JPH0938469A - 高透過性複合逆浸透膜 - Google Patents

高透過性複合逆浸透膜

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JPH0938469A
JPH0938469A JP19744895A JP19744895A JPH0938469A JP H0938469 A JPH0938469 A JP H0938469A JP 19744895 A JP19744895 A JP 19744895A JP 19744895 A JP19744895 A JP 19744895A JP H0938469 A JPH0938469 A JP H0938469A
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reverse osmosis
composite reverse
osmosis membrane
membrane
organic polymer
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JP19744895A
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Masahiko Hirose
雅彦 廣瀬
Hiroyoshi Ito
弘喜 伊藤
Kazuo Tanaka
和男 田中
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ポリアミド系スキン層の表面を4級アンモニウ
ム塩で処理するかまたはポリエチレンイミン架橋膜を形
成して正荷電性基を有する有機重合体の架橋層で被膜し
たことにより、低濃度領域での無機塩の脱塩及びカチオ
ン系有機物の排除に優れ、高水透過性を有する複合逆浸
透膜を提供する。 【解決手段】原液槽2から、第1送液ポンプ4を用いて
第1段目の膜モジュール10に原液を送液して第1段逆
浸透処理し、次いで第2段目の膜モジュール20で逆浸
透処理する際に、ポリアミド系スキン層の表面を正荷電
性基を有するたとえばポリエチレンイミンの架橋層で被
膜した複合逆浸透膜を用いる。膜モジュール10として
は負荷電性架橋ポリアミド系スキン層の膜を用い、膜モ
ジュール20として負荷電性架橋ポリアミド系スキン層
の膜を用いると、超純水取り出しライン13から高品位
の超純水を効率良く取り出せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は各種液体混合物を選
択分離するための複合逆浸透膜に関する。さらに詳しく
は、たとえば半導体製造に使用される超純水の造水ライ
ンにおいて、低濃度無機塩に対しての脱塩や、カチオン
系有機物を排除するための複合半透膜に関するものであ
り、エネルギー的に有利な低圧操作下で、より高純度な
水を得たり、廃水回収したりすることができる複合逆浸
透膜に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、活性層とこれを支持する支持層を
異種素材から製造してなる複合半透膜が種々提案されて
おり、従来の非対称膜に比べて選択分離性や透過性の面
で優れた性能を有しているため、多くの分野で使用され
ている。
【0003】しかしながらこれら複合半透膜の活性層
は、その生成のし易さから架橋ポリアミドからなるもの
が主流であり、これは負の固定荷電基を有しているた
め、低濃度領域における無機塩の脱塩に関し、高pH域
においてアニオンの排除率は高いがカチオンのそれは低
いため、全体としての排除率が低下してしまうという問
題があった。かかる問題を解決するために、活性層表面
に正の固定荷電基を有する有機重合体を被覆してなる複
合半透膜が提案されているが(特開昭62−26610
3号公報)、かかる複合半透膜は、その製造方法からし
て吸着機構を主にしていることにより、繰り返しの使用
に際し、ある程度の脱落を伴い、所望の性能が低下する
場合があるという点で不十分があった。
【0004】特に最近開発されてきた技術で、半導体製
