記乳化剤が、例えばポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルから選ばれる少なくとも一種である。
本発明は、また、食用油脂及びレシチンを含有する油脂組成物をミンチ状畜肉に添加することを含む、ミンチ状畜肉加工食品の改変方法を提供する。
本発明は、また、食用油脂及びレシチンを含有する油脂組成物をミンチ状畜肉に添加する工程を含む、ミンチ状畜肉加工食品の製造方法を提供する。
本発明は、また、食用油脂及びレシチンを含有する油脂組成物を添加して製造されたミンチ状畜肉加工食品を調理することからなる、ミンチ状畜肉加工食品の調理方法を提供する。
特許文献1の発明は、含気性畜肉加工食品を得るために、起泡剤としてグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルから選ばれる乳化剤を使用することを必須とする。特許文献1は、本発明のようにレシチンを使用することを記載も示唆もしていない。また、特許文献2には、リン酸塩が記載されているものの、これは本発明で必須のレシチンとは別物質である。特許文献2には、レシチンを改質剤として使用することは記載も示唆もされていない。
挽肉等のミンチ状畜肉を素材とする畜肉加工食品に本発明の食用油脂及びレシチンを含有する油脂組成物を添加することで、畜肉加工食品やその調理品を容易に含気させることができる。その結果、畜肉加工食品の調理品は、柔らかさ、弾力性、肉粒のほぐれ易さ、軽さ、咀嚼のし易さ等の食感や飲み込み易さが向上する。畜肉加工食品の調理品は、通常の商品よりも嵩が増すため、食品素材の量やコストの削減につなげ易い。
本発明のミンチ状畜肉加工食品の調理品は、テリ・ツヤの点で、食品の美観が向上するため、商業的価値も増大する。
本発明のミンチ状畜肉加工食品の冷蔵品や冷凍品は、カッティング性、ほぐし易さ、ミンチ状畜肉加工食品同士の付着抑制等の点で作業性が向上する。
以下に、本発明の一実施態様を示すことにより、本発明を詳細に説明する。本発明は、食用油脂及びレシチンを含有するミンチ状畜肉加工食品用油脂組成物(以下、本発明の組成物という)である。以下、各構成成分を順に説明する。
上記食用油脂は、食用であれば特に制限なく、使用可能である。食用油脂の例には、大豆油、菜種油、パーム油、コーン油、オリーブ油、ゴマ油、紅花油、ひまわり油、綿実油、米油、落花生油、パーム核油、ヤシ油等の植物油脂、牛脂、豚脂等の動物脂、並びに、これらを分別、水素添加、エステル交換等を施した加工油脂が挙げられる。これらは、油脂単独又は二種以上混合して用いることができる。
本発明の組成物の適用の対象であるミンチ状畜肉は、通常、冷蔵(例えば0℃以上10℃以下)又は冷凍(例えば−100℃以上0℃未満)の低温状態にある。本発明の組成物が適用されたミンチ状畜肉加工食品もまた、その搬送や貯蔵時に、基本的に冷凍又は冷蔵の状態にある。本発明の組成物に使用する食用油脂は、液状油(常温で液体の油脂)が好ましい。該食用油脂の融点は、好ましくは15℃以下、より好ましくは10℃以下、さらに好ましくは5℃以下である。なお、融点とは、「基準油脂分析試験法 2.2.4.2 融点(上昇融点)」に準じて測定した値を意味する。また、前記食用油脂が二種以上の油脂の混合物である場合、融点は混合した状態の融点を意味する。
本発明の組成物への上記食用油脂の配合量は、通常、70質量%以上99.95質量%以下でよく、好ましくは80質量%以上99.8質量%以下であり、特に好ましくは85質量%以上99.6質量%以下である。
本発明の組成物に使用するレシチンは、植物由来及び動物由来のいずれでもよい。動物由来のレシチンの例には、卵黄レシチン等が挙げられる。植物由来のレシチンの例には、大豆レシチン、菜種レシチン、ひまわりレシチン、綿実レシチン、とうもろこしレシチン、落花生レシチン、パームレシチン、ゴマレシチン、米レシチン、紅花レシチン、エゴマレシチン、アマニレシチン等が挙げられる。上記レシチンは、一種単独で用いてもよく、二種以上併用してもよい。
