JP6957255B2 - 粘着フィルムおよびグラファイトシート積層体 - Google Patents

粘着フィルムおよびグラファイトシート積層体 Download PDF

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Description

本発明は、例えばグラファイトシート等への貼付に適した粘着フィルム、およびグラファイトシートと粘着フィルムとを備えたグラファイトシート積層体に関するものである。
近年、スマートフォン、タブレット端末、パソコン等の電子機器において、当該電子機器を構成する電子部品の発熱が問題になっている。この発熱問題を解決するために、放熱作用に優れたグラファイトシートを電子部品に貼合することが行われている。
ところが、グラファイトシートは特定のカーボン色を有しており、意匠性に乏しい。また、薄膜のグラファイトシートは外観上、ムラがあることが多い。かかる問題を解決するために、グラファイトシートに、所望の色を有する粘着フィルムを貼付することが考えられる。
このような粘着フィルムとして、粘着フィルムの基材上に着色層を設けたものが特許文献1や特許文献2に開示されている。
特開2017−115042号公報 特許第5903984号公報
しかしながら、特許文献1に開示される粘着シートでは、グラファイトシートに貼付した場合のグラファイトシートのムラの隠蔽性が未だ不十分であるという問題が見られた。また、特許文献2に開示される粘着テープでは、グラファイトシートのムラの隠蔽性は十分であるものの、隠蔽性を上げるために着色層中におけるカーボンブラックの濃度を高くしているため、濃度にムラが生じてしまい、ロット間で外観に差が生じるという問題が見られた。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、優れた隠蔽性を達成することができ、外観の再現性にも優れた粘着フィルム、および当該粘着フィルムによって所望の外観を呈し得るグラファイトシート積層体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1に本発明は、基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の面側に設けられた彩色層と、前記基材フィルムの他方の面側に設けられた彩色粘着層とを備えた粘着フィルムであって、前記彩色層の全光線透過率が5%以上、20%以下であり、前記彩色粘着層の全光線透過率が50%未満であることを特徴とする粘着フィルムを提供する(発明1)。
上記発明(発明1)に係る粘着フィルムによれば、上記の構成および物性により、優れた隠蔽性を達成することができるとともに、外観の再現性にも優れる。
上記発明(発明1)においては、前記粘着フィルムを白色の被着体に貼付したときに測定したL*a*b*表色系におけるa*が−2以上、2以下であり、b*が−2以上、2以下であることが好ましい(発明2)。
上記発明(発明1,2)においては、前記粘着フィルムを黒色の被着体に貼付したときに測定したL*a*b*表色系におけるL*から、前記粘着フィルムを白色の被着体に貼付したときに測定したL*a*b*表色系におけるL*を差し引いた絶対値が、1未満であることが好ましい(発明3)。
上記発明(発明1〜3)においては、前記彩色層における前記基材フィルム側とは反対側の表面の60°鏡面光沢度が、30%以下であることが好ましい(発明4)。
上記発明(発明1〜4)においては、前記彩色層における前記基材フィルム側とは反対側の表面の算術平均粗さRaが、0.1μm以上、5μm以下であることが好ましい(発明5)。
上記発明(発明1〜5)においては、前記粘着フィルムの剥離シートを含まない総厚が、3μm以上、50μm以下であることが好ましい(発明6)。
上記発明(発明1〜6)においては、前記基材フィルムの厚さが0.5μm以上、38μm以下であり、前記彩色層の厚さが0.5μm以上、5μm以下であり、前記彩色粘着層の厚さが0.5μm以上、20μm以下であることが好ましい(発明7)。
上記発明(発明1〜7)においては、前記彩色粘着層の23℃における貯蔵弾性率G’が、0.001MPa以上、0.2MPa以下であることが好ましい(発明8)。
上記発明(発明1〜8)においては、前記彩色層が印刷層であることが好ましい(発明9)。
上記発明(発明1〜9)に係る粘着フィルムは、グラファイトシートに貼付されることが好ましい(発明10)。
第2に本発明は、グラファイトシートと、前記グラファイトシートの一方の面に貼合された前記粘着フィルム(発明1〜10)とを備えたことを特徴とするグラファイトシート積層体を提供する(発明11)。
上記発明(発明11)においては、前記グラファイトシートの他方の面に貼合された両面粘着シートを備えたことが好ましい(発明12)。
上記発明(発明12)においては、前記粘着フィルムおよび前記両面粘着シートが、平面視において前記グラファイトシートよりも大きく形成されていることが好ましい(発明13)。
本発明に係る粘着フィルムは、優れた隠蔽性を達成することができ、さらに、外観の再現性にも優れる。また、本発明に係るグラファイトシート積層体は、上記粘着フィルムによって所望の外観を呈し得る。
本発明の一実施形態に係る粘着フィルムの断面図である。 本発明の一実施形態に係るグラファイトシート積層体の断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔粘着フィルム〕
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る粘着フィルム1は、基材フィルム11と、基材フィルム11の一方の面側(図1では上面側)に設けられた彩色層12と、基材フィルム11の他方の面側(図1では下面側)に設けられた彩色粘着層13とを備えて構成される。なお、彩色粘着層13における基材フィルム11と接する側と反対側の面には、粘着フィルム1が使用されるまで、剥離シートが積層されてもよい。
1.物性
(1)全光線透過率
上記粘着フィルム1においては、彩色層12の全光線透過率が5%以上、20%以下であり、かつ、彩色粘着層13の全光線透過率が50%未満である。本実施形態に係る粘着フィルム1では、このような彩色層12および彩色粘着層13を有することにより、優れた隠蔽性を達成することができる。したがって、例えば当該粘着フィルム1をグラファイトシートに貼付したときに、グラファイトシートの色によらず、所望の色を発色することができ、また、グラファイトシートのムラが見えてしまうことが抑制され、良好な外観が得られる。また、本実施形態に係る粘着フィルム1では、上記の彩色層12および彩色粘着層13を有することにより、粘着フィルム1を大量生産した場合でも、その外観は各粘着フィルム1にて均一化され易く、したがって外観の再現性に優れる。
彩色層12の全光線透過率の上限値は、隠蔽性の観点から、20%以下であり、16%以下であることが好ましく、特に14%以下であることが好ましい。一方、彩色層12の全光線透過率の下限値は、外観の再現性を向上させる観点から、5%以上であり、9%以上であることが好ましく、特に11%以上であることが好ましい。
なお、彩色層12は、複数層で形成してもよく、その場合、全ての層が有色である必要はない。例えば、彩色層12は、有色層と無色透明(半透明を含む)層とで構成してもよい。なお、無色透明層としては、粗面化された層、マット調の層等が挙げられる。このように彩色層12が複数層の場合であっても、上記全光線透過率、並びに、以下に記載する、L*a*b表色系、60°鏡面光沢度、および算術平均粗さRa等は、複数層の彩色層12としての値とする。
彩色粘着層13の全光線透過率の上限値は、隠蔽性の観点から、50%未満であり、45%以下であることが好ましく、特に20%以下であることが好ましい。一方、彩色粘着層13の全光線透過率の下限値は、特に制約されず、0%であってもよいが、十分な粘着力を維持する観点から、1%以上であることが好ましく、5%以上であることがより好ましく、10%以上であることが特に好ましい。
