JP6956608B2 - 炭素膜付き多孔質体 - Google Patents

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Description

本発明は、炭素膜付き多孔質体に関するものである。
自動車などの内燃機関に使用される燃料(原燃料)には、オクタン価が高く、耐ノック性のよい高オクタン価燃料(HRON)と、オクタン価が低く、始動時等の着火性がよい低オクタン価燃料(LRON)が含まれている。したがって、高負荷運転時には高オクタン価燃料を使用し、始動時や低負荷運転時には低オクタン価燃料を使用することが好ましい。
しかし、市販されている燃料は1つのオクタン価しか有していない。そこで、特許文献1は、車両に給油される未分離燃料(原燃料)をヒーターで加熱した後、分離膜と真空ポンプを用いて高オクタン価燃料と低オクタン価燃料とに分離し、それぞれ別個のタンクに貯蔵する燃料分離装置を備えた車載型燃料分離システムを開示している。すなわち、通常のガソリンなどの原燃料から、低オクタン価燃料を分離することにより、低オクタン価燃料を別途補給することなく通常のガソリンから低オクタン価燃料を得ることができ、この低オクタン価燃料を用いて機関の始動性と冷間運転時の排気性状を向上させることが可能となっている。また、特許文献2では、芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素とを含む混合物を透過させることにより、混合物の組成を変化させることが可能な混合物用分離膜を開示している。
米国特許出願公開第2012/0132576号明細書 国際公開第2011/018919号
本開示の炭素膜付き多孔質体は、第1のセラミック粒子を有するセラミック多孔質基体と、該セラミック多孔質基体のひとつの面上に配置され、第2のセラミック粒子および炭素質材料を含む複合層と、該複合層の面上に配置されたガラス状炭素を含む炭素膜と、を有し、該炭素膜の面の十点平均粗さが、300nm以上であり、前記複合層の最も表面に位置する前記第2のセラミック粒子の表面を被覆する前記炭素膜の厚さの平均値を、前記
炭素膜の平均厚さとしたとき、前記炭素膜の平均厚さを10nm以上150nm以下とすることによって、前記炭素膜の表面を前記第2のセラミック粒子の形状を反映した面粗さを有する面としている。
炭素膜付き多孔質体の一実施形態を示す概略断面図である。 図1の一部を拡大した概略断面図である。 炭素膜付き多孔質体の別の実施形態を示す概略断面図である。 炭素膜付き多孔質体のさらに別の実施形態を示す概略断面図である。
本実施形態の炭素膜付き多孔質体1は、図1に示すように、セラミック多孔質基体2(以下、単に多孔質基体2ともいう)と、セラミック多孔質基体2のひとつの面上に配置された複合層3と、複合層3の面上に配置された炭素膜4を含む。
多孔質基体2は、複数の第1のセラミック粒子5により構成され、第1の細孔6を有している。複合層3は、複数の第2のセラミック粒子7と炭素質材料8とを含んでいる。複合層3は、第2のセラミック粒子7間には第2の細孔9を有し、炭素質材料8は第2の細孔9の内部に存在する。
炭素膜4はガラス状炭素を含むものであり、ガラス状炭素とは、光学顕微鏡レベルで観察したとき、粒界等の内部構造をもたず均一な外観からなる炭素と定義され、炭素粒子とは全く異なる。なお、本開示にいうガラス状炭素とは、内部に微細な細孔が多数存在する分子ふるい作用を有するものであり、気体または液体からなる流体のうち分子直径の小さいものは、炭素膜4を構成するガラス状炭素の図示しない細孔を透過する。
炭素膜付き多孔質体1の炭素膜4の面は、十点平均粗さが、300nm以上である。炭素膜4の面が、このような面粗さを有することで、分離されるべき成分を含む混合流体と炭素膜4との接触面積が大きくなり、分離されるべき成分が、炭素膜4と接触しやすくなり、炭素膜4を透過しやすくなる。以下、炭素膜4を透過した成分を透過成分という。炭素膜4の面の十点平均粗さは、1000nm以下であってもよい。
