JPH10215786A - 酸化安定性の良い飼料 - Google Patents

酸化安定性の良い飼料

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JPH10215786A
JPH10215786A JP9035623A JP3562397A JPH10215786A JP H10215786 A JPH10215786 A JP H10215786A JP 9035623 A JP9035623 A JP 9035623A JP 3562397 A JP3562397 A JP 3562397A JP H10215786 A JPH10215786 A JP H10215786A
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JP
Japan
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oil
feed
fish
testis
weight
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JP9035623A
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English (en)
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Hiroaki Tsuji
宏明 辻
Miho Matsumoto
美保 松本
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Nisshin Oil Mills Ltd
Original Assignee
Nisshin Oil Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安全性の点で問題なく、酸化安定性にすぐ
れ、長期間にわたり抗酸化効果が持続する水産用または
畜産用飼料を提供する。 【解決手段】 魚類精巣成分を含有してなる製剤であっ
て、該製剤は好ましくは前記魚類精巣成分と油脂と要す
ればトコフェロールまたは/およびエトキシキンとを含
有してなる油脂含有組成物、あるいは該油脂含有組成物
と水とを要すればL−アスコルビン酸、その塩、蛋白質
およびペプチドからなる群より選ばれる少なくとも1種
を含有してなる乳化組成物である前記製剤を飼料原材料
に添加してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、魚類精巣を由来と
する酸化安定性の良い飼料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】水産用、畜産用およびペットフード用飼
料には、原材料として魚粉、フィッシュミール、魚油等
が配合されることが多く、また、栄養源ないしエネルギ
ー源として種々の油脂が添加される。油脂、とりわけ不
飽和脂肪酸を含む油脂は酸化されやすく、品質劣化、栄
養性・機能性低下の大きな原因となる。このため数多く
の抗酸化剤が該飼料に添加され、その酸化防止効果が試
されてきたが、実用的観点から該飼料の酸化劣化を抑制
するものがほとんどなかった。現状では、化学合成品で
あり安全性も疑問視されている6−Ethoxy−1,2dihy
dro −2,2,4−trimethylquinoline(以降、エトキ
シキンという)やter −ブチルヒドロキシトルエン(B
HT)等が使用制限付きで添加剤として使われている。
したがって、化学合成抗酸化剤の使用量が減らせ、安全
性が高く、飼料に対して酸化防止力が強い抗酸化剤の開
発が望まれている。
【0003】さらに、飼料特に養殖魚類は高度不飽和脂
肪酸を大量に含んだ飼料を摂餌しているが、これら飼料
脂質の酸化の摂取や酸化ストレスにより生体内脂質の過
酸化や肝臓障害、黄疸症および連鎖球菌症が発生し斃死
することが知られている。養魚成績を向上させるために
餌料の脂質酸化度など品質検査の導入などが試みられて
いる。しかし、疾病予防・歩留まり向上のためにはより
効果があり、安価で安定供給できる抗酸化剤が求められ
ている。
【0004】一方、魚類精巣はカズノコ、タラコ、イク
ラなどの魚卵ないし魚肉部の食用加工時に大量に発生し
ている。95年度の発生量はニシンとタラ類で約1万
t、サケ類約5000tといわれている。その一部(年
間約40t)は室温にて酸性水溶液で化学分解後、中和
することにより得られた塩基性タンパク質(プロタミン
ヒストンを細菌、乳酸菌および産膜酵母用抗菌剤として
食品添加物として使用されている。また、核酸を分離精
製した物およびその塩は医薬品用ないし化粧品用に年間
約30t使用されている。これら、分離加工精製され調
製される原料のほとんどはサケ類精巣が原料になってい
る。これはサケ類精巣の構成脂質含量が1%以下で最終
製品に酸化臭や色、味への悪影響が出にくいことが理由
である。その他ニシン、タラなど由来の精巣は漁獲量が
多いためサケ類以上に発生するが、構成脂質含量がそれ
ぞれ4〜6、2〜4%あり、塩基性タンパク質や核酸精
製品の調製時に発生する色、臭い、味の変敗の点で敬遠
されている。そのため飼料や肥料への転用が検討されて
いるが、しかし、実際のところそのほとんどが廃棄され
ている素材であり、その有効活用が課題となっている未
利用資源である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これまでの水産用およ
び畜産用飼料には前述のような問題点があり、安全性が
高くかつ酸化安定性がよい飼料を作り出すことができな
かった。したがって本発明は、安全性の点で懸念がな
く、酸化安定性に優れ、また長期間にわたり抗酸化効果
が持続する水産用、畜産用およびペットフード用飼料を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達
成するため鋭意検討した結果、ニシン目、タラ目、スズ
キ目由来の魚類精巣を遠心分離および/またはアルコー
