JP3229842B2 - 油性組成物及びそれを添加した飼料 - Google Patents

油性組成物及びそれを添加した飼料

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JP3229842B2
JP3229842B2 JP22053397A JP22053397A JP3229842B2 JP 3229842 B2 JP3229842 B2 JP 3229842B2 JP 22053397 A JP22053397 A JP 22053397A JP 22053397 A JP22053397 A JP 22053397A JP 3229842 B2 JP3229842 B2 JP 3229842B2
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敏 櫻田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油性組成物及びそ
れを含有する飼料に関し、更に詳細には、水溶性ビタミ
ン類が均一に分散した油性組成物及びそれを含有する飼
料に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】水溶性
ビタミン類は、人や動物には必須の物質である。例え
ば、人におけるビタミンCの欠乏は壊血病の原因とな
り、また、動物においてもその欠乏は疾病の原因とな
る。そこで、飼料へ水溶性ビタミン類を添加することが
行われている。このような方法として、例えば、水溶性
ビタミン類を水に溶解して飼料に混合する方法等が知ら
れている。しかし、この方法では、溶解するための水量
が少ないと飼料に部分的に水が浸透するため全体に均一
に混合することができず、また、水量が多いと飼料中の
含水量が増加し安定した品質のものを得ることが困難で
ある。従って、本発明の目的は、水溶性ビタミン類を均
一に混合することができ、飼料に添加した場合に、飼料
中において水溶性ビタミン類の劣化や分解を起こすこと
のない水溶性ビタミン類含有油性組成物及びそれを飼料
原料に添加した飼料を提供することにある。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、水溶性ビタミン類と、特定の油性成分とから
なる油性組成物が上記目的を達成し得ることを知見し
た。本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、水
溶性ビタミン類と、常温で液体状又は流動性を示す油性
成分とからなる油性組成物を提供するものである。ま
た、本発明は、上記油性組成物を含有することを特徴と
する飼料を提供するものである。
【0004】
【発明の実施の形態】以下、先ず本発明の油性組成物に
ついて説明する。本発明の油性組成物は、水溶性ビタミ
ン類と、常温で液体状又は流動性を示す油性成分とから
なる。本発明において用いられる水溶性ビタミン類とし
ては、飼料分野において用いられるものを何等制限なく
用いることができ、水溶性ビタミン類及びその塩や誘導
体、コリン等であり、具体的には、ビタミンB1 、ビタ
ミンB2 、ビタミンB 6 、ビタミンB12、L−アスコル
ビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウム、L−アスコル
ビン酸カルシウム、ナイアシン、パントテン酸、D−パ
ントテン酸カルシウム、DL−パントテン酸カルシウ
ム、ビオチン、葉酸、フォラシン、リポ酸、重酒石酸コ
リン及び塩化コリン等が挙げられる。これら水溶性ビタ
ミン類は、200メッシュパスの微粉末や320メッシ
ュパスの超微粉末品を用いるのが望ましい。上記水溶性
ビタミン類は、単独で用いてもよく、又は2種以上を組
み合わせて用いてもよい。また、本発明の油性組成物
中、上記水溶性ビタミン類の含有量は、油性組成物の全
重量に対して好ましくは1〜70重量%であり、更に好
ましくは5〜50重量%である。上記水溶性ビタミン類
は、本発明の油性組成物中、粒子状で存在していること
が好ましく、また、該粒子の平均粒子径は30μm以下
であることが好ましく、10μm以下であることが更に
好ましい。また、水溶性ビタミン類の粒子の平均粒子径