造における超純粋造水ラインの前段における2段式逆浸
透膜(RO)の2段目の膜としては満足のいくものでは
ない。即ち、1段目に高脱塩率の負荷電膜を用い、その
透過液を2段目に供給するため、同じ性質の膜では、十
分に脱塩性能を発現しないことが判明した。
【0005】また、正固定荷電基を有する有機重合体の
架橋層で被膜された複合逆浸透膜も提案されているが
(特開平4−200621号公報、特開平5−3092
37号公報)、2段目の膜として用いるには、経済的に
低圧で用いることが望まれており、その点では透過流束
が不足している。従って更に透過流束の高い膜が望まれ
ている。
【0006】本発明は、前記従来の問題を解決するた
め、高pH域における低濃度領域で無機塩の脱塩、及び
カチオン系有機物の排除に優れ、しかも高透過流束を伴
せ有する複合透過膜を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の高透過性複合逆浸透膜は、薄膜とこれを支
持する微多孔性支持体とからなる複合逆浸透膜であっ
て、前記薄膜は、アミン成分が2,6−ジアミノトルエ
ンまたは2,6−ジアミノトルエンと他のアミン化合物
単量体を含むアミン成分と、前記単量体のアミノ基と反
応しうる酸ハライド基を2つ以上有する多官能性酸ハロ
ゲン化合物からなる負荷電性架橋ポリアミド系スキン層
であり、かつそのスキン層の表面を、正固定荷電基を有
する有機重合体の架橋層で被膜したことを特徴とする。
【0008】前記複合逆浸透膜においては、正固定電荷
基を有する有機重合体の架橋層が、4級アンモニウム基
および水酸基を有する重合体を、分子内または/及び分
子間で架橋した有機重合体であることが好ましい。
【0009】また前記複合逆浸透膜においては、正固定
電荷基を有する有機重合体の架橋層が、ポリエチレンイ
ミンを架橋した有機重合体であることが好ましい。また
前記複合逆浸透膜においては、正固定電荷基を有する有
機重合体の架橋層の膜厚が、10オングストローム(1
nm)以上10μm以下の範囲であることが好ましい。
【0010】本発明のベースとなる負荷電性架橋ポリア
ミド系スキン層形成に用いられるアミン成分は、2,6
−ジアミノトルエンが含まれていなければならないが、
他のアミン化合物単量体を含むことができる。かかるア
ミン化合物単量体としては、2つ以上の反応性のアミノ
基を有する多官能アミンであれば特に限定されず、芳香
族、脂肪族、または脂環式の多官能アミンが挙げられ
る。
【0011】かかる芳香族多官能アミンとしては、例え
ば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミ
ン、1,2,3-トリアミノベンゼン、1,2,4,-トリアミノベ
ンゼン、1,5-ジアミノ安息香酸、2,4-ジアミノトルエ
ン、2,4-ジアミノアニソール、アミドール、キシリレン
ジアミン等が挙げられる。また脂肪族多官能アミンとし
ては、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、
トリス(2−アミノエチル)アミン等が挙げられる。ま
た、脂環式多官能アミンとしては、例えば、1,3-ジアミ
ノシクロヘキサン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,4-
ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン、2,5-ジメチルピ
ペラジン、4-アミノメチルピペラジン等が挙げられる。
【0012】また本発明で用いられる多官能性酸ハロゲ
ン化物は、特に限定されず、芳香族、脂肪族、脂環式等
の多官能性酸ハロゲン化物が挙げられる。かかる芳香族
多官能性酸ハロゲン化物としては、例えば、トリメシン
酸クロライド、テレフタル酸クロライド、イソフタル酸
クロライド、ビフェニルジカルボン酸クロライド、ナフ
タレンジカルボン酸ジクロライド、ベンゼントリスルホ
ン酸クロライド、ベンゼンジスルホン酸クロライド、ク
ロロスルホニルベンゼンジカルボン酸クロライド等が挙