ル抽出して得られる成分(以後、精巣成分ということが
ある)を添加すると強い抗酸化活性を持つ飼料が得られ
ること、さらにこれら魚類精巣成分を油剤または乳剤の
形態にした組成物となすことにより、より長期間にわた
り飼料の抗酸化力を持続させることが可能になるという
知見を得た。さらに、かかる油剤または乳剤にトコフェ
ロール、エトキシキン、L−アスコルビン酸、またはそ
の塩またはその脂肪酸エステル、蛋白質、ペプチド等を
添加することにより、さらに抗酸化力を高めることがで
き、上記の目的が達成されることを見いだした本発明は
かかる知見に基づいて完成するに至った。
【0007】すなわち本発明の要旨の第1は、魚類精巣
成分を含有してなることを特徴とする酸化安定性の良い
飼料であり、第2は魚類精巣成分と油脂とを混合してな
る油脂含有組成物を含むことを特徴とする酸化安定性の
良い飼料である。第3は該油脂含有組成物もしくはその
構成成分を油相とし、これと水相とを乳化してなる乳化
組成物であることを特徴とする酸化安定性の良い飼料で
ある。なお、前記油脂含有組成物はトコフェロールまた
は/およびエトキシキンとを、また前記水相はL−アス
コルビン酸、その塩、蛋白質およびペプチドからなる群
より選ばれる少なくとも1種を、適宜に含有してなるも
のを含むことができる。以下、本発明について詳述す
る。
【0008】
【発明の実施の形態】まず本発明では魚類精巣としてニ
シン目、タラ目、スズキ目由来の精巣を対照とする。こ
れらの精巣は魚卵ないし魚肉を得る目的で加工する際に
その副産物として発生し、容易に入手することが可能で
ある。具体的な魚種としてはニシン目はニシン(Clupea
harengus pallasi )、タラ目はタラコや魚肉を食する
マダラ(Gadus morhua macrocephalus)、主にすり身の
原料になるスケトウダラ(Theragra chalcogramma )の
他ヒゲダラ(Lotella phycis)、トウジン(Coelorhync
hus japonicus )があり、ねり製品原料として加工され
ている。スズキ目はカツオ(Katsuwonus pelamis, skip
jack)、ハガツオ(Sarda orientalis,bonito )が食用
ないしインスリン製造用に加工される。その他カサゴ目
アイナメ(Hexagraos otakii)やホッケ(Pleurogrammu
s azonus)なども加工されるが漁獲量が少ないため入手
が困難である。一方、ベニサケ(Oncorhynchus nerk
a)、シロサケ(Oncorhynchus keta )、カラフトマス
Oncorhynchus gorbuscha)などサケ類由来の精巣はニ
シン目、タラ目、スズキ目由来の精巣成分の20分の1
以下の活性しか得られなかった。これは、サケマス類は
沈性卵に対しカツオなどは水面に浮く浮性卵、ニシンな
どでは卵の表面の粘質物、付着膜、付着糸などで地面に
付着する付着卵である他、イクラ・スジコとカズノコ、
タラコなど魚卵の形状、色が異なり、精巣においてもそ
の脂質含量がサケ類白子は脂質1%以下、カツオ、タラ
類脂質2〜4%、ニシン脂質4〜6%と異なるように魚
種により構成物質や組成が異なるためと考えられる。
【0009】水産加工場にて分取された魚類精巣は、生
のままないし凍結した状態にて流通しており、本発明に
おいてはそのいずれも利用可能である。魚類精巣は解凍
した状態ないし加温した後、遠心分離し、その沈殿部分
を除去する。この分離操作により抗酸化活性を10倍以
上向上させることが可能である。 沈殿部分を除去した
精巣成分はそのままないし、加熱乾燥機、噴霧乾燥装置
ないし凍結乾燥器などを利用して乾燥物として製剤に用
いることができる。なお、乾燥の際にセルロース、キチ
ン、酸カゼインの様な通常使用される担体を適宜併用し
ても差し支えない。さらに、乾燥物のアルコール抽出物
を製剤に用いることも可能である。以上の分離法により
魚類精巣成分が調製される。
【0010】精巣成分由来抗酸化物質本体としては精巣
に含まれるグルタチオン、ポリアミン類、キサンチン
類、蛋白質/アミノ酸類、リン脂質の様に抗酸化効果な
いし抗酸化相乗効果が知られている物質が係わっている
と考え、ニシン精巣成分中抗酸化に関連する上記既知物
質を定量して得た製剤の抗酸化活性を測定したところ、
ニシン精巣成分の抗酸化活性の15分の1程度の活性し
か示さなかった。このことから、本発明による抗酸化製
剤の活性本体は未知の新規物質ないし組成物と考えられ
る。
【0011】本発明の第一の酸化安定性の良い飼料は、
魚類精巣成分を含有することを特徴とするものである。
第二のタイプは魚類精巣成分と油脂とを含有してなる油
脂含有組成物、あるいは該油脂含有組成物がさらにトコ
フェロールまたは/およびエトキシキンを含む物からな
る酸化安定性の良い飼料である。
【0012】ここで油脂の種類は、とくに限定されるも
のではないが、常温にて液状を呈する油脂が使用にあた
って簡便である。本発明に適用できる油脂の具体例とし
て大豆油、菜種油、コーン油、サフラワー油、綿実油、
ヒマワリ油、パーム油、アマニ油、カカオ脂、シア脂、
オリーブ油等の植物性油脂や牛脂、ラード等の動物性油
脂、炭素数6〜10の中鎖脂肪酸の単酸基または混酸基
トリグリセリド(例えば日清製油(株)製、商品名:O
DO)、アセチンファット(酢酸トリグリセリド)、オ
レイン酸トリグリセリド等をあげることができる。この
うち大豆油、菜種油、コーン油、中鎖脂肪酸トリグリセ
リドが好ましい。なおイワシ、サンマ、サバ等の魚油、
イカ、スケトウダラ等の肝油、アザラシ、トド等の海獣
油等の高度不飽和脂肪酸含有油脂を用いることも可能で
ある。
【0013】油脂に配合する本発明に係わる精巣成分の
添加量は油脂に対して0.005〜70重量%、より好
ましくは0.02〜50重量%、最も好ましくは0.1
〜10重量%である。0.005%未満では抗酸化効果
が小さく、逆に70重量%を越えて配合しても均一な溶
解ないし分散状態の油脂組成物が得られず、配合量に見
合う抗酸化力を発揮しにくくなり不経済である。