また、粘着フィルム1全体(剥離シートは含まない)の全光線透過率の上限値は、6%以下であることが好ましく、特に4.5%以下であることが好ましく、さらには2%以下であることが好ましい。一方、粘着フィルム1全体(剥離シートは含まない)の全光線透過率の下限値は、特に制約されず、0%であってもよいが、彩色層12および彩色粘着層13における全光線透過率の下限値を考慮すると、0.1%以上であることが好ましく、0.5%以上であることがより好ましく、1%以上であることが特に好ましい。
ここで、本明細書における全光線透過率の測定方法は、JIS K7361−1:1997に従ったものであり、具体的には後述する試験例に示す通りである。
(2)L*a*b*表色系
本実施形態に係る粘着フィルム1の色味(彩色層12側から測定)は、当該粘着フィルム1を白色の被着体に貼付したときに測定したL*a*b*表色系におけるa*が−2以上、2以下であることが好ましく、b*が−2以上、2以下であることが好ましい。a*およびb*が上記の範囲にあることにより、粘着フィルム1は、再現性良く、良好な黒色を帯びることとなる。したがって、当該粘着フィルム1をグラファイトシートに貼付したときに、優れた黒色の外観を提供することができる。
上記の観点から、a*は−1以上、1以下であることが好ましく、特に−0.5以上、0.5以下であることが好ましい。また、b*は−1.5以上、1.5以下であることが好ましく、特に−0.8以上、0.8以下であることが好ましい。ここで、上記a*およびb*は、彩色粘着層13を介して粘着フィルム1を白色の被着体(白色板)に貼付した状態で、JIS Z8781−4:2013に従って、測色色差計を使用して彩色層12側から反射測定法により測定した値である。具体的には、後述する試験例に示す方法で測定した値である。なお、白色板の色情報は、L*/a*/b*=92.70/0.34/3.64である。
また、粘着フィルム1を黒色の被着体に貼付したときに測定したL*a*b*表色系におけるL*(L*1)から、粘着フィルム1を白色の被着体に貼付したときに測定したL*a*b*表色系におけるL*(L*2)を差し引いた絶対値ΔL(ΔL=|L*1−L*2|)は、1未満であることが好ましく、特に0.7以下であることが好ましく、さらには0.1以下であることが好ましい。ΔLが上記のように小さいことにより、被着体の色に影響を受け難い色味を呈することとなり、粘着フィルム1による隠蔽性が優れているということができる。ここで、上記L*は、彩色粘着層13を介して粘着フィルム1を黒色の被着体(黒色板)または白色の被着体(白色板)に貼付した状態で、JIS Z8781−4:2013に従って、測色色差計を使用して彩色層12側から反射測定法により測定した値である。具体的には、後述する試験例に示す方法で測定した値である。なお、黒色板の色情報は、L*/a*/b*=38.81/−0.16/−1.29である。
(3)60°鏡面光沢度
本実施形態に係る粘着フィルム1の彩色層12における基材フィルム11側とは反対側の表面(彩色層12の露出面)の60°鏡面光沢度は、30%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、特に5%以下であることが好ましく、さらには3%以下であることが好ましい。彩色層12の露出面の60°鏡面光沢度が上記の値であることにより、粘着フィルム1の表面(貼付時の露出面)が良好なマット調になる。したがって、当該粘着フィルム1をグラファイトシートに貼付したときに、優れたマット調の外観を提供することができる。なお、当該60°鏡面光沢度の下限値は、0%以上であることが好ましく、検出限界等を考慮すると、0.1%以上であることがより好ましく、特に1%以上であることが好ましい。ここで、本明細書における60°鏡面光沢度の測定方法は、JIS Z8741:1997に従ったものであり、具体的には後述する試験例に示す通りである。
(4)算術平均粗さRa
本実施形態に係る粘着フィルム1の彩色層12における基材フィルム11側とは反対側の表面(彩色層12の露出面)の算術平均粗さRaは、下限値として0.1μm以上であることが好ましく、特に0.2μm以上であることが好ましく、さらには0.3μm以上であることが好ましい。また、当該算術平均粗さRaは、上限値として5μm以下であることが好ましく、特に1μm以下であることが好ましく、さらには0.5μm以下であることが好ましい。彩色層12の露出面の算術平均粗さRaが上記の範囲内であることにより、60°鏡面光沢度が前述した好ましい範囲に入り易く、粘着フィルム1の表面(貼付時の露出面)が良好なマット調になり易い。したがって、当該粘着フィルム1をグラファイトシートに貼付したときに、優れたマット調の外観を提供することができる。ここで、本明細書における算術平均粗さRaは、JIS B0601:2013に準拠し、カットオフ値λc=0.8mm、評価長さln=10mmとして測定した値とする。
(5)貯蔵弾性率G’
本実施形態に係る粘着フィルム1の彩色粘着層13の23℃における貯蔵弾性率G’は、下限値として0.001MPa以上であることが好ましく、特に0.01MPa以上であることが好ましく、さらには0.03MPa以上であることが好ましい。彩色粘着層13の23℃における貯蔵弾性率G’が上記以上であることにより、彩色粘着層13が耐熱性に優れたものとなり、高温下でも変形し難く、良好な粘着性を維持し易い。また、当該貯蔵弾性率G’は、上限値として0.20MPa以下であることが好ましく、特に0.1MPa以下であることが好ましく、さらには0.08MPa以下であることが好ましい。彩色粘着層13の23℃における貯蔵弾性率G’が上記以下であることにより、彩色粘着層13がグラファイトシートに追従し易くなる。例えば、後述するように、粘着フィルム1が平面視においてグラファイトシートよりも大きく形成されている場合に、グラファイトシートを彩色粘着層13に埋め込み易くすることができる。ここで、本明細書における貯蔵弾性率G’の測定方法は、後述する試験例に示す通りである。
(6)総厚
本実施形態に係る粘着フィルム1(剥離シートを含まない)の総厚は、上限値として50μm以下であることが好ましく、特に30μm以下であることが好ましく、さらには10μm以下であることが好ましい。粘着フィルム1の総厚が上記以下であることにより、粘着フィルム1は薄膜となり、薄型化された電子機器、特にスマートフォン等に組み込むことが可能となる。なお、本実施形態に係る粘着フィルム1は、上記のように薄膜とした場合であっても、優れた隠蔽性を再現性良く達成することができる。
一方、粘着フィルム1(剥離シートを含まない)の総厚は、下限値として3μm以上であることが好ましく、特に5μm以上であることが好ましく、さらには7μm以上であることが好ましい。粘着フィルム1の総厚が上記以上であることにより、各層の機能が良好に発揮され易くなり、隠蔽性もより優れたものとなる。
2.基材フィルム
本実施形態における基材フィルム11としては、特に制限はなく、通常の粘着フィルム用の基材として用いられるものを使用することができる。基材フィルム11としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、トリアセチルセルロース等のセルロースフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリウレタンアクリレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、シクロオレフィン樹脂フィルム、液晶ポリマーフィルムなどのプラスチックフィルム;これらの2種以上の積層体などを挙げることができる。プラスチックフィルムは、一軸延伸または二軸延伸されたものでもよい。また、これらのプラスチックフィルムは、フィルム単体である必要はなく、表面にコーティングされたものであってもよいし、複数種のフィルムの積層体であってもよい。
耐熱性を考慮すると、上記の中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム等が好ましく、薄膜品の入手のし易さを考慮すると、特に、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
基材フィルム11は、透明、半透明および不透明のいずれであってもよく、色も限定されない。本実施形態に係る粘着フィルム1の隠蔽性は、彩色層12および彩色粘着層13によって達成できるからである。
