JP6959579B2 - 配向ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、電磁波シールドフィルムをフレキシブルプリントサーキットやモジュール等に転写する際に用いられる支持フィルムとして特に好適な配向ポリエステルフィルムに関するものである。さらに詳しくは、かかる転写と同時に支持フィルム表面の凹凸形状も転写して、電磁波シールドフィルム表面に非光沢面を付与するのに好適な艶消し配向ポリエステルフィルムに関するものである。
従来、パソコンのような事務機器、携帯電話のような通信機器および医療機器を包含する電子機器や、それを内蔵する各種機器において、近傍界から発生する電磁波を吸収して、誤動作、接点の誤接触、ノイズなどの障害を抑制するために電磁波シールドフィルムで被覆することが知られ、近年、支持フィルム上に電磁波シールドフィルムを形成し(例えば、保護層、電磁波シールド層がこの順に積層された電磁波シールドフィルム)、これを各種機器表面に高温圧着して電磁波シールドフィルムを転写することが行われている。(例えば、特許文献1、2参照)
また、従来の転写型の電磁波シールドフィルムは、クリアな成品外観を得るために平坦な支持フィルムが用いられていたが、近年、艶消し性を有する成品の表面外観についても転写法を用いて付与する試みがなされつつある。それに伴い、艶消し層を備えた、転写後の艶消し性に優れた支持フィルムが求められるようになってきた。
一方、艶消し層を備えたフィルムについて、特許文献3には、成形性、厚み斑、耐熱性に優れた成形用艶消し積層ポリエステルフィルムが開示されている。しかしながら、電磁波シールドフィルム転写用等の支持フィルムとしての検討はなされておらず、よって通常の成形加工用としては十分であっても、転写用の支持フィルムとしては不十分である。
また、特許文献4には、良好な艶消し性と透明性とを有する二軸延伸共押出し艶消しポリエステルフィルムが開示されており、積層フィルムの片面に粒径が2〜5μmの粒子を1〜10重量%添加することが開示されている。しかし、具体的に例示されているフィルム光沢度(G60)は50〜70程度であり、また、転写加工用の支持フィルムとして用いる検討はなされていない。
特開2004−95566号公報 特開2009−38278号公報 特開平4−110147号公報 特開2002−200723号公報
近年、電磁波シールドフィルムをフレキシブルプリントサーキット(以下FPCと称することがある)やモジュールに転写するに際して、生産効率を高めるべく、より高温高速での転写加工処理がなされるようになってきた。しかしながら、このような転写条件においては、上述したような従来の支持フィルムでは、フィルム光沢度を下げると、剥離する際に支持フィルムが破断するといった剥離性の問題が発生しやすい。また、支持フィルムに極めて高い突起があると、その表面の上に形成された離型層から突出し、該離型層を介して形成される加工層に直接接触や接着が起こり、転写層の該離型層との剥離力が重剥離化するなど不具合が発生しやすい。また、支持フィルムの表面突起個数が極めて多い場合も、該離型層を介して形成される転写層と該離型層の接触面積が広がり、重剥離化につながるなど問題が発生しやすい。さらに、支持フィルムの視認性向上のために白く濃い着色を行うと、支持フィルムがより破断しやすくなる。本発明は、上記を鑑みなされたもので、その目的は、剥離性、艶消し性および視認性に優れる配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者等は、かかる課題を解決するために鋭意検討した結果、転写法により艶消し性を電磁波シールドフィルムに付与する場合、従来よりもさらにマットな艶消し性を付与するべく支持フィルム中の粒子径を大きくしたり、粒子含有量を増やしたりする方法では、転写後の支持フィルムの剥離性や転写性で効果を得ることができなかった。ところが、驚くべきことに艶消し層に用いた粒子による支持フィルムの艶消し層表面への突出し量を、適度な最大突起高さと突起個数に抑制したところ、上記課題を解決できることを見出し、さらに検討を重ねた結果本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、基材層の少なくとも一方の表面に粒子含有の艶消し層を有する積層ポリエステルフィルムであって、該積層ポリエステルフィルムの全光線透過率が50%〜80%であり、該艶消し層表面における光沢度(G60)が20%以下であり、最大突起高さが7.0μm以下かつ突起高さが2.5μmを超える表面突起個数が10〜50個/μmであることを特徴とする配向ポリエステルフィルムが提供される。