【0014】なおこの油脂組成物にトコフェロールを油
脂含有組成物に対して0.01〜30重量%、好ましく
は0.1〜10重量%または/およびエトキシキンを
0.0001〜10重量%、好ましくは0.001〜1
重量%添加すると当該油脂含有組成物の抗酸化力はさら
に高まる。ここにトコフェロールは、D体、L体または
DL体の、α、β、γおよびδ−トコフェロールの単独
もしくは任意の混合物でよく、天然物由来のものまたは
合成品を使用できる。δ−トコフェロール含量の高いも
のが望ましいが、実用的には大豆油、小麦胚芽油、菜種
油等の植物油脂を脱臭精製する際の副産物から濃縮され
るD体のα、β、γおよびδ−トコフェロールが好適で
あり、これらの分画物、合成フィトールから調製される
DL体のαトコフェロールや、酢酸トコフェロールの様
な誘導体でもさしつかえない。かかるトコフェロールが
油脂との混合物であっても支障はない。また、エトキシ
キンは住友化学などから市販されており、これらが好適
である。
【0015】本発明の油脂含有組成物を調製するには、
魚類精巣成分を、あるいはこれらとトコフェロールまた
は/およびエトキシキンとを、そのままもしくはエタノ
ール、イソプロパノール、ブタノール、エーテル等の溶
媒に予め溶解させた後に前記油脂に添加し、常温にても
しくは約50℃に加温し、ミキサーやブレンダー等の適
当な攪拌機あるいは混合機を用いて、50〜4000rp
m の回転数で攪拌して均一に溶解ないし分散させ、必要
に応じて減圧にて脱溶媒すればよい。なお油脂含有組成
物の性状を調整するため、要すれば油溶性の12−ヒド
ロキシステアリン酸等の増粘剤、キャンデリラワック
ス、カルナウバワックス、パラフィンワックス等のワッ
クス類、着色剤、香料等を配合してもよい。かくして本
発明の魚類精巣成分と油脂とを含有してなる油脂含有組
成物、あるいは該油脂含有組成物がさらにトコフェロー
ルまたは/およびエトキシキンを含むものが得られる。
【0016】次に、本発明の魚類精巣成分の第3のタイ
プは、前記第2のタイプ(油脂含有組成物)を油相と
し、これと水相とを乳化せしめてなる乳化組成物、ある
いは該乳化組成物がさらにL−アスコルビン酸、その
塩、蛋白質およびペプチドからなる群より選ばれる少な
くとも1種を含むものである。ここで、L−アスコルビ
ン酸、その塩、蛋白質およびペプチドからなる群より選
択される少なくとも1種のものは前記水相に含有せし
め、乳化処理にあたっては乳化剤を使用することが好ま
しい。また、乳化組成物は水中油型もしくは油中水型乳
化組成物である。
【0017】乳化剤は公知のもの、例えばラウリン酸、
ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン
酸、リノール酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステ
アリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、牛脂分解脂肪酸、ヤ
シ油分解脂肪酸、菜種油分解脂肪酸等の脂肪酸残基を有
するプロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、脂肪酸
モノまたはジグリセリド、ショ糖モノ、ジまたはトリ脂
肪酸エステル、ソルビタンモノ、セスキまたはジ脂肪酸
エステル、前記脂肪酸または脂肪酸エステルのエチレン
オキサイドまたは/およびプロピレンオキサイド2〜4
0モル付加物、平均重合度2〜15とくに6または10
のポリグリセリンモノ、ジまたはトリ脂肪酸エステル等
のエステル系乳化剤を用いることができる。
【0018】また大豆レシチン、菜種レシチン、卵黄レ
シチン、該レシチン等から分画、濃縮されるあるいは化
学合成されるホスファチジルコリン、ホスファチジルエ
タノールアミン、ホスファチジルイノシトール、該リン
脂質のリゾ体等のレシチン系乳化剤、前記脂肪酸のカリ
ウム塩またはナトリウム塩等の脂肪酸石鹸系乳化剤、ラ
ウリルアルコール、テトラデシルアルコール、セチルア
ルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコー
ル、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチ
ルフェノール、ノニルフェノール等のエチレンオキサイ
ドまたは/およびプロピレンオキサイド2〜30モル付
加物等のエーテル系乳化剤も使用できる。本発明ではこ
れらの乳化剤の1種もしくは2種以上を適宜に利用でき
るが、とりわけ脂肪酸グリセリド、ソルビタン脂肪酸エ
ステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびレシチン
のうちの1つまたは2つ以上が好ましい。
【0019】かかる乳化剤を乳化組成物全量に対して約
0.1〜5重量%用い、前記油脂組成物を油相として、
油相と水相との比率を油相/水相=5/95〜95/5
(重量比、以下同じ)、なお水中油型乳化組成物の場合
には好ましくは油相/水相=5/95〜約60/40と
し、また油中水型乳化組成物の場合には好ましくは油相
/水相=約40/60〜95/5とし、順相または転相
乳化法により乳化せしめる。本発明の乳化組成物では、
分散液滴(水中油型乳化組成物における油滴、油中水型
乳化組成物における水滴)の平均粒径は約50μm以
下、好ましくは約5〜30μm、さらに望ましくは約5
〜20μmにしておくとよい。約50μmを超え60μ
m程度以上の平均粒径になると安定な乳化状態を維持し
にくくなる。
【0020】なおこの乳化組成物を調製するにあたり、
水相にL−アスコルビン酸、その塩、蛋白質およびペプ
チドからなる群より選ばれる少なくとも1種の水性成分
を含有せしめることにより、該乳化組成物の抗酸化力を
さらに増強させることができる。とくに蛋白質の併用
は、抗酸化力の増強とともに乳化状態の安定化にも有効
である。乳化組成物全体として、L−アスコルビン酸お
よびその塩は各0.01〜30重量%、好ましくは0.