げられる。
【0013】また脂肪族多官能性酸ハロゲン化物として
は、例えば、プロパントリカルボン酸クロライド、ブタ
ントリカルボン酸クロライド、ペンタントリカルボン酸
クロライド、グルタリルハライド、アジポイルハライド
等が挙げられる。
【0014】また脂環式多官能性酸ハロゲン化物として
は、例えば、シクロプロパントリカルボン酸クロライ
ド、シクロブタンテトラカルボン酸クロライド、シクロ
ペンタントリカルボン酸クロライド、シクロペンタンテ
トラカルボン酸クロライド、シクロヘキサントリカルボ
ン酸クロライド、テトラハイドロフランテトラカルボン
酸クロライド、シクロペンタンジカルボン酸クロライ
ド、シクロブタンジカルボン酸クロライド、シクロヘキ
サンジカルボン酸クロライド、テトラハイドロフランジ
カルボン酸クロライド等が挙げられる。
【0015】本発明においては、前記2つ以上の反応性
のアミノ基を有する化合物成分と、上記酸ハライド成分
とを、界面重合反応させることにより、微多孔性支持体
上に架橋ポリアミドを主成分とする薄膜が形成された複
合逆浸透膜が得られる。
【0016】本発明において上記薄膜を支持する微多孔
性支持体は、薄膜を支持し得る物であれば特に限定され
ず、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンのよ
うなポリアリールエーテルスルホン、ポリイミド、ポリ
フッ化ビニリデンなど種々のものを挙げることができ
る。特に化学的、機械的、熱的に安定である点から、ポ
リスルホン、ポリアリールエーテルスルホンからなる微
多孔性支持膜が好ましく用いられる。かかる微多孔性支
持体は、通常、表面に孔径1〜50mmの微孔を有し、
約25〜125μm、好ましくは約40〜75μmの厚
みを有するが、必ずしもこれらに限定されるものではな
い。より詳細には、微多孔性支持体上に、前記アミン成
分を含有する溶液からなる第1の層を形成し、次いで前
記酸ハライド成分を含有する溶液からなる層を上記第1
の層上に形成し、界面重縮合を行って、架橋ポリアミド
からなる薄膜を微多孔性支持体上に形成させることによ
って得ることができる。
【0017】多官能アミンを含有する溶液は、製膜を容
易にし、または得られる複合逆浸透膜の性能を向上させ
るために、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピ
ロリドン、ポリアクリル酸等の重合体や、ソルビトー
ル、グリセリン等のような多価アルコールを少量含有さ
せることもできる。
【0018】また、透過流束を高める為、多官能アミン
を含有する溶液及び/または酸ハライド成分を含有する
溶液に、溶解度パラメーターが8〜14(cal/cm3 )
1/2 の化合物を添加することができる。
【0019】また、特開平2−187135号公報に記
載のアミン塩、例えばテトラアルキルアンモニウムハラ
イドやトリアルキルアミンと有機酸とによる塩等も、製
膜を容易にする、アミン溶液の支持体への吸収性を良く
する、縮合反応を促進する等の点で好適に用いられる。
【0020】また、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウ
ム等の界面活性剤を含有させることもできる。これらの
界面活性剤は、多官能アミンを含有する溶液の微多孔性
支持体への濡れ性を改善するのに効果がある。
【0021】さらに、上記界面での重縮合反応を促進す
るために、界面反応にて生成するハロゲン化水素を除去
し得る水酸化ナトリウムやリン酸三ナトリウムを用い、
あるいは触媒として、アシル化触媒等を用いることもで
きる。
【0022】上記酸ハライドを含有する溶液及び多官能
アミンを含有する溶液において、酸ハライド及び多官能
アミンの濃度は、特に限定されるものではないが、酸ハ
ライドは、通常0.01〜5重量%、好ましくは0.0
5〜1重量%であり、多官能アミンは、通常0.1〜1
0重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。
【0023】このようにして、微多孔性支持体上に多官