は0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm
以上であることが更に好ましい。上記水溶性ビタミン類
を、油性組成物中で粒子状にする方法に特に制限はない
が、例えば、後述する方法により実施することができ
る。
【0005】本発明で用いられる油性成分は、常温(5
〜40℃)で液体状又は流動性を示すものであり、飼料
の分野で用いられる公知の油性成分を特に制限なく用い
ることができる。上記油性成分は、25℃における粘度
が1〜5000cpであるものが好ましく、10〜20
00cpであるものが更に好ましい。上記常温で液体状
又は流動性を示す油性成分としては、例えば、炭化水素
類、エステル類、動植物性油脂類、又はこれらを酵素的
処理(加水分解又はエステル交換等)したものや化学的
処理(エステル交換又は水素添加等)したもの等が挙げ
られる。上記油性成分としては、例えば、大豆油、なた
ね油、コーン油、ごま油、綿実油、サフラワー油、ひま
わり油、落花生油、米胚芽油、パーム油、オリーブ油、
ホホバ油、マカデミアンナッツ油、アボガド油、ヒマシ
油、アマニ油、シソ油、ユーカリ油、月見草油、タート
ル油、ミンク油、豚脂、牛脂、魚油、トリカプリル酸グ
リセリルエステル、カプリル酸及びカプリン酸の混合脂
肪酸のトリグリセリド等を挙げることができる。上記油
性成分は、単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合
わせて用いてもよい。また、大豆硬化油、なたね硬化
油、パーム硬化油、魚硬化油等の常温で固体の油脂を上
記油性成分に含有させてもよい。本発明のの油性組成物
中、上記常温で液状又は流動性を示す油性成分の含有量
は、油性組成物の全重量に対して好ましくは30〜99
重量%であり、更に好ましくは40〜90重量%であ
る。
【0006】本発明の油性組成物には、親油性乳化剤を
添加することができる。上記親油性乳化剤としては、飼
料の分野で用いられる公知の親油性乳化剤を何等制限な
く用いることができる。上記親油性乳化剤としては、例
えば、HLBが10以下の親油性界面活性剤を挙げるこ
とができ、具体的には、例えば、ソルビタン脂肪酸エス
テル、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセラ
イド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ジグリセ
ライド、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸
エステル、レシチン、アルキレンオキサイド付加界面活
性剤等があり、具体的にはソルビタンモノオレート、ソ
ルビタンジステアレート、ポリオキシエチレン(6モ
ル)ソルビタンモノステアレート、グリセリンモノステ
アレート、グリセリンモノリノレート、クエン酸とグリ
セリンモノオレートのエステル化物、プロピレングリコ
ールモノステアレート、グリセリンジオレート、グリセ
リンジリノレート、なたね油とグリセリンのエステル交
換により得られたジグリセライド、サフラワーとグリセ
リンのエステル交換により得られたジグリセライド、ジ
グリセリンジステアレート、ジグリセリントリステアレ
ート、ヘキサグリセリントリオレート、ヘキサグリセリ
ンペンタステアレート、テトラグリセリン縮合リシノレ
ート、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(阪
本薬品工業(株)製、SYグリスターCR−ED)、シ
ョ糖トリないしペンタステアリン酸エステル、ポリオキ
シエチレン(5モル)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレ
ン(15モル)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(1
0モル)グリセリルトリステアレート、ポリオキシエチ
レン(20モル)ソルビトールテトラオレート及びレシ
チン(日清製油(株)、レシチンDXやベイシスLP−
20)等が挙げられる。本発明においては、上記親油性
乳化剤を単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わ