05〜10重量%用いればよく、また蛋白質は0.1〜
30重量%、好ましくは0.5〜20重量%であり、ペ
プチドは0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜10
重量%を配合する。これらの水性成分の添加量はいずれ
も、前記の範囲を外れて少ないと、魚類精巣成分の抗酸
化力を増強させることができず、逆に前記範囲を超えて
添加量を増やしてもさらなる抗酸化力の増大は期待でき
ない。
【0021】これらの水性成分のうち、L−アスコルビ
ン酸およびその塩は市販品を用いればよい。また蛋白質
およびペプチドは動物または植物由来のどちらでも構わ
ない。動物由来のものとしては卵白、卵黄、蓄乳、肉エ
キス、魚粉、カニミール、エビミール、フェザーミール
等の蛋白質およびペプチドがあげられ、植物由来のもの
としては大豆、小麦、菜種、綿実、アマニ、サフラワ
ー、ヒマワリ、ゴマ、落花生、ヤシ、カポック、アーモ
ンド、クルミ等から抽出した蛋白質およびペプチドがあ
げられるが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0022】ペプチドは、前記動植物由来の蛋白質を公
知の方法すなわち酸、アルカリまたはプロテアーゼ等に
より加水分解し、中和、加熱、酸性沈澱、凝集、分離、
濃縮等の処理を施し得られるもので、その分子量は50
0〜50000であり、好ましくは1000〜1000
0である。分子量が500より小さいペプチドでは本発
明の所望の効果が得られず、また乳化組成物に呈味を付
与する傾向が大きくなり、製品の用途を制限しかねな
い。また分子量が50000を超えると効果の点で前記
蛋白質を配合する場合と差がなくなる。蛋白質およびペ
プチドの好ましいものとして、卵白、カゼイン、濃縮大
豆蛋白、分離大豆蛋白、ツエイン、グルテンおよびこれ
らのペプチドを例示できる。
【0023】本発明の乳化組成物は次のようにして調製
する。すなわち前記方法により調製した、魚類精巣成分
と油脂とを、要すればさらにトコフェロールまたは/お
よびエトキシキンを含有せしめてなる油脂含有組成物を
油相とし、一方、水、あるいは水にL−アスコルビン
酸、その塩、蛋白質、およびペプチドからなる群より選
択される1種以上の水性成分を溶解ないし分散させた水
溶液を水相とし、好ましくは前記乳化剤の一部もしくは
全部を該油相または該水相に添加する。このとき親油性
乳化剤は油相に、親水性乳化剤は水相に、また親油性お
よび親水性乳化剤を併用する場合には同様に各相にそれ
ぞれ溶解させておくのがよい。
【0024】かかる油相および水相を各々、常温で、あ
るいは要すれば約70℃程度に加温し、ホモミキサー、
ホモジナイザー、ヒスコトロン、アジホモミキサー等の
攪拌、混合機を用いて例えば回転数1000〜1000
0rpm で10〜30分間攪拌しながら、好ましくは水中
油型乳化組成物のときは水相に油相を添加し、また油中
水型乳化組成物のときは油相に水相を添加してそれぞれ
乳化せしめる。
【0025】なお本発明の乳化組成物は、前記油脂組成
物の必須構成成分すなわち魚類精巣抽出物と油脂、ある
いは該成分とトコフェロールまたは/およびエトキシキ
ンとを予め混合して溶解ないし分散させることなく、こ
れらを水、水性成分、乳化剤等と直接混合、乳化させて
も調製することができる。また前記のほかの水相成分と
して、必要に応じてカルボキシメチルセルロース、グア
ーガム、キサンタンガム、アルギン酸ソーダ、カラギー
ナン等の増粘ないしゲル化剤、着色剤、香料等を配合し
てもよい。
【0026】かくして本発明の魚類精巣成分製剤の第3
のタイプ、すなわち魚類精巣成分と油脂と水、あるいは
さらにトコフェロールまたは/およびエトキシキンを含
む該成分を乳化せしめてなる水中油型もしくは油中水型
乳化組成物、さらにまたこれにL−アスコルビン酸、そ
の塩、蛋白質およびペプチドからなる群より選ばれる少
なくとも1種を含む該乳化組成物が得られる。
【0027】本発明では、以上に述べたような魚類精巣
成分を含有する油脂組成物(油剤)あるいは乳化組成物
(乳剤)と飼料原材料とを用いて、酸化安定性の良い水
産用または畜産用飼料が製造される。乳化物は、魚粉や
フィッシュミールなど魚油を含有している飼料組成物に
対して2〜50重量%添加することが好ましい。また、
魚類精巣成分の油剤は魚油等の高度不飽和脂肪酸含有油
脂に対して0.01〜50重量%添加することが好まし
い。
【0028】本発明の飼料は、前記魚類精巣成分製剤以
外は公知の飼料用原材料を用いて調製することができ
る。すなわち水産用飼料は、穀類、そうこう類、植物油
粕類、動物性飼料原料、その他原料等から構成される組
成物である。穀類としては、とうもろこし、グレインソ