能アミンを含有する溶液を被覆し、次いでその上に多官
能酸ハライド化合物を含有する溶液を被覆した後、それ
ぞれ余分の溶液を除去し、次いで、通常約20〜150
℃、好ましくは約70〜130℃で、約1〜10分間、
好ましくは約2〜8分間加熱乾燥して、架橋ポリアミド
からなる水透過性の薄膜(スキン層)を形成させる。こ
の薄膜(スキン層)は、その厚さが通常約0.05〜1
μm、好ましくは約0.15〜0.5μmの範囲にあ
る。
【0024】本発明においては、負荷電性架橋ポリアミ
ド系スキン層の表面が、正固定荷電基を有する有機重合
体の架橋層で被膜されていなければならない。被膜され
ていないと、低濃度無機塩に対しての脱塩や、カチオン
系有機物を排除することが十分にできない。
【0025】本発明で用いる複合逆浸透膜とは、負荷電
性架橋ポリアミド系スキン層の表面が、正固定荷電基を
有する有機重合体の架橋層で被覆されたものであればよ
く、その有機重合体の構造は特に限定されるものではな
い。
【0026】しかしながら、本発明においては作業性、
加工性などの点から、当該有機重合体自体は溶媒に可溶
であることが望ましく、そのため複合逆浸透膜上に被覆
後に3次元架橋するものが好ましい。このような有機重
合体としては、分子内に正荷電性基と、架橋反応を起こ
す官能基を持つものであり、それ自体は溶媒に可溶なも
のが用いられる。例えば一例として、正荷電性基と共に
分子内に少なくとも2つの水酸基及び/またはアミノ基
を有する重合体(以下重合体Aという)や、正荷電性基
と共に分子内に少なくとも2つの水酸基及び/またはア
ミノ基と2つの保護されたイソシアネート基を有する重
合体(以下重合体Bという)などが挙げられる。
【0027】ここで正荷電性基としては、アンモニウム
基、ホスホニウム基、スルホニウム基などを挙げること
ができる。また、保護されたイソシアネート基とは、ブ
ロック化剤を用いてブロックされたイソシアネート基、
またはアミンイミド基の形で保護されているイソシアネ
ート基をいう。
【0028】イソシアネート基をブロックするためのブ
ロック化剤は、種々のものが知られており、例えば、フ
ェノール、クレゾールなどのフェノール系、メタノー
ル、エタノール、メチルセロソルブなどのアルコール
系、メチルエチルケトオキシム、アセトアルデヒドオキ
シムなどのオキシム系を挙げることができる。
【0029】上記重合体Aとしては、例えばメタクリル
酸ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライ
ドの単独重合体および他の重合体可能なモノマーとの共
重合体、メタクリル酸エチルトリメチルアンモニウムク
ロライドとメタクリル酸ヒドロキシエチルとの共重合
体、4−ビニルピリジンとメタクリル酸ヒドロキシエチ
ルとの共重合体の4級化物などを挙げることができる。
【0030】また、上記重合体Bとしては、例えば2−
メタクリロイルオキシエチレンイソシアネートを適宜の
ブロック化剤でブロックしてなるイソシアネート単量体
とメタクリル酸ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニ
ウムクロライドとの共重合体、上記ブロック化イソシア
ネートと4−ビニルピリジンおよびメタクリル酸ヒドロ
キシエチルとの共重合体の4級化物、1,1−ジメチル
−1−(2−ヒドロキシプロピル)アミンメタクリルイ
ミドのようなアミンイミド基を有するビニル単量体とメ
タクリル酸ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム
クロライドとの共重合体などを挙げることができる。
【0031】上記の重合体AおよびBは、いずれも水や
アルコールに可溶性である。したがって、本発明におい
て架橋重合体層は、例えば次のような種々の方法によっ
て複合逆浸透膜のスキン層の上に形成することができ
る。
【0032】重合体Aを架橋してなる架橋重合体層を形
成するには、重合体Aの水溶液またはアルコール溶液を
複合逆浸透膜に塗布した後、乾燥し、多官能架橋剤とし