炭素膜4の面の面粗さは、たとえば原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、測定領域をたとえば50μm□〜100μm□として面粗さ測定を行えばよい。
炭素膜4の平均厚さは、10nm以上150nm以下、特に20nm以上100nm以下であるのがよい。炭素膜4の平均厚さとは、図2に示すように、複合層3の最も表面に位置する第2のセラミック粒子7の表面を被覆する炭素膜4の厚さtの平均値である。複合層3の表面に存在する炭素膜4の平均厚さを10nm以上とすることで、第2のセラミック粒子7を炭素膜4の表面に露出しにくくすることができ、炭素膜4の欠損を低減することができる。換言すれば、炭素膜付き多孔質体1は、炭素膜4を有する混合流体と接触する面には、第1のセラミック粒子5および第2のセラミック粒子7の露出部がなく、混合流体と接触する面の全面が炭素膜4に覆われているのがよい。炭素膜4の平均厚さを150nm以下、特に100nm以下とすることで、炭素膜4を有する面を、第2のセラミック粒子7の形状を反映した適度な面粗さを有する面とすることができる。
炭素膜4の厚さは、たとえば炭素膜付き多孔質体1の炭素膜4の表面にPtを蒸着したのち、断面を研磨加工し、その断面にたとえばPtを蒸着してエネルギー分散型X線分析(EDS)機能付きの走査型電子顕微鏡(SEM)、走査透過電子顕微鏡(STEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)などを用いて炭素膜4を判別し、その厚さを測定すればよい。
複合層3中には、図3に示すように気孔10が存在していてもよい。気孔10は、たとえば第2のセラミック粒子7と炭素質材料8との境界や、炭素質材料8の内部に存在してもよい。気孔10は、炭素質材料8の内部、または炭素質材料と第2のセラミック粒子7との間隙に存在する閉気孔であり、特に炭素質材料8の内部に存在するのがよい。炭素膜4を透過した分離成分は、炭素質材料8に対する親和性が高いため、炭素質材料8の内部に気孔10が存在することにより、分離成分が気孔10の内面である炭素質材料8の表面を表面拡散により速やかに移動することが可能となり、さらに透過速度を向上することができる。複合層3の表面から多孔質基体2まで貫通する気孔10は、存在しないのがよい。
第2の細孔9は、第2のセラミック粒子間の間隙である。第2の細孔9に対する、その内部に存在する炭素質材料8の充填率(以下、炭素質材料8の充填率ともいう)は、たとえば、90%以上、特に95%以上であるのがよい。複合層3の炭素充填率は、たとえば複合層3の断面をイオンミリング加工し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、第2のセラミック粒子7と炭素質材料8とを判別した後、撮影した走査型電子顕微鏡(SEM)の断面写真を画像解析することにより求めることができる。
多孔質基体2の材料としては、アルミナ、ムライト、コージェライト、ジルコニア、マグネシア、炭化珪素、窒化珪素などのセラミック材料を用いればよい。これらのセラミック材料は、複合層3および炭素膜4との熱膨張差、耐熱性、機械的強度、耐摩耗性、耐熱衝撃性、耐薬品性、耐蝕性に優れている。なお、多孔質基体2は、単層のセラミック多孔質体でもよいし、2層以上のセラミック多孔質層からなる多層構造を有していてもよい。
多孔質基体2を構成する第1のセラミック粒子5の平均粒径は、1〜10μmであることが好ましく、更には1〜5μmであることがより好ましい。第1のセラミック粒子5の平均粒径をこのような範囲とすることにより、多孔質基体2の機械的強度を高く維持することができる。多孔質基体2を構成する第1のセラミック粒子5の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による多孔質基体2の断面写真から、例えばインターセプト法などにより求めることができる。