基材フィルム11は、少なくとも一方の表面、特に彩色層12と接触する側の表面に凹凸を有するものであってもよい。これにより、彩色層12自体をマット調にすることなく、マット調のテクスチャーを有する粘着フィルム1を得ることができる。
基材フィルム11の厚さは、上限値として38μm以下であることが好ましく、16μm以下であることがより好ましく、特に6μm以下であることが好ましく、さらには3μm以下であることが好ましい。これにより、粘着フィルム1を薄膜化することができ、当該粘着フィルム1を、薄型化された電子機器に好適に使用することができる。また、粘着フィルム1をグラファイトシートに貼付したときに、粘着フィルム1をグラファイトシートに追従させ易くすることができる。
基材フィルム11の厚さは、下限値として0.5μm以上であることが好ましく、特に1μm以上であることが好ましく、さらには1.5μm以上であることが好ましい。これにより、粘着フィルム1の機械的強度やハンドリング性が良好なものとなる。
3.彩色層
本実施形態における彩色層12は、例えば、印刷、塗料の塗布、転写シートからの転写によって形成することができる。中でも、彩色層12を薄膜に形成することができ、表面のテクスチャーの制御をし易い印刷によって形成することが好ましく、この場合、彩色層12は印刷層となる。以下、印刷層としての彩色層12を中心に説明する。
彩色層12は、バインダーと、着色剤とを含有するインク組成物から形成されることが好ましい。彩色層12の露出面をマット調にする場合には、上記インク組成物は、さらにマット剤を含有することが好ましい。また、彩色層12は、バインダーと着色剤とを含有するインク組成物から形成される層上に、バインダーとマット剤とを含有する透明組成物から形成される層を積層することにより、マット調を呈するものであってもよい。透明組成物は、硬化性の透明組成物であってもよい。
バインダーは、着色剤やマット剤等の粉末成分を分散させ、塗布対象物に固着させる目的で使用される。かかるバインダーとしては、例えば、ポリエステル樹脂、変性ナイロン樹脂、塩素化エチレンビニルアルコール、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、エチレンビニルアルコール、酢酸ビニル、アクリル樹脂、セルロース樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の合成樹脂バインダーを使用することができる。
着色剤は、彩色層12に隠蔽性を付与すべく、彩色層12の光線透過率を低くするために使用される。かかる観点から、着色剤としては、顔料を使用することが好ましい。顔料の種類は、彩色粘着層13に特定の色の外観を付与できる限り特に限定されず、通常の印刷層に使用される顔料を使用することができる。
黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化銅、四三酸化鉄、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等が用いられる。黄色顔料としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスエロー、ナフトールエローS、ハンザエロー、ベンジジンエローG、ベンジジンエローGR、キノリンエローレーキ、パーマネントエローNCG、タートラジンレーキ等が用いられる。橙色顔料としては、例えば、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGKM等が用いられる。赤色顔料としては、例えば、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピロゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B等が用いられる。紫色顔料としては、例えば、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等が用いられる。青色顔料としては、例えば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC等が用いられる。緑色顔料としては、例えば、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等が用いられる。白色顔料としては、例えば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等が用いられる。体質顔料としては、例えば、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等が用いられる。
顔料の色に特別な限定はないが、粘着フィルム1をグラファイトシートに貼付する場合には、彩色層12による隠蔽性や装飾性の観点から、黒色の顔料を使用することが好ましく、特に環境負荷の低さの観点や経済的観点からも、カーボンブラックを使用することが特に好ましい。カーボンブラックは、その表面に対して所定の処理(例えば親溶剤化処理)がされていてもよいし、されていなくてもよい。
インク組成物(彩色層12)中における顔料の含有量は、バインダー100質量部に対して、下限値として10質量部以上であることが好ましい。これにより、高い隠蔽性を効果的に達成することができる。また、顔料の含有量は、バインダー100質量部に対して、上限値として100質量部以下であることが好ましい。
マット剤は、形成される層の表面をマット調にすべく、光沢度を下げる目的で使用される。マット剤としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、クレー、タルク、ガラスビーズ、硫酸バリウム等の無機粒子、アクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリスチレン、シリコーン樹脂等の有機粒子やそれらの発泡粒子などが挙げられる。
マット剤の算術平均粒径は、下限値として0.5μm以上であることが好ましく、特に1μm以上であることが好ましく、さらには1.5μm以上であることが好ましい。また、マット剤の算術平均粒径は、上限値として8μm以下であることが好ましく、特に6μm以下であることが好ましく、さらには4μm以下であることが好ましい。マット剤の算術平均粒径が上記の範囲にあることにより、形成される層の表面を良好なマット調にすることができる。
インク組成物または透明組成物中におけるマット剤の含有量は、当該組成物における溶剤等の揮発成分を除いた固形分に対して、下限値として10質量%以上であることが好ましく、特に30質量%以上であることが好ましく、さらには45質量%以上であることが好ましい。これにより、形成される層の表面をより良好なマット調にすることができる。また、マット剤の含有量は、上限値として90質量%以下であることが好ましく、特に70質量%以下であることが好ましく、さらには60質量%以下であることが好ましい。
インク組成物は、上記成分以外の添加剤として、例えば、顔料の分散性を制御するための分散剤、色の補正を行うための顔料や染料などの着色補助剤、印刷時の加工適性を付与するためのレベリング剤等を含有してもよい。
彩色層12の厚さは、下限値として0.5μm以上であることが好ましく、特に0.8μm以上であることが好ましく、さらには1μm以上であることが好ましい。彩色層12の厚さが上記以上であることにより、彩色層12によってより高い隠蔽性を達成することができる。また、彩色層12の厚さは、上限値として5μm以下であることが好ましく、特に2.5μm以下であることが好ましく、さらには2μm以下であることが好ましい。これにより、隠蔽性を維持しつつ、粘着フィルム1を薄膜化することができる。
4.彩色粘着層
本実施形態における彩色粘着層13は、粘着成分と、顔料および分散樹脂を含有する顔料分散体とを含む粘着剤組成物からなることが好ましい。また、粘着剤組成物は、架橋剤といったその他の成分をさらに含んでもよい。
(1)粘着成分