てのポリイソシアネート化合物を溶解させた溶液を接触
させ、必要に応じて加熱して、重合体Aを分子間にて架
橋させればよい。
【0033】また別の方法として、重合体Aの水溶液ま
たはアルコール溶液に前記したようなブロック剤にてブ
ロック化した多官能ポリイソシアネート化合物を加え、
得られた溶液を複合逆浸透膜に塗布した後、このブロッ
ク化ポリイソシアネートの解離温度以上の温度に加熱
し、ポリイソシアネート化合物を遊離させ、重合体Aと
架橋反応させてもよい。
【0034】ここで用いるポリイソシアネート化合物
は、特に限定されるものではないが、例えば、トリレン
ジイソシアネートやジフェニルメタンジイソシアネー
ト、それらの多量体、イソホロンジイソシアネート、ヘ
キサメチレンジイソシアネート、トリフェニルメタント
リイソシアネート、トリス(p−イソシアネートフェニ
ル)チオフォスファイト、トリメチロールプロパンとト
リレンジイソシアネートとの付加体、トリメチロールプ
ロパンとキシリレンジイソシアネートとの付加体などを
挙げることができる。
【0035】また、前記重合体Bの架橋重合体層を複合
逆浸透膜上に形成するには、例えば重合体Bの水または
アルコール溶液を複合逆浸透膜上に塗布し、ブロック化
イソシアネートの解離温度以上の温度に加熱し、イソシ
アネート基を遊離させて、分子間及び/または分子内で
架橋させればよい。
【0036】また、上述したイソシアネート基と水酸基
による架橋反応を促進するために、架橋反応に際して、
必要に応じて、3級アミンや有機スズ化合物などの触媒
を用いることもできる。
【0037】また上記のように有機重合体が架橋性の官
能基を持たなくても、複合逆浸透膜上に正荷電を持つ有
機重合体を被覆後電子線を照射したり、あるいは有機重
合体溶液中に過酸化物を混入し、複合逆浸透膜上に被覆
後加熱するなどの方法によって、有機重合体骨格上にラ
ジカルを生じさせ、3次元架橋させることもできる。
【0038】本発明において、このようにして形成され
る架橋重合体層の膜厚は、通常10オングストローム
(1nm)乃至10μmの範囲が好ましい。10オング
ストローム(1nm)よりも薄いときは、得られる複合
逆浸透膜を2段式逆浸透システムに用いても塩の除去性
能がほとんど改善されず、他方、10μmを超えるとき
は、得られる膜の透水性能が著しく低下するので好まし
くない。
【0039】本発明で用いることができる別の正固定荷
電基を有する有機重合体としては、ポリエチレイミンが
挙げられる。本発明の架橋層は、上記正固定荷電基を有
する有機重合体を、架橋剤で架橋して活性層表面を被覆
してなるものであり、かかる架橋剤としては、グリオキ
サール、グルタルアルデヒド等が挙げられるが、特に分
子量の点から、グルタルアルデヒドが好ましく用いられ
る。ポリエチレイミンをグルタルアルデヒドで架橋する
場合は、下記式(化1)のように反応する。
【0040】
【化1】
【0041】本発明において活性層表面を架橋層で被覆
する方法は特に限定されないが、例えば、活性層に上記
正固定荷電基を有する有機重合体の水溶液を塗布又は含
浸した後、上記架橋剤で架橋させたり、また逆浸透処理
を行いながら、その原水に正固定荷電基を有する有機重
合体を添加し、次いで水洗後同方法により架橋剤を添加
する方法などが採用できる。この場合、正固定荷電基を
有する有機重合体の濃度は、通常0.1〜10重量%、
好ましくは1〜5重量%、また架橋剤の濃度は、通常
0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%で
ある。
【0042】本発明においては、上記の如く負固定荷電
を有する活性層の表面に、正固定荷電基を有する有機重
合体が架橋した状態で被覆されているため、即ち吸着機
構に3次元架橋されているため、従来の未架橋の場合と
比べて、得られた複合半透膜を繰り返し使用しても、正
固定荷電基を有する有機重合体が脱落しないので、性能
が低下しないという利点がある。
【0043】
【発明の実施の形態】図1は本発明で使用する多段式逆
浸透処理プロセスの一例である。図1において、1はた
