JP3023300B2 - 高透過性複合逆浸透膜とその製造方法及び逆浸透処理方法 - Google Patents

高透過性複合逆浸透膜とその製造方法及び逆浸透処理方法

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JP3023300B2
JP3023300B2 JP7330268A JP33026895A JP3023300B2 JP 3023300 B2 JP3023300 B2 JP 3023300B2 JP 7330268 A JP7330268 A JP 7330268A JP 33026895 A JP33026895 A JP 33026895A JP 3023300 B2 JP3023300 B2 JP 3023300B2
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osmosis membrane
ether
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雅彦 廣瀬
弘喜 伊藤
政利 前田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は各種液体混合物を選
択分離するための複合逆浸透膜とその製造方法及び逆浸
透処理方法に関する。さらに詳しくは、たとえば半導体
製造に必要不可欠な超純水の造水ラインにおいて、低濃
度無機塩に対しての脱塩や、カチオン系有機物を排除す
るための複合逆浸透膜とその製造方法及び逆浸透処理方
法に関するものであり、エネルギー的に有利な低圧操作
下で、より高純度な水を得たり、廃水を回収したりする
ことができる複合逆浸透膜に関する。また、食品用途等
で有効成分の濃縮等にも用いることができる。
【0002】
【従来の技術】従来より、非対称逆浸透膜とは構造の異
なる逆浸透膜として、多孔性支持体上に実質的に選択分
離性を有する薄膜を形成してなる複合逆浸透膜が提案さ
れている。
【0003】現在、かかる複合逆浸透膜として、多官能
芳香族アミンと多官能芳香族酸ハロゲン化物との界面重
合によって得られるポリアミドからなる薄膜を支持体上
に形成したものが多く提案されている(例えば特開昭5
5−147106号公報、特開昭62−121603号
公報、特開昭63−218208号公報、特開平2−1
87135号公報等)。また、多官能芳香族アミンと多
官能脂環式酸ハロゲン化物との界面重合によって得られ
るポリアミドからなる薄膜を支持体上に形成したものも
提案されている(例えば特開昭61−42308号公報
等)。また、複合逆浸透膜の活性層は、その製造のし易
さから架橋ポリアミドからなるものが主流であり、これ
は負の固定荷電基を有しているため、低濃度領域におけ
る無機塩の脱塩に関し、高pH域においてアニオンの排
除率は高いがカチオンのそれは低いため、全体としての
排除率が低下してしまうという問題があった。かかる問
題を解決するために、活性層表面に正の固定荷電基を有
する有機重合体を被覆してなる複合逆浸透膜(特開昭6
2−266103号公報)が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の複合逆浸透膜は、高い脱塩性能及び水透過性を有す
るが、さらに高い脱塩性能を維持したまま水透過性を向
上させることが、効率面などの点から望まれている。こ
れらの要求に対し、各種添加剤などが提案されているが
(例えば特開昭63−12310号公報等)、まだ現在
の複合逆浸透膜では不十分であり、さらに高い水透過性
を有する複合逆浸透膜が求められている。また、前記従
来の特開昭62−266103号公報による提案の複合
逆浸透膜は、その製造方法からして吸着膜として働くよ
うに製造されていることにより、繰り返しの使用に際
し、ある程度の有機重合体の脱落を伴い、膜の所望の性
能が低下する場合があるという点で不十分であった。特
に最近開発されてきた技術で、半導体製造における超純
水造水ラインの前段における2段式逆浸透処理(RO)
の2段目の膜としては満足のいくものではない。即ち、
1段目に高脱塩率の負荷電膜を用い、その透過液を2段
目に供給するため、同じ性質の膜では、十分に脱塩性能
を発現しないことが判明した。また、正固定荷電基を有
する有機重合体の架橋層で被膜されている為、透過流束
が低くなり、経済的に不十分であり、透過流束の高い膜
が望まれている。
【0005】本発明は、前記従来の問題を解決するた
め、高塩阻止率と高水透過性を併せ有する複合逆浸透膜
とその製造方法及び逆浸透処理方法を提供することを第
1番目の目的とする。本発明の第2番目の目的は、低濃
度領域での無機塩の脱塩、及びカチオン系有機物の排除
に優れ、しかも高水透過性を併せ有する複合逆浸透膜と
その製造方法及び逆浸透処理方法を提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の第1番目の高透過性複合逆浸透膜は、2つ
以上の反応性のアミノ基を有する化合物と、2つ以上の
反応性の酸ハライド基を有する多官能性酸ハロゲン化合
物との反応生成物からなるポリアミド系スキン層薄膜
と、これを支持する微多孔性支持体とからなる複合逆浸
透膜において、前記複合逆浸透膜表面のポリアミド系ス
キン層の平均面粗さが55nm以上であることを特徴と
する。前記複合逆浸透膜表面のポリアミド系スキン層の
平均面粗さは10,000nm以下であることが好まし
く、とくに好ましくは1,000nm以下である。
【0007】前記構成においては、複合逆浸透膜表面の
ポリアミド系スキン層の自乗平均面粗さが65nm以上
であることが好ましい。前記複合逆浸透膜表面のポリア
ミド系スキン層の自乗平均面粗さは20,000nm以
下であることが好ましく、とくに好ましくは2,000
nm以下である。
【0008】また前記構成においては、複合逆浸透膜表
面のポリアミド系スキン層の10点平均面粗さが300
nm以上であることが好ましい。前記複合逆浸透膜表面
のポリアミド系スキン層の10点平均面粗さは50,0
00nm以下であることが好ましく、とくに好ましくは
10,000nm以下である。
【0009】また前記構成においては、複合逆浸透膜表
面のポリアミド系スキン層の最大高低差が400nm以
上であることが好ましい。前記複合逆浸透膜表面のポリ
アミド系スキン層の最大高低差は100,000nm以
下であることが好ましく、とくに好ましくは20,00
0nm以下である。
【0010】次に本発明の第2番目の高透過性複合逆浸
透膜は、薄膜とこれを支持する微多孔性支持体とからな
る複合逆浸透膜において、前記薄膜が2つ以上の反応性
のアミノ基を有する化合物と、2つ以上の反応性の酸ハ
ライド基を有する多官能性酸ハロゲン化合物との反応生
成物からなる負荷電荷性架橋ポリアミド系スキン層であ
り、前記スキン層の平均面粗さが55nm以上であると
ともに、前記スキン層の表面を正荷電性基を有する有機
重合体の架橋層で被膜したことを特徴とする。前記複合
逆浸透膜表面のポリアミド系スキン層の平均面粗さは6
0nm以上10,000nm以下であることが好まし
く、とくに好ましくは1,000nm以下である。この
範囲を外れると十分な透過流束は得にくい。
【0011】前記構成においては、複合逆浸透膜表面の
ポリアミド系スキン層の自乗平均面粗さが65nm以上
であることが好ましい。前記複合逆浸透膜表面のポリア
ミド系スキン層の自乗平均面粗さは70nm以上であ
り、20,000nm以下であることが好ましく、とく
に好ましくは2,000nm以下である。この範囲を外
れると十分な透過流束は得にくい。
【0012】また前記構成においては、複合逆浸透膜表
面のポリアミド系スキン層の10点平均面粗さが300
nm以上であることが好ましい。前記複合逆浸透膜表面
のポリアミド系スキン層の10点平均面粗さは305n
m以上であり、50,000nm以下であることが好ま
しく、とくに好ましくは10,000nm以下である。
この範囲を外れると十分な透過流束は得にくい。
