JP2009022902A - 多孔体、その製造方法、およびガス分離装置 - Google Patents

多孔体、その製造方法、およびガス分離装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2009022902A
JP2009022902A JP2007189888A JP2007189888A JP2009022902A JP 2009022902 A JP2009022902 A JP 2009022902A JP 2007189888 A JP2007189888 A JP 2007189888A JP 2007189888 A JP2007189888 A JP 2007189888A JP 2009022902 A JP2009022902 A JP 2009022902A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pore diameter
porous
polysilazane
porous body
gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007189888A
Other languages
English (en)
Inventor
Keita Miyajima
圭太 宮嶋
Taisuke Ando
泰典 安藤
Shigeo Nagaya
重夫 長屋
Takushi Seo
拓史 瀬尾
Tomoyuki Oba
智之 大場
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Noritake Co Ltd
JNC Corp
Chubu Electric Power Co Inc
Original Assignee
Noritake Co Ltd
Chubu Electric Power Co Inc
Chisso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Noritake Co Ltd, Chubu Electric Power Co Inc, Chisso Corp filed Critical Noritake Co Ltd
Priority to JP2007189888A priority Critical patent/JP2009022902A/ja
Publication of JP2009022902A publication Critical patent/JP2009022902A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Porous Artificial Stone Or Porous Ceramic Products (AREA)
  • Hydrogen, Water And Hydrids (AREA)