とえば井戸水や工業用水などの原液(原水)の供給ライ
ン、2は前記原液(原水)をためておく原液槽、3は原
液槽2と第1送液ポンプ4とを連結する送液ライン、5
は第1送液ポンプ4と第1段目の膜モジュール10とを
連結する送液ライン、11は第1段目の膜モジュール1
0の原液室、12は同モジュールの透過液室である。原
液(原水)の供給ライン1の前段階では、粗濾過、生物
処理などの任意の前処理を行ってもよい。第1段目の膜
モジュール10の原液室11と透過液室12との間には
逆浸透膜が存在し、第1段目の逆浸透処理が行われる。
透過液室12を出た第1段透過液は送液ライン6に送ら
れ、中間受けタンクまたは一定量が滞留できるたとえば
パイプヘッダーのような滞留手段7でいったん受け、第
2送液ポンプ8を用い、送液ライン9を通過させて、第
2段目の膜モジュール20に送液する。第2段目の膜モ
ジュール20の原液室21と透過液室22との間には本
発明の逆浸透膜が存在し、第2段目の逆浸透処理が行わ
れる。透過液室22を出た第2段透過液(超純水)は取
り出しライン13から取り出される。31は第1段目の
膜モジュール10の原液室11の出口に設けた調圧バル
ブ、32は第2段目の膜モジュール20の原液室21の
出口に設けた調圧バルブであり、各バルブ31,32に
より原液室11,21の操作圧力をそれぞれ調整する。
【0044】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定さ
れるものではない。
【0045】(参考例1)メチルエチルケトキシム29
gをベンゼン50gに溶解し、この溶液に25℃の温度
で2−メタクロイルオキシエチレンイソシアネート5
1.6gを約40分を要して滴下し、さらに45℃で2
時間攪拌した。得られた反応生成物をプロトンNMRに
て分析して、2−メタクロイルオキシエチレンイソシア
ネートにほぼ定量的にメチルエチルケトキシムが付加し
ているブロック化物であることを確認した。
【0046】(参考例2)メタクリル酸ヒドロキシプロ
ピルトリメチルアンモニウムクロライド16gと参考例
1で得たブロック化イソシアネート化合物8gとをメタ
ノール60gに溶解させ、これにアゾビスイソブチロニ
トリル0.4gを加え、窒素ガス雰囲気下に60℃で6
時間攪拌して、4級アンモニウム基を有する共重合体を
得た。
【0047】(実施例1)2,6−ジアミノトルエン
2.0重量%、ラウリル硫酸ナトリウム 0.25重量
%、トリエチルアミン 2.0重量%、カンファースル
ホン酸 4.0重量%、を含有した水溶液を微多孔性ポ
リスルホン支持膜に接触させて、余分の溶液を除去して
支持膜上に上記溶液の層を形成した。
【0048】次いで、かかる支持膜の表面に、トリメシ
ン酸クロライド 0.20重量%を含むヘキサン溶液と
接触させ、その後120℃の熱風乾燥機の中で3分間保
持して、支持膜上に重合体薄膜を形成させ、複合逆浸透
膜を得た。
【0049】参考例2で得た共重合体1gを水に溶解さ
せ、1重量%水溶液を作製した。これに架橋触媒として
1,4−アザビシクロ(2,2,2)オクタン0.00
5gを加えた。このようにして得られた溶液を、上記の
複合逆浸透膜上に塗布し、150℃で10分間加熱し、
共重合体を架橋させて正荷電性を有する複合逆浸透膜を
得た(複合逆浸透膜A)。
【0050】次にm−フェニレンジアミン 2.0重量
%、ラウリル硫酸ナトリウム 0.25重量%、トリエ
チルアミン 2.0重量%、カンファースルホン酸
4.0重量%を含有した水溶液を微多孔性ポリスルホン
支持膜に数秒間接触させて、余分の溶液を除去して支持
膜上に上記溶液の層を形成した。
【0051】次いで、かかる支持膜の表面に、トリメシ
ン酸クロライド 0.10重量%、イソフタル酸クロラ
イド 0.15重量%を含むヘキサン溶液を接触させ、
その後120℃の熱風乾燥機の中で3分間保持して、支
持膜上に重合体薄膜を形成させ、複合逆浸透膜を得た
(複合逆浸透膜B)。
【0052】次に図1に示したプロセスを用いて、1段
目に複合逆浸透膜Bを用い、2段目に複合逆浸透膜Aを