【0013】また前記構成においては、複合逆浸透膜表
面のポリアミド系スキン層の最大高低差が400nm以
上であることが好ましい。前記複合逆浸透膜表面のポリ
アミド系スキン層の最大高低差は410nm以上10
0,000nm以下であることが好ましく、とくに好ま
しくは20,000nm以下である。この範囲を外れる
と十分な透過流束は得にくい。
【0014】前記における平均面粗さは、下記式(数
1)で定義される。
【0015】
【数1】
【0016】また、前記における自乗平均面粗さは、下
記式(数2)で定義される。
【0017】
【数2】
【0018】また、前記における10点平均面粗さは、
下記式(数3)で定義される。
【0019】
【数3】
【0020】また、前記における最大高低差は下記式
(数4)で定義される。
【0021】
【数4】
【0022】これらの平均面粗さ、自乗平均面粗さ、1
0点平均面粗さ、最大高低差を求める方法は、一般に表
面粗さを求める手法に従い求めることができる。例え
ば、原子間力顕微鏡(AFM)、摩擦力顕微鏡(FF
M)、非接触原子間力顕微鏡(NC−AFM)、トンネ
ル顕微鏡(STM)、電気化学−原子間力顕微鏡(EC
−AFM)、走査電子顕微鏡(SEM,FE−SE
M)、透過電子顕微鏡(TEM)等が挙げられるが、表
面粗さを求めることができれば特に手法は制限されな
い。
【0023】本発明の第2番目の複合逆浸透膜の発明に
おいては、負荷電性架橋ポリアミド系スキン層の表面
が、正荷電性基を有する有機重合体の架橋層で被膜され
ていなければならない。被膜されていないと、低濃度無
機塩に対しての脱塩や、カチオン系有機物を排除するこ
とが十分にできない。
【0024】ここで正荷電性基を有する有機重合体と
は、ポリエチレンイミンが挙げられる。本発明の架橋層
は、上記正荷電性基を有する有機重合体を架橋剤で架橋
して活性層表面を被覆してなるものであり、かかる架橋
剤としては、グリオキサール、グルタルアルデヒド等が
挙げられるが、特に分子量の点から、グルタルアルデヒ
ドが好ましく用いられる。すなわち、正荷電性基を有す
る有機重合体の架橋層が、ポリエチレンイミンを架橋し
た有機重合体であることが好ましい。
【0025】また正荷電性基を有する有機重合体の架橋
層は、4級アンモニウム基および水酸基を有する重合体
を、分子内または/及び分子間で架橋した有機重合体で
あってもよい。
【0026】前記において、正荷電性基を有する有機重
合体の架橋層の厚さが1nm以上10μm以下の範囲で
あるこが好ましい。本発明において活性層表面を架橋層
で被覆する方法は特に限定されないが、例えば、活性層
に上記正荷電性基を有する有機重合体の水溶液を塗布又
は含浸した後、上記架橋剤で架橋させたり、また逆浸透
処理を行いながら、その原水に正荷電性基を有する有機
重合体を添加し、次いで水洗後同方法により架橋剤を添
加する方法などが採用できる。この場合、正荷電性基を
有する有機重合体の濃度は、通常0.1〜10重量%、
好ましくは1〜5重量%、また架橋剤の濃度は、通常
0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%で
ある。
【0027】本発明においては、上記の如く負固定荷電
を有する活性層の表面に、正荷電性基を有する有機重合
体が架橋した状態で被覆されているため、即ち吸着機構
に加え3次元架橋されているため、従来の未架橋の場合
と比べて、得られた複合半透膜を繰り返し使用しても、
正荷電性基を有する有機重合体が脱落しないので、性能
が低下しないという作用・効果がある。
【0028】次に本発明の高透過性複合逆浸透膜の製造
方法は、微多孔性支持体上に、2つ以上の反応性のアミ
ノ基を有する化合物を有する溶液Aを被覆する工程、及
び多官能性酸ハロゲン化物を含む溶液Bを上記溶液A層
と接触させる工程を含む手段により、負荷電性架橋ポリ
アミド系スキン層を形成させ、かつそのスキン層の表面
が、正固定荷電基を有する有機重合体の架橋層で被膜さ
れている複合逆浸透膜を製造する方法であって、前記溶
液A、溶液B及び微多孔性支持体から選ばれる少なくと
も一つに、エタノール、プロパノール、ブタノール、ブ
チルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノー
ル、t−アミルアルコール、イソアミルアルコール、イ
ソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、2−エ
チルブタノール、2−エチルヘキサノール、オクタノー
ル、テトラヒドロフルフリルアルコール、t−ブタノー
ル、ベンジルアルコール、4−メチル−2−ペンタノー
ル、3−メチル−2−ブタノール、ペンチルアルコール
及びアリルアルコールから選ばれるアルコール化合物
群、 アニソール、エチルイソアミルエーテル、エチル−
t−ブチルエーテル、エチルベンジルエーテル、クラウ
ンエーテル、クレジルメチルエーテル、ジイソアミルエ
ーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、
ジオキサン、ジグリシジルエーテル、シネオール、ジフ
ェニルエーテル、ジブチルエーテル、ジプロピルエーテ
ル、ジベンジルエーテル、ジメチルエーテル、テトラヒ
ドロピラン、テトラヒドロフラン、トリオキサン、ジク
ロロエチルエーテル、ブチルフェニルエーテル、フラ
ン、メチル−t−ブチルエーテル、モノジクロロジエチ
ルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エ
チレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコー
ルジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエ
ーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチ
レングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコ
ールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチル
エーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジ
エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレング
リコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモ
ノブチルエーテル及びジエチレンクロロヒドリンから選
ばれるエーテ ル化合物群、 エチルブチイルケトン、ジア
セトンアルコール、ジイソブチルケトン、シクロヘキサ
ノン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン、メチ
ルエチルケトン、メチルシクロヘキサンから選ばれるエ
ーテル化合物群、 ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピ
ル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸イソアミル、酢
酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢
酸イソブチル及び酢酸アミルから選ばれるエステル化合
物群、 アリルクロライド、塩化アミル、ジクロロメタン
及びジクロロエタンから選ばれるハロゲン化炭化水素化
合物群、 ジメチルスルホキシド及びチオランから選ばれ
る含硫黄化合物群から選ばれる少なくとも一つの溶解度
パラメーターが8〜14(cal/cm3 )1/2の化合物を存
在させることを特徴とする。
【0029】前記構成においては、溶解度パラメーター
が8〜14(cal/cm3 )1/2 の化合物がアルコール化合
物群であることが好ましい。また前記構成においては、