本発明の配向ポリエステルフィルムは、艶消し性に優れると同時に、得られる配向ポリエステルフィルムに高度な視認性と支持フィルム剥離時の破断耐性とを具備することができる。また、本発明によれば、転写層の重剥離化を生じ難い配向ポリエステルフィルムを得ることができ、極めて取り扱いが難しい転写工程で製造される電磁波シールドフィルム等の転写フィルムをFPCやモジュール等の部材としても好適に用いることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
<配向ポリエステルフィルム>
本発明の配向ポリエステルフィルムは、基材層の少なくとも一方の表面に粒子含有の艶消し層を有する積層ポリエステルフィルムである。艶消し層と基材層とを有することにより、後述する表面突起高さ、光沢度および全光線透過率を安定した製膜性の下に得ることができる。基材層がなく、粒子含有の単層だけでは、表面粗さ、光沢度および全光線透過率と安定した製膜性とを同時に満足させることが難しくなる。
(艶消し層)
配向ポリエステルフィルムの少なくとも一方の表面を占める艶消し層は、表面に凹凸を形成させるための粒子(凹凸形成粒子)を含有するポリエステルからなるが、後述する最大突起高さを7.0μm以下、突起高さが2.5μmを超える表面突起個数が10〜50個/μmにするという点から、粒子含有のポリエステルの延伸性が良好な共重合ポリエステルや複数のポリエステルを溶融混合したポリエステル組成物が好ましく、特に後述する基材層に用いられるポリエステルと主たる成分が同一のものが好ましい。すなわち、例えば基材層のポリエステルの主たる成分がエチレンテレフタレートである場合は、艶消し層のポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステル、またはポリエチレンテレフタレートを主成分とするポリエステル組成物が好ましい。なかでも、ポリエステル組成物の従成分としては、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートの群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
また、艶消し層中の粒子の平均粒子径は、2.5〜5.5μmが好ましく、その含有量は、艶消し層の質量を基準として5〜18質量%が好ましい。また、粒子の最大粒子径(D98)は、好ましくは15μm以下、さらに好ましくは12μm以下である。なお、ここでいう最大粒子径は、累積粒径分布曲線の98%における粒径(D98)である。このような態様とすることで、十分な艶消し性を得ながら、転写工程での剥離性を優れたものにし易くなる。艶消し層中の粒子含有量が下限値に満たない場合は、上述の光沢度が得難くなる傾向にあり、他方、上限値を超える場合は、転写工程での高温圧着後の剥離性が不良になるだけでなく、製膜性が低下して破れが発生しやすくなる等、フィルムの製膜自体が困難となる傾向にある。これらの観点から、粒子の含有量は、好ましくは7質量%以上、さらに好ましくは9質量%以上であり、また、好ましくは16質量%以下であり、さらに好ましくは14質量%以下である。
粒子の平均粒子径は、さらに好ましくは3.0〜5.5μm、より好ましくは3.0〜5.3μmである。粒子の平均粒子径が下限に満たない場合は、光沢度を下げる効果が低下し、光沢度を下げるためにさらに粒子の添加量を増やすこととなって、転写工程での高温圧着後の剥離性が不良になる場合がある。一方、粒子の平均粒子径が上限値を超える場合は、艶消し層表面の上に形成される離型層を介してなる絶縁保護層まで突出し、転写工程における絶縁保護層の剥離時に重剥離化が起こる等の不具合が生じやすくなるだけでなく、支持フィルムの製膜性も劣る傾向にある。
艶消し層に用いられる粒子は、TG−DTA法による300℃での重量変化が3.0%以下であることが好ましく、さらには1.5〜3.0%であることが好ましい。なお、ここでいう粒子の重量変化は、具体的にはTG−DTA装置により30℃から500℃まで昇温速度10℃/分で昇温した際の、300℃における重量変化を測定したものである。該重量変化が上限値を超えると、ポリエステルフィルムの製造工程やその後の転写工程で発泡を引き起こしたり、また分子量を低下させてフィルムの製膜性や耐熱性を低下させる場合があり、特に粒子を多量に含有させた場合に支持フィルムの製膜性や耐熱性を著しく低下させることがある。