本発明の組成物に使用するレシチンは、好ましくは、植物由来のレシチンであり、より好ましくは、大豆レシチン、菜種レシチン、ひまわりレシチン、とうもろこしレシチンから選ばれる少なくとも一種であり、より好ましくは大豆レシチンである。
上記レシチンは、製造方法又はリン脂質の純度に応じて、クルードレシチン(粗製レシチンともいう)、脱油レシチン(粉末レシチンともいう)、分別レシチン(精製レシチンともいう)、及び酵素処理レシチンに分別される。クルードレシチンは、油糧原料から食用油脂を製造する工程中の脱ガム工程で分離されるガム質を、通常、水分1%以下に乾燥することにより得られる。脱油レシチンは、クルードレシチンを溶剤分別にかけて、中性脂質、脂肪酸、炭水化物、タンパク質、無機塩、ステロール、色素等の脂質及び微量成分を除去することにより得られる高純度レシチンである。分別レシチンは、クルードレシチン又は脱油レシチンを、溶剤分別及びその他の分別技術により、個々のリン脂質濃度を一定以上に高めたものである。本発明の組成物に用いるレシチンとして、入手のし易さの点から、クルードレシチンが好ましい。
本発明の組成物のレシチンの配合量は、通常、0.05質量%以上20質量%以下でよく、好ましくは0.2質量%以上15質量%以下、特に好ましくは0.4質量%以上12質量%以下である。所定の範囲とすることで、ミンチ状畜肉加工食品の含気性の改善効果、ミンチ状畜肉加工食品を冷凍した際のカッティング性等の作業性の改善効果、調理後のミンチ状畜肉加工食品の柔らかさやテリ・ツヤの改善効果を得ることができる。
本発明の組成物には、さらに、レシチン以外の乳化剤を添加してもよい。本発明の組成物に乳化剤を添加することで、ミンチ状畜肉加工食品の含気性の改善効果、ミンチ状畜肉加工食品を冷凍した際のカッティング性等の作業性の改善効果、調理後のミンチ状畜肉加工食品の柔らかさやテリ・ツヤの改善効果を更に高めることができる。
本発明の組成物に使用する乳化剤は、レシチンを含まないことを除き、特に制限されない。乳化剤の例には、プロピレングリコール脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート、モノグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの乳化剤の構成脂肪酸の例には、ラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)、ステアリン酸(C18)、オレイン酸(C18)、ベヘニン酸(C22)、エルカ酸(C22)等が挙げられる。上記乳化剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上併用してもよい。
上記乳化剤は、ミンチ状畜肉加工食品の含気性を高める点で、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルから選ばれる一種または二種が好ましく、より好ましくはポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルである。上記乳化剤のHLB(親水性親油性バランス)は、0以上9以下が好ましく、0以上7以下がより好ましく、0以上3以下がさらに好ましい。上記ポリグリセリン脂肪酸エステル及び上記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルのグリセリンの平均重合度は、2以上10以下が好ましく、3以上6以下がより好ましい。
本発明の組成物の乳化剤の配合量は、通常、0.08質量%以上10質量%以下が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上5質量%以下、特に好ましくは0.12質量%以上3質量%以下である。
本発明の組成物のレシチンと乳化剤の合計の配合量は、通常、0.05質量%以上30質量%以下が好ましく、より好ましくは0.2質量%以上20質量%以下、特に好ましくは0.4質量%以上15質量%以下である。
本発明の組成物中の水分は、1質量%以下であることが好ましい。