多孔質基体2の平均細孔径は、0.1〜5μm、さらに0.3〜3μm、特に0.2〜1.2μmとすればよい、多孔質基体2の気孔率は、30〜60%、特に30〜50%とすればよい。多孔質基体2の平均細孔径および気孔率をこのような範囲とすることで、分離成分の透過速度を大きくすると同時に多孔質基体2の機械的強度を高く維持することができる。多孔質基体2の平均細孔径および気孔率は、水銀圧入法で求めることができる。なお、多孔質基体2の細孔内部に炭素成分が存在する場合は、炭素膜付き多孔質体1から多孔質基体2部分を切り出し、炭素成分を酸化することにより除去可能な条件、例えば空気中で800℃、30分程度の条件で熱処理するなどして多孔質基体2の細孔内部から炭素成分を除去した後、平均細孔径を測定すればよい。
複合層3に含まれる第2のセラミック粒子7の材料としては、アルミナ、ムライト、コージェライト、ジルコニア、マグネシア、炭化珪素、窒化珪素などを用いればよい。
複合層3に含まれる第2のセラミック粒子7の平均粒径は、多孔質基体2を構成する第1のセラミック粒子5の平均粒径と同じでもよいし、第1のセラミック粒子5よりも小さくてもよい。第2のセラミック粒子7の平均粒径は、SEM写真の画像解析等により評価すればよい。
第2のセラミック粒子7の平均粒径は、たとえば1.0μm以下、0.5μm以下、特には0.1μm以上0.3μm以下とすればよい。
複合層3の厚さは、たとえば1μm以上500μm以下とすればよい。複合層3の厚さは、第2のセラミック粒子7の平均粒径の2倍以上であってもよい。これにより、熱衝撃等による炭素膜4の剥離を抑制し、耐熱性等に対する信頼性を高めることができる。複合層3に含まれる炭素質材料8は、透過成分が通過できる微細な細孔を有している。炭素質材料8は、たとえば微細なグラファイトなどを含んでいてもよい。複合層3の厚さは、たとえば1μm以上100μm以下、3μm以上50μm以下、特には5μm以上10μm以下としてもよい。これにより、透過成分が複合層3を通過する速度を速めることができる。
炭素質材料8は、第1の細孔6の内部に存在していてもよい。第1の細孔6の内部、特に第1の細孔6の内面に炭素質材料8が存在することにより、透過成分が多孔質基体2を通過する際、細孔内に存在する炭素表面を表面拡散により速やかに移動することが可能となる。したがって、透過成分が炭素膜付き多孔質体1を透過する透過速度がより向上する。
多孔質基体2の細孔内部に炭素が含まれているか否かは、以下の方法で確認できる。炭
素膜付き多孔質体1の断面に、例えばPtを蒸着し、エネルギー分散型X線分析(EDS)により、多孔質基体2の内部を元素分析する。このとき、多孔質基体2の内部に炭素のピークが存在するか否かを確認すればよい。
炭素質材料8は、炭素膜4と同様にガラス状炭素を含んでいてもよいし、炭素膜とは異なり、ガラス状炭素を含んでいなくてもよい(図4を参照)。複合層3に含まれる炭素質材料8が、炭素膜4と同様にガラス状炭素を含む場合、炭素膜4および/または炭素質材料8を形成する熱処理時に、たとえば炭素膜4にクラックが発生し難くする、または炭素膜4を剥離し難くすることができる。
<炭素膜付き多孔質体の製法>
炭素膜付き多孔質体1は、以下のように作製することができる。まず、例えば平均粒径1〜10μmの第1のセラミック粒子5からなり、平均細孔径が0.1〜5μm、気孔率が30〜60%の多孔質基体2を準備する。この多孔質基体2のひとつの面に、例えば、平均粒径1.0μm以下の第2のセラミック粒子7からなる層を形成する。さらに第2のセラミック粒子7からなる層の上に、炭素膜4を形成する。