粒子の種類としては、無機粒子、有機粒子のどちらでもよく、不定形シリカ(コロイドシリカ)、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、アルミナ、カーボンブラック、二酸化チタン、カオリン、合成ゼオライト、架橋ポリスチレン粒子、架橋アクリレート粒子などが例示される。これらの粒子の中で、不定形シリカまたは合成ゼオライトが好ましく、これらはいずれか1種を用いても併用してもよい。また同じ種類で粒径が異なる粒子の混合物を用いてもよい。また、不定形シリカの場合は、シランカップリング剤で表面処理して、水分吸着性を低下したものがより好ましい。特に好ましい粒子は合成ゼオライトであり、合成ゼオライトの吸着性、特に水分吸着性を低下させるために、pHが5以上の酸で粒子形状を崩さない程度の酸処理をしたものが好ましく、さらに300℃以上の温度で熱処理したものが好ましい。
粒子の形状は特に規定するものではないが、不定形であると粒度分布が広くなり、凝集による粗大突起を引き起こしやすく、転写工程の剥離不良や、フィルムの製膜性が低下することがある。したがって粒子の形状は球状もしくは多面状であることが好ましい。好ましい粒子として、球状もしくは多面状の合成ゼオライトが例示される。特に多面形状の粒子の場合は艶消し効果が得られやすい。多面形状の粒子の中でも、特に立方体形状の粒子が好ましい。
これらの粒子の添加方法は特に制限されないが、例えばポリエステルの重縮合中にグリコール分散系として添加する方法、押出中マスターバッチを介して艶消し層に添加する方法等が挙げられる。
(基材層)
本発明の基材層を構成するポリエステルは、芳香族二塩基酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルである。かかるポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンカルボキシレート等を例示することができ、これらに少量の従成分を共重合した共重合体またはこれと少量の割合の他樹脂とのブレンド物等であっても良い。これらのうち、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが耐熱性の観点で好ましく、さらにポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートが耐熱性と成型性のバランスが良いため特に好ましい。
基材層の粒子含有量は、基材層の質量を基準として4.0質量%以下であることが好ましく、より好ましくは2.5質量%以下、さらに好ましくは2.0質量%以下である。このような態様にすることにより、優れた製膜性を得やすくなる。視認性の向上のためには、二酸化チタンを0.5質量%〜2.0質量%を含有することが好ましい。この範囲より少ない場合、視認性が悪化する場合があり、多い場合も視認性が悪化するだけでなく、剥離時の破断や脆化の原因となる場合がある。
基材層の厚みは、好ましくは3.0〜148.5μm、さらに好ましくは14.0〜98.0μm、特に好ましくは34.5〜67.0μmである。
(最大突起高さ)
本発明の艶消し層表面の最大突起高さは、7.0μm以下である必要があり、最大突起高さがかかる範囲であることにより、転写工程の転写加工層の艶消し性が良好なものとなる。最大突起高さが上限を超えると、艶消し層の表面突起が艶消し層表面の上に直に積層される離型層を突出し、さらに離型層の上に積層される絶縁保護層と接触することにより、転写工程における絶縁保護層の表面粗さの均一性が損なわれるため転写加工層表面の艶消し性が不良になる。また、絶縁保護層との直接の接触は、離型性を低下させ重剥離化が起こるなど剥離性を低下させる。このような観点から、最大突起高さは、好ましくは6.5μm以下、さらに好ましくは6.0μm以下である。
(表面突起個数)
本発明の艶消し層表面の表面突起個数は、突起高さが2.5μmを超える表面突起個数が10〜50個/μmである必要があり、15〜45個/μmであることが好ましく、20〜40個/μmであることがより好ましい。表面突起個数がかかる範囲であることにより、転写工程の転写加工層の剥離力が良好かつ転写後の転写加工層の表面外観(艶消し性)が良好なものとなる。表面突起個数が下限値に満たない場合、転写加工層表面の艶消し性が不良となり、また表面積が小さくなり、転写加工層との接着性が低下により剥離力が軽くなるため、転写前に剥離が起こり、該剥離片が工程を汚染することから支持フィルムとして適さない。一方、上限値を超えた場合、艶消し性は良好なものの、粒子を多く添加することに繋がり転写加工層との表面積が広くなることから、転写時の剥離に抵抗が大きくなり重剥離化が起こるため剥離性が不良になる。
(光沢度)
本発明の配向ポリエステルフィルムは、その艶消し層表面の光沢度(G60)が20%以下である必要があり、好ましくは16%以下、より好ましくは13%以下である。なお、ここでいう光沢度(G60)とは、JIS規格Z8741に準拠し、入射角、受光角ともに60°で測定した値である。光沢度がかかる範囲であることにより、艶消し表面外観を電磁波シールドフィルム等の転写フィルム表面に好適に付与することができる。光沢度が上限値を超えると、粒子の添加量を減らしたり、粒子径を小さくすることになり、転写前に剥離された剥離片が転写工程汚染に繋がる。また転写工程における転写後の加工層表面に十分な艶消し性を付与できなくなる。