Abstract

【課題】 ガス分離膜として好適に用い得る高く且つ安定した特性を有する多孔体、その製造方法、およびガス分離装置を提供する。
【解決手段】 窒化珪素から成る多孔質基材の外周面に、ポリシラザンを含む溶液が塗布され、次いで、焼成処理が施されることによって細孔径が0.62(nm)程度、厚さ寸法が100〜200(nm)の範囲内で、Si−C、Si−N、並びにSi−O−N、Si−O−Cのような結合を備えたアモルファス状態の多孔質セラミックスから成る多孔質の膜16が生成される。このとき、ポリシラザンを含む溶液として数平均分子量が2000〜5000(g/mol)の範囲内、粘度が20〜200(mPa・s)の範囲内のものが用いられていることから、その溶液を中間層14の表面に適度な厚みで塗布することが可能になり、焼成処理によって生成される多孔質セラミック膜が100〜200(nm)程度の薄い厚さ寸法と、0.5〜1.0(nm)程度の小さい細孔径とを備えるものとなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、分離膜や触媒担体等に用いられる多孔体、その製造方法、およびそのガス分離装置に関する。
例えば、触媒担体や分離膜には多孔体が用いられている。多孔体の細孔径は用途に応じて適宜定められるが、これらの用途では、例えば2(nm)以下、或いはサブナノレベルも要求される。従来、このような多孔体を製造するに際して、ポリシラザンをプリカーサ(すなわち前駆体)として、これに焼成処理を施すことによって製造することが行われていた。
ポリシラザンは、Si、N、H、Cから成る物質であり、例えば、[−Si(H)(CH3)−NH−]、[−Si(CH3)2−NH−]、および[−SiH2−NH−]を基本ユニットとする繰り返し構造から成る(例えば、特許文献1を参照。)。非酸化雰囲気下において1100(℃)以上の温度で熱処理を施すことにより、ポリシラザンから窒化珪素および炭化珪素が生成される。また、1100(℃)以下の熱処理では、ポリシラザンからアモルファス状態の多孔質セラミック組成物が生成される。この多孔質セラミック組成物は、Si−C、Si−N、並びに反応段階での微量な不純物の影響で生成されるSi−O−N、Si−O−Cのようなオキシカーバイド結合或いはオキシナイトライド結合を持つ単位結合を含む。このような多孔体は、耐熱性および耐薬品性に優れていることから、触媒担体や分離膜を始めとする各種用途への利用が期待されている。例えば、膜状の多孔体はガス分離膜として利用することができる。
ところで、ポリシラザンを利用した多孔体の製造方法に関して、従来から種々の提案が為されている。例えば、数平均分子量が200〜100000(g/mol)の範囲のポリシラザン等をアンモニアガス雰囲気中において400〜1200(℃)の範囲内の最高温度まで徐々に加熱して焼成し、室温まで徐冷する方法がある(例えば特許文献2を参照)。この製造方法によれば、例えば100(m2/g)以上の比表面積の大きな多孔体を製造することができるとされている。また、ポリシラザンを含む成形体層を窒化珪素等の非酸化物系材料から成る多孔質支持体上に形成し、窒素雰囲気等の不活性ガス雰囲気中において800(℃)程度で焼成する方法がある(例えば特許文献3を参照)。この製造方法によれば、細孔径が10(nm)未満の極めて微細な細孔を有するクヌーセン的分離が可能な多孔質セラミックが得られる。また、ポリシラザンを1(mol%)以上の水素濃度下で焼成して多孔質セラミックスを製造する方法がある(例えば特許文献4を参照)。この製造方法によれば、細孔径が2(nm)以下のミクロ細孔に富み、400(℃)以上の高温下でも構造が維持される多孔質セラミックスが得られる。
特開昭63−309526号公報 特表平10−500655号公報 特開2001−247385号公報 特開2003−238270号公報
しかしながら、上述した従来の多孔体製造方法では、原料であるポリシラザンの物性について配慮されていないか不十分であったため、所望する特性を備えた多孔体を安定して得ることが困難であった。例えば、分離膜用途では、透過係数比および透過速度が何れも高い多孔体が望まれ、触媒担体用途では、比表面積が大きく且つ細孔内部まで処理対象ガスや液体等が容易に流通できる多孔体が望まれるが、前記特許文献2〜4に記載されている製造方法では、高特性が得られる場合もあるものの、安定した特性は得られなかった。分離膜用途における透過係数比や透過速度等の多孔体の特性は、その細孔径や膜厚に応じて著しく変化する。そのため、安定した特性を得るためにはこれら細孔径や膜厚の制御が必須であるが、前記特許文献2〜4に記載されているように分子量や焼成雰囲気等を定めても細孔径や膜厚を安定させることができなかった。例えば、特許文献2では分子量が特定されているものの著しく広範な範囲に亘るものであり、分離膜や触媒担体等に好適な多孔体を得るための条件は、実質的に何ら特定されていない。特に、薄い膜状の多孔質体を適当な多孔質支持体の上に形成する場合においては、膜の微構造が特性に及ぼす影響が顕著になるため、安定した特性を得ることが一層困難になる。
また、前記特許文献2〜4では、多孔体の細孔径をガス吸着法で測定している。この測定方法では、ガス透過に寄与しない非貫通細孔まで測定されるため、分離膜として用いる場合に重要なガス透過方向に貫通する貫通細孔の分布を正確に測定できていなかった。そのため、ガス分離膜として必要な細孔特性について十分に特定されていない状況であった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、ガス分離膜として好適に用い得る高く且つ安定した特性を有する多孔体、その製造方法、およびガス分離装置を提供することにある。
斯かる目的を達成するため、第1発明の多孔体の製造方法の要旨とするところは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法で測定した数平均分子量が2000〜10000(g/mol)の範囲内のポリシラザンを含む粘度が20〜200(mPa・s)の範囲内の溶液を所定の多孔質基材に塗布し、所定温度の焼成処理を施してそのポリシラザンから多孔質セラミック膜を生成することにある。
また、前記目的を達成するための第2発明の多孔体の要旨とするところは、毛管凝縮法を用いて測定した細孔径分布において2.0(nm)以下の細孔径の細孔の個数が開気孔全体の70(%)以上を占めることにある。
また、前記目的を達成するための第3発明のガス分離装置の要旨とするところは、前記第2発明の多孔体を用いたことにある。
第1発明によれば、ポリシラザンの数平均分子量および粘度を上記の範囲内で適宜定めることにより、所望する小さい細孔径や薄い膜厚を有し、延いては所望する高い特性を安定して有する多孔体を製造することができる。例えば、細孔径が2(nm)程度以下、比表面積が100(m2/g)以上、膜厚が1(μm)以下の多孔体が得られる。ポリシラザンからセラミック膜を生成するに際しては、数平均分子量が小さくなるほど緻密な焼成体が得られ易い。一方、数平均分子量が大きくなるほど多孔質化する傾向にあるが、ポリシラザン溶液がゲル化し易くなる。そのため、数平均分子量が2000(g/mol)未満では比表面積が小さくなり過ぎ、反対に10000(g/mol)を超えるとゲル化して塗布が困難になるから、数平均分子量は2000〜10000(g/mol)の範囲にあることが必要である。また、多孔質基材にポリシラザン溶液を塗布するに際しては、粘度が低くなるほど多孔質基材内部まで溶液が浸透し易くなる。一方、粘度が高くなると多孔質基材への溶液の浸透は抑制されるが、多孔質基材表面に形成されるポリシラザンの膜厚が厚くなる。そのため、粘度が20(mPa・s)未満では多孔質基材の厚み方向の広い範囲に溶液が浸み込んだ状態で多孔質セラミック膜が生成されるから、その多孔質セラミック膜の実質的な膜厚が厚くなって多孔質基材を透過させようとする流体の透過抵抗が大きくなる。また、粘度が200(mPa・s)を超えるときにも透過抵抗が増加すると共に、クラックや多孔質基材からの剥離が発生し易くなるから、粘度は20〜200(mPa・s)の範囲にあることが必要である。