溶解度パラメーターが8〜14(cal/cm3 )1/2 の化合
物がエーテル化合物群であることが好ましい。とくに前
記のエーテル化合物群は、溶液Bに存在させることが好
ましい。
【0030】また前記構成においては、正固定荷電基を
有する有機重合体の架橋層が、4級アンモニウム基およ
び水酸基を有する重合体を、分子内及び分子間から選ば
れる少なくとも一つで架橋した有機重合体であることが
好ましい。
【0031】次に本発明の逆浸透処理方法は、複数の逆
浸透膜を用いて液体を逆浸透処理する方法であって、負
荷電荷性架橋ポリアミド系スキン層及びそれを支持する
微多孔性支持体からなる高透過性複合逆浸透膜が、多段
式逆浸透処理の2段目以降の処理段階で用いられ、前記
負荷電荷性架橋ポリアミド系スキン層は2つ以上の反応
性アミノ基を有する化合物と2つ以上の反応性酸ハライ
ド基を有する多官能酸ハロゲン化合物の反応生成物から
なり、前記スキン層の平均面粗さが55nm以上で、か
つそのスキン層の表面を正固定荷電基を有する有機重合
体の架橋層で被膜されている高透過性複合逆浸透膜を用
いることを特徴とする。
【0032】前記処理方法においては、高透過性複合逆
浸透膜での逆浸透処理に先立つ処理が、2つ以上の反応
性のアミノ基を有する化合物と、2つ以上の反応性の酸
ハライド基を有する多官能性酸ハロゲン化合物との反応
生成物からなる負荷電性架橋ポリアミド系スキン層と、
これを支持する微多孔性支持体とからなる複合逆浸透膜
を用いた処理であることが好ましい。
【0033】また前記処理方法においては、高透過性複
合逆浸透膜での処理に先立つ処理で用いられる逆浸透性
膜のスキン層の平均面粗さが55nm以上であることが好
ましい。
【0034】
【発明の実施の形態】前記した本発明の複合逆浸透膜
は、たとえば2つ以上の反応性のアミノ基を有する化合
物と、2つ以上の反応性の酸ハライド基を有する多官能
性酸ハロゲン化合物との界面重縮合反応時に、溶解度パ
ラメーターが8〜14(cal/cm3 )1/2の化合物、例え
ばアルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、
ハロゲン化炭化水素類、及び含硫黄化合物類などから選
ばれる少なくとも一つの化合物の存在させることにより
製造することができる。かかるアルコール類としては、
例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、ブチ
ルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、
t−アミルアルコール、イソアミルアルコール、イソブ
チルアルコール、イソプロピルアルコール、2−エチル
ブタノール、2−エチルヘキサノール、オクタノール
トラヒドロフルフリルアルコール、t−ブタノール、
ベンジルアルコール、4−メチル−2−ペンタノール、
3−メチル−2−ブタノール、ペンチルアルコール、ア
リルアルコーが挙げられる。
【0035】またエーテル類としては例えば、アニソー
ル、エチルイソアミルエーテル、エチル−t−ブチルエ
ーテル、エチルベンジルエーテル、クラウンエーテル、
クレジルメチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジイ
ソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジオキサン、
ジグリシジルエーテル、シネオール、ジフェニルエーテ
ル、ジブチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジベンジ
ルエーテル、ジメチルエーテル、テトラヒドロピラン、
テトラヒドロフラン、トリオキサン、ジクロロエチルエ
ーテル、ブチルフェニルエーテル、フラン、メチル−t
−ブチルエーテル、モノジクロロジエチルエーテル、エ
チレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコー
ルジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエー
テル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレ
ングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール
モノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエ
ーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエ
チレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエ
チルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテ
ル、ジエチレンクロロヒドリン等が挙げられる。
【0036】またケトン類としては例えば、エチルブチ
イルケトン、ジアセトンアルコール、ジイソブチルケト
ン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、メチルイソブ
チルケトン、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサ
ン等が挙げられる。
【0037】またエステル類としては例えば、ギ酸メチ
ル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソ
ブチル、ギ酸イソアミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢
酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル
等が挙げられる。またハロゲン化炭化水素類としては例
えば、アリルクロライド、塩化アミル、ジクロロメタ
ン、ジクロロエタン等が挙げられる。
【0038】また含硫黄化合物類としては例えば、ジメ
チルスルホキシド、チオランが挙げられる。これらの中
でも特にアルコール類、エーテル類が好ましい。これら
の化合物は単独であるいは複数で存在させることができ
る。
【0039】前記した本発明の第1番目の複合逆浸透膜
の構成によれば、2つ以上の反応性のアミノ基を有する
化合物と、2つ以上の反応性の酸ハライド基を有する多
官能性酸ハロゲン化合物との反応生成物からなるポリア
ミド系スキン層薄膜と、これを支持する微多孔性支持体
とからなる複合逆浸透膜において、前記複合逆浸透膜表
面のポリアミド系スキン層の平均面粗さが55nm以上
であることにより、高塩阻止率と高水透過性を併せ有す
る複合逆浸透膜が実現できる。この理由は、膜の表面粗
さを大きくすることで、実際に塩等を分離するスキン層
の有効面積が増加するため、塩阻止率を維持したままで
水透過性を上げることができるからと考えられる。
【0040】本発明においては、平均面粗さが55nm
以上でなければならない。55nm未満の場合は十分な
透過流束が得られない。好ましくは60nm以上であ
る。また、自乗平均面粗さは65nm以上が好ましい。
65nm未満の場合は十分な透過流束が得られない。さ
らに好ましくは70nm以上である。
【0041】また、10点平均面粗さは300nm以上
が好ましい。300nm未満の場合は十分な透過流束が
得られない。さらに好ましくは305nm以上である。
また、最大高低差が400nm以上が好ましい。400
nm未満の場合は十分な透過流束が得られない。さらに
好ましくは410nm以上である。
【0042】透過流束と複合逆浸透膜の表面粗さについ
て密接な関係があることを見い出し本発明をするに至っ
た。本発明で用いられるアミン成分は、2つ以上の反応
性のアミノ基を有する多官能アミンであれば特に限定さ
れず、芳香族、脂肪族、または脂環式の多官能アミンが
挙げられる。
【0043】かかる芳香族多官能アミンとしては、例え