第2のセラミック粒子7からなる層は、以下のようにして形成すればよい。アルミナ、ムライト、コージェライト、ジルコニア、マグネシア、炭化珪素、窒化珪素などの平均粒径が1.0μmよりも小さいセラミック粒子からなる原料粉末を適宜秤量し、例えば親水性の分散剤を用いて水に分散させ、セラミックスラリーを作製する。セラミックスラリーを、例えばディップコート法(浸漬塗布法)などの塗布手段を用いて多孔質基体2のひとつの面上に塗布し、乾燥する。ディッピングやスピンコート等の方法により、多孔質基体2にセラミックスラリーを塗布する場合、原料粉末の平均粒径は0.02μm以上とするのがよい。原料粉末の平均粒径は0.02μm以上とすることで、セラミック粒子を凝集し難くすることができる。
セラミックスラリーを塗布した多孔質基体2を焼成することで、多孔質基体2のひとつの面上に第2のセラミック粒子7からなる層を形成できる。このとき、第2のセラミック粒子7は、ネックにより部分的に結合していればよく、その粒径は原料粉末の粒径にほぼ等しい。
たとえば、原料粉末として平均粒径0.2μmのαアルミナ粉末を用いた場合、たとえば大気中、最高温度1080℃以上1120℃以下、保持時間8分以上15分以下の条件で焼成を行うことで、多孔質基体2の面上に第2のセラミック粒子7からなる層を形成できる。
第2のセラミック粒子7からなる層の厚さは、多孔質基体2の表面に存在する凹凸を覆うことができる厚さであればよい。第2のセラミック粒子7からなる層の厚さは、たとえば1μm以上500μm以下とすればよい。第2のセラミック粒子7からなる層の厚さは、たとえば第2のセラミック粒子7の平均粒径の2倍以上としてもよい。第2のセラミック粒子7からなる層を、このような厚さとすることで、ピンホール等の表面欠陥を低減できる。
得られた第2のセラミック粒子7からなる層の表面に、炭素質材料前駆体溶液(以下、単に前駆体溶液ともいう)をディップコートし、乾燥する。炭素質材料前駆体としては、たとえば、芳香族ポリイミド、ポリピロロン、ポリフルフリルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、フェノール樹脂、リグニン誘導体、木タール、竹タール、石油ピッチ、石炭ピッチ等からなるものが挙げられる。これらの炭素質材料前駆体は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、炭素質材料前駆体に、シラン、アミン、およびメトキ
シドのうち1種以上が含まれていてもよい。溶媒としては、テトラヒドロフラン、アセトン、メタノール、エタノールなどの有機溶剤を用いればよい。
第2のセラミック粒子7からなる層の表面に、炭素質材料前駆体を塗布した多孔質基体2を、非酸化性雰囲気中または真空中で、550℃以上1000℃以下の温度で熱処理することにより、第2のセラミック粒子7からなる層の表面に炭素膜4が形成されるとともに、第2のセラミック粒子7からなる層に侵入した炭素質材料前駆体が炭素質材料8となって複合層3が形成され、炭素膜付き多孔質体1が得られる。
このようにして得られた炭素膜4および炭素質材料8は、耐水性が高い。したがって、混合流体に不純物として水分が含まれていても、分離性能が劣化し難い。このような炭素膜付き多孔質体1を混合流体の分離に用いると、混合流体の分離を安定して行うことができる。
炭素膜4および複合層3の厚さは、塗布条件(浸漬時間や引上げ速度)により調整できる。たとえば、第2のセラミック粒子7からなる層の表面に炭素質材料前駆体溶液をディップコートするとき、第2のセラミック粒子7からなる層を有する多孔質基体2を炭素質材料前駆体溶液から引上げる引上げ速度を調整することで、炭素膜4の厚さは調整される。たとえば、1mm/秒の引上げ速度で引き上げると、厚さ0.2μmの炭素膜4が得られ、0.5mm/秒の引き上げ速度で引き上げると、厚さ0.1μmの炭素膜4が得られる。複合層3の厚さは、炭素質材料前駆体溶液中の浸漬時間で調整できる。炭素膜4を構成するガラス状炭素の細孔径は、たとえば前駆体溶液の成分や組成、熱処理条件により調整できる。ガラス状炭素の細孔径を調整することで、分子直径の異なる種々の気体や液体を分離することが可能である。