本発明の組成物には、本発明の効果を阻害しない限り、油脂組成物に使用されている汎用の助剤を添加可能である。そのような助剤の例は、トコフェロール等の抗酸化剤;香料;着色剤;シリコーン等が挙げられる。
本発明の組成物を製造するには、食用油脂へレシチン及び適宜の乳化剤及び助剤を添加すればよい。
本発明の組成物は、ミンチ状畜肉加工食品の含気性や柔軟性の改善、ミンチ状畜肉加工食品の調理品の柔軟性やテリ・ツヤといった商品価値の向上、さらにミンチ状畜肉加工食品の製造時の作業性の改善のために使用される。
したがって、本発明は、食用油脂及びレシチンを含有する油脂組成物をミンチ状畜肉に添加することを含む、ミンチ状畜肉加工食品の改変方法を提供する。ここでいう改変とは、例えば、ミンチ状畜肉加工食品の含気性や柔軟性の改善、ミンチ状畜肉加工食品の調理品の柔軟性やテリ・ツヤといった商品価値の向上、さらにミンチ状畜肉加工食品の製造時の作業性の改善を意味する。本発明は、食用油脂及びレシチンを含有する油脂組成物をミンチ状畜肉に添加する工程を含む、ミンチ状畜肉加工食品の製造方法を提供する。
ミンチ状畜肉は、特に制限されず、牛、豚、羊等の家畜の肉、鶏、鴨、家鴨等の家禽類の肉等である。
畜肉の加工形態は、ミンチ、ペースト、ムース等であり、好ましくは含気性向上の観点から、ミンチ、ペーストである。畜肉をミンチ状に加工する方法は、周知の汎用機器(例えば、ミートチョッパー、ミンチミキサー、ミートミンサー等)を採用できる。
ミンチ状畜肉加工食品の商品形態もまた、特に制限されず、市販のミンチ状畜肉加工食品の商品の形態が含まれる。そのような例には、肉団子(ミートボール)、つくね、ハンバーグ、ミートローフ、ミートパイ、パテ、テリーヌ、ナゲット、メンチカツ、ロールキャベツ、肉詰め、焼売、餃子、中華まんじゅう、小籠包等が挙げられる。特に含気性や柔軟性が好まれる商品への適用が期待される。
ミンチ状畜肉加工食品の製造方法の具体例は以下である。上記畜肉をミンチ状に処理し、そこへ本発明の組成物、及び適宜の材料(例えば、植物タンパク質等の畜肉以外の食材、調味料、香辛料、香料、保存料、酸味料、増粘剤、ゲル化剤、酸化防止剤等)を添加する。畜肉以外の食材として植物タンパク質を添加することが好ましい。植物タンパク質の添加量は畜肉100質量部に対して100質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、30質量部以下がさらに好ましい。下限は特にないが、畜肉100質量部に対して0質量部以上である。
本発明の組成物の添加順序に制限はなく、例えば、ミンチ状畜肉に添加してもよいし、ミンチ状畜肉と適宜の材料とを混合する工程後に添加してもよい。
本発明の組成物のミンチ状畜肉加工食品への添加量は、レシチン換算で、通常、0.002質量%以上1質量%以下でよく、好ましくは0.015質量%以上0.8質量%以下、特に好ましくは0.02質量%以上0.6質量%以下である。
食用油脂及びレシチンを含有する油脂組成物をミンチ状畜肉に添加する工程後に、混練する工程を含むことが好ましい。混練は、手でおこなってもよいし、機械(フードミキサー等)等でおこなってもよい。
本発明は、また、食用油脂及びレシチンを含有する油脂組成物を添加して製造されたミンチ状畜肉加工食品を調理することからなる、ミンチ状畜肉加工食品の調理方法を提供する。調理の仕方は、ミンチ状畜肉加工食品の種類に基づいて、汎用の加熱調理方法(煮る、茹でる、焼く、蒸す、油で揚げる、電子レンジ等で加熱する)が採用される。
上記調理品は、加圧加熱殺菌されたレトルトパウチ食品としてもよい。
以下に本発明の実施例を示すことにより、本発明をより詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
参考例1〕
(1)ミンチ状畜肉加工食品用油脂組成物の調製
表1に示す原料を用意し、それらを表3に示す割合で配合することにより、ミンチ状畜肉加工食品用油脂組成物(以後、油脂組成物とも記載)を調製した。調製した油脂組成物中の水分は、いずれも1質量%以下であった。
Figure 0006959740
(2)ミンチ状畜肉加工食品の調製と評価