なお、多孔質基材の表面に適当な多孔質膜を形成し得るポリシラザンの粘度は、その多孔質基材の塗布面における細孔径にも依存し、例えば細孔径を小さくするほど必要な粘度は低くなる。しかしながら、細孔径が小さくなるほど多孔体を透過する気体や液体(以下、特に区別しないときは流体という)の多孔質基材における透過抵抗が大きくなるから、多孔質基材の細孔径の大きさが多孔体特性に悪影響を及ぼすことを避けるためには、その細孔径は大きい方が好ましい。
これに対して、ポリシラザンを用いる本願発明の方法では、多孔質基材に溶液を塗布することから、適当な膜厚で形成するためには溶液粘度の制御が必須となる。しかしながら、従来においては粘度については全く考慮されておらず、数平均分子量についても十分に考慮されていなかったことから、高い特性を安定して得ることができなかったのである。
なお、ゲル浸透クロマトグラフィー(gel permeation chromatography:GPC)による数平均分子量の測定は、例えば、下記のシステム構成および測定条件で行うことができる。下記測定条件中、「HPLC」は「High Performance Liquid Chromatography:高速液体クロマトグラフィ」の略である。なお、下記構成および条件は、同等の結果が得られる範囲で適宜変更が可能である。また、本願において、粘度は、JIS Z8803に規定される「単一円筒形回転粘度計による粘度測定方法」に則り、25(℃)において測定した値である。また、前記比表面積は、例えばガス吸着法で測定した値である。
・システム構成
ポンプ:日本分光(株)製880-PU
RI検出器:日本分光(株)製RI-930
ガードカラム:昭和電工(株)製GPC LF-G
カラム:昭和電工(株)製GPC LF-804(2本)、GPC KF-801(1本)(計3本)
・測定条件
溶媒:トルエン HPLC用
流量:0.70(ml/min)
圧力:45-46(kg/cm2)
注入量:20(μl)
標準試料:ポリスチレン
また、第2発明によれば、毛管凝縮法を用いて測定した細孔径分布において2.0(nm)以下の細孔径の細孔の個数が開気孔全体の70(%)以上を占めることから、多孔体を分離膜として利用する際に実質的に有用となる細孔の開気孔径の割合が十分に大きいので、透過係数比および透過速度の高いガス分離膜に好適に利用し得る多孔体が得られる。なお、2.0(nm)以下の細孔が70(%)未満では、分離機構がクヌッセン若しくは粘性流主体になってしまい、2〜3以下の低い透過係数比しか得られない。上記「毛管凝縮法」とは、毛管凝縮のブロッキング効果に基づいて非凝縮性ガスの透過が阻害される現象を利用した細孔径分布測定方法である。上記割合は、斯かる測定方法を用いて得られた細孔径分布における2.0(nm)以下の細孔分布の面積と、全体の細孔分布の面積との比から算出した値である。
因みに、従来からガス分離膜の細孔特性の測定にはガス吸着法が一般に用いられてきているが、前述したように、この測定方法では、ガス透過に寄与しない非貫通細孔まで測定する。そのため、ガス分離膜として用いる場合において、多孔体の細孔特性を適切に評価したものではなかった。本発明者等は、このような用途の多孔体を評価するためには、毛管凝縮法を利用することが必要であることを見出し、第2発明に至ったものである。なお、細孔特性の評価には、毛管凝縮法だけを用いても差し支えないが、ガス吸着法を併用すれば、分離の際の透過量に影響を与える細孔容積(比表面積)と、透過係数比に影響を与える細孔径分布とを、開気孔および閉気孔の存在を考慮して正確に測定できるため、分離膜が実質的に実用に適するか否かを判定することが容易になる。
また、第3発明によれば、前記のように分離膜として利用する際に実質的に有用となる細孔の開気孔径の割合が十分に大きい多孔体が得られるので、透過係数比および透過速度の高いガス分離装置が得られる。
ここで、好適には、前記多孔体の製造方法において、前記多孔質基材は前記ポリシラザンを含む溶液の塗布面が5〜200(nm)の範囲内の細孔径を有するものである。多孔質基材の細孔径が小さくなるほど多孔体を透過する流体のその多孔質基材における透過抵抗が大きくなる一方、細孔径が大きくなるほど溶液が浸み込み易くなって製膜が困難になる。多孔質基材の細孔径が5(nm)以上であれば、用途次第ではあるが、その透過抵抗が実用的な範囲に留まり、200(nm)以下であれば所望の膜厚で容易に製膜できる。
また、好適には、前記ポリシラザンの数平均分子量は2500(g/mol)以上である。このようにすれば、数平均分子量が2500(g/mol)以上のポリシラザンは、600(℃)以上の高温で焼成しても、生成されるセラミック多孔質膜が平均細孔径で2(nm)以下の微細な細孔を有するものとなる。そのため、分離膜や触媒担体等の用途、特に、ガス分離膜に好適な多孔体が得られる。すなわち、例えば2(nm)以下の細孔径が好ましいとされる水素ガス分離等のガス分離膜用途に好適に用い得る。因みに、分離膜や触媒担体等の通常の使用温度は300(℃)以下であるが、例えば使用時における処理対象物の反応による温度上昇を考慮すると、少なくともその使用温度よりも300(℃)以上高い温度に耐え得る程度の耐熱性を有すること、換言すれば、"使用温度+300(℃)"以上の高温で焼成することが望ましい。
また、好適には、前記多孔質基材は、5〜200(nm)の範囲内の細孔径を有する中間層と、その中間層が表面に設けられ且つそれよりも大きい細孔径を有する支持体とを備え、前記ポリシラザンを含む溶液は、その中間層の表面に塗布される。ポリシラザンを含む溶液が塗布される塗布面は、前述したように5〜200(nm)の範囲内の細孔径を備えていることが好ましいが、強度確保のために厚さ寸法が要求される多孔質基材全体をこのような微細な細孔径で構成すると、その多孔質基材における流体の透過抵抗が無視できないほど大きくなる。上記のように構成すれば、多孔質基材全体の強度を細孔径の大きい支持体で確保すると共に、ポリシラザンを含む溶液が塗布される中間層を塗布に好適な大きさの細孔径を備え且つ透過抵抗が十分に小さくなる程度に薄い厚さ寸法を備えたものとすることができる。そのため、機械的強度と透過速度とが共に一層高い多孔体が得られる。
なお、上記中間層の形成方法は、上記のような細孔径を有する多孔質膜が得られるのであれば特に限定されない。例えば、中間層を構成するための原料粉末を適当なビヒクル中に分散させてこれに支持体をディッピングして塗布し、乾燥および焼成処理を施す方法や、予め成形したシートを支持体に巻き付けて焼成処理を施すことによって一体化させる方法等、公知の種々の製造方法を用い得る。
また、好適には、前記多孔質基材は、セラミックスから成るものである。このようにすれば、多孔体全体をセラミックスで構成できるので、安定性の一層高い多孔体が得られる。多孔質基材を構成するセラミックスは、多孔体の用途に応じて適宜のものを用い得るが、アルミナ、シリカ、窒化珪素、炭化珪素、ジルコニア、ゼオライト、チタニア等が好適である。これらの中でも窒化珪素セラミックスで構成することが特に好ましい。ポリシラザンから多孔質セラミック膜を生成する際に非酸化性雰囲気で処理すれば、Si−C、Si−N、並びにSi−O−N、Si−O−Cのような結合を持つアモルファス状態の多孔質セラミック組成物が生成される。そのため、多孔質基材とポリシラザンから生成された膜の熱膨張率が近くなり、耐熱衝撃性に優れた分離膜が得られる。