ルガム、小麦、大麦、えん麦、ライ麦、玄米、小麦粉、
きな粉等が利用できる。そうこう類としては、米ぬか、
米ぬか油粕、麦ぬか、ふすま等が含まれる。植物油粕類
としては、大豆油粕、アマニ油粕、綿実油粕、落花生油
粕、サフラワー油粕、ヤシ油粕、パーム核油粕、ゴマ油
粕、ヒマワリ油粕、菜種油粕、カポック油粕等が例示で
きる。また、動物性飼料原料としては、魚粉、フィッシ
ュソリュブル、フィッシュソリュブル吸着飼料、肉粉、
肉骨粉、血粉、カニミール、エビミール、フェザーミー
ル、蚕よう、蚕よう油粕、脱脂粉乳、乾燥ホエー等があ
げられる。その他、淡水産および海産クロレラ、各種藻
類、ワカメ、コンブ等の海草類、セルロースパウダー、
カルボキシメチルセルロース等も使用可能である。
【0029】畜産用飼料は、穀類、イモ類・カブ類、そ
うこう類、植物油粕類、その他の粕類、油脂類、草類、
動物性飼料原料、細胞蛋白質および非蛋白態窒素化合
物、ミネラル、ビタミン、その他原料等からなる。穀類
としては、前記水産用飼料の穀類のほかアワ、ヒエ、キ
ビ等が使用される。イモ類・カブ類では、サツマイモ、
キャッサバ、バレイショ、カブ、ビート等が含まれる。
そうこう類としては、前記水産用飼料と同様のものが利
用できる。また、植物油粕類としては、前記水産用飼料
に用いるもののほか麻実粕、アーモンド粕、クルミ粕、
カラシ粕、ニガー粕等を例示できる。その他の粕類とし
て、コーングルテンミール、ビール粕、アルコール発酵
粕、豆腐粕、蒸留酒粕、醤油粕、トマト搾り粕、コーヒ
ー残渣、ココア残渣等も利用できる。油脂類としては、
大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、ヒ
マワリ油、アマニ油、シソ油、ヤシ油、パーム油、パー
ム核油、カポック油、ゴマ油、エゴマ油、カカオ脂、シ
ア脂、サル脂、牛脂、ラード、バター、魚油等を例とし
てあげることができる。草類として、イネ科牧草、マメ
科牧草、青がり飼料作物等がある。動物性飼料原料とし
ては、前記水産用飼料における動物性飼料原料のほか鯨
肉粉、乳製品副産物(脱脂乳、バターミルク、ホエ
ー)、肉加工副産物(骨粉、羽毛粉)等が利用できる。
細胞蛋白質としては、クロレラをはじめとする各種藻
類、ワカメ、コンブ、糸状菌、酵母、バクテリア等があ
る。なお本発明の原材料はこれらの例示に何ら制限され
るものではなく、また適宜に選択して配合できる。
【0030】本発明の飼料は、前記各種原材料を適宜に
選択し、魚類精巣成分製剤とともに粉砕、混合、成型等
の処理を施して得られるものであり、基本的には水産用
飼料と畜産用飼料とで異なるところはほとんどない。例
えば水産用配合飼料は、形態的には粉末状、粒状および
塊状(クランブル、ペレット、多孔質ペレット、線香
型、多孔質ペレットのクランブル、気流造粒クランブ
ル、フレーク状)に分けられるが、それらの製法の一例
を以下に示す。
【0031】主原料、副原料、雑原料および液状原料を
各原料タンクに入れ、主原料、副原料および雑原料をそ
れぞれ適当な粉砕機で粉末化する。また、雑原料(例え
ばビタミン、ミネラル、ホルモン等)の一部に微量成分
や魚類精巣成分製剤を添加しプレミックスする。この場
合、魚類精巣成分製剤は魚粉やフィッシュミール等の油
分を含有する原料に直接添加するか、魚油等の油脂類に
添加し、他の原料に混合して粉砕機にかけてもよい。作
業性の点では、魚類精巣成分を魚粉または/および魚油
に添加することが好ましい。魚類精巣抽出物製剤の混合
物を配合タンクに入れ、他の粉末原材料と混合した後、
さらに液状原料を加えてミキサーで混合する。なおこの
時はじめて、魚類精巣成分製剤を添加し、配合タンク中
で混合してもかまわない。このようにして粉末状飼料を
製造することができる。
【0032】また前記粉末状飼料を一軸または二軸型エ
スクトルーダー、ペレットミル、ペレッター、クランブ
ラー等の成型機に送り、加水度5〜10重量%になるま
で水蒸気を吹き込んで原材料の澱粉質を糊化させたり、
CMC(カルボキシメチルセルロース)、リグニンスル
ホン酸ソーダ等のバインダーをさらに添加して硬度を調
節し、混練した後、厚さ2〜10cmの穴のあいた板にロ
ールで飼料を押し込み、100〜1000kg/cm2 の高
圧下から大気圧下に押し出す。押し出された塊状飼料混
合物は、これを適当な長さに切断し、冷却、乾燥処理し
てペレット状飼料を製造する。多孔質ペレット飼料は、
この工程中において高圧状態にある押出機から大気圧状
態に押し出すことにより作成される。なおこの多孔質飼
料に魚類精巣成分の例えば乳化組成物等を吸収させる
と、油分を10〜20%程度含んだソフトタイプの飼料
ができる。またクランブル飼料は、ペレットや多孔質ペ
レットをローラーとシフターを用いて砕き、所定の粒径