(1)で得たミンチ状畜肉加工食品用油脂組成物を用いて、ミンチ状畜肉加工食品を調製した。具体的には、各例において、表2に示す食材(温度:5℃)を同表に示す割合でボウルに入れて、雰囲気温度25℃で、スプーンで混合した。その際、大豆由来の植物タンパク質(商品名:RESPONSE4400、ダニスコ社製)は、4倍量の水(16g)を加え、1時間吸水させて加水植物タンパク質を調製した。調製した加水植物タンパク質をその他の食材と混合し、混合物を得た。
上記混合物をミキサー(スピードカッターMK−K45、松下電工株式会社製)に入れて、30秒間、混ぜ合わせることにより、ミンチ状畜肉加工食品原料を得た。なお、実施例及び比較例の評価のため、菜種油を用いたミンチ状畜肉加工食品原料(対照)も調製した。また、油脂組成物を用いないミンチ状畜肉加工食品原料(参考)も調製した。
Figure 0006959740
上記で得られたミンチ状畜肉加工食品原料の密度を、比重カップを用いて測定した。結果を表3に示す。
上記ミンチ状畜肉加工食品原料200gをバットに広げて、冷凍庫(温度:約−20℃)に入れて、2時間放置した。その後、冷凍されたミンチ状畜肉加工食品原料を冷凍庫から取り出し、12等分に切断し、ミンチ状畜肉加工食品を得た。
上記冷凍されたミンチ状畜肉加工食品原料を切断する際に、カッティングのし易さ(以下、カッティング性という)を、専門パネラー2名の合議により、以下の基準で評価した。結果を表3に示す。
[カッティング性の評価基準]
◎:対照よりも非常にカットしやすい
○:対照よりもカットしやすい
△:対照よりもわずかにカットしやすい
×:対照と同等、もしくはカットしにくい
表3を見ると、菜種油を用いて調製したミンチ状畜肉加工食品原料(対照)の密度は、0.96g/cmであった。そして、特許文献1のように乳化剤を含む油脂組成物を用いて、ミンチ状畜肉加工食品原料を調製した場合(比較例1〜10)、密度は、比較例7(ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル)以外は対照とほとんど同じであった。一方、本発明の油脂組成物を用いて調製した参考例1では、密度が0.90g/cmと対照よりも有意に低下した。
比較例1〜10のカッティング性は、対照と同等(×)か、あるいはわずかにカットしやすい(△)程度であった。比較例7(ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル)では、密度が0.92g/cmと下がったものの、カッティング性はわずかしか改善されなかった。
一方、参考例1は、対照よりも有意に(○)カットし易かった。参考例1の密度低下とカッティング性の向上は、本発明の油脂組成物の添加により、含気性が改善されたことを意味する。
(3)ミンチ状畜肉加工食品の調理と評価
上記でカットした冷凍ミンチ状畜肉加工食品を、90℃の湯に投入して、5分間、煮た。煮たミンチ状畜肉加工食品を、ざるに取って湯切りし、室温(25℃)で1時間放置して、ミンチ状畜肉加工食品の調理品(肉団子)を得た。得られた調理品について、硬さ測定及び食した時の含気性及び柔軟性、外観によるテリ・ツヤを評価した。
得られた調理品の硬さを、テクスチャーアナライザー(商品名:TA-XT2i、ステイブルマイクロシステムズ社製)を用いて、以下の測定条件で測定した。硬さの測定結果を表3に示す。
[硬さの測定条件]
Sequence: Repeat until Count
Test Mode: Compression
Pre−Test Speed: 1mm/s
Test Speed: 1mm/s
Post−Test Speed:2mm/s
Target Mode: Strain
Strain: 60%
Count: 1
プランジャー: 20mm径円柱型
専門パネラー5名の合議により、以下の基準で評価した。
(含気性)
◎:対照よりも非常に好ましい
○:対照よりも好ましい
△:対照よりもわずかに好ましい
×:対照と同程度の好ましさか好ましくない
(柔軟性)
◎:対照よりも非常に柔らかい
○:対照よりも柔らかい
△:対照よりわずかに柔らかい
×:対照と同程度の柔らかさか、それよりも硬い
(テリ・ツヤ)