ば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミ
ン、1,3,5-トリアミノベンゼン、1,2,4-トリアミノベン
ゼン、8,5-ジアミノ安息香酸、2,4-ジアミノトルエン、
2,4-ジアミノアニソール、アミドール、キシリレンジア
ミン等が挙げられる。また脂肪族多官能アミンとして
は、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、
トリス(2−アミノエチル)アミン等が挙げられる。ま
た、脂環式多官能アミンとしては、例えば、1,3-ジアミ
ノシクロヘキサン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,4-
ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン、2,5-ジメチルピ
ペラジン、4-アミノメチルピペラジン等が挙げられる。
これらのアミンは、単独として用いられてもよく、混合
物として用いられてもよい。
【0044】また本発明で用いられる多官能性酸ハロゲ
ン化物は、特に限定されず、芳香族、脂肪族、脂環式等
の多官能性酸ハロゲン化物が挙げられる。かかる芳香族
多官能性酸ハロゲン化物としては、例えば、トリメシン
酸クロライド、テレフタル酸クロライド、イソフタル酸
クロライド、ビフェニルジカルボン酸クロライド、ナフ
タレンジカルボン酸ジクロライド、ベンゼントリスルホ
ン酸クロライド、ベンゼンジスルホン酸クロライド、ク
ロロスルホニルベンゼンジカルボン酸クロライド等が挙
げられる。
【0045】また脂肪族多官能性酸ハロゲン化物として
は、例えば、プロパントリカルボン酸クロライド、ブタ
ントリカルボン酸クロライド、ペンタントリカルボン酸
クロライド、グルタリルハライド、アジポイルハライド
等が挙げられる。
【0046】また脂環式多官能性酸ハロゲン化物として
は、例えば、シクロプロパントリカルボン酸クロライ
ド、シクロブタンテトラカルボン酸クロライド、シクロ
ペンタントリカルボン酸クロライド、シクロペンタンテ
トラカルボン酸クロライド、シクロヘキサントリカルボ
ン酸クロライド、テトラハイドロフランテトラカルボン
酸クロライド、シクロペンタンジカルボン酸クロライ
ド、シクロブタンジカルボン酸クロライド、シクロヘキ
サンジカルボン酸クロライド、テトラハイドロフランジ
カルボン酸クロライド等が挙げられる。
【0047】本発明においては、前記アミン成分と、上
記酸ハライド成分とを、界面重合させることにより、多
孔性支持体上に架橋ポリアミドを主成分とする薄膜が形
成された複合逆浸透膜が得られる。
【0048】本発明において上記薄膜を支持する多孔性
支持体は、薄膜を支持し得る物であれば特に限定され
ず、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンのよ
うなポリアリールエーテルスルホン、ポリイミド、ポリ
フッ化ビニリデンなど種々のものを挙げることができる
が、特に、化学的、機械的、熱的に安定である点から、
ポリスルホン、ポリアリールエーテルスルホンからなる
多孔性支持膜が好ましく用いられる。かかる多孔性支持
体は、通常、約25〜125μm、好ましくは約40〜
75μmの厚みを有するが、必ずしもこれらに限定され
るものではない。
【0049】より詳細には、多孔性支持体上に、前記ア
ミン成分を含有する溶液からなる第1の層を形成し、次
いで前記酸ハライド成分を含有する溶液からなる層を上
記第1の層上に形成し、界面重縮合を行って、架橋ポリ
アミドからなる薄膜を多孔性支持体上に形成させること
によって得ることができる。
【0050】多官能アミンを含有する溶液は、製膜を容
易にし、あるいは得られる複合逆浸透膜の性能を向上さ
せるために、さらに、例えば、ポリビニルアルコール、
ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸等の重合体や、
ソルビトール、グリセリン等のような多価アルコールを
少量含有させることもできる。
【0051】また、透過流束を高める為、多官能アミン
を含有する溶液または/かつ酸ハライド成分を含有する
溶液に、溶解度パラメーターが8〜14(cal/cm3 )
1/2 の化合物を添加することができる。
【0052】また、特開平2−187135号公報に記
載のアミン塩、例えばテトラアルキルアンモニウムハラ
イドやトリアルキルアミンと有機酸とによる塩等も、製
膜を容易にする、アミン溶液の支持体への吸収性を良く
する、縮合反応を促進する等の点で好適に用いられる。
【0053】また、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウ
ム等の界面活性剤を含有させることもできる。これらの
界面活性剤は、多官能アミンを含有する溶液の多孔性支
持体への濡れ性を改善するのに効果がある。
【0054】さらに、上記界面での重縮合反応を促進す
るために、界面反応にて生成するハロゲン化水素を除去
し得る水酸化ナトリウムやリン酸三ナトリウムを用い、
あるいは触媒として、アシル化触媒等を用いることも有
益である。
【0055】上記酸ハライドを含有する溶液及び多官能
アミンを含有する溶液において、酸ハライド及び多官能
アミンの濃度は、特に限定されるものではないが、酸ハ
ライドは、通常0.01〜5重量%、好ましくは0.0
5〜1重量%であり、多官能アミンは、通常0.1〜1
0重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。
【0056】このようにして、多孔性支持体上に多官能
アミンを含有する溶液を被覆し、次いでその上に多官能
酸ハライド化合物を含有する溶液を被覆した後、それぞ
れ余分の溶液を除去し、次いで、通常約20〜150
℃、好ましくは約70〜130℃で、約1〜10分間、
好ましくは約2〜8分間加熱乾燥して、架橋ポリアミド
からなる水透過性の薄膜を形成させる。この薄膜は、そ
の厚さが、通常約0.05〜2μm、好ましくは約0.
10〜1.0μmの範囲にある。
【0057】また本発明の複合逆浸透膜の製造方法にお
いて、特公昭63−36809号公報に記載されている
ように、次亜塩素酸等による塩素処理を行って塩阻止性
能をさらに向上させることもできる。
【0058】次に前記した本発明の第2番目の複合逆浸
透膜によれば、薄膜が2つ以上の反応性のアミノ基を有
する化合物と、2つ以上の反応性の酸ハライド基を有す
る多官能性酸ハロゲン化合物との反応生成物からなる負
荷電荷性架橋ポリアミド系スキン層であり、前記スキン
層の平均面粗さが55nm以上であるとともに、前記ス
キン層の表面を正荷電性基を有する有機重合体の架橋層
で被膜したことにより、低濃度領域での無機塩の脱塩、
及びカチオン系有機物の排除に優れ、しかも高水透過性
を併せ有する複合逆浸透膜を実現できる。すなわち、本
発明者らは、透過流束と、複合逆浸透膜の表面粗さにつ
いて密接な関係があることを見い出し、ベース膜の表面
粗さを規制することにより、正固定荷電層を設けても十
分に高い透過流束が得られることが判り、本発明をする
に至った。前記において、スキン層の表面を正荷電性基
を有する有機重合体の架橋層で被膜したこと以外は第1
番目の発明と同一であるので説明を省略する。本発明に
おいては、負荷電性架橋ポリアミド系スキン層の表面
が、正荷電性基を有する有機重合体の架橋層で被膜され
ていなければならない。被膜されていると、低濃度無機
塩に対しての脱塩や、カチオン系有機物を排除すること
がさらに効果的に発揮できる。
【0059】本発明で用いる複合逆浸透膜とは、負荷電
性架橋ポリアミド系スキン層の表面が、正荷電性基を有
する有機重合体の架橋層で被覆されたものであればよ
く、その有機重合体の構造は特に限定されるものではな
い。
【0060】しかしながら、本発明においては作業性、
加工性などの点から、当該有機重合体自体は溶媒に可溶
であることが望ましく、そのため複合逆浸透膜上に被覆