粘着成分は、粘着性を発揮する成分であり、1種の成分からなってもよいし、2種以上の成分を含有してもよい。粘着成分の種類は、特に限定されず、着色粘着シートの用途に合わせて適宜選択することができる。粘着成分は、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコーン系、ポリウレタン系、ポリエステル系等の粘着性ポリマーを含有することが好ましく、さらに粘着付与剤を含有することが好ましい。粘着性ポリマーとしては、特にアクリル系の粘着性ポリマーが好ましい。また、粘着性ポリマーは、エマルション型、溶剤型または無溶剤型のいずれであってもよいが、顔料の分散性の観点から、溶剤型のものが好ましい。さらに、粘着性ポリマーは、後述する架橋剤によって架橋されていてもよい。
アクリル系の粘着性ポリマーとしては、(メタ)アクリル酸エステル系重合体を含むものが挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの両方を意味する。他の類似用語も同様である。また、アルキルとは、アルキルとしての直鎖または分岐アルキルと、シクロアルキルとの両方を含めた概念を意味し、重合体は、共重合体も含めた概念を意味する。
上記(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、少なくともアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを構成モノマーとする重合体であることが好ましく、所望により、反応性官能基を有するモノマー(反応性官能基含有モノマー)および反応性官能基を有しない他のモノマーから選ばれる少なくとも1種のモノマーとの共重合体であってもよい。
アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。中でも、粘着性をより向上させる観点から、アルキル基の炭素数が4〜8の(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、(メタ)アクリル酸n−ブチルまたは(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが特に好ましい。なお、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、粘着性をより発揮する観点から、当該重合体を構成するモノマー単位として、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルを50質量%以上含有することが好ましく、70質量%以上含有することがより好ましく、特に80質量%以上含有することが好ましい。また、他のモノマーを共重合体に導入し、当該モノマーの効果を十分に発揮させる観点から、(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、当該重合体を構成するモノマー単位として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを99質量%以下含有することが好ましく、特に98質量%以下含有することが好ましく、さらには96質量%以下含有することが好ましい。
反応性官能基含有モノマーとしては、分子内に水酸基を有するモノマー(水酸基含有モノマー)、分子内にカルボキシル基を有するモノマー(カルボキシル基含有モノマー)、分子内にアミノ基を有するモノマー(但し、4級アンモニウム塩基を有するモノマーを除く)などが挙げられる。本実施形態における粘着性ポリマーが架橋剤によって架橋されたものである場合、これら反応性官能基含有モノマーを用いることで、(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、架橋剤との反応性に優れたものとなる。
水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。中でも、架橋剤との反応性および他の単量体との共重合性の点から(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルおよび(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが好ましく、特に(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸が挙げられる。中でも、架橋剤との反応性および他の単量体との共重合性の点からアクリル酸が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、十分な凝集力を得る観点から、当該重合体を構成するモノマー単位として、反応性官能基含有モノマーを、0.1質量%以上含有することが好ましく、特に0.5質量%以上含有することが好ましく、さらには1質量%以上含有することが好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、他の成分の配合量を確保する観点から、当該重合体を構成するモノマー単位として、反応性官能基含有モノマーを、10質量%以下含有することが好ましく、特に5質量%以下含有することが好ましく、さらには2質量%以下含有することが好ましい。
さらに、薄膜での粘着力と凝集力の両立の観点から、反応性官能基含有モノマーとして、水酸基含有モノマーとカルボキシル基含有モノマーとを併用することが好ましい。この場合、水酸基含有モノマーとカルボキシル基含有モノマーとの配合割合は、質量比で90:10〜50:50であることが好ましく、80:20〜60:40であることがより好ましい。
反応性官能基を有しない他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸フェニル等の芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、4級アンモニウム塩基含有モノマー、アルコキシアルキル基含有モノマー、酢酸ビニル、スチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体が、当該重合体を構成するモノマー単位として上記他のモノマーを含有する場合、その含有量は、0質量%超であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが特に好ましい。また、当該含有量は、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、4質量%以下であることが特に好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体の重合形態については特に制限はなく、単独重合体であってもよいし、ランダム、ブロックまたはグラフト共重合体のいずれであってもよい。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体の分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量で1万以上であることが好ましく、10万以上であることが特に好ましく、30万以上であることがさらに好ましい。また、当該重量平均分子量は、250万以下であることが好ましく、170万以下であることが特に好ましく、130万以下であることがさらに好ましい。(メタ)アクリル酸エステル系重合体の重量平均分子量が上記範囲内にあることで、被着体との密着性や、接着耐久性が十分となるとともに、顔料の分散性も確保することができる。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
上記(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
粘着成分は、上記粘着性ポリマーに加えて、粘着付与剤を含有することも好ましい。粘着付与剤を含有することにより、薄膜の彩色粘着層13であっても所定の粘着力を得やすいからである。粘着付与剤としては、例えば、ロジン系樹脂、ポリテルペン系樹脂等の天然樹脂、C5系、C9系、ジシクロペンタジエン系等の石油樹脂、クマロンインデン樹脂、キシレン樹脂等の合成樹脂などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、粘着付与剤の配合量は、粘着性ポリマー100質量部に対して、10質量部以上であることが好ましく、30質量部以上であることが特に好ましい。また、当該配合量は、100質量部以下であることが好ましく、70質量部以下であることが特に好ましい。配合量が上記範囲内であれば、粘着付与剤による粘着力の増進効果が得られやすく、また、粘着性ポリマーとの相溶性を悪化させる恐れが少ないためである。