◎:対照よりも表面のテリ・ツヤが非常にある
○:対照よりも表面のテリ・ツヤがある
△:対照よりも表面のテリ・ツヤがわずかにある
×:表面のテリ・ツヤが対照と同程度、もしくはテリ・ツヤがない
表3を見ると、比較例と参考例のいずれにおいても、硬さと含気性と柔軟性との間に相関性がみられる。例えば、硬さが1200gfを超える比較例1〜4及び8では、含気性と柔軟性が対照と同程度(×)である。比較例5、7、9及び10では、硬さが1300gf以下となり、含気性及び柔軟性も、若干改善(△)している。一方、参考例1では、硬さが902gfと顕著に低下し、含気性及び柔軟性も対照より有意に改善(○)している。
以上の結果から、本発明に従ってレシチンを含む油脂組成物を用いて調製したミンチ状畜肉加工食品は、製造時の含気性が調理後も維持されること、したがって、柔らかく、食感の好ましい調理品に仕上がるといえる。
表3のテリ・ツヤの試験結果を見ると、比較例1〜10のように、乳化剤を含む油脂組成物をミンチ状畜肉加工食品に添加しても、テリ・ツヤの結果は×もしくは△とあまり改善されない。それに対して、本発明の油脂組成物を用いる実施例1では、調理品のテリ・ツヤは有意に改善(○)する。以上のとおり、本発明に従う油脂組成物は、畜肉加工食品の調理品の美観の向上にも貢献することが判明した。
Figure 0006959740
参考例1〜6〕レシチン濃度の変更試験
表2中の「表3の油脂組成物」を「表4の油脂組成物」に読み替えること以外は、比較例1と同じ操作により、ミンチ状畜肉加工食品を調製し、さらにミンチ状畜肉加工食品を調理して調理品(肉団子)を得た。比較例1と同じ基準方法で物性及び評価を行い、その結果を表4に示す。表4の油脂組成物中の水分は、いずれも1質量%以下であった。
Figure 0006959740

表4を見ると、油脂組成物のレシチン濃度が高くなるに従って、ミンチ状畜肉加工食品原料の密度が下がる。また、カッティング性も向上している。
表4のミンチ状畜肉加工食品の調理品の硬さ、含気性及び柔軟性の結果は、畜肉加工品原料の密度とカッティング性の結果と整合するように改善することを示している。ミンチ状畜肉加工食品の調理品のテリ・ツヤもまた、油脂組成物のレシチン濃度が高くなるに従って、顕著に改善する。
上記結果から、本発明の組成物によれば、冷凍時のカッティング性、調理時の含気性、柔軟性及びテリ・ツヤについて総合的に優れたミンチ状畜肉加工食品を得ることができ、組成物中のレシチン濃度は、0.5質量%以上10質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%以上10質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以上10質量%以下であるといえる。
〔実施例7〜12〕レシチン及び乳化剤の併用試験(1)
表2中の「表3の油脂組成物」を「表5の油脂組成物」に読み替えること以外は、比較例1と同じ操作により、ミンチ状畜肉加工食品を調製し、さらにミンチ状畜肉加工食品を調理して調理品(肉団子)を得た。比較例1と同じ方法で物性及び評価を行い、その結果を表5に示す。表5の油脂組成物中の水分は、いずれも1質量%以下であった。
Figure 0006959740
表5を見ると、油脂組成物に乳化剤としてポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを用いた比較例7の評価は、対照とあまり変わらない。ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとレシチンを併用した実施例7〜11では、レシチン濃度の増大に伴って、評価が向上することがわかる。油脂組成物に乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを用いた比較例6の評価は、対照と同じである。ポリグリセリン脂肪酸エステルとレシチンを併用した実施例12では、評価が向上することがわかる。実施例8と実施例12を比較すると、ポリグリセリン脂肪酸縮合リシノレイン酸エステルを併用した油脂組成物の方が評価が向上することがわかる。