後に3次元架橋するものが好ましい。このような有機重
合体としては、分子内に正荷電性基と、架橋反応を起こ
す官能基を持つものであり、それ自体は溶媒に可溶なも
のが用いられる。例えば一例として、正荷電性基と共に
分子内に少なくとも2つの水酸基及び/またはアミノ基
を有する重合体(以下重合体Aという)や、正荷電性基
と共に分子内に少なくとも2つの水酸基及び/またはア
ミノ基と2つの保護されたイソシアネート基を有する重
合体(以下重合体Bという)などが挙げられる。
【0061】ここで正荷電性基としては、アンモニウム
基、ホスホニウム基、スルホニウム基などを挙げること
ができる。また、保護されたイソシアネート基とは、ブ
ロック化剤を用いてブロックされたイソシアネート基、
またはアミンイミド基の形で保護されているイソシアネ
ート基をいう。
【0062】イソシアネート基をブロックするためのブ
ロック化剤は、種々のものが知られており、例えば、フ
ェノール、クレゾールなどのフェノール系、メタノー
ル、エタノール、メチルセロソルブなどのアルコール
系、メチルエチルケトオキシム、アセトアルデヒドオキ
シムなどのオキシム系を挙げることができる。
【0063】上記重合体Aとしては、例えばメタクリル
酸ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライ
ドの単独重合体および他の重合体可能なモノマーとの共
重合体、メタクリル酸エチルトリメチルアンモニウムク
ロライドとメタクリル酸ヒドロキシエチルとの共重合
体、4−ビニルピリジンとメタクリル酸ヒドロキシエチ
ルとの共重合体の4級化物などを挙げることができる。
【0064】また、上記重合体Bとしては、例えば2−
メタクリロイルオキシエチレンイソシアネートを適宜の
ブロック化剤でブロックしてなるイソシアネート単量体
とメタクリル酸ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニ
ウムクロライドとの共重合体、上記ブロック化イソシア
ネートと4−ビニルピリジンおよびメタクリル酸ヒドロ
キシエチルとの共重合体の4級化物、1,1−ジメチル
−1−(2−ヒドロキシプロピル)アミンメタクリルイ
ミドのようなアミンイミド基を有するビニル単量体とメ
タクリル酸ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム
クロライドとの共重合体などを挙げることができる。
【0065】上記の重合体AおよびBは、いずれも水や
アルコールに可溶性である。したがって、本発明におい
て架橋重合体層は、例えば次のような種々の方法によっ
て複合逆浸透膜のスキン層の上に形成することができ
る。
【0066】重合体Aを架橋してなる架橋重合体層を形
成するには、重合体Aの水溶液またはアルコール溶液を
複合逆浸透膜に塗布した後、乾燥し、多官能架橋剤とし
てのポリイソシアネート化合物を溶解させた溶液を接触
させ、必要に応じて加熱して、重合体Aを分子間にて架
橋させればよい。
【0067】また別の方法として、重合体Aの水溶液ま
たはアルコール溶液に前記したようなブロック剤にてブ
ロック化した多官能ポリイソシアネート化合物を加え、
得られた溶液を複合逆浸透膜に塗布した後、このブロッ
ク化ポリイソシアネートの解離温度以上の温度に加熱
し、ポリイソシアネート化合物を遊離させ、重合体Aと
架橋反応させてもよい。
【0068】ここで用いるポリイソシアネート化合物
は、特に限定されるものではないが、例えば、トリレン
ジイソシアネートやジフェニルメタンジイソシアネー
ト、それらの多量体、イソホロンジイソシアネート、ヘ
キサメチレンジイソシアネート、トリフェニルメタント
リイソシアネート、トリス(p−イソシアネートフェニ
ル)チオフォスファイト、トリメチロールプロパンとト
リレンジイソシアネートとの付加体、トリメチロールプ
ロパンとキシリレンジイソシアネートとの付加体などを
挙げることができる。
【0069】また、前記重合体Bの架橋重合体層を複合
逆浸透膜上に形成するには、例えば重合体Bの水または
アルコール溶液を複合逆浸透膜上に塗布し、ブロック化
イソシアネートの解離温度以上の温度に加熱し、イソシ
アネート基を遊離させて、分子間及び/または分子内で
架橋させればよい。
【0070】また、前記したイソシアネート基と水酸基
による架橋反応を促進するために、架橋反応に際して、
必要に応じて、3級アミンや有機スズ化合物などの触媒
を用いることもできる。
【0071】また上記のように有機重合体が架橋性の官
能基を持たなくても、複合逆浸透膜上に正荷電を持つ有
機重合体を被覆後電子線を照射したり、あるいは有機重
合体溶液中に過酸化物を混入し、複合逆浸透膜上に被覆
後加熱するなどの方法によって、有機重合体骨格上にラ
ジカルを生じさせ、3次元架橋させることもできる。
【0072】本発明において、このようにして形成され
る架橋重合体層の膜厚は、通常10オングストローム
(1nm)乃至10μmの範囲が好ましい。10オング
ストローム(1nm)よりも薄いときは、得られる複合
逆浸透膜を2段式逆浸透システムに用いても塩の除去性
能がほとんど改善されず、他方、10μmを超えるとき
は、得られる膜の透水性能が著しく低下するので好まし
くない。
【0073】前記正荷電性基を有する有機重合体として
ポリエチレンイミンを用い、グルタルアルデヒドを架橋
剤として用いた場合、下記式(化1)のような反応によ
りポリエチレンイミン架橋層が形成される。
【0074】
【化1】
【0075】前記において使用するポリエチレンイミン
の好ましい平均分子量は、300以上、さらに好ましく
は500以上である。また得られたポリエチレンイミン
架橋層の好ましい厚さは1nm〜10μmの範囲であ
る。
【0076】次に本発明の高透過性複合逆浸透膜を用い
た逆浸透処理方法によれば、負荷電荷性架橋ポリアミド
系スキン層及びそれを支持する微多孔性支持体からなる
高透過性複合逆浸透膜が、多段式逆浸透処理の2段目以
降の処理段階で用いられ、前記負荷電荷性架橋ポリアミ
ド系スキン層は2つ以上の反応性アミノ基を有する化合
物と2つ以上の反応性酸ハライド基を有する多官能酸ハ
ロゲン化合物の反応生成物からなり、前記スキン層の平
均面粗さが55nm以上で、かつそのスキン層の表面を
正固定荷電基を有する有機重合体の架橋層で被膜されて
いる高透過性複合逆浸透膜を用いることにより、低濃度
領域での無機塩の脱塩、及びカチオン系有機物の排除に
優れ、しかも高水透過性を併せ有する逆浸透膜処理が実
現できる。たとえば、半導体製造における超純水造水ラ
インの前段における2段式逆浸透処理(RO)の2段目
の膜として有用である。
【0077】前記処理方法において、前記高透過性複合
逆浸透膜を使用する以前の段階で、2つ以上の反応性の
アミノ基を有する化合物と、2つ以上の反応性の酸ハラ
イド基を有する多官能性酸ハロゲン化合物を界面重縮合
させた負荷電性架橋ポリアミド系スキン層と、これを支
持する微多孔性支持体とからなる複合逆浸透膜を用いて
多段式逆浸透処理を行うという好ましい例によれば、1
段目に高脱塩率の負荷電膜を用い、その透過液を1段目
とはイオン的に異なる正固定荷電基を有する膜を2段目
に用いるため、高い脱塩性能を発現し、高い透過流束を
保って超純水を製造できる。
【0078】また前記処理方法において、前段階で使用
する複合逆浸透膜が、スキン層の平均面粗さが55nm
以上であるという好ましい例によれば、さらに高い脱塩
性能を発現し、高い透過流束を保って超純水を製造でき
る。
【0079】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定さ
れるものではない。
【0080】図1は本発明で使用する多段式逆浸透処理
プロセスの一例である。図1において、1はたとえば井
戸水や工業用水などの原液(原水)の供給ライン、2は
前記原液(原水)をためておく原液槽、3は原液槽2と
第1送液ポンプ4とを連結する送液ライン、5は第1送