また、好適には、前記焼成処理を施す際の所定温度は、600〜1100(℃)の範囲内において前記ポリシラザンの組成や前記多孔体の使用条件等に応じて定められる温度である。前述したように本発明の多孔体は300(℃)以上の温度で使用可能であるが、この使用温度で多孔体の組織変化延いては特性の変化が生じることを十分に抑制するためには、その使用温度よりも少なくとも300(℃)程度は高い温度、すなわち600(℃)以上の温度で焼成処理を施すことが好ましい。一方、焼成処理温度が高くなると、ガス分離に寄与する細孔径2(nm)以下の細孔が消失して緻密化し、若しくは細孔が大きくなってガス分離機能が著しく低減することになる。そのため、使用温度よりも著しく高い温度で焼成することは、所望する微細な細孔を維持する点では不利であるから、可及的に低い温度で焼成することが好ましい。
また、好適には、前記ポリシラザンは数平均分子量が5000(g/mol)以下である。前述したように、数平均分子量が大きいほど比表面積が大きくなる一方で溶媒に溶解し難くなってゲル化も生じ易くなる。溶液の調合組成にも依存するが、数平均分子量が5000(g/mol)を超えるとゲル化が生じ易くなる場合があるため、5000(g/mol)以下に留めておくことが一層好ましい。
また、好適には、前記ポリシラザンの溶液の粘度は、25〜150(mPa・s)の範囲内である。前述したように、粘度が低いほど多孔質基材内に溶液が浸み込みやすくなる一方、粘度が高いほど多孔質基材の表面における塗布厚みが厚くなってクラックが生じ易くなるので、これらの不都合を一層抑制するためには上記粘度の範囲が一層好ましい。この観点により、ポリシラザンの溶液の粘度は、更に好適には、40〜120(mPa・s)の範囲内である。因みに、ポリシラザンを窒素雰囲気で焼成することによって生成されるポリシラザン由来の窒化珪素の細孔径は0.5(nm)程度である。一方、多孔質基材の細孔径は前述したように5〜200(nm)の範囲が好ましいが、この多孔質基材の細孔内にポリシラザンを含む溶液が浸み込むと細孔径が縮小される。その結果、細孔径が1〜10(nm)程度まで小さくなると、流体の分離や触媒反応等に寄与せず透過抵抗になる。
また、前記多孔質基材は、厚さ寸法が0.5〜10(mm)の範囲内であることが好ましい。このようにすれば、十分な機械的強度を確保しつつ、透過抵抗を無視できる程度に小さくすることができる。すなわち、例えば水素ガス分離用途においては10-5(mol・s-1・m-2・Pa-1)以上の水素ガス透過率を得ることができる。多孔質基材の厚さが厚いほど高い強度が得られるため、0.5(mm)以上が好ましいが、その一方で薄いほど高い流体の透過性能が得られるので、10(mm)以下が好ましい。また、これらの観点から、多孔質基材の厚さ寸法は、1.0(mm)以上が一層好ましく、5.0(mm)以下が一層好ましい。なお、上記厚さ寸法は、多孔質基材が支持体および中間層を備える場合には、その支持体の値である。
また、前記中間層が設けられる場合には、その厚さ寸法は10〜1000(μm)の範囲内であることが好ましい。このようにすれば、中間層における透過抵抗が無視できる程度に小さい範囲で、ポリシラザンを含む溶液をその表面に所望の厚さ寸法で塗布できる程度まで塗布面における細孔径を小さくすることができる。中間層の厚さが厚いほど塗布面の細孔径に対する多孔質基材の細孔径の大きさの影響が減じられるから、その塗布面の細孔径を塗布が容易な大きさに容易に制御できるので、10(μm)以上が好ましい。その一方、多孔質基材に比較して細孔径の小さい中間層の厚さ寸法が薄いほどガスの透過抵抗が小さくなるので、1000(μm)以下が好ましい。また、これらの観点から、中間層の厚さ寸法は、20(μm)以上が一層好ましく、100(μm)以下が一層好ましい。
また、前記多孔質セラミック膜は、厚さ寸法が0.01〜1(μm)の範囲内であることが好ましい。このようにすれば、多孔質セラミック膜における透過抵抗が十分に小さい範囲で、所望する細孔径を得ることができる。多孔質セラミック膜の厚さが厚いほど膜の一様性が高められ、延いては所望の細孔径を得易くなるため、0.01(μm)以上が好ましい。その一方、多孔質セラミック膜が薄いほどガスの透過抵抗が小さくなるので、1(μm)以下が好ましい。また、これらの観点から、多孔質セラミック膜の厚さ寸法は、0.05(μm)以上が一層好ましく、0.5(μm)以下が一層好ましい。
また、前記第2発明の多孔体は、好適には、前記第1発明の何れかの態様の多孔体の製造方法を用いて製造される。すなわち、第2発明の多孔体は、前述したように数平均分子量が2000〜10000(g/mol)の範囲内のポリシラザンを含む粘度が20〜200(mPa・s)の範囲内の溶液を用いることにより、容易に得ることができる。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の多孔体の一例である水素ガスを分離するための水素分離膜10の要部を示す斜視図であり、図2は、その断面の要部を模式的に示す図である。これら図1、図2において、水素分離膜10は、両端が開放された円筒形状の支持体12と、その外周面に形成された中間層14と、その中間層14の表面に形成された膜16とを備えて構成されている。
上記の支持体12は、例えば窒化珪素から成るものであって、外径10(mm)×内径7(mm)×長さ120(mm)程度の寸法を備えた気孔率が30〜50(%)程度の範囲内、例えば40(%)程度の多孔質体である。その周壁には、外周面から内周面に貫通する多数の連通細孔が、0.1〜50(μm)の範囲内、例えば1.0(μm)程度の平均細孔径を以て形成されている。
また、上記の中間層14は、例えば窒化珪素から成るものであって、50(μm)程度の厚さ寸法で設けられた多孔質膜である。この中間層14には、膜厚方向に貫通する多数の連通細孔が、例えば5〜200(nm)程度の範囲内、例えば100(nm)程度の平均細孔径を以て形成されている。この中間層14は、支持体12上に膜16を直接設けることが困難であることから、その支持体12の表面を膜16を設けることができる程度の細孔径に調整するためのものである。本実施例においては、支持体12および中間層14によって多孔質基材が構成されている。
また、前記の膜16は、例えば、10〜1000(nm)程度の範囲内、例えば200(nm)程度の厚さ寸法で設けられた多孔質膜である。この多孔質膜は、例えば、Si−C、Si−N、並びにSi−O−N、Si−O−Cのような結合を備えたアモルファス状態の多孔質セラミックス、例えば、多孔質の窒化珪素セラミックスから成る。したがって、本実施例の水素分離膜10は、Si−C、Si−N、並びにSi−O−N、Si−O−Cのような結合の全て或いは幾つかを備えた多孔質セラミックスで、或いは、窒化珪素セラミックスで全体が構成されている。また、上記の膜16には、膜厚方向に貫通する多数の連通細孔が、例えば0.5〜1.0(nm)程度の範囲内、例えば0.62(nm)程度の平均細孔径を以て形成されており、比表面積は例えば90〜300(m2/g)程度の範囲内、例えば242(m2/g)程度である。この膜16は、水素分子は透過できるが窒素分子は透過できない程度の細孔径を有しており、実際にガス分離を行うためのものである。