せて用いてもよい。上記親油性乳化剤を油性組成物に含
有させる場合、その含有量は、油性組成物の全重量に対
して好ましくは0.1〜50重量%であり、更に好まし
くは0.5〜20重量%である。
【0007】また、本発明の油性組成物には、油溶性ビ
タミン類及び/又はβ−カロチンを含有させることがで
きる。上記油溶性ビタミン類としては、油溶性ビタミン
類及びその塩や誘導体、油溶性化された水溶性ビタミン
誘導体を用いることができ、具体的には、ビタミンA、
ビタミンD2 、ビタミンD3 、プロビタミンD、抽出ト
コフェロール、dl- α- トコフェロール、酢酸dl- α-
トコフェロール、ビタミンK1 、ビタミンK2 、ユビキ
ノン及びビタミンF(必須脂肪酸)等が挙げられる。上
記油溶性ビタミン類は、単独で用いてもよく、又は2種
以上を組み合わせて用いてもよく、また、油溶性ビタミ
ン類とβ−カロチンとを組み合わせて用いてもよい。上
記油溶性ビタミン類及び/又はβ−カロチンを油性組成
物に含有させる場合、その含有量は、油性組成物の全重
量に対して、好ましくは0.1〜100重量%であり、
更に好ましくは0.5〜50重量%である。また、本発
明の油性組成物には、必要に応じてエトキシキン及びB
HT等の抗酸化剤、防腐剤、着色料及び香料等を含有さ
せることができる。
【0008】本発明の油性組成物は、その全体の水分含
有量が5重量%以下であることが好ましく、3重量%以
下であることが更に好ましい。本発明の油性組成物は、
例えば、後述するように、そのままの状態又は希釈した
状態で飼料原料に添加することにより飼料として用いる
ことができる。
【0009】本発明の油性組成物の製造方法に特に制限
はないが、例えば、以下の方法によって製造することが
できる。水溶性ビタミン類の粉末及び油性成分を混合
し、プロペラ、ホモミキサー又はホモディスパー等の記
載を用いて混合する。更に、高圧ホモジナイザー又はマ
イクロフルイダイザー等の機械を用いて油性成分に混合
した水溶性ビタミン類の粒子を粉砕する。水溶性ビタミ
ン類は、20メッシュパスの微粉末や320メッシュパ
スの超微粉末品を用いることが好ましい。さらに、これ
らをピンミルや微粉砕用スイングハンマミル等の衝撃式
粉砕機でさらに細かくしたものを用いてもよい。また、
上記親油性乳化剤やその他の添加剤は、水溶性ビタミン
類の粉末と混合したり、油性成分に溶解させることによ
り添加することができる。このようにすることにより、
水溶性ビタミン類が油性組成物中に均一に分散する。
【0010】次に、本発明の飼料について説明する。本
発明の飼料は、上述した本発明の油性組成物を含有する
ものである。本発明の飼料の原料として用いられる飼料
原料としては、従来公知のものを用いることができる。
上記飼料原料としては、例えば、穀類、豆類、イモ類、
油粕類、ヌカ類、製造粕類、動物質飼料、ビタミン、ミ
ネラル、その他原材料から構成される組成物が挙げられ
る。上記穀類、豆類及びイモ類としては、例えば、トウ
モロコシ、マイロ(グレーンソルガム)、小麦、大麦、
ライ麦、エン麦、小麦粉、玄米、アワ、大豆、キナコ及
びキャッサバ等が挙げられる。上記油粕類としては、例
えば、大豆油粕、脱皮大豆油粕、綿実油粕、菜種油粕、
ラッカセイ油粕、アマニ油粕、ゴマ油粕、ヤシ油粕、ヒ
マワリ油粕、サフラワー油粕、パーム核油粕及びカポッ
ク油粕等が挙げられる。上記ヌカ類としては、例えば、
生米ヌカ、白酒ヌカ、脱脂米ヌカ、フスマ及び大麦混合
ヌカ等が挙げられる。上記製造粕類としては、例えば、
コーングルテンフィード、コーングルテンミール、澱粉
粕、糖蜜、しょうゆ粕、ビール粕、ビートパルプ、バガ
ス、豆腐粕、麦芽根及びみかんジュース粕等が挙げられ
る。上記動物質飼料としては、例えば、魚粉、ホワイト
フィッシュミール、フィッシュソリュブル、フュッシュ
ソリュブル吸着飼料、肉粉、肉骨粉、血粉、フェザーミ
ール、カニミール、エビミール、蚕よう油粕、脱脂粉
乳、乾燥ホエー及び動物性油脂等が挙げられる。上記ミ
ネラルとしては、例えば、食塩、塩化カリウム、クエン
酸鉄、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、乳酸カ
ルシウム、硫酸マグネシウム、リン酸二水素ナトリウ
ム、クエン酸第二鉄、硫酸第一鉄、ヨウ化カリウム及び