(2)顔料分散体
顔料分散体は、前述した通り、顔料および分散樹脂を含む。顔料分散体における顔料と分散樹脂との質量比は、60:40〜99:1であることが好ましく、特に65:35〜95:5であることが好ましく、さらには70:30〜90:10であることが好ましい。上記のように顔料の含有量が分散樹脂と比較して多いと、彩色粘着層13において、顔料分散体の含有量が少なくても、優れた隠蔽性を得ることができる。また、顔料分散体の含有量を少なくすることで、粘着成分の含有量を相対的に多くすることができ、その結果、高い粘着力を達成することができる。すなわち、彩色粘着層13を薄膜とした場合であっても、優れた隠蔽性および粘着力を同時に達成することができる。
顔料分散体において、顔料は分散樹脂により分散されている。すなわち、顔料の粒子の凝集が、分散樹脂によって低減または抑制されている。この結果、一次粒子および二次粒子を含む顔料の粒子の大きさは一定の大きさ以上とならないよう維持される。
彩色粘着層13における顔料分散体の含有量は、粘着成分100質量部に対して、好ましくは3質量部以上であり、特に好ましくは4質量部以上であり、さらに好ましくは7.5質量部以上である。また、当該含有量は、好ましくは19質量部以下であり、特に好ましくは15質量部以下であり、さらに好ましくは10質量部以下である。顔料分散体の含有量が3質量部以上であることで、十分な量の顔料が供給され、より高い隠蔽性を達成することができる。また、顔料分散体の含有量が19質量部以下であることで、相対的に粘着成分の含有量が多くなり、より高い粘着力を達成することができる。
(2.1)顔料
顔料分散体に含まれる顔料の種類は、彩色粘着層13に特定の色の外観を付与できる限り特に限定されず、前述した彩色層12で使用することのできる顔料と同様の顔料を使用することができる。
ここで、本明細書において、顔料の粒子の大きさを表す際に、「粒度」という指標を用いる場合がある。本明細書において粒度とは、JIS K5600−2−5:1999に準拠した粒ゲージを用いて測定したときの測定値として表される。また、本明細書において粒度は「粒ゲージ粒度」と表現される場合もある。
JIS K5600−2−5:1999は粒子の分散度についての規格である。測定には粒ゲージおよびスクレーパーが使用される。粒ゲージは、連続的に浅くなる縦長の溝を有している。測定の際には、まず、溝の最も深い位置に測定試料を置き、その後、試料をスクレーパーで浅くなる方向に掻いていく。試料の粒子の大きさが溝の深さを超えて溝の中に収まらなくなると、スクレーパーで掻いてできる試料の跡の中に特定の模様が生じる。この模様が生じる位置を測定値として記録する。この測定値の単位は「μm」である。なお、この測定は、試料中にどの程度の大きさの凝集体が存在しているかを調べることができるが、粒子の下限値を測定するものではない。
顔料の粒度は、求められる隠蔽性に応じて適宜設定できるが、JIS K5600−2−5:1999に準拠した粒ゲージを用いた分散度評価において、好ましくは20μm以下であり、特に好ましくは10μm以下であり、さらに好ましくは5μm以下である。
また、顔料の算術平均粒径は、0.1μm以上、2μm以下であることが好ましい。顔料の算術平均粒径が0.1μm以上であると、隠蔽性を発揮し易くなる。また、顔料の算術平均粒径が2μm以下であると、分散性に優れる。かかる観点から、顔料の算術平均粒径は、0.2μm以上、1μm以下であることがより好ましく、0.3μm以上、0.8μm以下であることが特に好ましい。なお、算術平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定した値である。
彩色粘着層13においても、粘着フィルム1をグラファイトシートに貼付する場合には、彩色粘着層13による隠蔽性や装飾性の観点から、黒色の顔料を使用することが好ましく、特に環境負荷の低さの観点や経済的観点からも、カーボンブラックを使用することが特に好ましい。
粘着剤組成物(彩色粘着層13)中における顔料の含有量は、粘着成分100質量部に対して、下限値として1.8質量部以上であることが好ましく、特に3質量部以上であることが好ましく、さらには4.5質量部以上であることが好ましい。これにより、より高い隠蔽性を達成することができる。また、顔料の含有量は、粘着成分100質量部に対して、上限値として15質量部以下であることが好ましく、特に14質量部以下であることが好ましく、さらには9.5質量部以下であることが好ましい。これにより、相対的に粘着成分の含有量が多くなり、より高い粘着力を達成することができる。
なお、粘着剤組成物は、実質的に染料を含まないことが好ましく、特に染料を全く含まないことが好ましい。本明細書において、実質的に染料を含まないとは、例えば、粘着剤組成物中における染料の含有量が2質量%以下、好ましくは1質量%以下であることをいう。染料を含まないことにより、当該染料によって粘着性ポリマーの架橋反応が阻害されることがなく、彩色粘着層13の保持力を高く維持することができる。ただし、本発明に係る粘着フィルム1は、染料を含むものを排除するものではない。
(2.2)分散樹脂
顔料分散体に含まれる分散樹脂としては、顔料を分散させることが可能な種々の樹脂を使用することができる。なお、分散樹脂とは、極性又は親媒性の異なる2種以上の機能性部分を有する両親媒性の樹脂をいう。例えば、分散樹脂として、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリアマイド樹脂、ポリエーテル樹脂等を使用することができ、中でも分散性能に優れたポリエステル樹脂を使用することが好ましい。
粘着剤組成物(彩色粘着層13)中における分散樹脂の含有量は、粘着成分100質量部に対して、下限値として0.1質量部以上であることが好ましく、特に0.2質量部以上であることが好ましく、さらには0.3質量部以上であることが好ましい。これにより、より高い隠蔽性を達成することができる。また、分散樹脂の含有量は、粘着成分100質量部に対して、上限値として7.5質量部以下であることが好ましく、特に4.5質量部以下であることが好ましく、さらには1.5質量部以下であることが好ましい。これにより、相対的に粘着成分の含有量が多くなり、より高い粘着力を達成することができる。
(3)架橋剤
粘着剤組成物は架橋剤を含んでもよい。粘着剤組成物において、粘着性ポリマーが架橋剤によって架橋されたものである場合、得られる粘着剤の凝集力が向上し、もって粘着フィルム1の保持力がより優れたものとなる。したがって、粘着性ポリマー、特にアクリル系の粘着性ポリマーは、架橋剤によって架橋されたものであることが好ましい。
架橋剤としては、粘着性ポリマーを架橋することができるものであれば特に限定されず、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤などが挙げられる。中でも多官能のイソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤が好ましい。
イソシアネート系架橋剤は、少なくともポリイソシアネート化合物を含むものである。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートなど、及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などが挙げられる。
エポキシ系架橋剤としては、例えば、1,3−ビス(N,N'−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N',N'−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミンなどが挙げられる。