第2の細孔9の平均細孔径、すなわち第2のセラミック粒子7からなる層の平均細孔径は、第1の細孔6の平均細孔径、すなわち多孔質基体2の平均細孔径よりも小さいのがよい。第2の細孔9の平均細孔径は、たとえば0.01μm以上0.5μm以下、特に0.02μm以上0.1μm以下としてもよい。また、第2のセラミック粒子7からなる層の気孔率は、30%以上60%以下、特には30%以上50%以下とすればよい。第2の細孔9の平均細孔径および第2のセラミック粒子7からなる層の気孔率をこのような範囲とすることで、前駆体溶液を第2の細孔9の内部、および必要に応じ第1の細孔6の内部にまで浸透させるとともに、複合層3の上に薄く均一な炭素膜4を形成することができる。
このようにして得られた本実施形態の炭素膜付き多孔質体1は、高い耐水性、耐薬品性を有し、また透過速度および分離係数も大きいため、過酷な条件下においても優れた分離性能を発揮できる。
特に、本実施形態の炭素膜付き多孔質体1を、内燃機関に使用される燃料(原燃料)から、分子量の小さい低分子量成分を分離する混合物用分離膜として用いることで、透過速度が大きく、安定した分離性能が得られ、例えばエンジンが停止している数時間の間に、エンジンが始動する際に必要な量の低分子量燃料を分離することができる。なお、本開示における低分子量成分とは、具体的にはメチルヘキセン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルヘプタンおよびトルエンを指すものとする。原燃料には、上記の低分子量成分のほか、高分子量成分として、飽和炭化水素、エチルベンゼン、キシレン、イソプロピルベンゼン、プロピルベンゼン、エチルトルエン、トリメチルベンゼン、メチルスチレン、エチルキシレン、プロピルトルエン、メチルプロピルベンゼン、テトラメチルベンゼン、メチルプロペニルベンゼン、フェニルブテン、ジエチルベンゼン、ナフタレン、メチルメチルプロペニルベンゼン、ジメチルインダン、メチルナフタレン等が含まれている。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
第2のセラミック粒子からなる層の原料であるアルミナ粉末(平均粒径0.2μm)と、ポリビニルアルコール(PVA)とを水に分散させてスラリーを作製した。作製したスラリー中に、多孔質基体であるアルミナ多孔質管(外径12mm、内径9mm、長さ200mm、平均細孔径1μm)の一方の開口部を封止して浸漬した後、引き上げることで、アルミナ多孔質管の外表面に第2のセラミック粒子の被膜を形成した。外表面に第2のセラミック粒子の皮膜を形成したアルミナ多孔質管を乾燥したのち、大気中、1000℃で10分間の焼成を行い、第2のセラミック粒子からなる層を有する多孔質基体を得た。
フェノール樹脂粉末をテトラヒドロフラン(THF)に溶解して、炭素質材料前駆体溶液を作製した。この炭素質材料前駆体溶液に、アルミナ多孔質基体を浸漬し、一定速度で引き上げて、外表面である第2のセラミック粒子からなる層の表面にフェノール樹脂の被膜を形成するとともに、第2のセラミック粒子からなる層の第2の細孔の内部にフェノール樹脂を含浸した。第2のセラミック粒子からなる層の表面および第2の細孔の内部のフェノール樹脂を、多孔質基体とともに乾燥した後、窒素雰囲気下で熱処理を行い、複合層を有する炭素膜付き多孔質体を作製した。熱処理条件は、700℃で10分とした。
得られた炭素膜付き多孔質体の炭素膜の面の面粗さを、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定した。測定領域は80μm□とした。炭素膜の十点平均面粗さを表1に示す。