また、前記の膜16に備えられている細孔は、毛管凝縮法を用いて測定した細孔径分布で2.0(nm)以下の開気孔(すなわち膜厚方向に貫通する気孔)の個数が開気孔全体の70(%)以上を占めるものである。
上記毛管凝縮法を用いた細孔径分布測定の原理を図3を用いて説明する。図3において、多孔質体80に凝縮性ガスと非凝縮性ガスの混合物(図3ではこれらを区別することなく○で示す)を供給するとき、小さな細孔径の細孔82では、低い相対圧で凝縮性ガスが細孔82内で毛管凝縮し(図3に矢印84で毛管凝縮の発生部を示す)、非凝縮性ガスの透過を阻害する。一方、大きな細孔径の細孔86,88では、毛管凝縮によって非凝縮性のガスの透過を阻害するには、より高い相対圧が必要になる。相対圧と毛管凝縮径(すなわちケルビン径)とは、下記(1)式で示すケルビン式によって関係づけられている。そのため、凝縮性ガスの分圧を変化させながら非凝縮性ガスの透過係数を測定することで、毛管凝縮理論を適用できる0.5(nm)〜50(nm)の範囲の細孔径分布を測定することができる(例えば、「矢座武彦、膜(MEMBRAIN)、29(4)、244-247、2004」参照。)。
RTln(P/Ps) = 2νσcosθ/rp ・・・(1)
但し、R:気体定数、T:温度、P:凝縮性ガスの圧力、Ps:凝縮性ガスの飽和蒸気圧、ν:凝縮性ガスのモル体積、θ:接触角、rp:細孔径
上述したように、前記水素分離膜10は、細孔径が1.0(μm)程度と比較的大きい支持体12上に、細孔径が0.5(nm)程度と極めて小さい膜16が、支持体12よりは小さいが膜16よりは極めて大きい0.1(μm)程度の細孔径を有する中間層14を介して設けられている。そのため、混合ガスまたは水素の透過が殆ど制限されること無く、その膜16によって高い透過率および高い透過係数比を以て混合ガスから水素を分離することができる。例えば、水素透過率で6.9×10-8(mol・s-1・m-2・Pa-1)程度、H2/N2の透過係数比で98.9もの極めて高い値を得ることもできる。
なお、膜16は、上述したように極めて薄いが、水素分離膜10全体の機械的強度は支持体12で確保されているので何ら支障はない。
ところで、上記の水素分離膜10は、例えば以下のようにして製造される。以下、図4の工程図を参照して製造方法の一例を説明する。図4において、支持体製造工程PA1では、例えば平均粒径が6(μm)程度の市販の窒化珪素粉末を適当な成形助剤と混合して押出成形し、乾燥および焼成処理を施すことによって、前記特性を備えた円筒形の支持体12、すなわち細孔径が例えば1.0(μm)程度の支持体12を製造する。この支持体12の製造方法は、前記特性が得られる限りにおいて特に限定されない。例えば、湿式静水圧成形等を用いることもできる。
次いで、中間層形成工程PA2では、例えば平均粒径が1(μm)程度の市販の窒化珪素粉末を、水、有機結合剤、および分散剤等と混合してスラリーを調製し、これに支持体12をディッピングしてその表面にスラリーを塗布する。そして、乾燥処理および焼成処理を施すことにより、前記中間層14、すなわち、平均細孔径が例えば100(nm)程度の中間層14が形成される。
次いで、製膜液塗布工程PA3では、製膜液調製工程RA1において別途製造した製膜液を中間層14上に塗布する。この製膜液調製工程RA1では、例えば、プリセラミック・ポリマ(加熱処理によってセラミックスとなる無機高分子)であるポリシラザンをキシレン等の適宜の有機溶剤で希釈して製膜用溶液(すなわちポリシラザンを含む溶液)を調製する。溶液の濃度は例えば50〜60(wt%)程度である。なお、ポリシラザンは、珪素、窒素、水素、および炭素から構成されるセラミック前駆体ポリマーであって、例えば数平均分子量2000〜5000(g/mol)程度の範囲内、例えば4000(g/mol)程度の液状物であり、不純物量が数(ppm)以下と極めて高い純度を有している。ポリシラザンの数平均分子量は、例えば所望する細孔径に応じて定められる。例えば、水素分離膜10のようなガス分離膜を製造する場合には、サブナノオーダの細孔が必要となるため、数平均分子量が2000(g/mol)以上のものが好ましいが、触媒担体用途などでは1000〜2000(g/mol)程度でもよい。また、上記濃度における溶液の粘度は、例えば20〜200(mPa・s)程度の範囲内、例えば105(mPa・s)程度である。
上記の製膜液塗布工程PA3では、例えば、中間層14を設けた支持体12を製膜液中にディッピングすることによってその製膜液を付着させ、例えば室温〜100(℃)程度の温度で乾燥処理を施す。ディッピングの時間は製膜液の組成や粘度等に応じて適宜定められるが、例えば5秒間程度でよい。なお、塗布方法は、ディップコートに限られず公知の種々の方法を適用し得る。例えば、スピンコート法、スプレー法、転写法等でもよい。塗布回数は所望の膜厚が得られるように定められるものであり、1回または2回以上である。
次いで、焼成工程PA4では、例えばアンモニア雰囲気中において例えば650(℃)で焼成処理を施す。これにより、溶液中の有機溶媒が焼失させられると共に、窒化珪素から成る多孔質の膜16がポリシラザンから生成され、前記の水素分離膜10が得られる。すなわち、本実施例において、膜16は、ポリシラザンの熱処理によって生成されるアモルファス状態の多孔質セラミックスで構成されている。
本実施例によれば、上述したように細孔径が1.0(μm)程度の支持体12の外周面に細孔径が100(nm)程度の中間層14が設けられた窒化珪素から成る多孔質基材の外周面に、製膜液塗布工程PA3においてポリシラザンを含む溶液が塗布され、次いで、焼成工程PA4において焼成処理が施されることによって、細孔径が0.62(nm)程度、厚さ寸法が100〜200(nm)の範囲内で、Si−C、Si−N、並びにSi−O−N、Si−O−Cのような結合を備えたアモルファス状態の多孔質セラミックスから成る多孔質の膜16が生成される。このとき、ポリシラザンを含む溶液として数平均分子量が2000〜5000(g/mol)の範囲内、粘度が20〜200(mPa・s)の範囲内のものが用いられていることから、その溶液を中間層14の表面に適度な厚みで塗布することが可能になる。また、これにより、焼成処理によって生成される多孔質セラミック膜が100〜200(nm)程度の薄い厚さ寸法と、0.5〜1.0(nm)程度の小さい細孔径とを備えるものとなる。したがって、水素分離に極めて好適な多孔体を安定して得ることができる。
次に、本発明の更に具体的な実施例について説明する。
下記の表1は、ポリシラザンの数平均分子量および製膜用溶液の粘度と、焼成後の膜の特性、特に比表面積および細孔径との関係を評価した結果を示したものである。この評価では、数平均分子量の異なる4種の製膜用溶液を用意し、アンモニア雰囲気中において650(℃)で焼成したときの膜特性を測定した。ポリシラザン原料には、チッソ株式会社製NCP-100を使用した。数平均分子量は、原料作製時にGPCで測定しながらポリシラザンの反応を制御し、適宜の数平均分子量に達した段階で反応を終了させ、調製されている。ポリシラザンの粘度は、作製した原料をトルエンを用いて稀釈することで調製されている。表1において、「No.」欄はサンプル番号を、「粘度」欄はポリシラザンを含む溶液(製膜用溶液)の粘度を、「分子量」欄はポリシラザンの数平均分子量をそれぞれ表す。サンプルNo.1,2は比較例、No.3,4は実施例である。また、「比表面積」欄および「細孔径」欄は、焼成処理により生成された窒化珪素膜の比表面積および平均細孔径をそれぞれ表している。なお、比表面積および細孔径は、Ar吸着法によって測定した。