の粒子にふるい分けしたものである。
【0033】かくして得られる魚類精巣成分製剤を含有
した飼料は長期間にわたり酸化安定性の良い、品質の良
好な飼料となる。
【0034】
【実施例】次に参考例、実施例により、この発明をさら
に具体的に説明する。 [参考例1]タラ、ニシン、カツオおよびサケ類精巣各
1kgから3000rpm 、30分間遠心し、沈殿を除いた
後噴霧乾燥し、各精巣成分を得た。各回収量はそれぞ
れ、53g、48g、32gおよび42gであった。サ
ケ精巣成分はさらに限外濾過(アミコン社製、MC8)
を用い分子量1万以下の分画を得、凍結乾燥を行いサケ
精巣低分子分画5.2gを得た。一方、ニシン精巣成分
の抗酸化に係わる成分を分析したところ、グルタチオン
0.0012重量%、ポリアミン類0.018重量%、
キサンチン0.0048重量%、リン脂質3.5重量%
およびプロタミンヒストン26重量%であった。ポリア
ミン類の内訳はプトレッシン0.0084重量%、スペ
ルミジン0.0060重量%およびスペルミン0.00
36重量%であった。リン脂質類の内訳はホスファチジ
ルコリン0.9重量%、ホスファチジルエタノールアミ
ン0.4重量%およびホスファチジルイノシトールなど
0.8重量%であった。これらに相当する量の試薬(シ
グマ社製)およびその他部分は澱粉分解物(松谷化学
製、商品名H−PDX)を混合した試薬混合物を調製し
た。また、ニシン精巣をそのまま凍結乾燥したニシン精
巣も対照として調製した。イワシ油を用い、本発明に係
わる精巣成分および対照試料を2000ppm 添加し10
0℃にてCDM試験(メトロームシバタ社製、ランシマ
ットE679型使用)にて抗酸化力を測定した。結果を
表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】本発明に係わるタラ、ニシン、カツオ精巣
成分は非常に強い抗酸化活性が有ることが確認された。
遠心分離操作なしでは抗酸化活性低く、また、公知の精
巣含有抗酸化物質およびその混合物のみではわずかな抗
酸化活性しか得られないことが判明した。また、サケ由
来の精巣成分、およびサケ由来精巣低分子画分はほとん
ど抗酸化活性が見られなかった。
【0037】[参考例2]ニシン、タラ、カツオ類由来
精巣混合物1kgを80℃にて30分間加温後、遠心分離
して沈殿を除いた物にアビセル(旭化成社製)5重量%
加え凍結乾燥を行い精巣成分65gを得た。さらに、得
られた精巣成分50gに対し90%含水エタノールを5
00ml加えて撹拌した後、濾過し、濾液を減圧乾燥して
精巣アルコール抽出物22gを得た。イワシ油を用い、
精巣遠心分離成分または精巣抽出物、精巣アルコール抽
出物を添加し、100℃にてCDM試験(メトロームシ
バタ社製、ランシマットE679型使用)で抗酸化力を
測定した。表2に結果を示す。
【0038】[参考例3]ニシン、タラ、カツオ類由来
清楚混合物1kgに90%(v/v)エタノール2lを加
え、ホモジナイザーで4500rpm 、5分間攪拌後、遠
心分離して沈澱を除いた物を減圧乾燥して精巣アルコー
ル抽出物52gを得た。
【0039】
【表2】 本発明に係わる精巣成分、精巣抽出物、アルコール抽出
物は200ppm から70%添加時に抗酸化活性が観察さ
れた。
【0040】[参考例4]大豆白絞油100gに参考例
1で調製したニシン由来精巣成分2重量%または参考例
1で調製したニシン由来精巣成分2重量%と大豆油を含
むD−α、β、γおよびδ−ミックストコフェロール
(シグマ社製、試薬TYPE V)0.2重量%とをエ
タノール100mlに溶解したものを加え、パドルミキサ
ーを用いて5000rpm の回転数で3分間混合し、溶解
させた後、エタノールを減圧留去して魚類精巣成分とト
コフェロールとの混合物を調製した。参考例1で調製し
たニシン由来精巣成分2重量%とエトキシキン(シグマ
社製)1.5重量%混合物も同様にして調製した。対照
としてエトキシキンのみを1.5重量%添加した区を調
製し、それぞれ褐色サンプル瓶に入れ、キャップをし
て、40℃の恒温槽で3カ月、6カ月および12カ月間
保存した。その後、各所定期間保存した該油脂含有組成
物を用い、スケトウダラ肝油に対する抗酸化力を比較し
た。すなわちスケトウダラ肝油に対して1重量%になる
ようにそれぞれを添加し、強制劣化試験(AOM試験)
を行った。97.8±0.2℃で空気を2.3ml/秒の
流速で吹き込み、一定時間毎にサンプリングし、その過
酸化物価(POV)を測定し、POVが100になるま
での時間を求めた。その結果を表3に示す。
【0041】
【表3】
【0042】表3の結果から、本発明に係わる魚類精巣
成分製剤はスケトウダラ肝油に対して長期保存後に使用