アジリジン系架橋剤としては、例えば、ジフェニルメタン−4,4'−ビス(1−アジリジンカーボキサミド)、トリメチロールプロパントリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタントリ−β−アジリジニルプロピオネート、トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカーボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、トリス−1−(2−メチルアジリジン)フォスフィン、トリメチロールプロパントリ−β−(2−メチルアジリジン)プロピオネートなどが挙げられる。
金属キレート系架橋剤には、金属原子がアルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、鉄、スズなどのキレート化合物があるが、性能の点からアルミニウムキレート化合物が好ましい。アルミニウムキレート化合物としては、例えば、ジイソプロポキシアルミニウムモノオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムビスオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムモノオレエートモノエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノラウリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノステアリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノイソステアリルアセトアセテートなどが挙げられる。
以上の架橋剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その使用量は粘着成分100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは、0.01質量部以上、特に好ましくは0.5質量部以上である。また、当該使用量は、通常20質量部以下、好ましくは、10質量部以下、特に好ましくは5質量部以下である。
(4)その他の成分
粘着剤組成物は、粘着成分および顔料分散体に加えて、その他の成分を含有してもよい。そのような成分としては、軟化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤が例示される。
(5)厚さ
彩色粘着層13の厚さは、下限値として0.5μm以上であることが好ましく、特に1μm以上であることが好ましく、さらには3μm以上であることが好ましい。彩色粘着層13の厚さが上記以上であることにより、彩色粘着層13によってより高い隠蔽性を達成することができるとともに、特にグラファイトシートに対して好ましい粘着力が得られ易い。また、彩色粘着層13の厚さは、上限値として20μm以下であることが好ましく、特に13μm以下であることが好ましく、さらには8μm以下であることが好ましい。これにより、隠蔽性を維持しつつ、粘着フィルム1を薄膜化することができる。
5.剥離シート
本実施形態に係る粘着フィルム1において、彩色粘着層13の基材フィルム11と接する側と反対側の面には、粘着フィルム1が使用されるまで、剥離シートが積層されてもよい。
剥離シートとしては、例えば、グラシン紙、コート紙、上質紙等の紙基材、これらの紙基材にポリエチレン等の樹脂をラミネートしたラミネート紙、またはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンフィルムなどのプラスチックフィルムが挙げられ、これらの剥離面(彩色粘着層13と接する面)には、剥離処理が施されていることが好ましい。剥離処理に使用される剥離剤としては、例えば、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系等の剥離剤が挙げられる。
剥離シートの厚さについては特に制限はないが、通常10〜150μm程度である。
6.粘着フィルムの製造方法
本実施形態に係る粘着フィルム1は、常法によって製造することができる。好ましくは、基材フィルム11の一方の面に彩色層12を形成し、一方で剥離シートの剥離面に彩色粘着層13を形成し、その彩色粘着層13に基材フィルム11の他方の面を貼合する。これにより、彩色層12と、基材フィルム11と、彩色粘着層13とがその順に積層され、さらに彩色粘着層13に剥離シートが積層されてなる、剥離シート付きの粘着フィルム1が得られる。
彩色層12が印刷層の場合、前述したインク組成物を調製し、得られたインク組成物を基材フィルム11の一方の面に印刷する。インク組成物の調製は、常法によって行うことができる。
印刷方法は特に限定されず、例えば、グラビア印刷、スクリーン印刷、凸版印刷、平版印刷等が挙げられる。
彩色粘着層13の形成は、剥離シートの剥離面に、前述した粘着剤組成物の塗布液を塗布し、乾燥させることによって行うことができる。具体的には、まず、粘着成分(所望により粘着付与剤を含む)、顔料、分散樹脂、および必要に応じ配合される架橋剤等を混合して粘着剤組成物を調製し、さらに、所望により溶剤を混合して、粘着剤組成物の塗布液を調製する。なお、顔料と分散樹脂とは、顔料の分散性の観点から、あらかじめ混合しておくことが好ましい。また、顔料および分散樹脂の混合物と、粘着成分とを混合する際には、顔料および分散樹脂の混合物を溶剤で十分に希釈することが好ましい。例えば、顔料および分散樹脂の混合物の固形分が10質量%以下となるまで希釈することが好ましい。
上記溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤などが用いられる。
このようにして調製された粘着剤組成物の塗布液の濃度および粘度は、コーティング可能な範囲であればよく、特に制限されず、状況に応じて適宜選定することができる。
粘着剤組成物の塗布液を塗布する方法としては、例えば、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法、スプレーコート法等の従来公知の方法を利用することができる。
ここで、粘着性ポリマーとしての(メタ)アクリル酸エステル系重合体を架橋する場合は、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理を行う場合、加熱温度は、60〜150℃であることが好ましく、特に80〜120℃であることが好ましい。また、加熱時間は、30秒〜3分であることが好ましく、特に50秒〜2分であることが好ましい。なお、この加熱処理は、粘着剤組成物の塗布液の溶剤を揮発させる際の乾燥処理で兼ねることもできる。
7.粘着フィルムの物性
本実施形態に係る粘着フィルムのステンレススチール板に対する粘着力は、0.1N/25mm以上であることが好ましく、特に0.8N/25mm以上であることが好ましく、さらには2.5N/25mm以上であることが好ましい。ここでいう粘着力は、JIS Z0237:2009に準じて測定される剥離角度180°および剥離速度300mm/minでの粘着力をいう。上記粘着力を有することにより、所望の被着体、特にグラファイトシートに、剥がれを生じることなく貼着することができる。なお、上記粘着力の上限値は、特に限定されないが、通常、20N/25mm以下であり、好ましくは10N/25mm以下であり、より好ましくは5N/25mm以下である。
〔グラファイトシート積層体〕
図2に示すように、本発明の一実施形態に係るグラファイトシート積層体2は、グラファイトシート3と、グラファイトシート3の一方の面(図2では上面)に貼合された粘着フィルム1と、グラファイトシート3の他方の面(図2では下面)に貼合された両面粘着シート4とを備えて構成される。なお、両面粘着シート4はなくてもよく、本発明はかかる構成のグラファイトシート積層体をも含むものである。
上記粘着フィルム1は、前述した実施形態に係る粘着フィルム1であり、彩色粘着層13によってグラファイトシート3に貼合されている。
グラファイトシート3は、放熱性に優れた部材であり、スマートフォン、タブレット端末、パソコン等の電子機器において、当該電子機器を構成する電子部品から発せられる熱を放熱するのに好ましく使用される。グラファイトシート3の材料は特に限定されず、従来公知のものであってよい。