Figure 2009022902
上記評価結果に示されるように、溶液粘度が10(mPa・s)と低く、数平均分子量も1300(g/mol)程度と小さい比較例のNo.1のサンプルでは、比表面積は103(m2/g)程度に留まると共に、細孔径も0.98(nm)程度と大きくなる。また、比較例のNo.2のサンプルでは、粘度は168(mPa・s)程度と十分に高いものの、数平均分子量が1300(g/mol)と小さいことから、No.1と同様に、比表面積が95(m2/g)程度に留まり、細孔径も1.01(nm)程度と大きい。これに対して、粘度が58(mPa・s)程度で数平均分子量が2800(g/mol)の実施例のNo.3では、170(m2/g)程度の十分に大きい比表面積と、0.62(nm)程度の極めて小さい細孔径とが得られる。また、粘度が105(mPa・s)程度で数平均分子量が4000(g/mol)と極めて大きい実施例のNo.4では、比表面積が242(m2/g)程度と極めて大きく、且つ細孔径も0.62(nm)程度と極めて小さい。
上記表1に示す評価結果によれば、粘度が20(mPa・s)程度以上、数平均分子量が2000(g/mol)程度以上の製膜用溶液を用いた場合に、水素分離用等のガス分離膜に好適なサブナノオーダの細孔を備えた膜が得られることが判る。
また、下記の表2は、上記のNo.1〜4の製膜用溶液を用いて、窒化珪素から成る前記多孔質基材(すなわち、支持体12の外周面に中間層14を設けたもの)の表面に窒化珪素膜を設けて特性を評価した結果を示したものである。この評価試験では、多孔質基材に製膜用溶液をディップコートによって塗布し、アンモニア雰囲気中において650(℃)で焼成処理を施して、製膜用溶液から窒化珪素膜を生成した。表2において、「水素透過率」および「窒素透過率」は、図5に示す分離膜性能評価装置20を用いて、純水素および純窒素の各々について測定した値であり、「透過係数比」は、それら測定値の比である。
Figure 2009022902
図5において、分離膜性能評価装置20は、気体の流入および流出が制御された炉室22を有するリアクタ24を備えたものであって、その炉室22内には両端をシールされた水素分離膜10が配置される。このリアクタ24内には炉室22を設定温度に加熱するためのヒータ26が備えられている。また、炉室22内にはガス供給路28および排気路30が接続されている。
上記のガス供給路28には、水素ガス供給路32および窒素ガス供給路34が接続されると共に、三方弁36を介して真空ポンプ38に接続されている。これら水素ガス供給路32および窒素ガス供給路34には、それぞれニードル弁40,42、圧力弁44,46を介して水素ボンベ48および窒素ボンベ50が接続されている。また、それぞれ圧力計52,54が経路上に設けられている。
また、前記の排気路30には、圧力弁56、圧力計58、およびフローメータ60が設けられており、その圧力弁56が開けられている間は、水素分離膜10を透過しなかったガスがフローメータ60を経由して排気されるようになっている。
また、炉室22内の水素分離膜10の一端には、水素分離膜10の周壁を経由して内周側に透過したガスを排出するための透過ガス路62が接続されている。この透過ガス路62には、三方弁64、圧力弁66、圧力計68、およびマスフローメータ70が備えられている。透過ガス路62は、上記三方弁64を介して前記真空ポンプ38に接続されている。また、圧力弁66が開けられている間は、透過ガスがマスフローメータ70を経由して排気されるようになっている。
上記の評価装置20を用いて水素透過率を測定するに際しては、三方弁36,64を真空ポンプ38側に接続して各配管および炉室22内の残留ガスを十分に吸引した後、それら三方弁36,64を切り替える。そして、圧力弁44,56,66を開放すると共に、圧力計52,58,68で圧力を確認しつつ、ニードル弁40で流量を調節して水素ガスを炉室22内に供給する。また、排気路30から排気されるガス流量をフローメータ60で測定すると共に、透過ガス路62から排気されるガスすなわち透過ガス流量をマスフローメータ70で測定する。なお、窒素透過率を測定する場合にも、水素ボンベ48から水素ガスを供給することに代えて、圧力弁46を開けて窒素ボンベ50から窒素ガスを供給する他は同様に測定される。
上記評価装置20において、炉室22の温度を例えば150(℃)に設定し、ガス供給路28と透過ガス路62の水素ガスの差圧が0.1(MPa)となるようにガス流量を調節して、水素透過率および窒素透過率をそれぞれ測定した。その結果、前記表2に示されるように、水素透過率および窒素透過率共に数平均分子量が高いほど低下するが、窒素透過率の低下が相対的に大きいため、透過係数比は数平均分子量が高いほど高くなることが確かめられた。例えば、数平均分子量が4000(g/mol)の製膜用溶液を用いた場合には、98.9もの透過係数比が得られる。また、No.1、2を比較すれば、同じ数平均分子量の場合には、高粘度ほど高い透過係数比が得られることが明らかである。なお、No.3の水素透過率がNo.4のサンプルよりも低い結果が得られたが、粘度の影響または測定ばらつきと考えられる。
図6は、上記No.4のサンプルについて、毛管凝縮法を用いて細孔径分布を測定した結果を示したものである。細孔径分布の測定には、西華産業株式会社製ナノパームポロメーターを用い、透過ガス(非凝縮性ガス)にヘリウムを、凝縮ガスに水蒸気をそれぞれ用いた。測定温度は42.5±0.1(℃)とした。なお、測定に先立ち、サンプルに真空下において150(℃)で加熱する前処理を施した。サンプルNo.4は、Ar吸着法による測定で、前記表1に示されるように比表面積が242(m2/g)、平均細孔径が0.62(nm)の特性を有し、前記表2に示されるように98.9もの高い透過係数比が得られたものであるが、図6に示されるような細孔径分布が得られ、2(nm)以下の細孔径を有する細孔の個数が全体の70(%)以上を占めることが確かめられた。なお、この細孔径の割合は、図6に示される細孔径分布の測定結果を用い、2.0(nm)以下の細孔分布の面積と、全体の細孔分布の面積との比から算出した値である。
図7は、前記No.1のサンプルについて、同様にして測定した結果を示したものである。サンプルNo.1は、Ar吸着法による測定で、前記表1に示されるように比表面積が103(m2/g)、平均細孔径が0.98(nm)の特性を有し、前記表2に示されるように透過係数比が4.3に留まったものであるが、図7に示されるような細孔径分布が得られた。このサンプルNo.1の細孔径分布は、No.4に比較すると、ピーク高さに比較して分布範囲が広いブロードな分布を有し、開気孔(厚み方向に貫通した気孔)の割合も、少ないことが確かめられた。また、2(nm)以下の細孔径を有する細孔の割合は70(%)未満に留まっていることを確認した。
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
本発明の一実施例の製造方法によって製造された水素分離膜の要部を示す斜視図である。 図1の水素分離膜の膜構成を説明するための要部断面図である。 毛管凝縮法を用いた細孔径分布の測定原理を説明するための図である。 図1の水素分離膜の製造方法の一例を説明するための工程図である。 分離膜性能評価装置の構成を説明する図である。 表1,2のNo.4の細孔径分布を毛管凝縮法によって測定した結果を示す図である。 表1,2のNo.1の細孔径分布を毛管凝縮法によって測定した結果を示す図である。
符号の説明
10:水素分離膜、12:支持体、14:中間層、16:膜