ヨウ素酸カリウム等が例示できる。上記以外にも、大豆
油、菜種油、コーン油、ゴマ油等の植物性油脂、ビール
酵母、トルラ酵母、アルファルファミール、みかん皮、
コーンコブミール、昆布、ワカメ、淡水産及び海産クロ
レラ、セルロースパウダー及びカルボキシルセルロース
等が使用可能である。なお、上記飼料原料は、単独で用
いてもよく、または2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。
【0011】本発明の飼料において、上記油性組成物の
配合割合は、上記飼料原料100重量部に対して、好ま
しくは0.01〜20重量部であり、更に好ましくは
0.1〜10重量部であり、上記全水溶性ビタミン類の
濃度が全飼料中好ましくは0.001〜5重量%、更に
好ましくは0.1〜2重量%となるように上記油性組成
物を添加する。本発明の飼料を製造する方法に特に制限
はないが、例えば以下のようにして製造することができ
る。即ち、上記飼料原料を粉砕機で粉末化した後混合攪
拌して飼料原料粉末を得る。次いで、該飼料原料粉末に
上述した本発明の油性組成物を添加し、更に混合攪拌
し、本発明の飼料を得る。また、上記飼料原料粉末を加
水条件でエクストルーダーやペレットミル等の機械を用
いて、ペレット状やクランブル状の形態に成形すること
ができ、これらのものに本発明の油性組成物を添加混合
することにより本発明の飼料を得ることができる。本発
明の油性組成物を炭化水素、エステル類、動植物油脂
類、脂肪酸及びアルコール等で希釈後添加してもよい。
本発明の飼料は、水溶性ビタミン類を油状形態で飼料原
料に添加しているため、少量の水溶性ビタミン類が飼料
全体に均一に吸着しており、保存時にも水溶性ビタミン
類の劣化及び分解が起こりにくい。従来は、予め水溶性
ビタミン類を混合した飼料粉末を二軸エクストルーダー
等を用いてペレット成形していたが、成型時に飼料が高
温・高圧状態になるため水溶性ビタミン類の分解・減少
が起こっていた。しかし、本発明の飼料は、エクストル
ーダー処理後に水溶性ビタミン類含有油性組成物を飼料
原料に添加するので、水溶性ビタミン類が高温・高圧状
態にさらされず、水溶性ビタミン類の分解が起こらな
い。
【0012】
【実施例】本発明を、以下の実施例を用いて更に具体的
に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。下記実施例において、水分含有量及び水溶性ビタミ
ン類の結晶の平均粒子径は、以下の方法により測定した
値である。 〔水分含有量〕油性組成物約2g及び海砂約20gを量
り取り、均一に混合したものを105℃の温度で2時間
乾燥し、減少した重量より、水分含有量を求めた。 〔水溶性ビタミン類の結晶の平均粒子径〕水溶性ビタミ
ン粉末及びビタミン含有油性組成物の顕微鏡写真を撮
り、結晶100個の粒子径を平均することにより、数平
均粒子径を求めた。
【0013】実施例1 大豆油450gに、L−アスコルビン酸超微粉末(32
0メッシュパス品)50gを入れ、40℃で、6000
rpm 、20分間ホモミキサー撹拌することにより本発明
のL−アスコルビン酸含有油性組成物を得た。得られた
油性組成物の水分含有量は0重量%で、L−アスコルビ
ン酸の結晶の数平均粒子径は20μmであった。 実施例2 大豆油450gに、L−アスコルビン酸微粉末(200
メッシュパス品)50gを入れ、40℃で、6000rp
m 、20分間ホモミキサー撹拌し、更にマイクロフルイ
ダイザーを用いて500kg/cm2 の圧力で処理すること
により本発明のL−アスコルビン酸含有油性組成物を得
た。得られた油性組成物の水分含有量は0重量%で、L
−アスコルビン酸の結晶の数平均粒子径は22μmであ
った。 実施例3 大豆油425gに、L−アスコルビン酸微粉末(200
メッシュパス品)50g及び酢酸dl−α−トコフェロ
ール(日清バーディシェ(株)製、ルタビットEアセテ
ート)25gを入れ、以下実施例2の方法と同様に操作
を行い、本発明のL−アスコルビン酸含有油性組成物を
得た。得られた油性組成物の水分含有量は0重量%で、
L−アスコルビン酸の結晶の数平均粒子径は23μmで
あった。
【0014】実施例4 大豆油440gに、L−アスコルビン酸微粉末(200
メッシュパス品)50g及びポリグリセリン脂肪酸エス