しても抗酸化力を高く維持しており、また魚類精巣成分
とトコフェロールないしエトキシキンとを併用した場合
には抗酸化力が増強されることが明らかになった。
【0043】[参考例5] 安全性試験 5週齡のddY雄マウスを固形飼料(日本クレア、CE
−2)、水(水道水)の自由摂取により1週間の予備飼
育を経た体重30〜34gのマウスを用いた。投与前夜
に除餌したマウスを1群10匹とし、参考例2記載のニ
シン、タラおよびカツオ精巣遠心分離成分50%水溶
液、および同じく参考例2記載の精巣エタノール抽出物
50%水溶液を胃ゾンデにより経口投与を行った。他に
対照群10匹をおいて、以降2週間にわたって経過観察
および全例の剖検を行った。その結果いずれにおいても
死亡例を認めず特記すべき異常を認めなかった。検体群
に於ける体重増加は1週間目に減少傾向を示したが、対
照群との間に有意差を示さなかった。また、剖検におい
ても主要臓器に異常を認めなかった。急性試験の結果、
20g/kgの投与においても1例の死亡も認められなか
った。以上の安全性試験結果より本発明の魚類精巣成分
は安全性が非常に高いことが明らかになった。
【0044】実施例1 参考例1、2で調製した魚類精巣成分2.0kgおよびD
−α−トコフェロール(シグマ社製、試薬)0.2kgを
エタノール1リットルに溶解し、これをスケトウダラ肝
油100kgに添加した後、十分に混合、エタノールを減
圧留去して作成した。一方、北洋魚粉と沿岸魚粉との
1:1(重量比)混合物78重量%、α−デンプン4重
量%、ビタミン(塩化コリン:50%、アスコルビン
酸:15%、イノシット:20%、ニコチン酸:15
%)混合物3重量%、ミネラル(リン酸1水素カルシウ
ム:76%、リン酸2水素カリウム:8%、硫酸カリウ
ム:7%、塩化ナトリウム:4%、酸化マグネシウム:
5%)混合物1重量%、前記魚類精巣成分製剤10重量
%、ソルビン酸カリウム0.1重量%、カルボキシメチ
ルセルロース3重量%および被覆B1(上野製剤(株)
製、商品名:サイアコート)0.9重量%の組成比率で
合計100kgになるように各原材料を用意した。魚粉を
粉砕機にかけた後、配合タンク中にデンプン、ビタミン
混合物およびミネラル混合物とともに入れ、これらを混
合した。さらに、これと魚類精巣成分製剤とをミキサー
で十分に混合し、魚類精巣成分製剤の混合物を得た。そ
して、これを加水度5重量%に調節し成型機にかけ、つ
いで厚さ10cmの穴のあいた板にロールで押し込み、1
000kg/cm2 の高圧下で押し出し、乾燥機およびクー
ラーにより乾燥させ、水産用ペレット飼料(収量:94
kg)とした。なおこれを同時に、同様の方法で表4に示
したような組成の各種添加剤(本発明の魚類精巣成分製
剤ほかの油脂組成物)を配合した水産用ペレット飼料を
調製した。
【0045】以上の各ペレット飼料を60℃の恒温室に
入れ、10日間保存した後、各々の飼料サンプルをn−
ヘキサンで抽出して油分を得、この過酸化物価(PO
V)を測定した。この結果を表4にまとめて示した。こ
れにより、本発明に係わる魚類精巣成分製剤を添加した
飼料は酸化劣化が抑制されていることを認めた。
【0046】
【表4】
【0047】注)※1 本発明の魚類精巣抽出物製剤お
よび比較のための油脂組成物。 ※2 各飼料を60℃で10日間保存した後の飼料中油
分の過酸化物価。 ※3 カプリル酸とカプリン酸との混合脂肪酸のトリグ
リセリド(日清製油(株)製、商品名:ODO) ( )内の数値は、添加剤全量に対する各成分の重量
%。またD−α−トコフェロール、D−δ−トコフェロ
ール、D−混合トコフェロール(大豆油を含むα、β、
γおよびδ体の混合物、TYPE V)、エトキシキン
はいずれもシグマ社製試薬。
【0048】実施例2 参考例1で調製した魚類精巣成分0.8kgおよびD−混
合トコフェロール(シグマ社製、試薬)0.2kgをスケ
トウダラ肝油100kgに添加し、十分に攪拌、混合し魚
類精巣成分製剤(油脂組成物)を作成した。これに、水
道水にL−アスコルビン酸(関東化学(株)製、試薬)
2.0重量%および卵白ペプチド(キユーピー(株)
製、商品名:卵白ペプタイドEP−1、平均分子量:1
100)5重量%を添加した水溶液100リットルとヘ
キサグリセリン縮合リシノール酸エステル(阪本薬品
(株)製、商品名:SYグリスタ−CR−500)とを
2.0重量%添加し、ホモジナイザーで十分に攪拌して
魚類精巣成分製剤(W/O型乳化組成物、実験NO. 2−
5)を作成した。魚粉45重量%、大豆油粕8.4重量
%、トウモロコシ粕12重量%、ビタミン(塩化コリ
ン:50%、アスコルビン酸:15%、イノシット:2
0%、ニコチン酸:15%)混合物3.0重量%、ミネ
ラル(リン酸1水素カルシウム:76%、リン酸2水素