Claims (5)

  1. ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法で測定した数平均分子量が2000〜10000(g/mol)の範囲内のポリシラザンを含む粘度が20〜200(mPa・s)の範囲内の溶液を多孔質基材に塗布し、焼成処理を施してそのポリシラザンから多孔質セラミック膜を生成することを特徴とする多孔体の製造方法。
  2. 前記多孔質基材は前記ポリシラザンを含む溶液の塗布面が5〜200(nm)の範囲内の細孔径を有するものである請求項1の多孔体の製造方法。
  3. 毛管凝縮法を用いて測定した細孔径分布において2.0(nm)以下の細孔径の細孔の個数が開気孔全体の70(%)以上を占めることを特徴とする多孔体。
  4. 前記請求項1または請求項2に記載の多孔体の製造方法を用いて製造したものである請求項3の多孔体。
  5. 前記請求項3または請求項4に記載の多孔体を用いたことを特徴とするガス分離装置。
JP2007189888A 2007-07-20 2007-07-20 多孔体、その製造方法、およびガス分離装置 Pending JP2009022902A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007189888A JP2009022902A (ja) 2007-07-20 2007-07-20 多孔体、その製造方法、およびガス分離装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007189888A JP2009022902A (ja) 2007-07-20 2007-07-20 多孔体、その製造方法、およびガス分離装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009022902A true JP2009022902A (ja) 2009-02-05