テル(阪本薬品工業(株)製、SYグリスターCR−5
00、HLB:2)10gを入れ、以下実施例2の方法
と同様に操作を行い、本発明のL−アスコルビン酸含有
油性組成物を得た。得られた油性組成物の水分含有量は
0重量%で、L−アスコルビン酸の結晶の数平均粒子径
は21μmであった。 実施例5 大豆油425gに、ビタミンB1 微粉末(200メッシ
ュパス品)50g及び酢酸dl−α−トコフェロール2
5gを入れ、以下実施例2の方法と同様に操作を行い、
本発明のビタミンB1 含有油性組成物を得た。得られた
油性組成物の水分含有量は0重量%で、ビタミンB1
結晶の数平均粒子径は19μmであった。 実施例6 大豆油440gに、ビタミンB1 微粉末(200メッシ
ュパス品)25g、ビタミンB2 微粉末(200メッシ
ュパス品)25g及びオレイン酸ジグリセライド10g
を入れ、以下実施例2の方法と同様に操作を行い、本発
明のビタミンB 1 及びビタミンB2 含有油性組成物を得
た。得られた油性組成物の水分含有量は0重量%で、ビ
タミンB1 及びビタミンB2 の結晶の数平均粒子径は2
2μmであった。
【0015】実施例7 頭を除去した生鰯をミキサーで粉砕した後、実施例2で
得られたL−アスコルビン酸含有油性組成物を、L−ア
スコルビン酸濃度が0.05重量%となるように添加・
混合し、本発明の飼料(生餌)を得た。得られた飼料の
ビタミン残存率について、後述する方法に従って評価を
行った。評価結果を表1に示す。 実施例8 頭を除去した生鰯をミキサーで粉砕した後、実施例5で
得られたビタミンB1含有油性組成物を、ビタミンB1
濃度が0.005重量%となるように添加・混合し、本
発明の飼料(生餌)を得た。得られた飼料のビタミン残
存率について、後述する方法に従って評価を行った。評
価結果を表1に示す。 〔ビタミン残存率の測定〕飼料を25℃の温度で12時
間及び24時間保存した後、飼料からビタミンを抽出処
理してビタミンの定量を行った。L−アスコルビン酸の
定量はヒドラジン比色法により、ビタミンB1 の定量は
高速液体クロマトグラフィーにより行った。
【0016】実施例9 小麦粉50重量%、魚粉40重量%、魚油3重量%、水
7重量%の割合で混合した飼料を、エクストルーダーで
押し出し成形することによりペレット飼料を調製した。
エクストルーダー加熱温度は85℃で行った。調製した
ペレット飼料に、実施例2で得られたL−アスコルビン
酸含有油性組成物を、L−アスコルビン酸含量が0.0
5重量%となるようペレットに添加・混合することによ
り、本発明ペレット飼料を得た。得られた飼料のビタミ
ン残存率について、後述する方法に従って評価を行っ
た。評価結果を表2に示す。 実施例10 小麦粉50重量%、魚粉40重量%、魚油3重量%及び
水7重量%の割合で混合した飼料を、エクストルーダー
で押し出し成形することによりペレット飼料を調製し
た。エクストルーダー加熱温度は85℃で行った。次い
で、該ペレット飼料に、実施例5で得られたビタミンB
1 含有油性組成物を、ビタミンB1 濃度が0.005重
量%となるように添加・混合し、本発明のペレット飼料
を得た。得られた飼料のビタミン残存率について、後述
する方法に従って評価を行った。評価結果を表2に示
す。 〔ビタミン残存率の測定〕飼料を25℃の温度で1ヶ月
及び3ヶ月保存した後、飼料からビタミンを抽出処理し
てビタミンの定量を行った。L−アスコルビン酸の定量
はヒドラジン比色法により、ビタミンB1 の定量は高速
液体クロマトグラフィーにより行った。
【0017】比較例1 頭を除去した生鰯をミキサーで粉砕した後、L−アスコ
ルビン酸微粉末を、L−アスコルビン酸濃度が0.05
重量%となるように添加・混合し、飼料(生餌)を得
た。得られた飼料のビタミン残存率について、実施例7
と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。 比較例2 頭を除去した生鰯をミキサーで粉砕した後、ビタミンB
1 微粉末を、ビタミンB1 濃度が0.005重量%とな
るように添加・混合し、飼料(生餌)を得た。得られた
飼料のビタミン残存率について、実施例7と同様の評価
を行った。評価結果を表1に示す。 比較例3 小麦粉50重量%、魚粉40重量%、魚油3重量%、水