用い、電導度100μs/cm,pH6.5の井戸水を
原液として、30kgf/cm2 の操作圧力で複合逆浸
透膜Bを透過した液を供給液とし、操作圧力10kgf
/cm2 で複合逆浸透膜Aの膜性能を測定したところ、
比抵抗値は7.5MΩ・cm、透過流束は0.9m3
(m2 ・日)であった。
【0053】(比較例1)複合逆浸透膜Bをベースとし
て、実施例1と同様に正荷電性を有する複合逆浸透膜C
を得た。実施例1と同様、複合逆浸透膜Bを前段とし複
合逆浸透膜Cを後段として使用したところ、その膜性能
は、比抵抗値は6.7MΩ・cm、透過流束は0.5m
3 /(m2 ・日)であった。実施例1に比較して透過流
束は低いとともに、比抵抗値も低かった。
【0054】(実施例2)2,6−ジアミノトルエン
2.0重量%、ラウリル硫酸ナトリウム 0.25重量
%、トリエチルアミン 2.0重量%、カンファースル
ホン酸 4.0重量%、を含有した水溶液を微多孔性ポ
リスルホン支持膜に接触させて、余分の溶液を除去して
支持膜上に上記溶液の層を形成した。
【0055】次いで、かかる支持膜の表面に、トリメシ
ン酸クロライド 0.20重量%を含むヘキサン溶液と
接触させ、その後120℃の熱風乾燥機の中で3分間保
持して、支持膜上に重合体薄膜を形成させ、複合逆浸透
膜を得た。
【0056】次にポリエチレンイミン1重量%を供給純
水中に添加し、逆浸透処理した後系内を水洗し、供給純
水中にグルタルアルデヒドを1重量%添加し、処理を行
いポリエチレンイミンを架橋させて正固定荷電性を有す
る複合浸透膜を得た(複合逆浸透膜D)。
【0057】次に図1に示したプロセスを用いて、1段
目に複合逆浸透膜Bを用い、2段目に複合逆浸透膜Dを
用い、電導度100μs/cm,pH6.5の井戸水を
原液として、30kgf/cm2 の操作圧力で複合逆浸
透膜Bを透過した液を供給液とし、操作圧力10kgf
/cm2 で複合逆浸透膜Dの膜性能を測定したところ、
比抵抗値は8.0MΩ・cm、透過流束は0.7m3
(m2 ・日)であった。
【0058】また、その状態のまま1000時間の連続
通水テストを行ったところ、1000時間目での比抵抗
値は、8.1MΩ・cm、透過流束は0.8m3 /(m
2 ・日)と性能低下は認められなかった。
【0059】(比較例2)複合逆浸透膜Bをベースとし
て、実施例2と同様に正荷電性を有する複合逆浸透膜E
を得た。実施例1と同様、複合逆浸透膜Bを前段とし複
合逆浸透膜Eを後段として使用したところ、その膜性能
は、比抵抗値は6.9MΩ・cm、透過流束は0.4m
3 /(m2 ・日)であった。実施例2に比較して透過流
束は低いとともに、比抵抗値も低かった。
【0060】(実施例3)実施例2において、グルタル
アルデヒドで処理しなかった以外は実施例2と同様にし
て膜性能を測定したところ、比抵抗値は7.8MΩ・c
m、透過流束は0.7m3 /(m2 ・日)であった。ま
た、1000時間目の比抵抗は4.2MΩ・cm、透過
流束は1.0m3 /(m2 ・日)と性能が低下した。
【0061】以上の様に、本発明で得られた複合逆浸透
膜は、多段式逆浸透膜システムなどでの低濃度領域での
無機塩の脱塩及びカチオン系有機物の排除に優れ、かつ
高透過性を併せ有していることが確認できた。
【0062】
【発明の効果】以上説明した通り本発明によれば、薄膜
とこれを支持する微多孔性支持体とからなる複合逆浸透
膜であって、前記薄膜は、アミン成分が2,6−ジアミ
ノトルエンまたは2,6−ジアミノトルエンと他のアミ
ン化合物単量体を含むアミン成分と、前記単量体のアミ
ノ基と反応しうる酸ハライド基を2つ以上有する多官能
性酸ハロゲン化合物からなる負荷電性架橋ポリアミド系
スキン層であり、かつそのスキン層の表面を、正固定荷
電基を有する有機重合体の架橋層で被膜したことによ
り、高pH域における低濃度領域で無機塩の脱塩、及び
カチオン系有機物の排除に優れ、しかも高透過流束を伴
せ有する複合透過膜を実現できる。
【0063】本発明において、負荷電性架橋ポリアミド
系スキン層の表面の正荷電性基を有する有機重合体の架