Family

ID=40395236

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007189888A Pending JP2009022902A (ja) 2007-07-20 2007-07-20 多孔体、その製造方法、およびガス分離装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009022902A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011083729A (ja) * 2009-10-16 2011-04-28 Ngk Insulators Ltd 複合分離膜及びその製造方法
JP2011083728A (ja) * 2009-10-16 2011-04-28 Ngk Insulators Ltd 複合分離膜及びその製造方法
JP2015227259A (ja) * 2014-05-30 2015-12-17 住友電気工業株式会社 多孔質シリカ管の製造方法および多孔質シリカ管
CN110038437A (zh) * 2019-04-04 2019-07-23 三达膜科技(厦门)有限公司 一种有机无机哌嗪聚酰胺复合陶瓷纳滤膜的制备方法
WO2023219091A1 (ja) * 2022-05-11 2023-11-16 国立研究開発法人産業技術総合研究所 アンモニア分離膜及びそれを用いたアンモニア分離方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05319959A (ja) * 1991-10-21 1993-12-03 Tonen Corp 高密度セラミックスの製造方法
JPH10165791A (ja) * 1996-12-13 1998-06-23 Kyocera Corp シリカ質多孔質膜の製造方法
JP2004051397A (ja) * 2002-07-17 2004-02-19 Japan Fine Ceramics Center 非晶質シリカ多孔質材料及びその製造方法並びに分子ふるい膜、触媒担体及び吸着剤
JP2004123415A (ja) * 2002-09-30 2004-04-22 Noritake Co Ltd 多孔質セラミック材及びその製造方法
JP2005074382A (ja) * 2003-09-03 2005-03-24 Mitsui Eng & Shipbuild Co Ltd 混合物分離膜、混合物分離方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05319959A (ja) * 1991-10-21 1993-12-03 Tonen Corp 高密度セラミックスの製造方法
JPH10165791A (ja) * 1996-12-13 1998-06-23 Kyocera Corp シリカ質多孔質膜の製造方法
JP2004051397A (ja) * 2002-07-17 2004-02-19 Japan Fine Ceramics Center 非晶質シリカ多孔質材料及びその製造方法並びに分子ふるい膜、触媒担体及び吸着剤
JP2004123415A (ja) * 2002-09-30 2004-04-22 Noritake Co Ltd 多孔質セラミック材及びその製造方法
JP2005074382A (ja) * 2003-09-03 2005-03-24 Mitsui Eng & Shipbuild Co Ltd 混合物分離膜、混合物分離方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011083729A (ja) * 2009-10-16 2011-04-28 Ngk Insulators Ltd 複合分離膜及びその製造方法
JP2011083728A (ja) * 2009-10-16 2011-04-28 Ngk Insulators Ltd 複合分離膜及びその製造方法
JP2015227259A (ja) * 2014-05-30 2015-12-17 住友電気工業株式会社 多孔質シリカ管の製造方法および多孔質シリカ管
CN110038437A (zh) * 2019-04-04 2019-07-23 三达膜科技(厦门)有限公司 一种有机无机哌嗪聚酰胺复合陶瓷纳滤膜的制备方法
WO2020200289A1 (zh) * 2019-04-04 2020-10-08 三达膜科技(厦门)有限公司 一种有机无机哌嗪聚酰胺复合陶瓷纳滤膜的制备方法
CN110038437B (zh) * 2019-04-04 2022-04-19 三达膜科技(厦门)有限公司 一种有机无机哌嗪聚酰胺复合陶瓷纳滤膜的制备方法
WO2023219091A1 (ja) * 2022-05-11 2023-11-16 国立研究開発法人産業技術総合研究所 アンモニア分離膜及びそれを用いたアンモニア分離方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7109137B2 (en) Methods for making microporous ceramic materials
EP2066426B1 (en) Method for preparing a porous inorganic coating on a porous support using certain pore formers
EP2150513B1 (en) Method for preparing a porous inorganic coating on a porous support using certain pore fillers
Kusakabe et al. Preparation of supported composite membrane by pyrolysis of polycarbosilane for gas separation at high temperature
US8481110B2 (en) Methods of making inorganic membranes
JP2010528835A5 (ja)
JP2009022902A (ja) 多孔体、その製造方法、およびガス分離装置
WO2009001970A1 (ja) 分離膜複合体及び分離膜複合体の製造方法
JP3770791B2 (ja) 高温対応型膜型改質器
JP3971546B2 (ja) 多孔質セラミック積層体及びその製造方法
CN101316648A (zh) 用于气体分离的功能化无机膜
JP4858954B2 (ja) メソポーラス炭化珪素膜及びその製造方法
Mori et al. Fabrication of supported Si3N4 membranes using the pyrolysis of liquid polysilazane precursor
JP5051785B2 (ja) 炭化珪素水素分離膜の製造方法
JP4129975B2 (ja) 多孔質セラミック材及びその製造方法
JP3850668B2 (ja) 多孔質セラミック膜を有する多孔質無機材料及びその製造方法
JP2009183814A (ja) 分離膜及びその製造方法
JP2007152230A (ja) 緻密質シリカ系水素分離膜および水素製造方法
JP4471556B2 (ja) 多孔質セラミック材及びその製造方法
WO2016104048A1 (ja) ガス分離方法
KR20180007394A (ko) 무기물 지지체에 의해 보강된 탄소분자체 중공사막 및 이를 이용한 기체의 분리 방법
JP4384540B2 (ja) 水素分離材及びその製造方法
Wang et al. Towards fabrication of low-cost carbon/ceramics membranes: substrate modification
JPH1157432A (ja) 水素分離材料
Chao et al. Si Al C gas separation membranes derived from polydimethylsilane and aluminum acetylacetonate

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20090707

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110117

A711 Notification of change in applicant

Effective date: 20110331

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110405

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20110331

A521 Written amendment

Effective date: 20110530

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A521 Written amendment

Effective date: 20110713

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20110713

A02 Decision of refusal

Effective date: 20120110

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02