7重量%及びL−アスコルビン酸微粉末0.05重量%
の割合で混合した飼料原料を、エクストルーダーで押し
出し成形することによりペレット飼料を調製した。な
お、エクストルーダー加熱温度は85℃で行った。得ら
れた飼料のビタミン残存率について、実施例9と同様の
評価を行った。評価結果を表2に示す
【0018】比較例4 実施例2で得られた油性組成物に代えて、L−アスコル
ビン酸微粉末を、L−アスコルビン酸濃度が0.05重
量%となるように用いた以外は実施例9と同様に操作を
行い、ペレット飼料を得た。L−アスコルビン酸粉末は
ドライペレット飼料に吸着せず飼料の下部に集積した。 比較例5 実施例2で得られた油性組成物に代えて、10重量%濃
度のL−アスコルビン酸水溶液を、L−アスコルビン酸
濃度が0.05重量%となるように用いた以外は、実施
例9と同様に操作を行い、ペレット飼料を得た。得られ
た飼料のビタミン残存率について、実施例9と同様の評
価を行った。評価結果を表2に示す。 比較例6 実施例2で得られた油性組成物に代えて、10重量%濃
度のビタミンB1 水溶液を、ビタミンB1 濃度が0.0
05重量%となるように用いた以外は実施例9と同様に
操作を行い、ペレット飼料を得た。得られた飼料のビタ
ミン残存率について、実施例9と同様の評価を行った。
評価結果を表2に示す。
【0019】
【表1】 ビタミンの残存率(%) ビタミンの種類 製造直後 12時間後 24時間後 実施例7 L−アスコルビン酸 96 90 85 実施例8 ビタミンB1 97 91 87 比較例1 L−アスコルビン酸 98 52 21 比較例2 ビタミンB1 97 48 13
【0020】
【表2】 ビタミンの残存率(%) ビタミンの種類 試作直後 1ヶ月後 3ヶ月後 実施例9 L−アスコルビン酸 98 90 84 実施例10 ビタミンB1 99 91 85 比較例3 L−アスコルビン酸 19 0 0 比較例5 L−アスコルビン酸 98 65 39 比較例6 ビタミンB1 97 62 36
【0021】〔給餌試験〕市販のドライペレット(富士
製粉(株)製、浜一番1P)に、実施例2で得られた油
性組成物を、L−アスコルビン酸濃度が0.1重量%と
なるよう添加・混合して本発明の飼料を得た。該飼料
を、ブリの稚魚に、3ヶ月間毎日給餌した。同一条件で
アスコルビン酸粉末を水に溶解して同量添加したドライ
ペレット(対照群)をブリの稚魚に給餌し、それぞれの
生存率及び奇形魚発生率を比較した。その結果、3ヶ月
間の両群の生存率は、対照飼料を与えたものは76%で
あったが、本発明飼料添加群では90%であった。ま
た、奇形魚発生率は対照群が11%であり、本発明品添
加群は6%であった。
【0022】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の油性組成物
は、水溶性ビタミン類と、常温で液体状又は流動性を示
す油性成分とからなるので、水溶性ビタミン類を均一に
混合することができ、飼料中において水溶性ビタミン類
の劣化や分解を起こすことのないものとなる。また、本
発明の飼料は、上記油性組成物が添加されており、保存
中に水溶性ビタミン類の劣化や分解を起こすことのない
ものとなる。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性ビタミン類と、常温で液体状又は
    流動性を示す油性成分とからなる油性組成物。
  2. 【請求項2】 全体の水分含有量が5重量%以下である
    請求項1記載の油性組成物。
  3. 【請求項3】 上記水溶性ビタミン類が粒子状で存在し
    ており、且つその平均粒子径が30μm以下である請求
    項1又は2記載の油性組成物。
  4. 【請求項4】 親油性乳化剤を含有する、請求項1〜3
    の何れか1項に記載の油性組成物。
  5. 【請求項5】 油溶性ビタミン類及び/又はβ−カロチ
    ンを含有する、請求項1〜4の何れか1項に記載の油性
    組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れか1項に記載の油性
    組成物を含有することを特徴とする飼料。
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