グラファイトシート3の厚さは、薄型化が要求される電子機器においては、上限値として100μm以下であることが好ましく、特に30μm以下であることが好ましい。当該厚さの下限値は、通常、5μm以上であり、好ましくは10μm以上である。
両面粘着シート4は、グラファイトシート3を所望の電子部品に貼合するためのものであり、当該用途に適したものであれば、特に限定されない。電子部品としては、例えば、電池、CPU、パワーデバイス、高輝度LED等の発熱する部品が挙げられる。
両面粘着シート4の厚さは、薄型化が要求される電子機器においては、上限値として30μm以下であることが好ましく、特に15μm以下であることが好ましく、さらには10μm以下であることが好ましい。当該厚さの下限値は、通常、3μm以上であり、好ましくは5μm以上である。
本実施形態に係るグラファイトシート積層体2において、粘着フィルム1および両面粘着シート4は、平面視においてグラファイトシート3よりも大きく形成されている。そして、グラファイトシート積層体2の端部にて(好ましくは端部全周にて)、粘着フィルム1および両面粘着シート4は互いに直接貼合されている。これにより、グラファイトシート3は、粘着フィルム1と両面粘着シート4との間に閉じ込められている。かかる構成により、グラファイトシート3からグラファイトの破片や塵が発生したとしても、それらがグラファイトシート積層体2の外に出て電子部品等を汚染することを防止することができる。
本実施形態に係るグラファイトシート積層体2では、グラファイトシート3に対して前述した粘着フィルム1が貼合されており、粘着フィルム1が優れた隠蔽性を有するため、当該粘着フィルム1によってグラファイトシート積層体2は所望の外観を呈することができる。具体的には、グラファイトシート3の色によらず、所望の色を発色することができ、また、グラファイトシート3のムラが見えてしまうことが抑制される。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、粘着フィルム1において、基材フィルム11と彩色層12との間、または基材フィルム11と彩色粘着層13との間には、他の層が介在していてもよい。また、グラファイトシート積層体2における粘着フィルム1および両面粘着シート4の端部は、他の層を介して接合していてもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(1)彩色層の形成
黒色インク(大日精化社製,製品名「UTCO−591ブラック(NX)」)100質量部(固形分換算値を表す。以下、同様とする。)に対して、平均粒子径2.1μmのシリカ微粒子100質量部を添加し、トルエン/メチルエチルケトンの混合溶媒で希釈することにより、彩色層のインク組成物を得た。
得られた彩色層のインク組成物を、基材フィルムとしてのポリエステルフィルム(三菱樹脂社製,製品名「ダイヤホイルK330」,厚さ4.5μm)の一方の面に、グラビアコーターによって印刷し、厚さ2μmの彩色層(黒色)を形成した。
(2)彩色粘着層の形成
トルエン溶媒中、アクリル酸ブチル95.5質量部と、酢酸ビニル3質量部と、アクリル酸2−ヒドロキシエチル1質量部と、アクリル酸0.5質量部とを共重合させることにより、重量平均分子量100万のアクリル酸エステル共重合体を製造した。次いで、このアクリル酸エステル共重合体100質量部(固形分換算;以下同じ)に対し、水添ロジンエステル(荒川化学工業社製,製品名「パインクリスタル KE−100」,軟化点:100℃)25質量部、重合ロジンエステル(荒川化学工業社製,製品名「ペンセル D−135」,軟化点:135℃)4質量部および石油系樹脂(三井化学社製,製品名「FTR6100」,軟化点:95℃)24質量部を添加して混合することで、粘着成分を得た。
一方、顔料としてのカーボンブラック90質量部および分散樹脂としてのポリエステル樹脂(楠本化成社製,製品名「DISPARLON DA-7301」)10質量部を、酢酸エチルおよびメトキシプロピルアセテートから成る混合溶媒で希釈することにより、固形分濃度30質量%の混合物を調製した。この混合物において、JIS K5600−2−5:1999に準拠する方法にて測定した粒ゲージ粒度が5μm以下となるまで顔料を分散させることで、溶媒で希釈された顔料分散体を得た。また、上記顔料分散体について、HORIBA製レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA920を用いて測定したところ、顔料の算術平均粒径は0.45μmであった。
上記の通り調製した粘着成分100質量部に対し、顔料分散体9.4質量部と、イソシアネート系架橋剤(東洋インキ製造社製,製品名「BHS8515」)1質量部とを混合することにより粘着剤組成物を得た。粘着剤組成物は、固形分が10質量%となるまで酢酸エチルで希釈し、ナイフコーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面がシリコーン樹脂により剥離処理された剥離シート(リンテック社製,製品名「SP−PET1130」,厚さ25μm)の剥離処理面に塗布し、塗膜を形成した。
次いで、この塗膜に対して、90℃および1分間という加熱条件にて乾燥処理を施し、厚さ2μmの彩色粘着層(黒色)を形成した。
(3)粘着フィルムの作製
彩色粘着層の、剥離シート側とは反対側の面に対して、上記彩色層が形成された基材フィルムの当該彩色層側とは反対側の面を貼合し、剥離シート上に、彩色粘着層(2μm)/基材フィルム(4.5μm)/彩色層(2μm)からなる厚さ8.5μmの粘着フィルムを得た。
〔実施例2〕
基材フィルムとしてポリエステルフィルム(三菱樹脂社製,製品名「ダイヤホイルK750」,厚さ1.5μm)を使用し、彩色層の厚さを1.5μmに変更する以外、実施例1と同様にして、剥離シート上に、彩色粘着層(2μm)/基材フィルム(1.5μm)/彩色層(1.5μm)からなる厚さ5μmの粘着フィルムを作製した。
〔実施例3〕
基材フィルムとしてポリエステルフィルム(東レ社製,製品名「ET2F51L」,厚さ2μm)を使用し、彩色粘着層の厚さを6μmに変更する以外、実施例1と同様にして、剥離シート上に、彩色粘着層(6μm)/基材フィルム(2μm)/彩色層(2μm)からなる厚さ10μmの粘着フィルムを作製した。
〔比較例1〕
彩色粘着層の厚さを1μmに変更する以外、実施例1と同様にして、剥離シート上に、彩色粘着層(1μm)/基材フィルム(4.5μm)/彩色層(2μm)からなる厚さ7.5μmの粘着フィルムを作製した。
〔比較例2〕
顔料分散体を配合しない以外、実施例1と同様にして粘着剤組成物を調製した。この粘着剤組成物を使用して透明粘着層を形成する以外、実施例1と同様にして、剥離シート上に、透明粘着層(2μm)/基材フィルム(4.5μm)/彩色層(2μm)からなる厚さ8.5μmの粘着フィルムを作製した。
〔比較例3〕
彩色層を形成しない以外、実施例1と同様にして、剥離シート上に、彩色粘着層(2μm)/基材フィルム(4.5μm)からなる厚さ6.5μmの粘着フィルムを作製した。
〔試験例1〕(全光線透過率の測定)
実施例および比較例で形成・作製した彩色層、粘着層(彩色・透明)および粘着フィルムの全光線透過率を、JIS K7361−1:1997に準拠し、積分球式光線透過率測定装置(日本電色工業社製,製品名「NDH−5000」)を用いて測定した。具体的には、彩色層の全光線透過率については、粘着層を積層する前の彩色層および基材フィルムの積層体の全光線透過率を測定し、その値から、基材フィルムの全光線透過率を差し引くことにより算出した。また、粘着層の全光線透過率については、剥離シート上に彩色粘着層を形成して(基材フィルム/彩色層と積層する前の状態)、当該積層体の全光線透過率を測定し、その値から、剥離シートの全光線透過率を差し引くことにより算出した。結果を表1に示す。
〔試験例2〕(L*a*b*の測定)
実施例および比較例で得られた粘着フィルムのL*a*b*表色系におけるL*、a*およびb*を測定した。具体的には、粘着層を介して粘着フィルムを白色板(L*=92.70,a*=0.34,b*=3.64)に貼付した状態で、光源としてC光源2°視野(C/2)を用い、JIS Z8781−4:2013に従って、測色色差計(日本電色工業社製,製品名「ZE6000」)を使用して彩色層側(比較例3は基材側)から反射測定法により測定した。結果を表1に示す。