液ポンプ4と第1段目の膜モジュール10とを連結する
送液ライン、11は第1段目の膜モジュール10の原液
室、12は同モジュールの透過液室である。原液(原
水)の供給ライン1の前段階では、粗濾過、生物処理な
どの任意の前処理を行ってもよい。第1段目の膜モジュ
ール10の原液室11と透過液室12との間には逆浸透
膜が存在し、第1段目の逆浸透処理が行われる。透過液
室12を出た第1段透過液は送液ライン6に送られ、中
間受けタンクまたは一定量が滞留できるたとえばパイプ
ヘッダーのような滞留手段7でいったん受け、第2送液
ポンプ8を用い、送液ライン9を通過させて、第2段目
の膜モジュール20に送液する。第2段目の膜モジュー
ル20の原液室21と透過液室22との間には本発明の
逆浸透膜が存在し、第2段目の逆浸透処理が行われる。
透過液室22を出た第2段透過液(超純水)は取り出し
ライン13から取り出される。31は第1段目の膜モジ
ュール10の原液室11の出口に設けた調圧バルブ、3
2は第2段目の膜モジュール20の原液室21の出口に
設けた調圧バルブであり、各バルブ31,32により原
液室11,21の操作圧力をそれぞれ調整する。前記多
段式逆浸透処理プロセスにおいては、1段目の膜モジュ
ール10の一例として、2つ以上の反応性のアミノ基を
有する化合物と、2つ以上の反応性の酸ハライド基を有
する多官能性酸ハロゲン化合物を界面重縮合させた負荷
電性架橋ポリアミド系スキン層と、これを支持する微多
孔性支持体とからなる複合逆浸透膜を用いることが好ま
しい。また、2段目の膜モジュール20として、2つ以
上の反応性のアミノ基を有する化合物と、2つ以上の反
応性の酸ハライド基を有する多官能性酸ハロゲン化合物
との反応生成物からなる架橋ポリアミド系スキン層と、
これを支持する微多孔性支持体とからなり、前記スキン
層の平均面粗さが55nm以上で、かつそのスキン層の
表面をたとえばポリエチレンイミン等の正荷電性基を有
する有機重合体の架橋層で被膜した複合逆浸透膜を用い
る。
【0081】なお、下記の実施例中、前記式(数1)で
定義される平均面粗さ(Ra)、前記式(数2)で定義
される自乗平均面粗さ(Rms)、前記式(数3)で定
義される10点平均面粗さ(Rz)、前記式(数4)で
定義される最大高低差(PV)は、原子間力顕微鏡(A
FM)を用いて測定した値を使って算出した。また、平
均面粗さ(Ra)はJIS B0601で定義されてい
る中心線平均粗さRaを、測定面に対して適用できるよ
う三次元に拡張したもので、基準面から指定面までの偏
差の絶対値を平均した値である。ここで測定面とは全測
定データの示す面をいい、指定面とは粗さ計測の対象と
なる面で、測定面のうちクリップで指定した特定の部分
をいい、基準面とは指定面の高さの平均値をZ0 とする
とき、Z=Z0 で表される平面をいう。次に自乗平均面
粗さ(Rms)は、断面曲線に対するRmsを、測定面
に対して適用できるようRaと同様に三次元に拡張した
もので、基準面から指定面までの偏差の自乗を平均した
値の平方根である。次に10点平均面粗さ(Rz)は、
JIS B0601で定義されているRzを三次元に拡
張したもので、指定面における、最高から5番目までの
山頂の標高の平均値と最深から5番目までの谷底の標高
の平均値の差である。次に最大高低差(PV)は、指定
面において、最も高い山頂の標高Zmax と最も低い谷底
の標高Zminの差である。なお、以上の測定方法そのも
のは良く知られた方法である。
【0082】(実施例1)m−フェニレンジアミンを
2.0重量%、ラウリル硫酸ナトリウムを0.15重量
%、トリエチルアミンを2.0重量%、カンファースル
ホン酸を4.0重量%、イソプロピルアルコール20重
量%を含有した水溶液を、多孔性ポリスルホン支持膜に
接触させて、余分の溶液を除去して支持膜上に上記溶液
の層を形成した。
【0083】次いで、かかる支持膜の表面に、トリメシ
ン酸クロライドを0.15重量%含むヘキサン溶液を接
触させ、その後120℃の熱風乾燥機の中で3分間保持
して、支持膜上に重合体薄膜を形成させ、複合逆浸透膜
を得た。
【0084】得られた複合逆浸透膜を水洗し、乾燥後、
AFMにて複合逆浸透膜表面のポリアミド系スキン層の
表面粗さを測定したところ、前記式(数1)で定義され
る平均面粗さ(Ra)は87.1nm、前記式(数2)
で定義される自乗平均面粗さ(Rms)は105nm、
前記式(数3)で定義される10点平均面粗さ(Rz)
は433nm、前記式(数4)で定義される最大高低差
(PV)は555nmであった。
【0085】また、得られた複合逆浸透膜の性能は、1
500ppmの塩化ナトリウムを含むpH6.5の食塩
水を、15kgf/cm2 の圧力で評価したところ、透
過液電導度による塩阻止率は99.7%、透過流束は
1.7m3 /(m2 ・日)であった。
【0086】(実施例2〜4、比較例1〜2)実施例1
において、イソプロピルアルコールの濃度を変える以外
は、実施例1と同様にして複合逆浸透膜を得た。その結
果を表1に示す。
【0087】
【表1】
【0088】(実施例5)m−フェニレンジアミン
3.0重量%、ラウリル硫酸ナトリウム 0.15重量
%、トリエチルアミン 3.0重量%、カンファースル
ホン酸 6.0重量%、イソプロピルアルコール 10
重量%を含有した水溶液を、微多孔性ポリスルホン支持
膜に接触させて、余分の溶液Aを除去して支持膜上に上
記溶液の層を形成した。
【0089】次いで、かかる支持膜の表面に、トリメシ
ン酸クロライド 0.20重量%を含むヘキサン溶液を
接触させ、その後120℃の熱風乾燥機の中で3分間保
持して、支持膜上に重合体薄膜を形成させ、複合逆浸透
膜を得た。
【0090】得られた複合逆浸透膜の一部を水洗し、乾
燥後、AFMにて複合逆浸透膜表面のポリアミド系スキ
ン層の表面粗さを測定したところ、Raは76.8n
m、Rmsは93nm、Rzは324nm、PVは55
5nmであった。これは溶液Aにイソプロピルアルコー
ルを添加したことにより、界面重縮合反応の際に逆浸透
膜の表面形状が変化したものである。イソプロピルアル
コール以外であっても溶解度パラメーターが8〜14
(cal/cm3 )1/2 の化合物を界面重縮合反応の際に存在
させると、同様に逆浸透膜の表面形状が変化することを
本発明者らは確認している。
【0091】次にポリエチレンイミン1重量%を供給純
水中に添加し、逆浸透処理した後、系内を水洗し、供給
純水中にグリタルアルデヒドを1重量%を添加し、処理
を行いポリエチレンイミンを架橋させて、正固定荷電性
を有する複合逆浸透膜を得た(複合逆浸透膜A)。
【0092】次にm−フェニレンジアミン 2.0重量
%、ラウリル硫酸ナトリウム 0.25重量%、トリエ
チルアミン 2.0重量%、カンファースルホン酸
4.0重量%を含有した水溶液を、微多孔性ポリスルホ
ン支持膜に数秒間接触させて、余分の溶液を除去して支
持膜上に上記溶液の層を形成した。
【0093】次いで、かかる支持膜の表面に、トリメシ
ン酸クロライド 0.10重量%、イソフタル酸クロラ
イド 0.15重量%を含むヘキサン溶液を接触させ、
その後120℃の熱風乾燥機の中で3分間保持して、支
持膜上に重合体薄膜を形成させ、複合逆浸透膜を得た
(複合逆浸透膜B)。得られた複合逆浸透膜Bの表面粗
さは、Raは51nm、Rmsは62nm、Rzは29
6nm、PVは345nmであり、これは従来の逆浸透
膜と同等の表面形状のものであった。
【0094】次に図1に示したプロセスを用いて、1段
目に複合逆浸透膜Bを用い、2段目に複合逆浸透膜Aを
用い、電導度100μs/cm,pH6.5の井戸水を
原液として、30kgf/cm2 の操作圧力で複合逆浸
透膜Bを透過した液を供給液とし、操作圧力15kgf
/cm2 で複合逆浸透膜Aの膜性能を測定したところ、
比抵抗値は9.9MΩ・cm、透過流束は1.3m3
(m2 ・日)であった。また、その状態のまま、100
0時間内の連続通水テストを行ったところ、1000時
間目での比抵抗値は9.9MΩ・cm、透過流束は1.