(全光線透過率)
本発明の配向ポリエステルフィルムは、全光線透過率が50%〜80%の範囲であることが視認性の点から必要であり、好ましくは55%〜75%、より好ましくは60%〜70%である。ここでいう全光線透過率とは、JIS規格K7136に準拠し、測定した値である。全光線透過率が下限値より低い場合、転写工程の転写加工層の剥離後において、支持フィルム側への該転写加工層の剥離残差の観察検査が困難になるため好ましくない。一方、上限値より高い場合、転写加工層の剥離前の欠点の観察結果が困難になるため好ましくない。
<フィルム製造方法>
本発明の配向ポリエステルフィルムは、基本的には従来から知られている、あるいは当業界に蓄積されている方法で得ることができる。以下、本発明の配向ポリエステルフィルムを得るための製造方法について詳記する。なお、本発明の配向ポリエステルフィルムは、一軸配向フィルムであっても二軸配向フィルムであっても良いが、生産性や物性のバランスの点から二軸配向フィルムであることが好ましい。以下、二軸配向フィルムを例にとって、説明する。
まず、前述の通り、ポリエステルの主たる成分がポリエチレンテレフタレートである場合、例えば以下の方法で製造することができる。すなわち、艶消し層および基材層を共押出法により積層押出し、キャスティングドラムで冷却固化させて未延伸シートを作製する。具体的には樹脂組成物の融点(Tm、単位:℃)以上(Tm+50℃)以下の温度で加熱溶融して押し出す。
次いで、例えば逐次延伸の場合、縦方向(製膜機械軸方向のこと。以下、機械軸方向、連続製膜方向、長手方向またはMDと称することがある)および横方向(連続機械軸方向と厚み方向とに垂直な方向のこと。以下、幅方向、TDと称することがある)に延伸するが、縦方向、横方向を任意の順序で逐次延伸しても良い。また縦方向と横方向を同時に延伸する同時延伸しても良い。
縦方向の延伸は、例えば温度60〜130℃、好ましくは90〜125℃で2.0〜3.5倍、好ましくは2.5〜3.0倍延伸する。横方向の延伸は、例えば温度100〜130℃、好ましくは90〜125℃で2.0〜50倍、好ましくは3.0〜50倍延伸する。また、一方向の延伸は2段以上の多段で行う方法を用いることもできるが、最終的な延伸倍率は前述の範囲内にあることが好ましい。
次いで、所望に応じて熱固定処理を行なう。例えば艶消し層および基材層がポリエチレンテレフタレートで構成されている場合では、220〜250℃の温度、好ましくは225〜235℃の温度で、2〜30秒、好ましくは2〜20秒、さらに好ましくは3〜10秒の時間の範囲で熱固定する。その際、熱収縮率を低減する目的で、20%以内の制限収縮もしくは伸長、または定長下で行なってもよく、また2段以上で行なってもよい。
<その他のフィルム特性>
(固有粘度)
本発明の配向ポリエステルフィルムを構成する基材層ポリエステルの固有粘度(IV)は、0.56〜0.80dl/gの範囲であることが機械的性能の点から好ましく、より好ましくは0.56〜0.74dl/gであり、さらに好ましくは0.60〜0.70dl/gである。かかる固有粘度は25℃のo−クロロフェノール溶液での測定値で表される。フィルムの固有粘度が下限値に満たない場合、機械的性能が低下して剥離性等加工時の取り扱い性が難しくなる傾向にある。一方、上限値を超えると、溶融押出や延伸等、フィルムの製造工程における負荷が増大し、生産性が低下する場合がある。一方、艶消し層には、艶消し層突起高さ、突起頻度、光沢度(G60)および全光線透過率にかかる要件を満たすために、前述のように平均粒子径が大きい粒子をかなりの量含有させている。したがって、剥離性等の取り扱い性の点からはポリエステルの固有粘度は高い方が好ましいが、高くなりすぎると粒子の含有量が高いこととあいまって製膜性が著しく低下するので、含有する粒子の種類および含有量に応じて固有粘度を調整することが好ましい。
(フィルム厚み)
本発明の配向ポリエステルフィルムは、電磁波シールドフィルム転写用等の支持フィルムとして使用される厚さを有していれば良く、好ましくは10〜150μm、さらに好ましくは20〜100μm、特に好ましくは45〜70μmである。
一方、艶消し層のフィルム厚みは1.5〜7.0μmの範囲であることが艶消し層表面の最大突起高さ、表面突起個数を形成する点で好ましく、さらに好ましくは2.0〜6.0μmであり、特に好ましくは3.0〜5.5μmである。下限値より艶消し層厚みが薄い場合、最大突起高さが高くなり、表面突起個数が多くなることで、重剥離化が起こる場合があるため好ましくない。一方、上限値より艶消し層厚みが厚い場合、適度な最大突起高さや表面突起個数を得られないことから、転写加工層が転写工程を経る前に一部剥離を起こし、その剥離粉が転写加工層の表面を汚染する場合があるため好ましくない。