炭素膜の厚さは炭素質材料前駆体溶液から引き上げる速度を調整することにより制御した。得られた炭素膜の厚さを表1に示す。炭素膜の厚さは、炭素膜の表面にPtを蒸着した後、炭素膜付き多孔質体の断面を研磨加工し、エネルギー分散型X線分析(EDS)機能付きの走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて炭素膜4を判別し、複合層3の最も表面に位置する第2のセラミック粒子の表面を被覆する炭素膜の厚さtを10か所測定し、その平均値を示した。なお、得られた炭素膜付き多孔質体の炭素膜および複合層の炭素質材料はいずれも、光学顕微鏡レベルでは内部構造が確認できず均一な外観を有するガラス状炭素であった。
また、複合層の断面をイオンミリング加工し、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、第2のセラミック粒子と炭素質材料とを判別した後、撮影した走査型電子顕微鏡(SEM)の断面写真を画像解析した。試料No.1〜5のいずれも、第2の細孔の内部に存在する炭素質材料の充填率が90%以上であった。
作製した炭素膜付き多孔質体の分離特性の評価として、ガソリンの透過分離試験を行った。原燃料としては、市販のレギュラーガソリン(出光石油製)を用いた。供給側(炭素膜付き多孔質体の炭素膜側)を大気圧とし、透過側(炭素膜付き多孔質体の多孔質基体側)を真空として、炭素膜付き多孔質体の炭素膜の外側にあるレギュラーガソリンを多孔質体側へと透過させ、そのときの透過速度Qを比較した。試験温度は20℃とした。多孔質体側に透過した成分(透過成分)は、コールドトラップを用いて回収し、その種類および各成分の含有比率を測定した。成分の測定には、ガスクロマトグラフQP2010Plus(島津製作所製)を用いた。
各試料の測定結果を表1に示す。なお、表1には、透過成分の80%以上が低分子量成分、すなわちメチルヘキセン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルヘプタンおよびトルエンにより構成されていた場合を○とし、分離性能の欄に記載した。
Figure 0006956608
炭素膜の十点平均粗さが300nm以上である試料No.3〜5は、試料No.1、2よりも透過速度が高く、透過成分は主として低分子量成分で構成されていた。

1:炭素膜付き多孔質体
2:セラミック多孔質基体
3:複合層
4:炭素膜
5:第1のセラミック粒子
6:第1の細孔
7:第2のセラミック粒子
8:炭素質材料
9:第2の細孔

Claims (5)

  1. 第1のセラミック粒子を有するセラミック多孔質基体と、該セラミック多孔質基体のひとつの面上に配置され、第2のセラミック粒子および炭素質材料を含む複合層と、該複合層の面上に配置され、ガラス状炭素を含む炭素膜と、を有し、
    該炭素膜の面の十点平均粗さが、300nm以上であり、
    前記複合層の最も表面に位置する前記第2のセラミック粒子の表面を被覆する前記炭素膜の厚さの平均値を、前記炭素膜の平均厚さとしたとき、前記炭素膜の平均厚さを10nm以上150nm以下とすることによって、前記炭素膜の表面を前記第2のセラミック粒子の形状を反映した面粗さを有する面としている、炭素膜付き多孔質体。
  2. 前記炭素膜の面の十点平均粗さが、1000nm以下である、請求項1に記載の炭素膜付き多孔質体。
  3. 前記複合層の断面において、前記第2のセラミック粒子間の間隙の面積に対する、前記炭素質材料の面積が、90%以上である、請求項1または2に記載の炭素膜付き多孔質体。
  4. 前記第2のセラミック粒子の平均粒径が、前記第1のセラミック粒子の平均粒径以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の炭素膜付き多孔質体。
  5. 前記炭素質材料が、前記ガラス状炭素を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の炭素膜付き多孔質体。
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