4m3 /(m2・日)と性能低下は認められなかった。
【0095】(比較例3)複合逆浸透膜B(従来の逆浸
透膜と同等の表面形状のもの)をベースとして、実施例
5と同様に正荷電性を有する複合逆浸透膜Cを得た。実
施例5と同様、複合逆浸透膜Bを前段とし複合逆浸透膜
Cを後段として使用したところ、その膜性能は、比抵抗
値は9.0MΩ・cm、透過流束は0.7m3 /(m2
・日)であった。実施例5に比較して透過流束は低いと
ともに、比抵抗値も低かった。
【0096】(比較例4)実施例5において、グリタル
アルデヒドで処理しなかった以外は実施例5と同様にし
て膜性能を測定したところ、比抵抗値は9.8MΩ・c
m、透過流束は1.3m3 /(m2 ・日)であった。ま
た、1000時間目での比抵抗は5.2MΩ・cm、透
過流束は1.5m3 /(m2 ・日)と性能が低下した。
【0097】以上の様に、本発明で得られた複合逆浸透
膜は、多段式逆浸透膜システムなどでの低濃度領域での
無機塩の脱塩及びカチオン系有機物の排除に優れ、かつ
高透過性及び耐久性を併せ有していることが確認でき
た。
【0098】(参考例1)メチルエチルケトキシム29
gをベンゼン50gに溶解し、この溶液に25℃の温度
で2−メタクロイルオキシエチレンイソシアネート5
1.6gを約40分を要して滴下し、さらに45℃で2
時間攪拌した。得られた反応生成物をプロトンNMRに
て分析して、2−メタクロイルオキシエチレンイソシア
ネートにほぼ定量的にメチルエチルケトキシムが付加し
ているブロック化物であることを確認した。
【0099】(参考例2)メタクリル酸ヒドロキシプロ
ピルトリメチルアンモニウムクロライド16gと参考例
1で得たブロック化イソシアネート化合物8gとをメタ
ノール60gに溶解させ、これにアゾビスイソブチロニ
トリル0.4gを加え、窒素ガス雰囲気下に60℃で6
時間攪拌して、4級アンモニウム基を有する共重合体を
得た。
【0100】(実施例6)m−フェニレンジアミン
3.0重量%、ラウリル硫酸ナトリウム 0.15重量
%、トリエチルアミン 3.0重量%、カンファースル
ホン酸 6.0重量%、イソプロピルアルコール 10
重量%を含有した水溶液を溶液Aとして、微多孔性ポリ
スルホン支持膜に接触させて、余分の溶液Aを除去して
支持膜上に上記溶液Aの層を形成した。
【0101】次いで、かかる支持膜の表面に、トリメシ
ン酸クロライド 0.20重量%を含むヘキサン溶液を
溶液Bとして調整し、溶液Aと接触させ、その後120
℃の熱風乾燥機の中で3分間保持して、支持膜上に重合
体薄膜を形成させ、複合逆浸透膜を得た。
【0102】得られた複合逆浸透膜の一部を水洗し、乾
燥後、AFMにて複合逆浸透膜表面のポリアミド系スキ
ン層の表面粗さを測定したところ、Raは76.8n
m、Rmsは93nm、Rzは324nm、PVは55
5nmであった。これは溶液Aにイソプロピルアルコー
ルを添加したことにより、界面重縮合反応の際に逆浸透
膜の表面形状が変化したものである。イソプロピルアル
コール以外であっても溶解度パラメーターが8〜14
(cal/cm3 )1/2 の化合物を界面重縮合反応の際に存在
させると、同様に逆浸透膜の表面形状が変化することを
本発明者らは確認している。
【0103】参考例2で得た共重合体1gを水に溶解さ
せ、1重量%水溶液を作製した。これに架橋触媒として
1,4−アザビシクロ(2,2,2)オクタン0.00
5gを加えた。このようにして得られた溶液を、上記の
複合逆浸透膜上に塗布し、150℃で10分間加熱し、
共重合体を架橋させて正荷電性を有する複合逆浸透膜を
得た(複合逆浸透膜C)。
【0104】次にm−フェニレンジアミン 2.0重量
%、ラウリル硫酸ナトリウム 0.25重量%、トリエ
チルアミン 2.0重量%、カンファースルホン酸
4.0重量%を含有した水溶液を溶液Aとして、微多孔
性ポリスルホン支持膜に数秒間接触させて、余分の溶液
Aを除去して支持膜上に上記溶液Aの層を形成した。
【0105】次いで、かかる支持膜の表面に、トリメシ
ン酸クロライド 0.10重量%、イソフタル酸クロラ
イド 0.15重量%を含むヘキサン溶液を溶液Bとし
て調整し、溶液Aと接触させ、その後120℃の熱風乾
燥機の中で3分間保持して、支持膜上に重合体薄膜を形
成させ、複合逆浸透膜を得た(複合逆浸透膜D)。得ら
れた複合逆浸透膜Dの表面粗さは、Raは51nm、R
msは62nm、Rzは296nm、PVは345nm
であり、これは従来の逆浸透膜と同等の表面形状のもの
であった。
【0106】次に図1に示したプロセスを用いて、1段
目に複合逆浸透膜Dを用い、2段目に複合逆浸透膜Cを
用い、電導度100μs/cm,pH6.5の井戸水を
原液として、30kgf/cm2 の操作圧力で複合逆浸
透膜Dを透過した液を供給液とし、操作圧力15kgf
/cm2 で複合逆浸透膜Cの膜性能を測定したところ、
比抵抗値は9.4MΩ・cm、透過流束は1.6m3
(m2 ・日)であった。
【0107】(比較例5)複合逆浸透膜D(従来の逆浸
透膜と同等の表面形状のもの)をベースとして、実施例
6と同様に正荷電性を有する複合逆浸透膜Eを得た。実
施例5と同様、複合逆浸透膜Dを前段とし複合逆浸透膜
Eを後段として使用したところ、その膜性能は、比抵抗
値は7.7MΩ・cm、透過流束は0.9m3 /(m2
・日)であった。実施例1に比較して透過流束は低いと
ともに、比抵抗値も低かった。
【0108】以上の様に、本発明で得られた複合逆浸透
膜は、多段式逆浸透膜システムなどでの低濃度領域での
無機塩の脱塩及びカチオン系有機物の排除に優れ、かつ
高透過性を併せ有していることが確認できた。
【0109】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の第1番目の
複合逆浸透膜は、高塩阻止率と高透過性を併せ有し、比
較的低圧で実用性のある脱塩を可能にする複合逆浸透膜
を提供し、例えば、かん水、海水等の脱塩による淡水化
や、半導体の製造に必要とされる超純水の製造や排水の
汚物源、有効物質の除去回収や食品用途等での有効成分
の濃縮等に好適に用いることができる。
【0110】また本発明の第2番目の複合逆浸透膜によ
れば、薄膜が2つ以上の反応性のアミノ基を有する化合
物と、2つ以上の反応性の酸ハライド基を有する多官能
性酸ハロゲン化合物との反応生成物からなる負荷電荷性
架橋ポリアミド系スキン層であり、前記スキン層の平均
面粗さが55nm以上であるとともに、前記スキン層の
表面を正荷電性基を有する有機重合体の架橋層で被膜し
たことにより、低濃度領域での無機塩の脱塩、及びカチ
オン系有機物の排除に優れ、しかも高水透過性を併せ有
する複合逆浸透膜を提供できる。
【0111】また、本発明の製造方法によれば、前記の
複合逆浸透膜を効率よく合理的に製造できる。また本発
明の高透過性複合逆浸透膜を用いた逆浸透処理方法によ
れば、負荷電荷性架橋ポリアミド系スキン層及びそれを
支持する微多孔性支持体からなる高透過性複合逆浸透膜
が、多段式逆浸透処理の2段目以降の処理段階で用いら
れ、前記負荷電荷性架橋ポリアミド系スキン層は2つ以
上の反応性アミノ基を有する化合物と2つ以上の反応性
酸ハライド基を有する多官能酸ハロゲン化合物の反応生
成物からなり、前記スキン層の平均面粗さが55nm以
上で、かつそのスキン層の表面を正固定荷電基を有する
有機重合体の架橋層で被膜されている高透過性複合逆浸
透膜を用いることにより、低濃度領域での無機塩の脱
塩、及びカチオン系有機物の排除に優れ、しかも高水透
過性を併せ有する逆浸透膜処理が実現できる。たとえ
ば、半導体製造における超純水造水ラインの前段におけ
る2段式逆浸透処理(RO)の2段目の膜として有用で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する多段式逆浸透処理プロセスの
一例である。
【符号の説明】
1 原液(原水)供給ライン 2 原液槽 3,5,6,9 送液ライン 4 第1送液ポンプ 7 滞留手段 8 第2送液ポンプ 10 第1段目の膜モジュール 11 第1段目の膜モジュールの原液室 12 第1段目のモジュールの透過液室 13 超純水取り出しライン 20 第1段目の膜モジュール 21 第2段目のモジュールの原液室 22 第2段目のモジュールの透過液室 31,32 調圧バルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平7−181186 (32)優先日 平成7年7月18日(1995.7.18) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 田中 和男 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日 東電工株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−271820(JP,A) 特開 平4−341332(JP,A) 特開 平5−92128(JP,A) 特開 平4−267936(JP,A) 特開 平4−225823(JP,A) 特開 昭62−180709(JP,A) 特表 平4−504076(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 61/02,61/58,69/12 B01D 71/56,71/82