以下、実施例により本発明をさらに説明する。なお、各特性値は以下の方法により測定した。
1.光沢度(G60
JIS規格Z8741(方法3)に準拠し、日本電色工業社製のグロスメーター「VGS−SENSOR」を用いて測定した。入射角、受光角ともに60°で5回測定し、その平均値を用いた。
2.平均粒子径
粒子をエチレングリコール中に3質量%の濃度になるようにミキサーで撹拌し、島津製作所社製レーザー散乱式粒度分布測定装置SALD−7000を用いて測定を行った。粒度分布測定から50%体積粒径(D50)を求め、これを平均粒子径とした。
3.粒子含有量
フィルムサンプルから艶消し層と基材層それぞれの表面を削り取り、ポリエステル樹脂に対して良溶媒、粒子に対して貧溶媒となるような溶媒を1種類選択して溶媒へ分散処理を施した後、粒子をその分散液から遠心分離し、粒子の全体質量に対する比率(質量%)をもって粒子の含有量とした。
4.フィルム厚み
基材層、艶消し層のフィルム厚みは、サンプルフィルムを三角形に切り出し、包埋用カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋した。そして包埋されたサンプルをミクロトーム(ULTRACUT−S)で縦方向に平行な断面を50nm厚の薄膜切片にした後、レーザー顕微鏡を用いて観察撮影し、写真から各層の厚みを10点ずつ計測し、それぞれの層について平均厚みを求めた。艶消し層については、粒子の存在しない部分について計測した。また支持フィルムのフィルム厚みは前述の基材層フィルム厚み、艶消し層フィルム厚みで計測された値の和とした。
5.全光線透過率
JIS−K7136に準拠し、日本電色工業社製ヘーズメーター「NDH−2000」を用いて全光線透過率を測定した。
6.表面粗さ
JIS−B0601、B0651に準拠し、三次元表面粗さ計(小坂研究所、商品名:SURF CORDER SE−3CK)を用いて、触針先端半径R2μm、走査ピッチ2μm、走査長1mm、走査本数100本、カットオフ0.25mm、倍率5000倍の条件にて、算術平均粗さRa、最大高さRyを測定した。
7.最大突起高さ
0.9mm×0.9mmのフィルムサンプルを準備し、キーエンス社製レーザーマイクロスコープを用い、対物レンズを50倍にして観察対象箇所にてオートフォーカスで形状測定を実施した。測定後、保存された形状測定データを装置に内在するアプリケーションにて解析した。得られた突起の最大値を最大突起高さ(μm)とした。
8.表面突起個数
0.9mm×0.9mmのフィルムサンプルを準備し、キーエンス社製レーザーマイクロスコープを用い、対物レンズを50倍にして観察対象箇所にてオートフォーカスで形状測定を実施した。測定後、保存された形状測定データを装置に内在するアプリケーションにて解析し、艶消し層表面の突起高さが2.5μm以上である単位面積当たりの突起数を算出し、表面突起個数(個/μm)とした。
9.剥離性
サンプルフィルムの艶消し層表面に、メラミン系樹脂(大日精化社製熱硬化性樹脂、商品名:EX114Dメジウム)を塗工・硬化することにより厚さ2.5μmの離型層を形成させた。その上にUV硬化型アクリル系樹脂(大日精化社製ハードコート、商品名セイカビームEXF−01J)を塗工・硬化することにより厚さ5μmの絶縁保護層を形成させた。さらに絶縁保護層の上に導電性ペースト(藤倉化成社製銀ペースト、商品名:FA−353)を塗工することにより厚さ15μmの導電層を形成して、サンプルフィルムの艶消し層上にこれら加工層を備えた転写用加工フィルムを作製した。次いで、上記で得られた転写用フィルムを、易接着性塗布層が形成されたフィルム表面に、加工層の最表面が被覆面側となるように貼り合わせ、温度200℃、圧力1MPa、1時間の条件で圧着した。圧力を開放し、サンプルを室温において25℃になるまで冷ました後、支持フィルムを手で剥離し、転写された加工層のうちメラミン系離型層に積層されていたUV硬化型アクリル系樹脂層の表面を目視で観察し、以下の指標で評価し、○を良好な結果とした。
○:剥離(きれいに剥離している。)
△:汚染(剥離工程を経る前に一部剥離が進行し、その剥離粉が転写加工層の表面を汚染する。)
×:破断(剥離中に転写用加工フィルムが破断する。)
10.艶消し性
上記1の光沢度と同様の方法にて得られた加工層転写後のサンプルについて、加工層最表面(UV硬化型アクリル系樹脂層)の光沢度(G60)を測定し、結果を以下のような指標により評価し、○以上を良好な結果とした。
◎:15%以下(加工層転写面の艶消し性が極めて良好)
○:15%を超え、20%以下(加工層転写面の艶消し性良好)