カリウム:8%、硫酸カリウム:7%、塩化ナトリウ
ム:4%、酸化マグネシウム:5%)混合物2.0重量
%、小麦粉19.6重量%、前記魚類精巣成分製剤20
重量%の組成比率で合計100kgとなるように各原材料
を用意した。魚粉、大豆油粕、トウモロコシ粕および小
麦粉はそれぞれ粉砕機にかけた後に配合タンクに入れ、
さらにビタミン混合物、ミネラル混合物を添加し、混合
した。その後、これを魚類精巣抽出物製剤とともにミキ
サーに入れ、十分に混合してスペルミン等製剤の混合物
を得た。次に、これに水蒸気を吹込み加水度を3重量%
に調節してから成型機に入れ、厚さ3cmの穴のあいた板
にロールで該混合物を押し込み、2000kg/cm2の高
圧下で押し出した。これをナイフで適当な長さに切断
し、油分15重量%のソフトタイプの畜産用ペレット飼
料(収量:85kg)を作成した。
【0049】なおこれと同時に、同様の方法で表5に示
すような組成の各種添加剤(乳化組成物)を配合した畜
産用ペレット飼料を調製した。これらのペレット飼料サ
ンプルを60℃の恒温室で10日間保存した後、実施例
1と同様にPOVを測定した。この結果を表5にまとめ
た。実施例1と同様に、本発明に係る魚類精巣成分製剤
(乳化組成物)を添加した飼料は酸化劣化が抑制される
ことが明らかになった。
【0050】
【表5】
【0051】注)※1 本発明の魚類精巣成分製剤およ
び比較のための乳化組成物の成分。 ※2 阪本薬品(株)製、商品名:SYグリスタ−CR
−500。 ※3 理研ビタミン(株)製、商品名:ポエムJ−20
01。 ※4 日清製油(株)製、商品名:ソルピー5000。 ※5 キユーピー(株)製、商品名:卵白ペプタイドE
P−1。 ※6 O/W:水中油型、W/O:油中水型。 ※7 各飼料を60℃で10日間保存した後の飼料中油
分の過酸化物価。 ( )内の数値は、添加剤全量に対する各成分の重量
%、またD−混合トコフェロール、エトキシキン、BH
TおよびL−アスコルビン酸はいずれもシグマ社製試
薬。
【0052】[実施例3]個体重量約100gのブリを
1区100尾使用し、3年間にわたって飼育し、血中T
BA値、GOT値の測定を行った。結果を表6に示す。 1区:冷凍マイワシ+イカ油(POV 45〜55)2
0% 2区:冷凍マイワシ+参考例1で調製したニシン由来精
巣成分0.01%含有イカ油(POV 15〜20)2
0% 3区:冷凍マイワシ+参考例1で調製したニシン由来精
巣成分1%含有イカ油(POV 5〜18)20%
【0053】
【表6】
【0054】1区は2年目から3年目の冬場に黄疸症候
群による斃死が見られた。2区および3区においては生
存率、肝機能(TBA値、GOT値)ともに良好な状態
で生育した。この結果より、本発明に係わる魚類精巣抽
出物を含有する抗酸化製剤を添加した飼料は含有油脂の
酸化を効果的に抑え、魚の生育にも良好なことが明らか
になった。
【0055】
【発明の効果】本発明の飼料は、従来の抗酸化剤である
エトキシキンやBHTを添加したものよりも酸化安定性
が優れている。本発明では、魚類精巣成分を油剤や乳剤
等の製剤に加工した安定性および活性の高い前記魚類精
巣成分を添加するので、長期間にわたり酸化劣化を受け
にくい飼料となる。本発明で得られる酸化安定性の良い
飼料は、水産養殖用、畜産用、ペット動物等、幅広く使
用できる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 魚類精巣を遠心分離および/またはアル
    コール抽出して得られる成分を含有してなる酸化安定性
    の良い飼料。
  2. 【請求項2】 魚類精巣を遠心分離および/またはアル
    コール抽出して得られる成分と油脂を含んだ油脂含有組
    成物を含有してなる酸化安定性の良い飼料。
  3. 【請求項3】 魚類精巣がニシン目、タラ目、スズキ目
    のうち1種または2種以上を由来とする酸化安定性の良
    い飼料。
  4. 【請求項4】 油脂含有組成物がトコフェロールまたは
    /および6−エトキシ−1,2ジハイドロ−2,2,4
    トリメチルキノリンを含むものである請求項2の酸化安
    定性の良い飼料。
  5. 【請求項5】 請求項2ないし4記載の油脂含有組成物
    もしくはその構成成分を油相とし、これと水相とを乳化
    してなる乳化組成物を含むことを特徴とする酸化安定性
    の良い飼料。
  6. 【請求項6】 水相がL−アスコルビン酸、その塩、蛋
    白質およびペプチドからなる群より選ばれる少なくとも
    1種を含むことを特徴とする請求項5記載の酸化安定性
    の良い飼料。
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