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2つ以上の反応性のアミノ基を有する化
    合物と、2つ以上の反応性の酸ハライド基を有する多官
    能性酸ハロゲン化合物との反応生成物からなるポリアミ
    ド系スキン層薄膜と、これを支持する微多孔性支持体と
    からなる複合逆浸透膜において、前記複合逆浸透膜表面
    のポリアミド系スキン層の平均面粗さが55nm以上で
    あることを特徴とする高透過性複合逆浸透膜。
  2. 【請求項2】 複合逆浸透膜表面のポリアミド系スキン
    層の自乗平均面粗さが65nm以上である請求項1に記
    載の高透過性複合逆浸透膜。
  3. 【請求項3】 複合逆浸透膜表面のポリアミド系スキン
    層の10点平均面粗さが300nm以上である請求項1
    に記載の高透過性複合逆浸透膜。
  4. 【請求項4】 複合逆浸透膜表面のポリアミド系スキン
    層の最大高低差が400nm以上である請求項1に記載
    の高透過性複合逆浸透膜。
  5. 【請求項5】 複合逆浸透膜表面のポリアミド系スキン
    層の表面を、さらに正荷電性基を有する有機重合体の架
    橋層で被膜した請求項1に記載の高透過性複合逆浸透
    膜。
  6. 【請求項6】 複合逆浸透膜表面のポリアミド系スキン
    層の自乗平均面粗さが65nm以上である請求項5に記
    載の高透過性複合逆浸透膜。
  7. 【請求項7】 複合逆浸透膜表面のポリアミド系スキン
    層の10点平均面粗さが300nm以上である請求項5
    に記載の高透過性複合逆浸透膜。
  8. 【請求項8】 複合逆浸透膜表面のポリアミド系スキン
    層の最大高低差が400nm以上である請求項5記載の
    高透過性複合逆浸透膜。
  9. 【請求項9】 正荷電性基を有する有機重合体の架橋層
    が、ポリエチレンイミンを架橋した有機重合体である請
    求項5記載の高透過性複合逆浸透膜。
  10. 【請求項10】 正荷電性基を有する有機重合体の架橋
    層が、4級アンモニウム基および水酸基を有する重合体
    を、分子内及び分子間から選ばれる少なくとも一つで架
    橋した有機重合体である請求項5に記載の高透過性複合
    逆浸透膜。
  11. 【請求項11】 正荷電性基を有する有機重合体の架橋
    層の厚さが1nm以上10μm以下の範囲である請求項
    5に記載の高透過性複合逆浸透膜。
  12. 【請求項12】 微多孔性支持体上に、2つ以上の反応
    性のアミノ基を有する化合物を有する溶液Aを被覆する
    工程、及び多官能性酸ハロゲン化物を含む溶液Bを上記
    溶液A層と接触させる工程を含む手段により、負荷電性
    架橋ポリアミド系スキン層を形成させ、かつそのスキン
    層の表面が、正固定荷電基を有する有機重合体の架橋層
    で被膜されている複合逆浸透膜を製造する方法であっ
    て、前記溶液A、溶液B及び微多孔性支持体から選ばれ
    る少なくとも一つに、エタノール、プロパノール、ブタノール、ブチルアルコ
    ール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、t−アミ
    ルアルコール、イソアミルアルコール、イソブチルアル
    コール、イソプロピルアルコール、2−エチルブタノー
    ル、2−エチルヘキサノール、オクタノール、テトラヒ
    ドロフルフリルアルコール、t−ブタノール、ベンジル
    アルコール、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチ
    ル−2−ブタノール、ペンチルアルコール及びアリルア
    ルコールから選ばれるアルコール化合物群、 アニソール、エチルイソアミルエーテル、エチル−t−
    ブチルエーテル、エチルベンジルエーテル、クラウンエ
    ーテル、クレジルメチルエーテル、ジイソアミルエーテ
    ル、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジオ
    キサン、ジグリシジルエーテル、シネオール、ジフェニ
    ルエーテル、ジブチルエーテル、ジプロピルエーテル、
    ジベンジルエーテル、ジメチルエーテル、テトラヒドロ
    ピラン、テトラヒドロフラン、トリオキサン、ジクロロ
    エチルエーテル、ブチルフェニルエーテル、フラン、メ
    チル−t−ブチルエーテル、モノジクロロジエチルエー
    テル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレン
    グリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブ
    チルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテ
    ル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレン
    グリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール
    ジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエー
    テル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチ
    レングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコ
    ールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブ
    チルエーテル及びジエチレンクロロヒドリンから選ばれ
    るエーテル化合物群、 エチルブチイルケトン、ジアセトンアルコール、ジイソ
    ブチルケトン、シクロ ヘキサノン、2−ヘプタノン、メ
    チルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルシ
    クロヘキサンから選ばれるエーテル化合物群、 ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、
    ギ酸イソブチル、ギ酸イソアミル、酢酸メチル、酢酸エ
    チル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル及び
    酢酸アミルから選ばれるエステル化合物群、 アリルクロライド、塩化アミル、ジクロロメタン及びジ
    クロロエタンから選ばれるハロゲン化炭化水素化合物
    群、 ジメチルスルホキシド及びチオランから選ばれる含硫黄
    化合物群から選ばれる少なくとも一つの 溶解度パラメー
    ターが8〜14(cal/cm3 )1/2の化合物を存在させる
    ことを特徴とする高透過性複合逆浸透膜の製造方法。
  13. 【請求項13】 溶解度パラメーターが8〜14(cal
    /cm3 )1/2 の化合物がアルコール化合物群である請求
    項12に記載の高透過性複合逆浸透膜の製造方法。
  14. 【請求項14】 溶解度パラメーターが8〜14(cal
    /cm3 )1/2 の化合物がエーテル化合物群である請求項
    12に記載の高透過性複合逆浸透膜の製造方法。
  15. 【請求項15】 正固定荷電基を有する有機重合体の架
    橋層が、4級アンモニウム基および水酸基を有する重合
    体を、分子内及び分子間から選ばれる少なくとも一つで
    架橋した有機重合体である請求項12記載の高透過性複
    合逆浸透膜の製造方法。
  16. 【請求項16】 複数の逆浸透膜を用いて液体を逆浸透
    処理する方法であって、負荷電荷性架橋ポリアミド系ス
    キン層及びそれを支持する微多孔性支持体からなる高透
    過性複合逆浸透膜が、多段式逆浸透処理の2段目以降の
    処理段階で用いられ、前記負荷電荷性架橋ポリアミド系
    スキン層は2つ以上の反応性アミノ基を有する化合物と
    2つ以上の反応性酸ハライド基を有する多官能酸ハロゲ
    ン化合物の反応生成物からなり、前記スキン層の平均面
    粗さが55nm以上で、かつそのスキン層の表面を正固
    定荷電基を有する有機重合体の架橋層で被膜されている
    高透過性複合逆浸透膜を用いることを特徴とする逆浸透
    処理方法。
  17. 【請求項17】 高透過性複合逆浸透膜での逆浸透処理
    に先立つ処理が、2つ以上の反応性のアミノ基を有する
    化合物と、2つ以上の反応性の酸ハライド基を有する多
    官能性酸ハロゲン化合物との反応生成物からなる負荷電
    性架橋ポリアミド系スキン層と、これを支持する微多孔
    性支持体とからなる複合逆浸透膜を用いた処理である請
    求項16に記載の逆浸透処理方法。
  18. 【請求項18】 高透過性複合逆浸透膜での処理に先立
    つ処理で用いられる逆浸透性膜のスキン層の平均面粗さ
    が55nm以上である請求項16に記載の逆浸透処理方
    法。
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