×:20%を超える。(加工層転写面の艶消し性不良)
11.視認性
黒いアクリルプレートの上に水滴を垂らし、その上に艶消し層がアクリルプレートに接触する形でサンプルフィルムを置き、サンプルフィルムとアクリルプレートの間の空気を抜いた状態で、サンプルフィルムの見え方を確認し、以下の指標で測定し、○を良好な結果とした。
○:適度な白さ(視認性良好)
×:透明あるいは白過ぎ(視認性不良)
<実施例1>
ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.63dl/g)に表1に示すとおりの粒子および樹脂を添加して艶消し層(A層)を形成するためのA層ポリマーとし、また、A層と同様に粒子および樹脂を表1の含有量にて添加し、基材層(B層)を形成するためのB層ポリマーとし、それぞれ280℃に加熱された押出機に供給し、A層ポリマー、B層ポリマーをA/Bの積層構成となるような2層フィードブロック装置を用い合流させ、その積層状態を維持したままダイスよりシートを20℃に維持した回転冷却ドラム上に溶融押出して未延伸フィルムとし、次いで該未延伸フィルムを縦方向に3.2倍延伸し、その後、150℃で横方向に3.4倍に延伸し、230℃で熱固定して、配向ポリエステルフィルム(厚さ50μm)を得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
<実施例2〜14、比較例1〜12>
A層ポリマーおよびB層ポリマーに添加する粒子、樹脂およびそれらの含有量を表1および表2記載のとおりとする以外は実施例1と同様にして配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1および表2に示す。
Figure 0006959579
Figure 0006959579
表1および表2中のPBTはポリブチレンテレフタレート、PTTはポリトリメチレンテレフタレート、PCTはポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートを意味する。
本発明の配向ポリエステルフィルムは、例えば電磁波シールドフィルム転写用等の支持フィルムとして使用した場合、転写後の電磁波シールドフィルム等の表面に良好な艶消し性を付与することができ、しかも視認性および転写工程における転写後の支持フィルムの剥離性に優れているので、その産業上の利用価値は極めて高い。

Claims (5)

  1. 基材層の少なくとも一方の表面に粒子含有の艶消し層を有する積層ポリエステルフィルムであって、該積層ポリエステルフィルムの全光線透過率が50%〜80%であり、該艶消し層表面における光沢度(G60)が20%以下であり、最大突起高さが7.0μm以下かつ突起高さが2.5μmを超える表面突起個数が10〜50個/μmであり、
    艶消し層に含有される粒子の平均粒子径が2.5〜5.5μmであり、該粒子の含有量が艶消し層質量を基準として5〜18質量%であり、
    基材層が粒子を含有し、基材層に含有される粒子が酸化チタンであり、基材層の粒子含有量が、基材層質量を基準として4.0質量%以下であることを特徴とする配向ポリエステルフィルム。
  2. 艶消し層を構成するポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートを主成分とし、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートからなる群から選択される少なくとも1種を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の配向ポリエステルフィルム。
  3. 艶消し層に含有される粒子が不定形シリカまたは合成ゼオライトであることを特徴とする請求項1または2に記載の配向ポリエステルフィルム。
  4. 基材層を構成するポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートを主成分とし、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートからなる群から選択される少なくとも1種を含んでいることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の配向ポリエステルフィルム。
  5. 基材層を構成するポリエステルの固有粘度が0.56〜0.80dl/gであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の配向ポリエステルフィルム。
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