また、実施例および比較例で得られた粘着フィルムを、粘着層を介して黒色板(L*=38.81,a*=−0.16,b*=−1.29)に貼付し、上記と同様にしてL*(L*1)を測定した。そして、当該L*1から、上記白色板に貼付したときに測定したL*(L*2)を差し引いた絶対値ΔL(ΔL=|L*1−L*2|)を算出した。結果を表1に示す。
〔試験例3〕(60°鏡面光沢度の測定)
実施例および比較例で得られた粘着フィルムにおける彩色層側(比較例3は基材側)の表面の60°鏡面光沢度(%)を、JIS Z8741:1997に従い、測定装置として日本電色工業社製の光沢計VG7000を使用して測定した。結果を表1に示す。
〔試験例4〕(算術平均粗さRaの測定)
実施例および比較例で得られた粘着フィルムにおける彩色層側(比較例3は基材側)の表面の算術平均粗さRa(μm)を、JIS B0601:2013に従い、カットオフ値λc=0.8mm、評価長さln=10mmとし、測定装置としてミツトヨ社製SV−3000S4を使用して測定した。結果を表1に示す。
〔試験例5〕(貯蔵弾性率G’の測定)
実施例および比較例で形成した粘着層(彩色・透明)の23℃における貯蔵弾性率G’を測定した。具体的には、実施例および比較例にて剥離シート上に形成した粘着層から当該剥離シートを剥がし、その粘着層を厚さ0.6mmになるように複数層積層した。得られた粘着層の積層体から、直径8mmの円柱体(高さ0.6mm)を打ち抜き、これをサンプルとした。
上記サンプルについて、JIS K7244−6に準拠し、粘弾性測定装置(Physica社製,製品名「MCR300」)を用いてねじりせん断法により、以下の条件で貯蔵弾性率(MPa)を測定した。結果を表1に示す。
測定周波数:1Hz
測定温度:23℃
〔試験例6〕(粘着力の測定)
実施例および比較例で得られた粘着フィルムの粘着力を、以下に示す操作以外、JIS Z0237:2009に準じて測定した。粘着フィルムを幅25mm、長さ250mmに裁断し、剥離シートを剥離し、露出した粘着層を、23℃、50%RHの環境下で、被着体としてのステンレススチール板(SUS304♯360研磨)に2kgゴムローラーを用いて貼付し、同環境下に24時間放置した。その後、万能型引張試験機(オリエンテック社製,製品名「テンシロンUTM−4−100」)を用いて、剥離角度180°、剥離速度300mm/minで粘着フィルムを上記ステンレススチール板から剥離することにより、その粘着力を測定した。結果を表1に示す。なお、比較例1の粘着フィルムについては、粘着力が弱すぎてステンレススチール板に貼付することができなかった。
〔試験例7〕(グラファイト視認防止性の評価)
実施例および比較例で得られた粘着フィルムから剥離シートを剥離し、グラファイトシート(カネカ社製,製品名「HF−SL−A48LCG」,厚さ25μm)に貼付した。この粘着フィルム付きグラファイトシートを、粘着フィルム側が上面となるように台上に載置して、その外観(グラファイトのムラが見えるか否か)を評価者3人により判断し、以下の基準によりグラファイト視認防止性を評価した。結果を表1に示す。
◎:評価者3人全員がグラファイトシートのムラが見えないと評価した。
○:評価者の少なくとも1人が、わずかにグラファイトシートのムラが見えると評価した。
△:評価者の2〜3人が、わずかにグラファイトシートのムラが見えると評価した。もしくは、評価者の1〜2人がグラファイトシートのムラが明確に見えると評価した。
×:評価者全員が、グラファイトシートのムラが明確に見えると評価した。
〔試験例8〕(外観再現性の評価)
実施例および比較例で製造した粘着フィルムについて、各例それぞれ10サンプルを用意した。当該サンプルを、5枚1列、2段となるよう等間隔に、試験例2で使用した黒色板に貼付した。そして、それらサンプルの外観の差異を評価者3人により判断し、以下の基準により外観再現性を評価した。結果を表1に示す。
○:評価者3人全員が10サンプル全ての外観に差異がないと判断した。
×:評価者3人中少なくとも1人が、10サンプルのうち少なくとも1サンプルで外観が異なると判断した。
Figure 0006957255
表1の結果より、実施例の粘着フィルムは、グラファイト視認防止性に優れるとともに、外観の再現性にも優れるものであった。
本発明に係る粘着フィルムは、グラファイトシートを装飾するのに好適に用いることができる。また、本発明に係るグラファイトシート積層体は、スマートフォン等の電子機器における電子部品の放熱および装飾に好適に用いることができる。
1…粘着フィルム
11…基材フィルム
12…彩色層
13…彩色粘着層
2…グラファイトシート積層体
3…グラファイトシート
4…両面粘着シート

Claims (13)

  1. 基材フィルムと、
    前記基材フィルムの一方の面側に設けられた彩色層と、
    前記基材フィルムの他方の面側に設けられた彩色粘着層と
    を備えた粘着フィルムであって、
    前記彩色層の全光線透過率が%以上、20%以下であり、
    前記彩色粘着層の全光線透過率が50%未満である
    ことを特徴とする粘着フィルム。
  2. 前記粘着フィルムを白色の被着体に貼付したときに測定したL*a*b*表色系におけるa*が−2以上、2以下であり、b*が−2以上、2以下であることを特徴とする請求項1に記載の粘着フィルム。
  3. 前記粘着フィルムを黒色の被着体に貼付したときに測定したL*a*b*表色系におけるL*から、前記粘着フィルムを白色の被着体に貼付したときに測定したL*a*b*表色系におけるL*を差し引いた絶対値が、1未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の粘着フィルム。
  4. 前記彩色層における前記基材フィルム側とは反対側の表面の60°鏡面光沢度が、30%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着フィルム。
  5. 前記彩色層における前記基材フィルム側とは反対側の表面の算術平均粗さRaが、0.1μm以上、5μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着フィルム。
  6. 前記粘着フィルムの剥離シートを含まない総厚が、3μm以上、50μm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着フィルム。
  7. 前記基材フィルムの厚さが0.5μm以上、38μm以下であり、
    前記彩色層の厚さが0.5μm以上、5μm以下であり、
    前記彩色粘着層の厚さが0.5μm以上、20μm以下である
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の粘着フィルム。
  8. 前記彩色粘着層の23℃における貯蔵弾性率G’が、0.001MPa以上、0.2MPa以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の粘着フィルム。
  9. 前記彩色層が印刷層であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の粘着フィルム。
  10. グラファイトシートに貼付されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の粘着フィルム。
  11. グラファイトシートと、
    前記グラファイトシートの一方の面に貼合された、請求項1〜10のいずれか一項に記載の粘着フィルムと
    を備えたことを特徴とするグラファイトシート積層体。
  12. 前記グラファイトシートの他方の面に貼合された両面粘着シートを備えたことを特徴とする請求項11に記載のグラファイトシート積層体。
  13. 前記粘着フィルムおよび前記両面粘着シートが、平面視において前記グラファイトシートよりも大きく形成されていることを特徴とする請求項12に記載のグラファイトシート積層体。
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