表4と表5で、同じレシチン濃度同士(例えば実施例2と実施例8)を対比すると、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを添加した実施例8の方が、全ての評価項目が向上することがわかる。したがって、本願発明の油脂組成物にレシチン及び乳化剤を併用することで、油脂組成物中のレシチンの添加量を抑えられ、異風味を感じさせることなくミンチ状畜肉加工食品の物性を改善できるといえる。
〔実施例13〜17〕レシチン及び乳化剤の併用試験(2)
表2中の「表3の油脂組成物」を「表6の油脂組成物」に読み替えること以外は、比較例1と同じ操作により、ミンチ状畜肉加工食品を調製し、さらにミンチ状畜肉加工食品を調理して調理品(肉団子)を得た。比較例1の評価項目のうち、ミンチ状畜肉加工食品の調理品の含気性及び柔軟性の評価を行い、その結果を表6に示す。表6の油脂組成物中の水分は、いずれも1質量%以下であった。
Figure 0006959740
表6を見ると、1〜10質量%のレシチンを含む油脂組成物に、さらに0.15〜2質量%のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを添加すると、評価が良好である。特にレシチンが1〜2質量%の場合は、評価がさらに向上する。

Claims (8)

  1. 食用油脂とレシチンとポリグリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルから選ばれる少なくとも一種とを含有し、前記食用油脂の配合量は、70質量%以上99.9%以下である、ミンチ状畜肉加工食品に冷凍又は冷蔵状態にてカッティング性又はほぐし易さを改善するための油脂組成物。
  2. 前記ミンチ状畜肉加工食品の冷凍状態のカッティング性を改善するための、請求項1に記載の油脂組成物。
  3. 前記食用油脂の融点が5℃以下である、請求項1又は2に記載の油脂組成物。
  4. 前記ポリグリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルのグリセリンのHLBが0以上9以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の油脂組成物。
  5. 記レシチンの配合量は、0.05質量%以上20質量%以下であり、前記ポリグリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの配合量は、0.08質量%以上10質量%以下であり、そして、前記レシチン並びにポリグリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの配合量の合計は、0.05質量%以上30質量%以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の油脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の油脂組成物をミンチ状畜肉にレシチン換算で0.002質量%以上1質量%以下添加することを含む、冷凍又は冷蔵状態のミンチ状畜肉加工食品のカッティング性又はほぐし易さを改善する方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の油脂組成物をミンチ状畜肉にレシチン換算で0.002質量%以上1質量%以下添加する工程を含む、冷凍又は冷蔵状態にてカッティング性又はほぐし易さが改善されたミンチ状畜肉加工食品の製造方法。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載の油脂組成物をミンチ状畜肉にレシチン換算で0.002質量%以上1質量%以下添加して製造された冷凍又は冷蔵状態にてカッティン
    グ性又はほぐし易さが改善されたミンチ状畜肉加工食品を調理することからなる、ミンチ状畜肉加工食品の調理方法。
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