橋層が、ポリエチレンイミンであるという好ましい例に
よれば、低濃度無機塩に対しての脱塩や、カチオン系有
機物を排除することが十分にできる。
【0064】また本発明において、正荷電性基を有する
有機重合体の架橋層が、4級アンモニウム基および水酸
基を有する重合体を、分子内または/及び分子間で架橋
した有機重合体であるという好ましい例によれば、低濃
度無機塩に対しての脱塩や、カチオン系有機物を排除す
ることが十分にできる。
【0065】また本発明において、正荷電性基を有する
有機重合体の架橋層の厚さが10オングストローム(1
nm)以上10μm以下の範囲であるという好ましい例
によれば、低濃度無機塩に対しての脱塩や、カチオン系
有機物を排除することが十分にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する多段式逆浸透処理プロセスの
一例である。
【符号の説明】
1 原液(原水)供給ライン 2 原液槽 3,5,6,9 送液ライン 4 第1送液ポンプ 7 滞留手段 8 第2送液ポンプ 10 第1段目の膜モジュール 11 第1段目の膜モジュールの原液室 12 第1段目のモジュールの透過液室 13 超純水取り出しライン 20 第1段目の膜モジュール 21 第2段目のモジュールの原液室 22 第2段目のモジュールの透過液室 31,32 調圧バルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C02F 1/44 C02F 1/44 J ZAB ZABK

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薄膜とこれを支持する微多孔性支持体と
    からなる複合逆浸透膜であって、前記薄膜は、アミン成
    分が2,6−ジアミノトルエンまたは2,6−ジアミノ
    トルエンと他のアミン化合物単量体を含むアミン成分
    と、前記単量体のアミノ基と反応しうる酸ハライド基を
    2つ以上有する多官能性酸ハロゲン化合物からなる負荷
    電性架橋ポリアミド系スキン層であり、かつそのスキン
    層の表面を、正固定荷電基を有する有機重合体の架橋層
    で被膜したことを特徴とする高透過性複合逆浸透膜。
  2. 【請求項2】 正固定電荷基を有する有機重合体の架橋
    層が、4級アンモニウム基および水酸基を有する重合体
    を、分子内または/及び分子間で架橋した有機重合体で
    ある請求項1に記載の高透過性複合逆浸透膜。
  3. 【請求項3】 正固定電荷基を有する有機重合体の架橋
    層が、ポリエチレンイミンを架橋した有機重合体である
    請求項1に記載の高透過性複合逆浸透膜。
  4. 【請求項4】 正固定電荷基を有する有機重合体の架橋
    層の膜厚が、10オングストローム(1nm)以上10
    μm以下の範囲である請求項1に記載の高透過性複合逆
    浸透膜。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002224546A (ja) * 2000-11-29 2002-08-13 Toray Ind Inc 下水処理用複合半透膜およびその製造方法
JP2008519673A (ja) * 2004-11-15 2008-06-12 東レ株式会社 複合半透膜、その製造方法、ならびにそれを用いたエレメント、流体分離装置、およびホウ素含有水の処理方法
KR101433841B1 (ko) * 2013-01-23 2014-08-26 한남대학교 산학협력단 복합막 및 그 제조방법
JP2018079451A (ja) * 2016-11-18 2018-05-24 オルガノ株式会社 逆浸透膜処理システムおよび逆浸透膜処理方法
CN108722208A (zh) * 2018-05-30 2018-11-02 哈尔滨工业大学(威海) 一种正电/负电Janus纳滤膜的制备方法

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